保育

処遇改善加算Ⅱを園経営に活かす

国が処遇改善加算を実施する目的は「職員の質の向上を図り、質の高い教育・保育を安定的に供給する・・・」であることをご存知でしょうか?つまり、この目的に沿った導入を考えていくことが必要となります。その視点としては、「法人理念」や「保育目標・特色」に基づき、「組織づくり」と「人材育成」といった、園長先生の人材マネジメントを考えていくことが必要になるのではないでしょうか。そして、処遇改善加算Ⅱの制度を園に活かして
それぞれの園が目指す質の高い保育を実現してほしいと思います。
 まずは、今後の園の組織の大枠を形にして、園長先生が思い描く構想を確認します。次に
例えば、異年齢保育と発達支援時の受け入れを研究し、推進実現する「乳児リーダー」「幼児リーダー」「発達支援リーダー」などを設け、リーダーごとに保育の再構築のための具体的な職務内容を明文化し、就業規則に明示し、その難易度や業務量に紐づいて手当額を設定していきます。
併せて、各リーダーが、園長の指導の下、主任と連携し、他の職員の協力を得ながら職務を遂行できるような「組織」づくりを目指していくことが必要になります。
すると各リーダーは、新しい体制の中で、それぞれの職務内容に取り組みながら成長もできますし、指導する園長、連携する主任にとっては、職務内容が育成していくうえでの指針となります。まさに「人材育成」です。

次回では、具体的な職務内容の紹介もさせていただきたいと思います。

保育事業者様向け情報(労務)10月号④

入院などで医療費が高額になるときに利用できる限度額適用認定

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士と
その顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:昨日、従業員から「今度、家族が大きな手術をすることになったので、
     医療費負担が高額になりそうです」という相談がありました。
     何かその負担を軽減するよい方法はありませんか。
社労士 :まずは、健康保険の高額療養費ですね。ご家族の年齢や従業員の方の
     標準報酬月額によっても異なりますが、一定の自己負担限度額を超える分は、
     高額療養費の申請をすることで後日、払い戻されます。
総務部長:やはりそうですよね。私も高額療養費の説明をしたのですが、毎月、住宅ローンを
     払っている関係で、一時的にでも医療費を立て替えることに負担を感じるとのこと
     でした。
社労士 :確かに高額療養費の払い戻しは、医療機関等から提出される診療報酬明細書
     (レセプト)の審査を経て行われるため、診療を受けた月から3ヶ月以上
     かかってしまい、その間、立て替える必要があります。ですので、今回のように
     事前に高額療養費に該当するような医療費がかかることが分かっているのであれば、
     限度額適用認定証の発行の手続きをするとよいでしょう。
総務部長:限度額適用認定証ですか?
社労士 :はい。これは、あらかじめ保険者に限度額適用認定証を発行してもらい、
     医療機関の窓口に提示することで、医療機関ごとに1ヶ月の支払額を
     自己負担限度額までとしてもらうことができる制度です。
総務部長:なるほど。自己負担限度額まではいずれにしても支払う必要がありますが、
     それを超える部分の医療費を立て替える必要がなくなるということですね。
     早速、手続きを進めようと思いますが、どのような流れになりますか。
社労士 :限度額適用認定証の申請書を保険者に提出すると、1週間程度で指定した場所に
     限度額適用認定証が届きます。これを医療機関の窓口で提示することになります。
     なお、限度額適用認定証は最長1年間(※)が有効期間となりますが、
     申請書に1年以内の療養予定の期間を記入することになっており、申請月の初日から、
     申請書に記入した期間が有効期間となります。
総務部長:承知しました。それでは早速、説明して手配することにします。
社労士 :そうですね。なお、申請書には会社の証明はありませんので、従業員の方が直接、
     保険者に申請することも可能ですし、自宅以外の場所を送付希望先(※)として
     指定することもできますので、できるだけスムーズな発行ができる手順を考えると
     よいでしょう。
総務部長:ありがとうございました。

【ワンポイントアドバイス】
1. 医療費が高額になるときは、限度額適用認定証を発行することで、医療機関の窓口での
 支払いを自己負担限度額までにすることができる。
2. 限度額適用認定証は最長1年間の有効期間が設けられている(※)。
3. 限度額適用認定証は従業員が希望する場所に送付される(※)。
(※)保険者が健康保険組合の場合には健康保険組合の定めによる。

