コラム

新たな経済対策で介護職ら賃上げ 武見厚労相が意欲 「重要性極めて高い」

《 取材に応じる武見敬三厚労相|10月19日 神奈川県川崎市 》

武見敬三厚生労働相は19日、神奈川県川崎市の小規模多機能型居宅介護の事業所を視察した。視察後に取材に応じ、今月中にまとめる新たな経済対策を通じた介護職らの賃上げの実現に意欲をみせた。

政府が介護職らの賃金を月6000円引き上げる案を検討していると一部で報じられていることについて、「現時点で具体的に決定しているものではない」と強調した。


そのうえで、「医療・介護・障害福祉の分野で、人材不足によってサービス提供体制が危機的事態となっていることへの対応が必要だということは、しっかりと認識している」と説明。「介護職らの賃金が残念ながら低いという現状は早急に改める必要がある。その重要性は極めて高い。今は財源や仕組みを検討している最終段階」と述べ、新たな経済対策に介護職らの賃上げを盛り込む調整を進めていることを認めた。月6000円という賃上げの規模については、「私としてはできるだけ多くしたい。(他の産業も含めた)平均賃金と同等になるように努力し続けることが必要だ。その努力はできる限りしたい」と言明。あわせて、国民の税や介護保険料の負担に及ぶ影響を十分にする必要があるとも指摘した。(介護ニュースより)

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【しごと進化論】オムロン、理念が成長の礎 「より良い社会作る」仕事を評価 社長と社員、膝詰め対話

「よりよい社会をつくる」という創業者の理念を、社員が個々の持ち場で実践できる仕組みづくりに注力するオムロン。理念実践の成果を表彰する世界大会を開催し、経営トップは国内外の現場を足しげく訪ねて社員と膝詰めで対話する。理念への共感が組織を強くすると知っているからだ。ベクトルを合わせる努力は、営業利益で過去最高を更新する成長力の礎となっている。

 

TOGA世界大会」で開会の挨拶をするオムロンの辻永社長(京都市下京区)

 

 「創業90周年の記念すべき年にTOGAが開催できて本当にうれしい」。9月下旬、オムロンが京都市内で開催した「The OMRON Global Awards」、略称「TOGA」の世界大会で、辻永順太社長はこう挨拶した。TOGAは理念実践の好事例を国内外チームの代表が京都に集って発表するイベント。オンライン含め社員のほぼ半数にあたる14000人が参加した。

 

 オムロンにとってTOGAは「投資」の一環だ。早稲田大学の教授が過去のイベントの費用対効果を試算したところ「108千万円の支出に対して業績に与えたインパクトは少なく見積もっても175千万円」と推計された。多様な発想を生むきっかけとなり、イノベーション創出数の増加につながったからだ。

 

 11回目となる今回は、オムロンヘルスケアの松島美帆さん(40)が先陣を切った。製品包装の脱プラスチック化を実現した仕組みを説明。所属する包装設計チームに加えて営業や製造、開発部門、中国やベトナム拠点など関わった約40人分の熱意を伝えた。

 

 プレゼンを終えると会場は拍手に包まれた。中途入社組の松島さんは「TOGAを通じてオムロンが今まで以上に好きになった」とほほ笑む。

 

 最高人事責任者(CHRO)の冨田雅彦執行役員専務は「TOGAは単なる表彰制度ではない」と力説する。評価は売り上げや利益の大きさではなく、企業理念の実現度合いで下す。よい取り組みを全社で共有するベクトル合わせが目的だ。最終選考に残っても順位は付けない。「社員にとってはこのプレゼン自体が働きがいの一つになっている」(冨田氏)

 

 創業者の立石一真氏が社憲を制定したのは1959年だ。「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」との言葉は、90年に制定された企業理念に引き継がれた。オムロンは236月に取締役を刷新、設立後初めて創業家の取締役が不在となった。6月に取締役を退任した立石文雄名誉顧問は「経営の求心力を企業理念に置きかえてきた」と話す。

 

