介護

【介護・保育】人材定着ブログ2月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑳」

【介護・保育】人材定着ブログ1月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑲」

の続きです。

評価者への教育・指導における3つのポイント

 

1、評価の目的を理解しているか

冒頭でも述べたとおり、管理者の日常は概ね多忙な状況です。そんな状況において、評価が「やらされている」感でやっているだけで、単なる作業になってしまっていては、決して良い評価にはならないはずです。

そうならない為にも、「何のために評価を行っているのか」という意識を明確にもちながら行っていくことはとても重要なことです。評価者や被評価者にそれを聞いてみると、その答えとして、よく聞かれるのが給与や賞与を決めるため、というものです。評価が良い人とそうではない人では、確かに給与には少なからず影響を与えます。しかし、それは結果であって目的ではないはずです。目的を何に置くのか、それによって、評価すべき内容(評価項目)も変わります。目的を社員の処遇や職員の選別に置く場合の評価は、あえて答えられないような質問をしたり、現場ではあまり知らないような奇問のような評価になるかもしれません。一方で、評価の目的を「職員の育成」と考えたなら職員の成長につながるような評価項目が中心になるはずです。そこには業務遂行上のスキルアップだけでなく、一人の人間として成長も期待できような評価制度や面談制度にする必要があるでしょう。そして何より、評価する側も評価される側も前向きにそれを捉えて推進してゆくことが期待できます。このことは、最初は多くの評価者が認識して評価を始めるものの、しばらく時間が経過すると忘れてしまい、目の前のことが業務の中心になってしまいがちなので、施設長などの上位職者は、評価の目的意識を促し目的に沿った行動を指導していく必要があります。

 

2、評価へのパワーバランスがポイント

 評価のパワーバランス、つまり年間の評価スケジュールにおいて「力のかけ方」についてです。評価のステップとして多くの場合、下記のようになっているのではないでしょうか。

1ステップ:目標設定⇒第2ステップ:評価期間の観察⇒第3ステップ:評価する(評点)この3つのステップがある場合、どのステップにどれくらいのパワーをかけているのかがとても重要になります。多くの場合、圧倒的にパワーをかけるのは、第3ステップの評価(評点)ではないでしょうか。決められたスケジュールから、上位職からの指示で〇月●日までに点数をつけて提出しなければならない、ということになって始めて評価(評点)をつけ始め、数日間で評価を終え提出するというパターンです。この場合のパワーのかけ方をイメージ言えば、第1ステップ20%、第2ステップ0%、第3ステップ80%程度でしょうか。問題は、もっとの大切な観察期間に、ほとんど評価のことは忘れている状況で、いきなり第3ステップで必死に日ごろの業務を思い出し、評点にパワーと時間をかけるという状態です。このようなやり方では、被評価者はフィードバックを受けても納得できる説明が

できるでしょうか。普段の業務をしっかり観て、その事実を評価することで、被評価者に納得が生まれるものです。理想のパワーバランスは、ステップごとのイメージでいえば、第1ステップ20%、第2ステップ70%、第3ステップ10%ぐらいだと思います。このことは、わかっていても、なかなか日頃の職場で実践出来できていない状況ではないかと思います。日常は、目の前に迫った業務で目いっぱいという状況の中で、どうすればできるようになるのか。

そこで必要なのは、観察期間を途中でチェックする仕組みではないかと思います。多忙な現場の中では、「日頃の評価をしっかりやりなさい」とか「評価するつもりがあるのか」と上位職が叱咤激励しても、それは精神論で終わってしまうことが多いものと思います。それを補う仕組みとして、行っているか、いないかを、こまめにチェックする仕組みを導入する、つまりやらざるを得ない状況に置く事が必要なのです。どのような仕組みならば定着するのか。これには職場ごとで、いろいろな方法があるものと思いますので、各職場で現実的な方法を考えて頂きたいと思います。今まで見てきた事例の多くは定期面談の実施です。毎月、隔月、3カ月に一度・・いろいろなパターンがありますが、大切なことは、仕組にして内容を提出させることです。もちろん最も大切なことは、面談の中身であることは当然ですが、中身を充実させる前にまずは、「形」を創ること。そしてそれを定期的に行う習慣が出来れば、自然と中身も充実してきます。最初は抵抗感が大きくても、徐々に浸透していっているように多くの施設を見ていて感じます。今まで評価を行っていなかった施設は、従来と比べると管理者に負荷がかかってくることはやもおえません。ただ、同じ負荷をかけるなら、目的にあった方法で貴重な時間とパワーをかけながら行っていくことがとても大切なことなのではなるものと思います。

