コラム
「あの上司はやさしいから、評価はいつも甘いんだよね」
このような話を良き聞きますが、はたしてこのように甘い点を津得る上司は本当に優しい上司でしょうか?
私は評価者研修などでよくこのような問いかけをします。そして少し辛辣な意見になるかもしれませんが、こういいます。「それは優しいからではなく。自分がよく見られたいからです。本当に優しい上司であれば、出来ていない点に良い点数はつけないはずです。問題があることをそのままにすれば、その場では部下から「良い点をつけていただきありがとうございます」と感謝されるかもしれません。でも課題は課題のままスルーされているのです。
課題の改善はいつまでもできないまま、年月を重ね、その上司の元では気づかれないかもしれませんが、上司がかわったりしたとき新しい上司になった人から
「なんで、この人はこの年齢なのにこれができないままなの?」と言われてしまうのです。本当に優しい上司であれば、早めにそれを指摘し、指導教育し頑張るように促すのではないでしょうか。
甘い点を付けるのは、部下の為ではなく、部下からよく見られたい、気に入られたい、低い評価をして社長から説明を求められたりするなど面倒なことは先送りしたい、といった自分自身のためにしているのではないでしょうか。
医療・介護・保育の現場では、「変形労働時間制」を採用されている事業所が多いものと思います。ただ、変形労働制の「運用」に関して、適法に行われていない事業所も結構多いものと感じています。比較的多い誤った運用例としては下記2つのケースが散見されます。
- 勤務シフトは前月末までには作成しているものの、当月の業務の都合(特に顧客要望や職員の出勤状況)にて、当初決めていた勤務シフトを「自由」に変更して運用しているようなケース。
⇒正しい運用は、前月に作成したシフトを原則、(例外的ケースを除き)変更してはならないとしています。変更が認められるのは天災などやむ負えない緊急かつ不可避の事情のみとしています。
- 変形労働においては月次の法定労働時間の総枠(30日であれば171時間25分)を超えた時間のみ所定外労働として残業時間を計算しているようなケース。
⇒当初決めた勤務シフトを超える労働を行った場合には、日単位、週単位、月単位で
(重複カウントを除き)所定外労働を計算しなければならない。
上記のとおり変形労働制の基本は、「決められた勤務シフトに従った運用を行う」というものあり、その運用が出来ないような業務管理ではそもそも変形労働制は認められないことになり、原則通りの「1日8時間労働制」とみなされます。
今回ご紹介する判例で、注目すべき点は「就業規則に代表的なシフトパターンが記載されていたものの、全てのシフトパターンが 記載されていないとして変形労働時間制が無効とな
る」とされたものです。これが日本マクドナルドという 有名大手企業に関するものであったことから新聞などで報道されました。今回の判例は各事業所の身近な問題になりうると
思いますので、事例とともに裁判の内容を要点のみ抜粋し、お伝えします。
- 事例
被告(会社側:日本マクドナルド)は、就業規則において、店舗マネージャーの労働時間について以下のとおり定めていまし た。勤務シフトは4パターン記載されておりますが、「原則として」と記載し、店舗ごとの例外を 認め実際に店舗ごとのシフトパターンがあり運営されていたようです。原告(従業員)は「シフトパターンが 全て就業規則に記載されていないため変形労働時間制は無効である。」と主張し、未払い賃金を請求しました。
- 裁判所の判断
裁判所は、就業規則にシフトパターンが全て記載されていない場合は、労働基準法32条の2の 「特定された週」又は「特定された日」の要件を充足せず、変形労働時間制は無効であると判断しました。
被告(マクドナルド側)は、全店舗に共通する勤務シフトを就業規則上定めることは事実上不可能であり、各店舗において就業規則上の勤務シフトに準じて設定された勤務シフトを使った勤務割は、就業規則に基づくものであると主張しましたが、裁判所は、たとえ大企業であっても、全てのシフトパターンを就業規則に記載する必要があると判断しました。
- 実務上の留意点
この判決は、かなり厳しい判断と言わざる負えません。この判決をあてはめると、現状多くくの事例で変形労働時間制が無効となってしまうと思われます。
