コラム

職員に問題行動を起こさせない採用とマネジメントのポイント

理念や方針に従わない。他の職員に悪影響を及ぼす。院内の雰囲気を悪くする    。問題職員に頭を悩ませる医療機関は多いのではないでしょうか。職員の問題行動を防ぐにはどんな取り組みを行うべきなのか。医療法人社団SEC新宿駅前クリニックの蓮池林太郎院長に問題職員対策について解説してもらいました。

問題職員の入職を防ぐ4つの基本的対策

問題職員対策としてはまず「問題職員を採用しない」ことです。「人事の8割は採用」と言われるほど採用は重要で、どれだけ優秀な経営者や管理職でも、問題職員を教育で変えることは非常に困難です。

とはいえ、優秀な採用担当者でも書類選考や面接だけで本質を見抜くことは難しいというのが実情。ただ、問題職員を採用する確率を下げる方法はあります。最低限、次の4つは行うべきです。

■トライアル勤務

トライアル勤務で能力や人柄がある程度わかります。主な職種の確認すべきチェックポイントは次の通りです。

医師=能力(判断力、説明力、患者さんからのフィードバック、診療スピード)、人柄(患者対応、看護師や医療事務への対応)

看護師=能力(点滴、注射などの手技、臨床知識など)、人柄(患者対応、同僚との相性、医師や医療事務への対応、業者への対応)

医療事務=能力(受付対応、入力速度と正確性、レセプト、電話対応など)、人柄(患者対応、同僚との相性、医師や看護師への対応、業者への対応など)

トライアル勤務には応募者にもメリットがあります。どのような人がいるのか、どんな仕事内容なのかなどを体験しながら確認することができるからです。トライアル勤務を挟むと本人から辞退の申し出があるなど入職率は下がりますが、ミスマッチを防ぐという意味では互いにメリットがあります。

もちろん、トライアル勤務ですべてはわかりませんが、予防策としては優れています。

■同職種を含めた複数人面接

1人での面接の場合、どうしても見落としがでてしまう可能性が高くなります。人柄や能力、性格や相性などは複数人で確認すべきです。看護師や医療事務職は面接については素人ですが、業務スキルや経験、相性の確認などは現場職員のほうが長けていると言えます。また、「自分も一緒に選んだ」という責任感から、入職後の面倒をみたり問題行動を指摘したりしてくれるようにもなります。

■相場より高い給与での募集

当たり前のことですが、給与が高いと優秀な人材の応募確率は上がりますが、注意が必要なのが事務職です。医師や看護師などの専門職は地域の医療機関の求人情報などを確認すれば相場は把握できますが、事務職の場合、一般企業の相場も確認したうえで設定すべきです。たとえば事務長などの場合、500万円以上にしないと優秀な人は応募してこないと思います。また、新しく募集する職員の給与を上げた場合、既存職員の給与も上げる必要があります。

■「長く働いてほしい」を強調

求人広告やホームページ、面接時やトライアル勤務時にも「長く働いてほしいので合わないと思うなら辞退してほしい」と強調するのも大切。人手不足の現在、他にも職場はあるため「合わない」という人は応募してこなくなる可能性が上がります。大切なのは応募者を増やすことではなく、自院に合う人材に応募してもらうことです。

面接時に注意したい問題化しやすい人の傾向

経験則になりますが、問題化しやすい人の特徴も挙げておきます。

■攻撃性が強い

面接の質問に対してはっきりとものを言う「攻撃性が強い」人は、積極的な言動もあり頼りになりそうな印象を受けます。仕事ができる人も多いのですが、同僚にも攻撃的な姿勢をとる傾向があります。攻撃性が強い人が入ってきたことで離職者が増え、ひどい場合は組織が崩壊してしまうこともあります。攻撃性が強い人は、チームワークが重要な医療機関には向いていないと思います。

■転職を繰り返す

転職を繰り返している人は採用後、すぐに辞めてしまう傾向があります。また、仕事を辞めることに抵抗がなく、職場の輪を乱すなど問題化の確率も上がります。仕事をしていない期間が長い人も要注意です。子育てなどきちんとした理由がある場合は問題ありませんが、試用期間途中に退職を繰り返していたことなどを隠している可能性もあるからです。履歴書を見て、きちんとチェックすべきです。

