介護
A 通常は出来ませんが、あらかじめ労働条件の変更を視野に入れた労働契約を締結していれば可能です。
労働契約の途中で事業主側が一方的に条件を変更することは原則としてできません。労働条件を変更するときは労働者との合意が必要になります。
一方、雇用期間を定めた契約であれば、契約の更新時に契約が変更になることを説明し、「新たな契約を締結しなおす」ということになります。いわゆる契約職員としての雇用形態です。
採用時に通常であれば期間の定めなしで契約するところを、あえて3カ月の有期契約を結ぶのも選択肢のひとつ
クリニック等で多いのは、試用期間相当期間を「期間の定め有り」で契約し、その後に「契約期間の定めなし」の契約に転換する流れになります。つまり試用期間を3カ月に設定しているクリニックでは、採用時に通常であれば期間の定めなしで契約するところを、あえて3カ月の有期契約を結ぶということになります。そうして3カ月後に想定していた働きぶりが悪かった場合には、それに見合った新たな契約条件を提示し、本人が合意した場合には契約を更新するということになります。
但し、期間を定めた契約は、採用したものの、入職辞退につながる可能性もあることを認識しておかなければなりません。なぜなら、この3カ月の雇用期間は不安定と感じる職員もいます。優秀な人材は他のクリニックでも内定が出ている可能性があるので、別のクリニックに流れる可能性は否定できません。そのため通常であれば、「期間の定めなし」の契約として、面接などで人柄やスキルに不安が残る場合のみ「期間の定め有り」の契約にするといった運用にされるところが多いように思います。
A、キャリアパスの中で最も重要なルールのひとつである「任用要件・昇格条件」を検討し、見える化することです
この任用要件を決定して、職員にオープンにし丁寧に説明することが必要です。
任用要件は次の4つの視点で検討してください。
- 前等級における最低勤務年数
「リーダーを最低3年やらないと主任は務まらない」というような発想があると思いますが、このような考え方を昇格の条件として、1級は2年以上、2級は3年以上などのような形で採り入れます。そして各階層の滞留年数を決めます。つまり昇格を考えるときにも、この年数経過が一つの要件になります。 - 資格
それぞれの等級で取得してほしい資格を昇格の条件として用いるという考え方です。 - 実務経験
「優秀なケアスタッフだったのに、リーダーにしたらプレッシャーから力を発揮できず、結局もとの立場に戻さざるを得なくなった・・・」などというミスマッチをなくすために、指導監督職(主任等)になる前に、一般職の間に、一度でも委員会の委員長や行事のリーダー等をつとめた経験がある事などを、昇格条件にするケースもあります。少し大きな事業所では、複数の事業所を経験していないと(異動していないと)管理者になれないというルールもこの類です。 - 人事評価
人事評価制度を取り入れている事業所では、必ずといっていいほど、その結果を昇格の条件に用いています。「階層に求められる業務ができているか」を評価しているのであれば、その結果を次の段階に進めるか否かの判断基準に加えるというのは、極めて合理的な方法です。
ケアマネの処遇改善を「行っていない」と答えた事業所が、52.7%と半数を超えた
昨年度の介護報酬改定で基本報酬が引き上げられた居宅介護支援をめぐり、ケアマネジャーの処遇改善が必ずしも十分に進んでいないことが、厚生労働省による調査の結果で明らかになった。
基本報酬の引き上げなどによる処遇改善を「行っていない」と答えた事業所が、52.7%と半数を超えていた。
何らかの処遇改善を行っている事業所では、「基本給以外の引き上げ」「基本給の引き上げ」が多かった。事業所の規模が小さいほど、「行っていない」の割合が高くなる傾向がみられた
この調査は厚労省の調査・研究事業の1つで、三菱総合研究所が昨年11月から今年1月にかけて実施したもの。全国923の居宅介護支援事業所の回答を集計した。
ケアマネジャーの処遇改善を確実に進展させるために、居宅介護支援の報酬にも『処遇改善加算』を導入すべきか
居宅介護支援をめぐっては、昨年度の介護報酬改定で基本報酬や「特定事業所加算」などが引き上げられた。これは、ケアマネジャーの業務の専門性に見合った適切な処遇へと近づけることで、人材の確保・定着につなげる施策の一環だった。今回の調査結果は、こうした改定の狙いが現場で十分に実を結んでいない現状を浮き彫りにしている。
調査・研究事業に委員として参画した株式会社マロー・サウンズ・カンパニーの田中紘太代表取締役は、「衝撃的な結果だ。現行の制度だけでは限界があると言わざるを得ない」と指摘。「ケアマネジャーの処遇改善を確実に進展させるために、居宅介護支援の報酬にも『処遇改善加算』を導入すべきではないか」と提言している。(介護ニュースより9

