保育

保育事業者様向け情報(労務)11月号②

2019年4月から基準が変更される医師の面接指導とは

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士と
その顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:働き方改革関連法の施行により、2019年4月から残業時間の上限規制が行われますが、
     一部の従業員からは「残業代が減ってしまうので生活が厳しくなる」という声が
     上がっています。
社労士 :私もそのような声を聞きますが、同じ成果を短い時間であげるのであれば会社には
     利益がもたらされる訳ですから、その生産性向上を評価し、給料や賞与の引き上げ
     などを行うことが重要であると感じています。
     また、今回の残業時間の上限規制は、過重労働に基づく労働者の健康障害を
     防止するための法規制であることから、労働安全衛生法の改正も行われています。
総務部長:社労士労働安全衛生法ですか?
社労士 :はい。2019年4月より長時間労働者への医師の面接指導の対象が変わります。
     現行では、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた時間が1ヶ月当たり
     100時間を超え、本人が申し出た場合が面接指導の対象となっていますが、
     この1ヶ月当たりの時間数が80時間に引き下げとなります。
総務部長:なるほど。80時間を超えた場合が対象となるのですね。ちなみに、この時間数は
     どのように計算するのでしょうか?
社労士 :毎月1回以上、一定の期日を定めて行うことになっています。例えば賃金締切日
     (毎月20日)を用いた場合、当月21日から翌月20日までの1ヶ月の時間外・
     休日労働時間数を以下の式で計算し判断します。

     1ヶ月の時間外・休日労働時間数=
           1ヶ月の総労働時間数-(計算期間1ヶ月間の総暦日数/7)×40

総務部長:なるほど。残業代を支払う際に用いる時間外・休日労働時間数の合計ではなく、
     独自の計算をするのですね。
社労士 :はい。上記の計算式で1ヶ月の時間外・休日労働時間数を計算し、この時間数が
     100時間(2019年4月からは80時間)を超えている従業員が対象となります。
     なお、2019年4月からは、この超えた時間に関する情報を対象となる従業員に
     通知することになっています。
総務部長:これまでは対象者がほとんど出ないこともあり、対象者への働きかけは行って
     いませんでしたが、今後は通知する仕組みを作っておく必要がありますね。
社労士 :また、この時間の把握は、タイムカードやパソコンの使用時間の記録等、客観的な
     方法その他適切な方法で行い、その労働時間の状況の記録を作成し、3年間保存する
     ことになっています。
総務部長:労働安全衛生の側面からも、労働時間の把握の重要性が高まっているのですね。

【ワンポイントアドバイス】
1. 長時間労働者への医師の面接指導の対象となる基準時間が1ヶ月当たり100時間から80時間に
 引き下げになり、対象となる従業員にこの時間に関する情報を通知しなければならない。
2. 1.の労働時間の把握は、タイムカードやパソコンの使用時間の記録等、客観的な方法その他
 適切な方法を用い、その記録を3年間保存することとなる。

(次号に続く)

保育事業者様向け情報(労務)11月号①

来春より始まる年次有給休暇5日の取得義務への対応

2019年4月より段階的に施行される改正労働基準法ですが、その中でも最初に
対応しなければならないのが、年次有給休暇の取得義務です。
9月には、実務に影響する省令が公布、通達も発出され、具体的に求められる対応が
明らかになっています。

1.会社が取得日を指定する年次有給休暇

労働基準法では、原則として、入社日から6ヶ月勤務した従業員に10日の年次有給休暇が
付与され、その後は、勤続年数に応じた日数が付与されることになっています。
この年次有給休暇が10日以上付与される従業員に対し、2019年4月からは、付与した日
(基準日)から1年以内に5日については、会社が取得する日を指定して従業員に
取得させることが求められます。
なお、従業員が自ら取得したものや労使協定による計画的付与で取得したものは、
会社が指定する5日から除いて考えることができます。

2.取得日指定のポイント

年次有給休暇は、従業員が取得する日を申し出て、取得することが原則ですが、
職場への配慮やためらい等の理由から取得率が低調であることを踏まえ、
今回の制度が設けられました。
そのため、会社が自由に取得する日を指定するのではなく、指定するときは、
まずは従業員に取得する日の意見を聴き、その意見を尊重した上で取得日を
指定することが求められています(努力義務)。
通達では、その方法として、従業員の意見を聴いた上で、年次有給休暇取得計画表を
作成し、この計画表に基づいて実際に取得させること等が考えられるとしています。