■副業をしている

副業自体は非難されることではありませんが、採用する際には確認する必要があります。なかには副業が主業で、医療機関での勤務を「副業」とみなしている人もいます。こうした場合は副業優先となり、嫌なことがあると辞めてしまいやすい傾向があります。医師や看護師などは資格があり給与が良いのでやっているだけで、本当はやりたくないという場合もあります。

■持病がある(精神疾患)

当たり前かもしれませんが、精神疾患に罹患している人は、仕事を休んだり、辞めたりしやすい傾向にあります。

問題行動の予防には緊張案とルール順守が必要

問題職員を入職させないことが最も重要ですが、職員に問題行動を起こさせないための仕組みづくりも必要です。これに関しては次のような方法があります。

■誓約書の提出

誓約書にルールや禁止事項を記載しサインしてもらいます。そうすれば「きちんとルールで運営されている」「変なことはできない」という印象を与えることができます。

■身元保証書の提出

誓約書と同時に身元保証書も提出してもらいます。身元保証人は親が良いでしょう。連絡先として電話番号も記載してもらうと抑止力にもなります。なお、身元保証人の損害額の上限記載がない身元保証書は無効ですので注意が必要です。

■マニュアル化する

業務内容や患者対応などをマニュアル化しておきます。ルールを決めるといちいち指摘する回数が減り、無駄な軋轢が減らせます。また、マニュアルからずれた対応をした場合も指導しやすくなります。

■定期的なコミュニケーション

定期面談や食事などのコミュニケーションも有効です。悩みごとやトラブルをいち早く察知でき、モチベーションを上げるために感謝の気持ちを伝えられます。「勤務時間外は・・・」という人もいるので、勤務時間中に場を設けるなど本人の希望を優先させます。

■人事評価を行う

いくら仕事ができて価値観が合致していても、信頼して任せっきりにするとさぼったりやる気をなくしたりすることもあります。常に緊張感が必要で、定期昇給以外に働きを評価し、賞与や特別手当等を支給する人事評価も効果があります。緊張感により「常に評価されている」という意識が芽生えます。

 

問題職員が発生した場合は速やかに辞めてもらうことが重要ですが、職員に落ち度があっても正職員を解雇するのは難しいのが現状です。仕事を突然何日か欠勤しても、勤務時間中にスマホゲームをしても、院長の悪口を言っていても、すぐに解雇することはできません。退職勧奨も間違えると労働争議につながる恐れがあるので、必ず、弁護士や社会保険労務士の指導の下で行ってください。

労務トラブルをネットで検索すると、多くの情報が出てきます。無料でメール相談を行っている弁護士事務所もあるので、医療機関側としては注意する必要があります。

労務トラブル回避の一番の予防策はきちんと法令順守すること。当たり前のことですが、きちんとできていないところは少なくないと思いますので気をつけてください。

改めてBCP(業務継続計画)について ~作成にとどめず、発動に向けた組織内の共有を~

 

昨年の8月、宮崎県で発生した地震をきっかけに、将来起きるとされる南海トラフ巨大地震について、国として初めての「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発せられたことは、読者の皆様の記憶にも新しいところだと思います。

■ 多くの園で、BCPは「作成されたまま」の状況となっている

 本稿でもたびたびふれていますが、2022(令和4)年12月の厚生労働省の事務連絡により、保育所を含む児童福祉施設等には、感染症と自然災害の発生を想定したBCP(業務継続計画)の作成が求められることとなりました。

  上述の事務連絡と併せて、同計画のひな形も示されており、以降、第三者評価でお訪ねする各園でも、作成にあたってはこれが最も多く用いられています。

  安全計画とは異なり、BCPの作成は努力義務にとどまっていますが、行政の指導検査への対策とも相まって、ほとんどの園で作成までは済んでいます。

  ただし、事務連絡でも要請されている「必要な研修及び訓練を定期的に実施すること」「定期的に業務継続計画の見直しを行うこと」については、特に前者の研修・訓練は、多くの園で行われていないままの状況です。