 冨田氏も「今の社員は創業者を直接知らない世代が大半。仕事で意思決定に迷ったときは、企業理念に立ち返る」と説明する。重要な判断の軸になるからこそ、理念浸透には手間を惜しまない。

 

 例えば、経営トップは国内外の社員と面談する「車座対話」を実施。辻永社長は23年4月の就任から頻繁に現場を訪ね、半年で20回以上の職場対話を続けてきた。企業理念と現場業務に乖離(かいり)がないか、自ら確かめるためだ。

 

 オムロンは働きがいなどを調べる「VOICE」というエンゲージメント調査を実施している。理念の実践に何が必要か、生の声を集めているのだ。22年度の調査では4万件近くコメントが集まった。辻永社長と冨田氏は移動時間などを使って全ての声に目を通す。

 

 「経営方針として理念実践を一層強化し、盤石にしていく」と辻永社長は力を込める。きれい事ではない。企業理念の徹底した浸透は利益につながる。経営は理論や手法などの技術面に加え、法人としての精神性まで重視される時代になっている。(日本経済新聞 朝刊 ビジネス10/19 )

「お迎え最後じゃなくてよかったね」保育士の言葉の記事で知った「立場の違い」

様々な立場での意見が寄せられた

「お迎え最後じゃなくてよかったね」「ファミサポにも慣れたもんだね」……ファミサポ提供会員としてお子さんを迎えに行った際に、保育士さんから子どもにかけられた言葉に対して感じた違和感について記した前回の記事。言葉の真意がどんなものだったか……ということのほかに、表現の工夫についてたくさんのコメントを寄せていただきました。

保育士さんからかけてもらった言葉に救われた

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大切なのは子どもがどう感じているか

親が立派に仕事をしていることを誇らしく思っていると話す子もいる。でも「さみしさ」を感じてもいたら、その思いも大切にしたほうがいい 

原 ゆかり(NGO MY DREAM. org設立者、獨協大学非常勤講師)

【介護報酬改定】実施時期を4月から6月に変更 厚労省検討 委員の意見は分かれる

来年度の介護報酬改定をいつ実施すべきか − 。厚生労働省は11日の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)でこれをテーマに取り上げた。従来通りなら4月1日だが、2ヵ月後ろ倒しにして6月1日とすることなどが論点となる。

委員からは反対意見も噴出。厚労省は丁寧に検討を続けていく構えをみせた。介護現場の関係者からは歓迎する声が出ており、今後の判断が注目される。


改定の実施時期を後ろにずらすメリットは、各サービスの新たな運営基準や報酬・加算の単位数が決まってからの期間を長くでき、介護施設・事業所やベンダの負担軽減につなげられること。今は年度末の決定から大急ぎで準備しなければならず、改定直前の3月を“デスマーチ”と呼ぶ人もいる。


医療分野では議論が先行している。厚労省は今年8月の中医協(中央社会保険医療協議会)で、診療報酬改定の実施時期を来年度から6月1日とすることを提案。重要ミッションの「医療DX」で現場の負担が増していることも大きな理由としてあげ、大筋で了承を得た経緯がある。


診療報酬改定に合わせて介護報酬改定も6月1日に変えるか否か − 。これが論点だ。

「LIFEが導入されたこともあり、介護現場の負担は病院などと同様に非常に大きい。6月に遅らせて頂きたい」


全国老人保健施設協会の東憲太郎会長はこう要請。日本医師会の江澤和彦常任理事は、「6月実施以外あり得ない。診療報酬と介護報酬の双方を算定している事業所は二度手間になる。今回は同時改定で、医療と介護の連携を促進するための施策も多くなるはず。改定の時期が異なるとそうした施策の展開にも支障をきたす」と訴えた。


一方で、全国老人福祉施設協議会の古谷忠之参与は、「4月実施を維持して欲しい。介護事業所の多くは診療報酬と介護報酬の双方を算定していない。昨今の物価高騰、人件費の上昇を踏まえると、介護報酬のプラス改定、更なる処遇改善をできるだけ早く実施すべき」と主張。全国知事会の代表として参加した長崎県の担当者(参考人出席)は、「3年ごとに自治体が行っている事業計画の策定、給付費の見込み、保険料額の算定などに大きな影響を及ぼす。地域住民にとって分かりやすい制度を保つことも重要。慎重に検討すべき」と指摘した。


