保育

育児休業を連続して取得した際の社会保険料の免除

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。

 

総務部長
当社も男性従業員から育児休業の取得の申出がありました。来月1日から25 日間の出生時育児休業(産後パパ育休)を取得する予定です。その従業員から、社会保険料の免除について問い合わせがあったのですが、当社では産後パパ育休中に就業する制度はないため、来月分の月額保険料が免除になるということでよいですか。
社労士                                                                                                                      はい、ご認識のとおりです。
総務部長                                                                                                                                          実は、この従業員の奥様の体調がよくないという報告を受けていて、産後パパ育休に引き続き育児休業を取得することになるかもしれません。その場合、社会保険料の免除はどのように考えればよいのでしょうか。
社労士                                                                                                                         育児休業中の社会保険料の免除では、産後パパ育休と子どもが1 歳になるまでの育児休業(以下、「1 歳までの育児休業」という)の区別はされていません。両方とも「育児休業等」として扱われています。
総務部長                                                                                                                                          なるほど、社会保険料の免除に係る手続きをしようとしたとき、産後パパ育休専用の様式がなかったのはその理由からなのですね。
社労士                                                                                                                   はい。そして、産後パパ育休から連続して1 歳までの育児休業を取得したときは、産後パパ育休の初日から、1 歳までの育児休業の終了日までを1 つの育児休業としてみなすことになっています。
総務部長                                                                                                                                             なるほど。1 歳までの育児休業をいつまで取得するか、現段階ではわかりませんが、終了日が再来月以降になるかもしれません。そのようなときは、どの期間について社会保険料の免除の対象となるかを確認しないといけないですね。
社労士                                                                                                                     はい、そうですね。産後パパ育休は25 日間とのことでしたが、1 歳までの育児休業を含めると1ヶ月超の期間となり、場合によっては賞与に係る社会保険料も免除の対象になるかもしれませんね。
総務部長                                                                                                                                                                        確かにそうですね。業務の調整も必要になりますので、一度、本人にどのようになりそうか、予定を聞いてみることにします。
社労士                                                                                                                                   正式な申出前に調整をしておくのは重要なことですね。何かあればご相談ください。

 

ONE POINT

①健康保険・厚生年金保険では、産後パパ育休も含め「育児休業等」として扱われる。
②2つの育児休業を連続して取得するとき、社会保険料の免除では1つの育児休業として取り扱われる。

 

 

 

導入を検討したい勤務間インターバル制度

勤務間インターバル制度の導入は企業の努力義務とされ、国は2025年までに導入している企業の割合を15%以上とするという数値目標を定めています。2022年10 月に厚生労働省から公表された「2022年の就労条件総合調査の結果」からその導入状況、そして制度の導入を検討する際のポイントをとり上げます。

1. 勤務間インターバル制度の導入状況

勤務間インターバル制度を導入している企業の割合をみると、「導入している」が5.8%(2021年調査 4.6%)、「導入を予定又は検討している」が 12.7%(同 13.8%)、「導入予定はなく、検討もしていない」が 80.4%(同 80.2%)となっています。企業規模別でみると、おおむね従業員数が多くなるにつれて導入済み、または導入に向けた動きをしている割合が高くなります。

2. 勤務間インターバル時間

制度を導入する際には、終業時刻から始業時刻までの間に空ける時間、いわゆる「インターバル時間数」の設定をします。法令で時間数の定めは特段ありませんが、通勤時間や食事の時間等を勘案した上で、一定の睡眠時間の確保ができる時間設定が必要になります。

3. 制度導入を検討する際のポイント

制度を導入する際の主な検討項目は次のとおりです。
①制度の適用対象となる従業員の範囲
②インターバル時間数
③インターバルを確保することにより、翌日の始業時刻を超える場合の取扱い
この中で、③については、インターバル時間と翌日の始業時刻が重複する部分を働いたものとみなすという方法と、翌日の始業時刻を繰り下げる方法の2 つが考えられます。また、後者の取扱いについて、「翌日の終業時刻も繰り下げる」、「翌日の終業時刻は変更しない」等の方法が考えられ、導入をする際には取扱いを定めておく必要があります(下図参照)。

導入の際には、就業規則等に制度の内容を定めることが必要になります。制度の検討や就業規則の整備等に関してお困りのことがございましたら、当事務所までご連絡ください。

 

