保育

Q 上司Aが部下Bに対し、Bが作成した文書の誤字脱字が多くミスが多いとして、業務上の注意指導をしたが、それでも改まらなかったので、再度、前回よりきつく注意したところ、Bは「パワハラです」と言って注意指導を受け入れない、注意指導はどのような場合にパワハラになりますか?

A,

パワハラに関し実際に何をすればパワハラになるのか、十分に理解できている方は以外と少ないのではないでしょうか。そのため本来、部下を指導監督する上司が、これはパワハラにあたるのか、などと判断に迷ってしまうこともあると思います。さらに本設問のようにちょっと厳しく注意すると部下から「パワハラだ」などと言われると上司は注意する出来ないのではないかと思ってしまうケースも散見されます。そこで、まずはパワハラに関する基本的な考え方について検討したいと思います。

パワハラにつては、法律上の定義があるわけではありませんが、厚生労働省は「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義しています。

つまり注意指導そのものがパワハラにあたるものではなく、注意指導の程度や態様が度を越している場合にはパワハラにあたる可能性があるということになります。裁判上も、注意指導の目的は正当なものであったとしても、感情的になって大きな声を出したり、部下の人間性を否定するかのような表現を用いて叱責した点などは「社会通念上、許容される範囲を超える」としています。

御質問のケースでは、上司は部下の誤字脱字が多いことを、業務を対象にして注意指導を行っていると言えます。しかしながら部下は注意されたにも関わらず改善されないだけでなく、反抗的な態度をとってきたとのことですから、その分厳しく注意するのは当然と言えます。もちろん、先に述べた人格否定を行う、大声で怒鳴るといった注意指導は行き過ぎですが、そうでない限り、上司の注意指導はパワハラとはいえないでしょう。注意指導を行うときには、くれぐれも冷静に行うことが大切です。

マネジメントの観点を取り入れた1か月単位の変形労働制の事例紹介

ある園長先生からのご相談です。

この園の開園時間は9時から19時まででです。子供たちが順次登園し、9時半から午前中いっぱいまでがメイン活動です。年齢に応じて12時前後から昼食、12時30分以降は午睡クラス、クラス活動13時30以降は降園、または預かり保育・・・とさらに分かれていき19時の閉演に向けて子供の人数は段階的に減っていきます。園長先生の希望は、午前中は職員を手厚く配置し、メイン活動を充実させたいと思っていらっしゃいます。

 しかし、遅番職員は10時に出社するので、9時半からスタートするメイン活動にと途中方はいることになり、落ち着いて取り組むことが出来ない、これを何とかする方法はないですか、というご相談です。

 

職員の配置をコントロールする。

 

園の一日の流れに応じた子供の活動状況や人数によって、職員の人数を手厚くしたり、配置基準通りの人数にしたりすることを可能にする職員配置を検討することも可能です。

現在の働き方は1日8時間の固定で、1か月変形を採用し、各月の労働日数は決まっていました。園長先生が実現したいメイン活動の充実を念頭に置きながら就業規則の運用を考えてみました。例えば下記のような運用です。

①1日労働時間は、6時間、8時間、10時間。の3種類とする。

②各月の6時間の日と10時間の日を、同じ日数で設定する。

③就業規則に定めていた1か月変形の各月の労働日数は変えずに、各月の6時間、8時間、10時間の日数を決める。

就業規則は下記のように書き換えます。

 

 

従来の定め

今後の定め

早番

8時間労働 7:00~16:00(休憩60分)

6時間労働 7:00~13:00(休憩なし)

普通番

8時間労働 8:00~17:00(休憩60分)

8時間労働 8:00~17:00(休憩60分)

遅番

8時間労働 10:00~19:00(休憩60分)

10時間労働 8:00~19:00(休憩60分)

但し書き

 

月内において、早番と遅番の日は同じ日数とする

6月の労働日数と労働時間を示した下記表のように6時間、10時間の日を同じ日数で設定し、各月にの労働日数は変えていません。これであれば、各月の労働時間数はこれまで通りです。

 

以前

これから

所定労働日数

21日

21日(早番4日、普通13日、遅番4日)

所定労働時間

168時間

168時間

 

このようにした結果、9時半から午前中のメイン活動にはその日に出勤する6時間、8時間、10時間すべての職員の配置が可能になります。

毎月の勤務表は、前月末日までに職員に提示します。勤務表の作成に当たっては週(日曜から土曜)に1日の休日を確保しながら、各月で決めた6時間、8時間、10時間の日数を労働日とします。

