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医療事業所様向け情報(経営)4月号②

医師や看護師などの初任給の推移

新年度の始まりである4 月は、新卒採用を行っている医療機関等にとっては新入職員を迎える時期でもあります。ここでは人事院が毎年行っている調査※から、医師や看護師などの医業関連職
種別の初任給をご紹介します。

2019 年は減少した職種が増える

上記調査結果などから、医業関連の職種別に直近10 年間の初任給の推移をまとめると、下表のとおりです。

2019 年の初任給をみると、金額では医師が43万円を超えて最も高くなりました。以下、薬剤師と看護師が20 万円を超えています。診療放射線技師は3 年ぶりに20 万円台を下回りました。准看護師、栄養士大学卒・短大卒も20 万円台には届きませんでした。

2018 年からの増減では、医師と看護師、栄養士大学卒の3 職種が増加しました。2018 年は4職種が増加したので、2019 年は減少した職種が増える結果になりました。

10 年間の平均額

10 年間の初任給データからまとめた職種別の平均額をみると、医師は41 万円台、次いで薬剤師が22 万円台、看護師が20 万円台になっています。以下、診療放射線技師が19 万円台、栄養士大学卒が18 万円台、准看護師が17 万円台、栄養士短大卒が16 万円台です。

2019 年の調査結果によると、初任給の改定状況では大学卒、高校卒ともに増額が40%程度、据え置きが60%程度でした。減額の割合は1%にも満たない状況ですが、据え置きの割合が高い状況です。ただし、2018 年よりは増額の割合が高くなっていますので、今年はどうなるでしょうか。

※人事院「民間給与の実態(職種別民間給与実態調査の結果)」
条件を満たした企業規模50 人以上、かつ事業所規模50 人以上の事業所を対象にした調査です。2019 年の調査は無作為抽出した12,549 事業所を対象に実施されています。詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.jinji.go.jp/toukei/0311_minkankyuuyo/0311_ichiran.html

医療事業所様向け情報(経営)4月号①

外国人旅行者の来院への備え

来年は東京オリンピック・パラリンピックの年でもあり、これまで以上に外国人旅行客数が増えると予想されます。これに伴い、医療機関への受診の機会が増えるため、各医療機関は来院への備えが求められます。

受入れには事前準備が不可欠

外国人旅行客の受入れ対策には、厚生労働省が作成した対応マニュアル等※1 がお勧めです。そこからいくつかポイントをご紹介します。

✓ 感染症対策

新型コロナウイルス感染症については、厚生労働省※2、各地の保健所や各医師会等から出された指示に従いましょう。また新型コロナウイルス以外の感染症にも気を配り、渡航元のヒアリング、潜伏期間等を考慮に入れ、麻しんや風しん、結核等の社会的影響の大きい疾患も念頭に置いた感染対策が求められます。

✓ 文化・宗教への配慮

言語だけでなく、文化や宗教の違いが診察や検査の障壁となることもあります。女性による診察・検査、ハラル食の提供等、患者の習慣に配慮した柔軟な対応が求められます。

✓ 支払いのトラブル回避

十分な日本円を持ち合わせていない場合に備え、キャッシュレス決済の準備をしましょう。

✓ 医療費の価格設定

外国人旅行客への医療費請求は、医療機関の裁量に委ねられた自由診療です。厚生労働省のマニュアル※1 も参考に、対応の手間やコストも勘案した上で、価格設定をしましょう。

✓ 事前の価格提示

検査や治療前に医療費の概算を患者に提示して同意を得ておくとよいでしょう。トラブル防止の上で非常に有効です。

ウェブサイトで対応可能な医療機関を検索

事情により受入れられない場合には、他の医療機関を紹介する方法もあります。この場合、対応できる医療機関を検索できる、日本政府観光局(JNTO)のウェブサイト※3 などを活用するとよいでしょう。

出典:
※1 厚生労働省「外国人患者の受入れのための医療機関向けマニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000501085.pdf

「訪日外国人の診療価格算定方法マニュアル」
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000584880.pdf

※2 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(医療機関・検査機関の方向け)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00004.html

※3 日本政府観光局「訪日外国人の診療価格算定方法マニュアル」
https://www.jnto.go.jp/emergency/jpn/mi_guide.html

