介護
A 法的な規制はないため、支給基準や額などはどのように決めても問題はありません
通勤手当の支給について留意すべき点
通勤手当は、片道の通勤距離と手当の額によって所得税法上の非課税限度額が定められています。この限度額を超えて支給される通勤手当は課税の対象になります。また「通勤距離にかかわらず一律に支給される通勤手当」(例えば、マイカー通勤者全員に一律2万円支給など)も課税対象になるケースもありますので、ご注意ください。
マイカー通勤中、交通事故の加害者になった場合の事業所の責任
マイカーを通勤だけでなく業務にも利用していた場合、事故の相手に対して運行供用者責任、または使用者責任(民法715条)が認められる可能性があります。現実に事故を起こした本人が保険加入を行っている場合や、経済的に補償能力がない場合には、被害者が事業所の責任を問題にする可能性も考えられます。
一定以上の任意保険加入を義務づけ、従わない場合には手当を支給しない
このような事態に備えて、マイカー通勤をするスタッフに一定補償額以上の保険に加入することを義務づけ、毎年許可申請をさせて確認するようにしましょう。万が一、事故を起こした場合には、事業所に迷惑をかけないと誓約書を取っておくことも考えられます。
マイカー通勤のルールを整備し、事故を起こせば自分たちの責任では済まされないことを説明し、何らかの安全を確保するための措置を講じる必要もあります。
2040年を見据えて持続可能な介護サービス提供体制を議論する厚生労働省の検討会が、今月7日の会合で施策の方向性を大筋で固めた。柱の1つはやはり、介護現場の生産性向上、働きやすい職場環境づくりだ。
厚労省は「中間とりまとめ(案)」に、介護現場で活躍する「デジタル中核人材」の育成・配置を進めていくべきとの考えを打ち出した。事業所・施設で主体的にリーダーシップを発揮してもらい、テクノロジーの有効活用や業務効率化の加速につなげる狙いがある。
この「デジタル中核人材」には、例えば個々の実情に合う適切な機器の選択・導入、その定着と機能の最大化、運用ノウハウの洗練、戦略の継続的な見直しなど、生産性向上の重要な役割を担うことが期待される。
あわせて、厚労省は「中間とりまとめ(案)」に、「デジタル中核人材」を自力で育成・配置することが難しい小規模な事業所への支援策も盛り込んだ。
都道府県のワンストップ型相談窓口によるアウトリーチ型の伴走支援を手厚くすると明記。雇用管理や経営支援もあわせて一体的に支援する取り組みをさらに進めるべきとし、そのための基金の活用など財政支援の充実にも意欲を示した。その意味でこのような人材の情報をどのように収集していくか「中間まとめ12p~13p」に記載があるので参考にしてみてください。
職場のデジタル化への取組について社労士林のコメント
介護業界の「介護現場の生産性向上、働きやすい職場環境」に必要な要件の一つが「デジタル化」です。それはわかっていても、それをどのように進めていくか、そして何より難しいのは
「誰が推進するか(できるか)」といった人材の問題ではないかと思います。その意味で、このような人材の情報をどのように収集していくか「中間まとめ12p~13p」に記載があるので参考にしてみてください。
ケアマネジャーを対象としたカスタマーハラスメントに関する調査の結果を日本介護支援専門員協会が新たに公表
過去1年間にカスハラを受けたと答えた割合は37.7%。加害者の大半は利用者やその家族、主介護者、キーパーソンだった。ケアマネの約4割が被害を経験しており、業務に深刻な影響を及ぼしかねない実態が改めて浮き彫りになった。
この調査は、日本介護支援専門員協会のシンクタンク部門が昨年11月から12月にかけて実施したもの。およそ2000人の会員が対象で、1293人から有効な回答を得た。
具体的な被害の内容では、「言葉の暴力や精神的な攻撃」が最も多い。「過度な要求」「根拠のないクレーム」「度を越えた電話」なども目立っており、ケアマネが日常的なコミュニケーションの中で圧迫されている実態がうかがえる。「セクハラ」や「プライベートへの干渉」も一定数あった。