また、全国市長会の代表として参加した大阪府豊中市の担当者(参考人出席)は、「例えば処遇改善加算など、年度単位での計画策定・運用が必要な仕組みは対応が難しくなる。6月実施に変えると、事業者や市町村の窓口などに混乱が生じ、かえって負担が重くなりかねない」と懸念を示した。(介護ニュースより)

【介護報酬改定】審議会でケアマネの配置基準の緩和を求める声 「本当に必要なサービスに集約を」

来年度の介護報酬改定に向けた協議を重ねている国の審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)は2日、関係団体の意見を幅広く聴取するヒアリングを実施した。

前回に続く第2ラウンドとなった今回は、医療機関の経営者で組織する団体なども参加した。


この中で「四病院団体協議会」は、全国的に人材不足が顕在化してきている介護支援専門員について、各サービスでの配置を再考すべきと提言。「様々なサービスで配置が必須となっているが、人材不足でサービスを円滑に提供できない状況もみられる。本当に必要なサービスに集約していくことを検討してはどうか」と要請した

あわせて、ケアマネジャーの法定研修の受講料にも言及。「都道府県ごとに大きな違いがある。地域ごとに一定の受講料とすることはできないか」と求めた。ケアマネの法定研修の受講料をめぐっては、例えば2021年度の実務研修で最高の都道府県と最低の都道府県とでおよそ6万円の違いがあった。(介護ニュースより)

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認知症研修やBCP、虐待防止策、義務化施行まであと半年 厚労省が通知 「対応の確認を」

《 介護保険最新情報Vol.1174 》

介護サービスの運営基準などを見直す際に、国はしばしば一定期間の「経過措置」をセットで設ける。これは言わば移行期間、または準備期間にあたるもので、介護施設・事業所がその見直しに適切に対応できるようにする配慮だ

 

現在は適用中だが今年度いっぱいで終了する「経過措置」が複数ある − 。厚生労働省は4日、そのことを現場の関係者に改めて伝える通知を発出した


2021年度の介護報酬改定で決められた運営基準などの見直しとともに導入され、タイムスパンは3年間と定められたものが該当する。10月に入って期限まで残り半年をきった。


厚労省は通知で、「運営基準などを満たすことができているかご確認いただき、必要な対応をお願いします」と呼びかけた。介護保険最新情報のVol.1174で広く周知している。

今年度いっぱいで廃止される「経過措置」は以下の7種類。介護事業者は来年度を迎える前までにしっかり対応しておく必要がある。

 



= 来年3月31日で終了する「経過措置」=

(1)感染症対策の強化 〜全サービス〜

委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施などを義務化。

(2)業務継続に向けた取り組み 〜全サービス〜

業務継続計画の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション) の実施などを義務化。

(3)認知症介護基礎研修の義務化 〜全サービス〜

無資格の介護職員に認知症介護基礎研修を受講させるために必要な措置を講じること。

(4)高齢者虐待の防止 〜全サービス〜

委員会の開催、指針の整備、研修の実施、担当者を定めること。

(5)口腔衛生管理の強化 〜施設系サービス〜

口腔衛生の管理体制を整備し、入所者ごとの状態に応じた口腔衛生の管理を行うこと。

(6)栄養ケア・マネジメントの充実 〜施設系サービス〜

入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行うことを運営基準に規定。

(7)事業所医師が診療しない場合の減算 〜訪問リハ〜

事業所外の医師に求められる「適切な研修の修了等」について、適用猶予措置期間を延長。


※ 詳細は厚労省の通知から(介護ニュースより)

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「人を大切にする会社しか残らない」 ケア21に学ぶ職員が集まる介護現場の作り方

《 株式会社ケア21・依田平代表取締役会長/CCO 》

「企業文化は戦略に勝る」。ピーター・ドラッカーの言葉だ。これを大切にして成長を続けている介護事業者がいる。ケア21。主力は訪問介護、グループホーム、有料老人ホームなどで、他のサービスも合わせた施設・事業所の総数はグループで全国550件超にのぼる。

