介護

【介護】「更なる処遇改善について」の内容速報・2018年12月②

皆様、ご承知いのとおり2019年10月から処遇改善の新加算がスタートする予定です。安倍政権の方針である「介護職の給与を他の産業と同等水準までに引き上げる」を実現すべく、「更なる処遇改善」がこのほど発表されました。

今回の加算は多くの特徴がありますが、その一つに多職種への分配は認めらるようになった、ということでしょうか。

ともあれ、重要なのは、加算取得要件ですが、先般の発表では下記の内容に

なっておりますのでご確認ください。

●2018年12月12日 介護給付費分科会資料から

○ 加算対象のサービス種類として、現在対象としていないものも評価すべきとの意見もあ一方で、今般の更なる処遇改善は、これまでの数度にわたり取り組んできた介護職員の処遇改善をより一層進めるものであることから、これまでの処遇改善加算と同様のサービス種類としてはどうか。


○ 長く働き続けられる環境を目指す観点から、一定のキャリアパスや研修体制の構築、職場環境等の改善が行われていることを担保し、これらの取組を一層推進するため、
① 現行の処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)を取得している事業所を対象とすることとし、
あわせて、新たに、
② 処遇改善加算の職場環境等要件に関し、職場環境等についての改善の取組を複数行っていること
③ 処遇改善加算に基づく取組について、HPへの掲載などを通じた見える化を行っていること
を求め、①、②、③を加算の対象(取得要件)としてはどうか

以上です。

今回の加算の詳細を解説する緊急セミナーを2月5日(月)と3月12日(火)に行う予定です。セミナーの詳細はまた改めてメルマガなどでお知らせいたします。

 

 

介護事業者様向け情報(経営)12月号③

福祉施設でみられる人事労務Q&A
『突然出勤しなくなり、連絡が取れなくなってしまった
職員への対応』

Q:

毎日きちんと出勤していた職員が、突然連絡もなく急に出勤しなくなり、こち
らから電話をしても連絡が取れなくなってしまいました。出勤しなくなってから
1 ヶ月経過するため解雇として手続きを進めたいのですが、どのようなことに気
をつければよいでしょうか。

A:

職員が出勤せず、また連絡も取れないからといって、施設が当該職員に何も伝
えずに解雇することにはリスクが伴います。このような場合、職員への解雇の通
知方法として、公示送達があります。しかし、時間と手間を要するため、実務面
では就業規則などに一定以上の欠勤をした場合に自然退職となる旨の記載をし、
黙示の退職の意思表示があったとみなして運用する方法が考えられます。

詳細解説:

職員が突然無断で出勤しなくなり、勤務を続ける意思があるのかわからない
というようなことが稀に発生します。このようなとき、まずは電話をした上で、
出勤や連絡することを要請する手紙の郵送、自宅への訪問、身元保証人への
連絡等あらゆる方法で職員に連絡をするように努めることが重要です。しかし、
連絡が取れないまま、ある程度の期間が経過したような場合には、解雇を
検討することが考えられますが、これにはリスクが伴います。解雇は、施設が当該職
員に雇用契約を終了する意思を通知し、到達することが必要とされているためです。
したがって、今回のように連絡が取れなくなってしまった場合には、その通知ができず、
解雇することが難しいと考えられます。
職員と連絡が取れず、解雇の通知を行うことができないとき、法律上の手続きとして
公示送達という方法があります。公示送達は、簡易裁判所に申し立てをし、その内容を
裁判所の掲示板に掲示することによって行われ、この掲示から2 週間を経過した時点で、
相手方に解雇の意思が到達したとみなすという制度です。
しかし公示送達は時間と手間を要します。
したがって、実務としては就業規則等に、一定期間以上の無断欠勤を行った際は(黙示で
の退職意思とみなして)退職とする、という旨の規定を設け、一定期間経過後、自動的に
契約が終了する、自然退職として取り扱う方法がよく行われます。
ただし、実際に雇用契約を終了することについて何も知らせていないと、後日、退職の
取り扱いが不当であるとして争われてしまう可能性があります。そのため、就業規則に自
然退職となる旨の記載をした上で、到達しない可能性はありますが自然退職となることや
退職日等を内容証明などの方法で通知し、連絡を取ろうとしたことの経過や証拠を残して
おき、退職の扱い自体の有効性を高めるようにしましょう。