割増賃金率50%への引き上げに向けて求められる取組み

いよいよ2023 年4 月より、中小企業においても1ヶ月60 時間を超える時間外労働(法定時間外労働に限る。以下同じ)に対して50%以上の割増賃金率による割増賃金の支払いが求められます。以下では2023 年3 月までに必要となる対応についてとり上げます。

1. 就業規則の変更と算出方法

 割増賃金率は賃金の計算に関する事項として、就業規則に記載が必要です。1ヶ月60時間を超える時間外労働を命じることがあるときは、就業規則を変更しましょう。厚生労働省のモデル就業規則では、以下の規定例になっています。
[割増賃金]
第○条 時間外労働に対する割増賃金は、次の割増賃金率に基づき、次項の計算方法により支給する。
(1)1 か月の時間外労働の時間数に応じた割増賃金率は、次のとおりとする。この場合の1か月は毎月1日を起算日とする。
 ① 時間外労働60 時間以下・・・・25%
 ② 時間外労働60 時間超・・・・・50%
 (以下、略)
 なお、1ヶ月60時間を超える時間外労働は、1ヶ月の起算日から時間外労働時間数を累計して60時間を超えた時点から対象となります。算出例は下のカレンダーのとおりです。

2. システムの設定変更

 労働時間数を自動的に集計する機能のある勤怠管理システム等を導入している場合は、1ヶ月60時間を超える時間外労働時間数を別途集計する必要が出てきます。勤怠管理システムの設定を確認し、どのタイミングで変更が必要なのか、スケジュールを立てておきましょう。
 勤怠管理システム等を導入していない場合は、1ヶ月60時間を超える時間外労働時間数の集計もれがないように、集計表に集計欄を追加するなど対応が必要です。
 また、給与計算システム等も、1ヶ月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率が50%以上で計算されるように設定の変更が必要となります。

  

今回の割増賃金率の引き上げに対し、割増賃金の計算が正しい内容で行われているか(割増賃金の対象となる賃金、分母の所定労働時間数)、そして、それに沿った給与計算システム等の設定が行われているかを点検し、問題があれば改善しましょう。

 

いつでも笑顔でいる ~努力をしなくても笑っていれば人は自然と集まる~

幸せに生きていくためには、笑顔は必要不可欠なものです。

幸せだから笑顔になるのではなく、笑顔があるから幸せになれる・・・そう、間違いなく。

笑顔の偉大なパワーは計り知れません。

世界中どこに行っても、言葉は通じなくとも、にっこり笑いかけるだけで相手も笑顔になってくれます。偶然隣り合わせた人と仲良くなれる展開もあります。ケンカしていた家族であってもひょんなことから一緒に笑うとケンカしたことさえ忘れてしまいます。

少しばかり不安になったときも笑い、イライラした時にも笑うと、心のモヤモヤも吹き飛ばされてしまうのは不思議なほど。たとえ作り笑いであっても、ストレスを軽くしリラックスさせ、免疫力を高めるというのもなんとなくうなづけるでしょう。

笑っているとき、不安になったり怒ったりするのは、至難の業。笑顔はたくましく前進するエネルギーにあふれています。

人に好かれたいと、あれこれ努力しなくても、笑顔でいれば嫌われることはあまりありません。笑っていれば、自然に自分が楽しいこと、面白いことを求めるようになっていきます。

そしてたくさんの出会う人の中には、「一緒に仕事をしましょう」「一緒に遊びましょう」と思ってくれる人、助けてくれる人も現れるのです。「どれだけ幸せになれるか」は「どれだけ笑顔になれるか」という、案外単純なものかもしれません。

 「笑顔でいる」という習慣は、仕事のノウハウや社会常識を学ぶよりもずっと大切なことかもしれません。

(出典 「上機嫌でいきる」より)

常勤の女性職員から、子どもを自分の健康保険の扶養に入れたいと相談があ りました。現在、女性職員の子どもは、配偶者の健康保険の扶養に入っています が、当施設では健康保険の被扶養者である子どもを対象に、家族手当を支給して いることから、相談があったようです。そもそも共働きの場合、どのような基準 で扶養に入れるかを判断するのでしょうか