掲げている企業文化の1つが、「人を大事にし、人を育てる会社」。激化する人材確保の競争とどう向き合うべきか学ぶため、依田平会長を尋ねた。あわせて、今後の業界の変遷をどう予見しているかも伺った。


「これからは人を大事にする会社しか残らない」。そう笑顔で語った依田会長は、100年続く老舗企業を創りたいと意欲をみせた。

◆ 原点は小4の時の作文


  −− こんにちは。はじめまして、どうぞよろしくお願いいたします。


ありがとうございます! どうぞよろしくお願いいたします。


  −− 現在はCCO、最高文化責任者というお立場ですが、主にどのような職責と向き合っておられるのでしょうか?


このCCOという役職を設ける企業は、アメリカはもちろん日本でも増えてきています。我々もやはり、優れた経営戦略を策定・遂行していくことだけでなく、より良い社風を持つことが非常に大切だと考えています。企業として業績を上げ、幅広く社会に認めて頂けるように成長するためには、多くの方に支持される社風づくり、文化づくりが欠かせません。


我々は「人を大事にし、人を育てる」「福祉理念と市場原理の融合」「常に考え、変わり続ける」「最高のサービスの提供」などを掲げ、その具体化を目指してきました。これらを体現することが、弊社で働く職員の皆さんの幸せにつながり、サービスを受ける利用者さんの喜びにつながり、結果として社会全体を良くすることにつながっていく − 。そんな良い循環を生み出すことを主な仕事にしています。


  −− 介護・障害福祉の事業をはじめたきっかけを教えてください。


私は商売人の家系に生まれました。会社を経営している身内が多く、食事の時もいつも仕事の話ばかりしているような家族でした。


原点はおそらく、小学4年生の時の作文ですね。将来の夢として「株式投資で大儲けする」と書いて、当時の先生に呼び出されたんです。

《 株式会社ケア21・依田平代表取締役会長/CCO 》

「金儲けもいいが、人間はそんなことのためだけに生きるんじゃない。世のため人のために尽くすことが、人間の生きがい、喜びなんだ」。そんな趣旨のことを力説されました。最初は「この人なに言ってんだ」という気持ちだったのですが、やがてよく理解できるようになったんです。


その先生からは本当に多くのことを教わりました。私はこれまで様々な仕事をしてきましたが、先生の言葉がいつも心の奥底にあったんです。


  −− 現在、目標としていることがあれば教えて下さい。


これは創業の時からなのですが、長く続いていく老舗企業を作りたいなと思っています。少なくとも100年続く会社にしていくことが目標です。


実はそのために、世にある老舗企業を私なりに真剣に調査・研究したんですよ。なぜ長く続けることができるのか、見つけた共通点は大きく3つでした。

《 株式会社ケア21・依田平代表取締役会長/CCO 》

1つは経営理念に重きを置くこと。利益を出すことを目的とせず、理念を達成するために利益を出すと考えることが大切なんですね。


2つ目は、人を大事にするということ。お客さんはもちろん、取り引き先の方々、従業員の方々、広く社会の方々、全てです。


3つ目は常に変わり続けるということ。老舗は不変というイメージがありますが、実は改善すべきところをドラスティックに変えている企業が多いんです。我々の会社では、私なりに見つけたこうした老舗の特徴を取り入れています。


◆ カギは「貢献」と「成長」


  −− 今の介護業界の課題をどうみていますか?