(11月号に続く)

保育事業者様向け情報(労務)10月号③

労働時間を自己申告制で把握する際の注意点

来春の法改正により、年間720時間以下、単月で100時間未満などを内容とする
時間外労働の上限規制が行われます(中小企業は1年遅れの2020年4月より適用)。
これに向けて時間外労働の多い企業は、時間外労働を減らす取組みが必要となり、
併せて労働時間を適正に把握する方法が重要になります。そこで、今回は労働時
間を自己申告制で把握する際の注意点を確認しておきます。

1.労働基準監督署の指摘事項

2017年度に長時間労働が疑われる事業場に対して実施された労働基準監督署による
監督指導の実施結果を見てみると、指導事項として「実態調査の実施」が挙げられています。
この実態調査の実施とは、2017年1月20日に策定された「労働時間の適正な把握のために
使用者が講ずべき措置に関するカイドライン」(以下、「ガイドライン」という)の
4(3)ウ・エのことで、以下の内容になります。
ウ自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、
必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かる
データを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで
分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、
所要の労働時間の補正をすること。
エ自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に
報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。
その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと
報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の
指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければ
ならないこと。

2.実務上必要な対応策

このガイドラインの内容を踏まえ、例えば定期的にパソコンの使用時間の記録と
自己申告との時間の突き合わせを行い、乖離があるものについては確認を行うなどの
取組みを行うことが求められます。また、休憩時間に休憩が取れずに仕事をしていないか、
自主的な研修といっているが実際は強制参加で、参加しなければ業務に支障が出る研修が
行われていないかなど、実態は労働時間として扱うべき時間が労働時間から除外されて
いないかを点検し、問題があれば取扱いを見直すなどして改善しましょう。
時間外労働の上限規制により、企業が従業員に時間外労働を減らす取組みを命じると、
時間外労働を削減するのではなく、実際に業務を行い労働時間であるにもかかわらず、
業務を行っていないように見せることで、時間外労働の上限時間に抵触しないように
することも見受けられます。
時間外労働の上限規制の一番の目的は過重労働対策であることを、従業員自身が認識し、
業務改善を通して時間外労働の削減に取り組むようにしなければなりません。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)10月号②

[3年連続で大幅な引き上げとなる最低賃金]

1.最低賃金の種類と改定タイミング

賃金については、都道府県ごとにその最低額(最低賃金)が定められており、
企業にはその額以上の賃金を労働者に支払うことが義務付けられています。
この最低賃金には、都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と、
特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の
2種類がありますが、このうち「地域別最低賃金」は、毎年10月頃に
改定されることになっています。
2018年度についても全都道府県の「地域別最低賃金」の改定額が決まりましたので、
確認しておきましょう。

2.2018年度の地域別最低賃金と発効日

2018年度の地域別最低賃金と発効日は、下のリンク先である厚生労働省でご確認ください。
すべての都道府県で24円以上の引き上げとなりました。
近年、大幅な引き上げが続いていますので、最低賃金を下回る金額の従業員がいないか、
確実にチェックしておきましょう。
なお、2017年3月28日に公表された「働き方改革実行計画」では、最低賃金について、
年率3%程度を目途として引き上げ、全国加重平均が1,000円になることを
目指すとされていますので、この引き上げは来年以降も続くことが予想されます。

2018年度の地域別最低賃金と発効日(厚生労働省のHPに飛びます)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)10月号①

[2019年4月より新しい様式となる36協定届]

働き方改革では長時間労働の是正が大きなテーマとなっていますが、
中でも36協定の重要性が高まっています。
今回の法改正を受け、2019年4月より「時間外労働・休日労働に関する協定届」
(以下、36協定)の様式が変更となります。
ここではその変更点について確認しておきましょう。

1.変わる36協定の様式

36協定の新様式を確認すると、これまでの様式から大きく変更されたようには見えませんが、
労働保険番号と法人番号の記載が求められ、36協定で定める時間数にかかわらず、
「時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1箇月について100時間未満でなければならず、
かつ2箇月から6箇月までを平均して80時間を超過しないこと。」というチェックボックスが
設けられました。
また、特別条項を設ける場合と設けない場合の2つの様式が用意されており、
特別条項を設ける場合の様式は、限度時間までの時間を協定する1枚目と特別条項を定める
2枚目の2枚組となっています。
また、特別条項を設ける場合の様式には、これまで特別条項で定める必要があった項目が
整理され、「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」
を定める欄が設けられました。