 

この運用を始めた園長先生にお伺いしました。

 

午前中に職員の手厚い配置が可能になり、子供への配慮が行き届き、子供の意欲にこたえる保育ができるようになりました。「メイン活動の充実」を実感することが出来ています。また育成担当職員に余裕が出来、OJTによる育成に成果が出始めました。当初は10時間労働になる日の仕事ぶりが心配でしたが、時間が長いことをうまく利用して計画的に業務を進めたり、行事の準備に取組む姿が見られ、心配は杞憂に終わってくれました。13時で勤務終了となる早番の日は休憩時間が無い為、拘束時間が短いので、職員はワークライフバランスを活かし、趣味や習い事を始めた職員もいたり、概ね職員にも好評のようです。

Q 仕事のミスが多くクレームが入った職員に始末書を求めましたが、始末書に「上司が指導してくれない」と書き、反省してくれない職員への対応  

A 始末書というのは、業務などに規律違反をしたり、過失をしたりした場合に、その行為を反省し、謝罪し、同じことを繰り返させないようにする書面です。就業規則の制裁規定にも始末書に提示を求めています。

 

今回は、ミスが多くクレームまで入ってしまったので、その行為を反省してくれることを期待して提出を指示したのでしょう。しかし、反省するどころか施設へ責任転嫁していることがわかります。この場合、施設側が「指導をしたでしょう」と言ったところで「言った、言わない」の押し問答にしかならないのであれば、具体的な行動を振り返らせます。そして、改善することを具体的に指示し、ほかにも案があるならば自分から案を出してもよいように、ある程度「自由度」をいれると本人も書きやすくなります。

戒めるべきことは、「利用者さんのことを考えていなかったこと」ですから、話の途中で「自分はできていると思っても、利用者さんや他の職員はできているとは思っていない」ということを伝えるのです。そのうえで、「始末書」という書面ではなく、「改善提案書」と名称を変えるのもいいかもしれません。始末書というとどうしてもネガティブなイメージが強いからです。しかしここでも大切なのは、自分の行動を戒めて将来につなげることです。ですから書くハードルを下げ「改善提案書」に改めるというわけです。そしてこのフォーマットのなかに書くべき項目を入れ込んで記入してもらいます。ポイントは

  • どんな状況でクレームが発生したのか
  • それはどんな原因があったのか
  • そうすればそれを改善できるのか具体的な例をあげる
  • いつから実施するのか

 

人は埋め込み式の方が、書きやすくペンが進みます。まずは「自分の行動をふりかえり、反省してもらう」ことから始め、具体的な改善行動案を書いてもらいます。それでもできない場合には、「自分で書いたことなのになぜ実行がでいないのか」と面談で深堀していきます。

この書面を提出させるというのは、成長の過程もわかりますし、指導をしている実績もわかりますのでぜひともお勧めします。

Q、頑張っている職員を評価してもポストが少なく、昇進と昇給が思ったようにできていない。対処方法についてアドバイスをお願いします。

例えば、10人規模の通所介護(デイサービス)事業所でも十分にキャリアパスは構築できます。規模が小さい事業所は職責や組織のポジションが少なく、また給与財源が限られているという理由で、キャリアパスを作っても、意味がないとお考えの事業所は多いようです。ただ、社内のポジションで考えてみると、資格等級制度における「昇進」と「昇格」は異なります。「昇進」は確かにポジションが空かなければ上に進むことはできませんが、「昇格」は等級要件がクリアできれば全員昇格するのが、キャリアパスにおける資格等級制度の考え方です。例えば、取得した資格のレベル、勤続年数、人事評価などで、各等級の要件を定め、その昇格要件を決め、給与や時給に連動させれば、立派なキャリアパスです。また、昇給財源ですが、介護業界であれば処遇改善加算金を、財源に充当させることも十分可能ですし、むしろ国もそれを奨励しています。もしかしたら、従業員教育に時間をかけられない小規模事業所だからこそ、その仕組みにより自発的に能力を高めるようになるといった、キャリアパス効果は大きいかもしれません。

 

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延岡の保育士が手製カレンダー 「コロナ禍でも日々を楽しんで」と作成

みんなの経済新聞ネットワークより

『パート職員を正職員へ登用した際の年休付与の考え方』

Q

週3 日勤務・1 日の所定労働時間5 時間の勤続3 年8 ヶ月になるパート職員がいます。本人の希望もあり、4 月1 日から正職員へ登用することにしました。1 月1 日に年次有給休暇を8 日付与しましたが、4 月1 日時点で正職員の所定労働日数に応じた年次有給休暇を付与する必要がありますか?

