コラム

Q スタッフがマイカー通勤を希望してきたが、ガソリン代や駐車場代は負担すべきか?

A 法的な規制はないため、支給基準や額などはどのように決めても問題はありません

 

通勤手当の支給について留意すべき点

 

通勤手当は、片道の通勤距離と手当の額によって所得税法上の非課税限度額が定められています。この限度額を超えて支給される通勤手当は課税の対象になります。また「通勤距離にかかわらず一律に支給される通勤手当」(例えば、マイカー通勤者全員に一律2万円支給など)も課税対象になるケースもありますので、ご注意ください。

 

マイカー通勤中、交通事故の加害者になった場合のクリニックの責任

マイカーを通勤だけでなく業務にも利用していた場合、事故の相手に対して運行供用者責任、または使用者責任(民法715条)が認められる可能性があります。

 現実に事故を起こした本人が保険加入を行っている場合や、経済的に補償能力がない場合には、被害者がクリニックの責任を問題にする可能性も考えられます。

 

一定以上の任意保険加入を義務づけ、従わない場合には手当を支給しない

 

このような事態に備えて、マイカー通勤をするスタッフに一定補償額以上の保険に加入することを義務づけ、毎年許可申請をさせて確認するようにしましょう。万が一、事故を起こした場合には、クリニックに迷惑をかけないと誓約書を取っておくことも考えられます。

 

マイカー通勤のルールを整備し、事故を起こせば自分たちの責任では済まされないことを説明し、何らかの安全を確保するための措置を講じる必要もあります。

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Q 看護職をはじめ職員の定着と確保のために、夜勤免除や短時間勤務等多様な勤務形態  の導入を検討しています。ただ、個別の要望がおおくなるほど職員間の不公平感が生じると思いますが、そのあたりのコンセンサスをどうとるか。アドバイスをお願いします。

A, 正職員の雇用形態をそのまま短時間で働く「短時間正社員」は、厚労省でも推奨している働き方ですが、なかなか普及していません。「短時間=パート」の概念を打破るには、それなりの経営戦略が必要になります。

 そもそも短時間勤務を希望する職員は、旧来型の働き方であれば就業の継続を断念していた層です。家庭を重視しながらも正社員として働くことに踏みとどまろうとすることを前向きに捉えて、短時間勤務者がモチベーションをたもち、活躍しやすいものにすることが、制度導入の大前提です。育児、介護休業法に定める育児短時間勤務を選択した場合、業務内容などがパートの看護師と同じ扱いでは、将来的に常勤に戻ろうとするモチベーションは上がらないでしょう。

 一方、短時間勤務制度を導入し、多様な勤務形態がふえるほどフルタイム勤務者の負担が大きくなる場合があります。短時間勤務制度の導入は、就業継続の切り札にもなり得る半面、

職員間の不公平感が生まれやすいのも事実です。

従って、導入を検討するには、①ルール化して不公平感を緩和する②金銭的なインセンティブを与える(処遇で差をつける)という視点が欠かせません。

 また、ある病院では、短時間正社員二つのパターンに分け①勤務時間短縮型⇒1日6時間以上×5日 ②休日拡充型⇒所定労働時間×4日(週休3日)で運用されています。個人の事情によってどちらのニーズもあるということで選択できるようにしていますが、どちらも給与は勤務時間に応じて減らすようにされています(賞与はあり)。

更には正職員でも①夜勤免除A(平日日勤のみ)②夜勤免除B(土日祝の日勤もあり)③夜勤回数制限(月4回以内)④夜勤曜日制限(夜勤の曜日制限あり)⑤勤務制限なし、というようにきめ細かく職員ニーズに対応されています。処遇(給与・賞与)については⑤の制限なしの働き方を100%として、一定の比率で減額していくような仕組みにしています。

 この病院では「働く人を大切にしてくれる病院」という印象が広まり、応募者が増え、また離職者も大幅に低下したとのことです。

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法人理念から求める職員像を可視化する

私は、法人が園を経営していく上で最も大切な価値観表しているものが、法人理念であると捉えています。多くの園では法人理念を、HP、入園のしおり、パンフレットなどの印刷物をはじめ様々な方法で保護者や職員に周知しています。