医療事業所様向け情報(労務)4月号④

支援が強化される就職氷河期世代の雇用

現在、30代半ばから40代半ばとなっている、いわゆる就職氷河期世代は、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行っており、希望する就職ができず、不本意ながら不安定な仕事に就いている人や、職に就いていない人が他の世代よりも多いと捉えられています。そこで、就職氷河期世代を支援する取り組みが政府主導で行われています。

1.求人募集・採用時の年齢制限

従業員の募集および採用については、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないこととされており、年齢制限を設けることが原則として禁止されています。

今回、一定の条件を満たした場合、就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)に限り、年齢制限を設けて募集や採用することができるようになりました。

これは、不安定な就労をしている人や仕事をしていない人を対象に、雇用期間を定めない労働契約を締結することを目的としており、職業に就いた経験があることを求人の条件にしない場合に限られます。

また、ハローワークに求人を出すことも条件となっており、ハローワークに求人を出した場合には、ホームページでの直接募集や、求人広告、民間職業紹介事業者への求人の申込み等でも就職氷河期世代に限定した求人が可能となります。

2.助成金の改正

1と併せて、特定求職者雇用開発助成金が改正され、「安定雇用実現コース」が「就職氷河期世代安定雇用実現コース」となりました。

雇入れ日において以下の①~④のいずれにも当てはまる人を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等(以下、「ハローワーク等」という)の紹介で正社員として新たに雇用する事業主に対し支給されるものであり、中小企業であれば、採用1人につき、総額60万円が支給されます。

  1. 雇入れ日時点の満年齢が35歳以上55歳未満
  2. 雇入れの日の前日から起算して過去5年間に正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、雇入れの日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用されたことがない
  3. ハローワーク等の紹介の時点で失業しているまたは非正規雇用労働者でありかつ、ハローワーク等において、個別支援等の就労に向けた支援を受けている
  4. 正規雇用労働者として雇用されることを希望している

就職氷河期世代では、正社員の雇用に恵まれなかった人の他、結婚や妊娠、出産を機に退職をせざるをえなかった女性も多くいると想像されます。人材不足感が強い状況下で、正社員の経験はないといった背景はあるものの、この世代の雇用を積極的に考えているときには、年齢を限定した採用や、助成金の活用を考えてもよいでしょう。

医療事業所様向け情報(労務)4月号③

2021年3月からマイナンバーカードが健康保険証として利用できる予定です

現在の健康保険証は、会社に入社し社会保険の取得手続きが完了すると、協会けんぽ等の保険者から発行され、会社を通じて従業員やその扶養家族に交付される流れとなっています。今後、2021年3月(予定)からは、マイナンバーカードが健康保険証として利用できるように整備が進められています。

1.マイナンバーカードの利用イメージ

現在の健康保険証は、医療機関や薬局(以下、「医療機関等」という)の窓口で提示しますが、マイナンバーカードでは、医療機関等の窓口に設置されるカードリーダーにかざすことになります。併せて、カードの顔写真を機器が確認したり、窓口の職員が目視で本人の確認をします。

マイナンバーカードをカードリーダーにかざした後は、マイナンバーカードのICチップにある電子証明書により健康保険の加入情報等がオンラインで確認されることになっています。

2.マイナンバーカードを利用するメリット

マイナンバーカードを健康保険証として利用することによるメリットはいくつか示されています。そのひとつに、会社が被保険者の社会保険に関する手続きをすることで、マイナンバーカードの中の情報が書き換わるため、従業員(被保険者)やその家族(被扶養者)にとっては、就職や転職、引っ越しをしても、健康保険証の切り替え(交付)を待つことなく、マイナンバーカードで医療機関等を受診できるということが挙げられています。

なお、医療機関等の窓口でマイナンバーを取扱うことはなく、マイナンバーカードにあるICチップに受診歴や薬剤情報等は記録されない作りになっています。

3.利用のための事前手続き

マイナンバーカードを健康保険証として利用するためには、マイナンバーカードの申請を行うとともに、申請後に、マイナポータル(行政手続をワンストップでしたり、行政機関からのお知らせを確認する個人向け政府運営サイト)で事前に登録をする必要があります。登録の申し込みは2020年度はじめからできる予定となっています。実際に運用が開始されるときには、従業員に手続きを促す必要が出てくると思われます。

マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになった後も、健康保険証は交付されることになっており、カードリーダーが設置されていない医療機関等では、健康保険証で被保険者資格の確認が行われることになります。ちなみに、2020年度から医療機関等で順次、必要な機器が導入され、2021年3月に予定される利用開始時には、全国の医療機関等の6割程度、2023年3月末には、おおむね全ての医療機関等での導入が目指されています。

医療事業所様向け情報(労務)4月号②

パートタイマー等に求められる正社員への転換推進措置

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:

先日、同業の社長から労働局の調査で、パートタイマーから正社員への転換推進措置に関して指導を受けたという話を聞きました。当社は、対応ができていますか?