A

パート職員から正職員へ登用した場合でも、年休を付与する日(基準日)は変わりません。よって、施設はパート職員を正職員に登用したタイミングで、改めて年次有給休暇を付与する必要はありません。

詳細解説

1.年次有給休暇の付与ルール

 施設は、正職員、パート職員などの雇用形態に関係なく、6 ヶ月間継続勤務し、所定労働日の8 割以上出勤した職員に対して、年次有給休暇(以下、年休)を付与しなければなりません(労働基準法第39 条)。付与する日数は、基準日における週の所定労働時間と所定労働日数をもとに決定され、基準日から1 年を経過するごとに、勤続年数に応じた日数を付与します。

2.パート職員を正職員へ登用した際の取扱い

 パート職員を正職員へ登用することにより、所定労働日数が増えたとしても、基準日を変える必要はありません。そのため、質問のように1 月1 日の基準日に年休を付与したのであれば、4 月1 日に改めて付与する必要はなく、また所定労働日数が増加した分の年休を追加して付与する必要もありません。次の基準日である1 月1 日に正職員としての年休を付与することで足ります。この取扱いは、正職員からパート職員へ転換した場合も同様です。
 正職員登用時の留意点として、年休を取得したときの賃金の取扱いがあります。職員が年休を取得した日の賃金は①平均賃金、②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金、③標準報酬日額のいずれかの方法で支払うと定められています。一般的には②の方法が多く採用されており、パート職員が年休を取得したときは、時給に所定労働時間を乗じて計算した賃金を支払っています。正職員へ登用後に、パート職員のときに付与した年休を取得した場合であっても、取得時(登用後)の雇用契約の内容に基づき賃金を支払う必要があります。そのため、1 日の所定労働時間が5 時間だったパート職員を、1 日の所定労働時間が8 時間の正職員へ登用した場合、登用後は8 時間働いたものとして取り扱います。正職員の場合、実質的には年休を取ったとしても月給分を支払うことになるでしょう。
 施設がパート職員を正職員へ登用しても改めて年休を付与する必要はありませんが、年休を取得した日の賃金の取扱いや、登用後の新たな基準日に付与する年休の日数が変わることがあります。そのため、勤怠システム等を利用して年休を管理しているときは、適切な管理ができるかを確認しましょう。

 

Q 評価者であるリーダーや管理者が、評価や面談に不安感を感じ、職場での実践ができていない状況です。どのような指導が必要ですか?アドバイスをお願いします。

評価者研修やフィードバック面談研修を受講し、方法論を学び実践で活用しています。

 

人事評価を行うことは、上司にとってかなりの負担で、ましてやその結果を部下に説明するフィードバック面談等は大変重荷、などと言うご意見は、評価者の方々からよく伺います。ただ、それは、「評価」という言葉の印象にとらわれている結果であって、実際には評価の仕方を具体的に理解していないがゆえに誤解されているケースがとても多いのです。

評価者として「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を理解し、それを実践すれば、だれでも評価を行うことができます。それにはまず評価者向けの研修を受講することをお勧めします。

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Q  慶弔休暇など特別休暇に関する相談です。頻繁にお悔やみ休暇を申請する職員が数名おり、他の職員から不満の声があがることもあります。特別休暇日数や運用ルールを見直したいと思っています。アドバイスをお願いします。

A まず検討したいのは付与要件です。ある園では、お悔やみ休暇を付与する期間は、一番多い付与日数が5日であり、従来の規定では、「連続5日」としているだけだったので、それを死亡日の翌日から5日以内などで設定します。例えば、配偶者が9月3日(金)に亡くなった場合の連続5日のお悔やみ休暇は9月8日(水)までの期間で、付与することにしました。

 結婚休暇の従来規定は、これも連続5日と規定していただけでした。ただ、実際には入籍後、落ち着いてからお披露目や旅行に行くケースが増えていることから、入籍後6か月以内に取得すること、としました。

 また、特別休暇の申請時には、きちんと確認してから付与したいので、証明書も提出してもらうことにしました。公的なものでなくても、お悔やみ休暇なら葬儀案内などでも可としました。以上のような変更を行い、就業規則もその内容で改定しました。

 このルール変更を導入後、お悔やみ休暇については、付与要件が明確になり、証明書の提出をしてもらうようになったからか、申請件数が減りました。職員からも「わかりやすいし

納得できる内容になった」という声も聞かれたようです。

“正直”と“誠実”

「皆さんは、“正直”と“誠実”の違いを
説明しなさい、と言われたら、何と答え
ますか?」

・・・・・・・・

日常的に何となく使い分けていますが、

あらためて

“違いは何?”