ただ、周知はしているものの、どこまで「浸透」しているかというと、なかなか難しいところです。ある園では、職員に理念を改めて尋ねたところ、ほとんどの職員が応えられなかったということをお聞きしています。「浸透」している状態とは、職員が理念の意味を理解しそれを日々の実践に活かせる状況を言います。そのような状態にもっていくために経営は、経営理念の周知に努力するだけでなく、それを行動に移せる職員をどれだけ育てることができるのかを日々の活動のかなで考えていく必要があります。

 

求める職員像を的確な言葉で表現する

 

保育現場では職員一人一人の自律的な判断、行動が求められます。しかし保育者不足から中途採用の職員やぱーと職員の増加により、法人理念の背景や創立者の思いが継承できていなかったり、これまでの暗黙の前提が成立しなくなっている園もあるでしょう。法人の、園の、保育実践において、拠り所となるものが必要になるのも自然な流れと言えるかもしれません。そこで、私は法人理念を具体的に実現できる「人財」を「求める職員像」として可視化することをご提案しています。法人理念に基づき、どのように行動してほしいのか、どのような人となりであってほしいのかを整理し、的確に表現する言葉で「可視化」し、職員に示すことが重要です。そのための方法はいろいろあると思いますが、当社では、法人理念を

いくつかのキーワードに凝縮し、各キーワードの意味とそれを実現できる行動を職員の発想で具体的にしていきます。例えば、

キーワード:「思いやり」⇒出来ることに手を出すのではなく、見守って、助けが必要な時は、思いやりの気持ちをもち笑顔で、声をかけて手伝っている。

キーワード:「報告・連絡・相談」⇒何を相談したいのか整理し、自分なりの考え方をもって、先輩や同僚に積極的に相談し、アドバイスは素直に受け入れている。

 

求める職員像が育成指針として活用し、また人事評価に組み入れ定期的に振り返る機会をつくりました

 

法人理念から「求める職員像」を可視化し、周知と浸透を図っている園長先生にお伺いしました。

 先日の職員会議で、園児への声掛けやかかわり方が議題に上がったのですが、中途採用の新人職員の一人から「求める職員像」を根拠にその関わり方の提案が出ました。参加していた職員からは賛同と納得を得ただけでなく、この発言は刺激になったようです。

また、年2回の評価の中に、その実践度合いに関する評価項目を入れて、定期的自己を振返る機会を持っています。いい評価がもらえればモチベーションにもつながっているようです。また上司・部下の間で、現状と今後について話し合う良いコミュニケーションの機会にもなっています。

 園としては、引き続き「求める職員像」に基づく職員の働きぶりを承認し、育成に繋げていければと考えています。

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Q 時間外の計算は1分単位なのか、15分や30分単位でもいいのか

A 1分単位が原則です。ただし、端数を切り上げる場合には15分単位、30分単位でも

 構いません。

 

切り上げにしないと給料未払いに給与計算上、よくある質問ですが、基本は1分単位です。例えば、17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合、12分カットして30分の残業代を支払った場合、12分の就業に関する支払いは未払いになってしまいます。

 

休養計算上は楽だということで15分単位の取り入れている事業所はよくあります。もし15分単位とするなら切り上げでなければいけません。つまり17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合には45分間の残業代を支払うことになります。管理の手間と数分プラスになる賃金のどちらをとるかの判断になります。

 

例外として、1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働の合計に1時間未満の端数がある場合には30分未満の端数の切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるといった端数処理は認められます。つまり月のトータル残業時間が3時間20分であった場合には3時間として、3時間40分であった場合を4時間とすることは可能です。

未払い残業は行政指導の対象に残業代を未払いのまま労基署の監査が行われると「是正勧告書」「指導票」により行政指導が行われます。例えば3か月分の未払い残業の「遡及支払い」を命じられた場合、未払いとなっている時間数及び給料の額を3か月間さかのぼって計算し、当該スタッフへの不足額を支払うなど、まずは行政書道に従い原則対応することになります。

 

適切な時間管理とは厚労省から平成13年に出された「労働時間の適正な把握のため講ずべき措置」では以下のように定められています。

 

  • 労働日ごとに、何時から仕事を開始して、何時まで仕事をしたか、確認し記録すること。
  • 使用者が自ら確認し記録するか、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を、適性に申告するように十分に説明すること。必要に応じて実態調査をすること。
  • 労働時間の記録に関する書類は3年間保存すること。

 

