コラム

Q ハラスメントの問題は医療機関でもよく耳にします。管理職による部下へのパワハラ  先輩の後輩に対する悪質ないじめも問題になっているようなケースもあるようです。実際医療機関としても社会的責任としてはどこまで問われるのでしょうか。

A ハラスメントの問題は、事実の深刻さや結果によっては行為者だけでなく、使用者(医療機関)の責任も問われます。使用者の安全配慮義務、損害賠償責任、結果によっては刑事責任まで問われるケースもあります。

 

詳細

使用者には、従業員が安全で、健康に働くことができるように配慮する義務があります。この義務は「安全配慮義務」といい、労働契約法5条に定めています。

 

労働契約法5条 「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保し、労働することが出来るよう、必要な配慮をするものとする。」

 

労働契約法には罰則はありませんが、使用者が安全配慮義務を怠り、労働者に損害が発生した場合、使用者は労働者に民事上の不法行為として損害賠償義務をおいことになります。

いじめ・いやがらせ行為は不法行為として、損害賠償責任を負う可能性があります。(民法709条)。パワハラを行ったものだけでなく、医療機関がそれを放置していれば、病院は使用者責任(民法715条)を問われることもあります。さらにパワハラ行為の程度によって、パワハラ行為者は、暴行・傷害、脅迫といった刑法上の処罰対象になることもあります。

 

医療機関が安全配慮義務違反に問われないためには、院内でパワハラ行為が問題になった場合、問題を放置せず、当事者や関係者から事情聴取を行うなど迅速に対応し、今後発生しないような対応が必要になります。また関係者に精神的なケアの措置も必要になります。

ハラスメントの問題が発生しないように、定期的に管理者研修を実施するなど、日頃から「予防」の措置を講じることが重要です。

マネジメントの観点を取り入れた1か月単位の変形労働制の事例紹介

ある園長先生からのご相談です。

この園の開園時間は9時から19時まででです。子供たちが順次登園し、9時半から午前中いっぱいまでがメイン活動です。年齢に応じて12時前後から昼食、12時30分以降は午睡クラス、クラス活動13時30以降は降園、または預かり保育・・・とさらに分かれていき19時の閉演に向けて子供の人数は段階的に減っていきます。園長先生の希望は、午前中は職員を手厚く配置し、メイン活動を充実させたいと思っていらっしゃいます。

 しかし、遅番職員は10時に出社するので、9時半からスタートするメイン活動にと途中方はいることになり、落ち着いて取り組むことが出来ない、これを何とかする方法はないですか、というご相談です。

 

職員の配置をコントロールする。

 

園の一日の流れに応じた子供の活動状況や人数によって、職員の人数を手厚くしたり、配置基準通りの人数にしたりすることを可能にする職員配置を検討することも可能です。

現在の働き方は1日8時間の固定で、1か月変形を採用し、各月の労働日数は決まっていました。園長先生が実現したいメイン活動の充実を念頭に置きながら就業規則の運用を考えてみました。例えば下記のような運用です。

①1日労働時間は、6時間、8時間、10時間。の3種類とする。

②各月の6時間の日と10時間の日を、同じ日数で設定する。

③就業規則に定めていた1か月変形の各月の労働日数は変えずに、各月の6時間、8時間、10時間の日数を決める。

就業規則は下記のように書き換えます。

 

 

従来の定め

今後の定め

早番

8時間労働 7:00~16:00(休憩60分)

6時間労働 7:00~13:00(休憩なし)

普通番

8時間労働 8:00~17:00(休憩60分)

8時間労働 8:00~17:00(休憩60分)

遅番

8時間労働 10:00~19:00(休憩60分)

10時間労働 8:00~19:00(休憩60分)

但し書き

 

月内において、早番と遅番の日は同じ日数とする

6月の労働日数と労働時間を示した下記表のように6時間、10時間の日を同じ日数で設定し、各月にの労働日数は変えていません。これであれば、各月の労働時間数はこれまで通りです。

 

以前

これから

所定労働日数

21日

21日(早番4日、普通13日、遅番4日)

所定労働時間

168時間

168時間

 

このようにした結果、9時半から午前中のメイン活動にはその日に出勤する6時間、8時間、10時間すべての職員の配置が可能になります。

毎月の勤務表は、前月末日までに職員に提示します。勤務表の作成に当たっては週(日曜から土曜)に1日の休日を確保しながら、各月で決めた6時間、8時間、10時間の日数を労働日とします。