対策はないのでしょうか。 例えば、就業規則に定めたシフトパターン以外の働き方をしてもらう場合は、一度決めた就業規則のシフトパターンを変更することで何とか対処できないかが問題になります。 原則として変形労働時間制のシフト変更は認められませんが、過去の裁判例では正当な理由があればシフトの変更が認められています。例えば、天災地変や機械の故障などといった緊急かつ、不 可避の事情が挙げられます。また、予定していた業務の大幅な変動があったときなど、例外的な事由に基づく場合は認められる(規定の根拠が必要)と判断した裁判例もあります。ただし、このようにやむを得ない理由がある場合だけシフトの変更が認められるので、単に忙しい、人手不足などの理由ではシフトの変更は 認められません。
従いまして、現状では、やはり全てのシフトパターンを就業規則に記載し、加えて可能な限りシフトパターンに従って運用するしか対策は無いものと思われます。
いかがでしょうか、この判例を基に労働基準監督署等の労務監査が行われることを想定しますと、シフトパターンの再検討や就業規則の見直し等の対応を行っていくことが必要となります。すでに実際の監査で、このような指摘をされている事例が出てきていますので
早めの準備をお勧めしたいと思っています。
東京都内の保育園や学童施設の利用者の個人情報が流出した疑いがあった問題で、「にじいろ保育園」などの保育施設を運営する「ライクキッズ」(東京都渋谷区)は、首都圏を中心に約15万8千人分の園児や保護者の情報が閲覧可能になっていたことを明らかにした。現時点で不正利用の被害は確認されていないとしている。 発表は11月29日付け。閲覧できるようになっていた情報は、卒園者を含む園児の氏名や生年月日、アレルギー情報や、保護者の住所、電話番号、口座情報など。情報が持ち出された形跡はなく、すでに閲覧できないようにしてあるという。 同社は東京都や神奈川県を中心に全国約400カ所の保育施設や学童施設などを運営しており、「当社名などを名乗る不審な電話やメールなどによる勧誘や詐欺には十分注意頂きたい。再発を防止すべく、外部専門家による助言を受けながら対策を講じる」などとしている。 同社によると、9月30日早朝にシステム障害が発生し、外部からの不正アクセスの形跡が検出された。暗号化した重要なデータを人質に、身代金を要求する「ランサムウェア(身代金ウイルス)」によるサイバー攻撃とみられるという。(朝日新聞デジタル版)
介護施設などでサービス提供中に予期せぬ事故が起きてしまった場合の対応をめぐり、市町村への報告に用いる書類の様式が新たに公表された。
厚生労働省が11月29日に発出した通知で、現場の関係者に広く活用を呼びかけた。介護保険最新情報のVol.1332で周知している。
新たな書類の様式は、事故情報のより効率的な収集・分析、今後の安全対策への有効活用、介護現場と自治体の負担軽減などを図るもの。今年度の介護報酬改定に向けた議論で、様式の統一化や電子的な報告の浸透を進める方針が確認されていた経緯がある。
厚労省は今回の通知で新たな様式について、チェックボックス形式への変更など事故情報のデータ化が容易となるよう工夫したと説明。特養、老健、グループホーム、介護付きホームなどが対象になるとして、「可能な限りこの様式の使用を」と促した。
また、利用者の死亡に至った事故、医師の治療が必要になった事故などは、原則として全て報告するよう要請した。(介護ニュースより)
厚生労働省は11月29日、介護サービス情報公表制度の運用ルールの詳細などを明らかにするQ&Aを新たに公表した。
掲載された問答は2つ。キャッシュフロー計算書を作成していない場合はどうするのか、事業所単位の書類と法人単位の書類が混在してもよいかを取り上げている。
厚労省はこのうちキャッシュフロー計算書について、「会計基準の規定上、作成が求められていない場合は必ずしも報告する必要はない」と明記した。介護保険最新情報のVol.1333で現場の関係者に広く周知している。
介護サービス情報公表制度をめぐっては、厚労省が運用ルールの見直しを伝える通知を今年10月に発出。介護事業者が報告すべき項目の中に、損益計算書、バランスシート、キャッシュフロー計算書など、事業所・施設の財務諸表を新たに位置付けた。個々の経営状況を見える化し、透明性を高める施策の一環。
今回のQ&Aの概要は下記の通り。詳細は介護保険最新情報のVol.1333から。
問1|財務状況が分かる書類の報告について、会計基準の規定上、キャッシュフロー計算書の作成が求められておらず、作成をしていない場合、損益計算書と貸借対照表のみ公表することで問題ないか。
答|会計基準の規定上、キャッシュフロー計算書の作成が求められていない場合は、必ずしも報告する必要はない
問2|財務状況が分かる書類について、事業所単位で作成している書類と、法人単位でしか作成していない書類がある場合、混在して報告しても差し支えないか。