石破茂首相は23日夜に記者会見を行い、医療や介護、障害福祉などの現場を支える職員の賃上げに向けて、公定価格を引き上げる方針を表明した。
石破首相は、「人手不足、あるいは物価高に直面している医療・介護・保育・福祉などの公定価格を引き上げる」と明言。今年度の「骨太の方針」に盛り込んでいた公定価格の引き上げを、会見で改めて約束した格好だ。夏の参院選が迫るなか、今後は対策のスピードと規模が焦点となる。
石破首相はこのほか、消費税の現行税率を維持したい考えを重ねて表明した。
「消費税は医療・介護・年金などの社会保障制度を支える大切な財源」と説明。「消費税を安定財源なしに減税するような無責任なことはできない」と理解を求めた。(介護ニュースより)
「この人のこの欠点がどうしてもイヤ」「なんか気になる」ということがあります。
例えば、職場の後輩の変な口癖だったり、上司の無責任さであったり、指摘するほどではないけれど、そんな欠点に出くわすと、イラっとしたり、モヤっとしたりすることが、だれにもあるのではないでしょうか。
かつて、いつも怒鳴り散らしている上司のもとで働いていたことがありました。そのような上司でもまったく動じず、平然としている先輩がいました。「平然としているなんてすごいですね」というと、その先輩曰く、「すごいんじゃなく、慣れただけ」。なるほど、「慣れる」とは、我慢することでも、許すことでもなく、「気にしないこと」なのだと、深く納得したものです。
そうは言っても「気になる」人もいるでしょう。人間良いことも、良くないことも慣れてきそうなものですが、「イヤだ」「許せない」という感情が心に積み重なって、ますますイヤになり、耐えきれなくなるものです。
そこには意識的に目を向けない、と習慣づけることが大事
だからこそ、そこには意識的に目を向けない、と習慣づけることが大事。いいところだけに目を向けよう、「大したことでない」と自分に言い聞かせるのも良いでしょう。それを繰り返していると、だんだん気にならなくなっていくものです。「慣れる」ということは、心が「そこは問題ない」と判断したということです。相手の欠点は変わらない。ならば、こちらが慣れて対処する方が得策のような気がします。
Q 始末書に「施設が指導してくれない」と書き、反省してくれない職員への対応
仕事のミスが多くクレームが入った職員に対して「始末書」の提出を求めたところ、その内容が「施設の指導が出来ていない為自分もミスをした」とまったく反省していない様子の始末書を提出してくる職員がいます。反省の色が見えず、始末書の意味がなくなっているような気がします。どうように対応したらいいでしょうか?
A 始末書というのは、業務などに規律違反をしたり、過失をしたりした場合に、その行為を反省し、謝罪し、同じことを繰り返させないようにする書面です。就業規則の制裁規定にも始末書に提示を求めています。
今回は、ミスが多くクレームまで入ってしまったので、その行為を反省してくれることを期待して提出を指示したのでしょう。しかし、反省するどころか施設へ責任転嫁していることがわかります。この場合、施設側が「指導をしたでしょう」と言ったところで「言った、言わない」の押し問答にしかならないのであれば、具体的な行動を振り返らせます。そして、改善することを具体的に指示し、ほかにも案があるならば自分から案を出してもよいように、ある程度「自由度」をいれると本人も書きやすくなります。
戒めるべきことは、「利用者さんのことを考えていなかったこと」ですから、話の途中で「自分はできていると思っても、利用者さんや他の職員はできているとは思っていない」ということを伝えるのです。そのうえで、「始末書」という書面ではなく、「改善提案書」と名称を変えるのもいいかもしれません。始末書というとどうしてもネガティブなイメージが強いからです。しかしここでも大切なのは、自分の行動を戒めて将来につなげることです。ですから書くハードルを下げ「改善提案書」に改めるというわけです。そしてこのフォーマットのなかに書くべき項目を入れ込んで記入してもらいます。
記入のポイントは
- どんな状況でクレームが発生したのか
- それはどんな原因があったのか
- そうすればそれを改善できるのか具体的な例をあげる
- いつから実施するのか
人は埋め込み式の方が、書きやすくペンが進みます。まずは「自分の行動をふりかえり、反省してもらう」ことから始め、具体的な改善行動案を書いてもらいます。それでもできない場合には、「自分で書いたことなのになぜ実行ができないのか」と面談で深堀していきます。
この書面を提出させるというのは、成長の過程もわかりますし、指導をしている実績もわかりますのでぜひともお勧めします。
