コラム

介護職の賃上げで保険料、利用者負担が増加 後藤厚労相が理解求める

介護職員らの月額3%(平均9000円)ほどの賃上げが今月から始まる。政府は新たな補助金を事業所へ交付するが、これは今年9月までの一時的な措置。10月以降は介護報酬の加算によってリソースを配る方針で、40歳以上の保険料や利用者の自己負担にも影響が及ぶことになる。

後藤茂之厚生労働相は4日の閣議後会見で、加算の新設に伴うこうした"副反応"に理解を求めた。

高齢者らの負担増につながることに一部で反発の声も出ている現状を踏まえ、「介護職員らの賃上げをしっかりと恒久的なものとするため。事業者にとって安定的、継続的な収入が見込める介護報酬で対応していく」と説明。「介護保険制度は公費、保険料、利用者負担の適切な組み合わせにより、国民みんなで支え合うことで持続可能なものとしている。こうした枠組みの下で対応していくことが適切だと考えている」と理解を求めた。

そのうえで、月々の利用者負担が高額になると一定額を払い戻したり、低所得の高齢者の保険料を軽減したりする仕組みがあることを紹介。「大変厳しい経済状況にある方々がいることも認識している。そうした方々の生活が成り立つようにすることが大切だ」との認識を示した。


保育所の第三者評価、6.6% 20年度、12県で実施ゼロ

保育所で質の確保のため実施が努力義務とされている第三者評価を受けたのは、2020年度に全国でわずか6.6%の1570カ所だったことが27日、全国社会福祉協議会(全社協)の集計(暫定値)で分かった。東京都など費用の補助が充実している自治体に集中し、青森、石川、岡山など12県ではゼロだった。

 第三者評価は、保護者が保育所を選ぶ際の情報として公表し、質の向上にも結びつける狙いだが、費用負担や手間がネックになっている。厚生労働省は来年度以降、実態把握と改善策の検討に乗り出す考えだ。(共同通信)

2歳児以上、マスク着用推奨 政府の分科会、保育所コロナ対策

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が4日午後の会合で、保育所での感染防止策として、2歳以上の保育園児についてマスク着用を推奨するよう提案することが分かった。厚生労働省は現在、保育園児らの一律のマスク着用は求めていないが、オミクロン株の急拡大に伴い、園児や保育士らの感染が急増していることを踏まえた。

 後藤茂之厚労相は4日の記者会見で、保育園児のマスク着用について「前向きに進めていくべきだ」と明言。「感染の主流が若い人たちから高齢者と子どもに移り、そこを中心に次の感染が広がる起点にもなりかねない」と強調した。(共同通信)

社会保険の適用拡大の対象となる 事業所の判断基準

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。

社労士                                                                                             現在、従業員数が500 人を超える企業では、①週の所定労働時間が20 時間以上、②雇用期間が1 年以上(2022 年10 月以降は2 ヶ月超)である見込み、③賃金の月額が8.8万円以上である、④学生でない、という4 つの要件を満たしたパートタイマーやアルバイト(以下、まとめて「パート」という)についても社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入することになっています。この基準の対象となる企業規模が2022 年10 月から従業員数100 人超に広がります(適用拡大)。
総務部長                                                                                                                                その「従業員数」というのは、具体的にどのように判断するのですか。当社では、パートも含めた全従業員数は130 人前後です。
社労士                                                                                             先ほどは分かりやすく従業員数とお伝えしましたが、正確には厚生年金保険の被保険者数で判断します。正社員のほか、社会保険に加入しているパートの人数も含むと考えるとよいでしょう。
総務部長                                                                                                                                        なるほど。現在、社会保険に加入している人数は正社員とパート含め、今月は100 人を超えているのですが、パートは入退社や労働条件の変更があるので、来月は100 人以下となる可能性が高い状況です。2022 年10 月1日の時点で100 人以下であれば、今回の適用拡大の対象になりませんか。
社労士                                                                                             常時100 人を上回る場合には、適用拡大の対象となります。対象になる企業は自主的に判断し、日本年金機構(年金事務所)に申し出ることになっていますが、直近12 ヶ月のうち、6 ヶ月で100 人超という基準を上回る場合には、企業からの申出の有無にかかわらず日本年金機構が適用拡大の対象とすることになっています。
総務部長                                                                                                                                  そうですか。ちなみに、当社のように本社と営業所があるような場合にはそれぞれの事業所の人数で判断するのでしょうか。
社労士                                                                                         事業主が法人であれば、法人番号が同じ事業所全体で確認し、個人であれば事業所単位で確認することになっています。ちなみに、一度適用拡大の対象となった場合、従業員数が100 人以下となっても、原則として適用拡大後の基準が適用となります。
総務部長                                                                                                                                承知しました。パートの中には「配偶者の扶養の範囲内で働きたい」という希望も根強いこともあり、いきなり社会保険の適用対象となることを伝えると戸惑う可能性もあるため、4 月の契約更新に向けて、説明会等を開催してみることにします。