3.作成が求められる年次有給休暇管理簿

現状、労務管理を行う上で作成が求められる主な書類としては、労働者名簿、
賃金台帳、出勤簿があります。
年次有給休暇の取得義務化が始まることで、今後はこれらに加え、年次有給休暇を
取得した時季、日数および基準日を従業員ごとに記載した「年次有給休暇管理簿」を
作成することが義務付けられます。
なお、この年次有給休暇管理簿は、労働者名簿または賃金台帳とあわせて
作成することも認められており、作成後は3年間の保存義務があります。

既に年次有給休暇の取得率が高い会社にとっては、年5日の年次有給休暇の取得ができて
いない従業員に対し取得を勧めることで、取得義務の対応ができるかも知れませんが、
取得率の低い会社では計画的付与の導入も含め、より組織的な対応を進めることが
必要になります。
なお、全社員共通の基準日を設定しているなど、労働基準法の定めよりも前に年次有給休暇を
付与する制度を導入しているケースでは、導入している制度により、複雑な対応を求められる
ことがあります。
その場合には、労働基準監督署や当事務所までご相談ください。

(次号に続く)

【保育】人材育成・ブログ・2018年11月

「理念の浸透が職員の行動の軸を生む」

例えば保育士さんに向けた研修で「皆さんの園の理念を書いてください」と言います。残念ながら多くの先生方は理念を¥書くことができません。慌てて園のホームページを検索するといった様子です。
理念が職員全員に共有され浸透することで、保育の軸が生まれます。年次やクラス、担任が変わっても、子どもたちが向かう成長の姿はぶれません。一方で理念が共有されていないと、保育や職員の関わり合いにも違いが生じます。職員による保育の質の違い、例えば子供たちを褒めるポイントの違い、言葉がけの違い、遊びの違い、カリキュラムの組み方の違いなどです。向かう先が共有化されていないのですから、当然の結果ではあるのですが。
 では、どのようにすれば理念の理解と共有化が図れるのでしょうか。

例えばA園の例です。

園長は、理念の大切さに気付いておられます。職員にしっかり浸透させるには毎日四つの理念の唱和から一日がスタートします。確かに職員は理念を覚えており、すらすら言うことも
できます。しかしながら、保育が理念に紐づいているとはいいがたく、保育の質はばらばら、保護者からのクレームは多く、職員の離職率も高い状態が続いていました。

そこで職員たちに、四つの理念について解説してもらうことにしました。どの
ような意味なのか、なぜそれが子供たちにとって必要なのか、どのようにしたらそれが身につくのか、日々の保育にどのようにつなげているのかなど、皆、どの質問のみ困惑し、自分の言葉で語ることはできませんでした。多くの組織において理念が浸透・共有・実現できない理由の一つに「自分のものになっていない」ことが考えられます。言葉としては覚えているものの、それがもつ意味や意図、具体化した状態、実現するための道筋などには触れられておらず、それについて職員間で話されることもないのです。
「自分で考え、自分の言葉で伝える」
職員たちに園の理念を浸透させ、共有するためには、「理念について話す、問う、考える」ことが必要です。
・理念が持つ意味
・なぜ、その理念が子供たちにとって大切なのか
・理念が実現したら子供たちどのような大人になるのか
・実現するためには、どのような活動や保育が必要か
・職員自身が成長すべきことは何か
変わらない答えがあるもの、答えが変わってゆくもの、新しい考えやこれからも答えを
探し続けていくものもあります。
「今は変化の時」これまでのやり方に固執するのではなく、未来に向けて新しい選択肢を自分の力で広げていくことが変化に対応する鍵です。そのためには、理念について問い続けること。自分で考えたことを自分の言葉で伝えることが出来てはじめて「浸透した」と
いえるのです。理念について多くの問いを職員たちに投げかけてください。正解を考えるのではなく、職員それぞれが考えたことについてチーム間で話し合い、より良い最善の解を共有していきましょう。

