介護
在職中の職員より高い給与で求人をだすことを検討しているが、問題ないか?
数か月前から看護師の求人を行っているが、反応が悪く、面接までもなかなかいきません。そんな中で求人の給与を現職の職員より数段高い水準で出したいが、問題ないだろうかという相談です。
既存職員のモチベーションへの影響を考えなければなりません
職場の採用現場では、慢性的な人手不足の影響から売り手市場の状況が続いてます。各事業所は、それぞれ様々な施策を打ち出していますが、昨今の物価高や賃上げの状況から給与水準を引き上げるところも増えているようです。しかし、新規採用者の給与水準を引き上げた結果、在職者の額を上回ってしまっては問題が発生するでしょう。この場合には在職者の給与の引き上げが必要になります。各人の経験、キャリア、スキルを勘案して、どうみても給与水準が逆転してしまうのは、既存職員のモチベーション低下に繋がる恐れがあり、できれば避けるべきと思います。
給与情報については職員同士で、自然に共有化されてしまうと思ってください。
また新規採用者の給与を本人以外の職員に伝えなければ、在職者を昇給させなくても問題ないと思われるかもしれませんが、在職者も求人広告を目にすることはありますし、職員同士でお互いの給与明細を見せ合うことも増えているようです。在職者が、自分よりも新人の給与が高いと知った場合、苦情や昇給の要望を言ってくる可能性も高いでしょう。
対応策①として、その影響を想定した人件費を検討し判断する。
採用力を高める手段としての待遇引き上げは、新規採用者の引き上げだけでなく全体の給与水準に波及します。基本給などの固定給が上がるだけでなく、時間外手当の単価も上がりますし、社会保険料への波及も考慮しておくべきです。
このため、求人広告を出す場合、個々の在職者の給与額を確認して、実際に採用が決まった場合に、在職者のだれにどのくらいの昇給を見込むかを十分に検討し、人件費全体の増加を考慮しておくことが重要です。
対応策②として、人事制度(職能資格等級)を作成し給与水準のルールを決める
新人の給与が人事制度(職能資格等級)の中で決まったものであれば賃金水準を在職者に説明し、納得させることは十分可能です。人事管理として、経験年数、業務スキル、資格などを職種別で等級制度(職能資格制度)として設定し、そのルールの中で決めている給与であれば、今回の新規採用者の入職後の等級を想定して決められた給与ということになります。それが仮に在職者より高い水準だとしても、そこには公正な理由があるので在職者に説明することで納得感も得られるものと思います。その意味でも賃金設定を含めた人事制度を作成しておくことは極めて重要です。

「本気で取り組めばきっと人は来てくれると思ったんです」。
そう語るのは、社会福祉法人泉陽会(東京都)で人材対策室を率いる平本穣さん。5年前、自らの提案で新設した同室は、今や法人の人材確保を牽引する存在だ。
豊富な資金力や広報力を武器に、民間大手が人材確保を優位に進める時代。熾烈な採用競争の最前線で、社会福祉法人が劣勢に立たされるケースも少なくないなか、どう難局を打開しようとしているのか。平本さんに話を聞いた。
「人を採る」に専念を直談判
きっかけは、新卒採用の難しさへの強い危機感だった。法人全体の年齢構成が高まりつつあるなか、若手人材をどう確保するかは喫緊の課題。現場の声と自らの問題意識を重ね合わせ、「自分が人を採る。専念させてほしい」と当時の上司に直談判した。
「高度な採用スキルがあったわけではありません。でも、やってみれば道は拓けるという直感がありました」。最初はデイサービスの所長職と兼務で動き出し、翌年からは専任に。現場経験を生かした地道なアプローチが本格的に始まった。
当初から注力したのは地方での採用活動だ。法人の知名度では大手に敵わない。そこで都内での競争にこだわらず、自ら地方へ足を運んで福祉系大学や専門学校の教員に直接アプローチ。業界で培った人脈をたどって紹介を受け、授業やゼミの場で法人の魅力を伝える機会を設けてもらってきた。
