保育

Q 遅刻してくるベテラン職員が、パート職員に毎朝タイムカードを押させていたことが発覚。このような場合、法的にはどのような問題がありますか?

A まず考えられる問題として、管理者の労働時間の把握不足による問題が考えられます。

 残業したら割増賃金を払い、遅刻したらその分を控除(ノーワーク、ノーペイの原則と言います)しますが、この場合はタイムカードを基に賃金を計算することになります。このケースのように、(表面上では)タイムカード上は遅刻していないことになっているので、たとえ実際には遅刻したことが分かっていても、後からタイムカードを盾に賃金不払いを要求してくる可能性もありますので、タイムカード上も遅刻とする「証拠」を残すことが必要で「打刻訂正届」などを提出させて、本人に遅刻したことを申請させる必要があります。

また、就業規則の服務規律条文にこのような行為の禁止を明確に規定し、かかわった二人には「度重なる服務規律違反は、始末書、減給、出勤停止、重いものであれば解雇とう処罰をしなくてはならない」という懲戒処分の説明も必要になるでしょう。また、一番の大きな問題は、冒頭に述べたように、管理者が「労働時間の把握をしていないこと」です。管理者の重要な仕事の一つとして「労働時間を管理する職務」があることを明確に伝えなければなりません。さらには、タイムカードの置き場所も「人目のつく場所」に変更し、不正が起きにくいような工夫も必要かもしれません。管理者が遅刻してくる職員を厳しく取り締まる仕組みをきちんと作ることが一番の解決策であり、それが惻隠同士の人間関係を良好にするのではないかと思います。

都の保育サービス状況、待機児童361人…増加へ転じる

東京都は2024年8月30日、都内の保育サービスの状況を公表した。4月1日現在、都内の保育サービスを利用している児童は前年比11人増の32万3,750人。就学前児童人口に対する利用率は59.1%。保育所などの待機児童は、前年より75人増え361人となった。

保育サービス利用児童数の状況

東京都は2024年8月30日、都内の保育サービスの状況を公表した。4月1日現在、都内の保育サービスを利用している児童は前年比11人増の32万3,750人。就学前児童人口に対する利用率は59.1%。保育所などの待機児童は、前年より75人増え361人となった。

東京都は、認可保育所、認証保育所、認定こども園、家庭的保育事業などの地域型保育事業、定期利用保育事業、企業主導型保育事業、区市町村単独保育施策などの保育サービスの利用状況等について毎年調査を行い、結果を公表している。

 2024年4月1日現在、都内の保育サービスを利用している児童は前年より11人増の32万3,750人。就学前児童人口に対する利用児童数の割合(利用率)は、前年比2.3ポイント増の59.1%。2018年からの7年間でもっとも高い利用率となった。

 保育所などの設置状況は、「認可保育所」が前年比12か所増の3,623か所、定員は前年比481人減の32万389人。「認証保育所」は、前年比24か所減の412か所、定員は前年比672人減の1万3,946人。

 待機児童数は、前年比75人増の361人。公表されている資料をみると、2018年から続いていた減少傾向から一転、2024年は増加に転じた。年齢別では、「0歳児」8人、「1歳児」268人、「2歳児」71人、「3歳児」13人、「4歳以上」1人。特に1・2歳児の待機児童数が前年度に比べ増加している。就学前児童人口のうち保育所等利用申込者数を割り出した保育所等利用申込率は、前年比2.6ポイント増の58.8%。

2024年4月1日の時点で待機児童数が多かった区市町村は、「世田谷区」58人、「荒川区」33人、「町田市」28人。一方、前年度から待機児童が減少したことにより待機児童ゼロになった区市町村は、「府中市」「新島村」「青ヶ島村」の3自治体。前年度から待機児童ゼロの区市町村とあわせて、計36自治体が待機児童ゼロとなっている。

 待機児童がいる区市町村は26自治体。このうち、世田谷区や荒川区、文京区、北区など14自治体で前年度から待機児童が増加している。都内の保育サービスの状況の詳細は、東京都Webサイトの報道発表より見ることができる。

 

