コラム
厚生労働省は19日、今後の介護保険制度の改正を話し合う審議会(社保審・介護保険部会)を開き、各地域の実情に応じた効率的なサービス提供体制のあり方を俎上に載せた。
高齢者の人口が増え続ける大都市部を主な対象として、24時間365日の対応を想定した包括的な在宅サービスの整備を論点として提示。
独居や重度の高齢者の急増も視野に入れ、ICTやセンサー、AIなどのテクノロジーを駆使しつつ、拡大する介護ニーズに応えられる新たな仕組みを検討する方針を打ち出した。
細部のデザインを含め、この構想をどう具体化するかが大きな課題。厚労省は今後の制度改正・報酬改定に向けて議論を深めていく構えで、その道のりでは曲折もありそうだ。
訪問介護や訪問看護、通所介護、居宅介護支援といった既存サービスとの関係性が焦点の1つ。定期巡回・随時対応サービス、夜間対応型訪問介護などの位置付けの整理も求められる。
訪問や通所などの在宅サービスを組み合わせるような、包括的で利用者のニーズに応えるサービスのあり方
厚労省は4月にまとめた有識者会議の報告書に、こうした検討に着手する意向を盛り込んでいた。報告書の記載概要は以下の通りだ。
「大都市部のサービスの形として、ICTやAIも活用し、24時間365日の見守りを前提として、緊急時や利用者のニーズがある場合に、訪問や通所などの在宅サービスを組み合わせるような、包括的で利用者のニーズに応えるサービスのあり方を検討することも考えられる」
今回、厚労省はこれを審議会の論点として示した。“ポスト2025年”に高齢者の在宅生活を支えるには、限られたリソースを活かして効率的で質の高いサービスを組み立てなければいけない。中山間・人口減少地域と同様に、大都市部でもこうした方向性の施策の行方に注目が集まりそうだ。
A、時間単位年休は残日数、時間の管理が煩雑になりやすいのですが、部署ごとに現場で管理する方法を決めておくといいでしょう。総務担当の負担も軽減されます。全部署一括ではなく、看護部やリハ部門から試験的にどうする方法がいでしょう。
時間単位年休は平成22年4月1日から施行され、半日有休と時間単位有休を併用しているケースもありますが、時間単位有休を導入する際に、半日有休をなくすのが一般的です。
時間単位有休は、労使協定を締結することで、一年間の有休休暇日数のうち繰り越しも含めて5日を限度に時間単位で付与することが出来るものです。ただ以下4項目について使用者と労働者が協定で合意しなければなりません。
①対象労働者の範囲
②時間単位年休日数(5日以内)
③時間単位年休の1日の時間数
④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
また、有給休暇の事後振替を認めるかどうかについて、法律上特に定めはありません。認めることも、認めないことも医院で決めることができます。ただ、欠勤の理由が体調不良を交通事情というならまだしも、寝坊を理由に欠勤遅刻した職員が安易に申請することを避けるため、事後の振り替えを認めない病院もあります。
また、時間単位年休は1時間単位で採用できますが、遅刻など安易な利用を極力避けるため、30分程度の遅刻には利用しずらい「2時間単位」で認めている病院も実際にあります。
事業所の規模拡大や多機能化などを柱とする訪問看護のビジョン案をまとめた。
高齢化と生産年齢人口の減少が一層進む2040年に向けて医療と介護双方のニーズを持つ人た
ちの療養生活を支える訪問看護の提供体制を整備する必要があるとして、日本看護協会など 3
団体は、事業所の規模拡大や多機能化などを柱とする訪問看護のビジョン案をまとめた。
40 年に向けた訪問看護のビジョン案は、日看協のほか日本訪問看護財団、全国訪問看護事業
協会による「訪問看護推進連携会議」がまとめた。3 団体は、14 年に作った「訪問看護アクシ
ョンプラン2025」の後継版に新たなビジョンを位置付ける方針だ。
ビジョン案では、地域の実情に応じて訪問看護の提供体制を整備して、40 年にかけて増加が
見込まれる医療と介護双方のニーズを持つ人たちの療養生活を支える必要性を指摘し、それを
実現するために訪問看護事業所が実践すべきことを▽事業所の基盤強化▽訪問看護の機能拡大
▽訪問看護の質向上▽地域包括ケアシステムの深化・推進-ごとにまとめた。
訪問看護事業所の基盤強化のメニュー