(次号に続く)

介護事業者様向け情報(経営)12月号②

福祉施設における年末賞与1 人平均支給額の推移

今年も年末賞与の季節を迎えます。ここでは厚生労働省の統計資料※から、福祉関連業種につい
て、直近5 年間(平成25 年~29 年)の年末賞与支給労働者1 人平均支給額(以下、1 人平均支
給額)などをご紹介します。

老人福祉・介護事業が2 年連続の増加に

児童福祉事業、老人福祉・介護事業、障害者福祉事業について、事業所規模別の年末賞与支給
状況は以下のリンク先の通りです。28 年に比べて1 人平均支給額が増加したのは、児童福祉
事業の5~29 人規模、老人福祉・介護事業の5~29 人規模と30~99 人規模、障害者福祉事業の
30~99 人規模となりました。特に老人福祉・介護事業は、両規模とも2 年連続で1 人平均支給
額が増加しました。
きまって支給する給与に対する支給割合では、老人福祉・介護事業の5~29 人規模が1 ヶ月分に
満たない状態が続いています。
支給事業所数割合では、児童福祉事業の30~99 人規模と障害者福祉事業の30~99 人規模が
100%となりました。

今年の支給額は、どのように変化するでしょうか。

※厚生労働省「毎月勤労統計調査」
詳細は次のURL のページからご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html

介護事業者様向け情報(経営)12月号①

介護が必要になったら誰に依頼したい?

将来身体が虚弱になり、日常生活の中で排せつ等の介護が必要な状態になった時、
誰に介護を頼みますか。今回は、内閣府が実施した調査※から、「介護を依頼したい
相手」の結果をご紹介します。

「配偶者」「子」「介護サービス」で9 割

「介護が必要となった時に依頼したい相手」について、「配偶者」「子」「ヘルパーなど介護
サービスの人」の3 回答で9 割近くを占めました。その構成割合は、男性は「配偶者」、
女性は「ヘルパーなど介護サービスの人」が1 位となりました。

男女別に見る「配偶者」と「子」の割合

男女・年代別の、「配偶者」「子」と回答した方の割合は、右グラフの通りです。
男性は、年代によって差があるものの、基本的には「配偶者」への期待が大きい傾向にあり
ます。一方、女性は男性に比べ、年齢とともに「子」への期待が大きくなっています。

※内閣府「平成29 年 高齢者の健康に関する調査結果(全体版)」
全国55 歳以上の男女3,000 人を対象に、29 年末~30 年1 月実施。
http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h29/zentai/index.html

(次号に続く)

介護事業者様向け情報(労務)12月号④

年次有給休暇取得義務化への対応に活用できる計画的付与制度

働き方改革関連法の成立により2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」
という)が付与される従業員について年5日の取得義務化が始まります。
これにあわせて年休の計画的付与制度を導入することを検討している企業もあるかと
思いますので、その手続きについて確認しておきましょう。

1.年休を取得する時季

年休の取得については、従業員が希望する時季に年休を与えることが原則となっています。
ただし、従業員が請求した時季に与えることが、事業の正常な運営を妨げる場合には、
他の時季に変更することができることになっています(年休の時季変更権)。
また、労使協定を結ぶことで、5日を超える分については計画的に会社が与える時季を
決めることができます(年休の計画的付与)。