身近な人の欠点に慣れる

「この人のこの欠点がどうしてもイヤ」「なんか気になる」ということがあります。例えば、職場の後輩の変な口癖だったり、上司の無責任さであったり、指摘するほどではないけれど、そんな欠点に出くわすと、イラっとしたり、モヤっとしたりすることが、だれにもあるのではないでしょうか。

かつて、いつも怒鳴り散らしている上司のもとで働いていたことがありました。そのような上司でもまったく動じず、平然としている先輩がいました。「平然としているなんてすごいですね」というと、その先輩曰く、「すごいんじゃなく、慣れただけ」。なるほど、「慣れる」とは、我慢することでも、許すことでもなく、「気にしないこと」なのだと、深く納得したものです。

そうは言っても「気になる」人もいるでしょう。人間良いことも、良くないことも慣れてきそうなものですが、「イヤだ」「許せない」という感情が心に積み重なって、ますますイヤになり、耐えきれなくなるものです。

だからこそ、そこには意識的に目を向けない、と習慣づけることが大事。いいところだけに目を向けよう、「大したことでない」と自分に言い聞かせるのも良いでしょう。それを繰り返していると、だんだん気にならなくなっていくものです。「慣れる」ということは、心が「そこは問題ない」と判断したということです。相手の欠点は変わらない。ならば、こちらが慣れて対処する方が得策のような気がします。

Q&A 有給休暇の基準日統一の留意点

Q、当施設は職員の中途採用が多く、入職時期もバラバラです。有給休暇の付与に関しては、個人の入社日ごとに付与する方法を採用していますが、事務対応の煩雑さから付与日を統一することを検討しています。その場合、留意すべき点はどのようなことがありますか?

A,

有給休暇の基準日を一律に定めて付与することを「斉一的取り扱い」と言いますが、前提条件となるのが、「前倒しで付与する」ことです。例えば、41日を基準日と定める場合、91日入職した職員は、6か月継続勤務すれば翌年の31日に10日の有給取得の権利が発生します。この場合、基準日を統一し41日に繰り下げての付与(入職から7か月目の付与)は認められません。有給休暇の斉一的取り扱いについては、下記の要件を満たす必要があります(平成6.1.4基発1号、平成273.31基発033114

  • 斉一的取り扱いや分割付与により、法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
  • 次年度以降の有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。

しかし、基準日を前倒しで繰り上げるため、入職時期によりどうしても不公平が生じてしまいます。ここをどのように考えるかがポイントになります。それでは、その代表的な対応とその留意点を下記致します。

①基準日を月初などに統一する

入社が月の途中であっても、基準日を月初などに統一します。例えば、同じ月に採用した方の基準日を月初に統一することにより、統一的な管理が可能となります。この場合、5日取得させる期間も月ごとに統一できることになります。

② 基準日を「年2回」とする緩和策をとるケース

例えば、41日と101日の2回に統一する方法もあります。全職員同一の基準日に統一するよりは、入職時期による不公平感が軽減できます。41日から930日までに入職した職員の基準日は101日に10日付与し、101日から331日までに入職した職員は41日に10日付与します。以後、それぞれ41日と10月1日を基準日としていきます。この場合、71日入職者の8割出勤の考え方は以下のようになります。

6か月継続勤務後の本来の基準日である11日から短縮された3か月(10月~12月)

は全期間出勤したものとみなし、この期間を含めて71日から1231日までの6か月間で、8割以上出勤したかどうかを計算します。

基準日の統一は前倒し付与が原則の為、41日入職者は6か月後に10日付与され、91日入職者は1か月後に付与される不公平感は残りますが、年1回と比較すれば、不公平感は緩和されているのではないでしょうか。

 ③分割して前倒し付与したら次年度基準日も繰り上げる

施設によっては、入職と同時に10日付与するケースや、「入職3か月後(使用期間終了後)に3日付与、6か月後に7日付与」と分割して付与するケースがあります。分割して付与する場合も先の行政解釈(上述(2))にあるように、前倒し付与したら次年度の基準日も繰り上げます。

例えば41日入職者に、使用期間終了後の71日に3日付与し、101日に7日付与した場合、次年度に11日付与する基準日は本来の付与日(101日)から1年経過後ですが、初年度の3日分を3か月繰り上げて付与したため、次年度の基準日も同様に3か月繰り上げ、「7月1日から1年経過後」に11日付与することになるわけです。この点も注意をしながら前倒しのルールを検討していく必要があります。