訪問看護事業所の基盤強化のメニューには安定的な人材確保のための仕組み作りを挙げ、多
様な背景を持つ訪問看護師が安心して仕事を続け、離職を防止できるようにするため、ワーク
ライフバランスを考慮した勤務体制の整備や処遇改善を呼び掛けた。
また、看護職員1人1カ月当たりの訪問回数は小規模な事業所ほど少なく24時間対応が難し
い状況にあるといい、事業所の規模拡大も訴えた。地域によっては事業所間や関係機関との連
携・協働を含めて規模拡大を進め、訪問看護の提供体制を整備するとしている。
一方、訪問看護の機能を拡大するための取り組みとしては、地域のニーズに応じた包括的な
ケアの提供を挙げた。サービスの効果的な提供と経営の安定につなげるため、訪問看護事業所
は療養通所介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)
などを併設して多機能化するとしている。
看多機は利用者の
状態に応じて柔軟に提供する地域密着型サービス。
看多機(看護小規模多機能型居宅介護)は、通い・泊り・訪問による介護・看護を利用者の
状態に応じて柔軟に提供する地域密着型サービス。
看多機の事業所は13年以降増えているが、地域差がある上に、今後は利用者数の増加が見込
まれるといい、ビジョン案では、どのような地域でもサービスを利用できるだけの提供体制の
整備を呼び掛けた。
機能拡大の具体策としてはほかに、訪問看護指示書や訪問看護報告書、シフトを作成できる
ソフトの活用など医療・介護DXによる業務の効率化と情報連携の強化も挙げた。(MMPGより)
北上市の民間保育施設で男児が昼食中にバナナを誤嚥(ごえん)し、低酸素脳症で重い障害を負った事故で、市は6月に第三者による検証委員会を立ち上げる。3、4カ月かけて原因や背景を分析し、再発防止策を盛り込んだ報告書を取りまとめる。
検証委メンバーは学識経験者、医師、弁護士、栄養士、保育関係者の5人で全6回の会議を予定する。関連書類や事故経過の記録などを収集し、施設関係者や保護者にヒアリングする。市の対応も検証する。
事故は2023年6月、男児が1歳3カ月になる時に発生。救急搬送されたが脳へのダメージが大きく、運動機能回復が難しい状態となった。事業者から今年3月に事故報告書が出され、市の要因分析に関するコメントを付して国に提出している。
検証委の報告書は市ホームページなどで公表する見通し。市健康こども部の高橋晋部長は「事故の再発防止が一番の目的。幼稚園や保育園に情報を周知する方法を考えたい」とする。(岩手日報)
外国人介護人材の訪問系サービスへの従事が、4月から正式に解禁された。
厚生労働省は今月9日、その円滑な運用に向けて事務連絡を発出。受け入れ事業所が遵守すべき要件の1つに位置づけた「ICTの活用等による環境整備」について、実際に有効に活用している事例を紹介した。
今回の事務連絡は、厚労省が昨年度に実施した調査研究事業の成果をベースとするもの。同事業では、外国人の受け入れ・定着に向けたICTの効果的な活用などの実態を詳しく把握し、報告書や事例集としてとりまとめている。
事務連絡では、事例集に収められた具体例のひとつが紹介されている。定期巡回・随時対応サービスを展開する株式会社SPIN「スピンケア24つむぎ二見町」(兵庫県明石市)の取り組みだ。
同事業所では、スマートフォンのアプリで利用できるインカムを導入し、訪問中の職員が緊急時に上司や看護師などとリアルタイムで連絡をとれる体制を整えている。サービス同行をする必要がある際に、オンラインでも対応できるようにしているほか、利用者の許可を得たうえで動画や写真をスマートフォンで撮影し、居宅内の注意点を効率的に共有する工夫も行っている。
※ 導入事例の報告会の動画はこちら。
さらに夜間の訪問では、丁寧な説明と同意を前提として、リスクの高い利用者宅や訪問で安眠を阻害してしまう可能性のある利用者宅に見守りカメラを設置。プライバシーに配慮しつつ、必要時のみ映像で状況を確認する運用も行っている。職員が1対1で対応する訪問系サービスではハラスメントのリスクも指摘されているが、トラブル防止や証拠保全に映像を役立てられる点も評価されている。
厚労省は事務連絡で、こうしたICTの活用が外国人の安心・安全、業務負担の軽減、職場への定着に直結するとして、各自治体に現場の関係者への周知を呼びかけた。ICTの活用は効率化だけにとどまらず、外国人の本来の力を最大限に引き出すための重要な土台となっている。