「就職先の選択肢のひとつとして見てもらえれば、まずは十分だと思っています。大切なのは、丁寧に顔を合わせて話すこと。関心を持ってくれる人は必ず出てきます」
採用の成果も着実に現れている。たとえば愛媛県の専門学校では、主任教員に思いを伝えたところ、東京への就職を希望していた学生に声をかけてもらい、リモートで説明・選考を実施。結果として採用につながり、今も現場で戦力として活躍している。
平本さんは、採用後の「伴走支援」にも余念がない。地方から上京する場合、4年間の家賃補助を用意。引っ越しの初期費用も法人が支援している。住まいの確保も平本さんら人材対策室がサポート。本人の希望や予算を聞いて反映するほか、一緒に内見にも同行する。
「東京で暮らし始められる、ということを1つの武器にしています。知らない土地での暮らしは誰でも不安なもの。物件の立地や設備まで一緒に確認しながら、納得して新生活を始められるようにしています」
学びと仕事、生活をトータル支援
今年度からは外国人材の確保でも新たな一歩を踏み出した。十文字学園女子大学(埼玉県)と連携し、外国人留学生を対象とした長期育成プログラムをスタート。4年間の学費を泉陽会が共同で負担し、在学中は介護現場でのアルバイト勤務も受け入れている。
「将来的に現場をリードできる人材を育てていくことが目的です。バイトで働きながら学校で学び、卒業後にはうちの職員として就職する。生活継続の見通しを立てられることが、外国人の学生にとって安心材料になっていると思います」
住まいの手配、生活支援も法人が担う。日用品の買い出しや地域の案内なども含め、生活立ち上げの不安を和らげるサポートを柔軟に提供している。
法人の枠を越えた挑戦
他法人との連携の輪も広げている。平本さんは現在、同じ志を持つ10の法人と共に人材確保の協働チームを結成。合同で就職フェアを開催しているほか、若手職員のネットワーク形成にも取り組んでいる。
「コストを抑えながら、法人の枠を超えて介護現場の魅力を発信したいという思いで始めました」
就職フェアでは介護食の試食体験や講演会も企画。若手職員が福祉の魅力や課題を率直に語り合う場も設けている。法人の垣根を越えた交流が、業界全体の魅力や働き続けるモチベーションの向上につながるという。
「業界内の情報交換は、自分の職場を理解するうえでもやっぱり重要。“友達の友達は友達”という気持ちで、横のつながりを大事にしています」
人材確保のハードルが年々高まる中でも、平本さんは「本気で取り組めば必ず道は開ける」と前を向く。
「仕事を探している人は皆、多かれ少なかれ不安を抱えています。だからこそ細やかに寄り添い、安定するまで一緒に歩む。そこに本気で向き合えれば、必ず信頼が生まれて定着につながります。この業界に人を呼び込む責任を、一人ひとりが自覚して行動していくことが大切だと思っています」
すべては現場の問題意識から始まった。それが今、確かな手応えとともに人をつなぐ力を生んでいる
「ICTやAIの活用がケアマネジメント業務の前提となる時代がやってくる」。
日本介護支援専門員協会は6月29日の社員総会で、今年度の事業計画を決定した。重点課題の1つに掲げたのはAIの有効活用。現場のケアマネジャーの支援に本腰を入れる方針を打ち出した。
協会の七種秀樹副会長は社員総会後の記者会見でこう語り、今後のAI活用の意義と重要性を強調した。「人材不足が深刻になる中で、業務負担の軽減や働きやすい職場環境の整備が欠かせない。協会としてケアマネジャーのリテラシー向上を本気で後押ししていく」。
協会は具体策として、会員への情報提供やセミナーの開催、ソフト開発会社との連携などに取り組んでいく。各ソフトの機能や使い勝手などを比較・評価し、分かりやすく提示していくことも検討。個々のケアマネジャーが置かれた状況に合ったツールを選べるよう発信を強化する。
今後のAIはケアプランの作成支援だけではない。ケアマネジャーの業務全般を支える存在になっていく
あわせて、協会が取り組んでいるケアマネジャーの「実践知の言語化」とも連動させる。ベテランのケアマネジャーが培ってきた知識、経験、技術、思考など(実践知)を言語化し、それをAIに学習させることで、業務全体をサポートできるような新たな仕組みの整備を目指す。
