保育
保育士が園児のあごをつかむといった不適切保育があったとして文書指導を受けた横浜市の認定こども園について、市が運営法人に改善を勧告する行政指導をしていたことがわかった。口に食べ物を押し込むといった不適切保育が新たに確認されたことなどによるもので、勧告は16日付。
この園では2021年8月に当時勤めていた保育士が複数回、園児のあごをつかむ行為があったことなどが判明し、市が今年2月、文書指導をしていた。
市によると、その後、退職した保育士を含む職員計31人に聞き取り調査をしたところ、食事を完食させるため強制的に口に押し込む▽園児の足をつかんで逆さづりに近い形で持ち上げる▽午睡で寝られない園児を押さえつける▽他の園児の前で叱責(しっせき)する――といった不適切保育が新たに確認された。現在、働いている保育士による行為もあったという。
市は運営法人に対する改善勧告で、不適切保育の再発防止を徹底するほか、保育現場と運営法人にそれぞれ外部人材を登用すること、保護者の信頼回復に努めることなどを求めた。
22日夜には市が在園児や元園児の保護者を対象に説明会を開催し、これまでの経緯や改善勧告の内容を説明。3月に実施した園への特別指導監査の結果も報告した。
監査では、園が障害児を受け入れるために職員を配置した場合に支払われる加算金を受け取っていたのに実際は職員が配置されておらず、不適切な処理をした疑いがあると指摘。職員の勤務管理や帳簿の作成が適正に行われていなかったことなども判明したという。
市は今後、園の会計処理を詳しく調べ、加算金の過払い分の返還を求める一方で、外部の有識者や市の保育職員を園に派遣する方針。担当者は「市としても率先して園の改善を進め、不適切保育の再発防止に努めていく」と話した。(朝日新聞より)
ときどきセミナーで「二人組になってお互いの共通点をみつけましょう」というワークショップをやることがあります。これをすると、一気にセミナーが楽しい雰囲気になり盛り上がるという、講師としての目論見があるのですが・・・ただそれだけでなく、思わぬ共通点を見つけると、それをきっかけに仲良くなっていいご縁に発展することもあるからです。人は、見つけようとすれば、結構ニッチな、ローカルな?共通点は見つかるものです。どんな相手であっても、なにかしら共通するものがあると、それが「共感」「親近感」になり、「仲間意識」になっていきます。
私は、共通点を見つけると「私たち」という言葉で、仲間にしてしまいます。職場の中で苦手な人がいても、対立する人がいても、同じ会社で働いていて、同じ目的を共有しています。「私たちは、ここを注意した方がいいですね」「私たちがやってきたことの成果は、ちゃんと現れていますね」というように「私たち」という言葉をつかうと、人間関係が不思議にも和らいでいきます。
近しい人にも「私たち、いい経験したね」「私たちって、そういうところあるよね」などと言って、同じことを共有していることで、かけがえのない相手に感じられます。また相手に「~してほしい」という要求するよりも「私たちがやるべきことは~だよね」というに
一緒に解決しようとする姿勢の方が相手もすんなりと受け入れられるでしょう。
ただし、「わたしたち」という共通性と同じくらいに大切なことは「それぞれが違う点もある」というように双方の「違い」も尊重することです。「私たち」と「それぞれ」を使い分けて、いい距離感をもつことが、いい人間関係をつくるコツのようです。
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全国の保育所で昨年4月~12月、子どもの心身に有害な影響を及ぼす「不適切」な保育が計914件確認された。うち虐待と認定されたのは90件に上る。
こども家庭庁が、全国の市区町村を対象に行った初の実態調査である。園児への脅迫的な言葉がけや乱暴な関わりについて、保育所などから情報が寄せられた事例を尋ねた。
都道府県別では東京が173件と最多で、岐阜、神奈川と続く。虐待の認定も東京が最多(24件)で、次いで静岡、愛知など。長野県内は不適切保育が55件で、虐待のケースはなかった。
被害を訴えることが難しい乳幼児への虐待は、決して見逃されてはならない。保育所での虐待について自治体への通報を義務づける児童福祉法の改正も必要になる。
一方、保育が不適切かどうかの見極めは難しい。保育所や自治体の間で捉え方にばらつきがあることが、調査から浮かび上がる。
同庁が市区町村と並行して行った全保育所への調査では、約7割が不適切保育はゼロと答えた。片や82施設は31件以上と回答。結果として、全体の0・4%の施設で全件数の約4割を占めた。
こうした実態を受け、同庁は不適切保育の考え方を整理してガイドラインをまとめた。