■ 実際の災害では、避難を終えた後にも、日常と異なる様々な状況が待っている

  災害に関して言えば毎月の避難訓練、感染症については日々の清掃・消毒や定期的に行う下痢・嘔吐発生時の対応に関する実技研修など、平時の対策や「起こった時」の対応については、どの園でも取り組みが行われています。

  しかし、避難訓練の場合、一連の職員・子どもの動きなどを確認した後は、いつもの日常の生活に戻るまでであるのに対し、実際の大規模災害では、避難し終えた後も、日常とは異なる様々な状況が生じ、それがいかなるものであるか、災害が起こってみるまでわかりません。

  その中で子どもや職員の安全を守り、時にはライフラインが途絶しているなかで、子どもたちと共に一定期間を園で過ごしたり、地域とも連携し、福祉避難所として園を開放したりする必要も生じます。

  また、園の立地などによっては、避難したまま別の場所で、各家庭にすべての子どもを引き渡し終えるまで、保育や種々のケアを継続することとなるでしょう。

  BCPはそのための計画であり、平時の避難訓練では想定されていない、「起こった後」の体制や行うべき事柄が定められるものです。

■ BCPを組織全体で共有し、有事の際の運営の継続をあらかじめ想定しておこう

  災害が開所時間中に発生するか、夜間や休日に起きるかにもよりますが、開所中の発災であれば、一連の避難行動を終えてから初めてBCPを組織内で確認するよりは、事前に概要を共有しておいたり、その後の対応の流れを各職員があらかじめ知っていたりするほうが望ましいことは言うまでもないでしょう。

  今年お訪ねしたある園では、実際の災害を、施設の損傷や電気・ガス・水道の停止、けが人の発生などまで具体的に想定して、BCPに定める対策本部を設置し、取るべき対処をシミュレーションする訓練を行っていました。

 こうした訓練は、多くの園で毎年行っているであろう、保護者との通信や子どもの引き渡しに関する連携確認、あるいは心肺蘇生・応急手当等の実技研修などと組み合わせて行うことも可能ではないかと思います。発災から避難、避難終了後は園内の状況の確認と、負傷したり、ショックを受けたりしている子ども・職員の手当て、園内の関係者全員の安否確認などを並行して行い、その時点で利用可能な通信手段によって子どもの状況を保護者へ連絡するとともに、それ以降の業務継続について検討する、といった一連の流れを、模擬体験してみるイメージです。

  感染症に関しては、先の新型コロナウイルス対策に忙殺された数年間の園運営から、概ねの運用は想定可能ではないかとも思いますが、園内の発生・まん延状況に応じた継続的な対応について、BCPに基づいて実際の措置を検討しておくとよいのではと思います。

■ 様々な情報を収集し、BCPの計画としての有用性を高める工夫も

  上記の国のひな形は、項目別に記入欄が設けられているだけのごく簡素なものであるため、園によっては作成に苦心することもあるでしょうし、内容の質というか、計画としての実用性・有用性には、園ごとにばらつきが生じるのではという印象も否めません。

  そうした場合は、介護施設向けの各ガイドライン(※)など、インターネット等で入手可能 なほかの資料も参考として、計画内容の具体化を図ることも一策でしょう。

令和6年度介護労働実態調査結果 離職率に関するデータを確認しましょう

「介護労働実態調査」の調査結果が発表

2025年7月28日、2005年度から続く「介護労働実態調査」が公益財団法人介護労働安定センターより発表されました。本実態調査は「事業所における介護労働実態調査」と「介護労働者の就業実態と就業意識調査」の2種類に分かれておりますが、今回のニュースレターでは「介護労働者の就業実態と就業意識調査」の中から、「離職(⇔定着)」というテーマに沿って、事業者として特に認識・確認しておいた方が宜しいかもしれない情報・データを大きくピックアップし、皆様にお届けいたします。「この視点において、自社の実情はどうなっているのだろうか?」是非、そのような視点を持ちつつ、目を通していただければ幸いです。

 

【厚生労働省「雇用動向調査」における離職率】

介護職員の離職率は12.8%、訪問介護職員の離職率は11.4%、と、今回の調査結果では過去の実績と比較して最も低い数値を更新しています。また、「厚生労働省「雇用動向調査」における離職率」に目を移してみると、令和6年度の数値はまだ出ていないものの、傾向から推測する限り、恐らく全産業平均よりも低い数値で収まっている可能性が高く、その意味でも注目すべきデータではないかと思われます。