2.計画的付与の方法

年休の計画的付与の方法としては、以下の3つの方法が挙げられます。

①企業全体等の休業による一斉付与

企業全体で年休を取得する日を決める方法で、製造業など一斉に休みにした方が効率的な
業態に向いている方法です。

②班・グループ別の交替制付与

企業全体で一斉に休みを取ることが難しい業態で、班・グループ別に交替で年休を与える
方法です。流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業で用いられることが
多くなっています。

③個人別付与

年次有給休暇付与計画表を作成することにより、与える日を従業員ごとに個人別で定め
る方法です。夏季、年末年始、ゴールデンウィークのほか、誕生日や結婚記念日など、
従業員の個人的な記念日を優先的に与えるケースも多くあるようです。

3.計画的付与を導入する際の手続き

計画的付与を実施するためには、就業規則に計画的付与により年休を与える旨を
記載した上で、労使協定を締結する必要があります。
労使協定で定める項目は以下のとおりです。

①計画的付与の対象となる従業員(あるいは対象から除く従業員)
②対象となる年次有給休暇の日数
③計画的付与の具体的な内容
④年次有給休暇を持たない従業員の取扱い
⑤計画的付与日の変更

なお、労使協定の労働基準監督署への提出は不要ですが、制度を導入するために
就業規則を修正した場合、届出が必要です。

年休の取得義務化により、年10日以上の年休が付与される従業員に対して、企業は何らか
の対応が必要になります。特にこれまで年休の取得率が低い企業や、1日も取得していない
従業員が多い企業では、計画的付与の導入も含め早急な検討が必要になります。就業規則の
見直しや労使協定の締結においてご不明点があれば、当事務所までご連絡ください。

(1月号に続く)

介護事業者様向け情報(労務)12月号③

省略が認められた雇用継続給付
申請時の従業員の署名

社会保険の各種給付を受けるときなどには、申請書に従業員(被保険者)本人の
記名押印または署名(以下、「署名」という)が必要になります。2018年10月より、
雇用保険の雇用継続給付(高年齢雇用継続給付・育児休業給付・介護休業給付)について、
一定の手続きを行うことで、従業員の申請書等への署名が省略できるよう手続きが
簡素化されました。そこで以下では、高年齢雇用継続給付の手続きを例に挙げて、
簡素化された手続きの内容を確認することにします。

1.雇用継続給付の申請手続きの流れ

高年齢雇用継続給付を受給するときには、まず「雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金
証明書」および「高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続支給申請
書」をハローワークに提出します。これらを提出することにより、対象となる従業員の高
年齢雇用継続給付の受給資格があるかを確認でき、また、給付額の基礎となる賃金月額が
決定します。
その後、原則として2ヶ月に1回、ハローワークから指定された支給申請の時期ごとに
支給申請の手続きを行うことで、従業員に給付金が支給される仕組みとなっています。

2.簡素化された手続き

1.に掲げた手続きでは、それぞれの申請書等に被保険者が署名する欄があり、申請の都
度、署名が求められることから、会社と被保険者間で申請書等のやり取りが頻繁に発生し
ていました。
これを簡素化するために、会社が申請内容等を被保険者に確認し、被保険者の合意のも
と「記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書」(以下、「同意書」という)を作
成し保存しておくことで、申請書等への署名を省略することが認められました。

3.署名を省略する場合の申請書

2.に掲げる方法により被保険者の署名を省略して申請書等を提出する際には、通常通り
申請書等を作成した上で、署名する欄に「申請について同意済」と記載することになって
います。なお、この署名の省略については電子申請で申請するときも同様です。

ここでは、高年齢雇用継続給付を例としてとり上げましたが、育児休業給付および介護休
業給付においても同様の取扱いとなります。特に育児休業中の従業員とは、郵送での申請書
等のやり取りが多いかと思いますので、会社・従業員双方の利便性を考慮し、このような仕
組みを積極的に活用したいものです。なお、同意書についてハローワーク等に提出する必要
はありませんが、完結の日から4年間の保存が求められます。同意書を適切に保存していな
い場合は、不正とみなされる場合があるため、注意しましょう。