外国人介護人材の分野について、厚生労働省の補助を受けた調査研究事業の成果を広く発信する「合同報告会」が、6月4日にオンラインで開催される。
昨年度に採択された11の老健事業などの報告が予定されている。主催するNTTデータ経営研究所は、国の政策の方向性や現場の動向をまとめて把握できる機会になるとして、関係者に広く参加を呼びかけている。
報告会では、調査研究事業の実施主体が順番に登壇して成果を披露していく。外国人介護人材の受け入れルートが多様化し、在留者の人数も年々増加する傾向にある中で、行政の担当者にとっても介護現場の担い手にとっても、外国人に一段と活躍してもらう方策を考える有用な機会となりそうだ。
Zoomウェビナー形式での開催となり、参加費は無料。定員は500人。参加には事前の申し込みが必要で、締切は6月3日17時まで。報告会の詳細・申し込みはこちらから。
【開催概要】
■ 日時|2025年6月4日(水)14:00〜17:30
■ 形式|オンライン(Zoomウェビナー)
■ 対象|誰でも参加可能
■ 費用|無料
■ 締切|6月3日(火)17時まで
A 職員から産前産後休業(産休)・育児休業(育休)の申し出があれば、医院は、 原則として、その取得を認める必要があります。ただし、労使協定を締結するこ とで、勤続 1 年未満の職員の育児休業の申し出を拒むことができます。 (※以下では、今回の正職員の取扱いをとり上げます。)
詳細解説
妊娠・育児に係る休業制度 職員が妊娠した場合、出産予定 日前 6 週間(多胎妊娠の場合は 14 週間)、出産後 8 週間、産休を取 得できます。出産前は職員の請求 により休業を与えることになり、 出産後は、原則、就業させることはできません。 また、1 歳に達する日までの子どもを養育する 職員は、医院に申し出をすることで育休を取 得することができ、子どもが保育園に入園で きないなど一定要件を満たす場合、最長で子 どもが 2 歳に達するまで育休を延長すること ができます。 2.育休を取得できる人の例外 育休は、原則としてすべての正職員が申し 出可能ですが、医院は労使協定を締結するこ とにより、次に該当する職員からの申し出を 拒むことができます。 ① 入職 1 年未満の職員 ② 申し出の日から 1 年以内に雇用期間が終了 する職員 ③ 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の職員 今回の職員は、産休が終了する時点では、入 職 9 ヶ月となるため①に該当し、労使協定を 締結している場合には、その育休の申し出を 拒むことができます。そのため、産休終了後は 育休を取得せずに復帰することとなります。 なお、①の判断は、育休の申し出の時点で行 うため、産休から復帰後の入職 1 年に達した 時点で、改めて育休の申し出をすることがで きます。育休を取得する際は、育休開始予定日 の 1 ヶ月前までに申し出ることになっている ことから、実際の育休の取得開始は入職後 1 年 1 ヶ月以降となります。 そもそも、育休は企業規模 に関わらず、法律で定められ ているため、就業規則等に定 めがなくても、職員が申し出 た場合には取得できます。今 回のケースのように、労使協定を締結するこ とにより申し出を拒む職員を定めることもで きるため、この機会に就業規則等の定めが適 切にされているか、また、労使協定を締結する かを確認しましょう。
ゴールデンウィークも終わり、7日からは日常の生活がまたスタートします。これからの仕事はもちろん、子どもたちの保育園への送り迎えもおっくうだという方も少なくないかもしれません。
こちらは4月のある朝の風景です。保育園へ園児を預ける母親の左肩には、重さ5キロの大きなバッグと体重11キロの2歳の男の子。バッグの中には、朝から準備をした子どものおむつや、食具、バスタオルなどが入っているといいます。
保護者の中には、2人の園児を連れながら大きなバッグ2つを抱えて通園する人たちもいて、園につながる坂道をのぼる様子は、まるで筋トレをしているようにも見えます。
こうした保護者の負担を減らそうと「手ぶら登園」と呼ばれる制度を取り入れた保育園が、長崎県佐世保市にあります。
保護者の荷物なし「手ぶら登園」の仕組みは…佐世保市の住宅街にある天竜保育園。