 

3、評価者スキルを学ぶ

評価者自体は日常的な業務ではないので、スキルといってもなかなか習慣にするのは難しいことです。そこには、評価スキルといった評価のコツを評価者は身につけて置く必要があります。次回には、評価者に必要な評価スキルをご紹介いたします。

                                   以上

介護事業所様向け情報(経営)1月号③

福祉施設でみられる人事労務Q&A
『パワハラ防止措置の法制化と事業主に求められる対応』

Q:

上司に叱られたことがパワーハラスメント(以下、「パワハラ」という)に該当するのではないかと申し出た職員がいます。パワハラとはどのようなもので、どのような対応をしなければならないのでしょうか。

A:

パワハラ防止措置の法制化によりパワハラの定義が明確になり、パワハラに該当すると考えられる例と該当しないと考えられる例が示されました。パワハラ防止措置として、パワハラを行ってはならないこと等に対する職員の関心と理解を高めたり、他の職員に対する言動に注意を払うことができるように研修を行うことが求められます。

詳細解説:

1.パワハラ防止措置の法制化

労働施策総合推進法の改正によりパワハラ防止措置が事業主に義務づけられ、大企業区分に該当する福祉施設等は2020 年6 月1 日より施行されています。中小企業区分に該当する福祉施設等は2022 年4 月1 日より施行されます。

2.パワハラの定義と例示

パワハラの定義は「パワーハラスメント防止のための指針」(以下、「指針」という)の中で明確にされ、次の①〜③までの要素をすべて満たすものとしています。

① 優越的な関係を背景とした言動であって
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③ 労働者の就業環境が害されるもの

また指針では、パワハラに該当すると考えられる例と該当しないと考えられる例が示され、例えば「精神的な攻撃」は次のように示されています。

[該当すると考えられる例]

業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと

[該当しないと考えられる例]

遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること

この事例からわかるように、業務の遂行に関することの注意は問題なくても、必要以上に厳しく注意したり、長時間にわたって厳しく注意したりすることで、パワハラに該当する可能性が高まります。反対に、当然守るべきルールを散々破ったときに、必要に応じた厳しい注意をしたとしても、パワハラには該当しないということになります。この指針で示された例はあくまで事例であり、パワハラに該当するかどうかは個別に判断されます。

パワハラというと上司から部下に対するものをイメージしますが、職場内の仲間外れ、外部の関係者へのパワハラも考えられます。そのため、上司(管理職)だけでなく一般の職員に対する研修の実施も効果的でしょう。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(経営)1月号②

通所等にかけることのできる時間はどのくらいか

福祉・介護施設を利用する際、利用者やその家族が通所等にかけることのできる時間はどのくらいまでか、ご存じですか。ここでは2020 年10 月に厚生労働省より発表された調査結果※から、通所等にかけることのできる時間に関するデータをご紹介します。

福祉サービスは30 分未満が7 割以上

上記調査結果から、片道の通所等にかけることのできる最大時間を本人と家族の別に、通う先ごとにまとめると、下グラフのとおりです。

毎日~週数回利用する福祉サービスでは、30分未満の回答が本人で75.4%、家族で74.2%となりました。30 分~1 時間以内も含めると、本人、家族ともに95%に達します。

入所の場合は1 時間以内が9 割程度

入所する福祉施設の場合も30 分以内の割合が最も高く、本人が49.7%、家族が54.6%でした。また、30 分~1 時間以内も35%以上あり、1 時間以内とする割合が本人、家族ともに90%程度になりました。