(次号に続く)

介護事業者様向け情報(労務)12月号②

把握が必要となる管理監督者の労働時間の状況

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とその顧問先の
総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長働き方改革関連法の時間外労働の上限規制に対応するため、取組みを進めて
     います。その結果、一部の部門で、部下に一定時間以上の残業をさせること
     ができず、溢れた業務を管理監督者がカバーするという状況が発生しています。
社労士 :そうですか。いまの状態は部下の業務が、管理監督者に移っているだけです
     ので、問題がありますね。管理監督者の過重労働が懸念されます。
総務部長:当社では管理監督者も含めて、原則午後10時以降の残業を禁止し、また法定
     休日についても出勤を禁止するなど、最低限の過重労働対策はできているよ
     うに思いますが、実際、管理監督者が何時に出社し、何時まで残っているの
     かを正確に把握できていない状況にあります。
社労士 :管理監督者であっても、深夜労働(午後10時から翌朝5時まで)に対する割増
     賃金の支払いが必要となります。原則午後10時以降の残業を禁止していると
     いう話でしたが、もし管理監督者が午後10時以降に業務を行っていた場合は、
     どのような手続きを行うことにしているのでしょうか?
総務部長:はい、深夜労働については一般従業員と同様に残業申請を行い、本人の申請
     に基づいて割増賃金を支給しています。当社では一般社員についてはタイム
     カードを利用していますが、今後は管理監督者についても、タイムカードに
     より労働時間を把握した方がよいのでしょうか?
社労士 :はい、そうですね。そもそも労働時間の把握については、「労働時間の適正
     な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(2017年1月20日
     策定)」に基づいて行うことになりますが、管理監督者は対象者から除かれ
     ています。しかし、働き方改革関連法の一つとして労働安全衛生法が改正さ
     れ、2019年4月より、過重労働対策の観点から、タイムカードやパソコンのロ
     グオフの記録など客観的な方法その他適切な方法により、労働時間の状況を
     把握していく必要があるとされました。
総務部長:割増賃金の支払いではなく、過重労働対策から労働時間の状況を把握する必要
     があるのですね。それでは来年4月より、管理監督者についてもタイムカード
     を利用できるように準備を進めたいと思います。

【ワンポイントアドバイス】
1. 労働安全衛生法が改正され、2019年4月より管理監督者についても過重労働対策から労働
時間の状況の把握が必要となる。
2. 管理監督者は、労働基準法の労働時間や休憩、休日等の規定は適用されないが、深夜労働
に対する割増賃金の支払いは必要である。

(次号に続く)

介護事業者様向け情報(労務)12月号①

2019年4月より電子メール等による労働条件の明示が可能に

雇用契約を締結する際、会社は労働基準法の定めに従い、従業員に対して労働条件を明示する
必要があります。明示する労働条件の一部については、書面で行うことが義務付けられて
いますが、労働基準法施行規則が改正され、2019年4月から書面以外で明示する方法が
認められることになりました。

1.書面での明示が必要な労働条件

労働基準法で定められている労働条件の明示事項は全部で14項目あります。そのうち、
以下の①~⑥(⑤のうち、昇給に関する事項を除く)については、従業員への書面の
交付による明示が義務付けられています。

①労働契約の期間に関する事項
②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
③就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
④始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇
 並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
⑤賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの
 方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

2.電子メール等を用いた明示

今回、1.に掲げた項目について、従業員が希望した場合にはファクシミリの送信や
電子メールなど、書面以外により明示することが認められることになりました。
ただし、電子メール等で明示するときには、従業員自身が電子メール等の記録を
出力することにより書面を作成することができるものに限るとされているため、
この条件を満たしているかを確認しておく必要があります。

