保育

シフト制で労働日や労働時間を 決定・変更する際の留意点

労働契約では、労働日や労働時間をあらかじめ確定させた上で契約を締結することが原則です。しかし、契約の締結時点では確定的に定めず、一定期間ごとに作成される勤務割や勤務シフトなどにおいて初めて具体的な労働日や労働時間が確定するような、いわゆる「シフト制」により労働契約を締結することも多くみられます。このシフト制に関連し、厚生労働省は「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(以下、「シフト制による留意事項」という。)を取りまとめ、公表しました。この中から、特に確認しておきたいポイントをとり上げます。

1. 労働条件の明示と始業・終業時刻

 会社は労働契約の締結の際、労働者に対して「始業および終業の時刻」や「休日」に関する事項などを書面により明示する義務があります。シフト制の場合、具体的な労働日や労働時間などを「シフトによる」と記載しているケースがありますが、すでに始業や終業時刻が確定している日についてはこの記載では足りず、労働日ごとの始業および終業時刻を明記するか、原則的な始業や終業時刻を記載した上で、一定期間のシフト表をあわせて労働者に交付するなどの対応が必要です。
 この他、シフト表を労働者に通知する期限や方法等を定めておき、労働者に分かるようにします。

2.労働契約の定めと労働日・労働時間

 労働者が労働契約の内容の理解を深めるために、労働日や労働時間等について、基本的な考え方をあらかじめ労働契約で決めておくことが望まれます。例えば、以下のような事項について、会社と労働者で話し合い、合意しておくことが考えられます。
・ 一定の期間において、労働する可能性がある最大の日数、時間数、時間帯
 [ 例] 毎週月・水・金曜日から勤務する日をシフトで指定する
・ 一定の期間において、目安となる労働日数、労働時間数
 [ 例]1ヶ月○日程度勤務、1 週間当たり平均○時間勤務

3. 労働日や労働時間等の変更

 基本的に、一旦シフトを確定させた後にそのシフト上の労働日や労働時間等を変更することは、労働条件の変更にあたります。そのため、会社と労働者双方が合意した上で行うことが必要です。
 シフトの変更に関するルールとして、例えば、シフトの期間開始前に、確定したシフト表の労働日・労働時間等の変更を会社、労働者が申し出る場合の期限や手続等について、あらかじめ決めておくことが考えられます。

 

今回、シフト制による留意事項が公表された背景には、シフト制のメリットを認めつつも、会社の都合で労働日や労働時間等が設定され、トラブルとなるケースが起きていることがあります。
シフト制を採用している会社は、この機会に適切な運用ができているかを確認しましょう。

 

保育時間内に強制で習い事? 「幼児教育無償化後の追加料徴収にビジネスでは」との声も

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保育園で提供されるさまざまな習い事。親たちの教育熱も背景にはあるようだ(gettyimages)※写真はイメージ

 保育園で習い事を提供するケースが増えている。親からは便利だと歓迎される向きもあるが、「強制」には疑問の声が。選択制でも問題点はある。AERA2022年3月14日号の記事を紹介する。

「近く、保育園で英語のレッスンが始まるらしい。それも、1カ月2万円で」

 神奈川県で2人の子どもを育てる男性は、上の子どもが0歳で入園ししばらくすると、保護者との会話でそんな話を耳にするようになった。男性の子どもが通う認可保育園は、長く公立の保育園だったが、上の子どもが入園した年から民間事業者が市から委託され運営するようになっていた。

■共働き親の罪悪感

 習い事を希望するか否か、事前アンケートはなかった。なぜ「英語」なのかもわからない。下の子の入園のタイミングに合わせ、説明会に参加すると、重要事項説明書の内容から4、5歳児の英語レッスンは必須で、入園を決めた時点で拒む権利はないのだと知った。

 カリキュラムの内容を聞くと、外国人講師が常駐するわけではなく、「2万円」になる理由も不明。2019年に幼児教育・保育の無償化がスタートすると、「無償化により浮くことになった分が請求されるようなものではないか」という疑念を抱くようになった。男性は、市の保育課に相談し、何往復ものやりとりを経て、保育のコアタイムでは追加徴収をしてはいけない、という判断がなされた。けれど、いまもモヤモヤした気持ちは消えない。

 男性は言う。

「習い事がお金儲けの手段になってしまうのは問題だな、と思っています」

 近年は、保育園の保育時間内に、希望者に対して民間事業者が体操や英語などの習い事を提供するケースは増えている。共働きの親は、送迎なしで習い事ができると歓迎する向きもある。「忙しくて、子どもにさまざまな経験をさせられない」という罪悪感も薄れる。