労働時間の上限を設定して、上限を超える時間を切り捨てたり、そもそも労働時間の記録がないため「時間外労働がない」としたりしている場合には法律違反になります。

固定残業代として定額を支給する際には慎重に固定残業代を設定すると仮に残業代が発生しない月があっても残業代を支払わなければなりません。しかも実際に行われた残業が想定された10時間を超えると、別途残業代の支払い義務が発生します。そのため実態を確認した上で「何時間分を固定で支払うか」を決めなければなりません。固定残業手当を適切に運用するためには次の三つが要件とされています。

  • 基本給と割り増し賃金部分が明確に区分されていること
  • 割増賃金部分には何時間分の残業が含まれているかが明確であること
  • 上記②を超過した場合には、別途割増残業が支給されること

 

この方法は、残業が大体同じ時間発生している場合には適している方法ですが、月によって残業時間が大きく変動したり、人によってばらばらであったりする場合には、かえって管理が煩雑になる場合があります。導入によりメリットとデメリットをよく検討して慎重に判断する必要があります。

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ハラスメントのない職場~持続可能な園になるために~

ご承知のとおり今春から「パワーハラスメント防止措置」がすべての企業に義務化されました。大企業だけでなく園の運営においてもパワハラへの取り組みが求められるのです。パワハラとは何か、パワハラを防ぐ体制づくりについて考えてみましょう。今回は実際に保育園で起きた事例をもとに考えてみます。

 

保育園の事例

 

  • 子供が熱を出したので、看護休暇を取りたいと言ったら、「奥様は?あなたが休むの?」と言われた。

上司から同僚からの育児休業等の利用に関する言動により、育児休業などを申し出取得した男女職員の就業環境が害されることを、育児休業等に関するハラスメント(マタハラ)と言います、子の看護休暇を取ることは、法律で認められた職員の正当な権利です。正当な権利行使を非難するような言動がなされないように留意し、だれもが心地よく働けるような就業環境を創り上げていきましょう。

 

  • 先輩が「ごめんなさいね、あの先生、本当に何も知らなくて」と、保護者に笑いながら話していた。

パワハラの代表的な言動の類型に、精神的な攻撃(脅迫、名誉棄損、侮辱、ひどい暴言)がります。正当な理由がないのに先輩がこのような発言をしていたら後輩にたいする侮辱に該当する可能性がありますので、このような言動委は慎んでください。もし、先輩職員が、事情があってこのような言動を行っていたならば(例えば、後輩職員は気づいていないが、後輩職員のミスで保護者が立腹していたので、後輩職員をかばう目的でこのような言動をした結果、保護者が笑って許してくれた等)保護者のいないところで後輩職員に事情を説明してフォローをする必要があります。

 

  • 「プールの組み立ては力のある男性の仕事ね」と任されたが、一人では無理。でも誰も手伝ってくれない。」

パワハラの代表的な言動の類型の一つに、(過大な要求)に該当します。業務を命じる立場にある職員は、男性だから力が強いとか、女性だから非力だ、といった精査による偏見(ジェンダーバイアス)を捨てて、業務の内容を適切に把握し、一人の職員に過度な負担がかからないように注意しましょう。

 

 

コミュニケーションは十分ですか

 

職員間のコミュニケーションはとても大切です。人間関係が十分でないと、何気ない一言や行動が相手を不快な気分にさせることがあります。更に価値観が多様化する昨今においては、相手への一層の配慮が必要です。園内の日常会話や習慣の中にハラスメントにつながるものが無いか、振り返ってみましょう。

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Q 退職金は必ず支給しなければならないのでしょうか?

A いいえ、支給しなくても問題ありません。

 

退職金とは

退職金は法律で支払いが義務付けられているものではなく、これまで慣例的に行われてきたものです。もともとは終身雇用制において定年後の生活を保障するという目的がありました。

 また、賃金の後払い的性格を有し、これに功労報償的要素が加わり、長く務めるほど退職金も積みあがる仕組みで運用されるという特徴があります。

 

ほとんどのスタッフは退職金を意識していない

退職金請求権を直接義務付ける法律はありませんので、クリニックに制度が無ければ支給する必要はなく、退職金制度を設けるか否かは使用者の判断に委ねられています。

クリニックに定年まで働く事を想定して勤務している人はあまりいないのが実態かと思います。辞めるときになって退職金の有無や金額を知る場合がほとんどで、普段の業務の中で意識することはほとんど無いと思われます。もちろん退職金にこだわるスタッフもいますが、多くのスタッフはそもそも同じクリニックで何十年も働こうという感覚は無く、退職金に対する意識も希薄のように思われます。

