保育

保育事業所様向け情報(労務)3月号④

業務災害にもなりうる新型コロナへの感染と労働者死傷病報告の提出

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大が続く中、業務中に新型コロナに感染する事例が見受けられます。このようなときは、業務災害として労災保険の給付の対象となります。ここでは労災認定の事例を取り上げるとともに、業務災害として休業が発生したときに提出が必要な労働者死傷病報告について確認します。

1.労災請求件

厚生労働省が公表している新型コロナに関する労災請求件数は、2021年1月29日現在で3,836件となり、そのうち1,912件について支給決定が行われています。

これを業種別で確認すると、8割近くが医療従事者等の請求となっているものの、その他の業種でも請求が行われ、支給決定されています。

厚生労働省が挙げている労災認定事例では、飲食店店員について以下のような判断により支給決定がされています。

飲食店店員のAさんは、店内での業務に従事していたが、新型コロナウイルス感染者が店舗に来店していたことが確認されたことから、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。

労働基準監督署における調査の結果、Aさん以外にも同時期に複数の同僚労働者の感染が確認され、クラスターが発生したと認められた。

以上の経過から、Aさんは新型コロナウイルスに感染しており、感染経路が特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたことから、支給決定された。

このように、状況によっては医療従事者等以外であっても、業務災害として認められることがあります。

2.労働者死傷病報告の提出

業務災害により休業した場合には、労働者死傷病報告の提出が必要です。業務中に新型コロナに感染・発症して休業した場合でも同様であり、遅滞なく、事業場を所轄する労働基準監督署に提出する必要があります。

この際、労働者死傷病報告(様式第23号)の傷病名には「新型コロナウイルス感染による肺炎」と記入し、「災害の発生状況及び原因」欄には、感染から発症までの経緯を簡潔に記入します。また、発生日時は陽性判定日ではなく、傷病の症状が現れた日付を記入します。

会社で感染対策を十分に行っていても、特に不特定多数の人と関わるような業務では、新型コロナに感染する可能性があります。新型コロナの感染者が発生した際には、会社としても感染原因、感染経路、発症日、症状等を明確に把握するとともに、必要に応じ業務災害としての申請を行う必要があります。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)3月号③

2021年4月より変わる36協定届の様式

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長

当社では36協定を4月1日からの1年間で締結しており、届出を3月中に行う予定です。4月より36協定届(時間外・休日労働に関する協定届)の様式が変更になると聞きましたが、新様式と旧様式のどちらで届け出ればよいのでしょうか?

社労士

3月中に届出を行うのであれば、原則として旧様式を使うことになります。今回、どちらの様式を使うのかは、届出日が改正後の労働基準法施行規則の施行日である2021年4月1日の前であるか、後であるかで判断します。

総務部長

なるほど。届出日がポイントですね。

社労士

ただし、新様式でも届け出ることを妨げるものではないとされています。ここで、今回の新様式で変更になった点をお伝えしましょう。変更点は2点あり、1点目が押印・署名が廃止されたことで、2点目が36協定の協定当事者に関するチェックボックスが新設されたことです。

総務部長

この押印・署名の廃止は、行政手続きにおいて押印廃止が進められていることの一つですね。

社労士

はい。押印・署名が廃止されますが、記名をする必要はあります。一方、36協定の協定当事者に関するチェックボックスについては、労働者の過半数代表者が適切に選任されていない状況が一部でみられることから、適切な選任となっているかを確認するために設けられました。具体的には過半数代表者が、事業場のすべての労働者の過半数を代表する者であること(※)と、管理監督者ではなく使用者の意向に基づき選任された者ではないことについて、2つのチェックボックスが設けられています。
※過半数労働組合の場合には事業場のすべての労働者の過半数で組織する労働組合であること