 

この運用を始めた園長先生にお伺いしました。

 

午前中に職員の手厚い配置が可能になり、子供への配慮が行き届き、子供の意欲にこたえる保育ができるようになりました。「メイン活動の充実」を実感することが出来ています。また育成担当職員に余裕が出来、OJTによる育成に成果が出始めました。当初は10時間労働になる日の仕事ぶりが心配でしたが、時間が長いことをうまく利用して計画的に業務を進めたり、行事の準備に取組む姿が見られ、心配は杞憂に終わってくれました。13時で勤務終了となる早番の日は休憩時間が無い為、拘束時間が短いので、職員はワークライフバランスを活かし、趣味や習い事を始めた職員もいたり、概ね職員にも好評のようです。

Q 仕事のミスが多くクレームが入った職員に始末書を求めましたが、始末書に「上司が指導してくれない」と書き、反省してくれない職員への対応  

A 始末書というのは、業務などに規律違反をしたり、過失をしたりした場合に、その行為を反省し、謝罪し、同じことを繰り返させないようにする書面です。就業規則の制裁規定にも始末書に提示を求めています。

 

今回は、ミスが多くクレームまで入ってしまったので、その行為を反省してくれることを期待して提出を指示したのでしょう。しかし、反省するどころか施設へ責任転嫁していることがわかります。この場合、施設側が「指導をしたでしょう」と言ったところで「言った、言わない」の押し問答にしかならないのであれば、具体的な行動を振り返らせます。そして、改善することを具体的に指示し、ほかにも案があるならば自分から案を出してもよいように、ある程度「自由度」をいれると本人も書きやすくなります。

戒めるべきことは、「利用者さんのことを考えていなかったこと」ですから、話の途中で「自分はできていると思っても、利用者さんや他の職員はできているとは思っていない」ということを伝えるのです。そのうえで、「始末書」という書面ではなく、「改善提案書」と名称を変えるのもいいかもしれません。始末書というとどうしてもネガティブなイメージが強いからです。しかしここでも大切なのは、自分の行動を戒めて将来につなげることです。ですから書くハードルを下げ「改善提案書」に改めるというわけです。そしてこのフォーマットのなかに書くべき項目を入れ込んで記入してもらいます。ポイントは

  • どんな状況でクレームが発生したのか
  • それはどんな原因があったのか
  • そうすればそれを改善できるのか具体的な例をあげる
  • いつから実施するのか

 

人は埋め込み式の方が、書きやすくペンが進みます。まずは「自分の行動をふりかえり、反省してもらう」ことから始め、具体的な改善行動案を書いてもらいます。それでもできない場合には、「自分で書いたことなのになぜ実行がでいないのか」と面談で深堀していきます。

この書面を提出させるというのは、成長の過程もわかりますし、指導をしている実績もわかりますのでぜひともお勧めします。

Q、頑張っている職員を評価してもポストが少なく、昇進と昇給が思ったようにできていない。対処方法についてアドバイスをお願いします。

例えば、10人規模の通所介護(デイサービス)事業所でも十分にキャリアパスは構築できます。規模が小さい事業所は職責や組織のポジションが少なく、また給与財源が限られているという理由で、キャリアパスを作っても、意味がないとお考えの事業所は多いようです。ただ、社内のポジションで考えてみると、資格等級制度における「昇進」と「昇格」は異なります。「昇進」は確かにポジションが空かなければ上に進むことはできませんが、「昇格」は等級要件がクリアできれば全員昇格するのが、キャリアパスにおける資格等級制度の考え方です。例えば、取得した資格のレベル、勤続年数、人事評価などで、各等級の要件を定め、その昇格要件を決め、給与や時給に連動させれば、立派なキャリアパスです。また、昇給財源ですが、介護業界であれば処遇改善加算金を、財源に充当させることも十分可能ですし、むしろ国もそれを奨励しています。もしかしたら、従業員教育に時間をかけられない小規模事業所だからこそ、その仕組みにより自発的に能力を高めるようになるといった、キャリアパス効果は大きいかもしれません。

 

医療分野キャリアパス

 クリニック人事サポートパック(評価制度、賃金制度の作成) | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

