保育
保育園における変形労働時間制の運用方法について説明いたします。変形労働時間制とは、一定の期間内に労働時間を変更しながら勤務を行う制度です。特に保育園では、保護者のニーズに応じた柔軟な対応が求められます。運用する際には、まず労働者との合意が必要です。勤務シフトの策定には、日々の保育活動や行事の計画を考慮に入れることが重要です。また、変形労働時間制の適用には法律の理解も不可欠です。法律に従った適切な運用を心がけることで、働く環境を整えることができるのです。さらに、労働時間や休憩時間の管理を徹底し、職員の負担軽減を図ることが大切です。保育士が働きやすい環境を整えることで、質の高い保育が実現できるでしょう
変形労働時間制の基本
変形労働時間制の基本についてお話しします。この制度は、一定の期間内に労働時間を変えることができる柔軟な仕組みです。例えば、1ヶ月の労働時間が法定の160時間に収まるように、通常の労働時間を調整することが可能となります。保育園では、子どもたちの登園・降園時間に合わせて、保育士の労働時間を変形させることがよくあります。このように、保護者のニーズに対応しながら、職員の労働条件も改善することができます。ただし、変形労働時間制を導入する場合、労働者との合意形成が必要です。さらに、労働基準法に従ったシフト作成を行い、適正な労働条件を維持することが求められます。この制度を適切に活用することで、保育士の働きやすさと保育の質向上を目指すことができるのです。
保育園における変形労働時間制の導入プロセス
保育園における変形労働時間制の導入プロセスには、いくつかの重要なステップがあります。まず最初に、導入の目的や必要性を確認することが大切です。保護者のニーズや保育園の運営状況を考慮して、働き方を見直す必要があります。次に、職員との十分なコミュニケーションを図りましょう。変形労働時間制の導入に関する説明会を開催し、意見や疑問を募ることが重要です。職員が制度の利点を理解し、納得して導入することが、制度の成功に繋がります。そして、具体的なシフト作成を行います。勤務シフトは、施設の運営状況や職員の希望を考慮しつつ、法令を遵守して作成しましょう。適切な休憩時間の設定と、労働時間の管理も大切です。最終的には、導入後の運用状況を定期的に見直し、必要に応じて改善策を講じることが求められます。これにより、変形労働時間制を効果的に活用できる環境が整えられるでしょう。
従業員への説明と教育
変形労働時間制の導入にあたって、従業員への説明と教育は欠かせません。まず、制度の概要や目的をしっかりと伝えることが重要です。具体的なメリットや働き方の柔軟性を示すことで、職員の理解を深めることができます。これにより、働く環境がどのように改善されるのかを具体的にイメージしやすくなります。次に、変形労働時間制に伴うルールやシフトの決定プロセスについても、丁寧に説明しましょう。例えば、シフトの作成方法や変更の対応について説明すると、従業員は自身の働き方に関する疑問を解消できます。また、教育プログラムを通じて、労働時間管理の重要性や自己管理の手法を学ぶ機会を設けることも有効です。こうした取り組みを行うことで、従業員の理解が深まり、更なる職場の活性化に繋がるでしょう。
1カ月単位の変形労働時間制
1カ月単位の変形労働時間制について詳しく見ていきましょう。この制度は、1カ月の労働時間を一定に保ちながら、月ごとに労働時間を調整できるものです。特に保育園においては、保護者の利用状況や行事の影響を受けやすいため、非常に有効に機能します。まず、月初めにシフトを計画し、職員と確認を行うことが重要です。これによって、労働者は自分の勤務予定を把握しやすくなり、プライベートの調整もしやすくなります。また、繁忙な時期には早めにシフトを長く設定し、閑散期には短くすることで、労働者の負担を軽減できます。さらに、労働時間の記録管理を徹底することも欠かせません。毎日の労働時間を正確に記録することで、法律の要件を満たしつつ、安心して働ける環境を保つことができます。正確な管理が、信頼できる職場作りにつながるのです。
1年単位の変形労働時間制
1年単位の変形労働時間制について説明いたします。この制度は、特定の期間内における労働時間を柔軟に運用できるため、保育園に特に適していると言えます。例えば、保育園では年度ごとに行事が多い春や秋に労働時間を増やし、反対に夏休みや年末年始などの閑散期に労働時間を短縮することが可能です。また、1年単位の変形労働時間制では、年間の総労働時間を設定し、その範囲内で労働時間を調整します。このため、職員一人ひとりのライフスタイルに合わせた働き方を実現できます。例えば、子育て中の職員は、子供の学校行事に合わせてシフトを設定することができるのです。<ただし、運用にあたっては、事前に労働者との十分な協議が必要であり、トラブルを未然に防ぐためにも、法律に基づいた運用を徹底することが重要です。このように、1年単位の変形労働時間制をうまく活用することで、保育現場の効率化と職員の働きやすさを両立させることができるでしょう。