 

                                    以上

 

保育の「質」向上 人材の確保を急がねば

 保育所に入所できない待機児童数が今年4月時点で2567人と前年より113人減少した=グラフ。保育所の整備が進んだ成果だが、不適切保育など「保育の質」も問われている。必要な人材を確保して、子どもたちが安心して過ごせる居場所としたい。
 こども家庭庁によると、待機児童数は2017年の2万6081人をピークに減少が続き、1524自治体(約88%)で待機児童がなくなった。保育所の整備や就学前人口の減少などが主な要因だ。
 16年には「保育園落ちた」と入所できず窮状を訴える匿名ブログが社会問題となり、政府は保育所の「数」を優先して整備を進めてきたが、各地で不適切な保育や保育士の退職が問題化している。
 自宅近くなど希望保育所に入所できなかった「隠れ待機児童」は7万人を超え、昨年より増えた。保育所を親と子双方にとって安心して過ごせる場所とするには、保育所のきめ細かい整備と、保育の「質」向上が不可欠だ。
 内閣府がまとめた、全国の保育所や幼稚園で起きた子どもの命の危険につながりかねないヒヤリ・ハットの100事例集によると、子どもの園内などからの「抜け出し」が29件と最多、公園や教室での「置き去り」が21件、「見失い・行方不明」が16件あった。
 職員の確認不足や役割分担の連携不足などのほか、散歩中に園児を見失った事例では人員配置に余裕がないとの報告もあった。
 こども家庭庁が待機児童のいる自治体に解消できなかった理由を尋ねたところ「保育人材確保が困難」との回答が46・1%(複数回答)と半数近くに上る。
 慢性的な人材不足が子どもたちを危険にさらしていることは明らかで、改善を急ぐ必要がある。
 保育士研修への支援や保育士養成の就学費用助成、業務負担軽減のための情報通信技術(ICT)活用促進、就労していない潜在保育士の就職支援など、同庁による積極的な支援が引き続き必要だ。
 保育士は次世代を育てる重要な役割を担う。賃上げなど待遇改善により、少しでも長く働いてもらうための就労環境を整えたい。(中日新聞記事より)

甘い点をつけるのは優しい上司?

「あの上司はやさしいから、評価はいつも甘いんだよね」

このような話を良き聞きますが、はたしてこのように甘い点を津得る上司は本当に優しい上司でしょうか?

私は評価者研修などでよくこのような問いかけをします。そして少し辛辣な意見になるかもしれませんが、こういいます。「それは優しいからではなく。自分がよく見られたいからです。本当に優しい上司であれば、出来ていない点に良い点数はつけないはずです。問題があることをそのままにすれば、その場では部下から「良い点をつけていただきありがとうございます」と感謝されるかもしれません。でも課題は課題のままスルーされているのです。

 課題の改善はいつまでもできないまま、年月を重ね、その上司の元では気づかれないかもしれませんが、上司がかわったりしたとき新しい上司になった人から

「なんで、この人はこの年齢なのにこれができないままなの?」と言われてしまうのです。本当に優しい上司であれば、早めにそれを指摘し、指導教育し頑張るように促すのではないでしょうか。

甘い点を付けるのは、部下の為ではなく、部下からよく見られたい、気に入られたい、低い評価をして社長から説明を求められたりするなど面倒なことは先送りしたい、といった自分自身のためにしているのではないでしょうか。

Q 時間外の計算は1分単位なのか、15分や30分単位でもいいのか

A 1分単位が原則です。ただし、端数を切り上げる場合には15分単位、30分単位でも

 構いません。

 

切り上げにしないと給料未払いに

給与計算上、よくある質問ですが、基本は1分単位です。例えば、17時までの就業時間で1742分まで働いた場合、12分カットして30分の残業代を支払った場合、12分の就業に関する支払いは未払いになってしまいます。

 

休養計算上は楽だということで15分単位の取り入れている事業所はよくあります。もし15分単位とするなら切り上げでなければいけません。つまり17時までの就業時間で1742分まで働いた場合には45分間の残業代を支払うことになります。管理の手間と数分プラスになる賃金のどちらをとるかの判断になります。

 