相談窓口の場合は30 分未満が5 割に

不定期に利用する福祉関係の相談窓口の場合は、30 分未満の割合は本人が57.0%、家族が58.5%でした。30 分~1 時間以内の割合は本人、家族とも30%台前半であり、1 時間以内の割合は入所の場合と同様に、90%程度という結果になりました。

このように、片道の通所等にかけることのできる最大時間は、30 分未満とする割合がほぼ90%を超えることがわかりました。

なお、30 分未満とする回答割合は、福祉サービスへの通所では本人の方が、入所する福祉施設と不定期に利用する福祉関係の相談窓口では、家族の方が高いことがわかります。貴施設の通所状況と比較してみては、いかがでしょうか。

※厚生労働省「人口減少社会における医療・福祉の利用に関する意識調査」
18 歳以上の男女3,000 人を対象に、2019 年12 月6 日~12 月13 日に行われた調査です。詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14222.html

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(経営)1月号①

令和3 年度税制改正要望 福祉編

今回は、厚生労働省が提出した令和3 年度税制改正要望から、福祉に関する主な項目をご紹介します。令和3 年度は予算の概算要求と同様、新型コロナ感染拡大防止の影響で1 ヶ月遅れの始動です。

子育て支援を中心に3 つご紹介

出産後の子育て支援を中心に、3 つご紹介します。

➢ 産後ケア事業の費用の非課税措置の創設

産後ケア事業とは、市町村が主体となり、産婦や新生児・乳児を対象に、ショートステイ型(短期入所で生活支援等)、デイサービス型(保健センター等で相談等)、アウトリーチ型(居宅訪問で乳房ケア等)で支援を行う事業です。令和元年に議員立法で成立した母子保健法一部改正で法定化され、令和2 年の「少子化社会対策大綱」で2024 年末までの全国展開が謳われています。

この産後ケア事業は、保険診療等と異なり、現時点では消費税課税対象となっています。これを消費税非課税の対象とすることが、今回の要望に盛り込まれました。

➢ 子育て支援に要する費用の税制上の措置

幼児教育・保育の無償化が実施されましたが、2 歳までの子については、在宅で子育てする家庭に対する子育て支援サービス利用料負担を国費が支える仕組みはありません。一部の地方自治体で独自の補助が実施されていますが、所得税法上、雑所得として計上される等、現行法では施策の効果が薄れてしまっている事実もあります。また、コロナ禍で保育所の利用が困難となり、ベビーシッターサービスが注目を集めました。

これらの事情を鑑み、子育てと仕事の両立を支援するため、ベビーシッター等の子育て支援に係る費用について、税制上の措置を講じることが要望されています。

➢ 心身障害者多数雇用事業所の特例の延長

心身障害者を多数雇用する事業主が事業用施設等を取得した場合の不動産取得税の減額措置及び固定資産税の課税標準の特例措置について、その適用期限を2 年延長することが要望されました。

なお、上記以外に、サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の延長、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種による健康被害の救済
給付に関する税制上の所要の措置等も要望されています。

参考:厚生労働省「令和3 年度厚生労働省税制改正要望について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000175981_00006.html

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(労務)1月号②

法令で定められる非正規労働者の正社員転換措置と運用時の注意点

2020年10月に同一労働同一賃金に関する最高裁判決が言い渡されました。その中で、契約社員やパートタイマーから正社員への転換制度が労働契約法20条に定める「その他の事情」として評価されたことから、正社員転換制度への注目が高まっています。そこで今回は、法律で求められる非正規労働者の正社員転換措置と運用時の注意点を確認します。

1. 正社員転換措置

会社が従業員をどのような雇用形態で雇入れるかは自由ですが、パートタイム・有期雇用労働法(※)では短時間労働者や有期契約労働者(以下、まとめて「非正規労働者」という)に対し、通常の労働者(正社員)へ転換する措置を設けることを義務づけています。具体的に、以下①~④のいずれかを実施することが必要です。