3.パートタイマーに必要な明示事項

パートタイマーやアルバイトなどのパートタイム労働者については、1.に掲げた
項目に加え、パートタイム労働法により「昇給の有無」、「退職手当の有無」、
「賞与の有無」、「雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口」の
4つの項目について、文書の交付等による明示が義務付けられています。
上記4つの項目については既にファクシミリの送信、電子メールの送信が
認められています。ただし、電子メール等で明示するときには、2.と同様に
従業員自身が電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することが
できることが条件となっています。

特に有期契約のパートタイム労働者が多い企業では、労働条件通知書を書面で作成し、
交付することに多くの時間を割いているかと思います。また、労働条件の明示が適切に
行われていなかったことでトラブルが発生することもあります。電子メール等での交付も
含め、これを機会に労働条件の明示の徹底を進めておきたいものです。

(次号に続く)

【介護】人材育成・ブログ 2018年12月①

「職員の人財育成は理念から」というテーマで10月から皆様にお伝えしております。
理念を職員に浸透させるために、多くの施設はいろいろな「工夫・仕掛け」をされています。
工夫、仕掛けというと「経営理念を覚えさせる」というケースがあります。よく見かけるのは「クレドを作成して職員に携帯させる」「毎朝の朝礼で唱和する」「きちんと覚えているか確認テストをする」などの取り組みです。「浸透させるために記憶させるという方法論は間違っていないように思えます。しかし、確認テストも記憶させる手段としては悪くないでしょうが、一言一句正確に覚えさえすれば、経営理念は浸透するのでしょうか。浸透とは「水などが、しみとおること」「思想・風潮・雰囲気などが次第に広い範囲にいきわたること」です。したがって経営理念の浸透とは「法人に従事する全職員へ、理念の意味が理解され、日々の行動に落とし込まれていくこと」ですから、唱和や暗記テストによって単に暗記するだけでは、浸透に至らないことは明らかです。
浸透するまでには3つのステップが必要と考えています。それは「認知」(知っている)→「共感」(経営理念に基づく行動が行われ始めている)→「共有」(経営理念が当たり前の行動になっている)の3ステップです。
「経営理念が浸透しない法人の共通課題」
調査の結果、経営理念が浸透しない法人には次のような共通の課題があることがわかりました。①経営理念の策定時に職員がかかわっていないことが多く、理念策定の背景や意図が共有されていない②経営理念の表現が抽象的過ぎて理解しにくい。そのため、自分は何をすべきかわからない③経営理念浸透に向けた取り組みの本来の目的が見失われ、取り組みが形骸化している。
一つ目は、設立年数が長い法人や急成長した法人に特に多くみられる課題です。経営者の交代や職員の入退職によって経営理念を深く理解している人材が少なくなり、理念の背景や意図が伝わらず浸透しないのです。また後者では急激な人員増で経営理念を深く理解している人材の比率が急激に減り、浸透が人員増のスピードに追い付かない状態の陥るためです。

二つ目の課題は、経営理念は法人の目的や存在意義そのものを表すために、表現が抽象的になりがちです。そして抽象的であればあるほど、受け手側の解釈に幅が出るためブレが生じやすくなります。

三つ目の「形骸化」については、浸透の取り組みを行っていても、その取り組み自体が目的になるなどして、経営理念が形骸化している組織が少なくありません。形骸化している法人の典型例としては、経営理念が日々の意思決定や行動と一致していないことです。例えば、経営理念が意味するものが、経営幹部の意思決定や職員の行動規範(業務マニュアルや人事評価制度)に反映されていないケースです。これは決して珍しいケースではありません。

以上三つの共通課題を抱えた組織は・職場では、職員は経営理念の本質を体得することが出来ず、いつまでたっても理念がお飾りのままになってしますのです。
それでは、これらの問題を解決し、経営理念を浸透させるためにはどうすればよいのでしょうか。

