福祉
今年も夏季賞与の支給時期を迎えます。ここでは福祉・介護関連業種における、夏季賞与支給労働者1 人平均支給額(以下、1 人平均支給額)等の推移を規模別にみていきます。
1 人平均支給額は一部を除き減少
厚生労働省の調査結果※から、福祉・介護関連の業種別に1 人平均支給額等の推移をまとめると、下表のとおりです。
2021 年の支給状況をみると、1 人平均支給額は障害者福祉事業の30~99 人だけが前年より増加しました。児童福祉事業の30~99 人は2 年連続の減少です。また児童福祉事業は、どちらも直近5 年間で最も低い額となりました。
きまって支給する給与に対する支給割合は、児童福祉事業の5~29 人と老人福祉・介護事業の5~29 人を除いて1 ヶ月以上になりました。
支給労働者数割合は、児童福祉事業の5~29人と障害者福祉事業の5~29 人が前年より減少しました。どちらも2 年連続の減少です。支給事業所数割合は、児童福祉事業の5~29人を除いて前年より増加しました。どの業種も5~29 人では60~70%台ですが、30~99 人は90%台となりました。
2022 年の夏季賞与はどうなるでしょうか。
※厚生労働省「毎月勤労統計調査」
日本標準産業分類に基づく16 大産業に属する、常用労働者5 人以上の約200 万事業所から抽出した約3.3 万事業所を対象にした調査です。支給労働者1 人平均支給額は、賞与を支給した事業所の全常用労働者についての1 人平均賞与支給額です。きまって支給する給与に対する支給割合は、賞与を支給した事業所ごとに算出した、きまって支給する給与に対する賞与の割合(支給月数)の1 事業所当たりの平均です。支給労働者数割合は、常用労働者総数に対する賞与を支給した事業所の全常用労働者数(当該事業所で賞与の支給を受けていない労働者も含む)の割合です。支給事業所数割合は、事業所総数に対する賞与を支給した事業所数の割合です。詳細は次のURL のページから確認いただけます。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450071&tstat=000001011791&cycle=7&year=20210&month=0&tclass1=000001015911&result_back=1&tclass2val=0
福祉業界でも導入実績が多いIT 導入補助金(サービス等生産性向上IT 導入支援事業)。介護保険請求や給与計算、文書作成の効率化、報告や情報共有など、幅広く利用されています。ここでは介護施設の導入事例をご紹介します。
時間的な余裕がサービス向上に
IT 導入補助金は、労働時間の削減や業務効率化のためのIT ツール導入を支援する制度です。ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連などが補助の対象となります。
今年度は、従来の「通常枠」に加え、「デジタル化基盤導入枠」が新設され、インボイス制度対応を視野に、会計・受発注・決済・EC ソフトに特化し補助率が引き上げられた他、PC・タブレットなどのハードウェア購入にも活用できるようになりました。
過年度の導入事例をご紹介します。
■介護計画・報告書などをクラウド管理
・ ペーパーレス化により、記録簿の保管スペースが不要に
・ 検索機能で、資料を探す時間も短縮
・ 複数のスタッフで担当する場合でも、ケアや投薬などの重要事項が確認でき、申し送りの漏れも防止
・ ケア内容の詳細や状況について、選択式の報告形式に変更したことで、報告時間が短縮でき、集計も容易に
・ 介護保険請求までのトータル管理で転記作業を減らし、ミスの防止と作業時間の削減に
■タブレットの導入
・ 訪問先からも報告書を登録できるので、移動や報告書作成工数が短縮
・ 急な予定変更があった場合でも、すぐに出先の担当者に連絡でき、トラブルが減少
・ 現場の状況をリアルタイムに撮影・報告できるため、キャリアの浅い訪問スタッフでも、その場で助言を受けて適切に対応することが可能に
■スマホアプリによるタイムカード
・ 労働時間や給与計算の自動化を実現
・ 利用者様宅に直出直帰できるように
■給食管理システムの導入
・ 献立作成での栄養計算や食材発注管理を自動化し、作業時間が大幅に減少
・ 食材ロスの削減にも貢献
施設介護や訪問介護などの業態や規模など、背景の違いにより使い方もさまざまですが、時間的余裕が生まれ、サービスに集中できるようになったとの声が大きいようです。
※ 制度が変更される場合がございます。申請の際は、必ず最新の交付規程・公募要領をご確認ください。
IT 導入補助金 特設サイト https://www.it-hojo.jp/
福祉医療機構(WAM)は6日、特養を運営する社会福祉法人を対象に先月行った「経営動向調査」の結果を公表した。回答した法人の約9割が前年度比でコスト増となっていることが分かった。