では、次のデータを確認してまいりましょう。「2職種計の採用率と離職率の分布」についてです。

【2職種計の採用率と離職率の分布】

離職率に関しては「10%未満」と回答している事業所が53.6%に上っています。その他の数値も含めて見る限り、また、筆者の現場感覚を踏まえても、「低い離職率で収まっている事業所」と「そうでない事業所」の2極化が現実として進んでいるのではないか、と推測できるところです(この傾向は以前からありましたが、離職率10%未満が53.6%にまで上昇しているのも注目すべきところかと思います)。

次のデータは「訪問介護員、介護職員の年齢階層別採用率と離職率」についてです。

【訪問介護員、介護職員の年齢階層別採用率と離職率】

2職種各々で見ても29歳以下、即ち若手世代の離職が多いことがわかります。転職先が業界内であれば、「流出していない」という意味でまだ安心(?)できるところではありますが、他業界へ流出している可能性もあるかもしれないことを考えると、やはりこの「若手」の離職についてはより一層、様々分析を行うことが必要ではないかな、と感じる次第です。

次のデータは「現在の職場を辞めずに働き続けることに役立っている職場の取り組み(複数回答)」についてです。

【現在の職場を辞めずに働き続けることに役立っている職場の取り組み(複数回答)】

「人間関係が良好な職場づくり(47.2)」「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり(43.2)」が突出して高いことはあらためて注目かもしれません。一方、これらを実現するとなると、「ギリギリの人員で現場を維持する」という考えではなかなか難しいかもしれず、逆に申し上げるなら、「多少の人員余裕を許容できる程度の経営基盤をどうつくっていくか」が大きなポイントになるかもしれない、と感じる次第です。

それでは最後に「直前の介護の仕事を辞めた理由」についてのデータを2つ続けて見てまいりましょう。こちらは毎年、「職場の人間関係」及び「事業理念や運営のあり方への不満」が最上位に上がってくるわけですが、それらをもう一段階掘り下げたデータを確認してまいりたいと思います。下記のデータは「辞めた理由が職場の人間関係の問題の場合の具体的な内容(複数回答)(直前の仕事が介護関係)」についてです。

【辞めた理由が職場の人間関係の問題の場合の具体的な内容(複数回答)
(直前の仕事が介護関係)】

大きな要因の多くに「上司」「先輩」という言葉がみられるところは要注目かもしれません。「リーダー陣の言動や振る舞いが人間関係に大きな影響を及ぼす傾向が高い」とするならば、リーダーの選抜は勿論のこと、スキル面やメンタル面においても、法人としてリーダーへのサポートをより充実させる必要があるかもしれないな、と感じた次第です。
最後のデータは「辞めた理由が事業理念や運営のあり方への不満の場合の具体的な内容(複数回答)(直前の仕事が介護関係)」についてです。

【辞めた理由が事業理念や運営のあり方への不満の場合の具体的な内容(複数回答)
(直前の仕事が介護関係)】


人間関係に関するデータと異なり、突出した要因がない(とはいえ多くの要因が30%以上)ところが大きな特徴のように見えますが、総じて経営陣が考える「理想」と現場の「現実」のギャップに依るところが大きいかもしれず、その意味においてはこの点におけるコミュニケーションの充実がより一層求められるのかもしれないな、と感じた次第です。

自社の現状を把握し調査結果と比較することで対応を検討


以上、概要・ポイントをお届けいたしました。まだまだ様々な視点のデータが公表されておりますので、詳細は下記URLを参照いただければと思います。
介護経営に携わる方や人事・組織づくりに携わる皆様は、自社の現状を把握し、調査結果と比較することにより、様々な気付きや学び、或いは改善のヒント等を得ることが出来るものと思われます。そのような視点で是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

※引用元資料はこちら
事業所における介護労働実態調査結果報告書(令和6年度)
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/

Q、弊社では各事業所の責任者(所長)である管理者は、労基法上の管理監督者としての扱いで、残業代や休日労働の手当を支給していません。ただ、遅刻、早退、欠勤があった場合には、一般社員と同様に給与を減額しています。管理監督者の扱いに関してこの方法で問題ないでしょうか?