A,

共働きで夫婦共に健康保険の被保険者の場合、子ども等の扶養家族がどちら
の被保険者の被扶養者にも入れる基準を満たしていることがあります。その際、
どちらの健康保険の扶養に入れるかは、夫婦の年間収入の差や主に生計を維持
している者はどちらかなどを踏まえ、総合的に判断されます。

詳細解説


1.共働きの場合の被扶養者の認定以前は男性(夫)の年収が女性(妻)の年収よりも多い世帯
が大半でしたが、共働き世帯の増加に伴い、両者の年収が同程度または逆転している世
帯も増えています。これにより、2021 年 8 月に、夫婦共に健康保険の被保険者であり、2 人で子ども等を扶養する場合(共同扶養)の被扶養者の認定基準が見直され、具体化かつ明確化されました。※主な基準は、次のとおりです。


① 被保険者の年間収入(過去の収入、現時点の収入、将来の収入等から今後 1 年間
の収入を見込んだもの)が多い方の被扶養者とする


② 夫婦の年間収入の差が年収の多い方の10%以内である場合は、「主として生計
を維持する者」の被扶養者とする

2.実務上の判断
今回の質問のように、共働きで夫婦共に健康保険の被保険者の場合、まずは両者の年間収入の多い方の扶養に入ることになります。
例えば、年間収入が夫は 420 万円、妻は 450 万円の場合、妻の扶養に入ることになりますが、年間収入の差額割合は約 6.7%(年間収入の差額割合が 10%以内)のため、「主として生計を維持する者」が夫の場合は、子どもは夫の健康保険の被扶養者となります。そのため、配偶者の年収の状況も確認の上、届出を行う必要があります。


被扶養者の届出は、その年収が要件を満たしているかという点に着目しがちですが、共働きの夫婦のような場合には、家族全体の状況を確認する必要があります。

手続きの際の確認事項をまとめるとともに、ご相談のケースでは家族手当の支給基準が現状のままでよいか、検討してもよいでしょう。


※ 参考:「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定につ
いて(令和 3 年 4 月 30 日保保発 0430 第 2 号・保国発
0430 第 1 号)」

『子ども主体保育』の保育を考える 都が普及促進を目指し動画の配信やセミナーを開催

暮らしに役立つ情報をお伝えするTOKYO MX(地上波9ch)の情報番組「東京インフォメーション」(毎週月―金曜、朝7:15~)。
今回は都の子どもを中心とした保育実践の普及促進のための動画配信やセミナー・交流会についてや、受験生を応援する特別車両・東京さくらトラム(都電荒川線)「さくらサク号」運行を紹介しました。

◆“子供主体の保育”を考えよう

東京都は、子どもを中心とした保育実践の普及促進のため、動画の配信や、セミナー・交流会などを行います。

動画配信のひとつは、事業に参加した2人のアドバイザーが、都内保育所などに、それぞれ5回ずつ訪問して行った、子ども主体保育の活動を振り返った活動報告会の様子です。

もうひとつは、アドバイザー派遣に参加した五つの園のうち二つの園による活動事例の紹介と、保育の有識者やアドバイザーによるパネルディスカッションの様子です。

動画は、いずれも、ウェブサイトで、3月31日(金)まで見ることができます。

「子供の声を聴き子供の気持ちに寄り添う保育」セミナー・交流会は、都内の保育所などで勤務している人や、勤務予定の人などを対象としています。

2月18日(土)午後1時~3時まで、Zoomを使ったオンラインで開催されます。

参加を希望する人は、2月5日(日)午後5時までに、ウェブサイトからお申し込みください。

定員は100人、参加費は無料です。

関連リンク
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/01/18/08.html
https://www.tokyo-hoikushien.com/

Q 有給休暇を年5日取得できない職員が3人います。どうやってとらせたらいいのか・・・。一方、取得はしているのですが、手厚い職員配置をしたいときに有給休暇の取得があると 予定の保育ができないときもあります。どんな方法があるでしょうか?