調査結果によると、昨今の物価高騰を受けてコスト増の「影響あり」とした法人は88.5%。このうち、今年度上半期のサービス活動費が前年同期より5%以上増加する見込みと答えた法人は、およそ半数の48.9%だった。
経営上の課題として「人件費以外の費用の増加」をあげたところは49.0%。サービス活動費が5%以上増加する見込みとした法人で影響が大きい勘定科目は、多い順に水道光熱費(95.6%)、ガソリン代(52.5%)、給食費(52.5%)となっている。
この調査はWAMが6月1日から22日にかけてWebで実施したもの。全国418の社会福祉法人から有効な回答を得ている(介護ニュース)。
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この季節は、これまで以上に熱中症への対策が求められています。安全衛生の観点から職場環境の整備は重要であり、事務所(事務室)内の温度においても適切な設定にすることなどが、法令で定められています。そこで今回は、職場環境に関して守らなければならない基準を確認しておきましょう。
1. 事務所の室温・湿度
労務管理に関しては、労働基準法や労働安全衛生法など様々な法令がありますが、職場環境や衛生等については事務所衛生基準規則や労働安全衛生規則で定めがなされています。
[冷房]
事務所を冷房する場合は、事務所の気温を外気温より著しく低くしてはならない。
[暖房]
事務所の気温が10 度以下の場合は、暖房する等の適当な温度調節をしなければならない。
[室温・湿度]
空気清浄や温度、湿度を調整する空気調和設備(いわゆる「空調」)がある場合は、事務所の気温が18 度以上28 度以下および相対湿度が40%以上70%以下になるように努めなければならない。
室温については、2022 年4 月より「17 度」から「18 度」に変更となっています。室温や湿度は体感で調整することが多いかと思いますが、実際に事務所の温度等がどのようになっているのか、この機会に確認してみるとよいでしょう。
2. 照度
部屋の明るさは、現状、表1 のとおり、作業の区分に応じて基準が設けられています。
この基準が2022 年12 月より、表2 のように変更となります。
※資料の袋詰め等、事務作業のうち、文字を読み込んだり資料を細かく識別したりする必要のないものが該当する。
表2 の「一般的な事務作業」は表1 の「普通の作業」に相当するものです。照度不足の際に生じる眼精疲労や、文字を読むために不適切な姿勢を続けることによる上肢障害等の健康障害を防止する観点から、全企業に適用されます。
コロナ禍で在宅勤務を実施している企業もあるかと思います。自宅での業務は、その環境について従業員任せになりやすいですが、自宅での業務においても室温や照度、作業姿勢等について適切な対応をすることが必要になります。
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。
総務部長
先日、従業員が会社のパソコンを電車の中に置き忘れ、紛失しました。会社の機密情報や個人情報等は含まれていなかったため、事なきを得ましたが、会社としては就業規則に従い、懲戒として減給の処分にすることを考えています。
社労士 情報の流出がなかったことは不幸中の幸いでしたね。減給の処分については、本人の弁明を聞いた上で、過去に同様の事案があった際の取扱い等とも比較して、処分内容が相当かを確認してください。
総務部長 承知しました。減給の範囲として、確か平均賃金の1日分の半額、総額が一賃金支払期における10 分の1を超えることができないという定めがあったと思いますが、この平均賃金の計算はどの時点で計算すればよいのでしょうか。
社労士 平均賃金は、原則として事由の発生した日以前3 ヶ月の間に、その従業員に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額になります。今回の算定事由が発生した日とは、会社が減給処分を従業員に伝えた日(減給の意思が従業員に到達した日)になります。
総務部長 なるほど。パソコンを置き忘れた日ではないのですね。
社労士 はい。平均賃金の計算の際、実務的には直前の賃金締切日から遡って3 ヶ月の期間を用います。基準とする日が異なることで、金額に誤りが発生するので、注意してください。ちなみに、1 つの事案に対して数ヶ月に亘って減給処分をしたいという話を聞きますが、減給は「総額が10 分の1を超えることができない」となっていることもあり、労働基準法上はこのような対応はできません。一方、役員や公務員は労働基準法が適用にならないため、1 つの事案に対して数ヶ月に亘る処分も可能です。
総務部長 そうでしたか。平均賃金の1日分の半額の金額は、想像していたよりも低かったため、3 ヶ月程度を対象にしたいと思っていました。これはできないということですね。もう1 点賞与の時期なので、給与(月給)ではなく賞与から減給を行いたいのですが、できるでしょうか?
