医療

コロナワクチン優先接種、在宅系の介護職も対象 厚労省が方針転換

田村憲久厚生労働相は3日の参議院予算委員会で、新型コロナウイルスワクチンの優先接種の対象について、在宅系サービスの介護職も条件付きで含める意向を表明した。

ワクチンの需給状況や感染状況などを踏まえ、対象に含める判断を自治体が行えるようにする。これまで施設・居住系サービスの介護職だけに限定していたが、現場の関係者などから多くの要請を受けて方針を転換した。

自宅療養を余儀なくされる感染者・濃厚接触者に対し、直接的に対応する機会があると想定される介護職を新たに加える。訪問介護や小規模多機能などの事業所のうち、感染者らが生じてもサービスを継続する意思のあるところに登録してもらう方向だ。居宅介護支援や福祉用具貸与、ショートステイなどのサービスも除外しない案を詰めていく。近く自治体へ通知を出す。

田村厚労相は予算委で、病床の逼迫により介護を受けながら自宅療養を続けなければならない高齢者が出てきたことを、今回の方針転換の理由として説明。「それぞれの自治体の判断になる。ワクチンを接種した介護職には、感染者にもご対応頂くことが前提になる」と述べた。自民党の福岡資麿議員への答弁。(介護ニュースサイト JOINT)

 

 

介護報酬の新加算“LIFE”最新情報

介護報酬の“LIFE加算”、情報提供項目を公表 厚労省 送信は翌月10日まで

新年度の介護報酬改定では、国の新たなデータベース「LIFE」への情報提供などを要件とする加算が新設される。「科学的介護推進体制加算」と名付けたこのインセンティブについて、厚生労働省は既に固まったアウトラインを伝える通知を19日に発出した

 

 

必要な情報提供のメニューを「現状案」として公表。利用者のADL、口腔・栄養、認知症などカテゴリごとの項目を具体的に示した。実際に加算を算定するためには、こうした情報をサービス提供月の翌月10日までにLIFEへ送る必要があると呼びかけている

 

4月から導入される科学的介護推進体制加算は、ミニマムで利用者1人あたり40単位/月。特養や老健、特定施設、グループホーム、通所介護、小規模多機能など多くのサービスが対象だ。LIFEへの情報の蓄積に協力すること、そこからのフィードバックを活かすことなどが要件とされている。

 

政府が以前にも増して重きを置く自立支援・重度化防止の観点から、より効果的なサービスの展開につなげるための仕組み。大規模データベースの構築はエビデンスの確立などに役立てられていく。

 

今回の通知で明かされた情報提供のメニューは概ね、これまで審議会などで説明されてきた概要に沿ったもの。利用者の身長や体重、既往歴、服薬、ADL、口腔・栄養、認知症など項目は多岐にわたる。厚労省は以下の資料に2ページでまとめ、現場の関係者へ広く周知した。

 

 

科学的介護推進に関する評価

 

情報提供の期日はサービス提供月の翌月10日まで。LIFEのサイトでデータを直接入力する方法のほか、請求ソフトからCSV連携で送信する方法もある。請求ソフト側の対応はベンダーによって異なってくる。

 

情報提供に対する事業所へのフィードバックは、その翌月中にLIFEのサイトからPDFで実施される予定。厚労省は「更なる詳細は追って提示する」としている。(情報元:JOINTニュース)

 

医療事業所様向け情報(労務)2月号③

テレワークを導入する際の流れや留意点

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の拡大防止の観点から緊急的にテレワークを導入したのですが、うまく進んでないように感じています。ゼロから考え直したいと思うのですが、どのように進めればよいのでしょうか。

社労士:

御社同様に、テレワークを導入したものの運用で課題が出てとりやめた企業も多いようです。一方で、厚生労働省は感染症対策としてテレワークの実施を推奨しており、その流れとして①実施に向けての検討(業務の切り出し・対象者の選定・費用負担)、②セキュリティのチェック、③ルールの確認(労務管理)、④作業環境のチェックの4つにまとめています。

総務部長:

当社は、社内で行っていた業務が自宅でもできるように、パソコンを自宅に持ち帰り、自宅のインターネット環境に接続することで在宅勤務を進めてきました。確かに、テレワークに適した業務かの確認は行わず、また、インターネット環境も自宅で整っている前提で進めていました。

社労士:

テレワークに適した業務と会社に出社して行った方がよい業務、これに加え、何らかの工夫をすることでテレワークに適した業務に変わる業務があると思います。例えば紙で保存していたものをクラウドに保存したり、Web会議システムを導入すること等、考えるべきポイントがありそうです。

総務部長:

確かにそうですね。全員一律に「週3日はテレワークをすること」と指示を出しましたが、業務内容によってはテレワークが適さない従業員もいます。また、インターネット環境の調査をしませんでしたが、従業員やその家族が契約しているインターネット環境を使うこととしても、ウイルス対策ソフトのアップデート等、セキュリティ面の注意が必要になりますね。

社労士:

そうですね。テレワークでは通常、従業員の働いている状況が見えないため、コミュニケーションの量も質も低下し、また、労働時間の管理もあいまいになりがちです。こちらもクラウドの勤怠管理システムを導入し、自宅でも打刻できるようにするといった工夫が必要になるのでしょう。

総務部長:

ところで、「④作業環境のチェック」ではどのようなことに注意するのでしょうか。

社労士:

自宅の温度や湿度、照明の状況や、机の高さや椅子の座り心地等、多岐にわたります。先ほどのインターネット環境も含め、テレワークを実施することで発生する費用もありますので、これを労使のいずれが、どの程度負担するかということも決めておく必要がありますね。

【ワンポイントアドバイス】
1. テレワークを導入するときには、運用面の検討を行う必要がある。
2. テレワークを実施することにより発生する費用の負担は、事前に取り決めが必要となる。

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)2月号②

厚生労働省が公開する新型コロナの拡大防止チェックリスト

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の収束が見えない中、職場等で感染拡大防止策を確実に実践することが求められています。厚生労働省では、以前より「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」(以下、「チェックリスト」という)をホームページで公開していますが、2020年11月には、冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法に係るチェック項目を追加する等の改訂が行われています。以下では、このチェックリストの中から、「換気の悪い密閉空間の改善」と「多くの人が密集する場所の改善」の2点について確認しておきましょう。

1.換気の悪い密閉空間の改善

  • 職場の建物が機械換気(空気調和設備、機械換気設備)の場合、建築物衛生法令の空気環境の基準が満たされている(ただし、温度は18℃以上に維持することが望ましい)。
  • 職場の建物の窓が開く場合、リーフレット「冬場における『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気の方法」で推奨する方法により、居室の温度18℃以上かつ相対湿度40%以上を維持しつつ、窓を開けて適切に換気を行っている(HEPAフィルタ付き空気清浄機の適切な活用を含む)。
  • 電車等の公共交通機関の利用に際し、窓開けに協力するよう全員に周知している。

2.多くの人が密集する場所の改善

  • 業態に応じて可能な範囲で出勤を抑制するように努めている。
  • 電車やバス等での他人との密着を防ぐため、時差通勤、自転車通勤、自家用車通勤などの活用を図っている。
  • テレビ会議やWeb会議の活用等により、人が集まる形での会議等をなるべく避けるようにしている。
  • 対面での会議やミーティング等を行う場合は、マスクの着用を原則とし、人と人の間隔をできるだけ2m(最低1m)空け、可能な限り真正を避けるようにしている。
  • 接客業等において、人と人が近距離で対面することが避けられない場所は、労働者にマスクを着用させ、人と人の間にアクリル板、不燃性透明ビニールカーテンなどで遮蔽するようにしている。
  • 職場外(バスの移動等)でもマスクの着用や換気、人との間隔を取る等、三つの密を回避するよう努めることとしている。

このチェックリストは、当初公開されたものから環境の変化等により、内容が更新されています。三密の回避等、当初からの防止策に加え、必要な防止策が加えられていますので、以前確認された場合も含め、最新版を厚生労働省のホームページからダウンロードして確認してみてください。

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)2月号①

在籍型出向による雇用維持支援と産業雇用安定助成金(仮称)

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大は未だ収束の目途も付かず、企業における従業員雇用の維持も厳しい局面を迎えつつあります。そのような中、国は在籍型出向の活用による雇用維持への支援と産業雇用安定助成金(仮称)の創設を予定しており、2020年12月にその概要資料が公表されました。これらは第三次補正予算の成立、厚生労働省令の改正等が必要であり、現時点ではあくまで予定に留まりますが、動きを確認しておきましょう。