処遇改善加算Ⅱを園経営に活かす

国が処遇改善加算を実施する目的は「職員の質の向上を図り、質の高い教育・保育を安定的に供給する・・・」であることをご存知でしょうか?つまり、この目的に沿った導入を考えていくことが必要となります。その視点としては、「法人理念」や「保育目標・特色」に基づき、「組織づくり」と「人材育成」といった、園長先生の人材マネジメントを考えていくことが必要になるのではないでしょうか。そして、処遇改善加算Ⅱの制度を園に活かして
それぞれの園が目指す質の高い保育を実現してほしいと思います。
 まずは、今後の園の組織の大枠を形にして、園長先生が思い描く構想を確認します。次に
例えば、異年齢保育と発達支援時の受け入れを研究し、推進実現する「乳児リーダー」「幼児リーダー」「発達支援リーダー」などを設け、リーダーごとに保育の再構築のための具体的な職務内容を明文化し、就業規則に明示し、その難易度や業務量に紐づいて手当額を設定していきます。
併せて、各リーダーが、園長の指導の下、主任と連携し、他の職員の協力を得ながら職務を遂行できるような「組織」づくりを目指していくことが必要になります。
すると各リーダーは、新しい体制の中で、それぞれの職務内容に取り組みながら成長もできますし、指導する園長、連携する主任にとっては、職務内容が育成していくうえでの指針となります。まさに「人材育成」です。

次回では、具体的な職務内容の紹介もさせていただきたいと思います。

保育事業者様向け情報(労務)10月号④

入院などで医療費が高額になるときに利用できる限度額適用認定

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士と
その顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:昨日、従業員から「今度、家族が大きな手術をすることになったので、
     医療費負担が高額になりそうです」という相談がありました。
     何かその負担を軽減するよい方法はありませんか。
社労士 :まずは、健康保険の高額療養費ですね。ご家族の年齢や従業員の方の
     標準報酬月額によっても異なりますが、一定の自己負担限度額を超える分は、
     高額療養費の申請をすることで後日、払い戻されます。
総務部長:やはりそうですよね。私も高額療養費の説明をしたのですが、毎月、住宅ローンを
     払っている関係で、一時的にでも医療費を立て替えることに負担を感じるとのこと
     でした。
社労士 :確かに高額療養費の払い戻しは、医療機関等から提出される診療報酬明細書
     (レセプト)の審査を経て行われるため、診療を受けた月から3ヶ月以上
     かかってしまい、その間、立て替える必要があります。ですので、今回のように
     事前に高額療養費に該当するような医療費がかかることが分かっているのであれば、
     限度額適用認定証の発行の手続きをするとよいでしょう。
総務部長:限度額適用認定証ですか?
社労士 :はい。これは、あらかじめ保険者に限度額適用認定証を発行してもらい、
     医療機関の窓口に提示することで、医療機関ごとに1ヶ月の支払額を
     自己負担限度額までとしてもらうことができる制度です。
総務部長:なるほど。自己負担限度額まではいずれにしても支払う必要がありますが、
     それを超える部分の医療費を立て替える必要がなくなるということですね。
     早速、手続きを進めようと思いますが、どのような流れになりますか。
社労士 :限度額適用認定証の申請書を保険者に提出すると、1週間程度で指定した場所に
     限度額適用認定証が届きます。これを医療機関の窓口で提示することになります。
     なお、限度額適用認定証は最長1年間(※)が有効期間となりますが、
     申請書に1年以内の療養予定の期間を記入することになっており、申請月の初日から、
     申請書に記入した期間が有効期間となります。
総務部長:承知しました。それでは早速、説明して手配することにします。
社労士 :そうですね。なお、申請書には会社の証明はありませんので、従業員の方が直接、
     保険者に申請することも可能ですし、自宅以外の場所を送付希望先(※)として
     指定することもできますので、できるだけスムーズな発行ができる手順を考えると
     よいでしょう。
総務部長:ありがとうございました。

【ワンポイントアドバイス】
1. 医療費が高額になるときは、限度額適用認定証を発行することで、医療機関の窓口での
 支払いを自己負担限度額までにすることができる。
2. 限度額適用認定証は最長1年間の有効期間が設けられている(※)。
3. 限度額適用認定証は従業員が希望する場所に送付される(※)。
(※)保険者が健康保険組合の場合には健康保険組合の定めによる。