答|既出の通知にある通り、財務状況が分かる書類の報告は、事業所・施設単位で行うこととしているが、事業所・施設単位で会計処理を行っていないなどやむを得ない場合については、法人単位で公表することとしても差し支えなく、お尋ねの場合については、混在して報告しても差し支えない。(介護ニュースより)
人手不足などで経営環境が厳しさを増している訪問介護をめぐり、政府は事業所への支援を柱とする補助金を新設する方針だ。11月29日に閣議決定した今年度の補正予算案に、そのための財源として97億円を計上した。
一方、国会では野党から基本報酬の引き上げなどを求める声が出ている。
政府の新たな補助金は、訪問介護のホームヘルパーの確保、事業所の経営改善を後押しすることが目的。例えば研修体制づくり、1人で利用者宅へ行くことが不安な新人ヘルパーの同行支援、多様な人材の採用活動、常勤化の促進、経営の協働化などに要する費用を、申請を行った事業所に支給する。
また政府は、都道府県が主体となって業界団体、労働局、福祉人材センターらと連携協議会を設け、地域ぐるみの求職イベントなどを開催する取り組みにも補助を出す。ハローワークや事業所とも協力して訪問介護の説明、魅力発信、職場見学などの機会を用意し、地域の実情に合ったヘルパーの確保につなげてもらう狙いがある。
厚生労働省はもともと、こうした支援事業を都道府県ごとの基金を通じて来年度から実施できるようにする意向を示していた。
その計画を今回の補正予算案で変更。当初の予定より前倒しで実施するほか、基金の枠組みではない補助金で具体化することに決めた。補正予算が政府案通りに成立すれば、事業者らにできるだけ早く詳細を明らかにする構えをみせている。
◆「現場が全く見えていない」
衆議院本会議の2日の代表質問では、野党から政府案への異論が噴出した。
国民民主党の浅野哲議員は、今年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬を引き下げた政府の判断について、「現場の実態が全く見えていない」と強く批判。「次の改定を待たずに訪問介護の基本報酬を早急に見直すべき」と訴えた。
また、立憲民主党の石川香織議員は、「訪問介護事業所に支援金を支給すべき」と施策の強化を要請した。
A 労働時間管理は「時間外労働の管理」といっても過言ではありません。各部署の所属長が残業の必要性を判断し、適切時間を指示するなど、管理職の役割は重要です。職員、個々に勤務時間内に仕事を終える意識をいかにもたせるかが重要です。
一方、始業時刻=出勤時刻、終業時刻=退勤時刻 という認識で時間管理を行っている事業もいまだ多くあります。このような事業所には、労働時間の定義についてまずは指導教育する必要があります。つまり始業終業時刻と出退勤時刻は違うという認識をまずは持っていただくことです。労働時間に関する意味を理解することで、その時間管理意識を持って業務を遂行していくことは、今後、さらに重要なポイントになります。そのためには、まず指導いただきたいのは、時間外労働の「許可制」です。当然ながら業務は所定時間内に行うのが前提ですが、事情により残業になりそうな場合には、その理由と終業時刻を明記し、許可制とする必要があります。それにより、所定外労働割増をつける時間が明確になりますし、何より大切なことは各職員の時間管理意識を高めることができます。ただし、残業の許可制を規定に定めていても、許可を受けない残業のすべてが無効になるかというとかならずしもそうではありません。通常の業務をこなすうえで,所定時間内終わらないような業務量を要求したならば、残業時間に対して、黙示の承認があったということになり、残業時間に該当するという判断になりますので、適宜の指導が必要になります。
ただ、残業を所属長の許可制にしていても、申請された残業内容をよく理解せずに全部承認していたり、逆に、明らかに残業が必要な業務量にも関わらず許可をしなかったりと、所属長により対処の仕方はまちまちになりがちです。本当に必要な残業かどうか、どの程度の時間が必要かなどを判断して、適切な許可を与える必要があります。
残業許可制運用のポイント
- 残業の理由を明確にさせる
「何のために残業をするのか」「なぜ、その業務が残ってしまったのか」を確認します。例えば、許可申請の残業理由に「介護記録作成の為」とだけ記入させるのではなく、「なぜ
介護記録作成業務が残ってしまったのか」を記入させます。そうすることで、原因を本人と上司が確認しあうことで改善に繋げることができます。残業理由が本人の能力の問題であれば、個別指導や業務の標準化を進める必要があります。