メリットとデメリット
メリット
変形労働時間制には多くのメリットがあります。最も重要なのは、保育士が働く時間を柔軟に調整できることです。これにより、保育士は家庭の事情や個別のライフスタイルに合わせてシフトを選べるため、働きやすい環境が整います。さらに、保育園においては保護者の利用時間が多様です。変形労働時間制を導入することで、保護者の希望に応じた適切な保育サービスを提供できるため、利用者の満足度向上にも繋がります。結果として、保育園の利用者が増える可能性もあります。また、保育士同士のシフト調整がうまくいけば、協力的な職場環境が築かれます。これにより、チームワークが向上し、より良い保育が実現できるのです。変形労働時間制は、保育員の働きやすさと保護者のニーズを両立させる非常に効果的な制度だと言えるでしょう。
デメリット
変形労働時間制にはデメリットも存在します。まず一つ目は、シフトが不規則になることで、保育士の生活リズムが乱れる可能性があることです。特に、深夜勤務や早朝勤務が含まれる場合、十分な睡眠時間を確保できず、心身に悪影響を及ぼすことがあります。次に、職員間でのコミュニケーションの難しさが挙げられます。シフトが異なるため、情報共有が不十分になり、連携が取りづらくなることがあります。これが原因で、突発的なトラブルが発生した場合の対応が難しくなり、保育業務に支障をきたすことも考えられます。さらに、職員の負担感が高まる点も懸念されます。変形労働時間制によって、勤務時間が長くなることがあるため、適切な休暇を確保しないと、疲労やストレスが蓄積されます。このような状況が続けば、職員の離職率が上がるリスクもあるため、注意が必要です。以上のように、変形労働時間制のデメリットは多岐にわたりますが、これらを理解した上で対策を講じることが重要です。
労務管理のポイント
労務管理のポイントについてお話しします。変形労働時間制を導入する際、まず大切なのは、労働時間の把握です。労働者の勤務時間やシフトを明確に記録し、労働基準法に則った管理を行うことが求められます。これにより、法令違反を防ぎ、給与計算や手当の支給にもスムーズに対応できます。次に、職員間のコミュニケーションを重視することです。シフトの変更や有給休暇の取得について、事前に話し合いを持つことで、職員の満足度を高めるだけでなく、信頼関係の構築にもつながります。さらに、定期的に労働環境についての意見を集めることで、問題を早期に把握し、改善策を講じることが可能です。最後に、労働者への教育も重要です。変形労働時間制の運用に関する基礎知識や注意事項を定期的に研修し、職員の理解を深めることで、より良い職場環境を実現することができます。
よくある問題と解決策
変形労働時間制の運用においては、いくつかのよくある問題が存在します。その一つが、シフトの調整が難しいことです。特に、急な欠勤が発生した場合、他の職員に負担がかかることがあります。この問題の解決策としては、あらかじめ予備の職員をリスト化し、急なシフト変更に対応できるようにしておくことが有効です。また、定期的に職員全体でシフトの見直しを行い、余裕を持った管理体制を整えることも大切です。さらに、勤務時間が不規則になることによる疲労感も問題です。職員の心身の負担を軽減するために、適切な休憩時間を設け、定期的にストレスケアの研修を行うことで、職員がリフレッシュできる機会を持つことが重要です。これにより、保育園全体の士気向上にもつながるでしょう。
成功事例
成功事例として、ある都市型保育園の取り組みをご紹介します。この保育園は、変形労働時間制を導入したことで、保護者にとって便利で、かつ職員にとって働きやすい環境を実現しました。具体的な運用方法として、朝の時間帯に需要が高いことを受けて、保育士の出勤時間を前倒しし、早朝保育を充実させました。その結果、朝早く出勤する保護者に対応できるだけでなく、職員も比較的早めに業務を終えることができています。また、保育士同士のコミュニケーションを密にするために、定期的なミーティングを設け、シフト調整の際の意見や要望を集めています。これにより、労働環境の改善だけでなく、職員間のチームワークも向上しました。この取り組みは、保護者からの喜ばしいフィードバックを受けており、職員の長期的な定着率向上にもつながっています。
まとめ