A ご質問の有給を取得してくれても時期に問題があるような場合の一つの対処方法は

 労使協定を締結して「計画的付与」にて有給を取得してもらうことがあります。

 園児の登園が最も減る時期が813日から16日は子供の預かり保育は実施しておらず、

 2号子供と3号子供は5割ほどの登園になるとのことでしたので、この4日間に計画的付与を導入します。具体的には下記に次のようになります。年5日取得義務のある職員を2つのグループに分けます。グループごとに13日、14日の2日間のいずれかで取得させる割り振りを主任にお願いします。労使協定の締結後、計画通り8月に2日間の有給休暇を職員に取得させます。

 もう一つの課題である5日間の取得義務が果たせない職員への対応です。このような方には園が時期指定を行うことを定めます。例えば、年の後半となると行事や次年度行事が立て込むため、1号子供が夏休みになる7から8月の間に3日の時期指定を行います。具体的には3人に7月から8月のいつ頃取得したいかを聞き、できるだけ希望に沿うように取得を決め「A先生は731日、81日、820日の3日間は週休を取ってください」とそれぞれに伝えます。園が時期指定を有給休暇を踏まえて、勤務表の作成ができるように、主任に情報を共有します。

 導入後の状況を確認しましたが、計画的付与を導入した8月の4日間はクラスの垣根を取り払い、異年齢保育にするよう主任にお願いしました。主任中心に幼児リーダーと乳児リーダーの3人が夏ならでは遊びを取り入れた保育計画を作成しました。0歳児5歳児までが一緒に過ごす時間帯も計画されて打て、普段とは違う保育を少人数ならではのゆったりと雰囲気で園児も職員も楽しんでいました。

 以上のような方法もご参考にしていただければと思います。

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障害者雇用率、最大の上げ 厚労省、2.7%に

厚生労働省は18日、企業が雇用すべき障害者の割合(障害者雇用率)を現行の2.3%から2.7%に引き上げると決めた。労働政策審議会(厚労相の諮問機関)分科会に示し、了承された。引き上げ幅0.4ポイントは障害者雇用が義務になった1976年以降で最大だ。2024年度から段階的に引き上げ、26年度に2.7%とする。

 

 企業が雇うべき障害者の割合は障害者雇用促進法に基づいて決まり、5年に1度見直している。一定の条件を満たす常用労働者数などに対する割合を集計し、未達成企業は不足1人当たり月5万円を納付することになっている。厚労省は雇用率の見直しに必要な政省令を年度内に改正する。

 

 企業の対応期間を考慮し、244月から2.5%267月から2.7%に引き上げる。現行の2.3%だと常用労働者数44人以上の企業は障害者を雇用する必要がある。2.5%になると40人以上、2.7%なら38人以上の企業で新たに雇用の義務が生じる。

 

 企業の雇用率引き上げに合わせ、国と地方公共団体、教育委員会もそれぞれ雇用率を段階的に引き上げる。267月以降の雇用率は国と地方公共団体が3.0%、教育委員会は2.9%とする。

 

 厚労省のまとめでは226月時点で企業に雇用されている障害者数は61万人と過去最多を更新した。一方で障害者雇用率を達成している企業の割合は48.3%にとどまっている。(日本経済新聞 朝刊 経済・政策より)

 

保育士の倍率が13倍!転職希望者殺到する保育園 そのわけは シリーズ保育現場のリアル(働き方の工夫編)~NHKニュース~

「国の基準の2倍以上の保育士を配置することで、保育者が心にゆとりをもって保育ができています。離職率も低く保育の質の向上も実現できています。取り組みを共有させてください」

保育現場の厳しい現状を伝え続けている私たちの元に、この投稿を寄せてくれたのは、東京・杉並区で、6つの保育所を運営する法人の統括、野上美希さんです。
「ここで働きたい」という保育士の応募が殺到し、中途の採用倍率は13倍にも上るといいます。いったいどのような工夫をしているのか、取材しました。
(首都圏局/記者 氏家寛子)

配置基準の2倍以上 メリハリある働き方

訪ねたのは、杉並区にある「ピコナーサリ新高円寺」という保育所です。
国の基準の2倍以上の保育士を配置しています。

正午、給食の時間に4歳児の部屋をのぞくと、2人の先生が見守るなかで、15人の子どもたちが落ち着いた様子で食事をとっていました。国の配置基準では4歳児の場合、保育士1人に対する子どもの数は30人なので、それを上回る体制となっています。

4歳児の給食

同じ時間に1階の休憩室では、保育士たちが食事をとっていました。休憩時間は1時間。そこに、子どもたちの姿はありません。連絡帳を書いたり事務作業したりする時間は、保育時間の中で確保できるので、持ち帰りや残業もないということでした。

