コラム

週4 日勤務のパート職員の年次有給休暇5 日取得義務

Q

4 月に、1 日の所定労働時間が6 時間で週4 日勤務してもらうパート職員を採用しました。10 月に年次有給休暇(以下、年休)を付与する予定ですが、このパート職員も、正職員と同様、付与日から1 年間に年5 日の年休を取得させる必要があるのでしょうか?

A

パート職員であっても、年休が10 日以上付与される場合、付与した日から1 年間で5 日取得させる義務(以下、取得義務)が発生します。週4 日勤務のパート職員が、勤続6 ヶ月となる10 月に付与される年休日数は7 日となるため、勤続6 ヶ月の時点において年5 日の年休の取得義務は発生しません。

詳細解説

1.パート職員への年休の比例付与
労働基準法では、入職日から6 ヶ月継続勤務し、かつ全労働日の8 割以上を出勤した職員に、正職員、パート職員など雇用形態に関わらず年休を付与することを定めています。週の所定労働時間が30 時間未満のパート職員などは、所定労働日数に応じて年休の付与日数が決定します(比例付与)。この年休日数は、下表のとおりです。
2.年休の5 日取得義務
取得義務は、パート職員を含む1 年間に10日以上の年休が付与される職員に発生します。
今回の質問の週 4 日勤務のパート職員は、入職して 6 ヶ月の時点では年休の付与日数が7 日(下表参照)のため、取得義務は発生しませんが、3 年 6 ヶ月勤務した場合、付与日数は10 日となるため、この時点から取得義務が発生します。取得義務は、下表の網掛けに該当する職員に発生します。なお、前年度から繰り越した年休と新たに付与される年休を合算して10 日以上になったとしても、取得義務は発生しません。
勤続年数によって取得義務が発生することもあるため、年休の付与日、付与日数、取得義務の有無、残日数等の管理は、正職員・パート職員を問わず、しっかり行いましょう。

 

 

 

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診療科別にみる医師数と平均年齢

ここでは今年3 月に発表された調査結果から、2020 年末時点(以下、2020 年)の主たる診療科別の診療所の医師数と平均年齢をみていきます。

医師数と平均年齢は右肩上がり

上記調査結果によると、2020 年における全国の診療所の医師数は107,226 人で、40年近く増加を続けています。男女の割合は男性が8 割、女性が2 割程度です。
平均年齢は2010 年時点で58.3 歳でしたが、2020 年には60.2 歳と、1982 年以降で最も高くなっています。年代別の医師数は60 代が最も多く31,835 人、50 代が28,495人、70 歳以上が23,322 人で続いています。

内科が全体の4 割弱に

主たる診療科別の医師数や平均年齢などをまとめると下表のとおりです。内科が39,564 人で全体の36.9%を占めました。内科以外では、眼科、整形外科、小児科などが全体の5%を超えています。
医師の男女割合では、皮膚科と婦人科、臨床検査科で女性が40%を超えました。

最高齢は外科の67.2 歳

医師の平均年齢では、外科の67.2 歳が最も高くなりました。病理診断科も65 歳を超えています。反対に平均年齢が若いのは、臨床研修医の33.2 歳を除くと美容外科の43.4 歳で、救急科の44.9 歳が続いています。
診療所医師の平均年齢は60 歳を超え、高齢化が進んでいることがうかがえる結果となりました。

   

※厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
2022 年3 月に発表された医師、歯科医師、薬剤師を対象にした調査です。詳細は次のURL のページから確認いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/20/index.html

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社会福祉施設での労働災害の発生状況

厚生労働省が策定した第13 次労働災害防止計画において、社会福祉施設は死傷災害の重点業種のひとつとされています。ここでは今年5 月に発表された資料から、社会福祉施設における労働災害の発生状況をみていきます。