例外として、1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働の合計に1時間未満の端数が

ある場合には30分未満の端数の切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるといった端数処理は認められます。つまり月のトータル残業時間が3時間20分であった場合には3時間として、3時間40分であった場合を4時間とすることは可能です。

未払い残業は行政指導の対象に

残業代を未払いのまま労基署の監査が行われると「是正勧告書」「指導票」により行政指導が行われます。例えば3か月分の未払い残業の「遡及支払い」を命じられた場合、未払いとなっている時間数及び給料の額を3か月間さかのぼって計算し、当該スタッフへの不足額を支払うなど、まずは行政書道に従い原則対応することになります。

 

適切な時間管理とは

厚労省から平成13年に出された「労働時間の適正な把握のため講ずべき措置」では以下のように定められています。

 

  • 労働日ごとに、何時から仕事を開始して、何時まで仕事をしたか、確認し記録すること。
  • 使用者が自ら確認し記録するか、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を、適性に申告するように十分に説明すること。必要に応じて実態調査をすること。
  • 労働時間の記録に関する書類は3年間保存すること。

 

労働時間の上限を設定して、上限を超える時間を切り捨てたり、そもそも労働時間の記録がないため「時間外労働がない」としたりしている場合には法律違反になります。

固定残業代として定額を支給する際には慎重に

 

固定残業代を設定すると仮に残業代が発生しない月があっても残業代を支払わなければなりません。しかも実際に行われた残業が想定された10時間を超えると、別途残業代の支払い義務が発生します。そのため実態を確認した上で「何時間分を固定で支払うか」を決めなければなりません。固定残業手当を適切に運用するためには次の三つが要件とされています。

  • 基本給と割り増し賃金部分が明確に区分されていること
  • 割増賃金部分には何時間分の残業が含まれているかが明確であること
  • 上記②を超過した場合には、別途割増残業が支給されること

 

この方法は、残業が大体同じ時間発生している場合には適している方法ですが、月によって残業時間が大きく変動したり、人によってばらばらであったりする場合には、かえって管理が煩雑になる場合があります。導入によりメリットとデメリットをよく検討して慎重に判断する必要があります。

自分自身に投資する

 

最近は年金の不安などで、投資が話題になることが多いですが、あなたにとって、将来の一番高いリターンを生み出す投資先。それは・・・「あなた自身」です。

3年、5年、、10年単位で、自分自身にお金と時間を「投資」してみてください。

それは一生使える「資産」になって「新しい価値」を生み出します。

例えばペン字や書道を習って「字がきれいに書ける」というスキルを身につけたとしましょう。履歴書で評価されて再就職が決まりやすくなるかもしれません。手紙や芳名帳の字がきれいだったら、一目置かれ、きちんとした印象が残ると思います。数年、習い事に投資をして、一生モノの「価値」を得たことになるのです。

本を読めば、その著者がそれまでの人生で得た「知恵」を学ぶことが出来ます。語学を学べば、それを使う国の人と「つながり」や「情報」を得ることが出来ます。

提供できるものが大きくなるほど、人を喜ばせられることことが大きくなるほど、それに対するリターンも大きくなります。収入が2倍、3倍、いや10倍になる可能性だってあります。

いえ、収入云々ではなく、「自分を成長させて、人に喜んでもらうこと」そのものが、人生で一番の満足であり、いちばんのリターンではないかと思うのです。

「待機児童が過去最少、ピーク時の10分の1」と政府は発表 なのに「隠れ待機児童」は増加ってどういうこと?

こども家庭庁は30日、希望しても認可保育所などに入れない待機児童が今年4月1日時点で2567人(前年比113人減)で、過去最少だったと発表した。ピークだった2017年から7年連続で減少し、10分の1以下となった。一方で、保育を希望したのに利用できない「隠れ待機児童数」は増加傾向にあり、柔軟な支援を求める声も上がっている。(今川綾音)

◆保育を希望しているのに利用できない

 認可保育所などの利用児童数は、前年比1万2277人減の270万5058人で、3年連続で減少。待機児童は全市区町村の87.5%(前年86.7%)にあたる1524自治体でゼロとなった。同庁担当者は「女性就業率の上昇以上に少子化が進んだ」とみる。
 ただ、保育を希望したのに利用できない「隠れ待機児童数」は約7万1000人に上り、一昨年の約6万1000人、昨年の約6万6000人から増加傾向にある。「保育園を考える親の会」顧問の普光院亜紀さんは「それぞれの事情や希望に合わせ、年度途中の入園もでき、1歳過ぎまで育児休業をとることもできるような柔軟な支援を実現してほしい」と指摘している。