■保育の質向上が大事

 ただ、前出の男性のようにそれが「強制参加」「強制徴収」となると、問題は違う。

「保育園を考える親の会」代表の普光院亜紀さんによると、年間数件ではあるが、こうした習い事に関する相談が寄せられるという。保育時間内に水泳教室にバスで送迎される例では、安全性への不安や、幼児教育無償化に乗じたビジネスではないかという疑問が寄せられた。

 選択制であっても、追加料金を払い、習い事を選択するかどうかは、家庭の事情や保護者の考え方によるので、子ども自身の選択ではない点も問題視する。

「習い事の時間にわが子がお友だちと分けられることを心配して、習い事は不要と思っていても参加せざるを得ないという声も聞きます。幼児期は人格形成期であり、子ども同士が関わり合って社会性を育む時期なので、孤立感や差別感を覚えさせる環境をつくってしまうのだとしたら、罪深いことだと思います」(普光院さん)

 社会が豊かになるにつれ、“習い事ビジネス”はますます隆盛になっているが、普光院さんは、そこに親が乗せられてしまっているのではないかとも感じている。園での運動指導と運動能力の関係を調べた研究では、外部講師に任せるよりも、いつも遊んでいる保育者が指導する園のほうが結果がよかったり、一斉の指導を行うよりも、子どもがそれぞれ自由に動き回って遊ぶことを重視する保育のほうが高い結果が出たりしているという。普光院さんは言う。

「保育園側は、『習い事』として有料で切り分けるのではなく、保育の質そのものを高めていくことに力を注ぐべきだと思います。一方で、保護者もまた『幼児期から習い事をしないと、乗り遅れる』と考えるのではなく、“子どもの気持ち”で本当に楽しめるものとは何か、を考える。そうした意識の改革も必要だと思います」

(ライター・古谷ゆう子)

※AERA 2022年3月14日号

Q 有給休暇を年5日取得できない職員が3人います。どうやってとらせたらいいのか・・・。一方、取得はしているのですが、手厚い職員配置をしたいときに有給休暇の取得があると 予定の保育ができないときもあります。どんな方法があるでしょうか?

A ご質問の有給を取得してくれても時期に問題があるような場合の一つの対処方法は

 労使協定を締結して「計画的付与」にて有給を取得してもらうことがあります。

 園児の登園が最も減る時期が813日から16日は子供の預かり保育は実施しておらず、

 2号子供と3号子供は5割ほどの登園になるとのことでしたので、この4日間に計画的付与を導入します。具体的には下記に次のようになります。年5日取得義務のある職員を2つのグループに分けます。グループごとに13日、14日の2日間のいずれかで取得させる割り振りを主任にお願いします。労使協定の締結後、計画通り8月に2日間の有給休暇を職員に取得させます。

 もう一つの課題である5日間の取得義務が果たせない職員への対応です。このような方には園が時期指定を行うことを定めます。例えば、年の後半となると行事や次年度行事が立て込むため、1号子供が夏休みになる7から8月の間に3日の時期指定を行います。具体的には3人に7月から8月のいつ頃取得したいかを聞き、できるだけ希望に沿うように取得を決め「A先生は731日、81日、820日の3日間は週休を取ってください」とそれぞれに伝えます。園が時期指定を有給休暇を踏まえて、勤務表の作成ができるように、主任に情報を共有します。

 導入後の状況を確認しましたが、計画的付与を導入した8月の4日間はクラスの垣根を取り払い、異年齢保育にするよう主任にお願いしました。主任中心に幼児リーダーと乳児リーダーの3人が夏ならでは遊びを取り入れた保育計画を作成しました。0歳児5歳児までが一緒に過ごす時間帯も計画されて打て、普段とは違う保育を少人数ならではのゆったりと雰囲気で園児も職員も楽しんでいました。

 以上のような方法もご参考にしていただければと思います。

Q,仕事が出来ず協調性もない問題のあった社員が、定年後の再雇用を申し出てきました。会社としては定年をもってやめてもらいたいが、どのような対応が出来ますか、尚、当社は雇用継続制度をとっており、再雇用基準を定めた労使協定があります。

