福祉

仕事と介護の両立支援、ケアマネが持つべき視点は? 厚労省がカリキュラムを周知

《 介護保険最新情報Vol.1068 》

仕事と介護の両立という観点から利用者の家族を支援する場合、どんな視点を持って臨めばいいのか。

厚生労働省は既にケアマネジャー向けの研修カリキュラムを策定済みだ。21日、介護保険最新情報のVol.1068を出してその内容を改めて周知。自治体の担当者や居宅介護支援の事業者、ケアマネジャーなどに積極的な活用を重ねて呼びかけた。

厚労省の「仕事と介護の両立支援カリキュラム」は、いわゆる「介護離職」の防止に向けて2020年度に策定されたもの。内容は多岐にわたるが、例えば家族が働いているケースの支援の視点、育児・介護休業法の活用も踏まえたケアマネジメントの方法などを、具体的に学ぶことができる。カリキュラムの冒頭には、「ケアマネジャーがケアマネジメント業務を行う中で、利用者が望む生活、自立した生活に大きく影響する家族が抱える課題に目を向けることも大切」と改めて記載されている。

厚労省は昨年度、このカリキュラムを用いてモデル研修の実施や講師の養成などを進めてきた。今回の通知ではこうした取り組みを報告。あわせて「今後、介護支援専門員の法定研修のカリキュラム改正を予定しているが、この内容も盛り込まれる予定」とアナウンスした。(介護ニュースより)

次の介護保険制度改正の議論はどう進む? 焦点を総ざらい

去る3月24日、社会保障審議会・介護保険部会が約1年8ヵ月ぶりに再開されました。【高野龍昭】

おそらく、年末までにかなりの頻度でこの部会が開催され、2024年度施行の改正介護保険法の「骨格づくり」に向けた議論が行われ、12月(おそくとも来年1月)にはその意見が取りまとめられるでしょう。

そして、それを基に厚生労働省内で改正介護保険法の法案が作成され、来年の通常国会に提出、来年6〜7月の会期末までには成立・公布、2024年4月に施行というスケジュールで次期制度改正が進捗することになります。

この次期法改正に向けた議論はどんなことがポイントとなるのでしょうか。

最近の政府の政策方針を示す様々な意見や議論(たとえば『新経済・財政再生計画改革工程表2021』や『成長戦略フォローアップ』など)を読み解くと、次のような改革の必要性が明示されています。これらが2024年度の制度改正に向けた重要な論点となるはずです。

最大のポイントは、要介護2までの軽度者について、訪問介護(生活援助)、通所介護、福祉用具貸与・購入、住宅改修を保険給付から外し、いわゆる総合事業に移行するかどうかという点です。あわせて、福祉用具貸与などの品目の見直しも議論されるでしょう。

次に、ケアマネジメント(居宅介護支援・介護予防支援)における利用者負担の導入を行うかどうかという点も議論されるはずです。この点は2012年度の制度改正の際の議論以降、継続的に検討されており、注目される点となります。

さらには、利用者負担の定率負担について所得の基準を見直すこと、2割・3割の対象者を拡大すること、補足給付における食費等の負担額を見直すこと、老健施設や介護医療院の多床室の居住費負担を保険給付から外すかどうか、保険者機能強化推進交付金の評価基準をどのように見直すか、LIFE(科学的介護情報システム)など介護分野のデータベースと医療分野のデータベース(NDB)との連結をいかに行いどのように活用するか、といった点も俎上に載せられることとなります。

私は、近年の介護保険制度改革は、一貫して「保険給付範囲の見直し」と「利用者負担の見直し」の2点が通底したポイントであり、そこに最近になって「保険者機能の強化」(特に自立支援・重度化防止の側面)と「データヘルス改革」の観点が組み込まれてきたと分析しています。実際、上記の諸点も、すべてここに集約されると言ってもよいでしょう。

一方で、介護報酬や各種基準に関連するLIFEの利活用の一層の推進や、それによるアウトカム評価などに紐づけた加算などの拡大、ICT化/DX化を見通した人員基準の緩和などは、おそらく2023年初めから本格再開されるであろう社会保障審議会・介護給付費分科会で議論され、2024年4月の報酬改定に向かうこととなります。

いずれの点も、介護実践現場・行政・研究の各分野での注視が必要です。(介護ニュースより)