総務部長

なるほど。

社労士

これら2点の変更があるものの、3月中に新様式を使って届出をする場合は、このチェックボックスにチェックをする必要はありませんが、押印・署名は原則必要となります。よって今回については旧様式を使い、2022年4月からの36協定届では新様式を使う方がよさそうですね。

【ワンポイントアドバイス】
1. 2021年4月より36協定届の様式が変更され、押印・署名が廃止となり、36協定の協定当事者に関するチェックボックスが新設された。
2. 2021年4月1日以降の期間を対象とした36協定届は、原則として届出日が2021年3月31日までは旧様式、2021年4月1日以降は新様式を使う。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)3月号②

66歳以上まで働ける制度のある企業は全体の3分の1に

4月より改正高年齢者雇用安定法が施行され、70歳までの就業機会確保の努力義務がスタートします。この改正法への対応を検討するにあたり、現在の高年齢者の雇用制度の状況について、厚生労働省が公表した令和2年「高年齢者の雇用状況」集計結果(以下、「結果」という)の内容を確認しておきましょう。

1.66歳以上まで働ける制度のある企業

企業には、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況を厚生労働大臣に報告する義務があります。今回の結果は、この雇用状況を報告した従業員31人以上の企業164,151社についてまとめたものです。集計においては、従業員31人~300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」としています。

まず、66歳以上まで働ける制度のある企業は54,802社で、前年より5,164社増加し、報告したすべての企業の33.4%を占めています。企業規模別にみると、中小企業は49,985社で前年より4,593社増加し、報告した中小企業の34.0%、大企業は4,817社で前年より571社増加し、報告した大企業の28.2%を占めています。実に3分の1の企業で、66歳以上まで働ける制度があるという状況になっています。

この66歳以上まで働ける制度のある企業の状況をより詳しくみると、基準該当者を66歳以上まで継続雇用する制度(基準該当者継続雇用制度)または希望者全員を66歳以上まで継続雇用する制度(希望者全員継続雇用制度)を導入している割合が高くなっています(下図参照)。

2.70歳以上まで働ける制度のある企業の状況

70歳以上まで働ける制度のある企業は51,633社で前年より4,975社増加し、報告したすべての企業の31.5%を占めています。これを企業規模別にみると、中小企業では47,172社で前年より4,427社増加し、報告した中小企業の32.1%、大企業では4,461社で前年より548社増加し、報告した大企業の26.1%を占めています。

このように66歳以降も働ける制度のある企業は増えており、年齢に関わらず人材を活用していこうという動きがみられます。

今回、70歳までの就業機会確保の努力義務がスタートすることに伴い、定年の引上げや65歳以降の雇用について検討される企業もあるでしょう。今後、検討をされる中でお困りごとがございましたら、当事務所までご連絡ください。

(次号に続く)

保育事業者様向け情報(労務)3月号①

マイナンバーカードの2021年3月からの健康保険証利用

全国のマイナンバーカードの交付状況は、2021年1月1日現在、全国で24.2%となっています。まだ交付率は低いものの、2021年3月からはマイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになり、マイナンバーカードの活用の場が広がります。そこで、実際にマイナンバーカードを健康保険証として利用する場合のメリット等を確認しておきましょう。

1. 健康保険証利用のメリット

マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関や薬局(以下、「医療機関等」という)には、「マイナ受付」に対応しているとしてステッカーやポスターが掲示されます。そのような医療機関等では、顔認証付きカードリーダーが用意され、顔認証で本人確認と保険資格の確認が実施されます(暗証番号の入力でも可能)。これによりスムースな受付になると予想されます。

また、医療費が高額となるときに利用できる高額療養費に関する手続きについて、マイナンバーカードの利用により、オンライン資格確認等システムで情報が取得できることになり、支払い後の高額療養費の請求や、受診前の限度額適用認定証の発行の手続きを行わずとも、医療機関等の窓口での限度額を超える支払いをする必要がなくなります。