(11月号に続く)

保育事業者様向け情報(労務)10月号③

労働時間を自己申告制で把握する際の注意点

来春の法改正により、年間720時間以下、単月で100時間未満などを内容とする
時間外労働の上限規制が行われます(中小企業は1年遅れの2020年4月より適用)。
これに向けて時間外労働の多い企業は、時間外労働を減らす取組みが必要となり、
併せて労働時間を適正に把握する方法が重要になります。そこで、今回は労働時
間を自己申告制で把握する際の注意点を確認しておきます。

1.労働基準監督署の指摘事項

2017年度に長時間労働が疑われる事業場に対して実施された労働基準監督署による
監督指導の実施結果を見てみると、指導事項として「実態調査の実施」が挙げられています。
この実態調査の実施とは、2017年1月20日に策定された「労働時間の適正な把握のために
使用者が講ずべき措置に関するカイドライン」(以下、「ガイドライン」という)の
4(3)ウ・エのことで、以下の内容になります。
ウ自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、
必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。
特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かる
データを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで
分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、
所要の労働時間の補正をすること。
エ自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に
報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。
その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと
報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の
指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければ
ならないこと。

2.実務上必要な対応策

このガイドラインの内容を踏まえ、例えば定期的にパソコンの使用時間の記録と
自己申告との時間の突き合わせを行い、乖離があるものについては確認を行うなどの
取組みを行うことが求められます。また、休憩時間に休憩が取れずに仕事をしていないか、
自主的な研修といっているが実際は強制参加で、参加しなければ業務に支障が出る研修が
行われていないかなど、実態は労働時間として扱うべき時間が労働時間から除外されて
いないかを点検し、問題があれば取扱いを見直すなどして改善しましょう。
時間外労働の上限規制により、企業が従業員に時間外労働を減らす取組みを命じると、
時間外労働を削減するのではなく、実際に業務を行い労働時間であるにもかかわらず、
業務を行っていないように見せることで、時間外労働の上限時間に抵触しないように
することも見受けられます。
時間外労働の上限規制の一番の目的は過重労働対策であることを、従業員自身が認識し、
業務改善を通して時間外労働の削減に取り組むようにしなければなりません。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)10月号②

[3年連続で大幅な引き上げとなる最低賃金]

1.最低賃金の種類と改定タイミング

賃金については、都道府県ごとにその最低額(最低賃金)が定められており、
企業にはその額以上の賃金を労働者に支払うことが義務付けられています。
この最低賃金には、都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と、
特定の産業に従事する労働者を対象に定められた「特定(産業別)最低賃金」の
2種類がありますが、このうち「地域別最低賃金」は、毎年10月頃に
改定されることになっています。
2018年度についても全都道府県の「地域別最低賃金」の改定額が決まりましたので、
確認しておきましょう。

2.2018年度の地域別最低賃金と発効日

2018年度の地域別最低賃金と発効日は、下のリンク先である厚生労働省でご確認ください。
すべての都道府県で24円以上の引き上げとなりました。
近年、大幅な引き上げが続いていますので、最低賃金を下回る金額の従業員がいないか、
確実にチェックしておきましょう。
なお、2017年3月28日に公表された「働き方改革実行計画」では、最低賃金について、
年率3%程度を目途として引き上げ、全国加重平均が1,000円になることを
目指すとされていますので、この引き上げは来年以降も続くことが予想されます。

2018年度の地域別最低賃金と発効日(厚生労働省のHPに飛びます)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)10月号①

[2019年4月より新しい様式となる36協定届]

働き方改革では長時間労働の是正が大きなテーマとなっていますが、
中でも36協定の重要性が高まっています。
今回の法改正を受け、2019年4月より「時間外労働・休日労働に関する協定届」
(以下、36協定)の様式が変更となります。
ここではその変更点について確認しておきましょう。

1.変わる36協定の様式

36協定の新様式を確認すると、これまでの様式から大きく変更されたようには見えませんが、
労働保険番号と法人番号の記載が求められ、36協定で定める時間数にかかわらず、
「時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1箇月について100時間未満でなければならず、
かつ2箇月から6箇月までを平均して80時間を超過しないこと。」というチェックボックスが
設けられました。
また、特別条項を設ける場合と設けない場合の2つの様式が用意されており、
特別条項を設ける場合の様式は、限度時間までの時間を協定する1枚目と特別条項を定める
2枚目の2枚組となっています。
また、特別条項を設ける場合の様式には、これまで特別条項で定める必要があった項目が
整理され、「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置」
を定める欄が設けられました。