保育園での変形労働時間制の運用について、まとめます。変形労働時間制は、保育士が多様なニーズに応えるための柔軟な勤務制度です。これにより、保護者の求める時間に合わせた保育が可能となります。制度を上手に運用することで、職員の働きやすさが向上し、保育の質も高まるでしょう。ただし、運用には注意が必要です。労働者との合意や法律の理解を深めることは必須です。また、適切なシフトの作成を行い、労働時間や休憩時間をしっかり管理することで、職員の負担を軽減することが求められます。最後に、保育園がこの制度を導入し成功させるためには、社労士等労務の専門家に支援をしてもらいながら運用することは重要です。なぜなら、変形労働制の運用面では専門的な知識が必要なケースも多いためです。保育園の円滑な運用を目指し、積極的に改善を図っていくことが大切です。
A,
有給休暇の基準日を一律に定めて付与することを「斉一的取り扱い」と言いますが、前提条件となるのが、「前倒しで付与する」ことです。例えば、4月1日を基準日と定める場合、9月1日入職した職員は、6か月継続勤務すれば翌年の3月1日に10日の有給取得の権利が発生します。この場合、基準日を統一し4月1日に繰り下げての付与(入職から7か月目の付与)は認められません。有給休暇の斉一的取り扱いについては、下記の要件を満たす必要があります(平成6.1.4基発1号、平成27.3.31基発0331第14)
- 斉一的取り扱いや分割付与により、法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
- 次年度以降の有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。
しかし、基準日を前倒しで繰り上げるため、入職時期によりどうしても不公平が生じてしまいます。ここをどのように考えるかがポイントになります。それでは、その代表的な対応とその留意点を下記致します。
①基準日を月初などに統一する
入社が月の途中であっても、基準日を月初などに統一します。例えば、同じ月に採用した方の基準日を月初に統一することにより、統一的な管理が可能となります。この場合、
5日取得させる期間も月ごとに統一できることになります。
② 基準日を「年2回」とする緩和策をとるケース
例えば、4月1日と10月1日の2回に統一する方法もあります。全職員同一の基準日に統一するよりは、入職時期による不公平感が軽減できます。4月1日から9月30日までに入職した職員の基準日は10月1日に10日付与し、10月1日から3月31日までに入職した職員は4月1日に10日付与します。以後、それぞれ4月1日と10月1日を基準日としていきます。この場合、7月1日入職者の8割出勤の考え方は以下のようになります。
6か月継続勤務後の本来の基準日である1月1日から短縮された3か月(10月~12月)
は全期間出勤したものとみなし、この期間を含めて7月1日から12月31日までの6か月間で、8割以上出勤したかどうかを計算します。
基準日の統一は前倒し付与が原則の為、4月1日入職者は6か月後に10日付与され、9月1日入職者は1か月後に付与される不公平感は残りますが、年1回と比較すれば、不公平感は緩和されているのではないでしょうか。
③分割して前倒し付与したら次年度基準日も繰り上げる
施設によっては、入職と同時に10日付与するケースや、「入職3か月後(使用期間終了後)に3日付与、6か月後に7日付与」と分割して付与するケースがあります。分割して付与する場合も先の行政解釈(上述(2))にあるように、前倒し付与したら次年度の基準日も繰り上げます。
例えば4月1日入職者に、使用期間終了後の7月1日に3日付与し、10月1日に7日付与した場合、次年度に11日付与する基準日は本来の付与日(10月1日)から1年経過後ですが、初年度の3日分を3か月繰り上げて付与したため、次年度の基準日も同様に3か月繰り上げ、「7月1日から1年経過後」に11日付与することになるわけです。この点も注意をしながら前倒しのルールを検討していく必要があります。
以上
私は、法人が園を経営していく上で最も大切な価値観表しているものが、法人理念であると捉えています。多くの園では法人理念を、HP、入園のしおり、パンフレットなどの印刷物をはじめ様々な方法で保護者や職員に周知しています。
保育理念の浸透とは
ただ、周知はしているものの、どこまで「浸透」しているかというと、なかなか難しいところです。ある園では、職員に理念を改めて尋ねたところ、ほとんどの職員が応えられなかったということをお聞きしています。「浸透」している状態とは、職員が理念の意味を理解し
しそれを日々の実践に活かせる状況を言います。そのような状態にもっていくために経営は、経営理念の周知に努力するだけでなく、それを行動に移せる職員をどれだけ育てることができるのかを日々の活動のかなで考えていく必要があります。