死傷者数は18,000 人超に

上記資料から、社会福祉施設における労働災害の発生状況をまとめると、下表のとおりです。
2021 年の労働災害による休業4 日以上の死傷者数(以下、死傷者数)は18,421 人でした。うち、新型コロナウイルス感染症へのり患による労働災害(以下、新型コロナ感染による労働災害)の死傷者数は5,624 人、新型コロナ以外による労働災害の死傷者数は12,797 人となりました。新型コロナ感染による労働災害を除いても、労働災害による死傷者数は増加傾向にあります。
また、死傷年千人率も増加を続けています。2017 年には2.17 人でしたが、2021 年には4.23 人と4 人を超えました。

 

腰痛や転倒などが突出

主な事故の型別の死傷者数では、腰痛などの動作の反動・無理な動作と転倒が突出しています。2021 年の死傷者数は、動作の反動・無理な動作が4,539 人、転倒が4,336 人でした。どちらも2019 年から2 年間で、1,000 人以上増加しており、深刻な状況にあるといえましょう。
なお、新型コロナ感染による労働災害の死傷者は、事故の型別ではその他に分類されています。2021 年の結果では、主な事故の型別の中で最も死傷者数が多く、新型コロナウイルス感染症の影響の大きさを感じさせます。
労働災害の減少はもちろん業務負担軽減のための取組が、より一層重要になっているといえましょう。

 

※厚生労働省「令和3 年労働災害発生状況の分析等」
5 月30 日発表の「令和3 年の労働災害発生状況を公表」で参考資料として公開された、令和3 年の労働災害発生状況を取りまとめた資料です。第13 次労働災害防止計画は、労働災害を減少させるために国や事業者、労働者等が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。データの詳細は次のURL のページから確認いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25944.html

 

データヘルス改革で診療所はどうなる?

国が進めるデータヘルス改革。直近ではオンライン資格確認について、来春から原則義務化される方針が示されました。一方で、電子カルテシステムの動向も見逃せません。改革プランの進捗と、医療現場での普及状況に注目します。

情報共有は今年9 月からスタート

データヘルス改革では、災害時や救急搬送時、複数医療機関にまたがる患者への対応などのさまざまな観点から、電子カルテ情報を共有し、全国的に閲覧可能とするための基盤づくりが進められています。
今年度は集中改革プランACTION1~3 が進められており、9 月から一部共有も始まります。

  

では、電子カルテシステムの普及がどの程度進んでいるのか、統計を見てみましょう。

  

一般診療所の普及状況は、2020 年時点で49.9%です。前回調査より8.3 ポイント増加し、ほぼ半分に到達したところです。
電子カルテの導入には、IT 導入補助金がご利用いただけます。2022 年度は従来の通常枠とは別に、ハードウェアの購入費用も補助対象となるデジタル化基盤導入枠が創設されています(活用事例は前号(2022 年7 月号)参照)。他の助成金による支援も現在検討されていますので、最新情報にもご留意ください。
参考:厚生労働省「健康・医療・介護情報利活用検討会WG」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25695.html

 

人手不足感、訪問介護でより深刻

介護業界では人手不足が慢性化していますが、職種によってその深刻度合いには差があるようです。今回は、人手不足感の現状と、その解決の一助となる雇用管理や職場環境改善のための支援策についてご案内します。

訪問介護職の有効求人倍率は約15 倍 人

介護業界の人手不足について、厚生労働省の部会で示された統計(図1)によると、2020 年の施設介護員の有効求人倍率は3.90 倍でした。訪問介護職ではこれより4 倍弱高い14.92 倍となっています。2020 年以降は新型コロナウイルス感染症の拡大により訪問介護職の離職が進み、人材確保はさらに厳しい状況となっているといわれています。

  

図2 は職種別にみた人手不足感です。最も割合が高いのは訪問介護員で、約8 割となりました。介護職員も約7 割となっています。

  

