保育

【介護・保育】人財定着ブログ3月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑨」

【介護・保育】人財定着ブログ2月号~介護・保育 「福祉事業に必要なキャリアパスとは⑧」の続きです。

 

先月号までは「評価制度を効果的に運用するためのポイント」について説明させて頂きました。

今月号では、介護事業所で実際の活用されている人事評価制度の事例を用いて、評価制度を構築していく上でのポイントをご紹介させていただきます。

 

1、評価内容の設計(アウトライン)

評価内容の設計にあたり、留意すべき点として下記の2点について解説いたします。

(1)どんな評価を、誰に向けて、行うのかを決める

評価には成績評価、行動評価(情意)評価、能力評価の3種類があります。各評価の定義、本質、評価方法について下表にまとめてみました。

 

成績評価・行動評価(情意評価)・能力評価の比較

 

成績評価

行動(情意)評価

能力評価

定義

仕事を通じて実現した成果の評価

仕事に対する意欲・取り組み姿勢の評価

担当業務についての遂行能力の評価

本質

結果のみを考慮した評価であって、環境や条件を評価の対象にしてはならない。

仕事を遂行する上でのマインドの評価であり、結果は成績で評価するため、原則考慮しない。

結果のモトとなる本人の業務遂行能力を、結果を通じて評価する。

評価方法

目標設定・評価・面接制度を導入する。

目標の達成度度合いで評価する。

秘めたる意欲は評価しないこと

⇒理念、規範などに照らし具体的にどのような行動を行ったかを評価する。

職能要件書にて、階層別に必要となる職能を明示し、職場での実践状況を踏まえて評価する。

 

上記の評価内容のいずれかを、職員の成長に応じて選択していくことになります。ちなみに弊社は職員を「役職者」と「非役職者」に区分し、導入する評価制度を下記にすることをお勧めしています。

 

 

 

職員の成長段階

能力評価

成績評価

行動評価

役職者

 

非役職者(一般職員)

 

 

つまり、行動評価は役職者、一般職の双方で導入が必要と考えますが、能力評価は一般職における成長過程のプロセス評価として一般職のみに導入し、成果評価は職責に応じた結果評価として、役職者への導入が適しているものと考えております。

 

(2)評価対象者と評価者の設定

評価対象者は当然、法人職員ですが、パート職員、嘱託職員、契約職員などのいわゆる非正規職員まで含めるかどうかを決める必要があります。

正規・非正規というのは働き方の違いであり、利用者からみれば関係のないことです。したがって可能な限り、すべての職員を人事評価の対象として検討してほしいものです。

但し、正規・非正規を全く同じ評価内容・評価方法で行ってしまうと、両者の処遇差があることに合理的な説明がつかなくなる点においては注意が必要です。少なくとも評価項目に差をつけるなど違いに配慮した人事評価が必要です。また、非正規から正規への登用基準としての人事評価の活用も今後、重要な視点になってくるものと思われます。

 

  次回は能力評価の方法について具体例を用いて解説させて頂きます。お楽しみに。

 

ニュースレター臨時号~新型コロナウイルス感染症~②

新型コロナウイルス感染症に関する休業手当の考え方

新型コロナウイルス感染症の広がりを受け、従業員に風邪の症状があったり、感染が疑われるような場合の休業手当の支払い等についての質問を多く受けます。そこでここでは、厚生労働省のホームページに掲載されている企業向けの新型コロナウイルスに関するQ&Aから、休業手当の支払いに関する内容をとり上げます。

1. 発熱などがある従業員

発熱などの症状がある場合、厚生労働省は会社を休むように呼びかけを行っています。その際、新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、従業員が自主的に休む場合は、通常の欠勤と同様の取扱いとなります。

一方、発熱の症状があることのみをもって、企業が一律に従業員を休ませるなど、企業の自主的な判断で休業させる場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当し、休業手当を支払う必要があります。

2.感染が疑われる従業員の対応

発熱などの症状があり、相談・受診の目安として公表されている以下のいずれかの条件に当てはまり、感染が心配される場合には、「帰国者・接触者相談センター」に相談するよう案内されています。

  1. 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む)
  2. 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合

※高齢者をはじめ、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など))がある人や透析を受けている人、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている人は1.または2.の状態が2日程度続く場合に相談する。

この相談の結果を踏まえても、業務を行うことが可能で、企業の自主的な判断で休業させる場合、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