- 残業内容の緊急性・必要性を判断する
その業務が「要当日処理」か「翌日処理で可」なのかをメリハリをつけて確認します。
またその業務は、「あなたがやらなければならない業務」なのか「次の交代勤務者で対応できる業務」なのかを確認します。
- 業務の上限時間(目安)を指示する
「その業務は30分で終えて」と目標時間を指示します。業務内容応じて適切な時間を指示することは必要です。但し、このことは「30分以上の残業は認めない」と上限設定をすることではありません。上限を超えて残業していても、事実上、黙認している状況であれば
それは「黙示の承認」に該当します。
- 職員の健康状態にも配慮する
休憩はきちんととれたか、体調にお問題はないか、などを確認します。こうしたことは、日頃の部下とのコミュニケーションで行っておきたいところです。
政府は22日の臨時閣議で新たな経済対策を決定した。医療関連では、新型コロナ後の受診行
動の変容や高齢化の影響で経営状況が急変し、病床削減を早急に進める医療機関を支援する。
地域医療構想に基づく医療機能の再編や救急・周産期医療の体制整備が、物価高騰の影響で困
難な医療機関への対応も進める。また、医師の地域偏在を是正するため、医療機関を維持する
のが将来困難になると見込まれる地域で診療所を承継・開業する場合、施設整備を支援する。中
堅・シニア世代の医師を対象に働きながら学ぶ「リカレント教育」も実施し、医師少数区域の
医療機関とのマッチングを促す。
医療・介護・障害福祉分野の人材確保策として、24 年度の報酬改定で新設されたベースアッ
プ評価料や処遇改善加算の算定を促し、賃上げを実現させる。
医療や介護分野のDXも後押しする。電子処方箋の全国的な普及拡大につなげるため、24年度
内に導入する医療機関や薬局を支援し、医療機関のサイバーセキュリティー対策も進める。
また、保健・医療・介護の情報を全国で共有できる「全国医療情報プラットフォーム」の整備
に向けてオンライン資格確認システムを拡充する。さらに、自治体が行う検診をマイナンバー
カードだけで受診できるようにする。
電子カルテ情報共有サービスを25年度中に本格稼働させるための環境整備や、診療報酬改定
DX の共通算定モジュールの設計・開発も支援する。(メディカルウェーブより)
こども家庭庁の2024年度補正予算案の概要が27日、判明した。保育士らの賃上げなど処遇改善に1150億円を計上し、人手を確保して質の高い子どもの成育環境の実現につなげる。保育施設整備には840億円を充てる。他に「若者のライフデザインへの支援」に95億円を盛り込んだ。性や妊娠に関する正しい知識を身に付けてもらい、妊婦らに健康管理を促す取り組みなどを進める。 遠方で妊婦健診を受ける人への支援事業など「安心して妊娠・出産できる環境整備」に46億円。放課後児童クラブの拡充や、子どもの入院時に家族が泊まって世話をする「付き添い入院」の環境改善などの事業には29億円を計上した。(共同通信記事よ)
10月13日に実施された今年度の介護支援専門員実務研修受講試験(第27回)の合格者が25日に発表された。
47都道府県の報告をJoint編集部が独自に集計したところ、今回は受験した5万3701人のうち、1万7228人が合格。合格率は32.1%で、前回を11.1ポイント上回る急上昇となった(*)。
* 集計は25日時点の速報値。今後変動する可能性あり。

今回の合格率は、過去27回で上から5番目にあたる高水準。30%台は2004年度以来で、実に20年ぶりとなる。
今回の合格率は、過去27回で上から5番目にあたる高水準。30%台は2004年度以来で、実に20年ぶりとなる。

合格率が急上昇した結果、合格者数が大幅に増加した。
今回は受験者数が減ったものの、合格者数は前回より5384人多くなった。1万7千人超の合格者数は、受験要件が厳格化された2018年度より前と比べても遜色のない規模。
都道府県ごとの合格率で最も高かったのは、39.4%の愛知県。次いで36.8%の京都府、36.6%の埼玉県と続いた。
淑徳大学・総合福祉学部の結城康博教授は合格率の変動について、「今回は試験内容が以前と比べて優しかった。ケアマネジャー不足が深刻化していることも踏まえ、国はハードルを下げて合格率を上げたのではないか」と指摘。「受験要件を厳格化したり試験内容を優しくしたりと、国の施策が迷走している。人材の確保や資質の担保などに向けて、改めて方向性を整理すべき」と述べた。(介護ニュースより)