人材確保のための働く環境改善には

介護サービス事業者の雇用環境整備を支援する補助金には、次のものがあります。
 ● キャリアアップ助成金
  パートタイマーなどの非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に取り組むとき
 ● 両立支援等助成金
  仕事と家庭生活を両立できるよう、従業員の育児・介護休業の取得や職場復帰の支援に取り組むとき
 ● エイジフレンドリー補助金
  高年齢労働者の職場環境改善のために、身体機能の低下を補う設備・装置などを導入したとき

 

介護労働安定センターの雇用管理相談や雇用管理責任者講習は、無料で利用できます。

※厚生労働省 第93 回社会保障審議会介護保険部会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25625.html

 

年次有給休暇の8 割要件を計算する際のポイント

年次有給休暇(以下、「年休」という)の付与については、全労働日の8 割以上出勤していることという要件(以下、「8 割要件」という)がありますが、その計算の際に、会社の責に帰すべき事由によって休業した日や育児休業を取得した日等のイレギュラーについて、どのように計算すべきか判断に迷うことがあります。その実務上のポイントを確認します。

1.8割要件の計算

8 割要件を満たしているかの計算は、出勤率をもって判断します。この出勤率は、出勤日数(算定期間の全労働日のうち出勤した日数)を全労働日(労働義務が課せられている日のことで、就業規則等で定めた休日を除いた日数)で除して計算します。
出勤日数には、休日出勤した日は除く一方で、遅刻や早退があったとしても、その日は出勤しているため、含めます。
この出勤率を計算する際に、分母の全労働日から除外される日と、分子の出勤したものとして取り扱う日が定められています。全労働日から除外される日数には、以下のものがあります。
  ① 使用者の責に帰すべき事由によって休業した日
  ② 正当なストライキその他の正当な争議行為により労務が全くなされなかった日
例えば、新型コロナウイルス感染症の影響により、会社独自の判断で従業員を休業させた場合は、①に該当し、休業させた日を全労働日から除外し、出勤率を計算します。
一方、出勤したものとして取り扱い、出勤率の計算の際に出勤日数および全労働日数に含めるものとしては、以下のものがあります。
  ① 業務上の負傷・疾病等により療養のため休業した日
  ② 労働基準法に規定する産前産後休業を取得した日
  ③ 育児・介護休業法に基づき育児休業または介護休業した日
  ④ 年次有給休暇を取得した日
例えば、算定期間においてすべて育児休業を取得していた場合、休業日数を全労働日に含み、出勤したものとして取り扱う日数にも休業日数を含むことから出勤率は10 割となり、実際に勤務した日数がないとしても年休の付与を行います。

2. 特別休暇等の取扱い

会社独自の休暇である特別休暇や、育児・介護休業法による子の看護休暇・介護休暇を取得した日等については、法令での定めはないため、それぞれの会社で出勤率の計算の際にどのように取り扱うかを決めることになります。一般的には出勤したとみなして出勤率を計算する方法が多くみられます。

 

出勤率を計算した結果、8 割要件を満たさなかった場合、その年については年休が付与されませんが、次の年に8 割要件を満たした場合は、8 割要件を満たさなかった年も勤続継続年数に含めて、付与日数が決まります。従業員にとって年休の付与や取得に対する関心は高いことから、誤りのないように管理しましょう。

 

Q 自主的に始業時間前に出勤してくるスタッフに、その時間給の給料を支払う必要はありますか?

A、命令がなく、業務とは無関係な早めの出勤については、給料を支払う必要はありません。

 

労働時間とは

 労働時間とは原則として「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを言います。つまり、院長の指示命令がないのもかかわらず勝手に出勤している時間というのは労働時間ではありません。

業務命令はなくとも業務上必要な時間は労働時間

しかし、始業時間830分からでも「815分に出勤して、これとこれをやっておかなければ、診察の受付時間である830分には開始できない」という場合があります。このことを院長がわかっていながらスタッフの善意に頼ったままで積極的な対策を講じない場合、

この15分は黙示の業務命令の下行った業務として業務時間として扱われます。命令がなくとも15分前出勤が常態化しているのであれば、業務上必要な時間であり、それは労働時間になる可能性が高いといえます。