  1. 正社員を募集する場合、その募集内容を対象者に周知する
  2. 正社員のポストを社内公募する場合、対象者にも応募する機会を与える
  3. 正社員へ転換するための試験制度を設ける
  4. その他正社員の転換を推進するための措置を講ずる

2. 転換措置の周知方法

正社員転換措置は、会社が講じている措置の内容を、非正規労働者にあらかじめ周知することが求められます。周知方法としては次のようなものが挙げられます。

  1. 就業規則に記載する
  2. 労働条件通知書に記載する
  3. 事業所内の掲示板で掲示する
  4. 社内で資料を回覧する
  5. 社内メールやイントラネットで告知する
  6. 給与明細に資料を同封する

実際に正社員を募集したり、社内公募したりする際の周知は、事業所内での掲示や資料の回覧、人事考課面談時での希望聴取などが考えられます。

3. 運用時の注意点

正社員の採用が新規学卒者のみとなっているような会社では、応募できる人が限定されているため、正社員転換措置を講じているとはいえません。

また、1.のc.の措置を設けている場合、正社員への転換や受験する要件として、勤続期間や資格等を設けることがあります。事業所の実態に応じていれば問題ないものの、必要以上に厳しい要件を設けている場合、措置を講じているとは認められない場合もあります。

法律では、正社員転換措置を講ずることが義務であり、結果として正社員へ転換することまでは求めていません。しかし同一労働同一賃金の判例から見ると、正社員転換措置があり、実際に正社員に転換されていたことが労働契約法20条等における「その他の事情」として重視されています。このような観点からも正社員転換措置の運用は重要性を増しています。周知のみで応募しにくい環境になっているなど、措置が形骸化していないか確認し、問題があれば改善しましょう。

※中小企業のパートタイム・有期雇用労働法の適用は2021年4月ですが、それまではパートタイム労働法において、短時間労働者に関し同様に正社員転換措置が求められています。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(労務)1月号①

人事労務管理分野での官公署への届出における押印廃止

現在、官公署等へ届け出る多くの書類は、法令や慣行等により押印が求められています。この押印に関し、原則としてすべての行政手続について、一定の基準に照らして廃止する手続きが順次進められており、人事労務管理分野における書類についても廃止が予定されています。

1.労働基準法関係の押印廃止

労働基準法施行規則では、「時間外労働・休日労働に関する協定届」(36協定届)や「1年単位の変形労働時間制に関する協定届」を始めとし、30近くの様式において会社の押印を求めています。今後、それらの様式等について使用者および労働者の押印欄が削除され、法令上、押印や署名が求められないこととなります。

これに加え、押印が求められる様式のうち、36協定届等の過半数代表者の記載のある様式については、一部で過半数代表者が適切に選任されていない状況を踏まえ、適切な選任かを確認するチェックボックスが様式上に設けられました。

2020年12月22日に改正省令が公布され、2021年4月1日に施行されます。

2.社会保険関係での押印廃止

健康保険や厚生年金保険の手続きでは、すでに押印による届出のほかに、事業主が署名することで押印を省略できることとなっています。今後は、金融機関に対する届出印を押印する必要がある「保険料口座振替納付(変更)申出書」を除き、全面的に押印が廃止される予定です。

3.新型コロナ拡大防止のための取扱い

2.に加え、日本年金機構では新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染防止の観点から、暫定的に事業主の押印または署名がない届出であっても、当分の間受理するとしています。

協会けんぽにおいても新型コロナの感染防止の観点から、一部の届出においては、事業主の押印や署名を省略できるとしています。ただし、傷病手当金支給申請書や出産手当金支給申請書は、特に慎重に届出の真正性を確認する必要があることから、事業主の押印や署名が引き続き求められます。この際、法務局が発行する法人の印鑑証明書や印鑑カードの写しを届出等に添付する場合等については、届出の真正性が確認できるとし、事業主の押印や証明の省略を認めています。