 そのため、院長が都度、働きぶりを考慮して額を決定しているクリニックが多くある一方で、スタッフ退職のたびに退職金をどうするかで悩まされたくないことから、一定基準を作る場合もあります。基準を作る場合に二つのパターンがあります。一つは退職金規定をスタッフに公開する場合と、あくまで院長の目安として使うだけでスタッフには伝えない場合があります。

 但し、注意して頂きたいのは、退職金規定でスタッフに約束はしていなくても、基本給に勤続年数を乗じて支給することが慣例的に長年実施されているような場合、既得権となり約束したものとみなされる場合がある点です。つまり、5年務めたスタッフのほとんどが●万円をもらっている、などとスタッフが当たり前のように認識している場合には、事実上、制度を運用しているものとみなされるということになる場合もあるということです。

 その場合の退職金は、労基法上の賃金として保護を受け、使用者には支払い義務が生じます。同時にスタッフは使用者に対して退職金の請求権を有することになります。従って、内規などに基づいて退職金制度を運用しているクリニックでは、どこかのタイミングで正式に制度を導入するかどうかの判断が必要と思われます。正式導入までは行わないということであるならば、スタッフが当たり前のように退職金の金額を認識している状態には

ならないように、普段から注しておく必要があるでしょう。

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Q、現場での仕事が好きで、管理者にはなりたくない(なれない)職員には、 キャリアアップの仕組みを適用できない?

A

、キャリアパスは個人の能力・適正に応じて、「指導・監督層」になるコースとは別に「専門職」コースを準備し、専門職のキャリアステップと昇給制度で運用しています。

現場では、「優秀な職員ほど役職にはつきたがらない」とか、「知識・技術面でわからないことについて、皆が教えてもらえる職員は決まっており、しかもその職員は役職者ではない」、といった話がよく聞かれます。そこで考えるべきなのが、キャリアパスにおける「複線化」です。つまり、キャリアパスに描かれた昇格ラインによらずに、役職にはつかずに専ら専門性を高め、組織に貢献するキャリアパスを作ることです。この階層を「専門職」として、上級介護職の水準を超える水準をもって処遇します。この場合、当該職員はマネジメント業務を行わず、専ら好きな介護の道を追い続けても、相応の処遇が保障されることになります。専門性の高さを認められてこその処遇なので、職員のプライドも充足することができます。

また、優秀な人材を滞留させては離職につながりかねません。中小企業の中には職員が自らポストの数を読んで、諦めムードが漂っているようなケースも散見されますが、「専任職」を設けて、「当法人は、管理上の役職だけがポストではない。専任職というスキル面のリーダーもあり、相応に処遇する」と周知すれば閉塞感が一気に変わるはずです。

 

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①医療分野キャリアパス

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②介護分野キャリアパス

 処遇改善加算対応キャリアパス構築コンサルティング | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

③保育園のキャリアパス

 保育士キャリアアップの仕組みサポートパック | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

 

Q 当施設では、中途採用にも試用期間を設けています。過去の経験を見込んで採用した職員でも結果として適正に欠いていたという経験がある為ですが、能力に問題のある職員の本採用を拒否する際にどんな点に注意すべきでしょうか。

A 経験のある職員を中途採用したはいいが、予想外に能力が低くて困ったという話はよく聞きます。複数の施設を渡り歩く問題児でも転職したばかりのころはおとなしく、職場の水に慣れてきたところに少しづつ牙をむき出してくるようなケースもよくあります。

 中途採用に関しては、新卒学卒者に比べれば期待値が高いため、そのものの能力や勤務態度等の評価をめぐるトラブルは多いものです。したがって中途採用者であっても、使用期間を設けることは大切です。ただし、トラブル防止のためにも就業規則の規定に基づいて規定を設けること、本採用を拒否する場合があることなどを雇用契約締結の際にきちんと説明しておくべきでしょう。

 

試用期間満了での本採用拒否は解雇に相当する

 

試用期間途中の解雇については、採用後14日間を超えて就労した職員には解雇予告が必要です。この場合、少なくとも30日前に解雇を予告するか、即日解雇の場合には30日以上の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。