次回には、その具体策を紹介させていただきます。お楽しみに。

介護事業者様向け情報(経営❷)11月号

10月に2回開催された「未来投資会議」のポイントを
おさえておきましょう

10月5日(金)・22日(月)に「未来投資会議」が開催

「経済財政運営と改革の基本方針(=骨太の方針)2018」「未来投資戦略2018」が2018年6月に
発表されて以降、初めての開催となった未来投資会議。2018年10月には5日、22日と立て続けに
2回、会議が開催されており、今後の介護経営においても関係が深そうな情報が幾つか散見されて
います。
今月のニュースレターでは、特に認識・確認しておいた方が宜しいかかもしれない情報を
大きく4点、ピックアップして皆様にお届けさせていただきたく思います。
「これらの動きが具体化した場合、自社としてどのように取り組んでいくべきだろうか?」
是非、そのような視点を持ちつつ、目を通していただければ幸いです。

介護事業者として注目すべき内容とは

それでは早速、中身を確認してまいりましょう。
先ずは業界云々に関係なく、企業としておさえておくべきポイントについてです
(趣旨を損なわない前提のもと、一部、弊社責任にて加筆修正しています)。

【企業としておさえておくべきポイント】

1)一人ひとりが生み出す付加価値を引き上げていく観点から、AI(人間で言えば脳に相当)、
センサー(人間の目に相当)、Iot(人間の神経系に相当)、ロボット(人間の筋肉に相当)
といった第4次産業革命による技術革新について中小企業を含む広範な生産現場への浸透を
図るなど企業の前向きな設備投資を引き出す取組が必要である。
また、AIやIot、センサー、ロボット、ビックデータといった第4次産業革命がもたらす
技術革新は、私たちの生活や経済社会を画期的に変えようとしている。
技術革新を現場に積極的に取り入れ、労働生産性の向上を図る。

2)人生百年時代に向けて、意欲ある高齢者に働く場の準備を進める。
(具体的な切り口・視点)
・65歳以上への継続雇用年齢の引き上げに向けた検討
・高齢者未採用企業への雇用拡大策
・AI・ロボット等を用いた高齢者のための職場環境整備
・在宅勤務など就業機会の多様化による高齢者のための就業機会整備

1)に関しては、我々介護業界においても“地殻変動”とも呼べる動きが始まっている事は
皆様も既に肌で感じられている事かもしれません。ケアプランや、個別機能訓練計画書を
始めとする各種計画書作成におけるAI活用の動き。センサー機器にIot技術を掛け算して
活用することでベッドからの離床情報を夜勤スタッフに届け、夜中の巡回等をラクにしたり、
或いはエアコンにセンサー及びIot技術を活用することで、人が部屋に滞在しているか、
また、睡眠状態はどうか、活動量はどうか、などをスタッフルームに居ながらも知ることが
できる動き(=スマートエアコン)。はたまた、介護者の膝や腰に負担をかけがちな、
「移乗・移動」領域でのロボット開発の動き等々、未来の現場業務のあり方を大きく
変革させる動きは今後もますます加速してくるものと思われます。
事業者としては、これら変革の動きをどう前向きに自社に取り込めるか?について、
積極的に頭を捻る必要があるのではないでしょうか。

また、2)に関しては事業者各々における今後の「人財戦略」としても、とても重要な
テーマになり得るものと思われます。2016年には6.6万人だった100歳以上の人口が
2049年には51.4万人にも膨れ上がると予想される中(厚生労働省・人口問題研究所調べ)、
まだまだ一定の工夫があれば現役で働き続ける事が可能、という高齢者(65歳以上)も
数多く存在していることは皆様も肌でお感じになられている事でしょう。
また、これらの動向と1)の第4次産業革命を掛け合わせることで、上記「具体的な視点・
切り口」にも在るように「高齢者のための職場環境整備」を促進させることも可能です。
その意味でも、この1)と2)は“対の関係”として捉える視点も、介護経営者としては
備えておく必要があると思われます。
最後に、上記1)2)の背景に在る重要データをお示しさせていただきます。