その他、マイナポータルからe-Taxに連携することになるため、医療費の領収書を保管することなく確定申告ができることになります。

2. 健康保険証として利用するための手続き

マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、マイナンバーカードの交付を受けた後に、利用者本人がマイナポータルで申し込む必要があります。マイナンバーカードを健康保険証として利用するにあたり、会社が手続きすべきことはありません。

なお、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになるものの、健康保険証自体がなくなるわけではなく、2021年3月以降も従来通り健康保険証を使った受診が可能です。

また、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる手続きを行った後でも、医療機関等にマイナンバーカードを持っていくことを忘れた場合等には、健康保険証を提示することで被保険者等の資格確認が行われます。

2021年3月時点で、すべての医療機関等においてマイナンバーカードを健康保険証として利用できるわけではありませんが、厚生労働省は医療機関等がシステム整備を行う際の支援
をしており、2023年3月末には概ねすべての医療機関等での導入を目指すこととしています。政府は今後、マイナンバーカードの機能を拡大していく予定であり、従業員から問い合わせがあった際にはメリットを説明の上、手続きを勧めてもよいでしょう。

(次号に続く)

【介護・保育】人財定着ブログⅣ4月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは㉒ 」

【介護・保育】人材定着ブログ3月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは㉑」

の続きです。

今回も評価者に是非、知っておいてほしい評価者の心構えと留意点についてお伝えしたいと思います。前号にて評価者エラーの「ハロー効果」と「寛大化傾向」についてお伝えいたしました。今月号は引き続き評価者エラーにおける「中心化傾向」「厳格化傾向」「論理的誤差」「その他留意点」等についてお伝えいたします。

 

1,「中心化傾向」に注意する 

  ①部下全体の評価結果が評価段階の中央部分に偏ったり、部下個人の各考課項目の評価がB評価ばかりになってしまい、優劣の差が少ない評価となることを中心化傾向という。下記のような場合に起こりやすいエラーです。

・考課者が自分の評価に自信がない場合

 ・考課結果に差をつけることをためらう(意識的・無意識的に)

 ・厳しい評価は、部下の反発にあうのではないかと考える

 ・被考課者に直接指示を出しているわけではないので、よくわからない

②対応策

・部下の日常の仕事振り・行動・発言などをなるべく具体的に観察・記録し考課項目の

選択時に迷わないように整理しておくこと。

 ・部下を指導・育成することが管理者の重要な役割であり、そのためには部下の強み・

弱みを公正に把握・評価することが前提となることを認識

・評価に迷いがある場合は考課者間ですり合わせをし基準を共有化すること。

 ・他のメンバーの監督下にある場合は、監督者から逐次報告を受けること。

2,「厳格化傾向」に注意する

 ①被考課者に対する感情がマイナスに作用する傾向であり、日頃の思いが辛い評価と

して表れる。厳格化傾向が働くのは、日頃管理者が特定の部下の態度や素行に否定的な感情を抱いている場合に発生しやすい。

 ② 対応策

 ・被考課者に対する感情や先入観は人事考課の公正さを失わせる事を認識する

 ・被考課者の成果、仕事を具体的に記録し、事実に基づいた評価を行う

 ・全体的な印象評価は行わず、考課要素毎に分析的な評価を行う

 ・辛い評価は、部下のモチベーションを低下させる場合があることを認識する。

3,自己投影型・対比誤差(自分と比較して考える傾向)に注意する。

 ①考課者が部下の中に自分との類似性や非類似性を発見し、自分自身を評価の基準としてしまうこと

人間は、一般的に他人が自分と同じような行動や意見や価値観をもっていると、

  その人に好意を抱く傾向があります。このため、部下が自分に似ている行動や、

  意見を言ったりすると、自分と価値基準が合っていると感じ、その人を優れている

  と高く評価し、反対に行動・意見・価値観が異なっていると低く評価しがちです。

 