 

ONE POINT
① 社会保険の適用拡大の対象は、厚生年金保険の被保険者数を基準として判断される。
② 直近12 ヶ月のうち、6 ヶ月で被保険者数が100 人超となっているときは、適用拡大の対象となる。
③ 適用拡大の対象となった後は、基準を下回っても原則として適用拡大後の基準が適用される。

 

“介護職員処遇改善支援補助金” に関するQ&A

厚労省は31日、

 

“介護職員処遇改善支援補助金”

 

に関するQ&Aを公表しました。

 

Q&Aは全部で31問。例えば、皆様の関心事であろう下記Q&A

問 12 その他の職員の範囲は、事業所の判断で決められるのか。また、介護職
員とその他の職員について、配分割合等のルールは設けられているか。


(答)
その他の職員の範囲は各事業所においてご判断いただきたい。また、本部の人
事、事業部等で働く者など、法人内で介護に従事していない職員の取扱いについて
は、2019 年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.2)(令和元年7月 23 日)問 13
を参照されたい。
なお、その他の職員にも配分を行う場合は、介護職員の処遇改善を目的とした補
助金であることを十分に踏まえた配分をお願いしたい。

 

全体Q&Aは下記をご確認下さい。

 

↓

 

https://www.mhlw.go.jp/content/000890610.pdf

緩和される有期雇用労働者の 育児・介護休業申出と労使協定

 2022 年4 月に施行される改正育児・介護休業法では、有期雇用労働者が育児休業や介護休業の申出をする際の要件である「引き続き雇用された期間が1年以上であること」が廃止され、有期雇用労働者であっても育児休業や介護休業が取得しやすくなります。
 その一方で労使協定を締結することにより、一定の要件に該当した従業員からの育児休業や介護休業の申出を拒むことができる仕組みが引き続き設けられます。そこでこれらの内容を確認しておきます。

1. 有期雇用労働者の要件緩和

 改正育児・介護休業法では、育児休業および介護休業を申し出る際の、有期雇用労働者の勤続年数の要件が削除されました。
 その一方で、育児・介護休業法では従前から、労使協定を締結することにより、以下の従業員からの休業の申出を拒むことができるとしています。
①入社1年未満の従業員
②1年( 育児休業の延長や再延長は6ヶ月)以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員( ※)
③1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
※介護休業は93日以内
 改正育児・介護休業法が施行されることにより、有期雇用労働者の要件が緩和されたとしても、労使協定を締結することにより、入社1 年未満の従業員からの休業の申出を拒むことができます。
 この入社1 年未満であるか否かの判断は、育児休業や介護休業の申出時点の勤続年数で判断するため、例えば、子どもが生まれたときには勤続年数1 年未満の従業員であっても、1ヶ月後に勤続1 年以上となれば、育児休業の申出を行い育児休業を取得することは可能です。

2. 労使協定の再締結

 1.で確認した労使協定は、現在施行されている育児・介護休業法にも定めがあり、一般的に、無期雇用労働者を対象として締結されています。
 今回、有期雇用労働者の要件緩和に伴い、この労使協定の対象者に新たに有期雇用労働者を含める場合には、改めて労使協定を結ぶ必要があるとしています(厚生労働省「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ &A(令和3年11月30 日時点)」のQ4- 3)。
 2022 年4 月に施行される内容では、労使協定の条文自体を変更することはないため、引き続き労使協定の内容を有効とするためには、労使協定の有効期間を変更して改めて締結することになります。