◆「2年連続ゼロ」だったから申込者が急増

 同庁の発表では、待機児童が急増した自治体もある。50人以上の自治体は前年と同じ6自治体だったが、大津市と兵庫県西宮市は急増し100人を超えた。都内でも世田谷区、荒川区が前年から数を増やした。
 同庁による聞き取りに「宅地開発」「想定外の閉園」などと回答する自治体があったほか、世田谷区では「共働き世帯が増加した」、荒川区は「待機児童が2年連続ゼロと入りやすい環境だったため、申込者が増えた」などと説明。同庁は「個々の地域事情に注視が必要」としている。

◆過疎地域の保育機能確保のために予算計上

 保育の定員数は、前年比6250人減の304万4678人。定員充足率は0.3ポイント減の88.8%で低下傾向が続く。都市部が91.6%と高く、過疎地域は76.2%と低さが目立った。4年間の減少幅は都市部2.9%に対して、過疎地域は6.8%と大きく、同庁は「過疎地域における保育機能確保・強化のためのモデル事業」の実施に向けて来年度の予算要求を行う。
 普光院さんは「過疎地域の対策として、子育て支援や地域福祉の場として活用されるのは有効だ」と新方針を評価する。充足率は、都市部でも年度の前半はゼロ歳児クラスを中心に空きがあるが、後半には枠が埋まり、預けられない状況が続いているという。
(東京新聞WEB版より)

「おかげさま」「お互いさま」で人とつながる

どこかでこんな言葉を聞いたことがあります。「自立とは、たくさんの依存するものをもっていること」「自立」というと、自分で立っているようですが、実はそうでありません。人が生きている以上、必ず何かに依存して生活は成り立っているものです。なにかひとつのことに依存したり、しがみつたりしていては、それがなくなったときにバランスが崩れ、生きていけなくなります。ひとつのものがなくなってもちゃんと立っていられること、自分で自分自身を引き受けられることを「自立」と呼ぶのでしょう。

 昔からよく日本人は「おかげ様」という感謝のことば、「お互い様」という謙虚さ、やさしさの言葉を挨拶にように口にしてきました。これは素晴らしくバランスのとれた言葉で、この二つを忘れなければ、たいていの人間関係はうまくいくといってもいいかもしれません。自分がうまくいったときは「おかげ様」。よかったねとかおめでとうと言われたときは「おかげさま」と返します。自分が今こうしていられるのは、多くの人やものに支えられているということ。周りにいる人だけでなく、陰となって支えてくれている祖先や自然に対しても「おかげ様」です。

 他人のよくないことに接したときは「お互い様」。「迷惑かけちゃってごめんなさいね」と言われたときは「お互い様ですから」と返します。日常生活の中で、相手に腹が立ったり、失望したときでも、心の中で「お互い様」とつぶやくと「自分にも至らない点がある。知らず知らずのうちに迷惑をかけていることもあるのだろう」と多くは許せる気持ちになってきます。

 人は他人のやったことに対して厳しくなりがち。余裕がなくなると、自分の利益だけを考えてしまう「エゴ」が顔を出します。エゴがあるから感情の行き違いや争いが起こります。

他人は「~してくれない」私は「こんなにしているのに」と嘆く前に、目に見えないところで人に支えられていること、助けられていることに気づけば、そんなエゴを「ちょっと待ってそうじゃないでしょう」と修正することもできます。

「おかげ様」「お互い様」を呪文のように繰り返していれば、こころの持ちようが変わります。不思議と自分は一人じゃない。多くの人に支えられている、と心強い感覚になります。

「おかげ様」「お互い様」で人やものや世界とつながることができれば、なにも怖いものはないとさえ思えてくるものです。自分がひとのために何かできることはあるし、人に何かをしてもらうこともある、という姿勢・・・。それが本当の「自立」ということだと思うのです。(有川真由美「上機嫌で生きる」より)

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