 そもそもクリニックの始業時案は、診療受付までの準備を要する時間を見積もったうえで設定されますから830分の受付開始時間と同時に労働時間がスタートするといったところは聞いたことがありません。つまり、準備時間を15分と見積もるなら、815分が始業時間になるわけです。

掃除などをしてくれる場合には

質問のポイントは 例えば830分からの勤務時間開始でよいにも関わらず、8時からきて作業をしている場合にはどうするか」という点にあります。指示していないけれど、何かやっている、そしてタイムカードをおしている、するとこの時間に対価を支払うべきであるか、という疑問が出てくるであろうと思います。

 しかし冒頭に述べたように、あくまで労働時間は指揮命令下にある時間です。自主的に作業をしていることに対して原則、給与の支払いは必要ありません。

職場の人間関係にも配慮する

また「830分始業なのに、一番の先輩社員が8時に出勤しているため他のスタッフが全員8時に出勤している」といったケースもあります。そうすると新しく入ったスタッフから「事実上強制的に出社させられているのになぜ給料がでないの」といった文句が出てきます。そのような場合に、早く出勤するスタッフに「ほかのスタッフが影響を受けるので、あまり早く出勤しないように配慮してほしいこと」もしくは「早く出勤するのは構わないが、他のスタッフに同時の時間に出勤することを強制しないように」と伝える必要があります。

自主的に早く出勤するスタッフにも、それぞれの理由があるのでしょう。準備をしっかりとしてから仕事を始めたいというプロ意識から早く出勤するスタッフもいるでしょう。仕事の喜び、積極性、職場への貢献やチームワークといった仕事観を否定することのないよう、伝え方には十分配慮する必要があると思います。

 

タイムカードの管理

タイムカードの打刻時間は原則としてクリニックに入った時間と出た時間を示しており、必ずしもそのすべてが労働時間になるわけではありません。業務がおわりスタッフ間でおしゃべりをして帰る場合などその時間まで給料を支払う必要はないのです。

 ただし注意しなければならないのは、おしゃべりの時間わからないと、タイムカードの出勤時間から退勤時間までの時間がそのまま労働時間とみなされてしまう可能性があるということです。そのため「時間外労働は、院長の指示で行うものでおこなうものである」と周知しておくとともに、院長が承認しなかった時間がある場合にはその都度記載しておくなど、適切に把握しておくことが必要です。よくあるのは、タイムカードと時間外労働申請を並行して取り入れているケースです。例えば、17時間までの勤務の人が17時半にタイムカードが押されているような場合、時間外申請が「患者対応のため15分残業」となっていれば15分の残業代を支払えばよいということになります。このように時間外労働の管理があれば、タイムカードを押していたとしても、その分の給料をすべて支払う必要はないということになります。

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Q,配偶者の社会保険の扶養の範囲内の収入で働くパート職員がいます。時給を引 き上げたので、このまま働くと年間収入が 130 万円以上となりそうです。健康保 険の被扶養者の条件として、年間収入が 130 万円未満という基準がありますが、 どのように対応したら良いでしょうか?

A,パート職員の年間収入が 130 万円以上になった場合、配偶者の健康保険の扶養 から外れることになります。この場合、週の所定労働時間および月の所定労働日 数によって、パート職員は、状況に応じ事業所の健康保険・厚生年金保険または 国民健康保険・国民年金に加入することになります。

 