   また、自分に自信のある得意分野や高い専門性を有する分野に関しては、自分と比較して、相手を厳しく評価し、逆に自信の無い分野の場合は評価が甘くなる傾向にあります。

 ② 対応策

・部下の現在の等級段階の社員だと、会社は標準的にどの程度の仕事や能力を期待しているのだろうかということを強く意識する。そして、管理者としてそれに相応しいレベルの期待をし、指示した仕事の内容やそのレベル、行動、能力を明確にする。自分のレベルと比較しないで、あくまで標準レベルに対して評価する。

 ・人の考え方や行動パターンは一見同じように見えても、よく観察すると実は1つ1つ

  は異なっていることを十分理解し、事実だけを客観的に評価するように心がける。

4,論理的誤差(項目を関連付ける傾向)に注意する。

 ①考課を行う際、考課基準表にそって各項目を順番に評価していくと、前に評価した項目との相互間に論理的な関係があると思い込んでしまい、関係ある前の項目と同じ評価でないと論理的におかしいと考えてしまう評価傾向

  ○さんの理解力はBで、判断力はSとなっているが、よく考えると理解力が低いのに、判断力が高くなるはずが無いと思い直してさんの判断力の評価をSからBに変えてしまい、同様に他の部下の評価も変更してしまうようなケース

 ② 対応策

 ・考課項目は一つ一つ独立したものだと考え、観察・記録した内容を1つの事実として素直に評価する態度で臨み、理屈を考えすぎない。

 ・人の行動面とその結果は必ずしも一致するとは限らないことを理解する(まじめな勤務態度の部下が高い業績を上げるとは限らない)

 ・評価終了後、改めて部下全員の評価結果を点検し,多くの部下の特定の考課項目の相互間に同じ評価をする傾向が生じていないか自己チェックしてみる。

5,その他の留意点

 ①評価対象期間外に生じた事実は考慮しない

「以前こうだったから、今もこうだ」という見方はしないこと。

②職務外の行動は考慮しない

私生活上の問題や職務行動を離れた個人的なつきあいなどを評価しないこと。

③短絡的な結びつけをしない

評価者の頭の中で、一見論理的に関係ある事柄を短絡的に結びつけがちであるが、事実は個々に見ること。例えば、「勤続が長いから熟練度が高いはずだ」というような見方は避ける。

④属人的な要素は考慮しない

勤続年数、経験年数、年齢、男女、学歴等は一切考慮しない。

⑤逆算化傾向を避ける

予め評価点(結果)を想定して、そうなるように部下を評価しない。人事評価は全て事実に基づいた結果・能力の発揮度を評価する。

⑥時間と心にゆとりを持つ

十分な時間的余裕を持って、心身共にゆとりのある状態のもとで集中的に行う。評価中に別の用事をしたり、他人と話し合ったりすると評価がブレるもととなります。

 

さて、次回は評価結果を被評価者につたえる「フィードバック面談」についてお伝する予定です。

 

【介護・保育】人材定着ブログ3月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは㉑」

【介護・保育】人材定着ブログ1月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑳」

の続きです。

 

今回は評価者に是非、知っておいてほしい評価者の心構えと留意点についてお伝えしたいと思います。評価をするにもぜひ知っておかなければならない基本的なルールや、自ら気を付けなくればならない「評価者のクセ(エラー)」などがあります。それらを知識として知ったうえで実際の評価を行うのと、全く知らないで評価を行う場合とでは、結果に大きな差が生じますので、事前に評価者研修などを受講いただいた上で、評価に入っていただきたいと思います。