と質問されたら、

なかなか答えずらいものがありますよね。

何だろう?

ひとしきり考えた後、

その講師の方から教わった定義は、

今なお、私の心の中に突然表れてくるほど、

大きなインパクトを残してくれました。

その方は、こう表現されました。

「正直とは、

“現実に言葉を合わせる”

ことであり、

誠実とは、

“言葉に現実を合わせる”ことである」

・・・・・

素晴らしい定義だと思いませんか?

“正直”

は、時には難しいかもしれませんが、

実行するのは比較的容易な事かもしれません。

でも、

“誠実”

は、なかなか難しいですよね。

「言葉に現実を合わす」

この積み重ねを継続することで、

私たち経営者やリーダーは成長していくのかも
しれません。

自分自身や自分自身の家族は勿論、

社員や社員の家族、

そして、

ご利用者やその家族をしっかり守るためにも、

私たち経営者やリーダーは、

仕事や自分自身、全てに対して

“誠実に”

向き合い続けなければならないのでしょうね。

それにしても、

人生の必要なタイミングにおいて、

普段忘れている言葉が、

スッと、脳裏に浮かび上がって来る。

“人の脳”



“深い言葉”

の力、恐るべし、です(笑)。

充実した1日を過ごせるよう、

“誠実”という言葉を胸に、

今日もお互い頑張りましょう!

今年も見られる「保育園預け控え」の傾向、補助金を出す自治体も

新型コロナウイルスへの感染の懸念から、今年も保育園への預け控えの傾向が見られます。特に第6波は子どもに感染が広がり、休園する施設が急増しているため、二の足を踏んでいる保護者が多いと考えられます。
しかし、園児が減少すると保育園の経営が悪化してしまうため、支援に乗り出す自治体も出てきました。

2021年の春からコロナを理由とした預け控えは目立っていました。厚生労働省の調査によると2021年4月の認可保育園の申込者数は2009年の調査以来、始めて前年を下回りました。
全国の待機児童の数は過去最少の5,634人となりましたが、その理由として「預け控え」があるようです。

一方で、悩んだ末に入園を決意した保護者もいます。一度は育休を延長する旨を職場に伝えても、さらに仕事を休むことへの不安感や、依然0,1,2歳児の保活は厳しいこともあり、ここで入園しないと来年は入れるかわからない、と考えたのでしょう。

しかし、度々休園になることも想定しなければなりません。仕事を休まざるを得なくなった場合、それが度重なると周りに迷惑をかけているような気持になってしまうでしょう。

少子化が進む中、共働きは増えているため、保育園の申込者は増加傾向でした。しかし、コロナの影響で、育休を延長する保護者が増えているようです。

定員割れの保育園に対し、補助金を出す自治体も

園児が定員に達しない場合、園の経営に影響が出てしまいます。そんな事態に対策を講じる自治体も出てきました。

保育士の人数は国によって最低基準が決められており、園児の定員に合わせて決まります。そのため園児が減っても保育士を減らすことはできません。

東京都文京区では、基準を超えた保育士分の人件費の半額を補助する仕組みを作りました。

この、保育士の人件費の一部を補助する事業は、現場からは大変歓迎されているようです。
多くの保育園では、保育士の勤務シフトが厳しくならないように、基準よりも多く配置しています。
昨年の4月は園児の数が定員に達しない園があり、この傾向が続くと、積立金を崩したり、職員の昇給のペースを抑えたりしなければなりませんでした。

そもそも、園児の数で支給額が決まる現システムこそ変えるべきかもしれません。しかし時間がかかるでしょう。
この文京区のように、臨機応変に補助金を出すようにするしか今保育現場と保育士を救う手立てはないのかもしれません。(2月20日朝日新聞)

 

 

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