そうですね…。かなりたくさんありますが、やはり人材不足が最も深刻ではないでしょうか。介護報酬の水準が十分でない、ということが大きな要因の1つだと捉えています。


国にはぜひ改めて頂きたいですし、業界としても一致団結して訴えていかなければいけません。事業者としては厳しい環境ですが、とにかくできることを精一杯するしかありません。

《 株式会社ケア21・依田平代表取締役会長/CCO 》

  −− 御社では人材確保にどう向き合っているか、教えて下さい。


給与面も含めて働く条件、環境を良くしていくことがやはり重要です。テクノロジーの有効活用など施策を総合的に講じるわけですが、私は多くの職員が気持ちよく、楽しく働ける職場を作ることが非常に重要だと考えています。


それをどう実現していくのか − 。例えば人生の喜び、または仕事の充実感などは「貢献」と「成長」に起因するという教えがあります。この2つが満たされると幸せを感じる、という話ですが、これは的を得ているのではないでしょうか。


介護の仕事は日頃から、「貢献」を感じやすいという特徴があるんです。利用者さんやご家族から「ありがとう」と言われると嬉しくなる、という職員は少なくないですよね。

−− そうですね。


では「成長」はどうか。資格取得など様々な方法がありますが、重要な要素の1つは他の職員に仕事を教える立場につくことではないでしょうか。それが「成長」を最も感じられる機会だ、と我々は捉えています。


ですから、キャリアアップの仕組みを作って積極的にリーダーになって頂く。最小単位のリーダーから副主任、主任、管理者、施設長など立場が上がるに連れて、もちろん処遇も上がっていく仕組みです。

最近の若い人の中には、できればリーダーになりたくない、管理職になりたくないという人もいますよね。それはきっと、仕事の量と重い責任だけがついて回るイメージがあるからではないでしょうか。


そうではなくて、人生を豊かにするために、仕事を楽しく続けるために「成長」が不可欠で、それを実現する最も良い方法がリーダーになることなんだ、と理解して頂くことに尽力しています。


  −− 人材確保の具体策として、他に何か力を入れていることはありますか?


そうですね。大前提として処遇改善、賃上げが重要なのですが、他に1つあげるとすれば定年制の撤廃でしょうか。弊社では基本的に元気なら何歳でも働けます。


今、他の業界で年齢を重ねてきた方、近く定年を迎える方など50代以上の応募が増えています。可能なら早めに定年制のない会社へ移ろう、と考える方が多いんですね。


我々はそうした人材を、本人が希望すれば正社員として採用しています。70歳まで、75歳まで、あるいはもっと先まで、可能な限り働いていこうとやる気のある方も少なくありません。自分の定年って本来、自分で決めるべきことですよね。我々はそういう方々を応援しており、貴重な戦力として活躍して頂いています。

−− 中高年は人口も多いですから、活躍してもらえればありがたいですよね。


はい。例えば年金の受給開始年齢など、彼らには彼らの事情があるわけです。できるだけそれに合った環境を用意することが重要、と言えるでしょう。


いずれにせよ、人を大事にしない限り人は集まってきません。人材確保が難しさ増す中でこれは必須条件。これからは人を大事にする会社しか残れないでしょう。


◆「大規模化の流れには戸惑いも感じる…」


  −− それでも人材難は徐々に深刻化していく見通しです。業界の今後をどうみていますか?


将来を見通すことは簡単ではありません。ただ、生き残りをかけた戦いが更に激しくなっていくことは考えられます。規模の小さな事業者は、どうしてもより厳しい戦いを強いられるでしょう。

小規模な事業者は、ICTなどテクノロジーの導入、職場環境の改善に向けた十分な先行投資ができません。職員の教育・研修にかけられるリソースも限定的で、良い待遇を用意してあげる余力がほとんどないんですね。一方で大手は違います。これから選ばれる環境作りに力を入れており、その差は開いていかざるを得ないでしょう。


  −− そうかもしれません。


小規模な事業者が淘汰される、吸収されるという傾向は既に顕在化しています。M&Aなどが盛んに行われている現状も、業界の方ならよく知っていることでしょう。国も大規模化を推進する立場で、この流れが大きく変わる可能性は低いと考えられます。

私は戸惑いも感じます。その規模は小さくても、きらりと輝いている事業所、欠かせない活躍をしている方々がいることはご存知でしょう。地域で良質なサービスを提供している志ある方々が軽視され、厳しい立場に追いやられていく状況は好ましくありません。効率化の名のもとに、そうした方々の思いが失われていくような事態になれば、結果として地域共生社会は成り立たなくなると危惧します。


ただ、今の介護報酬の水準が大きく変わるようなことが起きない限り、そうした大規模化の流れは止まらないでしょう。悲しいことではありますが、私が懸念することも現実になりかねません。


  −− 今後、大企業の御社はどのように事業を展開していきますか?