社労士 賞与で減給を行うこともできます。その際、減給を賞与で行うことが、就業規則に明記されていること、そして、減給の金額も1 回の額が平均賃金の1日分の半額、賞与総額の10分の1を超えることができないことの2 点に注意してください。
ONE POINT
① 平均賃金の算定事由が発生した日とは、減給の意思が該当する従業員に到達した日をいう。
② 減給の処分は、1 事案について複数月に亘って行うことはできず、1 回の額が平均賃金の1日分の半額、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10 分の1 の範囲内となる。
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2022年10 月1日より、厚生年金保険の被保険者数が100 人超の事業所では、「週の所定労働時間が20 時間以上であること」等の一定の要件を満たしたパートタイマーやアルバイト等(以下、「パート等」という)が、社会保険の被保険者となります(社会保険の適用拡大)。ここでは特定適用事業所に該当する際に、年金事務所から事業所に送付される通知を確認しておきます。
1. 施行日から特定適用事業所に該当
2021 年10 月から2022 年7 月までの各月のうち、厚生年金保険の被保険者の総数が6ヶ月以上100 人を超えた場合には、2022 年10 月より特定適用事業所となります。このような事業所には、以下の通知が送付されます。
① 2022年8 月頃に「特定事業所該当事前のお知らせ」が送付される。
② 2022 年10 月頃に「特定適用事業所該当通知書」が送付される。
特定適用事業所に該当したときは、通常「特定適用事業所該当届」(以下、「該当届」という)を提出しますが、施行日である2022 年10 月1日から特定適用事業所となる場合は、該当届の提出は不要であり、②の通り該当した旨の通知が送付されます。
2. 施行日以降に特定適用事業所に該当
2022 年10月1日以降に特定適用事業所に該当する場合の流れは以下の通りです。
① 直近11ヶ月のうち、厚生年金保険の被保険者の総数が5 ヶ月100 人を超えたときに、6 ヶ月目頃、「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」が送付される。
② 6 ヶ月目も100 人を超えたときには、該当した事業所が「特定適用事業所該当届」を提出する。
③ 該当した事業所から該当届が提出されないときには、日本年金機構が「特定適用事業所該当通知書」を事業所に送付する。
②のとおり、該当届を事業所から提出することが原則となっています。
3. 必要となる資格取得届等の提出
特定適用事業所に該当したときで、新たに被保険者となるパート等がいる場合は、「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」の提出が必要になります。
また、そのパート等が家族を健康保険の被扶養者(国民年金の第3 号被保険者を含む)とすることを希望する場合には、「健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3 号被保険者関係届)」も同時に提出します。
今回の社会保険の適用拡大で、厚生年金保険の被保険者数100 人超の事業所が特定適用事業所になりますが、この基準は2022 年10 月時点のみで判定するのではなく、2022 年10月以降も毎月、継続して判定されます。なお、いったん、特定適用事業所に該当した後は、厚生年金保険の被保険者数が100 人以下となった場合でも、不該当となる届出を経ない限り、特定適用事業所のままとなります。
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「キャリアパス規定」もしくは「人事評価規定」として、社内規定として文書化したり、また全職員へのキャリアパスの「見える化」にも工夫することをお勧めしています。