 詳細解説: 1.健康保険の扶養の収入基準 健康保険の被扶養者となる収 入の基準は、原則、年間収入が 130 万円未満で、かつ、扶養者 の年間収入の半分未満であるこ ととなっています ※1。 ここでの収入とは、扶養の認定日以降の年 間の見込み収入をいい、被扶養者の収入に は、雇用保険の基本手当や健康保険の出産手 当金等(以下、基本手当等)も含みます。 具体的には、給与収入※2は月 108,333 円以下、 基本手当等は日額 3,611 円以下であれば、年 間収入が 130 万円未満と判断されます。年間 収入が 130 万円以上となる場合、対象のパー ト職員は扶養から外れることになります。 なお、一時的に収入が多くなることによ り、年間収入が 130 万円以上となるときに は、すぐに扶養の認定が取り消されるのでは なく、給与明細書、雇用契約書等と照らし、今 後の見込み収入で判断することになります。 扶養の認定は扶養者の保険者が行うため、詳 細な取扱いは、配偶者の勤務先を通じて保険 者に確認することになります。 2.職員自身での社会保険の加入 扶養から外れることになったパート職員 は、自身で社会保険加入することとなり、週 の所定労働時間かつ所定労働日数が、正職員 の 4 分の 3 以上の場合は、事業所の健康保 険・厚生年金保険に加入します※3。これらの 所定労働時間・所定労働日数に満たないとき には、個別に国民健康保険・国民年金に加入 します。 今回の質問のように、時給を引き上げた パート職員が、今後も扶養の範囲内の収入で 働き続けることを希望するのであれば、所定 労働時間を減らして年間収入が 130 万円未満 となるような働き方の検討も必要になりま す。まずは、職員と今後の働き方を話し合う と良いでしょう。

今後、同一労働同一賃金の考え方が浸透していくに従って、この問題に直面するケースが

増えてくるものと思います。「配偶者が反対しているからこの基準を超えられない」というような人については、契約更新時などに「1年間の収入が待遇改善によってこれぐらいになりますよ」ということを示して、きちんと説明をすることが大切になります。そうすれば、年末にバタバタと就業時間調整することもなくなります。労働者ごとに就業調整の基準は異なります。例えば、配偶者の家族手当がどの様な基準で支払われるのかは配偶者の会社の規定次第ですし、社会保険に加入する、しないという事もご本人の希望がありますから、その希望をよく聞きながら、契約更新時に相談されることをお勧めします。一方で、待遇改善の結果103万円、130万円は超えるけれども、それによって65歳以降の年金支給額が増える、健康保険でも傷病手当金の支給対象になる等、メリットも多いことをきちんと知っていただき、より長期的にみれば会社も本人もハッピーになることもあることを認識頂くことも大切のように思います。

 

※1)被扶養者が 60 歳以上または障害者のとき は、年間収入が 180 万円未満 (※2)交通費(通勤手当)を含む (※3)常時 501 人以上の特定適用事業所は、週の所定労働時間が 20 時間以上あること、雇 用期間が 1 年以上見込まれること、賃金の月額 が 88,000 円以上であること、学生でないこと の 4 点をすべて満たす場合

                                    以上

医師・看護師が仕事シェア 人手96万人不足に備え 厚労省、職種超え負担軽減

 厚生労働省は医師や看護師、薬剤師などが職種を超えて仕事を分担する「タスクシェア」や、医師の仕事の一部を看護師らに任せる「タスクシフト」の推進に乗り出す。医療の仕事は法律で担い手が決まり、例えば看護師は原則、医療行為はできない。少子高齢化に伴う人手不足を前に、一部の仕事を分担して医療の効率を高める。医療の改革に向けた転機となる。

 医師や看護師、薬剤師らの仕事は、医師法などそれぞれの職務を定める法律で細かく決められている。医師になるには国家試験に合格する必要があり、看護師の資格では医師のような治療行為はできない。

 こうした役割分担は医療の質を保つための仕組みだが、患者のニーズに合わないとの指摘も多い。例えば患者の近くに薬剤師がいても、点滴の交換には看護師を呼ばなければならない。高齢者が増える中で医療は人手不足が深刻になり、仕事を分担しなければ対処できない恐れがある。

 ただ、医師や看護師の垣根を崩すことには慎重意見もある。厳しいルールは医療の質の担保につながっている。日本医師会は医師がタスクシェアをする場合、あくまで医師の管理下で進めるべきだと主張している。