外国人介護人材の確保に向けて、厚生労働省は都道府県など自治体が海外現地での説明や交渉に活用できる「対外発信資料」を作成・公表した。今月12日に通知を出し、全国の自治体に積極的な活用を呼びかけた。
この「対外発信資料」は、昨年度の調査・研究事業の一環で作成されたもの。日本語と英語の2言語に対応し、日本の魅力や介護の仕事、日本での活躍の具体的なイメージを写真や平易な表現で描いている。pptx形式で自由に編集可能。各自治体が状況に応じて柔軟に変更できるようにした点も特徴だ。
◯「対外発信資料」のダウンロードはこちらから
◯ 調査・研究事業の概要資料はこちらから
現地での説明会や交渉の際に即時活用できるよう、ポイントを絞ったダイジェスト版と、詳細を網羅した本編の2種類を用意。日本の介護制度や生活環境、受け入れ体制などを具体的に紹介し、送り出し国の政府関係者や教育機関に対して、日本でのキャリア形成の魅力を伝えやすい内容となっている。制度的な背景や職場環境の説明にとどまらず、実際に介護職として活躍する外国人材の姿をビジュアルで示すなど、視覚的・感情的な訴求も意識した構成となっている。

加えて、資料の効果的な使い方や留意点などをまとめた補足資料も整備された。厚労省はこれらを活用することで、自治体が現地の行政機関や教育機関との連携・交渉を円滑に進め、外国人介護人材の受け入れ促進につなげることを期待している。
◆「住まい支援」の充実も呼びかけ
このほか、厚労省は今回の通知で、外国人介護人材の定着を支える観点から「住まい支援」の重要性にも言及。家賃補助や公営住宅の活用といった具体例をあげ、地域医療介護総合確保基金のメニューなどの積極的な活用を要請した。
住まい支援は外国人介護人材にとって、家族らへ仕送りできる金額の実質的な増加にも直結することから、就労先選びの重要な判断材料となる。実際に取り組む自治体では、外国人本人や受け入れ事業者の双方から好評だと報告されている。
厚労省は、こうした支援策を通じて地域の実情に即した外国人材の受け入れ・定着を促進するよう、全国の自治体に取り組みの実践を呼びかけている。
「骨太の方針」政府は介護職の賃上げ、公定価格の引き上げを目指す
13日に閣議決定された今年度の「骨太の方針」− 。政府は介護職の賃上げ、公定価格の引き上げを目指すと約束したが、それとあわせて、制度の持続可能性の確保を図る施策を引き続き検討していく意向も示した。
政府は「骨太の方針」に、「持続可能な社会保障制度のための改革を実行し、現役世代の保険料を含む国民負担の軽減を実現する」と明記。いわゆる全世代型社会保障の構築が不可欠と指摘し、「現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底」も進めるとした。
介護分野の具体策はケアマネジメントに対する自己負担の導入も
介護分野の具体策としては、2割の自己負担を徴収する高齢者の対象範囲の拡大、居宅介護支援のケアマネジメントに対する自己負担の導入などを、積み残してきた課題として提示。「今年末までに結論が得られるよう検討する」と時間軸を明確にした。
厚生労働省はこうした論点を、過去の介護保険改正をめぐる審議会で繰り返し取り上げてきた。ただし、自己負担の引き上げは高齢者・家族らが強く反発し、ケアプランの有料化は現場の関係者が反対の論陣を張るため、これまで先送りを続けてきた経緯がある。
政府は給付費の膨張を抑えるため、今年末には長年の議論に決着をつけたい考え。現場の関係者の間では、一定の自己負担の引き上げはもはややむを得ないという声も少なくない。ただケアプランの有料化については、ケアマネジメントの公正中立性の担保が難しくなったり、ケアマネジャーの事務負担が更に増えたりする懸念が拭えないため、慎重論が多数を占めているのが実情だ。
A, 職場には多数の職員が就労しているわけですから、一人が勝手な行動をしていたのでは職場は成り立ちません。すなわち、職場秩序は多数の職員を擁する法人の存立、維持のために必要不可欠なものです。
法人がとりうる措置としては、まず、懲戒処分が考えられます
さて、職員が職場で他の職員との協調性を欠く場合において、法人がとりうる措置としては、まず、懲戒処分が考えられます。裁判例においても、本人の執務態度、上司、同僚に関する無礼並びに協調性の欠如について、職場の規律を乱し、円滑な職務遂行を阻害しているということが懲戒事由解雇にあたると認めているものがあります(大阪地裁平成4年3・31)
ここでポイントになるのは、本人の協調性の欠如によりいかに企業秩序が阻害されているかです。仮に本人に協調性の欠如は認められるものの、企業秩序への影響が軽微な場合には懲戒処分を行うことは難しくなると思われます。その点、医療・福祉の現場をチームワークが業務遂行の上でとても重要な要素となりますので、協調性の欠如が懲戒処分の対象になることは十分に考えられます。