 

 2022 年10 月に施行される改正育児・介護休業法の内容は、労使協定の見直しを検討する内容が多くありますが、4 月の施行についても若干の修正が必要です。育児・介護休業規程等の就業規則の内容とともに、労使協定の内容や締結の必要性を確認し、対応していきましょう。

 

「報連相」の漏れや遅延をなくすには。

今回は「報連相」についてです。

組織運営の生命線ともいえる「報連相」。

介護事業所においては、その重要性は

今更申し上げる必要もないと思います。

でもその重要性は、わかっているはずなのに

報連相の漏れや遅延によりヒヤリハット

やトラブル・事故は相変わらず多い。

それはなぜでしょうか。

その要因はいくつかありますが、以下順不同に

その要因と対応を整理してみます。

●そこまで重要(または緊急性が高い)とは
 思わなかったケース

 認識の違い、経験の違いからから発生する

 自覚不足がその要因。福祉・医療事業所であれば

 利用者の安全に関する事柄は、誰もが

 第一にすることですが、それ以外のこと

になると、どれが緊急で重要性が高いのか、

法人や部門の方針、目標

 によって異なってきます。

従って、日々の指導の中で、

優先順位の高い項目を伝え、

また報連相の漏れや遅延があれば、

適時、適切に指導を行う必要

があると思います。

●次の仕事に追われて、ついつい忘れてしまうケース

 これは、本人の悪気気があったわけ

ではないがこれを防ぐには、

「その場でメモをとる」習慣が大切。

手のひらや甲をメモ帳代わりにして書いている

 ケースもありますが、見た目も良くないし、

何より衛生管理上も疑問が残ります。

そこで小さな手帳や付箋を常の

 持ち歩き、その場で書く習慣を

身に付けたら

 どうでしょうか。

前回の続き、今回も報連相

について、書いてみようと

思います。

それでは、報連相の漏れや遅延

の要因とそれをなくすための

対策についてです。

●記録帳やイントラネットに

記録しようと思っていたが

機会を逸してしまったケースです。

社内のルールとして記録帳や

イントラネットに書き込むように

なっている場合がある場合でも

スピードが必要な報告・連絡の

場合は、そういったルートは

後回しにしてでも、迅速性を

優先する必要がありますよね。

まず、口頭報告をしたうえで、

記録帳やイントラネットを

使うように心がければ、良いと

思います。

●次は 特定の人に苦手意識があり、

自分で何とかしようとして

報告しなかったケースです。

報告しても、怒られたりすると

その上司には報告しなくなる

事もあると思います。

気持ちは分かりますが、

職業人として、個人の感情は

控えるべきであることは

いうまでもありません。

苦手な上司に対して、

日頃から意識的して

コミュニケーション

を取るようにすることで

いざ、という時に報告出来る

ような関係を作っておく

ようにしてください。

いかがでしょうか?

ご参考になりましたでしょうか。

最後にも触れましたが、

やはり、報連相を円滑なもの

にするためには、

職場における普段の

コミュニケーション

がとても重要です。

その為には、

「心のこもった普段の挨拶」や

「有難う」の言葉が普通に

を飛び交う等、

当たり前の事を当たり前に

出来る職場作りが

とても大切になると

思います。

マネジメントの観点を取り入れた1か月単位の変形労働制の事例紹介

 

ある園長先生からのご相談です。

この園の開園時間は9時から19時まででです。子供たちが順次登園し、9時半から午前中いっぱいまでがメイン活動です。年齢に応じて12時前後から昼食、12時30分以降は午睡クラス、クラス活動13時30以降は降園、または預かり保育・・・とさらに分かれていき19時の閉演に向けて子供の人数は段階的に減っていきます。園長先生の希望は、午前中は職員を手厚く配置し、メイン活動を充実させたいと思っていらっしゃいます。

 しかし、遅番職員は10時に出社するので、9時半からスタートするメイン活動にと途中方はいることになり、落ち着いて取り組むことが出来ない、これを何とかする方法はないですか、というご相談です。