社労士:

正社員への転換推進措置としては、次のいずれかの措置を講じることになっています。

  1. 通常の労働者を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパートタイム労働者等に周知する
  2. 通常の労働者のポストを社内公募する場合、既に雇っているパートタイム労働者等にも応募する機会を与える
  3. パートタイム労働者等が通常の労働者へ転換するための試験制度を設ける
  4. その他通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずる

御社では、1.のしくみが導入されており、そのことがパートタイム就業規則に記載されています。

総務部長:

そうでした。正社員を募集する際に、求人票を社内の掲示板に貼り出し、パートタイマーにもお知らせしています。すべてのパートタイマーを対象に周知することが必要でしたね。

社労士:

そのとおりです。正社員に転換するところまでは求められていませんが、正社員になるチャンスを与えることが必要です。

総務部長:

実はまったく応募がなく、正社員に転換した実績がない状況ですが、問題ないのでしょうか?

社労士:

長期間にわたって正社員に転換された実績がない場合、転換推進措置を講じたとは言えないと指摘される可能性があります。周知のみでは応募しにくい環境になっているなど、措置が形骸化していないか検証することが求められています。また、2020年4月以降は、「パートタイム労働法」が、「パートタイム・有期雇用労働法」に変更となるため、パートタイマーの他に、有期雇用労働者もこの転換推進措置の対象とする必要があります。

総務部長:

つまり、フルタイムの有期契約社員も対象になるということですね。

社労士:

そのとおりです。フルタイムの有期契約社員に対する就業規則が、パートタイマーと別にある場合には、その就業規則にも正社員への転換推進措置を講じているかを確認してください。

総務部長:

わかりました。さっそく就業規則を確認してみます。

【ワンポイントアドバイス】

  1. 2020年4月より、パートタイマーだけでなく有期雇用労働者についても、正社員への転換推進措置の対象となり、措置を講じなければならない。
  2. 長期間にわたって、正社員に転換された実績がない場合、措置が形骸化していないか検証することが求められる。

医療事業所様向け情報(労務)4月号①

パワハラ防止措置は6月より大企業で義務化に

職場におけるパワーハラスメント(以下、「パワハラ」という)も、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントと同様に法制化され、企業に対して防止措置が義務化されます。以下では、パワハラの定義を確認するとともに、どのような防止措置が求められているのかを確認しましょう。

1.パワハラ防止措置の法制化

今回のパワハラ防止措置は、労働施策総合推進法の中で、相談体制の整備等の雇用管理上の措置が義務づけられ、また従業員が会社に相談等したことに対して不利益に取扱うことの禁止が規定されています。施行時期は、大企業が2020年6月1日、中小企業は2022年4
月1日(2022年3月31日までは努力義務)となっています。

2.パワハラの定義

今回、パワハラの定義が、パワーハラスメント防止のための指針(以下、「指針」という)の中で明確にされ、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①~③までの要素をすべて満たすものとされました。

客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導についてはパワハラには該当しません。

3.パワハラの例示

指針では、パワハラに該当すると考えられる例と該当しないと考えられる例が示されて
います。例えば、「精神的な攻撃」では以下の例が示されています。

[該当すると考えられる例]

業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う

[該当しないと考えられる例]

遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をする

※優越的な関係を背景として行われたものであることが前提

この他、さまざまな例が示されていますが、個別の事案の状況によって判断が異なる場合があり、また例は限定列挙ではありません。そのため、パワハラに該当するか微妙なものも含め広く相談に対応するといった、適切な対応を行うことが求められます。