3. 感染した従業員を休業させる場合

従業員が新型コロナウイルスに感染したため、休業させる場合、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないため、会社は休業手当を支払う必要はありません。この場合、従業員は、傷病手当金により補償を受けることができるとされています。

 

従業員に発熱などの症状がある場合、従業員本人のためにも感染拡大の防止のためにも、休みやすい環境を整備していくことが企業に求められています。また、感染防止に向けた柔軟な働き方としてテレワークや時差出勤が推奨されています。厚生労働省のホームページでは各種案内が行われているので、実務の参考にされるとよいでしょう。

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

ニュースレター臨時号~新型コロナウイルス感染症~①

新型コロナウイルス感染症に関連した助成金

新型コロナウイルス感染症が猛威を奮い、小学校等の一斉休校の要請が行われたり、イベント等の自粛により経済の大幅な落ち込みが懸念されています。すでに業績面においても影響が出ている企業もあり、売上の減少により内定者の取消や従業員の解雇を検討する企業も出てきています。そこでここでは、企業を支援する新型コロナウイルス感染症に関連した助成金をご紹介します。

1. 雇用調整助成金

今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、生産量や売上高が減少し、事業の縮小を迫られるような事態に陥ることが想定されます。そのような際、従業員を解雇せず、休業、教育訓練または出向といった雇用調整を実施することで、従業員の雇用を維持した場合に、雇用調整助成金が支給されます。この助成金はリーマンショックの際に多くの企業で活用されましたが、今回の新型コロナウイルス感染症に関しても、以下のように受給要件の一部が緩和され、活用されることが予想されます。

【原則】売上高または生産量などの事業活動を示す指標について、最近3ヶ月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること

【特例】生産指標の確認期間を3ヶ月から1ヶ月に短縮する

 

【原則】最近3ヶ月間の雇用保険被保険者数の月平均値が前年同期に比べて、一定以上増加していないこと

【特例】最近3ヶ月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象となる

 

【原則】雇用保険の被保険者として6ヶ月以上継続雇用されている

【特例】継続雇用された期間が6ヶ月未満の場合でも助成対象となる

 

なお、これらの特例は現在のところ、2020年1月24日から2020年7月23日までに休業の初日がある場合に適用されます。

2. 小学校休業等対応助成金

2020年2月27日に首相が全国の小中学校等に春休みまでの間、臨時休校を要請したことで、多くの小中学校等が休校の措置を実施しました。これに伴い、小学生の子どもを持つ従業員を中心に会社を休まざるを得ない状況が発生しました。

この状況に対応するため、新型コロナウイルス感染症に関して臨時休業等をした小学校等に通う子どもを持つ保護者(子どもの両親の他、祖父母等も含む)が子どもの世話をするために会社を休み、企業がその休みを年次有給休暇とは別の有給休暇として扱い、給与全額を支給した場合には、その全額(※)が助成される制度が創設されました。

※対象労働者1人、1日当たり8,330円が上限

 

いずれの助成金も、企業の申請に基づき支給されるものであり、細かな要件があります。申請を検討し、お困りごとがあるときには遠慮なくお問い合わせください。

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令和2年度における処遇改善等加算の運用の改善

各施設・事業所における人員配置や賃金体系に応じた柔軟な対応を可能にするため保育士等の技能・経験に応じた処遇改善等加算Ⅱの要件について、加算額の配分方法の更なる柔軟化を図る。

上記の改正が令和2年から行われることになりますの、情報共有させていただきます。
詳細は下記を参照してください。

令和2年 処遇改善 運用改善

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【介護・保育】人財定着ブログ3月号~介護・保育 「福祉事業に必要なキャリアパスとは⑨」

【介護・保育】人財定着ブログ12月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑧」の続きです。

(4)フィードバック面談を大切にする。

人事評価でもっとも大切なキーワードは何でしょうか。それは「透明性」と「納得感」です。

透明性とは、人事評価でいえば、どういう評価項目で、だれがどのようなプロセスで評価をしているのかが明確であること。また「納得感」とは、なぜその評価結果になったのか被評価者が理解し、納得することです。しかしながらこの納得感が生まれるのはそう簡単にはいきません。なぜなら多くの職員は、自分は一所懸命仕事をし、それなりに仕事で貢献していると思っているからです。しかしながら、上司の評価がそのようなものでない場合には、だれしも心穏やかでは、いられないはずです。半ばあきらめて、表面的に納得したフリをしている場合も多いのではないでしょうか。それでは納得感を醸成するにはどうすればいいのか。まず、絶対に必要なのが、フィードバック面談です。面談では、自己評価と上司評価が明らかに違っている項目に着目し、その評価にした根拠を具体的に話し合うことで、お互いの視点や期待レベルを知ることができ、初めて「納得感」が醸成されてくるものです。