職員の休憩室

これらは私(記者)にとって驚きの光景でした。
NHKの保育現場のリアルのウェブサイトに保育士から寄せられる投稿には、「休憩時は、子どもが昼寝をしている横で、連絡帳を書きながら過ごす」など、業務の傍ら休憩をとらざるをえない厳しい現状を訴える声が多いからです。

目が離せない年齢の子どもたちと過ごす職場だからこそ、子どもと離れた場所での休憩が必要だといいます。また、同僚の保育士とコミュニケーションをとる余裕があると、新たな気づきも生まれるといいます。

20代の保育士
「以前勤めていた園では休憩がとれず、業務量が多くて時間に追われて余裕がなかった。休憩時間に他の先生とお話しすることで、保育のやり方をこうしてみようという気づきがあり、自分の成長につながっていると思う」

どうやって手厚い配置を “地味な作業で”

野上さんは、民間のシンクタンクなどを経て夫の実家の幼稚園の経営に加わり、9年前に保育園を開園。今は、IT企業から転職した夫とともに、杉並区内の6つの園を運営しています。

開園当初は、国基準通りの人員配置でしたが、保育士は多くの業務を抱えて疲弊。離職者が相次ぐ厳しい状況に直面し、手厚い保育士配置を目指すことを決断しました。

そのために取り組むのが、経費の削減のための業務見直しです。
保育所の見学や地域向けの催しは、電話ではなく、HPで受け付けたり、手書きの書類をパソコンで入力したりするなど、事務作業にかかるコストをICTの活用で効率化しました。

一方、人件費を捻出するための経営努力もしています。
自治体が用意する補助金はしっかりと調べて請求。子育て中の家庭を支援する催しを複数回開くともらえる補助金で年間60万円、小中高校生の職場体験受け入れで年間60万円など、プラスαの事業にも取り組むことで、6つの園であわせて4人分の人件費を確保しました。

野上美希さん
「補助金は何十万円という単位のものをコツコツと積み上げるということで、その事業を例えば5つ、6つ行う、それを園ごとにすべて行うことで、(私たちが運営する)6園の中で4人分の補助をいただけるというように、1人分ずつ積み上げて最終的に2倍まで達成するという、とても地味な作業です。活用できるものがないか情報は能動的に探すことが必要だと思います」

育児中でも無理なくやりがいある仕事を

さらに、人を増やすだけではなく、長く働いてもらうための仕組みも導入しました。
保育士が子育てをしながらキャリア形成できるよう工夫しているのです。

6歳の男の子の母親で、保育士歴10年の池田みゆきさんです。

もともと飲食店で働いていましたが、保育士の仕事に憧れ、専門学校に通って保育士の資格を取得。この保育所で4年前から正規の職員として働いています。

保育の現場では、子育て中の保育士がパート勤務になるケースは少なくないですが、仕事にやりがいを感じている池田さんは、キャリアを継続したいと考えたといいます。

池田みゆきさん
「“正規の職員で働いてクラスの担任を持ちたい”という気持ちが強くありました。一方で、自分の子どもとの時間も大切なので、持ち帰りの仕事があったら両立できないのではないかと不安な気持ちはありました。この職場では残業がなく有給がとりやすいので助かっています」

池田さんは今、1歳児クラスの担任を持って、8時から18時の中でシフトを組んで勤務しています。
担任として送り迎えの時間帯に保護者に対応することは、保護者と関係をつくる上で大切なことで、今後の業務の幅や活躍の場を継続し、広げることにもつながるからです。

この保育所では、子育てや介護など事情を抱えた人も柔軟な働き方ができるよう、シフトの組み方を工夫。15分刻みで、9パターンから選ぶことができます。

さらに、育児中の保育士が朝夕のシフトに入る際に、自身の子どもを預ける保育園で延長保育料がかかる場合には、その料金を全額補助する制度を導入しました。
若手の保育士に偏りがちだった朝夕のシフトに子育て中の保育士も入りやすくすることで、みんなが公平に働ける職場づくりにつながっているといいます。

池田みゆきさん
「自分も保育士でありながら子育てに悩むことはたくさんあるので、保護者の方とわかりあえることもあるのかなと思います。自分の子どもだけではなく、ほかの子どもの成長もそばで見守ることができることに喜びを感じられるこの仕事がとても楽しいです。サポート体制が整っているからこそ、これからもキャリアを積んでいきたいと感じられます」