今回の法制化により、会社の責務のみでなく、従業員の責務も規定されました。会社は、
パワハラを行ってはならないこと等に対して従業員の関心と理解を高めたり、他の従業員
(取引先等の他社の従業員や、求職者も含む)に対する言動に注意を払うような研修の実施な
どが求められています。また従業員については、会社が講ずるパワハラ防止措置に協力する
よう努めなければならないとされています。今後、ハラスメント防止研修を行うこと等によ
り、パワハラの発生防止を推進しましょう。

ニュースレター臨時号~新型コロナウイルス感染症~②

新型コロナウイルス感染症に関する休業手当の考え方

新型コロナウイルス感染症の広がりを受け、従業員に風邪の症状があったり、感染が疑われるような場合の休業手当の支払い等についての質問を多く受けます。そこでここでは、厚生労働省のホームページに掲載されている企業向けの新型コロナウイルスに関するQ&Aから、休業手当の支払いに関する内容をとり上げます。

1. 発熱などがある従業員

発熱などの症状がある場合、厚生労働省は会社を休むように呼びかけを行っています。その際、新型コロナウイルスかどうか分からない時点で、従業員が自主的に休む場合は、通常の欠勤と同様の取扱いとなります。

一方、発熱の症状があることのみをもって、企業が一律に従業員を休ませるなど、企業の自主的な判断で休業させる場合は、「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当し、休業手当を支払う必要があります。

2.感染が疑われる従業員の対応

発熱などの症状があり、相談・受診の目安として公表されている以下のいずれかの条件に当てはまり、感染が心配される場合には、「帰国者・接触者相談センター」に相談するよう案内されています。

  1. 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く場合(解熱剤を飲み続けなければならないときを含む)
  2. 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合

※高齢者をはじめ、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など))がある人や透析を受けている人、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている人は1.または2.の状態が2日程度続く場合に相談する。

この相談の結果を踏まえても、業務を行うことが可能で、企業の自主的な判断で休業させる場合、一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業手当を支払う必要があります。

3. 感染した従業員を休業させる場合

従業員が新型コロナウイルスに感染したため、休業させる場合、一般的には「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当しないため、会社は休業手当を支払う必要はありません。この場合、従業員は、傷病手当金により補償を受けることができるとされています。

 

従業員に発熱などの症状がある場合、従業員本人のためにも感染拡大の防止のためにも、休みやすい環境を整備していくことが企業に求められています。また、感染防止に向けた柔軟な働き方としてテレワークや時差出勤が推奨されています。厚生労働省のホームページでは各種案内が行われているので、実務の参考にされるとよいでしょう。

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

ニュースレター臨時号~新型コロナウイルス感染症~①

新型コロナウイルス感染症に関連した助成金

新型コロナウイルス感染症が猛威を奮い、小学校等の一斉休校の要請が行われたり、イベント等の自粛により経済の大幅な落ち込みが懸念されています。すでに業績面においても影響が出ている企業もあり、売上の減少により内定者の取消や従業員の解雇を検討する企業も出てきています。そこでここでは、企業を支援する新型コロナウイルス感染症に関連した助成金をご紹介します。

1. 雇用調整助成金

今回の新型コロナウイルス感染症の影響で、生産量や売上高が減少し、事業の縮小を迫られるような事態に陥ることが想定されます。そのような際、従業員を解雇せず、休業、教育訓練または出向といった雇用調整を実施することで、従業員の雇用を維持した場合に、雇用調整助成金が支給されます。この助成金はリーマンショックの際に多くの企業で活用されましたが、今回の新型コロナウイルス感染症に関しても、以下のように受給要件の一部が緩和され、活用されることが予想されます。

【原則】売上高または生産量などの事業活動を示す指標について、最近3ヶ月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること

【特例】生産指標の確認期間を3ヶ月から1ヶ月に短縮する

 

【原則】最近3ヶ月間の雇用保険被保険者数の月平均値が前年同期に比べて、一定以上増加していないこと

【特例】最近3ヶ月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象となる

 

【原則】雇用保険の被保険者として6ヶ月以上継続雇用されている

【特例】継続雇用された期間が6ヶ月未満の場合でも助成対象となる

 

なお、これらの特例は現在のところ、2020年1月24日から2020年7月23日までに休業の初日がある場合に適用されます。

2. 小学校休業等対応助成金

2020年2月27日に首相が全国の小中学校等に春休みまでの間、臨時休校を要請したことで、多くの小中学校等が休校の措置を実施しました。これに伴い、小学生の子どもを持つ従業員を中心に会社を休まざるを得ない状況が発生しました。