社内規定の一つとして「人事評価規定」を文書化されることをお勧めします。「評価制度が、いつの間にか運用しなくなってしまった」などということが無いように、キャリアパスや人事評価の運用は、社内監査等の対象として定期的にその運用が適切になされているかどうかチェックされなければなりません。つまり法人のガバナンス機能として、運用を継続していくためにも、それが文書化されルールに従った運用がなされているかが確認されなくてはなりません。下記の文書化の事例(抜粋)をご紹介いたします。
- 規程趣旨
この規程は、法人職員に対するキャリアパスの実施を通じて職員の資質向上を図り、もって人事管理の適正化、組織の活性化、地域貢献に資することを目的とする。
2 キャリアパスの定義
この規程においてキャリアパスとは、法人が職員に対し職業人として必要な能力と処遇について具体的な内容を職能等級、職位、職層、求められる能力を示すことにより、職員が自らの目標を設定し努力するための道筋を示したものと定義する。
3 キャリアパスの意義
キャリアパスを整備する意義は、法人が人材育成を何よりも重要であると認識し、働く人の成長を願い目標を設定し努力を重ねることができる環境整備の一つとすることにある。運用にあたって、資格等級制度、人事評価制度、研修制度との連動を図ることによりキャリアパスを法人経営の重要なツールとして定着させる。これにより、職員が自らの将来像を描きながら日々の業務に邁進できる環境を実現させる。
4 主管部門・担当部門・監査部門
キャリアパスを実施するにあたり、以下の通り、主管部門・担当部門・監査部門を定める。
主管部門 法人本部に「法人本部キャリアパス運営委員会」を組織する。
担当部門 各事業所に、事業所責任者を中心とした「○○事業所キャリアパス運営委員会」を組織する。
監査部門 「キャリアパス制度運営監査委員会」を第三者委員会として組織する。委員会は、人事考課制度等に専門知識を有した者、被評価者代表、評価者代表、法人本部代表者などから構成する。
・・・・・
また、キャリアパスの「見える化」ですが、本来の「見える化」とは「問題点の可視化」という意味ですが、ここでは「理解を深めるためのビジュアル表現」という意味で使用しています。つまり、キャリアパスをよりわかりやすく表現することで、求職者に対してアピールできるほか、在職している職員のモチベーションを高める効果もあります。さらに言うと、「退職したくなったが、少し我慢すれば次のステップに進めるので、もう少しだけ辛抱しよう」という、離職防止効果までを期待できます。
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①医療分野キャリアパス
クリニック人事サポートパック(評価制度、賃金制度の作成) | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
②介護分野キャリアパス
処遇改善加算対応キャリアパス構築コンサルティング | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
③保育園のキャリアパス
保育士キャリアアップの仕組みサポートパック | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
☞福祉・医療向け人事評価コンサルティング | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
ケアマネジャーの法定研修のカリキュラムが改められる。厚生労働省が今年4月に通知で現時点の具体案を公表した。
カリキュラムはどう変わるのか? 今回は、これまでの国の議論に関与してきた日本介護支援専門員協会・能本守康常任理事の解説の後編だ。話題は見直しのポイントから、ケアマネのマインドセットのあり方などにつながっていく。
−− となると研修を受けるケアマネさんは、これまで以上に大変になりそうですね。ただでさえ忙しいのに…。
必ずしもそうではないんです。研修全体の時間をいたずらに長くすべきではない、ということは1つの共通認識でした。私も繰り返し要請しましたし、専門家の先生や厚労省の方もそう捉えていたんです。
結果、トータル時間数は大きく変わらないことになりました。時間数が増える科目がある一方で、削除、減少、統合となる科目もあります。
−− 過度な負担増を避ける形になったということでしょうか?