我々はいわゆる上場企業ですが、「福祉理念と市場原理の融合」という理念も掲げています。主力事業として介護・福祉サービスを提供しているということもあり、弱肉強食の世界を勝ち抜くということだけでない価値を創造したいと思っています。


「新しい資本主義」という言葉もありますが、社会も徐々にそうした方向を求めるようになってきているのではないでしょうか。競争で相手に勝てばいい、お金を稼げばいいということではない、と感じる方が増えています。我々もそうした信念を持って、皆で支え合う社会を作る前向きな動きにコミットしていきたいと思います。


  −− ありがとうございました。(介護ニュースより)

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『採用を決める前に、もう少し判断材料が欲しい! 前職について情報収集するには』

Q, 現在、正職員を募集しているのですが、当施設が希望しているような人材からの応募がなかなかありません。そのような中、条件は合致するものの、転職
歴が多い人から応募がありました。履歴書や面接で前職の仕事の内容や退職理由を確認する予定ではありますが、できれば直接、以前勤務していた職場に尋
ねることはできないかと考えています.

 

A、施設から直接、以前勤務していた職場に問い合わせることも考えられますが、個人情報でもあるため提供される可能性は低いものと思います。このような場合は、応募者から以前勤務していた職場に「退職証明書」を発行してもらい、その内容を確認するという方法があります。

 

2.退職証明書の発行義務
退職証明書は、労働者が退職したときに、その勤務先が必要事項を証明するために交付する書類です。退職者から請求があった場合に、遅滞なく交付することが義務付けられています(労働基準法第 22 条)。退職証明書には、次の事項のうち、退職者が請求した事項のみが記載されます。
 使用期間
 業務の種類
 当該事業における地位
 賃金
 退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあって
は、その理由を含む)


この退職証明書を応募者に提出してもらうことで、履歴書等の提出書類との齟齬がないか確認できます。採用したい人材かどうかの判断材料ともなります。応募者には、どの記載事項を必要としているのかを具体的に示した上で、提出を求めるとよいでしょう。なお、退職証明書の交付を請求できるのは、退職した本人のみで、退職後 2 年間となっています。つまり、貴施設から直接、前の職場に交付を依頼することはできません。応募者に「前職の勤務先に退職証明書の交付を請求し、当施設に提出してください」と依頼して取り寄せるようにしましょう。

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ひとりの時間をつくる ~心の中の自分はいつもあなたと話したがっている~

 

だれかと一緒にいる時間を楽しむためには、一人に時間が必要。

対極にあるようですが、どちらの時間もあってこそ、自分を幸せに生きられると実感するものです。

 人間関係とは、人との関係である前に、自分との関係が基本になっているからです。

私たちは、人間関係の中でつねに何かの役割を全うしようとしています。仕事人、母親、妻

子ども、恋人、友人・・・どんなに近しい関係でも、四六時中一緒にいると生きぐるしくなり、疲れてしまうでしょう。

もちろん、人と関わることでの喜びは計り知れません。

人間関係を通して成長できる事。ほとのために何かができる事。認めてもらえること。理解し合えること。支えられていること。愛し愛されること・・・・。そんな人としての幸せをしみじみ味わうためにも、本来の自分に戻るために時間は必要なのです。忙しければ、忙しいほど、わずかでもほっとできるひとりの時間が貴重であることは、誰も感じたことがあるでしょう。様々な人間関係から少し離れると、客観的に見えてくるものがあります。「あんなことを言われてカッとしたけれど、感情的になることでもなかったかも」とか「自分なりに頑張ったのだからあれはあれでよかった」とか・・・。自分の心の声に耳を傾けるかどうかで、人生に深みはまったく違ってきます。