A 労働基準法41条の除外規定として、労基法上の管理監督者は深夜業務を除く、労働時間に関する規定は適用されないと定めています。

まずは、労基法上の管理監督者とはどのよう方を指すのかを確認しておきたいと思います。ここでいう、「管理監督者」とは下記の要件を全て満たす方を指します。

1,人事権を持ち、事業経営にも参加している(ここでいう人事権とは、いわゆる異動を含む人事権で、人事評価しているだけでは不十分)

2,自分自身の勤務時間について自由裁量が認められている

3、一般社員と比べて、十分な報酬を得ている

これらの3点を、勤務の実態として適用されている必要があります。単に役職名では判断できません。つまり休日、時間外労働の規制をうけない「管理監督者」に該当するかどうかは、具体的な権限や給与、勤務実態で判断が必要ということになります。

例えば、多くの介護事業所ではシフト勤務で勤怠管理を行っていますが、常態として勤務シフトに入っている働き方をしているような管理者がいた場合、勤務時間の自由裁量がないと判断され、管理監督者ではなく、一般社員とみなされる可能性もあります。

先ほど、管理監督者に該当するか否かを判断するときに、単に役職名での判断ではなく、勤務の実態で判断しなければならないとしましたが、多くの介護事業では職責(役職)で、それを判断している場合が多い上に、介護保険制度における「管理者」と労基法における管理監督者を混同してしまうケースもあるので注意が必要です。一般的には、理事長、社長、施設長、事業所長、事務長くらいまでの立場の方がそれに該当するケースが多いと考えられます。もし、それ以下の役職の方(例えば、主任、副主任やリーダー等)を管理監督者の扱いにして残業代などを支給していない場合は、一度、その方の業務や給与の実態を確認してみる必要があると思います。その結果、管理監督職に該当しない方に、残業手当等を支給していない場合には、労基署からは残業代未払いの扱いとして、「3年間分を遡及して」支払うといった是正勧告を受けるリスクがあります。

 

 2,また、管理監督者には残業代は支給されませんが、勤務時間管理自体は必要となります。

これは、給与計算上の必要性ではなく、管理監督者の健康管理の問題によるものです。管理監督者はその責任の重さから、過重労働になってしまうケースは相変わらず多く、それが深刻化するとメンタル疾患につながる場合も見られます。従って、経営者や人事担当者は管理監督者の労働時間には常に注意を払い、管理監督者の健康管理に十分注意することが重要です。

 

 3,今回ご質問のあった管理監督者における遅刻・早退・欠勤に関する給与の扱いについて

その方が管理監督者に該当することを前提とした場合に、先述の要件の「勤務時間の自由裁量」の点が問題になります。つまり、管理監督者は勤務時間に裁量が認められていることから、始業時刻から遅れて出社(遅刻)しても給与減額扱いにはなりませんし、また終業時刻より遅くなっても残業手当はつかないことになります。

ただ、欠勤の扱いにつきましては、管理監督者であっても「就業義務」自体はありますので、その義務が果たされない場合に該当すると判断され、給与も欠勤控除として減額することになります。

 

Q 時間外の計算は1分単位なのか、15分や30分単位でもいいのか

A 1分単位が原則です。ただし、端数を切り上げる場合には15分単位、30分単位でも

 構いません。

 

切り上げにしないと給料未払いに。 給与計算上、よくある質問ですが、基本は1分単位です。例えば、17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合、12分カットして30分の残業代を支払った場合、12分の就業に関する支払いは未払いになってしまいます。

 

給与計算上は楽だということで15分単位の取り入れている事業所はよくあります。もし15分単位とするなら切り上げでなければいけません。つまり17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合には45分間の残業代を支払うことになります。管理の手間と数分プラスになる賃金のどちらをとるかの判断になります。

 

例外として、1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働の合計に1時間未満の端数が

ある場合には30分未満の端数の切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるといった端数処理は認められます。つまり月のトータル残業時間が3時間20分であった場合には3時間として、3時間40分であった場合を4時間とすることは可能です。