1、評価者の心構え

 評価スキルを学ぶ前に、大前提として評価者に持っていただきたい「心構え」についてをお伝えいたします。

(1)人事評価の制度内容、仕組を十分に理解していること。

(2)部下の育成が最大の目的であることを理解していること。

  部下の昇給や昇格を念頭に置いた評価をしないこと。

(3)部下と面談(コミュニケーション)の機会を多くもつこと。

  部下に対して期待していることを明示すること。

(4)人物評価でなく、事実に基づいて評価すること。

  部下の行動を観察し、事実を記録すること。

(5)管理者として自らのマネジメント能力を磨くこと。

  部下の能力を的確に把握し、職務(等級)にふさわしい仕事を与え、情報を提供し、

  指示・命令を出し、権限を委譲し、適切な支援を行うこと。

 

 

2、「評価エラー」に関する留意点

 次の項目は評価者がよくやってしまう「評価エラー」と言われるもので、まずはそのパターンをご紹介するととともにその対応策も含めてお伝えいたします。

 (1)「ハロー効果」に注意する(先入観や印象で評価しない)

  ①全体的印象ハロー効果

   部下の人物・行動の全体から受ける印象や、いったん自分の頭の中で作り上げて

   しまった部下の全体評価を先入観として持ってしまい、この全体的印象が強いため、

   無意識の内に、部分部分の特性の評価を歪めてしまうこと。

②部分的印象ハロー効果

   部下の何か一つまたはいくつかの特性に際立って優れた点があり、これに対して

   「優秀である」「高度である」と強い印象を持ってしまうと、他に劣っている特性

があっても、全体として「優秀」「高度」であると歪んだ評価をしてしまう傾向

   (例えば売上成績が良いと販売促進企画も開拓力もクレーム処理もすべて良いと

    判断してしまう場合等)

  ③対応策

   ・考課項目一つ一つの意味を正確に理解し、項目ごとに事実情報・記録を確認しな

    がら評価する

   ・全体的印象や部分的印象にとらわれていないかを絶えず自問自答しつつ、部下を

    分析的に様々な角度から観察し、評価するように努めること。

 (2)「寛大化傾向」に注意する

所謂、評価が相対的に「甘く」なってしまう傾向です。

①このエラーが起こりやすいケース

・日頃一緒に仕事をしている部下に対して、「厳しい評価をして恨まれたくない」

   「次に厳しい仕事の指示がしづらくなる」「評価について、部下から文句をつけ

   られたら煩わしい,説明できない」「部下に良い顔を見せておきたい」などの

   気持ちが働く場合

 ・日頃から公私にわたって親しく付き合っている部下、特に仕事上で頼りにして

  いる部下、自分が理解できない難しそうな仕事をしている部下を評価する場合

 ・部下が昇進・昇格の候補年次に近づいて来た時、上司として「何とかあの人を

  昇進させたい」という思いにとらわれた場合

 ・自分の職場の部下を他の職場の者より「賞与を多くしたい」「早く昇格させたい」

  などの競争意識が働く場合

 ②対応策

 ・部下それぞれに期待されるレベルに相応しい目標・課題を与える

  (職務基準や職能要件等がある場合、期待基準に照らして評価する)

 ・曖昧な印象や思惑を排して、考課項目ごとに、観察・記録した具体的事実に

   基づいて評価する姿勢に徹すること。

 ・人事考課の重要な目的の一つが、部下の問題点を正しく捉え、これを指導・育成

   に結びつけるための情報収集の手段であるという認識を深めること。

 

保育事業所様向け情報(労務)2月号③

テレワークを導入する際の流れや留意点

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の拡大防止の観点から緊急的にテレワークを導入したのですが、うまく進んでないように感じています。ゼロから考え直したいと思うのですが、どのように進めればよいのでしょうか。

社労士:

御社同様に、テレワークを導入したものの運用で課題が出てとりやめた企業も多いようです。一方で、厚生労働省は感染症対策としてテレワークの実施を推奨しており、その流れとして①実施に向けての検討(業務の切り出し・対象者の選定・費用負担)、②セキュリティのチェック、③ルールの確認(労務管理)、④作業環境のチェックの4つにまとめています。

総務部長:

当社は、社内で行っていた業務が自宅でもできるように、パソコンを自宅に持ち帰り、自宅のインターネット環境に接続することで在宅勤務を進めてきました。確かに、テレワークに適した業務かの確認は行わず、また、インターネット環境も自宅で整っている前提で進めていました。

社労士:

テレワークに適した業務と会社に出社して行った方がよい業務、これに加え、何らかの工夫をすることでテレワークに適した業務に変わる業務があると思います。例えば紙で保存していたものをクラウドに保存したり、Web会議システムを導入すること等、考えるべきポイントがありそうです。

総務部長:

確かにそうですね。全員一律に「週3日はテレワークをすること」と指示を出しましたが、業務内容によってはテレワークが適さない従業員もいます。また、インターネット環境の調査をしませんでしたが、従業員やその家族が契約しているインターネット環境を使うこととしても、ウイルス対策ソフトのアップデート等、セキュリティ面の注意が必要になりますね。

社労士:

そうですね。テレワークでは通常、従業員の働いている状況が見えないため、コミュニケーションの量も質も低下し、また、労働時間の管理もあいまいになりがちです。こちらもクラウドの勤怠管理システムを導入し、自宅でも打刻できるようにするといった工夫が必要になるのでしょう。

総務部長:

ところで、「④作業環境のチェック」ではどのようなことに注意するのでしょうか。

社労士:

自宅の温度や湿度、照明の状況や、机の高さや椅子の座り心地等、多岐にわたります。先ほどのインターネット環境も含め、テレワークを実施することで発生する費用もありますので、これを労使のいずれが、どの程度負担するかということも決めておく必要がありますね。

【ワンポイントアドバイス】
1. テレワークを導入するときには、運用面の検討を行う必要がある。
2. テレワークを実施することにより発生する費用の負担は、事前に取り決めが必要となる。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)2月号②

厚生労働省が公開する新型コロナの拡大防止チェックリスト

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の収束が見えない中、職場等で感染拡大防止策を確実に実践することが求められています。厚生労働省では、以前より「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」(以下、「チェックリスト」という)をホームページで公開していますが、2020年11月には、冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法に係るチェック項目を追加する等の改訂が行われています。以下では、このチェックリストの中から、「換気の悪い密閉空間の改善」と「多くの人が密集する場所の改善」の2点について確認しておきましょう。

1.換気の悪い密閉空間の改善

  • 職場の建物が機械換気(空気調和設備、機械換気設備)の場合、建築物衛生法令の空気環境の基準が満たされている(ただし、温度は18℃以上に維持することが望ましい)。
  • 職場の建物の窓が開く場合、リーフレット「冬場における『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」で推奨する方法により、居室の温度18℃以上かつ相対湿度40%以上を維持しつつ、窓を開けて適切に換気を行っている(HEPAフィルタ付き空気清浄機の適切な活用を含む)。
  • 電車等の公共交通機関の利用に際し、窓開けに協力するよう全員に周知している。

2.多くの人が密集する場所の改善

  • 業態に応じて可能な範囲で出勤を抑制するように努めている。
  • 電車やバス等での他人との密着を防ぐため、時差通勤、自転車通勤、自家用車通勤などの活用を図っている。
  • テレビ会議やWeb会議の活用等により、人が集まる形での会議等をなるべく避けるようにしている。
  • 対面での会議やミーティング等を行う場合は、マスクの着用を原則とし、人と人の間隔をできるだけ2m(最低1m)空け、可能な限り真正を避けるようにしている。
  • 接客業等において、人と人が近距離で対面することが避けられない場所は、労働者にマスクを着用させ、人と人の間にアクリル板、不燃性透明ビニールカーテンなどで遮蔽するようにしている。
  • 職場外(バスの移動等)でもマスクの着用や換気、人との間隔を取る等、三つの密を回避するよう努めることとしている。