面談で重要なポイントは「質」と「量」です。面談の質、それはもちろん会話の中身です。「上司としてあなたの事をしっかりサポートをします」というメッセージを伝えるとにより、上司・部下の信頼関係を築けるような会話を目指したいものです。一方「量」つまりは、面談時間と頻度です。特に面談実施の頻度です。なぜなら、その頻度によって、コミュニケーションの深まりとそれによる信頼関係の向上は、確実に正比例の関係にあるからです。そして、結果として職員の「離職率」に大きく影響します。

ただ、多くの事業所は、良くて半年に一回、多くは一年に1回。パートさんに至っては、面談は実施していないという状況です。面談の頻度に関し、筆者は、あえて「1回/月」の面談を推奨しています。特に導入当初は、1回の面談時間は短くてもいいので、面談の実施頻度を上げていくことがコツです。

 いくら推奨しても年に1回しか面談を行っていない事業所からは、すぐにネガティブな意見が続き、実施できない理由はいくらでも出てきます。ただ、管理者の仕事で最も大切な仕事は「部下の指導・育成」であることを考えれば、「部下との面談」は、まさに優先度の高い業務であることに気づくはずです。管理者やリーダーが部下の職員と向き合える時間をつくる為にはどうすればよいのか、しっかり組織で議論していただきたいものです。

次回のメルマガでは、介護事業所で実際の活用されている人事評価制度の事例を用いて、評価制度を構築していく上でのポイントをご紹介させていただきます。お楽しみに!!

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保育事業所様向け情報(労務)3月号④

子の看護休暇・介護休暇2021年1月より時間単位での取得へ改正

育児・介護休業法では、子どもが病気になったりケガをしたときに世話をしたり、子どもに予防接種や健康診断を受けさせるために、従業員が請求することで取得できる子の看護休暇があります。また、要介護状態にある家族の介護やその他の世話をするために、介護休暇が用意されています。今回、育児・介護休業法施行規則が改正され、これらの休暇を時間単位で取得させる制度が導入されることになりました(施行:2021年1月1日)。

1.改正内容

子の看護休暇・介護休暇は、制度創設当時は1日単位での取得に限られていましたが、その後、取得する従業員の利便性を考慮し、半日単位でも取得できるように改正され、さらに今回、時間単位での取得ができるように改正されます。

この「時間」とは1時間の整数倍の時間(1時間、2時間、3時間等)をいい、1日の所定労働時間よりも短い時間のことを指します。会社は従業員から時間単位での取得の希望があったときは、その希望する時間について取得させなければなりません。

取得は始業時刻から連続する時間または終業時刻まで連続する時間となっており、労働時間の間で休暇を取得するいわゆる「中抜け」を認めることを求めるものではありません。

2.変更が必要となる就業規則

今回の改正により、現在、子の看護休暇および介護休暇を規定している就業規則(育児・介護休業規程等)を変更することが必要になります。

変更後の規定例は、次のとおりであり、時間単位での規定を盛り込みます。

<就業規則の規定例(子の看護休暇の場合)>

第○条
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
2 子の看護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。

※介護休暇も同様の変更が必要になります

3.労使協定の見直し

就業規則の変更とともに、子の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得することが困難な業務がある場合は、労使協定を締結することにより、時間単位の休暇の対象からその業務に従事する従業員を除外することができます。

必要に応じ、労使協定の内容を見直し、再締結しておきましょう。

子の看護休暇や介護休暇を取得した時間は、無給として扱って問題ありませんが、有給の制度を導入し、休暇を取得した従業員が生じたとき等、一定の要件を満たしたときには、両立支援等助成金が支給されます。この機会に併せて検討してもよいかもしれません。

(来月に続く)

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保育事業所様向け情報(労務)3月号③

2020年度の社会保険料率の変更見込み

社会保険の料率は、財政状況等により、定期的に見直しが行われています。特に年度が切り替わるタイミングで変更されることが多いことから、今回は2020年度の社会保険料の料率の動向についてお伝えします。

1.健康保険料率の変更

協会けんぽの健康保険料率は例年3月分(4月納付分)から変更されています。2020年度についても、都道府県ごとの3月分からの健康保険料率が下表のとおり決定しました。