未払い残業は行政指導の対象に

残業代を未払いのまま労基署の監査が行われると「是正勧告書」「指導票」により行政指導が行われます。例えば3か月分の未払い残業の「遡及支払い」を命じられた場合、未払いとなっている時間数及び給料の額を3か月間さかのぼって計算し、当該スタッフへの不足額を支払うなど、まずは行政書道に従い原則対応することになります。

 

適切な時間管理とは

厚労省から平成13年に出された「労働時間の適正な把握のため講ずべき措置」では以下のように定められています。

 

  • 労働日ごとに、何時から仕事を開始して、何時まで仕事をしたか、確認し記録すること。
  • 使用者が自ら確認し記録するか、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を、適性に申告するように十分に説明すること。必要に応じて実態調査をすること。
  • 労働時間の記録に関する書類は3年間保存すること。

 

労働時間の上限を設定して、上限を超える時間を切り捨てたり、そもそも労働時間の記録がないため「時間外労働がない」としたりしている場合には法律違反になります。

固定残業代として定額を支給する際には慎重に

 

固定残業代を設定すると仮に残業代が発生しない月があっても残業代を支払わなければなりません。しかも実際に行われた残業が想定された10時間を超えると、別途残業代の支払い義務が発生します。そのため実態を確認した上で「何時間分を固定で支払うか」を決めなければなりません。固定残業手当を適切に運用するためには次の三つが要件とされています。

  • 基本給と割り増し賃金部分が明確に区分されていること
  • 割増賃金部分には何時間分の残業が含まれているかが明確であること
  • 上記②を超過した場合には、別途割増残業が支給されること

 

この方法は、残業が大体同じ時間発生している場合には適している方法ですが、月によって残業時間が大きく変動したり、人によってばらばらであったりする場合には、かえって管理が煩雑になる場合があります。導入によりメリットとデメリットをよく検討して慎重に判断する必要があります。

 

介護職の賃上げ、厚労省が財源確保を財務省に求める 来年度予算要求の柱に据えて提示

介職員の賃上げを実現するため、厚生労働省は必要な財源の確保を政府内で求めていく。

26日に開催された自民党の厚労部会で、来年度予算の概算要求を提示。重点施策の柱に医療・介護・障害福祉分野の賃上げを据え、近く財務省へ提出する方針を明らかにした。


賃上げの規模・方法が今後の焦点。概算要求では、秋以降の具体策の調整を念頭に金額などを明記しない「事項要求」と位置付けられた。

 

例えば、来年4月に介護報酬の期中改定を実施して処遇改善加算を見直しも


福岡資麿厚労相は自民党の厚労部会で、人材確保に向けて「予算としての高さをしっかりと確保していくことが大変重要だ」と述べ、出席した衆参の議員に後押しを呼びかけた。

例えば、来年4月に介護報酬の期中改定を実施して処遇改善加算を見直すことなどが念頭にある。


厚労省の関係者は具体策について、「今後の検討次第」と述べるにとどめた。審議会で議論を行いつつ、先行きが不透明な国会の動向も睨みながら調整を進める構えだ。与野党の議員からは、今年度の補正予算などでより早期に手を打つべきと促す声も出ている。


厚労省は今回の概算要求で、「人材確保などにつながるよう、次期報酬改定をはじめとした必要な対策を講ずる」と提案。政府は今年6月に閣議決定した「骨太方針2025」に、「公定価格の引き上げをはじめとする処遇改善を進める」と明記していた。

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●2025年9月17日(水)14:00~15:00 オンライン開催(ZOOM)

第1部  キャリアパス要件の整備方法と実務対応

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第2部  生産性向上要件を満たすためのICT活用・業務改善手法

     講師:株式会社ビーブリッド 高橋 敏明

●費用は無料

●こんな方におすすめです!

 ・今年度中に処遇改善加算Ⅰ・Ⅱを取得したい

 ・キャリアパス要件の整備が進んでいない

 ・生産性向上要件への取り組み方法に悩んでいる

 ・ICTや業務改善の実践事例を知りたい

●お申込みはチラシをご確認ください。

チラシ&FAX(修正)

または、担当者 吉田または佐々木までお電話にてお申し込みください。

 

 

Q, パートから常勤に変わった場合の有給はどのように与えればよいのでしょうか?