倍率13倍 応募者が殺到する園に

こうした保育現場の働き方改革によって、この保育所では離職者が減ったことで、採用のために費やすコストを下げることにも成功しました。
こうした取り組みが保育士たちの間に広まり、2022年度の採用倍率は新卒が7倍、中途は13倍にも上り、希望者が相次いでいるというのです。

実は、保育士登録をしていながら働いていない“潜在保育士”といわれる人は資格保持者全体の3分の2に上ります。

子どもの安全に関わる重大な責任を負っているにもかかわらず、「待遇が悪い」「勤務が過酷」といったことが背景にあるといわれています。野上さんは、保育業界で働き方改革が進むことで、保育所が、“潜在保育士たちが戻ってきたい”と思える職場になるのではないかといいます。

野上美希さん
「保育士の働き方や仕事へのやりがい、そして心のゆとりは子どもに返ってくることだと思います。子どものために日本の未来の社会のためには、保育士の配置の手厚さは非常に重要なことだと思います。配置さえしっかり改善されれば、保育って本当に楽しめるので、保育士を辞めた方も戻ってきたいと思えるようにしたい。自治体によっては補助を積み上げていくことも難しいと思うので、全国的にそういった環境が整えられるよう国にもお願いしたいです」

取材後記

異業種から転身した野上さんは、保育の現場は子どもの命を預かり、緊張感のある仕事をしながらも休憩さえもとれないことに驚いたといいます。そこで、先生たちのやりがいによって支えられる園ではだめだと思い、改革に着手したということです。

厳しい保育現場を取材してきた私は、取材した保育所のような手厚い配置の実現には、なにか“秘策”があるのではないだろうかと考えていました。しかし、取材を通じて、そういうものはないことがわかりました。野上さんが、「はじめはかなりの話し合いが必要でした」と打ち明けてくれたからです。

働き方改革を進めていく中で、“残業をなくすことでみんなが同様に活躍できる組織を目指したい”と根気よく伝え続けたといいます。それを伺い、新たな保育園の形を目指すためには、現場でしっかりと議論し、さまざまな試行錯誤を積み重ねていくことが大切なんだと思いました。(NHK首都圏ニュースより)

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Q 労働基準監督署から、労働条件に関する調査の実施について書面が届きました。当施設では、書面に記載されている準備書類である36 協定届などを毎年届出していて、労働基準法を遵守していると認識していますが、どのような「調査」が行われるのでしょうか?

Q

A

今回の労働基準監督署の調査は、「定期監督」と呼ばれるものと思われます。対象事業所を無作為に抽出し、就業規則や36 協定などの書類を確認し、法令違反の事実がないかをチェックします。そこで問題が発見されなければ、調査は終了となります。万が一、法令違反が見つかった場合は、行政指導の対象となり、勧告・指導され是正することが求められます。

詳細解説

1.労働基準監督署が実施する調査

 労働基準監督署(以下、労基署)は、事業所が労働基準法や労働安全衛生法などの法律に則った運用をしているかどうかを確認するため、事業所への調査(臨検監督)を行っています。今回はこの調査の一つで、「定期監督」による調査だと思われます。
 この調査は、厚生労働省の方針に基づいて作成される各都道府県の労基署の年間計画に基づき実施され、調査の対象事業所が任意で決定されます。今回のように、書面で調査のお知らせが届き事業主などが直接労基署へ出向く場合のほか、監督官が予告なしで事業所を訪れて調査を実施することもあります。

2.調査方法と指導

 調査は、持参することが求められる書類を元に、法令違反がないかの確認により行われます。例えば、労働時間については、36 協定届が毎年届出されているか、タイムカードを元に36 協定で締結した限度時間を超えるような時間外労働が発生していないかなどの確認が行われます。そこで法令違反やその疑いが見つかった場合は、故意であるか否かにかかわらず、是正勧告や指導が行われ、施設は是正や改善を実施し、報告を行うことが求められます。
 特に法令違反がない場合は、指導事項なしとして終了しますが、是正勧告や指導が行われたときには、原則として、指定される期日までに是正や改善をしなければなりません。万が一、法令違反として認められた事項を指定された期日を超えて放置した場合は、送検や起訴の対象となることもあります。
 日頃から労務管理に関する法令遵守の意識や整備を徹底しておくことはもちろん、調査にも真摯に対応するようにしましょう。

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