虐待については身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4類型とし、たたく、蹴るなど暴力や、部屋の外に閉め出す、おむつを替えない、無視したり他の子どもと差別したりするといった例を示している。不適切保育の具体例には言及していない。
「不適切」かどうかの判断は、場面によっても異なる。線引きの厳密さにこだわるよりも、子どもの育つ権利を守る「適切」な保育の環境を整えることで、不適切保育を防いでいきたい。
子どもの人権を擁護し、専門知識や技術を高めるには、保育士が学べる機会が重要になる。
職場のコミュニケーションも大切だ。イライラして強い口調になる。食べ物をこぼした園児をとがめてしまう―。こうした保育士の言動に周りが気づいたとき、声がけができるかどうか。
現状は、ぎりぎりの人数で毎日の業務に追われ、園児への目配りさえ十分とは言い難い。要因の一つが、先進国最低レベルとされる国の保育士の配置基準にある。
慢性的な人手不足が、不適切保育の温床になっている。保育士の待遇の改善こそ、こども家庭庁が優先すべき仕事である。(毎日新聞社説より)
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A,パワハラに関し実際に何をすればパワハラになるのか、十分に理解できている方は以外と少ないのではないでしょうか。そのため本来、部下を指導監督する上司が、これはパワハラにあたるのか、などと判断に迷ってしまうこともあると思います。さらに本設問のようにちょっと厳しく注意すると部下から「パワハラだ」などと言われてしまうようでは、上司としては、注意すること自体出来なくなってしまいます。そこで、まずはパワハラに関する基本的な考え方について検討したいと思います。
パワハラにつては、法律上の定義があるわけではありませんが、裁判例によると、「合理的理由のない、単なる厳しい指導の範疇を超えた、いわゆるパワーハラスメント」(名古屋高裁H19・10・31)「人格、存在自体を否定するもの」(東京地裁H19・10・15)といった要素が挙げられています。
また厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」(H24年1月30日)は「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義しています。
つまり注意指導そのものがパワハラにあたるものではなく、注意指導の程度や態様が度を越している場合にはパワハラにあたる可能性があるということになります。裁判上も、注意指導の目的は正当なものであったとしても、感情的になって大きな声を出したり、部下の人間性を否定するかのような表現を用いて叱責した点などは「社会通念上、許容される範囲を超える」としています。
また、ご質問のように、パワハラのとらえ方としてよくあるものが「相手がパワハラと感じたらパワハラ行為になる」などと、あたかも相手の感じ方でパワハラ行為か否かが決まってしまうといったような誤った認識があります。このような認識が原因で、必要に応じて部下を強く指導・教育する必要があっても、それを躊躇してしまうようなこともあるのではないかと思います。重要なことは、「相手がその行為をどう感じたかではなく」、その行為自体に「社会通念上、許容される範囲を超える」ところがあったか否か、ということになります。
さて、御質問のケースでは、上司は部下の誤字脱字が多いことを、業務を対象にして注意指導を行っていると言えます。しかしながら部下は注意されたにも関わらず改善されないだけでなく、反抗的な態度をとってきたとのことですから、その分厳しく注意するのは当然と言えます。もちろん、先に述べた人格否定を行う、大声で怒鳴るといった注意指導は行き過ぎですが、そうでない限り、上司の注意指導はパワハラとはいえないでしょう。注意指導を行うときには、くれぐれも冷静に行うことが大切です。
また、最近はスマホなどを使用し、指導教育の内容を「無断録音」されているようなケースも多いのではないかと思います。この場合、当然ながら「言った、言わない」という話にはならないわけで録音された発言が、それに該当するか否かが判断されるわけです。このことを踏まえると、いつも録音されているという認識をもつことで、自身の言動の抑止力にもなり、冷静な態度で指導教育が行われるのではないでしょうか。
以上
パーソナルエージェントは、保育士口コミ・求人サイト「ほいくビュー」を4月26日にリニューアルオープンした。