2.介護保険料率の変更

協会けんぽの介護保険料率は全国一律であり、健康保険料率の変更と同じタイミングである2020年3月分から1.79%に変更されます。この介護保険料率は、単年度で収支が均衡するよう、介護納付金の額を総報酬額で除したものを基準として保険者が定めることになっています。

3.雇用保険料の控除に関する留意点

雇用保険料率は現在、労働保険徴収法の改正案が国会に提出されており、今のところ決定していないため、動向を注視する必要があります(2020年2月14日現在)。

雇用保険料に関しては、今年度(2019年度)まで64歳以上の雇用保険の被保険者について徴収が免除されていましたが、4月からは徴収が始まるため雇用保険料を給与から控除することになります。

この他、労災保険率は3年に1度、見直しが行われていますが、前回は2018年度に変更されたため、2020年度には変更されない予定です。給与から控除する社会保険料については、4月の給与計算を始める前に、確認するようにしましょう。

(次号に続く)

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保育事業所様向け情報(労務)3月号②

労働基準監督署の調査でよく聞かれる36協定(特別条項)に関する事項

※2019年4月施行の改正労働基準法の内容を前提としています。

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長

来月、労働基準監督署の調査が行われることになりました。事前の準備物に「時間外・休日労働に関する協定届」(以下、「36協定」という)とありますが、どのようなことを確認されるのでしょうか?

社労士

御社では、36協定に特別条項をつけて届出をされています。特別条項は過重労働の原因になりやすいということで2019年4月の法改正でも様々な規制が加えられ、労働基準監督署の調査でも重要事項とされています。そこで今回は以下の4点を取り上げましょう。

  1. 限度時間を超えて労働させる場合における手続きが、特別条項に該当する月ごとに行われているか
  2. 限度時間を超えて労働させることができる回数が年6回以内となっているか
  3. 延長することができる時間数および休日労働の時間を超えていないか
  4. 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置(健康福祉確保措置)を実施しているか

総務部長

1.について当社は、過半数代表者に事前の申し入れを行うことにし、書面を渡しています。

社労士

それは素晴らしいですね。調査では、その事前の申し入れが行われているか確認されるので、申し入れ書の控えやメールで申し入れをしていればその文面等を残しておく必要があります。

総務部長

なるほど。当社では限度時間を超えて労働させることは稀ですが、②の年6回以内とは、会社として年6回以内でしょうか、それとも従業員ごとに年6回以内でしょうか?

社労士

従業員ごとに年6回以内です。そのため、従業員ごとにカウントし、年6回を超えないようにする必要があります。③については、36協定で定めた時間の範囲に収まっていることが必要です。その上で、例えば特別条項で90時間と記載してあり、90時間の範囲に収まっていたとしても、2~6ヶ月平均で月80時間を超えてはいけないという時間外労働の上限規制の内容がありますので、それを遵守する必要があります。

総務部長

なるほど。36協定に記載した内容だけを遵守していたとしても、問題となるケースがあるのですね。④については、対象労働者に医師の面接指導を実施することにしていますが、それを実施しておくということですね。

社労士

はい。実施と併せて、実施状況に関する記録を36協定の期間中と有効期間満了後3年間保存することになっています。実施後は記録を残しておくことまでが求められます。

【ワンポイントアドバイス】

  1.  限度時間を超えて労働させる場合、事前に定められた手続きを行い、その書面等を残しておく。
  2.  36協定に記載された内容とともに、時間外労働の上限規制も遵守する。
  3.  健康福祉確保措置を実施した場合、記録を残し、36協定の期間中と有効期間満了後3年間は保存しておく。

(次号に続く)

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保育事業所様向け情報(労務)3月号①

4月より健康保険の被扶養者の要件に国内居住が追加されます

外国人労働者の中には、母国に扶養する家族を残して日本で働いているケースが少なくありません。そうした扶養の要件については、所得税・健康保険の各々で決まっていますが、今年4月より、健康保険の被扶養者として認定される要件(被扶養者の認定要件)が変更され、国内居住要件が追加されます。

1. 被扶養者の認定要件

現在の被扶養者の認定要件は、以下のとおりです。

①被保険者の直系尊属、配偶者(事実上婚姻関係と同様の人を含む)、子、孫、兄弟姉妹で、主として被保険者に生計を維持されている人
②被保険者と同一の世帯(※)で主として被保険者の収入により生計を維持されている次の人
(1)被保険者の三親等以内の親族(①に該当する人を除く)
(2)被保険者の配偶者で、戸籍上婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の人の父母および子
(3)(2)の配偶者が亡くなった後における父母および子
※同一の世帯とは、同居して家計を共にしている状態を指します。