求める職員像を的確な言葉で表現する
保育現場では職員一人一人の自律的な判断、行動が求められます。しかし保育者不足から中途採用の職員やぱーと職員の増加により、法人理念の背景や創立者の思いが継承できていなかったり、これまでの暗黙の前提が成立しなくなっている園もあるでしょう。法人の、園の、保育実践において、拠り所となるものが必要になるのも自然な流れと言えるかもしれません。そこで、私は法人理念を具体的に実現できる「人財」を「求める職員像」として可視化することをご提案しています。法人理念に基づき、どのように行動してほしいのか、どのような人となりであってほしいのかを整理し、的確に表現する言葉で「可視化」し、職員に示すことが重要です。そのための方法はいろいろあると思いますが、当社では、法人理念を
いくつかのキーワードに凝縮し、各キーワードの意味とそれを実現できる行動を職員の発想で具体的にしていきます。例えば、
キーワード:「思いやり」⇒出来ることに手を出すのではなく、見守って、助けが必要な時は、思いやりの気持ちをもち笑顔で、声をかけて手伝っている。
キーワード:「報告・連絡・相談」⇒何を相談したいのか整理し、自分なりの考え方をもって、先輩や同僚に積極的に相談し、アドバイスは素直に受け入れている。
求める職員像が育成指針として活用し、また人事評価に組み入れ定期的に振り返る機会を
法人理念から「求める職員像」を可視化し、周知と浸透を図っている園長先生にお伺いしました。
先日の職員会議で、園児への声掛けやかかわり方が議題に上がったのですが、中途採用の新人職員の一人から「求める職員像」を根拠にその関わり方の提案が出ました。参加していた職員からは賛同と納得を得ただけでなく、この発言は刺激になったようです。
また、年2回の評価の中に、その実践度合いに関する評価項目を入れて、定期的自己を振返る機会を持っています。いい評価がもらえればモチベーションにもつながっているようです。また上司・部下の間で、現状と今後について話し合う良いコミュニケーションの機会にもなっています。
園としては、引き続き「求める職員像」に基づく職員の働きぶりを承認し、育成に繋げていければと考えています。
評価制度の運用の改善やサポート業務で、ご相談を頂きますが、何にお悩みかというと
いわゆる形骸化です。
形骸化とは「実質的な意味を失い、中身のない形式だけ残ること」です。
まさしく、「ただ やっているだけ」という状態と言っていいかもしれません。評価制度を導入して3年ぐらい経過するとこのような状況に陥るケースはとても多いように感じています。
なぜ、このようなことになってしまうのか。管理者やTOPの方にやる気が無いからでしょうか?それもあるかもしれませんが、それを考えてもなかなか改善にはつながらないので
もう少し構造的に考えてみたいと思います。
その視点で「重要度、緊急度のマトリックス」で考えてみると、人事評価のポジションは
「重要度は高い」が「緊急度は低い」ということになります。つまり、今やらなくても問題はない仕事となり、この結果「先延ばし」となり「緊急度の高い仕事」が終わったら取り組もうと思っているうちに、気が付いたら期末になってしまう。このようなことを繰り返しているうちに、評価制度は「形骸化」へまっしぐらとなります。誰が悪いわけではなく、そのような構造になっているのが評価制度の運用というわけです。
評価制度の形骸化にどうすれば歯止めがかけられるか
評価制度の評価内容を毎年見直す
評価項目のブラッシュアップ、とりわけ評価項目が今の時代に即しているか、人の成長に合わせてよりレベルアップしていく項目に変わってきているかを毎年実施する重要なイベントごととして、必ず行っていただきたいと思います。
もちろん、見直した結果として、前年と同じでいこう、という結論であればそれもOK
です。
本人評価と上司評価(一次評価)を別々に行う
良き聞く声で、「どうしても本人評価に引っ張られてしまう」という相談があります。
その場合のアドバイスは、本人評価とは別シートで一次評価を行うことです。そのメリットとして、今まで以上に評価への真剣度が変わります。そもそも本人評価は評価エラーも多く、スキルを持っている人は少ないので、あまりアテにしない方がいいと思いおます。いずれにしてもこの変更は評価者にとっては大きな変更なので、異論はありますが、実際におこなった事業所に例を見ると、評価に対する真剣度は変わり、形骸化にはなりません
運用委員会などを作り機能させる