 

職員の配置をコントロールする。

 

園の一日の流れに応じた子供の活動状況や人数によって、職員の人数を手厚くしたり、配置基準通りの人数にしたりすることを可能にする職員配置を検討することも可能です。

現在の働き方は1日8時間の固定で、1か月変形を採用し、各月の労働日数は決まっていました。園長先生が実現したいメイン活動の充実を念頭に置きながら就業規則の運用を考えてみました。例えば下記のような運用です。

①1日労働時間は、6時間、8時間、10時間。の3種類とする。

②各月の6時間の日と10時間の日を、同じ日数で設定する。

③就業規則に定めていた1か月変形の各月の労働日数は変えずに、各月の6時間、8時間、10時間の日数を決める。

就業規則は下記のように書き換えます。

 

 

従来の定め

今後の定め

早番

8時間労働 7:00~16:00(休憩60分)

6時間労働 7:00~13:00(休憩なし)

普通番

8時間労働 8:00~17:00(休憩60分)

8時間労働 8:00~17:00(休憩60分)

遅番

8時間労働 10:00~19:00(休憩60分)

10時間労働 8:00~19:00(休憩60分)

但し書き

 

月内において、早番と遅番の日は同じ日数とする

6月の労働日数と労働時間を示した下記表のように6時間、10時間の日を同じ日数で設定し、各月にの労働日数は変えていません。これであれば、各月の労働時間数はこれまで通りです。

 

以前

これから

所定労働日数

21日

21日(早番4日、普通13日、遅番4日)

所定労働時間

168時間

168時間

 

このようにした結果、9時半から午前中のメイン活動にはその日に出勤する6時間、8時間、10時間すべての職員の配置が可能になります。

毎月の勤務表は、前月末日までに職員に提示します。勤務表の作成に当たっては週(日曜から土曜)に1日の休日を確保しながら、各月で決めた6時間、8時間、10時間の日数を労働日とします。

 

この運用を始めた園長先生にお伺いしました。

 

午前中に職員の手厚い配置が可能になり、子供への配慮が行き届き、子供の意欲にこたえる保育ができるようになりました。「メイン活動の充実」を実感することが出来ています。また育成担当職員に余裕が出来、OJTによる育成に成果が出始めました。当初は10時間労働になる日の仕事ぶりが心配でしたが、時間が長いことをうまく利用して計画的に業務を進めたり、行事の準備に取組む姿が見られ、心配は杞憂に終わってくれました。13時で勤務終了となる早番の日は休憩時間が無い為、拘束時間が短いので、職員はワークライフバランスを活かし、趣味や習い事を始めた職員もいたり、概ね職員にも好評のようです。

Q、弊社では各事業所の責任者(所長)である管理者は、労基法上の管理監督者としての扱いで、残業代や休日労働の手当を支給していません。ただ、遅刻、早退、欠勤があった場合には、一般社員と同様に給与を減額しています。管理監督者の扱いに関してこの方法で問題ないでしょうか?

A 労働基準法41条の除外規定として、労基法上の管理監督者は深夜業務を除く、労働時間に関する規定は適用されないと定めています。まずは、労基法上の管理監督者とはどのよう方を指すのかを確認しておきたいと思います。ここでいう、「管理監督者」とは下記の要件を全て満たす方を指します。

 

 

 

 

 

 

 

これらの3点を、勤務の実態として適用されている必要があります。単に役職名では判断できません。つまり休日、時間外労働の規制をうけない「管理監督者」に該当するかどうかは、具体的な権限や給与、勤務実態で判断が必要ということになります。

例えば、多くの介護事業所ではシフト勤務で勤怠管理を行っていますが、常態として勤務シフトに入っている働き方をしているような管理者がいた場合、勤務時間の自由裁量がないと判断され、管理監督者ではなく、一般社員とみなされる可能性もあります。