ケアマネがカスハラを受けやすい背景について
◯ 支援を打ち切ると利用者の生活や生命に大きな影響を与えるため、やむを得ず支援を続けがち
◯ ケアマネは自分に原因や責任があると考えがち
◯ 専門職としての価値や倫理から、利用者を見捨てるようなことをしてはならないと考えがち
などの声もあがっていた。協会はこうした回答について、「介護支援専門員の価値・倫理の影響だけでなく、高齢世帯や単身世帯が増加していることなどで、介護支援専門員がより複雑で困難な状況に対応する中で様々な葛藤を抱えるといった現状も、影響を及ぼしているのではないか」と分析した。
協会はあわせて、カスハラ被害の軽減に向けて、「現在、取り組まれている対策をより実効性のあるものにしていくことが必要。公的機関による防止対策、被害が生じた時の支援など積極的な関与も必要」と指摘。「さらに詳細な情報の収集と分析を重ねていく必要性も見えた。カスタマーハラスメントを行う人、発生状況に共通項があるのかなどが把握できれば、より有効な対策を検討する材料となる」との見解も示した。(介護ニュースより)
カスタマーハラスメントについて社労士林のコメント
カスタマーハラスメントいわゆるカスハラは、厚労省データ発表によれば、業界に関わらず増加傾向にあります。特に介護業界におけるカスハラ被害は潜在的も含めると相当数になっている
ものと思われます。この問題の対処法としては、大きく分けて二つあります。①「発生予防するために何が出来るか」②「発生した場合にどう対処するのか」。この2つの視点で今一度、現状の確認と対応方法の見直しを是非行ってみてください。この問題への真摯な取り組みが、「離職防止」「採用」に直結することになるものと思います。
厚生労働省は8日、物価高騰などの影響で経営が悪化している介護事業者を支えるため、福祉医療機構による優遇融資を見直すと発表
既存の優遇融資を大幅に拡充し、無利子・無担保での借り入れができるようにする。目下の厳しい経営環境を踏まえ、介護事業者の資金繰りの一時的な改善を後押しするための措置。8日から申請の受け付けが始まった。
対象となるのは、収支が悪化していたり赤字に陥っていたりする介護事業所・施設(*)のうち、介護報酬の処遇改善加算を算定しているところ。経営改善計画書の提出も求められる。
対象サービスの類型はこちら
無担保貸付の限度額は500万円、または直近2ヵ月の事業収益のいずれか高い方。元金の返済開始までの据置期間は2年間で、この間は利子がかからない(上限額あり)。
この優遇融資は、2024年度の補正予算で創設された制度に基づくもの。厚労省の関係者は、「物価や人件費が上がったことで経営が非常に厳しいという関係者の声などを踏まえ、こうした優遇融資の大幅な拡充に至った」と述べた。
厚生労働省は介護報酬の処遇改善加算の公式サイトを更新し、2024年度の実績報告書と2025年度の計画書の様式の改訂版を掲載した。
Excelファイルの設定や関数の誤りを修正。3月31日に発出した介護保険最新情報のVol.1369で広く周知し、現場の関係者に活用を呼びかけた。これから書類を作成する場合、こちらを使った方が良さそうだ。
2024年度の実績報告書は、入力シート、記入例、大規模事業所用様式を変更。2025年度の計画書は、大規模事業所用様式を差し替えた。それぞれの見直しは次の通り。
2024年度の実績報告書様式
◯ 別紙様式3-1/セルF126:「その他」欄に記入できるよう、ロックを解除。
2025年度の大規模事業所用計画書様式
◯ 別紙様式2-2/セルL列444行目以降:基本情報入力シートのAC列を参照するよう修正。
◯ 別紙様式2-2/セルAK5:8011行目まで合算されるよう修正。
◯ 別紙様式2-2/セル3行目以降:基本情報入力シートにおいて、「提出の目的」として「補助金様式を都道府県に提出」を選択した際にグレーアウトされるよう修正。