ひとりでいる時間は、何もしていないようでも、無意識に頭を整理して、何かを創り出している時間でもあります。インスピレーションがあったり、いいアイデアを思いついたりするのも、一人でいるときが多いはずです。自由にやりたいことをやったり、没頭するのもいいでしょう。一人の時間がどんな人にも必要であり、自分を生きようとする贅沢な時間です。

なかなか一人になれないという人も、通勤時間やお風呂の時間、寝る前の10分など、テレビやスマホから離れて、自分だけの時間を過ごす時間を作ってみてください。

心の中に自分は、いつもあなたとおしゃべりしたがっています。自分を大切にする人は、人を大切にできるようになります。やさしさの基本になっているのは、こころの余裕なのです。

(「上機嫌にいきる」より)

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【医師が聞いた】開業からわずか6ヵ月…人員6名の小規模クリニックで起きた“ドロ沼退職劇”

軽視してはいけない「スタッフ間の不仲」

クリニックの運営は、いわずもがな医師だけでは成立しません。電話対応や受付窓口での対応をはじめ、採血やレントゲンの介助、医薬品の手配・医療廃棄物の対応、診療報酬請求や公費医療請求にいたるまで、看護師や医療事務のスタッフが多様な業務を遂行しています。

しかし、こうした重要な業務を行う人材を軽視し、ちょっとした特別扱いや失礼な言動をすることによって、勤務継続のモチベーションが低下し、退職者が出たり、最悪の場合クリニック運営自体が行き詰まったりするケースもあるのです。

スタッフが退職する要因としては「院長への信頼失墜」がもっとも多く、次いで「スタッフ間の不仲」による精神的ストレスが続きます。

ここでは、スタッフ間の不仲がクリニック全体の問題に発展してしまった例を見ていきましょう。

院内が“派閥で真っ二つ”…最悪の空気で業務不可能に

クリニックを開業した当時は、新型コロナウイルスの流行真っ只中で、受診控えが進みなかなか集患ができない時期でした。スタート時の人員配置は医療事務3名、看護師3名と、クリニックではよくある構成です。

緊急事態宣言の影響で業種問わず営業自粛をしているところが多く、患者数はなかなか思うように伸びませんでした。それでも、数ヵ月で1日20名~30名程度の受診患者を確保し、なんとか経営存続ができるレベルで運営していました。

患者数が多くない分、患者1人ひとりに対しては懇切丁寧に診療を行えていた反面、院長である筆者は経営管理の立場として、スタッフの様子をしっかりと把握することができていませんでした。

開業から2ヵ月が経つと、いつの間にか院内にはAとB、2つの「派閥」ができ、スタッフはそれぞれにはっきり分かれてしまいました。こちらの指示がなかなか全体に伝わらず、違和感を覚えたほどです。あとから聞くと、勤務終了後もそれぞれの派閥がクリニックの近くの喫茶店などで、互いの悪口などを言いあっていたようでした。

開業して3ヵ月が経ったある金曜日の午後、筆者は所属する医師会の乳児検診のため、午後の一部を休診にして外出しました。

帰ってくると、スタッフが皆涙目になっており、とても業務が遂行できる状態ではありません。聞けば、「仲違いを解消しようと院長抜きで話し合いをしたところ、50代のベテラン看護師を筆頭に、派閥Aのスタッフが派閥Bのスタッフに激しい言葉をぶつけていた」というのです。

派閥Aのスタッフは、派閥B看護師たちに対して
「技術がなっていない、あなたはどこで看護学を勉強してきたのか。一緒にやっていて恥ずかしい」
「点滴や採血が下手くそ過ぎる」
と、また派閥Bの医療事務スタッフにも
「あなたは空気が読めていない。病気かもしれないから、受診して検査を受けたほうがよい」
「患者に対して偉そう。何様のつもり」
などと、限度を超えた感情的な発言を繰り返していたようです。

やむなく筆者は1人ひとりに面談を行いましたが、時すでにおそし。
もはや冷静な議論は不可能で、派閥Bのスタッフには「向こうの3名を辞めさせなければ、我慢できないので私たちが全員退職する」と言われてしまいました。