現在、行政手続きで押印が必要なものは全体で1万5千件程度ありますが、このうち99.4%の手続きを廃止(廃止済・廃止決定を含む)し、認め印は全廃される予定です。押印や署名の廃止で書類の迅速なやり取りが期待されます。今後の情報にも注目していきましょう。

(次号に続く)

2021年度介護保険法改正を理解しておきましょう

2021年度法改正の内容がいよいよ
12月2日(水)・9日(水)・18(金)と立て続けに給付費分科会が開催される中、いよいよ総括として「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告」がまとまった2020年12月23日。全部で80ページにも上る資料となっていますが、是非、皆様には、ご自身に関係が深いところだけでも結構ですので目を通していただければと思います。今回のニュースレターでは、中でも多くの皆様にとって関りがあり、かつ、重要な論点だと思われる「地域包括ケアシステムの推進」について、ポイントをピックアップしてまいりたいと思います。
2021年度介護報酬改定に関する審議報告 「地域包括ケアシステムの推進」について(抜粋)
では、早速、中身を確認してまいりましょう。まずは、認知症への対応力向上に向けた取組の推進について、4つのポイントをピックアップさせていただきます。1つ目のポイントは「認知症専門ケア加算等の見直し」についてです(特に重要と思われる部分には下線を引いております。以降も同じ)。
①認知症専門ケア加算等の見直し
【ア:訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、訪問入浴介護★ イ:ア及び、通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護、短期入所生活介護★、短期入所療養介護★、特定施設入居者生活介護★、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護★、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院】
認知症専門ケア加算等について、各介護サービスにおける認知症対応力を向上させていく観点から、以下の見直しを行う。
ア 訪問介護、訪問入浴介護、夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護について、他のサービスと同様に、認知症専門ケア加算を新たに創設する。
イ 認知症専門ケア加算(通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護においては認知症加算)の算定の要件の一つである、認知症ケアに関する専門研修(認知症専門ケア加算(Ⅰ)は認知症介護実践リーダー研修、認知症専門ケア加算(Ⅱ)は認知症介護指導者養成研修、認知症加算は認知症介護指導者養成研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護実践者研修)を修了した者の配置について、認知症ケアに関する専門性の高い看護師(認知症看護認定看護師、老人看護専門看護師、精神看護専門看護師及び精神科認定看護師)を、加算の配置要件の対象に加える。なお、上記の専門研修については、質を確保しつつ、eラーニングの活用等により受講しやすい環境整備を行う。
続いて、2つ目のポイント「認知症に係る取組の情報公表の推進」についてです。
②認知症に係る取組の情報公表の推進
【全サービス(介護サービス情報公表制度の対象とならない居宅療養管理指導を除く)★】
介護サービス事業者の認知症対応力の向上と利用者の介護サービスの選択に資する観点から、全ての介護サービス事業者を対象に、研修の受講状況等、認知症に係る事業者の取組状況について、介護サービス情報公表制度において公表することを求めることとする。
続いて3番目のポイント「多機能系サービスにおける認知症行動・心理症状緊急対応加算の創設」についてです。
③多機能系サービスにおける認知症行動・心理症状緊急対応加算の創設
【小規模多機能型居宅介護★、看護小規模多機能型居宅介護】
在宅の認知症高齢者の緊急時の宿泊ニーズに対応できる環境づくりを一層推進する観点から、多機能系サービスについて、施設系サービス等と同様に、認知症行動・心理症状緊急対応加算を新たに創設する。
最後に4つ目のポイント「認知症介護基礎研修の受講の義務づけ」についてです。