2.新たに定めることになる健康確保措置

特別条項に追加された「限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び
福祉を確保するための措置」には、限度時間を超えて労働する労働者に対する健康確保措置を
記載することになりますが、その内容は次の10項目の中から選択し、番号と具体的内容を
書くことになります。
①労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。
②労働基準法第37条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を
 1箇月について一定回数以内とすること。
③労働時間を延長して労働させる者について終業から始業までに一定時間以上の継続した
 休息時間を確保すること。
④労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。
⑤労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。
⑥年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を
 促進すること。
⑦心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。
⑧労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に
 配置転換をすること。
⑨必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による
 保健指導を受けさせること。
⑩その他

特別条項を適用することが想定される労働者にとって、一番望ましい健康確保措置を
考えるとともに、来年に向けて対象者が出た場合の取組みについて、
いまから検討するようにしましょう。

36協定は時間外労働や休日労働を行う際のもっとも基本的な手続きであり、
時間外労働等が発生する前に労働基準監督署へ届出をしなければ労働基準法違反と
なるものです。締結はまだ先になりますが、いまから新様式の内容を確認しておきましょう。

(次号に続く)

【保育】人材育成・ブログ ・2018年10月

人材育成のスタートは「理念」から

多くの法人には理念(「社是」「使命」などと呼ばれている法人もありますが)が制定されているのに、日々の仕事とかけ離れた存在として扱われていることが多いのが実態です。中には「理念で飯が食えるか」といわれる経営者もいることがそれを象徴しています。
しかし、こうは言えます。「理念を覚えて唱和するだけでは何も生まれないが、理念の持つ役割を正しく理解すれば、働く職員が主体的に責務を遂行するようになり、結果として
(経営の本質でもある)環境適応のプロフェッショナルになれる」のです。

「理念とは経営の軸」
理念も数多くの学者によって研究され定義されていますが、共通して言えることは「法人設立の意図や存在意義を示し、経営の目的・方向性を組織や職員に示していくもの」だということです。
理念には変えてはならないもの(伝統)」と「時代に合わせて積極的に対応していくもの(革新)」をきちんと分けて経営に反映させる「ぶれない軸」だと説明しましたが、まさに個人でいう価値観・常識が法人の理念だと考えればわかりやすいでしょう。言い換えれば人にはその人の個性を形成する基盤となる価値観や常識があるように、法人にもその法人の独自性の基盤となるものが「理念」なのです。もし理念が共有されていなければ、働く人は自分の価値観や常識で行動するようになります。ところが価値観や常識は人によって異なるわけですから、それぞれがバラバラの行動をとり、組織として成果が上がることはないのです。
ところで、医療、社会福祉法人は専門性が高く、資格をもった多くの人々で構成せれています。ということは、自分の知識を価値観や常識の共通の基盤とする傾向にあるため部門の壁が生まれやすいことはよくお聞きします。自分の知識で目の前の状況を判断するときに理念のもとで「働くことの意義」や「仕事を行う意味」を徹底的に共有する必要があるからです、理念とは、組織を動かす共通の価値観・常識であるとともに、経営の目的を職員全員に示し、全員の方向性を一つにする役割を果たすものなのです。価値観を共有する際、忘れていけないことがあります。

経営理念をお飾りにしない浸透法
なぜ、経営理念は浸透しないのでしょうか。経営者の方が従業員の立場で考えるのは難しいかもしれませんので、学生時代を思い出してみてください。どこの学校でも「校訓」や「スローガン」などが廊下に掲示されていたはずです。当時、その内容まで覚えていた方はほとんどいないはずです。残念ながら経営理念も同じような扱いになっているのです。つまりほとんどの人にとって「見ている(目に入っている)が気には留めない」対象なのです。素晴らしい内容で本当は共感できるものであったとしても、理念は掲げるだけでは浸透しません。経営理念を浸透させるためには、そのための「工夫、仕掛け」が不可欠なのです。
・・・・次回に続く

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