また、試用期間中はいつでも「解雇」が許されると思い込んでいる経営者の方もいらっしゃいます。これは誤りで、試用期間であろうと解雇については一般の職員と同様、入職後14日を超えれば予告手当が必要ですし、安易に解雇が認められないのは一般職員と同様です。ただ、本採用に拒否(事実上の解雇)事由が就業規則に明記されていて、採用時の「面接などでは予見できなかった事実」として該当すれば、それは認められるケースもあります。ここで大切な事は、「本採用拒否」の事由を就業規則に記載しておくことです。本採用拒否が認められる具体的な基準については、裁判例などから、「勤務態度不良」「勤務成績不良」「業務遂行能力の不足」「協調性にかける」「経歴詐称」などは具体的な理由として挙げられます。問題は、能力が不足しているということをどのように説明するかということです。

 

・「本採用拒否」に関する就業規則の記載例

一 遅刻、早退、欠勤が複数回あり、出勤状況が不良の場合

 二 上司の指示に従わない、同僚との協調性が乏しい、誠実に勤務する姿勢が乏しい等の勤務態度が不良の場合

三 必要な教育を施したものの法人が求める能力に足りず、改善の見込みが薄い場合

 四 経歴を偽り、その他不正な方法を用いて採用された場合

五 反社会的勢力若しくはそれに準ずる団体や個人と関係があることが判明した場合

六 督促しても必要書類を提出しない場合

 七 健康状態が思わしくなく、今後の業務に耐えられないと認められる場合

 八 法人の事業に職員として採用することがふさわしくないと認められる場合

 九 懲戒解雇などの解雇事由に該当する場合

 

問われるのは注意指導したプロセスと記録

 

  試用期間の解約権にもとづく解雇であっても、本採用拒否が有効と求められるための重要なポイントは、能力と適性が欠如している職員に対して「繰り返し注意・指導をしたけども改善の見込みがなかった」という事実とプロセスです。これは、通常の解雇の有効性が問われるプロセスと同様です。また、このような注意・指導を行ったという記録を残しておく必要もあります。

 

実務上は「退職勧奨」が一般的

 

本採用を拒否する場合、実務上は就業規則に基づいて退職勧奨をおこなうのが一般的です。試用期間中の評価をきちんと説明すれば、本人も「試用期間だからしかたない」と退職勧奨に応じるケースが多いように思います。そのためにも、就業規則には具体的な本採用基準を規定しておくことで、退職勧奨の説得材料にもなるわけです。

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Q 自主的に始業時間前に出勤してくるスタッフに、その時間給の給料を支払う必要はありますか?

A、命令がなく、業務とは無関係な早めの出勤については、給料を支払う必要はありません。

労働時間とは

労働時間とは原則として「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを言います。つまり、院長の指示命令がないのもかかわらず勝手に出勤している時間というのは労働時間ではありません。

業務命令はなくとも業務上必要な時間は労働時間

しかし、始業時間8時30分からでも「8時15分に出勤して、これとこれをやっておかなければ、診察の受付時間である8時30分には開始できない」という場合があります。このことを院長がわかっていながらスタッフの善意に頼ったままで積極的な対策を講じない場合、

この15分は黙示の業務命令の下行った業務として業務時間として扱われます。命令がなくとも15分前出勤が常態化しているのであれば、業務上必要な時間であり、それは労働時間になる可能性が高いといえます。

そもそもクリニックの始業時案は、診療受付までの準備を要する時間を見積もったうえで設定されますから8時30分の受付開始時間と同時に労働時間がスタートするといったところは聞いたことがありません。つまり、準備時間を15分と見積もるなら、8時15分が始業時間になるわけです。

掃除などをしてくれる場合には

質問のポイントは 例えば8時30分からの勤務時間開始でよいにも関わらず、8時からきて作業をしている場合にはどうするか」という点にあります。指示していないけれど、何かやっている、そしてタイムカードをおしている、するとこの時間に対価を支払うべきであるか、という疑問が出てくるであろうと思います。