七種副会長は会見で、「今後のAIはケアプランの作成支援だけではない。ケアマネジャーの業務全般を支える存在になっていく。その過程で、現場のケアマネジャーがこれまで蓄積してきた“普遍的な実践知”も役立てられれば」と述べた。
現在、言語化した実践知のデータベースを構築中。協会はこのデータベースを、ケアマネジメントの質の向上や人材育成などに活用していく考えだ。
七種副会長は会見で、「AIやICTを活用する力が、ケアマネジメントの質の向上に大きく影響する時代になる。デジタル技術をしっかりと使いこなすことは、若い人たちにケアマネジャーの仕事を魅力的に感じてもらえることにもなる」との認識を示した。
A 通常は出来ませんが、あらかじめ労働条件の変更を視野に入れた労働契約を締結していれば可能です。
労働契約の途中で事業主側が一方的に条件を変更することは原則としてできません。労働条件を変更するときは労働者との合意が必要になります。
一方、雇用期間を定めた契約であれば、契約の更新時に契約が変更になることを説明し、「新たな契約を締結しなおす」ということになります。いわゆる契約職員としての雇用形態です。
採用時に通常であれば期間の定めなしで契約するところを、あえて3カ月の有期契約を結ぶのも選択肢のひとつ
クリニック等で多いのは、試用期間相当期間を「期間の定め有り」で契約し、その後に「契約期間の定めなし」の契約に転換する流れになります。つまり試用期間を3カ月に設定しているクリニックでは、採用時に通常であれば期間の定めなしで契約するところを、あえて3カ月の有期契約を結ぶということになります。そうして3カ月後に想定していた働きぶりが悪かった場合には、それに見合った新たな契約条件を提示し、本人が合意した場合には契約を更新するということになります。
但し、期間を定めた契約は、採用したものの、入職辞退につながる可能性もあることを認識しておかなければなりません。なぜなら、この3カ月の雇用期間は不安定と感じる職員もいます。優秀な人材は他のクリニックでも内定が出ている可能性があるので、別のクリニックに流れる可能性は否定できません。そのため通常であれば、「期間の定めなし」の契約として、面接などで人柄やスキルに不安が残る場合のみ「期間の定め有り」の契約にするといった運用にされるところが多いように思います。
A、キャリアパスの中で最も重要なルールのひとつである「任用要件・昇格条件」を検討し、見える化することです
この任用要件を決定して、職員にオープンにし丁寧に説明することが必要です。
任用要件は次の4つの視点で検討してください。
- 前等級における最低勤務年数
「リーダーを最低3年やらないと主任は務まらない」というような発想があると思いますが、このような考え方を昇格の条件として、1級は2年以上、2級は3年以上などのような形で採り入れます。そして各階層の滞留年数を決めます。つまり昇格を考えるときにも、この年数経過が一つの要件になります。 - 資格
それぞれの等級で取得してほしい資格を昇格の条件として用いるという考え方です。 - 実務経験
「優秀なケアスタッフだったのに、リーダーにしたらプレッシャーから力を発揮できず、結局もとの立場に戻さざるを得なくなった・・・」などというミスマッチをなくすために、指導監督職(主任等)になる前に、一般職の間に、一度でも委員会の委員長や行事のリーダー等をつとめた経験がある事などを、昇格条件にするケースもあります。少し大きな事業所では、複数の事業所を経験していないと(異動していないと)管理者になれないというルールもこの類です。 - 人事評価
人事評価制度を取り入れている事業所では、必ずといっていいほど、その結果を昇格の条件に用いています。「階層に求められる業務ができているか」を評価しているのであれば、その結果を次の段階に進めるか否かの判断基準に加えるというのは、極めて合理的な方法です。
ケアマネの処遇改善を「行っていない」と答えた事業所が、52.7%と半数を超えた