このチェックリストは、当初公開されたものから環境の変化等により、内容が更新されています。三密の回避等、当初からの防止策に加え、必要な防止策が加えられていますので、以前確認された場合も含め、最新版を厚生労働省のホームページからダウンロードして確認してみてください。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)2月号①

在籍型出向による雇用維持支援と産業雇用安定助成金(仮称)

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大は未だ収束の目途も付かず、企業における従業員雇用の維持も厳しい局面を迎えつつあります。そのような中、国は在籍型出向の活用による雇用維持への支援と産業雇用安定助成金(仮称)の創設を予定しており、2020年12月にその概要資料が公表されました。これらは第三次補正予算の成立、厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点ではあくまで予定に留まりますが、動きを確認しておきましょう。

1.在籍型出向の活用による雇用維持への支援

在籍型出向の活用としては、出向元と出向先双方の企業を支援する新たな助成制度を創設し、産業雇用安定センターによるマッチング体制を強化する等、新型コロナの影響により一時的に雇用過剰となった企業が従業員の雇用を守るため、人手不足等の企業との間で在籍型出向(雇用シェアリング)により雇用維持する取組みへの支援が行われます。対策のポイントとして、以下の内容が挙げられています。

  1. 全国および都道府県協議会の設置・運営等による雇用シェアリングの情報連携や理解促進
  2. 自治体等が運営するマッチングサイトや労使団体・業界団体等が保有する出向に関する情報と産業雇用安定センターが連携したマッチング支援体制の強化
  3. 在籍型出向を支援するため、出向元・出向先双方に対する助成金の創設による企業へのインセンティブの付与

2.産業雇用安定助成金(仮称)の創設

在籍型出向を支援するため、出向元と出向先双方に対するインセンティブとして、産業雇用安定助成金(仮称)が創設される予定です。助成金の内容は対象労働者に係る以下の2種類の経費について、出向元事業主と出向先事業主とが共同事業主として支給申請を行い、その申請に基づきそれぞれの事業主へ支給されるものです。なお、申請手続きは出向元事業主が行うことになる予定です。

①出向運営経費

出向運営経費は、労働者(雇用保険被保険者)を在籍型出向により送り出す事業主とその労働者を受け入れる事業主に対して、賃金、教育訓練、労務管理に関する調整経費等、出向中に要する経費の一部が助成されるものです(表1参照)。

②出向初期経費

出向初期経費は、労働者(雇用保険被保険者)を在籍型出向により送り出す事業主とその労働者を受け入れる事業主に対して、就業規則や出向契約書の整備費用、出向に際して出向元であらかじめ行う教育訓練、出向先が出向者を受け入れるために用意する機器や備品等、出向に要する初期経費が助成されるものです(表2参照)。

正式な決定はまもなく行われる予定ですので、必要に応じ今回とり上げたような出向での雇用維持や出向での人材確保をご検討ください。

※2021年1月12日時点の情報です。

(次号に続く)

【介護・保育】人材定着ブログ2月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑳」

【介護・保育】人材定着ブログ1月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑲」

の続きです。

評価者への教育・指導における3つのポイント

 

1、評価の目的を理解しているか

冒頭でも述べたとおり、管理者の日常は概ね多忙な状況です。そんな状況において、評価が「やらされている」感でやっているだけで、単なる作業になってしまっていては、決して良い評価にはならないはずです。

