福祉
コロナ禍を踏まえ各サービスの介護報酬を0.1%上乗せしている現行の特例措置について、15日の衆院・厚生労働委員会の閉会中審査では、与党の議員から政府に延長を求める声が相次いだ。田村憲久厚労相はこれを受け、「財務大臣としっかり話をしたい。現場の実態を踏まえて対応を検討していきたい」と前向な姿勢。
コロナ禍を踏まえ各サービスの介護報酬を0.1%上乗せしている現行の特例措置について、15日の衆院・厚生労働委員会の閉会中審査では、与党の議員から政府に延長を求める声が相次いだ。田村憲久厚労相はこれを受け、「財務大臣としっかり話をしたい。現場の実態を踏まえて対応を検討していきたい」と前向きな姿勢をみせた。
一方、財務省の船橋利実大臣政務官は、「財務省としては、コロナ患者の診療・治療への支援を更に充実していくことが重要と考えている。引き続き厚労省と対応を協議していく」と述べるにとどめた。
この特例措置は、コロナ禍で"かかり増し経費"が生じている介護現場などを支えるためのもの。今年4月、介護報酬改定の際に9月末までの時限措置として導入された。介護現場の関係者らは現在、「徹底した感染防止策が必要な状況は全く変わっていない」などと訴え、来月以降も継続するよう国に働きかけている。
この日の委員会では、自民党の橋本岳議員が「感染拡大が少し収まる方向へ向かっているとはいえ、まだ次の波も考えなければいけない状況。9月末での打ち切りはあり得ない」と主張。公明党の伊佐進一議員も、「まだまだ油断できない状況下で、現場には引き続き感染防止策に取り組んで頂かなければいけない。(特例措置を)続けるべきだ」と要請した。(介護ニュースより)
特養の経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会は15日、介護報酬の加算の算定状況に関する独自の調査結果を公表した。
今年度に創設された「科学的介護推進体制加算」について、7月サービス提供分で特養の49.5%、通所介護の41.1%が算定したと報告している。全国老施協の担当者は、「新たな取り組みに積極的な施設が回答している可能性もある」と話した。
この調査は先月、老施協の会員を対象としてWebで実施されたもの。特養の2252施設、通所介護の1564事業所から有効な回答を得ている。
令和3年7月加算算定状況調査を実施
科学的介護推進体制加算は、今年度から本格的な運用が始まった「LIFE(科学的介護情報システム)」の活用を促すインセンティブとして、4月の介護報酬改定で各サービスに導入されたもの。調査ではLIFEの登録状況も尋ねており、特養の81.2%、通所介護の68.8%が「登録した」と答えている。
全国老施協の小泉立志副会長はこうした調査結果を踏まえ、「LIFEを導入しなければ収入増は見込めないのが現実。多くの事業者がそうした点を十分心得て、導入へ積極的な姿勢を示している」との認識を示した。
そのうえで、LIFEの有効性への疑問や職員の負担の増大など様々な相談が寄せられていると説明。「スタートからしばらくは有用なフィードバックも見込めないので、当面は現場の負担感に比してメリットは得られにくい。そのことに対する不満、不安は当然あると思う」と指摘した。あわせて以下のように語っている。
「一朝一夕に成果が得られるものではない。最初のうちはデータ集積に重点が置かれるが、有効なビッグデータを構築することで、科学的根拠に基づいた最適な介護を効率よく提供できるようになると期待されている。真の科学的介護を実現するためにも、介護業界が一丸となって取り組まなければならない」(介護ニュースより)
今年度の介護報酬改定の効果を検証しつつ、次の2024年度改定をめぐる議論で使うデータも集める − 。こうした目的で実施する今年度の調査の内容を、厚生労働省は10日の専門家会議で固めた。
新たなデータベース「LIFE(科学的介護情報システム)」の調査が柱の1つ。関連加算を算定している事業所の現状、課題などを把握し、より有効に機能させるために講じる施策の立案につなげる。また、LIFEへの登録がない事業所にもアンケートで考え方を聞く。
介護報酬改定検証・研究委員会資料
厚労省はあわせて、関連加算をまだ設けていない訪問介護、訪問看護、居宅介護支援などにも焦点を当てる。データ提出やフィードバックを試行するモデル事業を行い、具体的なユースケースなどを検討。この領域でもLIFEを活用できないか、関連加算を導入できないか可能性を探っていく。
モデル事業のスケールは、サービスごとに10事業所ほどを想定。例えば居宅介護支援では、LIFEに対応している通所介護のフィードバックをケアプランの見直しに活かす取り組みなどをテストし、課題の洗い出しを図る。
厚労省はこうした内容を今月末の審議会で正式に決める予定。来月にも調査を始め、今年度末に結果を報告する計画だ。
「かなりチャレンジングな調査になる」。専門家会議の松田晋哉委員長(産業医科大学教授)はそう指摘。訪問介護や居宅介護支援などのモデル事業について、
「LIFE活用の経験者はまだ少ない。伴走型で進めていく方法が合理的」と説明した。
このほか、「本当の意味で利用者のためになるのか、という視点が重要」「ICTをうまく使いこなせない事業所の実態把握、対応策も不可欠」などの声もあがった。
(介護ニュースより)