しかし冒頭に述べたように、あくまで労働時間は指揮命令下にある時間です。自主的に作業をしていることに対して原則、給与の支払いは必要ありません。

職場の人間関係にも配慮する

また「8時30分始業なのに、一番の先輩社員が8時に出勤しているため他のスタッフが全員8時に出勤している」といったケースもあります。そうすると新しく入ったスタッフから「事実上強制的に出社させられているのになぜ給料がでないの」といった文句が出てきます。そのような場合に、早く出勤するスタッフに「ほかのスタッフが影響を受けるので、あまり早く出勤しないように配慮してほしいこと」もしくは「早く出勤するのは構わないが、他のスタッフに同時の時間に出勤することを強制しないように」と伝える必要があります。

自主的に早く出勤するスタッフにも、それぞれの理由があるのでしょう。準備をしっかりとしてから仕事を始めたいというプロ意識から早く出勤するスタッフもいるでしょう。仕事の喜び、積極性、職場への貢献やチームワークといった仕事観を否定することのないよう、伝え方には十分配慮する必要があると思います。

タイムカードの管理

タイムカードの打刻時間は原則としてクリニックに入った時間と出た時間を示しており、必ずしもそのすべてが労働時間になるわけではありません。業務がおわりスタッフ間でおしゃべりをして帰る場合などその時間まで給料を支払う必要はないのです。

ただし注意しなければならないのは、おしゃべりの時間わからないと、タイムカードの出勤時間から退勤時間までの時間がそのまま労働時間とみなされてしまう可能性があるということです。そのため「時間外労働は、院長の指示で行うものでおこなうものである」と周知しておくとともに、院長が承認しなかった時間がある場合にはその都度記載しておくなど、適切に把握しておくことが必要です。よくあるのは、タイムカードと時間外労働申請を並行して取り入れているケースです。例えば、17時間までの勤務の人が17時半にタイムカードが押されているような場合、時間外申請が「患者対応のため15分残業」となっていれば15分の残業代を支払えばよいということになります。このように時間外労働の管理があれば、タイムカードを押していたとしても、その分の給料をすべて支払う必要はないということになります。

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Q 新人看護師が退職を申し出てきました。プリセプターの先輩との関係が原因らしいのですが、業務指導が時間外に及ぶことも多いとのこと。看護部任せにしていたので人事として どの様に対応すべきか困っています。

A、もし、時間外の扱いで、教える先輩は残業で、教わる新人は自己研鑽として時間外扱いはしない、ということになっていたら、それは解消すべきです。

 新人看護師(プリセプティー)が仕事になれるまでの一定期間、先輩看護師(プリセプター)が看護実践能力を指導するのがプリセプター制度です。通常、入職3~4年程度の看護師がマンツーマンで指導に当たりますが、相性がわるいと新人看護師の離職の原因になるといったデメリットがありますが、他にも問題はあります。

 例えば、先述の「残業時間」に関する扱いの問題です。教える側は残業代を申請するのに教わる側は申請しないといった「徒弟制度」のような実態が残念ながら、いまだに看護現場には散見されます。これらの実態にも人事担当者は留意すべきです。

プリセプター業務は、新人が自主的に教えを乞うわけではなく、先輩の指示によるものである限り、労働時間であることは明白です。現場の対応としては所定労働時間内で行うよう指導を徹底すべきです。業務の都合上、どうしても時間になるときは、新人の同意を得たうえで、師長など看護管理者の許可を得るものとします。時間外申請書にその理由を記載して残業として記載します。

人事担当者は、看護管理者と実態を確認しながら、業務と自己研鑽の線引きをしたうえで、取り扱いルールを決めます。そうすることがサービス残業の解消につながるだけでなく、現場を任されている看護師長の負担の軽減にもつながります。

 

人材が定着する具体的プリセプター運用事例

ケース1

A病院では業務指導を行う「プリセプター」と、業務外のことを含めて相談相手になる「メンター」をそれぞれ別の職員を充てて使い分けています。プリセプターは仕事能力で人選し

メンターは指導者としての経験豊富なベテランから選任します。育成にあたってプリセプターと新人育成委員会が連動しながら指導にあたることで、プリセプターの精神的負担の軽減にもつながっています。

ケース2

新規学卒者が毎年30名前後入職するF病院では、プリセプター制度を採用せず、新人の業務指導は「チーム制」で行っています。指導者を固定しないため。指導する先輩によって指導方法や内容にばらつきが出ないようにマニュアル化も徹底しています。複数の先輩でフォローできるため、人間関係のトラブルも起きにくく、新人に定着率も高いと言います。

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