人事制度は構造上、「緊急度は低い」業務であることは、事業所のTOPや管理者でも同じです。そこでTOPも含めて、評価制度全体をマネジメントする「担当者」や委員会をつくることをお勧めしています。年間のスケジュールを決めたり、いつまでに●●を実施してくださいというように指示手配する役割と責任をもった委員会などがあることで全体が機能するようになります。
期初に、一年間のスケジュールに日付を入れて決めておく
事業計画の発表日や、社内的なイベントの日付を決めるのと同じように、評価制度の運用を重要なイベントとして、評価実施期間、評価者ミーティング、フィードバック面談等をあらかじめ1年間の日付を確定させておきます。そして、これは会社の最重要イベントということで、他の予定が入っても、この予定を最優先すると決めて通知をするぐらい徹底したいものです。
以上、過去の事例に基づき、代表的な方法を挙げましたが、
対策の必要があれば、出来ることから始めて行くことをお勧めします。
A 採用までのスピード感と内定後のフォローが大事です。
面接から内定までの間をあけない
応募者は一般的な企業の求職者ほど就職先をさほど慎重に選んでいないのも実態ではないかと思います。もちろん「この職場でどうしても働きたい」という人は少なく、「ここを断って次でもおとされたらどうしよう」という不安もあるため、最初に内定をもらえたところの就職を決める傾向があります。
したがって「良い人材だ」と思ったらできるだけ早く結論を出すことが大事です。優秀な人材はどこからでも内定をもらえます。内定まで1週間程度空いた場合、同時に受けた他社から内定がでたらそちらに決めたしまう可能性は高まります。良い人材と判断したらできれば面接の翌日には内定を入れることが望ましいと思います。ただ、判断が難しい場合や、候補者が複数いる場合には、判断を留保する場合もあります。その場合でも1週間後には結論を出した方がよいと思います。面接から2週間も経過してしまうと、本人も「歓迎されていない」と感じ、就職する意欲が薄れてしまいます。
こちらも見られていることを忘れずに
面接する側も応募者から「見られている」という意識を持つ必要があります。他院を受けている応募者は、当然そこと比較し、自分なりに判断をしているわけで、いい印象を持たれなければ辞退されます。
私も面接に立ち会わせいただく機会がありますが、こちらの要望を伝えすぎてしまうケースがよく見られます。「うちに来たら、本来業務はもちろんだけど、院長秘書、掃除、診察の介助を幅広くおこなってほしい」などと一方的に並べ立ててしまうと、私には務まらないかも、と思って不安に感じてしまいます。要望は伝える必要がありますが「忙しくてもスタッフの助け合いで頑張っています」というように工夫して伝えることをお勧めします。
人は自分を求めてくれるところに行きたいもの
人は自分を必要としてくれているところに行きたいものです。内定の際にも「あなたを採用します」という一言でなく。「あなたのお人柄が当法人には合うと思いました。全員一致で○○さんに来ていただきたいという結論が出ましたので、ぜひ当社に来てください」と伝えた方は応募者の心に響きます。内定後も「あなたを必要としている」というメッセージを伝えることが大切です。入職までに時間が空くようでしたら、スタッフとの顔合わせの時間などを持っておくことも大切です。途中でユニフォームの準備などの連絡をいれたり「入職をまっている」というメッセージを間接的に伝えることも大切です。
A 本人の緊急連絡先や実家に連絡をとりましょう。
身元保証人の連絡先や緊急連絡先を2,3か所押さえておく。
突然出勤せず、連絡もつかない場合は、事故・事件に巻き込まれて出勤できない万が一の可能性を考える必要があるでしょう。何度か連絡しても連絡がつかない場合には、直接居場所まで出向いて無事を確かめることも必要かもしれません。本人と連絡がつかないときの連絡先を把握しておくために、契約の段階で身元保証をとるのも一つの方法です。連絡がつかないときは身元保証人に連絡し「〇〇さんと連絡がつかないのですがご存じですか」と伝えます。身元保証人そのほかの関係者から本人が無事であることが判明すれば、突然来なくなっている状況を伝え、本人から事業所に連絡してもらうようにします。賃金や退職手続きはその後に検討します。退職するにしても、届け出や返還させるものなどの手続きがあるので、いずれにしても一度は職場に来てもらうようにしましょう。もし
何らかの理由で職場に来ない場合には、給与を振り込みでなく直接職場に取りに来るようにさせる方法もあります。毎月の給料は口座に振り込むことが多いのですが、手続きが終わっていない場合には直接現金を手渡しするということです。なおこの場合には就業規則にあらかじめ記載しておくとも大切です。とにかく一度は出社させることで退社手続きや挨拶など済ませることができます。