1週間の夏休みを挟みましたが、仲違いの解消は困難と判断し、筆者はスタッフの半分を入れ替える方針を固めました。このままでは患者数の増加にも耐えられず、またかかりつけ医療機関として不可欠な「安心感」を提供できないと思ったからです。

また、院長である筆者が片方の派閥を特別扱いしたのが察知されたのか、派閥Aからは「もうこんなクリニックでは働けない、こういう判断をした院長についていけない」と言われてしまいました。最終的には、クリニックの定例ミーティングでも足を組む、寝たふりをする、朝礼にも出ないなど挑発行為がみられるようになりました。

派閥Bのスタッフも同様の雰囲気で、「朝起きられなくて微熱があるので休みたい」といった申し出が相次ぎました。結局、3ヵ月かけてスタッフの入れ替えを実行しました。前述のベテラン看護師1名には、試用期間を超えられないために退職を促しました。

9月のある朝、ベテラン看護師はいきなり院長室の前に立ちはだかりこう言い残し、クリニックを去りました。

「もう、辞めます。ありがとうございました。私も精神的におかしいですが、自分を辞めさせる先生もおかしいから、検査を受けられてみたらどうでしょう」

同じ派閥Aの医療事務スタッフも、一斉退職ではないものの、このベテランの看護師の退職をきっかけに他の医療機関へ転職していきました。

トラブルを起こさないために…院長がすべき「予防策」

クリニックのスタッフ間トラブルの原因のほとんどは、コミュニケーション不足と院長の管理能力不足によるものと考えられます。

院長は朝礼や定例ミーティングにおいて、クリニックの診療方針や経営の方向性を伝えるばかりでなく、チームミーティングや個別面談でスタッフへの傾聴を行い、不安や不満の解消に努めながら、院長としての期待を伝え続けていくことが重要です。

こまめなコミュニケーションを怠ると「自分の話を聞いてもらえない」「他のスタッフとの不平等感」が不満にあがることが多いです。したがって、院長が話を聞いて可能な限り対応したり、ビジョンを示したりと真摯に向き合うことが重要です。

また、働くうえで交通費の支給方法(給与に混ぜる、あるいは別途支給)や賞与の支給根拠についても、しっかりと伝える必要があります。スタッフ同士同じ条件でないとトラブルの火種になり、「特別扱いした」などといらぬ噂が掻き立てられます。

今回の事例は、院内の組織運営が円滑でなかったことが主な原因です。対応が遅かったものの、院長と数名のスタッフとのあいだに信頼関係を保つことができていたため、スタッフ全員の退職までには発展しませんでした。影響力の強いスタッフが派閥を作り、院長への不満が高まると、他のスタッフを巻き込んで一斉退職してしまうきっかけとなります。

悪影響を与えるスタッフは、他人のせいにする(「自分は悪くない」「〇〇さんの知識不足のせい」「△△さんの精神状態のせい」)と言い張ったり、事実ではなく感情で物事を判断し周りに押しつけたりする傾向があります。こうして、根拠のない噂を繰り返して自分の派閥を作り、他のスタッフがそれを事実と誤認して派閥を拡大させていくのです。

こうしたスタッフは面接時に、転職であれば以前の職場の退職理由を丁寧に聞き、自分本位の「危険なサイン」を見抜いて、入職をさせないことが予防策になります。履歴書を確認し、不自然に転職を繰り返しているようであれば要注意です。特に開院前でスタッフ募集に余裕がないと、見逃してしまいがちです。

万が一見抜くことが難しければ、こちらの経営理念・コンセプトを丁寧に伝え続け、「ここではやっていけない」と試用期間中に辞退してもらうことがトラブル回避のコツです。

著者:武井 智昭(たけい ともあき)
小児科医・内科医・アレルギー科医。2002年、慶応義塾大学医学部卒業。多くの病院・クリニックで小児科医・内科としての経験を積み、現在は高座渋谷つばさクリニック院長を務める。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として地域医療に貢献している。
(編集:株式会社幻冬舎ゴールドオンライン)
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