これまで保護者が準備していたおむつやスプーン、フォーク、スタイなどを園で備えておくことで、保護者が毎日持ってくる荷物を減らすことができるというものです。
この「手ぶら登園」の取り組みを可能にしたのが、おむつのサブスクです。

園では「おむつ」や「おしりふき」を定額制で保育施設に送り届ける「おむつのサブスク」をこの春から導入。保護者は月額2400円を別途支払うことで、このサービスを受けることができます。

2歳の男の子を初めて保育園に預けるため下見に来ていた母親は「手ぶら登園は、こどもを預けるための準備が減って、登園のハードルが下がるので安心する」と話していました。
保護者だけでなく保育士の負担も減らす「手ぶら登園」
少子化で新入園児の数が減っている中、他の園との差別化を図るために「手ぶら登園」を導入したという天竜保育園。
森ひとみ園長によると「手ぶら登園」の狙いは、保護者だけでなく保育士の負担も減らすこと。
これまで園では保護者に対しおむつに子どもの名前を書いてもらい、使用済みのものも分別して返却していましたが、おむつの分別・返却作業をなくすことで、保育士の作業やストレスの軽減にもつなげているといいます。
また森園長は「保護者がおむつなどの登園準備に使っていた時間を、子どもと触れ合う時間に使ってもらうことで、子育て支援になれば」と話しています。(NBC長崎放送記事より)
厚生労働省は4月30日付で、都道府県や市町村に「認知症施策推進計画」の策定に関する支援内容を改めて通知した。
共生社会の実現に向けた「認知症基本法」に基づき、都道府県や市町村は「認知症施策推進計画」の策定に努めるよう求められている。厚労省は今回、その取り組みを後押しする施策の一環として、補助事業や計画策定の手引き、解説動画、個別相談窓口の開設などを紹介した。
介護保険最新情報Vol.1381で全国の関係者に広く周知した。
厚労省は通知で、自治体の計画策定を後押しする以下の支援策を紹介している。
◯ 策定準備支援事業(2024年度補正予算分)
住民への啓発や当事者の意見聴取など、計画策定に向けた準備費用を補助。今年度分としての協議書類の提出も案内。
◯ 自治体向け手引きの提供
・認知症施策推進計画策定の手引き
https://www.mhlw.go.jp/content/001476653.pdf
・認知症施策を本人参画でともに進めるための手引き
https://www.mhlw.go.jp/content/001481697.pdf
◯ 計画策定の意義や留意点などの解説動画
当事者や専門職らによる座談会形式の動画を、YouTube公式チャンネルで配信。
◯ 個別相談窓口の設置
策定手順や意見反映の方法などに関し、有識者の協力も得ながら助言。相談内容・希望に応じて、オンラインや現地訪問での対応も可能。
厚労省は今後、例年通り各自治体の取り組み状況の調査も行う予定。計画策定の動きを着実に進めるよう呼びかけている。
厚生労働省は4月30日、介護現場の人材確保・職場環境の改善を目的とした補助金(*)に関するQ&Aの第2版を公表した。
* 昨年度の補正予算に基づき実施される介護人材確保・職場環境等改善事業。常勤の介護職員1人あたり約5.4万円の一時金を支給できる規模。
今回のQ&Aの更新で新たに加わった問26では、当初の計画書で選択した補助金の使途が「職場環境改善経費への充当」のみだったものの、実際の運用で「人件費の改善」にも充てることになったケースについて、実績報告での柔軟な対応が可能だと説明した。
厚労省はQ&Aに、計画書で選択していなかった「人件費改善の所要額」も実施実績として報告書に記載できると明記。現場の事務負担軽減に配慮し、提出済みの計画書の再提出を「一律に求めない」とした。介護保険最新情報のVol.1380で現場の関係者に広く周知している。
今回追加された問26の概要は以下の通り。
問26|計画書において補助金の使途を「職場環境改善経費への充当」のみ選択していた場合であっても、その後の実施状況において「人件費の改善の実施」を行った場合、実績報告においては「③職場環境改善の所要額」に加えて「②人件費改善の所要額」に記載して報告することは可能か。
答|貴見のとおり。既に計画書を都道府県に提出しており、計画書提出時点で想定していた使途をやむを得ず変更する必要がある場合であっても、事務負担を鑑み、都道府県への計画書の再提出を一律に求めないこととする。