今回の公式サイトの更新ではこのほか、処遇改善加算の運用ルールを明らかにするQ&Aの第2版も掲載された。また、人材確保・職場環境改善に向けた施策をまとめたリーフレットも掲載されている。(介護ニュースより)
A、キャリアパスは個人の能力・適正に応じて、「指導・監督層」になるコースとは別に「専門職」コースを準備し、専門職のキャリアステップと昇給制度で運用しています。
現場では、「優秀な職員ほど役職にはつきたがらない」とか、「知識・技術面でわからないことについて、皆が教えてもらえる職員は決まっており、しかもその職員は役職者ではない」、といった話がよく聞かれます。そこで考えるべきなのが、キャリアパスにおける「複線化」です。つまり、キャリアパスに描かれた昇格ラインによらずに、役職にはつかずに専ら専門性を高め、組織に貢献するキャリアパスを作ることです。この階層を「専門職」として、上級介護職の水準を超える水準をもって処遇します。この場合、当該職員はマネジメント業務を行わず、専ら好きな介護の道を追い続けても、相応の処遇が保障されることになります。専門性の高さを認められてこその処遇なので、職員のプライドも充足することができます。
また、優秀な人材を滞留させては離職につながりかねません。中小企業の中には職員が自らポストの数を読んで、諦めムードが漂っているようなケースも散見されますが、「専任職」を設けて、「当法人は、管理上の役職だけがポストではない。専任職というスキル面のリーダーもあり、相応に処遇する」と周知すれば閉塞感が一気に変わるはずです。
A、時間単位年休は残日数、時間の管理が煩雑になりやすいのですが、部署ごとに現場で管理する方法を決めておくといいでしょう。総務担当の負担も軽減されます。全部署一括ではなく、部門単位から試験的にどうする方法がいでしょう。
時間単位年休は平成22年4月1日から施行され、半日有休と時間単位有休を併用しているケースもありますが、時間単位有休を導入する際に、半日有休をなくすのが一般的です。
時間単位有休は、労使協定を締結することで、一年間の有休休暇日数のうち繰り越しも含めて5日を限度に時間単位で付与することが出来るものです。ただ以下4項目について使用者と労働者が協定で合意しなければなりません。
①対象労働者の範囲
②時間単位年休日数(5日以内)
③時間単位年休の1日の時間数
④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
また、有給休暇の事後振替を認めるかどうかについて、法律上特に定めはありません。認めることも、認めないことも施設で決めることができます。ただ、欠勤の理由が体調不良を交通事情というならまだしも、寝坊を理由に欠勤遅刻した職員が安易に申請することを避けるため、事後の振り替えを認めない施設もあります。
また、時間単位年休は1時間単位で採用できますが、遅刻など安易な利用を極力避けるため、30分程度の遅刻には利用しずらい「2時間単位」で認めている施設も実際にあります。
2024年度の介護報酬改定で基本報酬が引き下げられた訪問介護について、減収となった事業所が5割から6割弱に達することが明らかになった。
厚生労働省が3月31日に開催した専門家会議(介護報酬改定検証・研究委員会)で調査結果を公表した。
調査結果は以下の通り。介護保険収入の増減を改定後の昨年8月でみると、前年同月比で5%以上減っている事業所の割合が、都市部でも地方でも最も高かった。例えば中山間・離島では、減収の事業所が58.7%にのぼっている。

この調査は厚生労働省が昨年9月に実施したもの。全国の訪問介護の約3300事業所が対象で、1200を超える事業所から有効な回答が得られた。
調査結果によると、都市部でも地方でも利用者宅への訪問回数が減少している事業所が6割を超えていた。これに加えて、2024年度の基本報酬の引き下げが減収の要因とみられる。
◆「処遇改善をしないとどうにもならない」