介護職員の処遇改善の加算、3種類に 厚労省 今年10月の報酬改定を告示

《 介護保険最新情報Vol.1066 》

今年10月、介護報酬が臨時で改定される。2月から始まった補助金による介護職員らの賃上げの恒久化に向けて、新たに「介護職員等ベースアップ等支援加算」が創設される。

この臨時改定の内容が14日に告示された。10月1日からの適用が正式に決定した形だ。厚生労働省は介護保険最新情報のVol.1066で広く周知している。

新たな"ベースアップ支援加算"の仕組みは、今回の補助金の骨格を踏襲する形で設計されたもの。既存の処遇改善加算を取っていることに加え、加算額の3分の2以上を介護職員らのベースアップに充てることなどが要件だ。単位数はサービスごとに決められた加算率を介護報酬に乗じて算出する。

介護職員らの賃上げを図る加算としては、処遇改善加算、特定処遇改善加算に続いて3つ目となる。厚労省は8月から自治体に申請の受け付けを初めてもらう計画。今回の通知では、「具体的な運用については別途お知らせする」とアナウンスした。(介護ニュース)

『入職してすぐに妊娠が判明した女性職員の産休・育休の取得』

Q

入職して1 ヶ月に満たない正職員が妊娠4 ヶ月と判明しました。本人は産休と育休を取りたいと言っていますが、希望どおり認めなければいけないのでしょうか?

A

職員から産前産後休業(産休)・育児休業(育休)の申し出があれば、施設は、原則として、その取得を認める必要があります。ただし、労使協定を締結することで、勤続1 年未満の職員の育児休業の申し出を拒むことができます。(※以下では、今回の正職員の取扱いをとり上げます。)

詳細解説

1.妊娠・育児に係る休業制度

職員が妊娠した場合、出産予定日前6 週間(多胎妊娠の場合は14週間)、出産後8 週間、産休を取得できます。出産前は職員の請求により休業を与えることになり、出産後は、原則、就業させることはできません。
また、1 歳に達する日までの子どもを養育する職員は、施設に申し出をすることで育休を取得することができ、子どもが保育園に入園できないなど一定要件を満たす場合、最長で子どもが2 歳に達するまで育休を延長することができます。

2.育休を取得できる人の例外

育休は、原則としてすべての正職員が申し出可能ですが、施設は労使協定を締結することにより、次に該当する職員からの申し出を拒むことができます。
① 入職1 年未満の職員
② 申し出の日から1 年以内に雇用期間が終了する職員
③ 1 週間の所定労働日数が2 日以下の職員
今回の職員は、産休が終了する時点では、入職9 ヶ月となるため①に該当し、労使協定を締結している場合には、その育休の申し出を拒むことができます。そのため、産休終了後は育休を取得せずに復帰することとなります。
なお、①の判断は、育休の申し出の時点で行うため、産休から復帰後の入職1 年に達した時点で、改めて育休の申し出をすることができます。育休を取得する際は、育休開始予定日の1 ヶ月前までに申し出ることになっていることから、実際の育休の取得開始は入職後1 年1 ヶ月以降となります。
そもそも、育休は、企業規模に関わらず、法律で定められているため、就業規則等に定めがなくても、職員が申し出た場合には取得できます。今回のケースのように、労使協定を締結することにより申し出を拒む職員を定めることもできるため、この機会に就業規則等の定めが適切にされているか、また、労使協定を締結するかを確認しましょう。

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介護サービス利用者1 人当たりの利用状況

ここでは2021 年12 月に発表された調査結果から、介護サービスごとに利用者1 人当たりの利用状況をみていきます。

利用状況に大きな変化はみられず

上記調査結果から、2020 年9 月中の利用者1 人当たり利用状況をまとめると、下表のとおりです。

   

介護予防サービスでは、通所系の介護老人保健施設が6.0 回で最も多くなっています。最も少ないのは訪問系の介護予防訪問入浴介護で4.2 回です。2019 年からの増減では、介護医療院と介護療養型医療施設が2 日以上の減少となっているのが目立ちます。
地域密着型介護予防サービスでは、介護予防小規模多機能型居宅介護が18.5回となりました。利用回数はどちらのサービスも前年とほぼ同じです。
居宅サービスでは、訪問系の訪問介護が20.1 回で最も多くなりました。次いでその他の介護療養型医療施設が12.2 日、短期入所生活介護が11.3 日となっています。2019 年からの増減では、すべてのサービスが増加しました。
地域密着型サービスでは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護が96.7 回で最も多くなりました。ただし前年から1.3 回減少しています。次いで複合型サービスが42.9 回でした。
コロナ禍の2020 年とコロナ前の2019年では、利用状況に大きな変化はみられませんでした。貴事業所の利用状況は、いかがでしょうか。
※厚生労働省「令和2 年介護サービス施設・事業所調査の概況」
2020 年10 月1 日現在で活動中の施設・事業所について集計したものです。詳細は次のURL のページから確認いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service20/index.html