この状況に対応するため、新型コロナウイルス感染症に関して臨時休業等をした小学校等に通う子どもを持つ保護者(子どもの両親の他、祖父母等も含む)が子どもの世話をするために会社を休み、企業がその休みを年次有給休暇とは別の有給休暇として扱い、給与全額を支給した場合には、その全額(※)が助成される制度が創設されました。

※対象労働者1人、1日当たり8,330円が上限

 

いずれの助成金も、企業の申請に基づき支給されるものであり、細かな要件があります。申請を検討し、お困りごとがあるときには遠慮なくお問い合わせください。

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

医療事業所様向け情報(経営)3月号②

医療機関等における年間休日や有給休暇の現状

年次有給休暇の取得促進や時間外労働の上限規制など、働き方改革が進められています。ここでは、2020 年1 月に発表された資料※から、医療機関等における年間休日や年次有給休暇(以下、有休)の現状をみていきます。

年間休日は増加傾向に

上記資料から、直近3 年間の医療機関等(以下、医療,福祉)の労働者1 人平均年間休日総数をまとめると、下グラフのとおりです。

医療,福祉の年間休日総数は増加を続け、2019 年に112.9 日となりました。ただし、調査産業計に比べると2 日程度少ない状況です。

次に、2019 年の年間休日総数階級別の労働者割合をまとめると表1 のとおりです。

厚⽣労働省「平成31年就労条件総合調査」より作成

医療,福祉では、100~109 日の割合が最も高く、次いで120~129 日、110~119 日の順になっています。一方、調査産業計では120~129 日の割合が最も高くなっています。

有休取得率は50%台で推移

医療,福祉の有休について、直近3 年間の労働者1 人平均の付与日数、取得日数、取得率をまとめると、表2 のとおりです。

付与⽇数には、繰越⽇数を含みません。 取得⽇数は、1年間または1会計年度に実際に取得した⽇数です。 取得率は、(取得⽇数計/付与⽇数計)×100(%)です。
厚⽣労働省「就労条件総合調査」より作成

取得日数は医療,福祉、調査産業計とも増加傾向にあり、医療,福祉では2019 年に9 日に達しました。取得率では医療,福祉は50%を超える状態が続いています。

年間休日や有休は職員の新規採用や待遇という点で、他と比較されやすく、不満になりやすい部分でもあります。この結果を自院の状況と比較してみてはいかがでしょうか。

※厚生労働省「就労条件総合調査」
常用労働者30 人以上を雇用する民営企業(医療法人、社会福祉法人、各種協同組合等の会社組織以外の法人を含む)のうちから、産業、企業規模別に層化して無作為に抽出した企業を対象とした調査です。詳細は次のURL のページからご確認ください。

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450099&tstat=000001014004

(次号に続く)

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

医療事業所様向け情報(経営)3月号①

令和2 年度税制改正 医療機関編

令和2 年度税制改正の大綱が閣議決定されました。その中から、医療機関に関連の深い項目に注目します。(実際の改正内容は、改正法令の公布後に官報等でご確認ください。)

相続税等の納税猶予制度、3 年延長へ

「認定医療法人制度」を利用して持分なし医療法人へ移行した際に適用ができる、相続税又は贈与税の納税猶予・免除制度の適用期限が、2020 年9 月から3 年延長される見込みです。

未婚のひとり親、寡婦(夫)控除の対象に

未婚のひとり親についても、一定の場合を除き、寡婦(夫)控除の対象となることが盛り込まれました。適用条件は、現行の死別・離別の場合と同様です。所得税は令和2 年分以後、住民税は令和3 年度以後から予定されています。

なお、寡婦控除の見直しにより、寡婦に寡夫と同じ所得制限(所得500 万円(年収678 万円))が適用される予定です。

少額減価償却資産の特例延長

中小企業者等が、30 万円未満の少額減価償却資産を取得した場合、その取得価額の全額が損金算入(即時償却)できる特例(年300 万円が限度)についても、2 年の延長が盛り込まれました。なお、対象事業者の従業員要件が現行の1,000 人以下から500 人以下に引き下げられ、連結法人が対象から除外される予定です。

出典:厚生労働省「令和2 年度 税制改正の概要(厚生労働省関係)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000579030.pdf

(次号に続く)

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

 

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