一方、だれにも連絡がつかないような場合には、現住所まで出向く必要もあるでしょう。自宅にもいない様子であれば、近隣に人に様子を聞き、伝言を頼んだり、直接メモを残しておくなどして、連絡するよう促します。
自動的に退職とする規定を設ける。
突然出勤しなくなって行方不明になってしまった場合は、就業規則に「職員が行方不明となり無断欠勤が続いた場合には退職とする」などと決めておくことで、自動的に退職の扱いとするが可能になります。
記載例)第〇条 職員が次の項目該当する場合には退職とする。
・職員が行方が不明となり、1か月以上連絡が取れないこと」
以上
採用内定者にメンタル不調が発覚した時の対応
このような場合、一度出した内定を取り消すことができるものでしょうか。というご質問です。
内定取り消しのハードルは高い
1,採用内定とは、やむを得ない事情があった場合には内定を取り消すことがという条件付きの労働契約と解されます。内定を取り消すことが可能な事由とは「採用内定当時は知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として取り消すことが趣旨、目的に照らして、客観的に合理的で社会通念上相当として是認できるものに限られる」とされています(最高裁判例)。つまり採用内定時に知っていたら採用することはなかった、という客観的に合理的で社会通念上相当とみとめられるような重大な事実が存在しなければ、採用内定の取り消しは認められません。ご相談のメンタル疾患の場合、症状が重く通常の勤務ができないと予測される場合には、採用内定の取り消しが認められる可能性は高いと思われます、一方で、採用面接の際に、メンタル疾患が疑われるような言動があったにも関わらず内容を出した場合には取り消しが難しくなる場合もあります。
ではどうしたらいいのか(対応策)
まず、業務遂行能力や適性を判断する材料として、内定者に「病歴の申告」を求めることは有効でしょう。メンタル疾患を理由としての採用拒否は必ずしも違法ではありませんが、採用前の健康診断にメンタルヘルス疾患の検査を行うことは応募者の同意が必要になります。またプライバシー保護や人権侵害にならないように細心の注意が必要です。
また採用内定時に書面を取り交わしておくことも有効です。たとえば、入社時の労働条件を記載した「採用意向確認書」をわたし、同時に「入職承諾書」に署名・捺印をしてもらいます。この入職承諾書に「入職時期、疾病などで就業困難と認められるとき」という一文をいれることで、不測の事態が生じた場合の抑制効果あるものと思います。
A、命令がなく、業務とは無関係な早めの出勤については、給料を支払う必要はありません。
労働時間とは
労働時間とは原則として「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを言います。つまり、院長の指示命令がないのもかかわらず勝手に出勤している時間というのは労働時間ではありません。
業務命令はなくとも業務上必要な時間は労働時間
しかし、始業時間8時30分からでも「8時15分に出勤して、これとこれをやっておかなければ、診察の受付時間である8時30分には開始できない」という場合があります。このことを院長がわかっていながらスタッフの善意に頼ったままで積極的な対策を講じない場合、
この15分は黙示の業務命令の下行った業務として業務時間として扱われます。命令がなくとも15分前出勤が常態化しているのであれば、業務上必要な時間であり、それは労働時間になる可能性が高いといえます。
そもそもクリニックの始業時案は、診療受付までの準備を要する時間を見積もったうえで設定されますから8時30分の受付開始時間と同時に労働時間がスタートするといったところは聞いたことがありません。つまり、準備時間を15分と見積もるなら、8時15分が始業時間になるわけです。
掃除などをしてくれる場合には
質問のポイントは 例えば8時30分からの勤務時間開始でよいにも関わらず、8時からきて作業をしている場合にはどうするか」という点にあります。指示していないけれど、何かやっている、そしてタイムカードをおしている、するとこの時間に対価を支払うべきであるか、という疑問が出てくるであろうと思います。
しかし冒頭に述べたように、あくまで労働時間は指揮命令下にある時間です。自主的に作業をしていることに対して原則、給与の支払いは必要ありません。
職場の人間関係にも配慮する