1.在籍型出向の活用による雇用維持への支援

在籍型出向の活用としては、出向元と出向先双方の企業を支援する新たな助成制度を創設し、産業雇用安定センターによるマッチング体制を強化する等、新型コロナの影響により一時的に雇用過剰となった企業が従業員の雇用を守るため、人手不足等の企業との間で在籍型出向(雇用シェアリング)により雇用維持する取組みへの支援が行われます。対策のポイントとして、以下の内容が挙げられています。

  1. 全国および都道府県協議会の設置・運営等による雇用シェアリングの情報連携や理解促進
  2. 自治体等が運営するマッチングサイトや労使団体・業界団体等が保有する出向に関する情報と産業雇用安定センターが連携したマッチング支援体制の強化
  3. 在籍型出向を支援するため、出向元・出向先双方に対する助成金の創設による企業へのインセンティブの付与

2.産業雇用安定助成金(仮称)の創設

在籍型出向を支援するため、出向元と出向先双方に対するインセンティブとして、産業雇用安定助成金(仮称)が創設される予定です。助成金の内容は対象労働者に係る以下の2種類の経費について、出向元事業主と出向先事業主とが共同事業主として支給申請を行い、その申請に基づきそれぞれの事業主へ支給されるものです。なお、申請手続きは出向元事業主が行うことになる予定です。

①出向運営経費

出向運営経費は、労働者(雇用保険被保険者)を在籍型出向により送り出す事業主とその労働者を受け入れる事業主に対して、賃金、教育訓練、労務管理に関する調整経費等、出向中に要する経費の一部が助成されるものです(表1参照)。

②出向初期経費

出向初期経費は、労働者(雇用保険被保険者)を在籍型出向により送り出す事業主とその労働者を受け入れる事業主に対して、就業規則や出向契約書の整備費用、出向に際して出向元であらかじめ行う教育訓練、出向先が出向者を受け入れるために用意する機器や備品等、出向に要する初期経費が助成されるものです(表2参照)。

正式な決定はまもなく行われる予定ですので、必要に応じ今回とり上げたような出向での雇用維持や出向での人材確保をご検討ください。

※2021年1月12日時点の情報です。

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(経営)1月号③

医療機関でみられる人事労務Q&A
『パワハラ防止措置の法制化と事業主に求められる対応』

Q:

上司に叱られたことがパワーハラスメント(以下、「パワハラ」という)に該当するのではないかと申し出た職員がいます。パワハラとはどのようなもので、どのような対応をしなければならないのでしょうか。

A:

パワハラ防止措置の法制化によりパワハラの定義が明確になり、パワハラに該当すると考えられる例と該当しないと考えられる例が示されました。パワハラ防止措置として、パワハラを行ってはならないこと等に対する職員の関心と理解を高めたり、他の職員に対する言動に注意を払うことができるように研修を行うことが求められます。

詳細解説:

1.パワハラ防止措置の法制化

労働施策総合推進法の改正によりパワハラ防止措置が事業主に義務づけられ、大企業区分に該当する医療機関は2020 年6 月1 日より施行されています。中小企業区分に該当する医療機関は、2022 年4 月1 日より施行されます。

2.パワハラの定義と例示

パワハラの定義は「パワーハラスメント防止のための指針」(以下、「指針」という)の中で明確にされ、次の①〜③までの要素をすべて満たすものとしています。

① 優越的な関係を背景とした言動であって
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③ 労働者の就業環境が害されるもの

また指針では、パワハラに該当すると考えられる例と該当しないと考えられる例が示され、例えば「精神的な攻撃」は次のように示されています。

[該当すると考えられる例]

業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと

[該当しないと考えられる例]

遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること

この事例からわかるように、業務の遂行に関することの注意は問題なくても、必要以上に厳しく注意したり、長時間にわたって厳しく注意したりすることで、パワハラに該当する可能性が高まります。反対に、当然守るべきルールを散々破ったときに、必要に応じた厳しい注意をしたとしても、パワハラには該当しないということになります。この指針で示された例はあくまで事例であり、パワハラに該当するかどうかは個別に判断されます。

パワハラというと上司から部下に対するものをイメージしますが、職場内の仲間外れ、外部の関係者へのパワハラも考えられます。そのため、上司(管理職)だけでなく一般の職員に対する研修の実施も効果的でしょう。

(来月に続く)

