介護事業所への「運営指導」、自治体のチェック項目増も BCPやハラスメント対策など追加 厚労省

介護施設・事業所に対する行政の「運営指導(従来の実地指導)」について、厚生労働省は自治体がチェックすべき標準的な「確認項目・確認文書」を新たに公表した。今年度からこれに沿って指導にあたるよう求め、事業者にも自己点検を促している。どんな内容になっているのだろうか。

標準的な「確認項目・確認文書」は、事業所が人員や設備、運営に関する基準などを満たしているか否か見極めるためのもの。今回の特徴は、昨年4月の介護報酬改定の内容が網羅的に反映されたことにある。一連の基準の厳格化に伴い、「運営指導」で事業者がチェックを受ける項目・文書も以前より増えることになりそうだ。

例えばBCP(業務継続計画)の策定や虐待防止の対策。厚労省は全サービスに義務付けたことを踏まえ、標準的な「確認項目・確認文書」にもその進捗の把握などを盛り込んだ。

あわせて、全ての無資格の介護職員に「認知症介護基礎研修」の受講を義務付けることから、「受講のために必要な措置を講じているか」もチェック対象として明記。全サービスに求めているハラスメント対策に関する項目も新設した。

このほか、従前から施設系サービスに設けていた衛生管理の取り組み(感染症対策などを含む)の項目について、同じく新たに義務化する訪問系サービス、通所系サービスなどにも拡大している。

* BCPの策定、虐待防止の対策、認知症介護基礎研修の受講、衛生管理の取り組みには、義務化に向けて3年の経過期間が設定された。完全義務化は2024年度からで、それまでは努力義務などと位置付けられている。

この標準的な「確認項目・確認文書」は、事業所が適切に運営されているか否かを調べて必要な支援を行っていくにあたり、自治体がどの部分を、どの書類をもってチェックするかを明確にする機能を持つ。「運営指導」の自治体ごとの違いをできるだけ無くすほか、現場を悩ませる事務負担の軽減につなげる狙いがある。ただ今回は、前回改定で基準自体が厳格化されたため確認項目などが多くなる形となった。

 

各サービスの標準的な「確認項目・確認文書」はこちらから

従来は代表的なサービスしか作られていなかったが、今回から初めて全てのサービスについて標準的な「確認項目・確認文書」が明示された。厚労省は「運営指導マニュアル」で、原則としてこれ以外の項目・文書の確認は行わないよう自治体に呼びかけている。(介護ニュース)

 

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