そうならない為にも、「何のために評価を行っているのか」という意識を明確にもちながら行っていくことはとても重要なことです。評価者や被評価者にそれを聞いてみると、その答えとして、よく聞かれるのが給与や賞与を決めるため、というものです。評価が良い人とそうではない人では、確かに給与には少なからず影響を与えます。しかし、それは結果であって目的ではないはずです。目的を何に置くのか、それによって、評価すべき内容(評価項目)も変わります。目的を社員の処遇や職員の選別に置く場合の評価は、あえて答えられないような質問をしたり、現場ではあまり知らないような奇問のような評価になるかもしれません。一方で、評価の目的を「職員の育成」と考えたなら職員の成長につながるような評価項目が中心になるはずです。そこには業務遂行上のスキルアップだけでなく、一人の人間として成長も期待できような評価制度や面談制度にする必要があるでしょう。そして何より、評価する側も評価される側も前向きにそれを捉えて推進してゆくことが期待できます。このことは、最初は多くの評価者が認識して評価を始めるものの、しばらく時間が経過すると忘れてしまい、目の前のことが業務の中心になってしまいがちなので、施設長などの上位職者は、評価の目的意識を促し目的に沿った行動を指導していく必要があります。

 

2、評価へのパワーバランスがポイント

 評価のパワーバランス、つまり年間の評価スケジュールにおいて「力のかけ方」についてです。評価のステップとして多くの場合、下記のようになっているのではないでしょうか。

1ステップ:目標設定⇒第2ステップ:評価期間の観察⇒第3ステップ:評価する(評点)この3つのステップがある場合、どのステップにどれくらいのパワーをかけているのかがとても重要になります。多くの場合、圧倒的にパワーをかけるのは、第3ステップの評価(評点)ではないでしょうか。決められたスケジュールから、上位職からの指示で〇月●日までに点数をつけて提出しなければならない、ということになって始めて評価(評点)をつけ始め、数日間で評価を終え提出するというパターンです。この場合のパワーのかけ方をイメージ言えば、第1ステップ20%、第2ステップ0%、第3ステップ80%程度でしょうか。問題は、もっとの大切な観察期間に、ほとんど評価のことは忘れている状況で、いきなり第3ステップで必死に日ごろの業務を思い出し、評点にパワーと時間をかけるという状態です。このようなやり方では、被評価者はフィードバックを受けても納得できる説明が

できるでしょうか。普段の業務をしっかり観て、その事実を評価することで、被評価者に納得が生まれるものです。理想のパワーバランスは、ステップごとのイメージでいえば、第1ステップ20%、第2ステップ70%、第3ステップ10%ぐらいだと思います。このことは、わかっていても、なかなか日頃の職場で実践出来できていない状況ではないかと思います。日常は、目の前に迫った業務で目いっぱいという状況の中で、どうすればできるようになるのか。

そこで必要なのは、観察期間を途中でチェックする仕組みではないかと思います。多忙な現場の中では、「日頃の評価をしっかりやりなさい」とか「評価するつもりがあるのか」と上位職が叱咤激励しても、それは精神論で終わってしまうことが多いものと思います。それを補う仕組みとして、行っているか、いないかを、こまめにチェックする仕組みを導入する、つまりやらざるを得ない状況に置く事が必要なのです。どのような仕組みならば定着するのか。これには職場ごとで、いろいろな方法があるものと思いますので、各職場で現実的な方法を考えて頂きたいと思います。今まで見てきた事例の多くは定期面談の実施です。毎月、隔月、3カ月に一度・・いろいろなパターンがありますが、大切なことは、仕組にして内容を提出させることです。もちろん最も大切なことは、面談の中身であることは当然ですが、中身を充実させる前にまずは、「形」を創ること。そしてそれを定期的に行う習慣が出来れば、自然と中身も充実してきます。最初は抵抗感が大きくても、徐々に浸透していっているように多くの施設を見ていて感じます。今まで評価を行っていなかった施設は、従来と比べると管理者に負荷がかかってくることはやもおえません。ただ、同じ負荷をかけるなら、目的にあった方法で貴重な時間とパワーをかけながら行っていくことがとても大切なことなのではなるものと思います。

 

3、評価者スキルを学ぶ

評価者自体は日常的な業務ではないので、スキルといってもなかなか習慣にするのは難しいことです。そこには、評価スキルといった評価のコツを評価者は身につけて置く必要があります。次回には、評価者に必要な評価スキルをご紹介いたします。

                                   以上

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