厚生労働省は15日、全国の高齢者施設でこれまでに発生した新型コロナウイルスのクラスターの発生件数が、9月13日0時の時点で計1953件にのぼったと明らかにした。
前週から34件増えた。デルタ株の影響などで一時は増加傾向が鮮明となったが、この2週はほぼ横ばいで推移。介護現場はリソースも乏しいなか必死の感染防止策を長く続けており、速やかな支援策の拡充が求められている。
田村憲久厚労相は15日の衆院・厚労委員会の閉会中審査で、「新規感染者数は全国的にかなりのスピードで減ってきているが、今後の動向を注視しなければいけない。冬場になるとより換気しずらいとなったが、この2週はほぼ横ばいで推移。介護現場はリソースも乏しいなか必死の感染防止策を長く続けており、速やかな支援策の拡充が求められている。(介護ニュース)
《 厚労省 》
厚生労働省は8日、全国の福祉施設でこれまでに発生した新型コロナウイルスのクラスターの件数が3000件を超えたと発表した。
8日0時の時点で3107件。2955件だった前週から152件増えた。この4週間で約500件(497件)増加している。
福祉施設の中で最も多いのは高齢者福祉施設の1919件。全体の62%を占めている。このほか、障害者福祉施設が330件(11%)、児童福祉施設が858件(28%)となっている。
福祉施設のクラスターは、現場を支える職員の懸命の努力もあって一時は低水準に抑えられていた。ただ、感染力の強いデルタ株が猛威を振るう今回の第5波で再び状況が悪化。高齢者福祉施設で増加に転じたほか、児童福祉施設での発生が目立つことも最近の特徴と言える。前週からの増加幅をみると、高齢者福祉施設が35件、障害者福祉施設が20件、児童福祉施設が97件となっている。
専門家で構成する厚生労働省のアドバイザリーボードは8日の会合で、「ほぼ全ての地域で感染者の減少が続いているが、引き続き災害レベルの状況にあるとの認識での対応が必要」と指摘。「冬に向けて更に厳しい感染状況が生じる可能性もある」と改めて警戒を呼びかけた。(介護ニュースより)
政府は9日の新型コロナウイルス対策本部で、今後の日常生活の回復に向けた考え方を決定した。ワクチンの接種と検査での陰性を組み合わせて行動制限を緩和していく内容だが、介護現場の取り扱いはどうなっているのか。
今回の政府の決定には、介護施設の入所や面会などをどう考えるかという記載がない。9日夜に取材対応にあたった内閣官房の担当者は、「これからの議論だということ」と説明。その特性を考慮して更に検討を深めていく構えをみせた。
専門家らが今月3日にまとめた提言には、介護施設の入所や面会などに「ワクチン・検査パッケージ」を活用する案が盛り込まれていた。
西村康稔経済再生担当相は9日夜の会見で、「どんな場面で『ワクチン・検査パッケージ』を使えばいいのか。幅広い理解と協力を得なければいけない。国民的な議論を経て具体化していきたい」と説明。「介護施設でワクチンを2回接種した高齢者が感染する例も少し出始めている」とも述べた。
会見に同席した政府分科会の尾身茂会長は、「色々な選択肢があるが、まずは国民の共感や納得を得られなければうまく機能しない。政府が一方的に進めるようなことは避けるべき」と注文した。
政府は全ての希望者が2回のワクチン接種を終える11月頃から、「ワクチン・検査パッケージ」の運用を始めたい考え。今回の決定には、「ワクチンを接種していない人が不利益を被ることの無いよう十分に配慮する必要がある」と明記した。(介護ニュースより)
平時には無い負担がのしかかる状況は今も変わっておらず、トンネルの出口も一向に見えてこない − 。そう訴えている。
老健施設の経営者らで組織する全国老人保健施設協会は7日、日本認知症グループホーム協会とともに田村憲久厚生労働相へ要望書を提出した。公式サイトで明らかにしている。
新型コロナウイルス感染症に対応する特例的な評価の延長について
今年4月の介護報酬改定で導入された特例措置の話だ。国は現在、全サービスの基本報酬を9月までという期限付きで0.1%上乗せしている。コロナ禍で介護現場に"かかり増し経費"が生じていることを踏まえたもの。全老健などはこれを来月以降も存続させるよう求めた。
要望書では、変異ウイルス「デルタ株」の猛威などで全国的に感染が急拡大している現状に触れ、「施設・事業所では日々、様々な感染症対策を継続せざるを得ない」と説明。「医療機関の病床のひっ迫により、介護現場も陽性者の対応に追われ大変疲弊している」とも指摘し、特例措置の継続を強く主張した。
このほか、全国介護事業者連盟や全国老人福祉施設協議会なども同様の要望書を国へ提出している。全国老施協は慰労金の再支給も注文。政府・与党が追加の経済対策を策定するのを前に、介護関係団体の働きかけもより活発になっている。(介護ニュースより)
新たに介護業界へ入って働き始める未経験の人に最大20万円を支払う制度について、厚生労働省は来年度に向けて要件の見直しを検討していく。
初任者研修などを受けて介護職員になれば最大20万円を"就職支援金"として貸し、そのまま仕事を2年間続ければ返済を免除する − 。これが現行の制度だ。
注:介護職員になってから初任者研修などを受ける順序でも可。
厚労省が見直しを検討するのは、"2年間働く"という返済免除の条件。今後、来年度から弾力化、あるいは緩和することができないか調整していく。制度の使い勝手を向上させ、新規参入の呼び水としての機能を強化したい考えだ。