A, 当該社員は定年迎えるということで、定年後再雇用をしないということが考えられますが、それが出来るかどうかが問題になるところです。

平成25年4月1日より改正高年齢者等の雇用の安定等の関する法律が施行されています。この改正では、定年に達した人を引き続き雇用する「雇用継続制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みが廃止されました。ただ、従来このような仕組みを設けていた場合には、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢(令和4年3月31日までであれば63歳)を超える年齢の者について、なお雇用継続制度の対象者を限定する基準を定めることは可能となります。

 逆にいうと、60歳定年で雇用継続制度をとっている場合、本人が希望するときは、解雇事由や退職事由にあたる事由がないかぎり、少なくとも上記支給開始までは再雇用する必要があります。再雇用基準を適用できるのは上記支給開始年齢を超えて再雇用するかどうかを判断するときになります。

従って、御質問にある問題社員が再雇用を希望した場合、その時に再雇用基準を満たしていなかったとしても、少なくとも上記支給開始年齢までは再雇用をする必要があります。

 

2,解雇することはできるのか

仮に再雇用拒否が出来ない場合でも客観的合理性と社会的相当性の要件を満たしていれば解雇することはできます。ご質問のケースでは、当該社員は仕事も出来ず協調性もないとのことですので、解雇できるかどうかのポイントとしては、その問題事由を裏付ける客観的事実、問題性の程度、そして何度も注意指導しても改善しなかったという「改善可能性」が無いことや、他の部署に配転して解雇を回避する余地がないか、などが焦点になります。

 実際のケースでは、十分な注意指導が出来ておらず、直ちに解雇するのは難しいというケースが見受けられます。そのような場合には、一端、再雇用したうえで、当該社員の問題状況や注意指導の履歴を記録化するようにして、契約更新の段階で雇止めを検討するという方法も考えられます。ただ、社内で長年キャリアを積んだ年長社員に対して、どれだけの指導教育ができるかについては、現実的にかなり難しい部分もあるのではないでしょうか。

 

3,労働条件を変更することはできるか

定年後再雇用とする場合、雇用契約を締結しなおすことになりますので、その際に労働条件(給与、職種、業務内容)を改定し提示することは可能です。ただ、どのような変更をしてもいいかというと、厚労省QAによれば、継続雇用高齢者の安定した雇用を確保するという趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金など雇用に関するルールの範囲内で事業主と労働者の間で決めることが出来るとされています。そして最終的に合意できなかった場合でも、事業主が合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば結果的に継続雇用に至らなかったとしても、法律違反になることはないとしています。

 

4,事業主側として現実的な対処方法としては。

 ご質問のケースのような場合、当該社員との雇用継続が難しいということであれば、実務対応としては、当該社員にこれまでの勤務をねぎらいつつも、会社の評価を伝えて、まずは退職勧奨を試みるのが現実的な対応であると考えます。また、場合によっては割り増し退職金を支払う等の方法も考えられるところです。

 

 以上

固定残業代の支給がある場合の 求人票の書き方

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。

 

総務部長
先日、同業者の総務担当者と話をする機会があり、中途で入社した従業員から、求人票の内容と実際の労働条件が違うと指摘され、トラブルになったという話を聞きました。20 時間分の固定残業代を支払うと伝えていたものの、固定残業代が基本給に含まれており、それがトラブルの原因になったようです。
社労士                                                                    なるほど。従業員の方は想定した残業代が支払われずに、トラブルになったのですね。
総務部長                                                             そのようです。固定残業代がある場合に、求人票にはどのように書くべきなのでしょうか。
社労士                                                           ハローワークで募集する求人票には次の①から③の内容をすべて明示することが必要です。また、これはハローワークだけでなく、転職サイト等を運営する職業紹介事業者についてもこれに準じた取扱いが求められています。実際、適切な記載をしていないことで、変更を求められたケースもあります。
①固定残業代を除いた基本給の額
②固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
③固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で 支払う旨
総務部長                                                                                 具体的にはどのように記載することになるのでしょうか?
社労士                                                            例えば、以下のような記載が考えられます。
・ 基本給:250,000 円(固定残業手当を除く額)
・ 固定残業手当:40,000 円(時間外労働の有無にかかわらず、20 時間分の時間外手当として支給)
・ 20 時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給
総務部長                                                                               分かりやすく明示しておくことが重要ですね。そして、当然ながら、採用面接の際にも説明しておいたほうがよいですね。
社労士                                                                      そうですね。また、固定残業代以外のことにはなりますが、求人を行う際の注意点として、あらかじめ示した条件から労働条件が変更となった場合には、その内容を求職者に明示することが義務付けられています。この明示は、更前後の内容を対照できるようにして書面交付をする方法が望まれますが、変更された部分に下線やマーカーを引くような方法も考えられます。ただし、当初明示した労働条件を安易に変更してよいという意味ではありません。
総務部長                                                                             入社後に、採用面接の際に聞いていた内容と違うと言われることがないように、対応しておくことが必要なのですね。