先ほど、管理監督者に該当するか否かを判断するときに、単に役職名での判断ではなく、勤務の実態で判断しなければならないとしましたが、多くの介護事業では職責(役職)で、それを判断している場合が多い上に、介護保険制度における「管理者」と労基法における管理監督者を混同してしまうケースもあるので注意が必要です。一般的には、理事長、社長、施設長、事業所長、事務長くらいまでの立場の方がそれに該当するケースが多いと考えられます。もし、それ以下の役職の方(例えば、主任、副主任やリーダー等)を管理監督者の扱いにして残業代などを支給していない場合は、一度、その方の業務や給与の実態を確認してみる必要があると思います。その結果、管理監督職に該当しない方に、残業手当等を支給していない場合には、労基署からは残業代未払いの扱いとして、「3年間分を遡及して」支払うといった是正勧告を受けるリスクがあります。

 

 2,また、管理監督者には残業代は支給されませんが、勤務時間管理自体は必要となります。これは、給与計算上の必要性ではなく、管理監督者の健康管理の問題によるものです。管理監督者はその責任の重さから、過重労働になってしまうケースは相変わらず多く、それが深刻化するとメンタル疾患につながる場合も見られます。従って、経営者や人事担当者は

  管理監督者の労働時間には常に注意を払い、管理監督者の健康管理に十分注意することが重要です。

 

 3,さて、今回ご質問のあった管理監督者における遅刻・早退・欠勤に関する給与の扱い

についてですが、その方が管理監督者に該当することを前提とした場合に、先述の要件

の「勤務時間の自由裁量」の点が問題になります。

  つまり、管理監督者は勤務時間に裁量が認められていることから、始業時刻から遅れて

出社(遅刻)しても給与減額扱いにはなりませんし、また終業時刻より遅くなっても残

業手当はつかないことになります。

ただ、欠勤の扱いにつきましては、管理監督者であっても「就業義務」自体はありますので、その義務が果たされない場合に該当すると判断され、給与も欠勤控除として減額することになります。

 

Q、事務処理時間の簡便化のために、特定職員の残業代を定額支給にしていますが、職員から実際の残業にみあった金額が支給されているのか疑問の声が上がっています。医師の給与についても残業代を含めた年俸制で支給していますが、現状に何か問題があるでしょうか。

A, 残業代の定額支給は法令違反を招きやすいだけでなく、長時間労働の温床にもなりやすいものです。医師の年俸制の問題も、労働時間の管理方法とともに見直すべき課題の一つです。

サービス残業が発生してしまう要因の一つに、「固定残業代」の問題があります。例えば、月給30万円、40時間分の残業代を含む、というように、割増残業を毎月定額手当として支給するもので、労働基準法上認められた制度です。

固定残業代は本来、事務処理の簡便化のために認められた制度です。残業時間がゼロの人にも40時間分まるまる支給されるため、仕事のできる人と、できない人の不公平感をなくす意味もありました。しかし、定額40時間分を超えた労働時間分は、割増分を支払うことになるため、定額支給にしたところで労働時間を把握する必要があり、それほどのメリットのある制度ではありません。結果的に50時間残業しても40時間の定額分しか支給されないなどサービス残業の温床になっています。

事務スタッフの少ない医療機関でも導入しているケースがありますが、「ダラダラ残業を招く」といった弊害を招くこともあります。

 例えばある整形外科病院では、理学療法士に対して、残業代を30時間の定額制で支給していました。ところが、残業をした時間分だけ支給額が増える本来のやり方ではないので、

残業時間に関する意識が薄れ、中には「どうせ残業代がでないから」と間違った認識でダラダラと居残る職員が増えてしまいました。そのためこの病院では固定残業代を廃止して、タイムカードと時間外勤務申請を併用して厳格に労働時間を管理する方法に改めました。結果的に、固定残業を廃止したことで、残業時間は15時間ほどに半減したといいます。

 残業代の定額支給の問題は、高額の年俸制で支給される医師の給与でもたびたび問題視されます。最近、医師の年俸に残業代が含まれているかが争われた裁判では、最高裁は「含まれていない」と判示したケースもあります(H29年7月7日)「残業代と基本給を区別できない場合には残業代が支払われたとはいえない」として無効と判断されました。

 この最高裁判決は、残業代の区分が不明確な給与の支払い方法は例外なく認められないとの立場を鮮明にし、労働基準法の立場を遵守するよう管理者に求めたもので、医師の労務管理にも少なからず影響を与えそうです。

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