 介護分野キャリアパス

 処遇改善加算対応キャリアパス構築コンサルティング | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

 保育園のキャリアパス

 保育士キャリアアップの仕組みサポートパック | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

延岡の保育士が手製カレンダー 「コロナ禍でも日々を楽しんで」と作成

みんなの経済新聞ネットワークより

介護職の月給、32万3190円 国調査 勤続10年以上の介護福祉士は35万円超

厚生労働省は24日、介護職員の給与水準の把握を目的とする「処遇状況等調査」の最新の結果を公表した。

ベテラン介護福祉士らの賃上げにウエートを置いた「特定処遇改善加算」を取っている施設・事業所で、常勤として月給制で働いている介護職員の給与の平均は、昨年9月時点で月32万3190円。前年同月と比較して7780円高くなっていた。

介護福祉士の給与をみると、キャリアが長くなるに連れて上がっていく傾向が表れており、最も高い勤続10年以上は平均で月35万5010円だった。特定処遇改善加算の取得率は全体の68.3%

この調査は、全国1万3724の施設・事業所を対象とした大規模なもの。厚労省が昨年10月に実施し、8812施設・事業所から有効な回答を得た。結果は24日の専門家会議に報告された

ここでいう給与は、基本給、各種手当、ボーナスなどを合計したもの。税金や保険料が引かれる前の金額で、いわゆる"手取り"ではない。ボーナスや一時金などがあった施設・事業所では、昨年4月から9月までに支給された総額の6分の1が足されている。各種手当は夜勤手当、時間外手当、研修手当、感染対策手当、交通費なども全て含む。その算出方法が異なることもあり、23日に公表された組合調査の結果よりやや高めの給与水準となっている。

今回の調査結果では、処遇改善加算を取っていないところも含めた全ての施設・事業所についても報告されている。常勤・月給で働く介護職員の給与の平均は、昨年9月時点で月31万5640円。特定処遇改善加算を取っているところとの差は7550円だった。(介護ニュース)

BCP策定、介護事業者に求められる視座 

コロナ禍が介護業界を激しく揺さぶり、事業環境は劇的に変わった。多くの現場が厳しい状況に追い込まれたが、介護施設・事業所の存在意義、重要性に改めて光が当たるという驚きもあった。

介護事業者に社会が期待することも以前より増えた。およそ2年に及ぶ有事を通じ、この分野に更なる成長を求める動きが加速したのは間違いない。象徴的なのがBCP(業務継続計画)の策定。国は全サービスの事業所に義務付け、3年の経過期間を置いて2024年度から完全適用する決断を下した。

事業者にとって大きなルール変更となる。万が一の時でも必要なサービスを維持できるよう、それぞれが可能な範囲で備える努力をしていかなければならない。自然災害に激甚化の傾向が表れていることも背景要因の1つだ。

BCPを策定するうえで大事な視点はいくつもある。欠かせないものの1つが「食」。これが途絶える事態になれば、施設系や入所系は直ちに窮地に陥ってしまう。通所系や訪問系もやはり相応の準備が欠かせない。「行政の支援が始まるまで(*)自力で業務を続けられるよう、必要な備蓄をしておくこと」。厚生労働省の「BCPガイドライン」にはそう書かれている。

■「策定済み」の事業所はごく僅か

果たして現場の取り組みは進んでいるのか。まだまだ十分ではない、という業界の一般的な認識を裏付ける調査結果がある。民間シンクタンクのMS&ADインターリスク総研が昨夏に実施したものだ。

それによると、「BCPを策定済み」と回答した事業所は24.0%のみ。このうち、感染症と自然災害の両方を作り終えているところは41.3%に留まっている。未策定の事業所のうち、「策定中」と答えたのは47.3%と半数に満たない。まだまだこれから、というところが大半を占めているのが実情だ。サービスごとの違いもあり、施設系や居住系より通所系、訪問系が遅れていると報告されている。


 


「日々の業務に追われるなか大変なのはよく分かるが、事業所のためにも、職員のためにも、そして何より利用者のために対応を急がなければいけない」
 BCPの策定にあたりどんな視点が大切になるか。

全ての事業所が均一のものを作ればいい、という訳ではないことに留意して頂きたい。自分の事業所にとってどんな災害のリスクが高いか、どんな社会資源に頼ることができるか、どんな状態像の利用者がいるか − 。そうした個別性を十分に検討し、実際にワークするBCPを目指す必要があります。どこかでテンプレートを手に入れて済ますだけでは、有事での実効性を担保することはできません。個々の事業所が感染症や災害への危機感を持ち、自分の置かれた状況をしっかり反映したBCPを作ることが大事ではないでしょうか。