また「8時30分始業なのに、一番の先輩社員が8時に出勤しているため他のスタッフが全員8時に出勤している」といったケースもあります。そうすると新しく入ったスタッフから「事実上強制的に出社させられているのになぜ給料がでないの」といった文句が出てきます。そのような場合に、早く出勤するスタッフに「ほかのスタッフが影響を受けるので、あまり早く出勤しないように配慮してほしいこと」もしくは「早く出勤するのは構わないが、他のスタッフに同時の時間に出勤することを強制しないように」と伝える必要があります。
自主的に早く出勤するスタッフにも、それぞれの理由があるのでしょう。準備をしっかりとしてから仕事を始めたいというプロ意識から早く出勤するスタッフもいるでしょう。仕事の喜び、積極性、職場への貢献やチームワークといった仕事観を否定することのないよう、伝え方には十分配慮する必要があると思います。
タイムカードの管理
タイムカードの打刻時間は原則としてクリニックに入った時間と出た時間を示しており、必ずしもそのすべてが労働時間になるわけではありません。業務がおわりスタッフ間でおしゃべりをして帰る場合などその時間まで給料を支払う必要はないのです。
ただし注意しなければならないのは、おしゃべりの時間わからないと、タイムカードの出勤時間から退勤時間までの時間がそのまま労働時間とみなされてしまう可能性があるということです。そのため「時間外労働は、院長の指示で行うものでおこなうものである」と周知しておくとともに、院長が承認しなかった時間がある場合にはその都度記載しておくなど、適切に把握しておくことが必要です。よくあるのは、タイムカードと時間外労働申請を並行して取り入れているケースです。例えば、17時間までの勤務の人が17時半にタイムカードが押されているような場合、時間外申請が「患者対応のため15分残業」となっていれば15分の残業代を支払えばよいということになります。このように時間外労働の管理があれば、タイムカードを押していたとしても、その分の給料をすべて支払う必要はないということになります。
昨年の8月、宮崎県で発生した地震をきっかけに、将来起きるとされる南海トラフ巨大地震について、国として初めての「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発せられたことは、読者の皆様の記憶にも新しいところだと思います。
■ 多くの園で、BCPは「作成されたまま」の状況となっている
本稿でもたびたびふれていますが、2022(令和4)年12月の厚生労働省の事務連絡により、保育所を含む児童福祉施設等には、感染症と自然災害の発生を想定したBCP(業務継続計画)の作成が求められることとなりました。
上述の事務連絡と併せて、同計画のひな形も示されており、以降、第三者評価でお訪ねする各園でも、作成にあたってはこれが最も多く用いられています。
安全計画とは異なり、BCPの作成は努力義務にとどまっていますが、行政の指導検査への対策とも相まって、ほとんどの園で作成までは済んでいます。
ただし、事務連絡でも要請されている「必要な研修及び訓練を定期的に実施すること」「定期的に業務継続計画の見直しを行うこと」については、特に前者の研修・訓練は、多くの園で行われていないままの状況です。
■ 実際の災害では、避難を終えた後にも、日常と異なる様々な状況が待っている
災害に関して言えば毎月の避難訓練、感染症については日々の清掃・消毒や定期的に行う下痢・嘔吐発生時の対応に関する実技研修など、平時の対策や「起こった時」の対応については、どの園でも取り組みが行われています。
しかし、避難訓練の場合、一連の職員・子どもの動きなどを確認した後は、いつもの日常の生活に戻るまでであるのに対し、実際の大規模災害では、避難し終えた後も、日常とは異なる様々な状況が生じ、それがいかなるものであるか、災害が起こってみるまでわかりません。
その中で子どもや職員の安全を守り、時にはライフラインが途絶しているなかで、子どもたちと共に一定期間を園で過ごしたり、地域とも連携し、福祉避難所として園を開放したりする必要も生じます。
また、園の立地などによっては、避難したまま別の場所で、各家庭にすべての子どもを引き渡し終えるまで、保育や種々のケアを継続することとなるでしょう。
BCPはそのための計画であり、平時の避難訓練では想定されていない、「起こった後」の体制や行うべき事柄が定められるものです。
■ BCPを組織全体で共有し、有事の際の運営の継続をあらかじめ想定しておこう
災害が開所時間中に発生するか、夜間や休日に起きるかにもよりますが、開所中の発災であれば、一連の避難行動を終えてから初めてBCPを組織内で確認するよりは、事前に概要を共有しておいたり、その後の対応の流れを各職員があらかじめ知っていたりするほうが望ましいことは言うまでもないでしょう。
今年お訪ねしたある園では、実際の災害を、施設の損傷や電気・ガス・水道の停止、けが人の発生などまで具体的に想定して、BCPに定める対策本部を設置し、取るべき対処をシミュレーションする訓練を行っていました。