懲戒解雇という措置も考えられます。
次には懲戒解雇という措置も考えられます。裁判例には、就業規則に記載された解雇事由
「執務能力が著しく不良」(単なる勤務成績不良ではない)とは職場に適用する能力に欠ける場合に包含するもの解し、社会生活をして人間として常識に欠ける部分が多く、協調性に乏しく、職場に適用する能力に著しく欠いており、かつ将来の将来の改善に見込がないことから解雇を有効と認めたものがあります(東京高裁S421・24)。
本人の改善が認められない限り、もはや懲戒の問題ではなく、解雇措置も検討すべきと思います。
ご質問の前段ですが、退職者がでるほど職場環境が悪化し、職場秩序が相当に乱れていると思われますので、早急に関係者から事実確認(まずは被害を受けている同僚から)をし、職員において、設問のような言動が実際にあったならば、相当な事情が認められない限り厳重注意、懲戒処分、場合によっては解雇を検討すべきと考えます。また、これまで注意指導歴などから、本人の改善が認められない限り、もはや懲戒の問題ではなく、解雇措置も検討すべきと思います。また設問後段においてもBとCが一日中口を利かないことに対して、周りの職員も気遣い、あるいは不快に感じ、職場環境全体が悪化している考えられ、早急に手だてを講じるべきです。その際に、なぜBとCの中が悪いのか、その原因を探る必要があります。率直に上司がそれぞれから事実確認をすべきです。そしてその原因から事態を収拾する方法を模索すべきと思います。たとえそれが個人的なことであっても職場にそのような関係を持ち込むことは、職場環境を乱し職場に支障のある行為であるということは重大のことです。それゆえ法人は、そのような職員に対し、してはいけない事項であることを諭し、両者に気づかせるべきです。
そのような注意指導をしたうえで、なお改善しないということであれば、就業規則に従い懲戒などを検討すべきでしょう。又場合によっては、両名を同じ職場ではなく、別の職場に配置することも検討すべきでしょう。
看護職員を募集しても人が集まらず、医療現場の人員体制が急速に悪化している
全国の医療や介護、福祉現場で働く労働者で組織する日本医療労働組合連合会(医労連)は
5日、厚生労働省内で会見を開き、加盟する医療機関136カ所の6割で2024年度の看護職員の退
職者数が採用者数を上回っていたとする調査結果を公表した。医労連では看護職員を募集して
も人が集まらず、医療現場の人員体制が急速に悪化しているとし、看護職員の処遇や労働環境
の改善が急務だと訴えている。
調査は、看護職員の入退職に関する実態を把握するため23年から実施している。今回は、全
国の組合に加盟する医療機関を対象に25年4月1日-5月7日に実施。36都道府県、145の医
療機関が回答した。
4 月の新規採用で募集定員を満たせなかった医療機関は、40.7%に上った
24 年度の退職者数が採用者数を上回った医療機関は、回答した 136 カ所のうち 79 カ所で
58.1%を占めた。前年度の49.6%(61カ所)を8.5ポイント上回っており、医労連では看護職
員の人材不足が加速している状況が明らかになったとしている。
4 月の新規採用で募集定員を満たせなかった医療機関は、回答した113カ所のうち46カ所で
40.7%に上った。また、24年度の退職者数を同年度の採用者と25年4月の新規入職者で補充で
きた医療機関は98カ所(74.2%)だったものの、19.7%は不足を補えなかった。
看護職員の不足による医療提供体制への影響を聞くと(複数回答)、ケアの時間が確保できな
いといった「患者サービスの低下」が 44.8%で最多だった。次いで、「病床の削減」(20.7%)
や「入院の受け入れ制限」(17.9%)など。「病棟の閉鎖」という回答も 12.4%あった。
賞与が10 万円以上引き下げられた所では同年度の平均退職者数が全体より6人多かった
看護職員の人手不足に対し、多くの医療機関では夜勤回数や時間外労働の増加などで対応していた。
調査結果を報告した書記次長の松田加寿美氏は、24 年末の賞与が大幅に削減された医療機関
が多く、10 万円以上引き下げられた所では同年度の平均退職者数が全体より6人多かったと指
摘した。さらに退職者が採用者を上回った施設は64.3%で、全体の割合を 6.2 ポイント上回っ
ており、処遇の悪化が人材不足を招く一因になっていると強調した。求人をしても人が集まら
ず、「看護という仕事が選ばれない職業になってきている」と危機感を示した。
佐々木悦子中央執行委員長は「過酷な働き方とそれに見合わない低い賃金によって多くの看
護職員が医療現場を去っている」とし、看護職員の処遇改善を国に求めていく考えを示した。