介護職の3%賃上げの補助金、厚労省が新たなQ&A公表 計画書の書き方や申請ルールなど解説

 

《 介護保険最新情報Vol.1048 》

介護職員らの月額3%ほどの賃上げを実現するための新たな補助金(介護職員処遇改善支援補助金)をめぐり、厚生労働省は23日、現場の疑問に答えるQ&Aの第3弾を公表した。介護保険最新情報のVol.1048で広く周知している。

今回の設問は全部で6つ。具体的には、

(1)前年度に通常よりも多く賞与を支払ったなどの理由で、補助金による賃上げを行っても前年度からの賃金の増加額が補助金の額を上回らない場合、補助金は申請できないのか。

(2)休止していた事業所が今年に入って再開した場合、補助金を申請することは可能か。

(3)都道府県の圏域を超えて複数の事業所を持つ事業者が、法人で一括して計画書・実績報告書を作成する際、都道府県ごとに別個の書類を作って提出する必要があるか。

(4)介護サービスと介護予防サービスの両方を提供している事業者が、計画書・実績報告書にサービス名を記入する際、介護サービスと介護予防サービスとを区別して記載することが必要か。

(5)法人の吸収合併などにより、2022年度から事業所を別法人が運営することになった場合、2月、3月からの賃上げに関する要件の取り扱いについて、元の法人が運営していた期間も補助金の対象とすることは可能か。

(6)事業所を別のサービスに変更した場合の取り扱いについて、変更前の期間も補助金の対象とすることは可能か。

が取り上げられている。

例えば(3)、都道府県の圏域を超えて複数の事業所を持つ事業者のケース。厚労省はQ&Aに、「都道府県ごとに計画書・実績報告書を書き分けることまでは不要」「法人単位の一括した書類の作成は可能」などとしている処遇改善加算のルールを紹介。「新たな補助金も同様」と明記し、より詳しい規定も解説した。

また(4)、介護サービスと介護予防サービスの両方を提供している事業者のケース。厚労省は、「介護サービスと介護予防サービスとを区別して様式に記載することが必要」との解釈を示した。(介護ニュースより)

LIFE関連加算の算定、介護施設が先行 在宅系は2割〜3割 負担軽減を求める声

 

《 社保審・介護給付費分科会(2022年2月撮影)》

介護現場の「LIFE」の取り組み状況を探った調査の結果が、介護報酬を議論する社会保障審議会・介護給付費分科会の17日の会合で公表された。

LIFEに関連する加算を既に算定している事業所の割合は、サービス類型によって大きく異なると報告されている。

昨年9月のサービス提供分でみると、最も高いのは老健の63.7%。次いで、特養が50.6%、地域密着型特養が49.7%、介護医療院が46.0%となっており、施設系が上位を占めていた。

一方、在宅系や居住系は相対的に割合が低い。通所介護が33.7%、小規模多機能が29.7%、グループホームが28.5%、特定施設が24.5%、地域密着型通所介護が22.3%。厚労省は「特に通所系サービスで、LIFE関連加算を算定している事業所の方が利用者数が多い傾向が確認された」と説明した。

「老健で非常に高い数字が出て一定程度満足しているが、より高めていかなければならない」

全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は会合でそう述べた。また、日本介護福祉士会の及川ゆりこ会長は、「小規模な事業所でもLIFEを適切に活用できる体制を整備することが大きな課題」と指摘した。

調査結果ではこのほか、LIFEの対応に現場が要している時間についても報告されている。

月間の平均でアセスメントが14.6時間、データ入力が12.5時間。やはり重い負担がかかっているのが実情だ。会合では委員から、「引き続き負担軽減の方策を検討していくべき」との声があがった。

この調査は、今年度の介護報酬改定の影響・効果を把握する目的で昨年10月から12月に実施されたもの。厚労省は介護保険DBのレセプトデータを分析したほか、LIFEに登録した2170事業所などの回答を集約した。(介護ニュース)

厚労省 介護職員処遇改善支援補助金Q&A第3弾公表

厚生労働省は23日、

介護職員らの月額3%ほどの賃上げを実現するための新たな補助金

(介護職員処遇改善支援補助金)について、

Q&Aの第3弾を公表しました。

 関心をお持ちの皆様は下記をご確認下さいませ。

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