高齢者を従来通りの「65歳以上」と定義するとなると、現役世代(18~64歳)の
負担は相当重くなることは自明です。一方、現役で
活動できる期間をあと10年延ばすことが出来れば、現役世代(18~74歳)の一人当たり
負担を相当引き下げることが可能になります。
今の子供たち、及びその次の世代の事を考えると、このような社会づくりは、我々
現役世代にとっては「必達目標」として捉える必要がある、とも感じる次第です。

続いて、今度は特に、介護経営に大きな影響を及ぼしそうなポイントを2点、
ピックアップしてご紹介させていただきたいと思います。

【介護経営に関連が深そうなポイント】

1)糖尿病・認知症予防、フレイル(高齢者虚弱)対策等のため、保険制度の中で
保険者へのインセンティブ措置を手当する。
2)複数の医療法人・社会福祉法人の合併・経営統合、共同出資による新たな法人の
設立、グループ化・運営の共同化の検討を進める。

1)の「保険者インセンティブ」については、2018年度の法改正にも重要アジェンダの
一つとして提起された記憶をお持ちの方も多いと思われます。また、10月22日の会議に
おいては、安倍首相自らも次のような発言のもと、本テーマに対する意気込みを語って
おられました「介護の予防についても、介護事業者等に対するインセンティブ措置の
強化を進めてまいります。この課題についても、ずいぶん前から議論されたことで
ありまして、20年前くらいに私は自民党の社会部会長というものをやっておりまして、
これを提言したのですが、今日までそのままになったのですが、やっとこれをいよいよ
実際に実現できる時を迎えている。また、そうしなければならない、こう思っている
ところでございますので、引き続き、関係大臣におかれては、年末の中間的な報告に向けて、
検討を進めていただきますようによろしくお願いいたします(以上、首相官邸HPより抜粋)」。
前回の法改正においては「頑張って成果を上げた保険者にはインセンティブを付与する」
という加点方式の採用のみで着地した本テーマですが、今後は現状の加点方式に加え、
財務省が提唱する減点方式(=成果を上げられない保険者にはディスインセンティブが及ぶ)
も恐らく議論の俎上に再びあがってくるものと思われます。事業者としてはあらためて、
この点を認識しておく必要があると言えるでしょう。
最後に、2)に関しては「いつでもどこでもケア(=地域の高齢者が、外出困難でも、
データに基づき、個人に最適な医療やケアをオンライン医療やIoTによる見守りサービスを
組み合わせた形で、安心して在宅で受けられるように)」というテーマの中で記載された
内容です。推察するに、今後、第4次産業革命の流れを積極的に汲みつつ、環境変化に
適応していくためには、今まで以上の経営の高度化及び大規模化(=投資余力を持つ、
という意味)が不可欠になってくる、ということなのでしょう。
そのような中、あくまで私見の範囲を出ないもの、今から5年ほど前に議論されていた
「非営利ホールディングカンパニー型法人」のスキームが今後、現実化・具体化されて
くるのかな、ともあらためて感じる次第です。

早めに思考と心の準備を

以上、2018年10月5日、及び22日の同会議資料より情報を抜粋してお伝えさせて
いただきました。未だ全てが議論途上である点は注意が必要ですが、ここまでの議論の
成熟度合や会議参加者の方々の顔ぶれ、及び方向性の裏付けとなる種々データ等を勘案するに、
現時点で議論されている内容が今後の国の施策に様々な形で反映されてくる可能性は極めて
高い、とみておいて差し支えないのではないでしょうか。
介護経営者・幹部の皆様におかれましては冒頭にもお伝えさせていただいた通り、
「これらの動きが具体化した場合、自社としてどのように取り組んでいくべきだろうか?」
との問いを立てつつ、事前に頭を働かせておかれることを是非、おススメする次第です。
我々も今後、更に有益な情報が入り次第、迅速に皆様へお伝えしてまいります。

※本情報の参照元である「未来投資会議」の詳細情報はこちらから
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/

(12月号に続く)

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