 

ONE POINT
① 固定残業代の支給がある場合、求人票等に所定の事項を明示しなければならない。
② 求人票等で明示した労働条件が変更になったときは、求職者に変更内容を明示しなければならない。

 

コロナ禍だからこそ活用したい ストレスチェック制度

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は社会生活に様々な影響を及ぼし、従業員の働き方も大きく変化しました。歓迎会や新年会・忘年会といった飲食を伴った従業員同士の交流は大きく制限され、在宅勤務の導入によりリアルなコミュニケーションが減るケースも見られます。このようなコミュニケーションの問題を解消する取組みを行っている企業もありますが、コロナ禍が長引くことで、従業員に少なからずストレスがかかっていることでしょう。その対策として、活用が期待されるストレスチェック制度について内容を再確認します。

1. 実施目的

 ストレスチェック制度は、定期的に従業員のストレスの状況について検査を行い、従業員にその結果を通知することで自らのストレスの状況についての気付きを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させることを目的として実施されるものです。また、検査結果を職場ごとに(集団的に)分析し、職場環境の改善につなげることによって、従業員のメンタルヘルス不調を未然に防止することも目的とされています。

2. 実施方法

 実施方法はストレスチェックができる用紙を従業員に配布したり、WEBで行ったりと様々ですが、常時使用する労働者に対して、1年に1回、行うことが義務になっています(※)。チェックする項目は、「仕事のストレス要因」、「心身のストレス反応」、「周囲のサポート」の3 領域を含むことになっています。具体的なチェック項目が法令で定められているわけではなく、厚生労働省は57項目ある「職業性ストレス簡易調査票」により実施することを推奨しています。このような調査票を用いるほか、実施に関してサポートする外部サービスを利用することも多いかと思われます。
※常時使用する労働者数の50 人未満の事業場は、当分の間努力義務

3. 実施後の対応

 ストレスチェックを実施した後には、従業員に結果を通知するとともに、高ストレスと評価された従業員について、本人から申出があったときには医師による面接指導を行うことが義務付けられています。さらに、その面接指導での医師の意見を勘案し、必要があるときは、従業員に対して就業上の措置を講ずることが求められます。

 

ストレスチェックの実施は会社の義務になっていますが、従業員の受検義務はありません。ただし、気づかぬうちにストレスが溜まっていることも考えられます。すでに制度の義務化から約6年が経過しており、会社として適切に活用できているかを確認するとともに、積極的なストレスチェックの受検により、ストレスがある場合には対処するきっかけとして役立てていくように従業員に周知したいものです。

 

短時間労働者の社会保険加入に おける賃金の考え方

2022 年10 月に社会保険の適用拡大として、厚生年金保険の被保険者数が常時100 人超である企業について、短時間労働者にかかる社会保険の加入要件が変更となります。具体的には、現在、厚生年金保険の被保険者数が常時500 人超である企業において対象となっている①週の所定労働時間が20 時間以上であること、②雇用期間が1 年以上見込まれること(※)、③賃金の月額が88,000 円以上であること、④学生でないこと、という4 つの加入要件が適用されることになります。ここでは、このうち③の「賃金」の考え方について確認します。
※2022 年10 月1日からは1 年以上が2ヶ月超に変更

1. 社会保険における報酬の範囲

 企業が従業員に支払う賃金について、どのような体系にするかは企業の裁量に委ねられています。そこで多くの企業では、基本給と支払う目的に応じた各種手当を設けて支払っていることが一般的です。
 社会保険の標準報酬月額を決める際に対象となる賃金(報酬)は、従業員に支払われる賃金のうち、基本給のほか、役職手当、家族手当、住宅手当、別居手当、勤務地手当、通勤手当、割増賃金等の現金で支払われるもののほか、現物で支給されるものも含まれるとされています。また、年4 回以上支給される賞与についても報酬に含まれることになっています。