 

A 付与日の雇用形態が常勤であれば、常勤の日数を付与してください。

解説

 付与日に常勤であれば、常勤の付与日数になります。

 例えば、2021年1月1日に週3日のパートとして入職して、翌年2022年4月1日に常勤になった人がいるとします。

 この人は2021年7月1日に初めて有給の権利が発生しますが、その時点では週3日のパートであるため、比例付与の規定から5日間の有給が付与されます。次の有給付与日は2022年7月1日ですが、この時点ではすでに常勤職員であるため、常勤の規定に従い11日間が付与されます。

 よく質問を受ける内容として、常勤の付与日数とパートの付与日数を期間に応じて案分すればいいのか、というご相談があります。この場合には上記の通りの付与の考え方であって、案分することはありません。

 したがって、極端な例ですが、この人が2022年6月30日にパートから常勤に変わった場合でも、7月1日に常勤になっていたら、常勤の付与日数に基づいた日数が有休の日数になります。反対に、常勤からパートになった場合も同様に考えるということになります。

Q ある介護職員のせいで退職者が続出しています。対応方法を教えてください。

A、事実を確認したうえで、服務規律にそって指導や制裁を検討しましょう。

退職者が辞めるときの本音は「辞めるのだから自分はもう関係ない」とか「辞めるときには問題を起こしたくない」という心理状態が働きますので、黙って身を引く職員は多いものです。

なかには今回のように、残される社員のために、とか自分にしか言えないことだから、ということで教えてくれる職員もいますので、これは大変ありがたいものです。

まずは、問題職員の行動が、退職者の言ったとおりなのかを確認する必要があります。一人だけの意見の場合にはどれだけ信ぴょう性あるかは、わかりません。ほかの職員からも聞き取りを行ったり、いつも以上に注意深く観察しておく必要があります。

 確認したうえで、間違いなく問題を起こしている場合には、その人を呼び出し、その程度によっては、指導しながら就業規則に定める制裁をあたえましょう。「制裁」という条文で、「利用者やその家族及び取引先などに不信招く応答など、対外的業務に誠実性を欠き、本法人の信用を傷つけた場合には罰則を与える」というような内容が定められていると思いますので、その条文を見せながら、具体的にどのような違反行為がおこなわれたのかを

説明し、指導していく必要があります。いきなりの解雇ではなく、指導や始末書から初めて段階的に指導していきます。そしてその指導内容は記録に残しておくようにします。

規律が守れない社員には、管理者は指導をあきらめてしまいがちです。しかし、あきらめてしまったら、利用者や従業員の安全はどのように守られるのでしょうか。

また、職場風土として「密告」ではなくて、よりよいサービスを提供するために何が必要かを、いつでもだれでも発言できる職場環境を整えることで、事業所全体を高めあっていく風土を形成していきましょう。

個別面談は「なかなか時間がとれなくて・・・・」は「優先順位が低い」ということ?

「業務で忙しいのでやっていません」「取り組む時間がありません」と社員から言われることがあります。評価制度の運用をサポートする中で「面談や振り返るの時間」を作ってくださいというと、このような言葉が返ってくるのです。

もちろん普段の仕事で忙しいのは十分承知していて、だからこそこのような時間を取ることが、成果の実現や成長に向けて非常に大きいのです。

もし「社長が大事な話があるから来週時間をあけてくれ」といわれたら「忙しいので時間がありません」という社員はあまりいないかと思います。

 つまり「忙しくてできないは」は「優先順が低い」といっていることなのです。

年間スケジュールをたてて、「優先順位が高い」業務として取り組みを

評価制度を運用することは、本来忙しいからこそ、生産性が低いままではなく、組織全体でこれを向上させていうために行うことなのです。ところが評価については、なぜか自分の業務だという認識が薄く、普段の業務とは別のところで会社がなんとなくやっていることと、他人事のようになってしまっていたりします。これをいかに自分ごとにして、通常業務よりも大事な「優先順位の高い業務」としていくことが出来るかが、評価制度の運用がうまくいくかどうか重要なポイントです。

年間スケジュールをたてて、会社全員がとても大事な「優先順位が高い」業務として取り組むようになると、間違いなく評価制度の効果が上がっていくでしょう。

 

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