④認知症介護基礎研修の受講の義務づけ
【全サービス(無資格者がいない訪問系サービス(訪問入浴介護を除く)、福祉用具貸与、居宅介護支援を除く)★】
認知症についての理解の下、本人主体の介護を行い、認知症の人の尊厳の保障を実現していく観点から、介護に関わる全ての者の認知症対応力を向上させていくため、介護サービス事業者に、介護に直接携わる職員のうち、医療・福祉関係の資格を有さない者について、認知症基礎研修を受講させるために必要な措置を講じることを義務づける。その際、3年の経過措置期間を設けることとする。なお、認知症基礎研修については、質を確保しつつ、e ラーニングの活用等により受講しやすい環境整備を行う。
以上4点のポイントからも分かるように、今後、全てのサービス・介護職員にとって、「認知症専門知識・スキルの向上」は「nice to have(あれば良いもの)」ではなく、「needs(or must)to have(必要不可欠なもの・絶対条件)」になってくることをしっかり認識し、知識・スキル向上の機会を戦略的に設けていくことが求められていくことと思われます。
では、次のポイント「看取りへの対応の充実」に移ってまいります(ここでは5点のポイントをピックアップさせていただきます)。先ずは1点目のポイント「看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実」についてです。
①看取り期における本人の意思を尊重したケアの充実
【短期入所療養介護、小規模多機能型居宅介護、居宅介護支援、特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院】
看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、訪問看護等のターミナルケア加算における対応と同様に、基本報酬(介護医療院、介護療養型医療施設、短期入所療養介護(介護老人保健施設によるものを除く))や看取りに係る加算の算定要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求めることとする。また、施設系サービスについて、サービス提供にあたり、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定に対する支援に努めることを求めることとする。
続いて2つ目のポイント「介護付きホームにおける看取りへの対応の充実」についてです。
②介護付きホームにおける看取りへの対応の充実
【特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護】
介護付きホームにおける中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算について、以下の見直しを行う。
ア 看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求める。(※上記①の再掲)
イ 要件における看取りに関する協議等の参加者として、生活相談員を明記する。
ウ 算定日数期間を超えて看取りに係るケアを行っている実態があることを踏まえ、現行の死亡日以前30 日前からの算定に加えて、それ以前の一定期間の対応について、新たに評価する区分を設ける。
エ 看取り期において夜勤又は宿直により看護職員を配置している場合に評価する新たな区分を設ける。
続いて3つ目のポイント「認知症グループホームにおける看取りへの対応の充実」についてです(上記内容と被るため、敢えて下線は引いておりません)。
③認知症グループホームにおける看取りへの対応の充実
【認知症対応型共同生活介護】
認知症グループホームにおける中重度者や看取りへの対応の充実を図る観点から、看取り介護加算について、以下の見直しを行う。
ア 看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させる観点から、要件において、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容に沿った取組を行うことを求める。(※上記①の再掲)
イ 算定日数期間を超えて看取りに係るケアを行っている実態があることを踏まえ、現行の死亡日以前30 日前からの算定に加えて、それ以前の一定期間の対応について、新たに評価する区分を設ける。
続いて4点目のポイント「訪問介護における看取り期の対応の評価」についてです。
④訪問介護における看取り期の対応の評価
【訪問介護】
看取り期における対応の充実と適切な評価を図る観点から、看取り期には頻回の訪問介護が必要とされるとともに、柔軟な対応が求められることを踏まえ、看取り期の利用者に訪問介護を提供する場合に、訪問介護に係る2時間ルール(前回提供した訪問介護からおおむね2時間未満の間隔で訪問介護が行われた場合には、2回分の介護報酬を算定するのではなく、それぞれのサービス提供に係る所要時間を合算して報酬を算定すること)を弾力化し、2時間未満の間隔で訪問介護が行われた場合に、所要時間を合算せずにそれぞれの所定単位数の算定を可能とする。
最後に5点目のポイント「通所困難な利用者の入浴機会の確保」についてです。
⑧通所困難な利用者の入浴機会の確保
【小規模多機能型居宅介護★、看護小規模多機能型居宅介護】
看取り期等で多機能系サービスへの通いが困難となった状態不安定な利用者に入浴の機会を確保する観点から、多機能系サービスの提供にあたって、併算定ができない訪問入浴介護のサービスを、多機能系サービス事業者の負担の下で提供することが可能であることを明確化する。
前述の「認知症への対応力向上」と同様、看取り期の対応についても、関わる可能性が高い全てのサービスにおいて強化・充実が求められてくることは明らかです。認知症対応と同様、関わる皆様は更なる知識・スキルの向上に努めていく必要があると言えるでしょう。
議論のプロセスから関心を持って情報を追いかけておくことが大切
以上、今回は地域包括ケアシステムの推進1点に絞り、代表的な論点について確認・言及させていただきました。この他にも全サービスにおいて論点、及び対応案が示されていますので、関連サービスについては是非、早めに目を通された方が宜しいかと存じます。加えて、毎回申し上げていることではありますが、介護経営者としては「こうなる」という最終的な結論だけでなく、「何故このような内容に着地するのか?」という、言葉の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢が不可欠です。その意味からも今年開催された介護給付費分科会の資料を遡り、各サービスに議論されている資料についてもあらためて再確認されることも重要だと言えるでしょう。是非、早めに情報をキャッチアップし、頭の中で“PDCA”を回しておかれることをおススメする次第です。私たちも今後、有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。