医療事業所様向け情報(経営)1月号②

通院にかけることのできる時間はどのくらいか

医療機関を受診する際、患者が通院にかけることのできる時間はどのくらいまでなのか、ご存じですか。ここでは2020 年10 月に厚生労働省より発表された調査結果※から、通院にかけることのできる時間に関するデータをご紹介します。

日常的にかかる診療所は30 分未満が80%

上記調査結果から、片道の通院にかけることのできる最大時間を、本人と家族に分けて受診する医療機関ごとにまとめると、下グラフのとおりです。

日常的にかかる診療所では、本人、家族ともに30 分未満が80%を超えました。30 分~1 時間以内も加えると、本人、家族ともに95%を超えています。通院頻度が高くなると、通院時間も短い方がよいと考える割合が高いようです。

手術や入院では30 分未満は減少

手術・検査などを受ける大きな病院では、本人、家族ともに30 分未満の割合が日常的にかかる診療所の半分程度に減り、40%台になりました。30 分~1 時間以内とする割合は、本人が44.5%、家族は42.4%です。本人は30 分~1 時間以内、家族は30 分未満の割合が最も高くなりました。

入院する病院、入所する福祉施設は、本人の49.7%、家族の54.6%が30 分未満と回答しています。手術・検査などを受ける大きな病院よ
りも、30 分以内とする割合が高い状況です。

手術や検査などを受ける大きな病院と、入院する病院の場合、本人よりも家族の方が30分以内とする割合が高いのは、付き添いが関係していることも考えられます。

通院する目的によっては、医療機関が限定されることもありますが、通院時間は片道最大1 時間以内とする人が8 割を超える結果になりました。自院の来院傾向と比較してみてはいかがでしょうか。

※厚生労働省「人口減少社会における医療・福祉の利用に関する意識調査」
18 歳以上の男女3,000 人を対象に、2019 年12 月6 日~12 月13 日に行われた調査です。
詳細は次のURL のページから確認いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14222.html

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(経営)1月号①

令和 3 年度の税制改正要望 医療編

今回は、厚生労働省が提出した令和3 年度税制改正要望から、医療に関する主な項目をご紹介します。令和3 年度は予算の概算要求と同様、新型コロナ感染拡大防止の影響で1 ヶ月遅れの始動です。

地域医療関連から3 つご紹介

地域医療に関連した改正要望を3 つご紹介します。

⚫ 地域医療提供体制確保の3 特例の延長

次の3 つの現行制度について、適用期限の2年間延長が要望されました。

① 医師やその他の医療従事者の勤務時間短縮のために必要な器具、備品及びソフトウェアの特別償却制度
② 地域医療提供体制の確保のため地域医療構想で合意された病床の再編等の建物及びその附属設備の特別償却制度
③ 取得価格500 万円以上の高額な医療用機器を取得した場合の特別償却制度

③については、対象機器の見直し等も要望されています。

⚫ 地域医療構想のための優遇税制の創設

地域の医療機関の再編統合による資産等の取得(改修工事含む)が行われた場合に、不動産取得税、固定資産税及び登録免許税を軽減す
る税制措置を設けることが提起されています。

⚫ 地域連携薬局の不動産取得税特例の創設

患者自身が自分に適した薬局を選択できる、機能別の認定制度が導入されます(令和3 年8月1 日施行)。認定薬局は次の2 つです。

認定薬局の要件に適した患者等に配慮した構造等とするための負担軽減策として、中小企業者による認定薬局の用に供する不動産の取得に係る不動産取得税に関して、不動産価格6 分の1 に相当する額を価格から控除する課税標準の特例の創設が要望されました。

なお、上記以外に、持分なし医療法人への移行促進のための納税猶予制度創設、セルフメディケーション推進のための医療費控除の特
例の延長等も要望されています。

参考:厚生労働省「令和3 年度厚生労働省税制改正要望について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000175981_00006.htm

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)1月号②

法令で定められる非正規労働者の正社員転換措置と運用時の注意点

2020年10月に同一労働同一賃金に関する最高裁判決が言い渡されました。その中で、契約社員やパートタイマーから正社員への転換制度が労働契約法20条に定める「その他の事情」として評価されたことから、正社員転換制度への注目が高まっています。そこで今回は、法律で求められる非正規労働者の正社員転換措置と運用時の注意点を確認します。

1. 正社員転換措置

会社が従業員をどのような雇用形態で雇入れるかは自由ですが、パートタイム・有期雇用労働法(※)では短時間労働者や有期契約労働者(以下、まとめて「非正規労働者」という)に対し、通常の労働者(正社員)へ転換する措置を設けることを義務づけています。具体的に、以下①~④のいずれかを実施することが必要です。