 厚労省は近くまとめる2022年版の厚生労働白書に、社会保障を支えるための人手確保に向け、医師や薬剤師を含む医療分野のタスクシェアなどの改革が必要であると明記する。

 白書では40年に必要な医療・福祉の就業者数は1070万人との想定を示す。これに対し医師などの担い手は974万人にとどまり、96万人が不足すると推計した。

 千葉市の人口に匹敵するほどの人手不足に対処するには、医師や看護師が仕事を分担するタスクシェアや、一部の仕事を他の職種に任せるタスクシフトが欠かせない。

 ポイントの一つが医師の負担を減らすことだ。白書では看護師や薬剤師などが医師の負担を軽減する計画を策定し、医師からの業務移管を進める案を示す。医師や歯科医師から、別の医療系の職種へ仕事を移す案も打ち出す。

 医師は勤務時間が不安定で、長時間労働になりやすい。過去の白書では医師の働き方改革を進める方策にタスクシェアを位置づけたことがある。今回は人材確保の観点で必要であるとする。仕事の見直しで医師が医師にしかできない業務に集中できれば、医療の質が上がるとの指摘もある。

 政府は6月に閣議決定した規制改革実施計画に、医療分野のタスクシェアを検討する方針を明記した。政府全体の方針を受け、厚労省は具体策の検討に着手する。

 世界では新型コロナウイルス禍で医療分野のタスクシフトが加速した。米国やカナダではコロナのワクチン接種を薬剤師が薬局で実施した。英国やスウェーデンなどでは一定の要件を満たせば、看護師が自らの判断で薬を処方できる。

 白書は中央省庁が行政の施策を周知するために作成する。医療分野の効率を高め質も向上するには、古い仕組みは柔軟に見直す必要がある。

日本経済新聞2022/7/27 より

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ワークサポートケアマネ初誕生 第1回養成研修、41人合格=介護支援専門員協会

《 ワークサポートケアマネ養成集合研修の様子 7月23日 》

親などの介護と仕事の両立を支援するスペシャリスト「ワークサポートケアマネジャー」。今年度から認定制度を開始した日本介護支援専門員協会によると、先月に実施された第1回の養成研修を41人がクリアした。この41人が初代のワークサポートケアマネとして活動していく。

いわゆる「介護離職」を未然に防ぐための十分な知識、スキルを有するケアマネ。それがワークサポートケアマネだ。

親などの介護に直面し、本当は続けていきたい仕事を辞めざるを得なくなる人は今なお非常に多く、それも働き盛りの世代に集中している。この社会課題の解決は急務。既に様々な主体がコミットしているが、介護分野の高い専門性を持つケアマネの力に期待する声も少なからずあがっている。

協会は今回、こうした状況を踏まえて認定制度の立ち上げに踏み切った。ケアマネの活躍の場を更に広げ、社会的な評価の向上などにつなげていく狙いもある。厚生労働省や専門家などの協力も得て策定した養成研修カリキュラムは、労働関係法令も含めて必要なノウハウを幅広く学べる内容となっている。

協会のワークサポートケアマネに関する特別委員会の三浦浩史委員長は第1回の養成研修を振り返り、「当事者の立場に立って適切にアドバイスできる人材になって頂ければ。介護支援専門員が新たな職域を掴むことにもなります。ワークサポートケアマネにはこの新たな職域で是非とも翼を広げて頂きたい」と語った。

あわせて全国のケアマネに対し、「介護を支援してきた皆さんのこれまでの経験は、介護離職の問題で厳しい立場に置かれている会社員などにとってはとても貴重な財産です。もっと多くの皆さんにワークサポートケアマネになって頂きたい。そして介護と仕事の両立に悩む会社員なども助けてあげて下さい」と呼びかけた。

今後、協会は今年度中に第2回の養成研修を開催する計画。詳細は決まり次第アナウンスする。来年度以降もワークサポートケアマネの養成を続けていく方針だ。(介護ニュースより)

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