法定研修の時間数は、前回の大幅な再編・見直しでも増やされた経緯があります。もちろん、それは大きな意義のあることです。
ただ、私も講師を務めておりますが、日頃から忙しい受講者・指導者にとって大変さが増したことも事実と言わざるを得ません。介護支援専門員に求められること、期待されることが増えている中で、いかにトータル時間数を延ばさずにより良い研修としていくか − 。これは非常に難しい問題で、厚労省も含め関係者がみな苦心したところです。
−− 実務研修の見直しのポイントを教えて下さい。
大枠の考え方は既にお伝えした通りですが、カリキュラムの内容としては、
○「人格の尊重、権利擁護、介護支援専門員の倫理」の時間数増
○「地域包括ケアシステムの深化、地域の社会資源」の時間数増
などがあげられます。
* 厚労省がまとめた見直しのポイントはこちらから
1つ強調しておきたいのは、ケアマネジメントプロセスに関する研修の時間数が少し減ったことです。これは先程の話で、トータル時間数を延ばさないという制約の中でのやむを得ない判断でした。他に加えるべき要素が増えた結果であり、決して重要性が低下したわけではありません。引き続き極めて大切な内容です。
実務研修は新人さん向けのプログラムですから、まず基礎的な知識をしっかりと身に付けて頂くことが重要です。限られた時間内で必要なことを確実に学べるよう、引き続き関係者、指導者に工夫や努力が求められるところではないでしょうか。
−− 主任研修の見直しのポイントを教えて下さい。
大きな変更は、「終末期ケア(エンドオブライフケア)を含めた生活の継続を支える基本的なマネジメント、疾患別マネジメントの理解」の新設です。現行の「ターミナルケア」という科目はここに統合されることとなりました。
* 厚労省がまとめた見直しのポイントはこちらから
主任研修はリーダーとしての素養を育む場でもあります。人材育成や業務管理などについてしっかりと学んで頂くことも非常に大切です。私は検討会の中で、そうした部分に十分な厚みをもたせる運用にすべきと提案させて頂きました。
−− ケアマネはどんな心構えを持って法定研修に臨めばいいですか?
法定研修の捉え方でぜひ理解して頂きたいのは、"これが全てではない"ということです。5年に1度しかない機会ですから、これだけ受ければ十分というものでは決してありません。
最も大切なのは、法定研修を受講するまでに各々が現場でどんな学び、経験を重ねてきたのか、ということです。それまでの自分の5年間を改めて振り返り、次のステップへ進む成長の機会にして頂きたいと思います。
同業の仲間が集まる場でもありますから、他の介護支援専門員と自分を比較することもできるでしょう。得意なところ、苦手なところ、できているところ、足りていないところなどが確認できるはずです。
もちろん、法定研修には新しい知識を得るという意義もあります。ただもっと大切なのは、そこで自分を見つめ直してレベルアップにつなげることではないでしょうか。
−−「法定研修は同じことの繰り返し」という不満の声もあります。
まだまだ改善の余地はありますよね。全てを否定するわけではありませんが、意識の問題も大きいのではないでしょうか。
たとえカリキュラムが同じであっても、学ぶ状況、姿勢が異なれば得られるものも大きく違ってきます。直近5年間の仕事を振り返りながら受講すれば、法定研修は必ず有益な学びの機会となるでしょう。
−− 現場のケアマネへメッセージをお願いします。
確かに研修は大変です。負担に感じることもあろうかと思います。ただ、楽な仕事なんてどこにも存在しません。
私たちは既に、日本の超高齢社会を支える中心的な存在になっています。その期待に応え、社会的な評価を更に高めていくためには、仕事の質を自ら上げていく努力を続けなければいけません。
今は法定研修のオンライン化も進み、以前より受けやすくなった面も出てきました。我々も内容の充実、環境の改善、負担の軽減に向けた取り組みを更に展開していきます。皆さんと同様に意識を高く持ち、知識・技術を高めていく努力を共にしていきたいと思います。
−− ありがとうございました。
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特別養護老人ホームの経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会(全国老施協)は23日、介護報酬の加算の算定状況などを調査した結果を公表した。