こうした訓練は、多くの園で毎年行っているであろう、保護者との通信や子どもの引き渡しに関する連携確認、あるいは心肺蘇生・応急手当等の実技研修などと組み合わせて行うことも可能ではないかと思います。発災から避難、避難終了後は園内の状況の確認と、負傷したり、ショックを受けたりしている子ども・職員の手当て、園内の関係者全員の安否確認などを並行して行い、その時点で利用可能な通信手段によって子どもの状況を保護者へ連絡するとともに、それ以降の業務継続について検討する、といった一連の流れを、模擬体験してみるイメージです。
感染症に関しては、先の新型コロナウイルス対策に忙殺された数年間の園運営から、概ねの運用は想定可能ではないかとも思いますが、園内の発生・まん延状況に応じた継続的な対応について、BCPに基づいて実際の措置を検討しておくとよいのではと思います。
■ 様々な情報を収集し、BCPの計画としての有用性を高める工夫も
上記の国のひな形は、項目別に記入欄が設けられているだけのごく簡素なものであるため、園によっては作成に苦心することもあるでしょうし、内容の質というか、計画としての実用性・有用性には、園ごとにばらつきが生じるのではという印象も否めません。
そうした場合は、介護施設向けの各ガイドライン(※)など、インターネット等で入手可能 なほかの資料も参考として、計画内容の具体化を図ることも一策でしょう。
A 労働基準法41条の除外規定として、労基法上の管理監督者は深夜業務を除く、労働時間に関する規定は適用されないと定めています。
まずは、労基法上の管理監督者とはどのよう方を指すのかを確認しておきたいと思います。ここでいう、「管理監督者」とは下記の要件を全て満たす方を指します。
1,人事権を持ち、事業経営にも参加している(ここでいう人事権とは、いわゆる異動を含む人事権で、人事評価しているだけでは不十分)
2,自分自身の勤務時間について自由裁量が認められている
3、一般社員と比べて、十分な報酬を得ている
これらの3点を、勤務の実態として適用されている必要があります。単に役職名では判断できません。つまり休日、時間外労働の規制をうけない「管理監督者」に該当するかどうかは、具体的な権限や給与、勤務実態で判断が必要ということになります。
例えば、多くの介護事業所ではシフト勤務で勤怠管理を行っていますが、常態として勤務シフトに入っている働き方をしているような管理者がいた場合、勤務時間の自由裁量がないと判断され、管理監督者ではなく、一般社員とみなされる可能性もあります。
先ほど、管理監督者に該当するか否かを判断するときに、単に役職名での判断ではなく、勤務の実態で判断しなければならないとしましたが、多くの介護事業では職責(役職)で、それを判断している場合が多い上に、介護保険制度における「管理者」と労基法における管理監督者を混同してしまうケースもあるので注意が必要です。一般的には、理事長、社長、施設長、事業所長、事務長くらいまでの立場の方がそれに該当するケースが多いと考えられます。もし、それ以下の役職の方(例えば、主任、副主任やリーダー等)を管理監督者の扱いにして残業代などを支給していない場合は、一度、その方の業務や給与の実態を確認してみる必要があると思います。その結果、管理監督職に該当しない方に、残業手当等を支給していない場合には、労基署からは残業代未払いの扱いとして、「3年間分を遡及して」支払うといった是正勧告を受けるリスクがあります。
2,また、管理監督者には残業代は支給されませんが、勤務時間管理自体は必要となります。
これは、給与計算上の必要性ではなく、管理監督者の健康管理の問題によるものです。管理監督者はその責任の重さから、過重労働になってしまうケースは相変わらず多く、それが深刻化するとメンタル疾患につながる場合も見られます。従って、経営者や人事担当者は管理監督者の労働時間には常に注意を払い、管理監督者の健康管理に十分注意することが重要です。
3,今回ご質問のあった管理監督者における遅刻・早退・欠勤に関する給与の扱いについて
その方が管理監督者に該当することを前提とした場合に、先述の要件の「勤務時間の自由裁量」の点が問題になります。つまり、管理監督者は勤務時間に裁量が認められていることから、始業時刻から遅れて出社(遅刻)しても給与減額扱いにはなりませんし、また終業時刻より遅くなっても残業手当はつかないことになります。
ただ、欠勤の扱いにつきましては、管理監督者であっても「就業義務」自体はありますので、その義務が果たされない場合に該当すると判断され、給与も欠勤控除として減額することになります。