昨年度の介護報酬改定で基本報酬が引き上げられた居宅介護支援をめぐり、ケアマネジャーの処遇改善が必ずしも十分に進んでいないことが、厚生労働省による調査の結果で明らかになった。
基本報酬の引き上げなどによる処遇改善を「行っていない」と答えた事業所が、52.7%と半数を超えていた。
何らかの処遇改善を行っている事業所では、「基本給以外の引き上げ」「基本給の引き上げ」が多かった。事業所の規模が小さいほど、「行っていない」の割合が高くなる傾向がみられた
この調査は厚労省の調査・研究事業の1つで、三菱総合研究所が昨年11月から今年1月にかけて実施したもの。全国923の居宅介護支援事業所の回答を集計した。
ケアマネジャーの処遇改善を確実に進展させるために、居宅介護支援の報酬にも『処遇改善加算』を導入すべきか
居宅介護支援をめぐっては、昨年度の介護報酬改定で基本報酬や「特定事業所加算」などが引き上げられた。これは、ケアマネジャーの業務の専門性に見合った適切な処遇へと近づけることで、人材の確保・定着につなげる施策の一環だった。今回の調査結果は、こうした改定の狙いが現場で十分に実を結んでいない現状を浮き彫りにしている。
調査・研究事業に委員として参画した株式会社マロー・サウンズ・カンパニーの田中紘太代表取締役は、「衝撃的な結果だ。現行の制度だけでは限界があると言わざるを得ない」と指摘。「ケアマネジャーの処遇改善を確実に進展させるために、居宅介護支援の報酬にも『処遇改善加算』を導入すべきではないか」と提言している。(介護ニュースより9

石破茂首相は23日夜に記者会見を行い、医療や介護、障害福祉などの現場を支える職員の賃上げに向けて、公定価格を引き上げる方針を表明した。
石破首相は、「人手不足、あるいは物価高に直面している医療・介護・保育・福祉などの公定価格を引き上げる」と明言。今年度の「骨太の方針」に盛り込んでいた公定価格の引き上げを、会見で改めて約束した格好だ。夏の参院選が迫るなか、今後は対策のスピードと規模が焦点となる。
石破首相はこのほか、消費税の現行税率を維持したい考えを重ねて表明した。
「消費税は医療・介護・年金などの社会保障制度を支える大切な財源」と説明。「消費税を安定財源なしに減税するような無責任なことはできない」と理解を求めた。(介護ニュースより)
「この人のこの欠点がどうしてもイヤ」「なんか気になる」ということがあります。
例えば、職場の後輩の変な口癖だったり、上司の無責任さであったり、指摘するほどではないけれど、そんな欠点に出くわすと、イラっとしたり、モヤっとしたりすることが、だれにもあるのではないでしょうか。
かつて、いつも怒鳴り散らしている上司のもとで働いていたことがありました。そのような上司でもまったく動じず、平然としている先輩がいました。「平然としているなんてすごいですね」というと、その先輩曰く、「すごいんじゃなく、慣れただけ」。なるほど、「慣れる」とは、我慢することでも、許すことでもなく、「気にしないこと」なのだと、深く納得したものです。
そうは言っても「気になる」人もいるでしょう。人間良いことも、良くないことも慣れてきそうなものですが、「イヤだ」「許せない」という感情が心に積み重なって、ますますイヤになり、耐えきれなくなるものです。
そこには意識的に目を向けない、と習慣づけることが大事
だからこそ、そこには意識的に目を向けない、と習慣づけることが大事。いいところだけに目を向けよう、「大したことでない」と自分に言い聞かせるのも良いでしょう。それを繰り返していると、だんだん気にならなくなっていくものです。「慣れる」ということは、心が「そこは問題ない」と判断したということです。相手の欠点は変わらない。ならば、こちらが慣れて対処する方が得策のような気がします。
Q 始末書に「施設が指導してくれない」と書き、反省してくれない職員への対応
仕事のミスが多くクレームが入った職員に対して「始末書」の提出を求めたところ、その内容が「施設の指導が出来ていない為自分もミスをした」とまったく反省していない様子の始末書を提出してくる職員がいます。反省の色が見えず、始末書の意味がなくなっているような気がします。どうように対応したらいいでしょうか?