なお、これらに該当する人であっても、後期高齢者医療制度の被保険者等である人は、被扶養者に該当しません。

2. 追加される国内居住要件とその例外

4月からは、新たに国内居住要件が追加され、日本国内に住所があること(住民票が日本にあること)が必要となり、健康保険の被扶養者の異動に関する手続きを行う際には、この国内居住要件に関する確認が行われます。

なお、日本国内に住所がない人であっても、日本に生活の基礎があると認められる下表の人については、被扶養者の異動に関する手続きの際に、証明書類を添付することで国内居住要件の例外として取り扱われることになります。

証明書類が外国語で作成されている場合、その書類に翻訳者の署名がされた日本語の翻訳文の添付が必要になります。該当者がいる企業はさほど多くないとは思いますが、国内居住要件の例外に該当するときには、証明書類が求められることになりますので、従業員へ周知しておきましょう。

(次号に続く)

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同一労働同一賃金、来月から 基本給や手当 整理進む

「仕事と対価」に入念な点検
同一労働同一賃金、来月から 基本給や手当 整理進む
日本経済新聞 

 

4月から始まる正規と非正規の従業員の間で不合理な格差を禁じる「同一労働同一賃金」ルールの施行を前に、大企業が対応に追われている。正社員や派遣社員の雇用状況や待遇、各種の手当てなどを確認したり見直したりする過程で、様々な問題が浮かび上がっている。労務トラブルを防ぐためにも「仕事と対価」の入念な点検が必要になっている。

 「この手当A、手当Bとは何ですか」
 企業の労務担当者と顧問弁護士の間で、賃金や手当の最終チェックが大詰めを迎えている。4月からは正社員と非正規労働者の業務内容が同じ場合、基本給や手当などの待遇差が禁じられる。ある企業では何の職務の対価か説明できない手当が問題になった。労務部門のベテランにも確認したが「入社前からある。だが、いつ何の目的で作ったのかは分からない」。
 結局、手当AとBは廃止し、基本給に組み込む方向で調整するという。多くの企業がこうした以前から存在する「正社員向けの手当」の整理を迫られている。
 4月の施行前に企業がとる対応策は大きく3つある。(1)正規・非正規の職務内容の確認(2)待遇差がある場合は説明できる理由を明確にする(3)必要ならば賃金体系を見直す――ことだ。
 まず正規と非正規の従業員の職務内容をチェックする。例えば総務部で同じ給与計算の業務に就いているようにみえても、待遇が異なる場合がある。正社員は「転勤あり」で、キャリア形成の一環として他部署への「異動あり」が条件である場合が多い。
 木下潮音弁護士は「これまで正規と非正規で人材活用の期待値が違うのは暗黙の了解だった。今後、企業は明確にする必要がある」と指摘する。
 事業主は「説明義務」を負う。非正規の従業員から求められれば正社員との待遇差の内容や理由について合理的な説明をしなければならない。「できない場合は、訴訟を起こされる可能性がある」(東京大学の水町勇一郎教授)。待遇の差がある場合は、理由を文書にして明示しておくといった作業も必要になる。
 正規・非正規の待遇差を禁じる厚生労働省のガイドラインには、対象に「家族手当」や「住宅手当」が入っていない。住宅手当は、正社員に転勤の可能性があるかといった企業や職場の事情に合わせて判断する必要がある。家族手当も価値観の多様化や独身者の増加を背景に「見直す企業が増えている」(水町氏)。
 賞与など賃金体系の見直しが必要になる場合もある。ここでもポイントは合理的かどうかだ。賞与を単純に「基本給の数カ月分」と機械的に決める仕組みが不合理と認定される可能性があるという。安西愈弁護士は「基本給に職能制を導入したり賞与に成果を反映させたりするといった見直しが必要」と指摘する。
 気をつけなければならないのが、正社員の待遇を一方的に下げる「不利益変更」にならないようにすることだ。同一労働同一賃金の制度の趣旨は、非正規社員の待遇を正規並みに引き上げることだ。ただ企業の中には人件費が増えると警戒するところもある。菅俊治弁護士は「労組は経営側と安易に合意しないことが大切だ」と話している。

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