同サイトは、保育士専門の求人サイト。保育観を可視化することで、より高いレベルでの人材と職場のマッチングを目指す。また、姉妹サイト「保育士のミカタ」に掲載される保育士の投稿口コミ情報も、求人情報と共に閲覧可能。転職・就職活動中の保育士が、安心かつ効率的に利用でき、入職後のミスマッチを防ぐという。
今回のリニューアルにより、保育士を募集する施設側は、求人公開~採用決定までサービスを何度も無料で利用できるようになったとのこと。

だれかと一緒にいる時間を楽しむためには、一人に時間が必要。
対極にあるようですが、どちらの時間もあってこそ、自分を幸せに生きられると実感するものです。
人間関係とは、人との関係である前に、自分との関係が基本になっているからです。
私たちは、人間関係の中でつねに何かの役割を全うしようとしています。仕事人、母親、妻
子ども、恋人、友人・・・どんなに近しい関係でも、四六時中一緒にいると生きぐるしくなり、疲れてしまうでしょう。
もちろん、人と関わることでの喜びは計り知れません。
人間関係を通して成長できる事。ほとのために何かができる事。認めてもらえること。理解し合えること。支えられていること。愛し愛されること・・・・。そんな人としての幸せをしみじみ味わうためにも、本来の自分に戻るために時間は必要なのです。忙しければ、忙しいほど、わずかでもほっとできるひとりの時間が貴重であることは、誰も感じたことがあるでしょう。様々な人間関係から少し離れると、客観的に見えてくるものがあります。「あんなことを言われてカッとしたけれど、感情的になることでもなかったかも」とか「自分なりに頑張ったのだからあれはあれでよかった」とか・・・。自分の心の声に耳を傾けるかどうかで、人生に深みはまったく違ってきます。
ひとりでいる時間は、何もしていないようでも、無意識に頭を整理して、何かを創り出している時間でもあります。インスピレーションがあったり、いいアイデアを思いついたりするのも、一人でいるときが多いはずです。自由にやりたいことをやったり、没頭するのもいいでしょう。一人の時間がどんな人にも必要であり、自分を生きようとする贅沢な時間です。
なかなか一人になれないという人も、通勤時間やお風呂の時間、寝る前の10分など、テレビやスマホから離れて、自分だけの時間を過ごす時間を作ってみてください。
心の中に自分は、いつもあなたとおしゃべりしたがっています。自分を大切にする人は、人を大切にできるようになります。やさしさの基本になっているのは、こころの余裕なのです。
(「上機嫌にいきる」より)
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A、何をどのように頑張れば、階層を上がっていくことができるのかを決めるのが、
キャリアパスの中で最も重要なルールのひとつである「任用要件・昇格条件」です。
この任用要件を決定して、職員にオープンにし丁寧に説明することが必要です。尚、任用要件では、次の4つの視点で検討をすすめれば良いと考えています
- 前等級における最低勤務年数
「リーダーを最低3年やらないと主任は務まらない」というような発想があると思いますが、このような考え方を昇格の条件として、1級は2年以上、2級は3年以上などのような形で採り入れます。そして各階層の滞留年数を決めます。つまり昇格を考えるときにも、この年数経過が一つの要件になります。 - 資格
それぞれの等級で取得してほしい資格を昇格の条件として用いるという考え方です。 - 実務経験
「優秀なケアスタッフだったのに、リーダーにしたらプレッシャーから力を発揮できず、結局もとの立場に戻さざるを得なくなった・・・」などというミスマッチをなくすために、指導監督職(主任等)になる前に、一般職の間に、一度でも委員会の委員長や行事のリーダー等をつとめた経験がある事などを、昇格条件にするケースもあります。少し大きな事業所では、複数の事業所を経験していないと(異動していないと)管理者になれないというルールもこの類です。 - 人事評価
人事評価制度を取り入れている事業所では、必ずといっていいほど、その結果を昇格の条件に用いています。「階層に求められる業務ができているか」を評価しているのであれば、その結果を次の段階に進めるか否かの判断基準に加えるというのは、極めて合理的な方法です
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①医療分野キャリアパス
クリニック人事サポートパック(評価制度、賃金制度の作成) | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
②介護分野キャリアパス