 

 

職場のパワハラ防止、4 月から全面施行

2020 年6 月に改正された労働施策総合推進法が、今年4 月から中小事業主にも適用され、職場のパワーハラスメント(以下、パワハラ)に対処することが義務化されます。今回は、改正内容とパワハラの基礎知識をまとめました。

義務化されるのは、大きく 4 つ

4 月から、主に次の4 つが義務となります。
① 方針等の明確化と、周知・啓発
② 相談・苦情に対応する相談窓口等の設置
③ パワハラ発生時の迅速かつ適切な対応
④ その他、プライバシーの保護や不利益な取扱いの禁止など
①については、パワハラを禁止し、厳正に対処する旨を就業規則や服務規律などに定め、何がパワハラに当たるか、当施設はどのような方針であるのかについて、全スタッフに周知・啓発することが求められています。

どんな行為がパワハラになるの?

法律では、次の3 つをすべて満たした行為を「パワハラ」と定義しています。
① 優越的な関係を背景とした言動
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③ 労働者の就業環境が害されるもの
客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラになりません。個々の状況により判断が異なりますので、下表も参考になさってください。
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参考:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html

 

Q、現場での仕事が好きで、管理者にはなりたくない(なれない)職員には、 キャリアアップの仕組みを適用できない?

A3、キャリアパスは個人の能力・適正に応じて、「指導・監督層」になるコースとは別に「専門職」コースを準備し、専門職のキャリアステップと昇給制度で運用しています。

現場では、「優秀な職員ほど役職にはつきたがらない」とか、「知識・技術面でわからないことについて、皆が教えてもらえる職員は決まっており、しかもその職員は役職者ではない」、といった話がよく聞かれます。そこで考えるべきなのが、キャリアパスにおける「複線化」です。つまり、キャリアパスに描かれた昇格ラインによらずに、役職にはつかずに専ら専門性を高め、組織に貢献するキャリアパスを作ることです。この階層を「専門職」として、上級介護職の水準を超える水準をもって処遇します。この場合、当該職員はマネジメント業務を行わず、専ら好きな介護の道を追い続けても、相応の処遇が保障されることになります。専門性の高さを認められてこその処遇なので、職員のプライドも充足することができます。

また、優秀な人材を滞留させては離職につながりかねません。中小企業の中には職員が自らポストの数を読んで、諦めムードが漂っているようなケースも散見されますが、「専任職」を設けて、「当法人は、管理上の役職だけがポストではない。専任職というスキル面のリーダーもあり、相応に処遇する」と周知すれば閉塞感が一気に変わるはずです。

業界別の詳細は下記をご参照ください。

①医療分野キャリアパス

 クリニック人事サポートパック(評価制度、賃金制度の作成) | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

②介護分野キャリアパス

 処遇改善加算対応キャリアパス構築コンサルティング | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

③保育園のキャリアパス

 保育士キャリアアップの仕組みサポートパック | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

財務省、介護の利用者負担の”原則2割”を重ねて主張 「制度の持続性の確保を」

 

《 財務省 》

財務省は13日の「財政制度等審議会」の分科会で、介護サービスの利用者負担を"原則2割"とすることを改めて主張した。制度の持続可能性を確保していく観点から、給付と負担のバランスをとるべきと理解を求めている。

今後の介護保険の改革が論点の1つとなったこの日、財務省は再び"原則2割"を提言した。あわせて、現役世代並み所得(3割負担)の判断基準の見直しも検討すべきとした。

介護サービスの利用者負担は現行、個々の所得に応じて1割から3割に設定されている。利用者の概ね9割が1割。財務省は2割、3割の対象を広げて給付費抑制につなげたい考えで、これまで再三にわたり見直しを迫ってきた経緯がある。