※本ニュースレターの引用元資料はこちら

第197回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_15543.html

【介護・保育】人材定着ブログ1月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑲」

【介護・保育】人材定着ブログ12月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑱」の続きです。

評価者教育

キャリアパスの中で最も重要といえる「人事評価」。評価の運用におけるキーポイントとなるの評価者の教育です。そもそも評価は何のために行うのか、評価を行う意義や目的はいったい何なのか、評価者がしっかりと認識したうえで評価スキルを高めていく必要があります。しかし現実には、評価者も、多くの方は評価すること自体初めての方が多い上に、日常は現業でかなり多忙でもあり、なかなか評価について時間が作れないという状況が実態のようです。図表1、2

また、厚労省が以前、調べた「人事評価の問題点」のデータ(図表1、2)によれば、規模の大小を問わず各社ともに現実の問題点を抱えながら人事評価を行っており、またそれに対していろいろな対策をとりながら推進してことがわかります。

 

一方で被評価者はどの様に感じているのか。被評価者にヒアリングを行ってみると次のことがわかりました。

「人事評価のイメージ」

 ・能力とか実力とかで評価するイメージより、その人が好きか、嫌いかで評価している

イメージが強い。

 ・結果が不透明

 ・自己評価など意味がなく、上司判断のみでされているイメージ

「人事評価に対する疑問」

 ・自分から見て明らかに問題ある社員なのに昇格するのがわからない。

 ・何が、どうなったら昇格するのかわからない。

 ・自己評価の持つ意味が不明。

「人事評価に対する期待・希望」

 ・具体的に何をすれば評価があがるのか、何が悪くて評価が下がったとかに十分な

  説明があればやる気があがると思います。

 ・本人が思っている評価と違った場合に、何をどうすれば良くなるというはっきりした

  話があれば良いと思う。

 

また、新任の管理者(評価者)にヒアリングを行ってみると次の点で「難しいと感じている」方がとても多いと思います。

 ・フィードバックをどこまで説明してあげればいいのか判断に迷うことがある。

 ・初めてなのですべてが難しい。特に日ごろ文句ばかり言ってくる人に対して、公平な

評価が出来るか自信ありません。

 ・社員の能力や仕事ぶりや成果について会社が判断して最終評価を行っている。なので

結果を本人に伝えるのが難しいときがある。

 ・被評価者に対する先入観を持ってしまう為、冷静に分析し評価しなければならない。

 ・日常の業務を細かく観察しながら公平な評価ができるように心がけたいと思います。

 ・初めて面談を行いましたが、どのように話を持って行っていいのかよくわかりません。

 

一方で、人事評価をうまく活用し、評価者、被評価者の双方ともに日常の業務として評価に取組まれている法人もあります。その違いはいったい何なのでしょうか。私は「評価者への教育・指導」にその大きな要因があるものと考えています。

 

介護事業所様向け情報(経営)12月号③

福祉施設でみられる人事労務Q&A
『職業紹介事業者を利用する際の留意点』

Q:

当施設では、人手不足解消のため継続的に求人を行っていますが、思うように応募者がこないため、民間の職業紹介事業者(以下「事業者」という)の利用を検討しています。このような事業者を利用するのは初めてなので、選ぶ時や利用する際の留意点を教えてください。