通所介護では「入浴介助加算」のうち、昨年度の介護報酬改定で新設された「加算II(55単位/日)」の算定率が今年4月時点で10.0%。昨年7月の10.1%から伸びていなかった。
「加算II」は利用者宅での入浴の自立を目指すインセンティブ。ただ取り組みが進まず、多くの事業所が従来通りの「加算I(40単位/日)」にとどまっているのが現状だ。「加算I」の算定率は93.1%。
この調査は、全国老施協が会員を対象に5月中旬から下旬にかけて行ったもの。全国1230の通所介護、1806の特養などから、今年4月の実績について回答を得ている。
通所介護のLIFE関連加算の算定率をみると、「科学的介護推進体制加算」が49.2%、「ADL維持等加算」が24.7%。「栄養アセスメント加算」は5.2%、「口腔機能向上加算II」は5.3%にとどまっていた。
■ 特養、科学的介護推進体制加算の算定6割超に
特養のLIFE関連加算の算定率をみると、「科学的介護推進体制加算」が62.0%。49.5%だった昨年7月から12.5ポイント伸びていた。
このほか、「ADL維持等加算」が21.6%、「褥瘡マネジメント加算」が33.0%、「排せつ支援加算」が20.2%、「自立支援促進加算」が10.6%などとなっている。(介護ニュース)
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"第3の処遇改善加算"となる「ベースアップ支援加算(*)」が、今年10月の介護報酬の臨時改定で新設される。申請には計画書の届け出が欠かせない。
今年2月から補助金によって実施されている月額3%ほどの賃上げを恒久化するための仕組み。従来の処遇改善加算を算定していること、加算額の3分の2以上を基本給、または毎月決まって支払う手当に充てることなどが要件。
厚生労働省は21日、既存の処遇改善加算、特定処遇改善加算と一本化したベースアップ支援加算の計画書の様式を公表。10月から算定を始めるためには、このエクセルファイルの届け出を8月末日までに済ませる必要があると呼びかけた。
今年度、既に処遇改善加算、特定処遇改善加算を算定している事業所の場合、どのように計画書を作成すればいいのか。厚労省は様式とセットで「記入要領」も提示している。
それによると計画書は、様式の
1. 「基本情報入力シート」
2. 「2-4(個表)」
3. 「2-1(計画書)」
の順に作っていく。既存の処遇改善加算などを算定している場合、「2-2」と「2-3」は触らなくていい。
まず「基本情報入力シート」を埋めれば、事業所番号や所在地、サービス種別などが「2-4」「2-1」に転記される。既存の処遇改善加算などと同じで、ひと月あたりの介護報酬の総単位数(*)や1単位ごとの地域単価から、ベースアップ支援加算の見込み額も自動で算出・反映される。
* ひと月あたりの介護報酬の総単位数
原則、2021年1月から12月までの1年間の総単位数を12で割ったものを記載する。これには各種の加算・減算を含むが、処遇改善加算、特定処遇改善加算の単位数は除いて計算する。
「2-4」には事業所ごとの情報を入力していく。算定している処遇改善加算の区分、算定対象月、ベースアップ支援加算による賃上げ見込み額、ベースアップの見込み額などを書いていく。今回、「新規・継続の別」は全て「新規」でよいという。(介護ニュースより)
「2-1」はおなじみの計画書だが、ポイントは上部の「本計画書で提出する加算」にまず着目すること。ベースアップ支援加算を「◯」、処遇改善加算、特定処遇改善加算を「×」とすることで、記入不要のセルがグレーに変わってひと目で分かるようになる。「2-4」に記載した賃上げ見込み額などは、自動で転記される設計となっている。
書き込むべき項目としては、ベースアップの種類(基本給or毎月の手当)や具体的な取り組み(賃上げの規定内容)なども設けられた。「加算額は賃上げのために全額支出します」「全ての職員に周知しました」などの欄にチェックを入れることも求められる。
各セルの詳しい記載方法、見込み額の算出方法などは、「記入要領」で分かりやすく解説、図示されている。
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