  1. 正社員を募集する場合、その募集内容を対象者に周知する
  2. 正社員のポストを社内公募する場合、対象者にも応募する機会を与える
  3. 正社員へ転換するための試験制度を設ける
  4. その他正社員の転換を推進するための措置を講ずる

2. 転換措置の周知方法

正社員転換措置は、会社が講じている措置の内容を、非正規労働者にあらかじめ周知することが求められます。周知方法としては次のようなものが挙げられます。

  1. 就業規則に記載する
  2. 労働条件通知書に記載する
  3. 事業所内の掲示板で掲示する
  4. 社内で資料を回覧する
  5. 社内メールやイントラネットで告知する
  6. 給与明細に資料を同封する

実際に正社員を募集したり、社内公募したりする際の周知は、事業所内での掲示や資料の回覧、人事考課面談時での希望聴取などが考えられます。

3. 運用時の注意点

正社員の採用が新規学卒者のみとなっているような会社では、応募できる人が限定されているため、正社員転換措置を講じているとはいえません。

また、1.のc.の措置を設けている場合、正社員への転換や受験する要件として、勤続期間や資格等を設けることがあります。事業所の実態に応じていれば問題ないものの、必要以上に厳しい要件を設けている場合、措置を講じているとは認められない場合もあります。

法律では、正社員転換措置を講ずることが義務であり、結果として正社員へ転換することまでは求めていません。しかし同一労働同一賃金の判例から見ると、正社員転換措置があり、実際に正社員に転換されていたことが労働契約法20条等における「その他の事情」として重視されています。このような観点からも正社員転換措置の運用は重要性を増しています。周知のみで応募しにくい環境になっているなど、措置が形骸化していないか確認し、問題があれば改善しましょう。

※中小企業のパートタイム・有期雇用労働法の適用は2021年4月ですが、それまではパートタイム労働法において、短時間労働者に関し同様に正社員転換措置が求められています。

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)1月号①

人事労務管理分野での官公署への届出における押印廃止

現在、官公署等へ届け出る多くの書類は、法令や慣行等により押印が求められています。この押印に関し、原則としてすべての行政手続について、一定の基準に照らして廃止する手続きが順次進められており、人事労務管理分野における書類についても廃止が予定されています。

1.労働基準法関係の押印廃止

労働基準法施行規則では、「時間外労働・休日労働に関する協定届」(36協定届)や「1年単位の変形労働時間制に関する協定届」を始めとし、30近くの様式において会社の押印を求めています。今後、それらの様式等について使用者および労働者の押印欄が削除され、法令上、押印や署名が求められないこととなります。

これに加え、押印が求められる様式のうち、36協定届等の過半数代表者の記載のある様式については、一部で過半数代表者が適切に選任されていない状況を踏まえ、適切な選任かを確認するチェックボックスが様式上に設けられました。

2020年12月22日に改正省令が公布され、2021年4月1日に施行されます。

2.社会保険関係での押印廃止

健康保険や厚生年金保険の手続きでは、すでに押印による届出のほかに、事業主が署名することで押印を省略できることとなっています。今後は、金融機関に対する届出印を押印する必要がある「保険料口座振替納付(変更)申出書」を除き、全面的に押印が廃止される予定です。

3.新型コロナ拡大防止のための取扱い

2.に加え、日本年金機構では新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染防止の観点から、暫定的に事業主の押印または署名がない届出であっても、当分の間受理するとしています。

協会けんぽにおいても新型コロナの感染防止の観点から、一部の届出においては、事業主の押印や署名を省略できるとしています。ただし、傷病手当金支給申請書や出産手当金支給申請書は、特に慎重に届出の真正性を確認する必要があることから、事業主の押印や署名が引き続き求められます。この際、法務局が発行する法人の印鑑証明書や印鑑カードの写しを届出等に添付する場合等については、届出の真正性が確認できるとし、事業主の押印や証明の省略を認めています。

現在、行政手続きで押印が必要なものは全体で1万5千件程度ありますが、このうち99.4%の手続きを廃止(廃止済・廃止決定を含む)し、認め印は全廃される予定です。押印や署名の廃止で書類の迅速なやり取りが期待されます。今後の情報にも注目していきましょう。

(次号に続く)

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