処遇改善加算対応キャリアパス構築コンサルティング | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
③保育園のキャリアパス
保育士キャリアアップの仕組みサポートパック | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
A,
育児時間は、1 歳未満の子どもを育てる女性職員が取得できるものであり、1 日2 回、各 30 分の授乳を想定して創設された制度です。利用目的は限定されていないため、対象となる職員が請求したときには、子どもの保育園の送迎時間などに利用することができます。また、育児短時間勤務と併せて取ることもできます。
詳細解説:
1.育児時間と育児短時間勤務生後 1 歳未満の子(養子も含む)を育てる女性職員は、休憩時間とは別に、1 日 2 回、各々少なくとも 30 分の育児時間を取得することができます(労働基準法第 67 条)。育児時間は、元々授乳を想定して創設された制度ですが、利用の目的は授乳に限られていないため、子どもを保育園に送迎する時間や職場内での搾乳をする時間などに充てることができます。また、今回の質問のように、所定労働時間を原則 6 時間に短縮できる育児短時間勤務と併用して取得することができます。
2.育児時間を取得する時間帯
育児時間を 1 日のうちどの時間帯に取得するか(取得できるか)について、法令上の定めはありません。例えば、本来の目的である授乳のために、労働時間の中途で取得することの他、子どもの保育園の送迎のために始業時刻に接続して取得することで、出勤を 30 分遅らせることもできます。さらに、1 日 2 回の育児時間を合わせて 1 時間として取得することもできます。
3.育児時間を取得した際の賃金
育児時間を取得した時間に対する賃金の支払いについて、法令上の定めはありません。育児に対する配慮の一環として有給とすることも考えられますが、実際に労務の提供がないことから、ノーワーク・ノーペイの原則により賃金を支給しないことも可能です。他の職員とのバランスも勘案し、疑義が生じないように、あらかじめ就業規則等で賃金の取扱いを定めておくべきでしょう。
育児短時間勤務と育児時間を併せて取得することで、復帰する職員の労働時間は相当短くなり、他の職員に負荷がかかることが想定されます。一方で、育児時間を取得できることが出産後の早めの復帰を促すことのできる方策の一つにもなるのでしょう。そのような観点から、出産や育児等に係る制度を考えてみることもお勧めします。
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社会保険労務士顧問業務 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
報酬基準 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
橋本 明元(王宮 道頓堀ホテル専務) ※『致知』2016年8月号【最新号】
※特集「思いを伝承する」より
そのためには大きく3つのことが大事ではないかなと思いましてね。
一つは自分たちの意見を聞いてくれる土壌があるかどうか。
当時、ある女性社員から「女性化粧室に姿見を置いてほしい」
と言われたんですよ。男性の私からすると、そんなの要るのかなと
思ったんですけど、買ったんです。
そうしたら、その鏡を誰に言われることもなく綺麗に拭くようになったんですよ。
で、同僚や後輩に「これ私の意見やで」と言っているのを聞いて、
社員さんは自分の意見を聞いてほしい、会社に貢献したいと思っているんだなと。
それで、改善提案制度を導入し、目安箱に自由に意見を書いて放り込めるようにしました。
一切強制はしないのに、もう改善提案の嵐ですね(笑)。
最近は、改善提案したことに対して後でいちいち上役の許可を
取るのもどうかなと思って、一回あたり20万円以内であれば
自由に使っていいことにしています。
──社員に決裁権を与えていると。いわゆる経営者ですよね。
自分で責任を持ってお金を使うことによって
経営感覚が身につくし、会社への愛着も湧くと思います。
二つ目が、会社や経営者が自分のことを大事にしてくれている
という実感があるかどうか。
例えば福利厚生の面では、病院代は全額無料ですし、本人だけではなく、
家族にも適用しています。入院しても手術しても、会社がすべて負担すると。
それ以外には、社員さんの誕生日はもちろん、その配偶者の方の誕生日にも
プレゼントを贈っています。
そこに手紙も添えて、旦那さんや奥さんの会社での活躍ぶりを綴り、
それはご家族の支えのおかげですよ、と心からの感謝を伝える。
そうすると、しんどい時があってもご家族が味方になってくれて、