ただ現場の関係者の間では、「高齢者の生活が苦しくなる」「サービスの利用控えが起きる」といった慎重論も根強い。2024年度に控える次の制度改正に向けては、このテーマが大きな焦点の1つとなる。政府は今年の年末に大枠の方針を決める予定。(介護ニュース)

介護事業所への「運営指導」、自治体のチェック項目増も BCPやハラスメント対策など追加 厚労省

介護施設・事業所に対する行政の「運営指導(従来の実地指導)」について、厚生労働省は自治体がチェックすべき標準的な「確認項目・確認文書」を新たに公表した。今年度からこれに沿って指導にあたるよう求め、事業者にも自己点検を促している。どんな内容になっているのだろうか。

標準的な「確認項目・確認文書」は、事業所が人員や設備、運営に関する基準などを満たしているか否か見極めるためのもの。今回の特徴は、昨年4月の介護報酬改定の内容が網羅的に反映されたことにある。一連の基準の厳格化に伴い、「運営指導」で事業者がチェックを受ける項目・文書も以前より増えることになりそうだ。

例えばBCP(業務継続計画)の策定や虐待防止の対策。厚労省は全サービスに義務付けたことを踏まえ、標準的な「確認項目・確認文書」にもその進捗の把握などを盛り込んだ。

あわせて、全ての無資格の介護職員に「認知症介護基礎研修」の受講を義務付けることから、「受講のために必要な措置を講じているか」もチェック対象として明記。全サービスに求めているハラスメント対策に関する項目も新設した。

このほか、従前から施設系サービスに設けていた衛生管理の取り組み(感染症対策などを含む)の項目について、同じく新たに義務化する訪問系サービス、通所系サービスなどにも拡大している。

* BCPの策定、虐待防止の対策、認知症介護基礎研修の受講、衛生管理の取り組みには、義務化に向けて3年の経過期間が設定された。完全義務化は2024年度からで、それまでは努力義務などと位置付けられている。

この標準的な「確認項目・確認文書」は、事業所が適切に運営されているか否かを調べて必要な支援を行っていくにあたり、自治体がどの部分を、どの書類をもってチェックするかを明確にする機能を持つ。「運営指導」の自治体ごとの違いをできるだけ無くすほか、現場を悩ませる事務負担の軽減につなげる狙いがある。ただ今回は、前回改定で基準自体が厳格化されたため確認項目などが多くなる形となった。

 

各サービスの標準的な「確認項目・確認文書」はこちらから

従来は代表的なサービスしか作られていなかったが、今回から初めて全てのサービスについて標準的な「確認項目・確認文書」が明示された。厚労省は「運営指導マニュアル」で、原則としてこれ以外の項目・文書の確認は行わないよう自治体に呼びかけている。(介護ニュース)

 

財務省「ケアプランの有料化は当然」 2024年度からの導入を提言

 

《 会合後に会見する財政審の増田部会長代理 13日 》

財務省は13日、国の財政を話し合う審議会(財政制度等審議会・財政制度分科会)の会合を開き、今後の社会保障制度の改革を俎上に載せた。

介護分野では今回も、居宅介護支援のケアマネジメントをやり玉にあげた。

要介護の高齢者らが積極的にサービスを使えるように10割給付としている現状を問題視。「サービス利用が定着し、他のサービスで利用者負担があることも踏まえれば、利用者負担を導入することは当然」と主張し、次の第9期(2024年度〜2026年度)からの実現を強く求めた。

政府全体の方針への反映を目指し、来月にもまとめる提言に盛り込む考え。右肩上がりの給付費や40歳以上の保険料の抑制につなげる狙いがある。会合では委員から賛同の声があがった。

財務省はこの日も従来通りの持論を繰り返した。「法人・上司からの圧力で自法人のサービス利用を求められた、という経験を見聞きしたケアマネがいる」「介護保険サービスをケアプランに入れなければ報酬を受け取れないため、必要のない福祉用具貸与などを入れるケアマネが一定数いる」などと指摘。公正・中立の観点から問題があると断じ、「利用者が自己負担を通じてケアプランに関心を持つ仕組みとすることは、サービスのチェックと質の向上にも資する」と強調した。

こうした財務省の意見に対し、介護現場の関係者からは「利用者負担を導入すると、利用者・家族の意向をできるだけ反映して欲しいという圧力が強まり、かえって給付費の増加を招く」などの慎重論が出ている。次の2024年度改正でどう対応するか、政府は今年の年末に判断を下す予定。(介護ニュース)

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