A 始末書というのは、業務などに規律違反をしたり、過失をしたりした場合に、その行為を反省し、謝罪し、同じことを繰り返させないようにする書面です。就業規則の制裁規定にも始末書に提示を求めています。
今回は、ミスが多くクレームまで入ってしまったので、その行為を反省してくれることを期待して提出を指示したのでしょう。しかし、反省するどころか施設へ責任転嫁していることがわかります。この場合、施設側が「指導をしたでしょう」と言ったところで「言った、言わない」の押し問答にしかならないのであれば、具体的な行動を振り返らせます。そして、改善することを具体的に指示し、ほかにも案があるならば自分から案を出してもよいように、ある程度「自由度」をいれると本人も書きやすくなります。
戒めるべきことは、「利用者さんのことを考えていなかったこと」ですから、話の途中で「自分はできていると思っても、利用者さんや他の職員はできているとは思っていない」ということを伝えるのです。そのうえで、「始末書」という書面ではなく、「改善提案書」と名称を変えるのもいいかもしれません。始末書というとどうしてもネガティブなイメージが強いからです。しかしここでも大切なのは、自分の行動を戒めて将来につなげることです。ですから書くハードルを下げ「改善提案書」に改めるというわけです。そしてこのフォーマットのなかに書くべき項目を入れ込んで記入してもらいます。
記入のポイントは
- どんな状況でクレームが発生したのか
- それはどんな原因があったのか
- そうすればそれを改善できるのか具体的な例をあげる
- いつから実施するのか
人は埋め込み式の方が、書きやすくペンが進みます。まずは「自分の行動をふりかえり、反省してもらう」ことから始め、具体的な改善行動案を書いてもらいます。それでもできない場合には、「自分で書いたことなのになぜ実行ができないのか」と面談で深堀していきます。
この書面を提出させるというのは、成長の過程もわかりますし、指導をしている実績もわかりますのでぜひともお勧めします。
外国人介護人材の確保に向けて、厚生労働省は都道府県など自治体が海外現地での説明や交渉に活用できる「対外発信資料」を作成・公表した。今月12日に通知を出し、全国の自治体に積極的な活用を呼びかけた。
この「対外発信資料」は、昨年度の調査・研究事業の一環で作成されたもの。日本語と英語の2言語に対応し、日本の魅力や介護の仕事、日本での活躍の具体的なイメージを写真や平易な表現で描いている。pptx形式で自由に編集可能。各自治体が状況に応じて柔軟に変更できるようにした点も特徴だ。
◯「対外発信資料」のダウンロードはこちらから
◯ 調査・研究事業の概要資料はこちらから
現地での説明会や交渉の際に即時活用できるよう、ポイントを絞ったダイジェスト版と、詳細を網羅した本編の2種類を用意。日本の介護制度や生活環境、受け入れ体制などを具体的に紹介し、送り出し国の政府関係者や教育機関に対して、日本でのキャリア形成の魅力を伝えやすい内容となっている。制度的な背景や職場環境の説明にとどまらず、実際に介護職として活躍する外国人材の姿をビジュアルで示すなど、視覚的・感情的な訴求も意識した構成となっている。

加えて、資料の効果的な使い方や留意点などをまとめた補足資料も整備された。厚労省はこれらを活用することで、自治体が現地の行政機関や教育機関との連携・交渉を円滑に進め、外国人介護人材の受け入れ促進につなげることを期待している。
◆「住まい支援」の充実も呼びかけ
このほか、厚労省は今回の通知で、外国人介護人材の定着を支える観点から「住まい支援」の重要性にも言及。家賃補助や公営住宅の活用といった具体例をあげ、地域医療介護総合確保基金のメニューなどの積極的な活用を要請した。
住まい支援は外国人介護人材にとって、家族らへ仕送りできる金額の実質的な増加にも直結することから、就労先選びの重要な判断材料となる。実際に取り組む自治体では、外国人本人や受け入れ事業者の双方から好評だと報告されている。
厚労省は、こうした支援策を通じて地域の実情に即した外国人材の受け入れ・定着を促進するよう、全国の自治体に取り組みの実践を呼びかけている。