踏ん張れると思うんです。
──社員のみならず、その家族も大事にされているのですね。
そして三つめが使命感。
自分の仕事が社会の役に立っつている実感があるかどうか。
弊社の使命は「世界中の人に日本の文化・おもてなしを体験 体感していただき
心に残る思い出づくりのお手伝いをします。そして一人でも多くの方が日本を好きに
なってくれるよう努力します」というものです。
みんなが「日本をすきになってもらうんや」とイキイキしながらイベントの企画
や運営まですべてをやっています。
社会の役に立つというと、ついボランティアとか寄付にいきがちですよね。たしかに
それも大事なことで、わたしたちも毎日ホテル周辺の清掃活動を主体的にやっています。
でもそれ以上に大事なのは普段の仕事そのものが社会の役に立っているという実感を
もつことではないでしょうか。
いかがでしょうか。業界は違えど、人材マネジメントに共通している「社員のやりがい」の醸成
という意味では、参考になるかもしれません。
A, 当該社員は定年迎えるということで、定年後再雇用をしないということが考えられますが、それが出来るかどうかが問題になるところです。
平成25年4月1日より改正高年齢者等の雇用の安定等の関する法律が施行されています。この改正では、定年に達した人を引き続き雇用する「雇用継続制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みが廃止されました。ただ、従来このような仕組みを設けていた場合には、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢(令和4年3月31日までであれば63歳)を超える年齢の者について、なお雇用継続制度の対象者を限定する基準を定めることは可能となります。
逆にいうと、60歳定年で雇用継続制度をとっている場合、本人が希望するときは、解雇事由や退職事由にあたる事由がないかぎり、少なくとも上記支給開始までは再雇用する必要があります。再雇用基準を適用できるのは上記支給開始年齢を超えて再雇用するかどうかを判断するときになります。
従って、御質問にある問題社員が再雇用を希望した場合、その時に再雇用基準を満たしていなかったとしても、少なくとも上記支給開始年齢までは再雇用をする必要があります。
2,解雇することはできるのか
仮に再雇用拒否が出来ない場合でも客観的合理性と社会的相当性の要件を満たしていれば解雇することはできます。ご質問のケースでは、当該社員は仕事も出来ず協調性もないとのことですので、解雇できるかどうかのポイントとしては、その問題事由を裏付ける客観的事実、問題性の程度、そして何度も注意指導しても改善しなかったという「改善可能性」が無いことや、他の部署に配転して解雇を回避する余地がないか、などが焦点になります。
実際のケースでは、十分な注意指導が出来ておらず、直ちに解雇するのは難しいというケースが見受けられます。そのような場合には、一端、再雇用したうえで、当該社員の問題状況や注意指導の履歴を記録化するようにして、契約更新の段階で雇止めを検討するという方法も考えられます。ただ、社内で長年キャリアを積んだ年長社員に対して、どれだけの指導教育ができるかについては、現実的にかなり難しい部分もあるのではないでしょうか。
3,労働条件を変更することはできるか
定年後再雇用とする場合、雇用契約を締結しなおすことになりますので、その際に労働条件(給与、職種、業務内容)を改定し提示することは可能です。ただ、どのような変更をしてもいいかというと、厚労省Q&Aによれば、継続雇用高齢者の安定した雇用を確保するという趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金など雇用に関するルールの範囲内で事業主と労働者の間で決めることが出来るとされています。そして最終的に合意できなかった場合でも、事業主が合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば結果的に継続雇用に至らなかったとしても、法律違反になることはないとしています。
4,事業主側として現実的な対処方法としては。
ご質問のケースのような場合、当該社員との雇用継続が難しいということであれば、実務対応としては、当該社員にこれまでの勤務をねぎらいつつも、会社の評価を伝えて、まずは退職勧奨を試みるのが現実的な対応であると考えます。また、場合によっては割り増し退職金を支払う等の方法も考えられるところです。
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