A:

職業安定法では、事業者に対する情報提供の義務付けや、適切な業務運営のためのルールの強化が規定されており、福祉施設が適切な事業者を選ぶための環境整備が進められています。施設の求める人材像や能力をはっきりさせた上で、その利用目的にあった適切な事業者であるかどうか、事前にしっかり確認するようにしましょう。

詳細解説:

1.選択する際のポイント

事業者を選択する際には、事業者の基本的な事項を確認することが必要です。厚生労働省の運営する「人材サービス総合サイト」では、事業者の以下のような事項を確認することができます。

  • 職業紹介事業の許可を得ているかどうか
  • 職業紹介事業者の紹介により就職した人の数(2016 年度に就職した人数から掲載)
  • 紹介により就職した無期雇用の人の数、およびそのうち6 ヶ月以内に離職した人の数(2018 年度に就職した人数から掲載)
  • 手数料に関する事項
  • 返戻金制度(短期間で離職した場合に手数料を返金する制度)の有無や内容
  • その他、得意とする分野など
  • なお、返戻金制度を設けていること、お祝い金を支給していないことを宣言した事業者は、人材サービス総合サイト内で「医療・介護・保育分野の適合紹介宣言事業者」として表示されます。

2.利用する際の留意点

施設が事業者に対して、求める人材の要件や労働条件などを具体的に伝えることが、採用後のトラブルやミスマッチを防ぐために有効です。事業者からの聞き取りや求職者からの質問には、わかりやすく丁寧に回答するようにしましょう。

最終的に採用・不採用は施設が決定します。事業者から紹介された人だから大丈夫だという受け身の姿勢ではなく、事前の面接などで、求める能力や技術を身につけているか、職場に順応できそうか、などを確認することが重要です。

なお、実際に事業者と契約する際には、事前に説明を受けた内容と相違はないか、手数料や返戻金などの金銭面は、施設が想定する内容に合っているか等、契約内容について入念に確認した上で締結することが求められます。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(経営)12月号②

福祉関連業種における年末賞与の支給状況

コロナ禍で年末賞与の支給時期を迎えます。ここでは年末賞与支給の参考資料として、厚生労働省の調査結果※から直近5 年間(2015~2019 年)における、福祉関連業種の年末賞与支給労働者1人平均支給額(以下、1 人平均支給額)などを事業所規模別にご紹介します。

3 業種とも1 人平均支給額が増加

上記調査結果から1 人平均支給額などをまとめると、下表のとおりです。

2019 年の1 人平均支給額は、児童福祉事業、老人福祉・介護事業、障害者福祉事業のいずれも、前年より増加しました。きまって支給する給与に対する支給割合は、老人福祉・介護事業の5~29 人だけが1 ヶ月分に届きませんでした。

支給労働者数割合と支給事業所数割合は、児童福祉事業と障害者福祉事業の30~99 人で100%が続いていましたが、2019 年には100%ではなくなりました。

新型コロナウイルスの影響で経営状況が厳しい施設もあることから、今年の年末賞与は厳しい状況になるところが少なくないものと思われます。

※厚生労働省「毎月勤労統計調査」
日本標準産業分類に基づく16 大産業に属する事業所で常用労働者を雇用するもののうち、常時5 人以上を雇用する事業所を対象にした調査です。きまって支給する給与に対する支給割合とは、賞与を支給した事業所ごとに算出した「きまって支給する給与」に対する「賞与」の割合(支給月数)の1 事業所当たりの平均です。支給労働者数割合は、常用労働者総数に対する賞与を支給した事業所の全常用労働者数(当該事業所で賞与の支給を受けていない労働者も含む)の割合です。支給事業所数割合とは、事業所総数に対する賞与を支給した事業所数の割合です。詳細は次のURL のページからご確認ください。

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450071&bunya_l=03&tstat=000001011791&cycle=7&tclass1=000001015912

(次号に続く)

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