2日の衆議院・厚労委員会では、立憲民主党の早稲田ゆき議員がこうした調査結果を取り上げた。
福岡資麿厚労相は事業所の訪問回数が減少した要因について、「地方ではサービス需要のピークアウトがみられ、都市部では事業所間の競争が高まっている」と説明した。
これに対し早稲田議員は、「人手不足で依頼が来ても訪問できない事業所が増えている。だから訪問回数が減ってしまう」と指摘。「なぜ人手不足なのか。処遇改善が全く追いついていないからだ。基本報酬の引き上げ、処遇改善を進めなければどうにもならない」と訴えた。(介護ニュースより)
ほぼ毎年のことだ。介護の現場では、新年度を迎えるたびに少なからず緊張が走る。新たなルールがまた1つ、動き出すからだ。
2025年度の大きな見直しの1つに、業務継続計画(BCP)を策定していない事業所・施設に対する介護報酬の減算の導入がある。
現場に求められるのは、感染症と災害の発生を想定したBCPの策定。このどちらか、または両方が未策定の場合には、新年度から事業所・施設に以下の減算が適用される。居宅療養管理指導、特定福祉用具販売を除く全てのサービスが対象だ。
《業務継続計画未実施減算》
◯ 施設・居住系サービス=所定単位数の100分の3に相当する単位数を減算
◯ その他のサービス=所定単位数の100分の1に相当する単位数を減算
この減算の導入は、2024年度の介護報酬改定をめぐる議論で決められたもの。2025年度から完全適用されることになったのは、国が現場の負担も考慮して1年間の経過措置(*)を設けていたためだ。
1年間の経過措置=訪問系サービス、福祉用具貸与、 居宅介護支援については、2025年3月31日までの間は減算を適用しない。それ以外のサービスは、2025年3月31日までの間、感染症予防の指針と災害計画が整備されていれば減算を適用しない。
この経過措置の期間が終了したため、新年度から減算が適用される運びとなった。BCPの策定は、現場にとって決して小さな負担ではない。施策の実効性を高める検証と、きめ細かな支援が国に求められる。(介護ニュースより)
社労士コメント:BCP未策定の事業所は、急ぎ策定準備に入ることをお勧めします。ご要望あれば、当社が作成支援をさせて頂きます。
BCP(業務継続計画)作成研修 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング
また、既に作成済の事業所におかれましても、発災時にBCPが機能するように、日常訓練などの実施を是非検討ください。
A 請求は可能ですが 全額を支払ってもらうことはできない可能性もあります。
どこまで請求できるのか
請求の是非は、スタッフの注意義務違反の程度によって判断されます。スタッフがちょっと気を付ければ避けることのできた損害については、使用者がこのような危機を回避することができなかったことから、スタッフは責任を免れることはできません。また休憩時間や業務に全く関係ない場面で生じた破損に関しては、たとえ悪意がなくても本人の責任になります。例えば、喫煙禁止の休憩所のソファーを煙草で焦がしたら、間違いなく本人に弁償責任があります。
ただし、いくら過失とはいえ医療機器など高額なものに損害が出た場合、こうしたリスク回避や分散の措置を十分に講じなかった使用者側の責任もあること、またスタッフの経済面の影響を考慮し、使用者の損害賠償請求権は制限する必要があるとされています。
業務に関連するスタッフの不注意な破損であれば、満額請求は難しいでしょう。なお、判例でも、信義則上相当と認められる限度にその額は制限されるとの一般的な枠組みがあります。例えば、狭い通路で何かを運んでいて、ぶつけて壊した場合、構造的な問題や柱に緩衝材などをつけていなかった責任などが問われ、全額の請求は難しいと思われます。「使用者があらかじめ想定し、保険制度を通じて比較的容易にリスク分散し得るものであるから、使用者が基本的に責任を負担すべき」という考え方を取るということになります。