2. 短時間労働者の加入要件における賃金

 短時間労働者の加入要件に「賃金の月額が88, 000 円以上であること」がありますが、この賃金とは、週給、日給、時間給を月額に換算したものに、諸手当等を含めた所定内賃金により判断します。
 この際、以下の賃金を除くことになっています。
[ 除外対象]
・臨時に支払われる賃金および1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)
・時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例:割増賃金等)
・最低賃金法で算入しない賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当)
 通勤手当や家族手当は除外して考えるほか、あくまでも所定内賃金により判断されるので、割増賃金も除外して考えることがポイントです。
 ただし、被保険者として資格取得するときの標準報酬月額を決める際には、加入要件における賃金ではなく、あくまでも1. における賃金を対象とするので注意が必要です。

 

 加入要件を判断する際の賃金は、割増賃金を計算する際に基礎となる賃金や、所得税の課税対象となる賃金とは異なり、独自に定められています。今後、適用拡大の対象となる企業を中心に、パートタイマーやアルバイト等の短時間労働者から加入にかかる相談の増加が予想されます。賃金以外の加入要件についても、詳細な基準を確認しておきたいものです。

 

 

Q 処遇改善加算Ⅱに関する園のリーダー名と職務内容についてアドバイスをお願いします。

A 処遇改善加算Ⅱの制度を園に導入するには、職位と職務内容を就業規則やキャリアパスの役割等級表に明記することをお勧めしています。リーダー名も「乳児リーダー」「発達支援リーダー」「食育リーダー」などが多いですが、これはあくまで一例です。園長先生が実現したいことによって、それぞれの園ごとに異なるものです。

 ある園では、クラス業務に収まり切れない園全体に関わることをスムーズに進めるため、

既存の委員会に着目した組織づくりをしています。具体的には既存の委員会に、保育環境、保健衛生、安全管理などをそれぞれに割り振ります。そして委員会の中から処遇改善等加算Ⅱの「保育環境リーダー」「保健衛生リーダー」「安全管理リーダー等を任命します。

 例えば、保育環境リーダーの職務内容は「園内環境整備年間計画の作成および実施、園児とともに環境整備の実践(園舎、園庭等)です。保育環境リーダーが一人ですべてこなすのではなく、環境整備の場所や日時を職員に割り振り、可能なものは園児とともに実践してもらい、進捗状況を確認します。園全体の保育環境整備を、リーダーが計画にそって采配することになります。

 また、ある園では園の特色である自然遊びや楽器を、より日々の保育に取り入れて実践発表までを担う保育者を育成したいと、処遇改善等Ⅱの「自然遊びリーダー」「楽器リーダー」

を設けています。従来は、園長や主任を中心に進めてきたのですが、園の特色をより打ち出すには保育者が主体となって進め、継続することが重要と考えてのことです。

リーダーたちは、ポジションと職務内容が与えられ、取り組むことで成長していきます。延長先生の励ましや承認が、リーダーたちのやる気を引き出し、成長を後押しします。園長先生が実現したいことに向けて、是非、処遇改善加算等Ⅱの制度を園経営に活かしていっていただきたいと思います。

経営者と社員のコミュニケーションについて

とある訪問介護事業所のサ責の方と話を

していた時に、

 

大変示唆に富んだ言葉をいただきました。

 

「経営者の人には申し訳ないけれど(笑)、

 

社長の話を聞いて心から感動する従業員って、

 

いなくはないけど、

 

実はけっこう少ないんです(笑)。

 

でも、社長に11で話を聞いてもらえたら、

 

間違いなく私たち社員は感動します。」

 

・・・・・・・・・・・・

 

如何でしょう?

 

なるほど、と思える話ですよね。

 

ことわっておきますが、

 

“社長が社員に話をする必要がない”

 

ということでは決してありません。

 

ただ、認識しておくべきこととして、

 

経営者はよかれと思い、

 

社員にも是非理解してもらいたいと思って

一生懸命話をするけれど、

 

残念ながら、社長の意図はおろか、

 

話の意味すらしっかり伝わっていない

可能性が高い、

 

いや、

 

そう思って話をしなければならない、

 

ということでしょう。

 

「何でうちの社員は俺の言っていることが理解

出来ないんだ」

 

そう言って自嘲気味に苦笑いする経営者に

私はしょっちゅう出会います。

(幹部の方は、社員の部分を「部下」と

置き換えて読んでいただいてもOKです)

 

そんな時、私はよく、こんな喩えを使って

話をします。

 

「お気持ちはよ~く分かります(笑)。

 

でも、社長、こんな風に考えてみては如何

でしょう?