2.新たに定めることになる健康確保措置

特別条項に追加された「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び
福祉を確保するための措置」には、限度時間を超えて労働する労働者に対する健康確保措置を
記載することになりますが、その内容は次の10項目の中から選択し、番号と具体的内容を
書くことになります。
①労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。
②労働基準法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を
 1箇月について一定回数以内とすること。
③労働時間を延長して労働させる者について終業から始業までに一定時間以上の継続した
 休息時間を確保すること。
④労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。
⑤労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
⑥年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を
 促進すること。
⑦心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。
⑧労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に
 配置転換をすること。
⑨必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による
 保健指導を受けさせること。
⑩その他

特別条項を適用することが想定される労働者にとって、一番望ましい健康確保措置を
考えるとともに、来年に向けて対象者が出た場合の取組みについて、
いまから検討するようにしましょう。

36協定は時間外労働や休日労働を行う際のもっとも基本的な手続きであり、
時間外労働等が発生する前に労働基準監督署へ届出をしなければ労働基準法違反と
なるものです。締結はまだ先になりますが、いまから新様式の内容を確認しておきましょう。

(次号に続く)

【保育】人財育成 ブログ1

人財育成のスタートは「理念」から

多くの法人には理念(「社是」「使命」などと呼ばれている法人もありますが)が制定されているのに、日々の仕事とかけ離れた存在として扱われていることが多いのが実態です。中には「理念で飯が食えるか」といわれる経営者もいることがそれを象徴しています。
しかし、こうは言えます。「理念を覚えて唱和するだけでは何も生まれないが、理念の持つ役割を正しく理解すれば、働く職員が主体的に責務を遂行するようになり、結果として
(経営の本質でもある)環境適応のプロフェッショナルになれる」のです。

「理念とは経営の軸」
理念も数多くの学者によって研究され定義されていますが、共通して言えることは「法人設立の意図や存在意義を示し、経営の目的・方向性を組織や職員に示していくもの」だということです。
理念には変えてはならないもの(伝統)」と「時代に合わせて積極的に対応していくもの(革新)」をきちんと分けて経営に反映させる「ぶれない軸」だと説明しましたが、まさに個人でいう価値観・常識が法人の理念だと考えればわかりやすいでしょう。言い換えれば人にはその人の個性を形成する基盤となる価値観や常識があるように、法人にもその法人の独自性の基盤となるものが「理念」なのです。もし理念が共有されていなければ、働く人は自分の価値観や常識で行動するようになります。ところが価値観や常識は人によって異なるわけですから、それぞれがバラバラの行動をとり、組織として成果が上がることはないのです。
ところで、医療、社会福祉法人は専門性が高く、資格をもった多くの人々で構成せれています。ということは、自分の知識を価値観や常識の共通の基盤とする傾向にあるため部門の壁が生まれやすいことはよくお聞きします。自分の知識で目の前の状況を判断するときに理念のもとで「働くことの意義」や「仕事を行う意味」を徹底的に共有する必要があるからです、理念とは、組織を動かす共通の価値観・常識であるとともに、経営の目的を職員全員に示し、全員の方向性を一つにする役割を果たすものなのです。価値観を共有する際、忘れていけないことがあります。

経営理念をお飾りにしない浸透法
なぜ、経営理念は浸透しないのでしょうか。経営者の方が従業員の立場で考えるのは難しいかもしれませんので、学生時代を思い出してみてください。どこの学校でも「校訓」や「スローガン」などが廊下に掲示されていたはずです。当時、その内容まで覚えていた方はほとんどいないはずです。残念ながら経営理念も同じような扱いになっているのです。つまりほとんどの人にとって「見ている(目に入っている)が気には留めない」対象なのです。素晴らしい内容で本当は共感できるものであったとしても、理念は掲げるだけでは浸透しません。経営理念を浸透させるためには、そのための「工夫、仕掛け」が不可欠なのです。
・・・・次回に続く

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