 

喩えて言うなら、社長は、

 

山で言うと、頂上にいる存在です。

 

山の頂上にいる社長と山の五合目や七合目に

位置している社員は、

 

見える景色が違って当然ですよね。

頂上から下を見下ろして、

 

もしくは、頂上から見える景色について、

 

ああだ、こうだ、と話をしても、

 

残念ながら頂上より下にいるメンバーには

社長の言っていることがさっぱり理解出来ないし、

 

イメージがつきません。

 

このギャップを埋めるには、

 

社長と社員の間を

 

“つなぐ”

 

存在をおくか、

 

もしくは社長やリーダーが部下のいる位置を

確認し、

 

そこから

 

“シェルパ(=山の案内人)”

 

役を務めていくしか方法がないと思いますが、

 

如何でしょう?」

 

至極当たり前のような話ですが、

 

私も含め、

 

実際の経営現場ではなかなか実現できていない

ことだと思います。

 

でも、

 

そんな姿勢で社員とのコミュニケーションの

 

“質”

 

を重視し、

 

その想いの体現として、

 

“社員の話を聞く”

 

ことを意識する中で、

 

それが、このサ責の方がおっしゃるところの

 

“感動”

 

につながり、

 

成長の機会になるのであれば、、、、

 

皆さんはどう思われますか?

 

日頃のコミュニケーションの中で、

 

少し頭に置いてみてもいいかもしれませんね^^

 

Q 当法人では残業は、所属長による許可制としていますが、課長や主任により対応がまちまちでルールが形骸化しています。運用面でどのように改善していけば良いでしょうか。

A 労働時間管理は「時間外労働の管理」といっても過言ではありません。各部署の所属長が残業の必要性を判断し、適切時間を指示するなど、管理職の役割は重要です。職員、個々に勤務時間内に仕事を終える意識をいかにもたせるかが重要です。

一方、始業時刻=出勤時刻、終業時刻=退勤時刻 という認識で時間管理を行っている事業もいまだ多くあります。このような事業所には、労働時間の定義についてまずは指導教育する必要があります。つまり始業終業時刻と出退勤時刻は違うという認識をまずは持っていただくことです。労働時間に関する意味を理解することで、その時間管理意識を持って業務を遂行していくことは、今後、さらに重要なポイントになります。そのためには、まず指導いただきたいのは、時間外労働の「許可制」です。当然ながら業務は所定時間内に行うのが前提ですが、事情により残業になりそうな場合には、その理由と終業時刻を明記し、許可制とする必要があります。それにより、所定外労働割増をつける時間が明確になりますし、何より大切なことは各職員の時間管理意識を高めることができます。ただし、残業の許可制を規定に定めていても、許可を受けない残業のすべてが無効になるかというとかならずしもそうではありません。通常の業務をこなすうえで,所定時間内終わらないような業務量を要求したならば、残業時間に対して、黙示の承認があったということになり、残業時間に該当するという判断になりますので、適宜の指導が必要になります。

 

ただ、残業を所属長の許可制にしていても、申請された残業内容をよく理解せずに全部承認していたり、逆に、明らかに残業が必要な業務量にも関わらず許可をしなかったりと、所属長により対処の仕方はまちまちになりがちです。本当に必要な残業かどうか、どの程度の時間が必要かなどを判断して、適切な許可を与える必要があります。

 

残業許可制運用のポイント

  • 残業の理由を明確にさせる

 「何のために残業をするのか」「なぜ、その業務が残ってしまったのか」を確認します。例えば、許可申請の残業理由に「介護記録作成の為」とだけ記入させるのではなく、「なぜ

介護記録作成業務が残ってしまったのか」を記入させます。そうすることで、原因を本人と上司が確認しあうことで改善に繋げることができます。残業理由が本人の能力の問題であれば、個別指導や業務の標準化を進める必要があります。

  • 残業内容の緊急性・必要性を判断する

その業務が「要当日処理」か「翌日処理で可」なのかをメリハリをつけて確認します。

またその業務は、「あなたがやらなければならない業務」なのか「次の交代勤務者で対応できる業務」なのかを確認します。

  • 業務の上限時間(目安)を指示する

「その業務は30分で終えて」と目標時間を指示します。業務内容応じて適切な時間を指示することは必要です。但し、このことは「30分以上の残業は認めない」と上限設定をすることではありません。上限を超えて残業していても、事実上、黙認している状況であれば

それは「黙示の承認」に該当します。

 

  • 職員の健康状態にも配慮する

休憩はきちんととれたか、体調にお問題はないか、などを確認します。こうしたことは、日頃の部下とのコミュニケーションで行っておきたいところです。

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