この制度は今年度から導入されたもの。深刻な人手不足の解消を図る施策の一環で、転職を考えている他分野の人に介護現場へ目を向けてもらう狙いがある。
自治体の任意事業という位置付けで、実際にこれを行うかどうかは都道府県の判断。厚労省は今後、全ての都道府県に制度を運用するよう重ねて要請していく構えだ。これまでの通知では現場の関係者らに対し、「実施時期などは都道府県によって異なる。詳細は都道府県の"地域医療介護総合確保基金"の担当部局へお問い合わせを」などと呼びかけている。
各都道府県の問合せ先などはこちら
この制度は主に無資格者、未経験者が対象だが、厚労省は介護現場を離れた有資格者、経験者が復帰する際に最大40万円を貸す同様の制度も用意している。また、介護福祉士の資格を目指して養成校へ通う人らに入学準備金、就職準備金などを貸す制度も設けており、いずれも継続的に展開していく方針だ。先月末に財務省へ提出した来年度予算の概算要求には、これらの財源を上積みするための費用として6.5億円を計上した。(介護ニュースより)
SOMPOケアは7日、今年度からグループの全社員を対象としてユマニチュードの研修を行っていく計画を発表した.
認知症の高齢者に対するサービスの質の向上につなげる狙い。「高齢社会を支えるリーディングカンパニーとして専門性の高いケアを追求していく。職員のモチベーションの維持・向上にもつながる」と説明している。
現場を支える介護職にとどまらず、利用者と接する機会の少ない本社勤務の社員なども全て対象とする方針。SOMPOケアの担当者は、「ユマニチュードはあらゆる対人援助の場面で活かせる。全社一丸となって高齢社会を支える一助になることを目指す」と話している。
全社員を対象に「ユマニチュード入門オープン研修」を開始
ユマニチュードは、知覚・感情・言語による包括的なコミュニケーションに基づくフランス発のケア技法。「ケアをする人とは」「人とは何者か」と問う哲学と、それに基づく実践的なテクニックから成り立っている。日本では2012年頃から展開されてきた経緯がある。
SOMPOケアは既に今年5月から研修を開始。今年度は約1200人の受講を見込んでおり、8月現在で約500人が修了しているという。担当者によると、来年度は新卒・キャリア採用あわせて約2000人の受講が計画されている。(介護ニュースより)
新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等により仕事を休まざるをえない保護者が増加しており、職場によってはいくらかの混乱も発生しているようです。厚生労働省では、こうした労働者を支援するため、今後、以下のとおり、「小学校休業等対応助成金・支援金」制度を再開するとともに、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の仕組みにより、労働者が直接申請することを可能とする予定であることを発表しました。その概要は以下のとおりです。
1.「小学校休業等対応助成金・支援金」制度の再開
令和2年度に実施していた「小学校休業等対応助成金・支援金」制度を再開する予定。
※令和3年9月1日以降12月31日までに取得した休暇を対象とする予定
※現在実施している「両立支援等助成金 育児休業等支援コース 新型コロナウイルス感染症対応特例」は、令和3年7月31日までに取得した休暇が対象となるものとする予定
[参考:令和2年度に実施していた小学校休業等対応助成金・支援金の概要]
●支給対象者
・ 子どもの世話を保護者として行うことが必要となった労働者に対し、有給(賃金全額支給)の休暇 (労働基準法上の年次有給休暇を除く。)を取得させた事業主
・ 子どもの世話を行うことが必要となった保護者であって、委託を受けて個人で仕事をする者
●対象となる子ども
① 新型コロナウイルス感染症への対応として、ガイドライン等に基づき、臨時休業等をした小学校等 (※)に通う子ども
※ 小学校等:小学校、義務教育学校の前期課程、特別支援学校、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等
② ⅰ)~ⅲ)のいずれかに該当し、小学校等を休むことが必要な子ども
ⅰ)新型コロナウイルスに感染した子ども
ⅱ)風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある子ども
ⅲ)医療的ケアが日常的に必要な子ども又は新型コロナウイルスに感染した場合に重症化するリスクの高い基礎疾患等を有する子ども
2.「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」の再開
「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」を今後全国の都道府県労働局に設置し、労働者からの「(企業に)この助成金を利用してもらいたい」等のご相談内容に応じて、事業主への小学校休業等対応助成金の活用の働きかけを行う予定
3.新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の仕組みによる申請
昨年度と同様に、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の仕組みにより、労働者が直接申請できることとする対応も行う予定
※当該労働者を休業させたとする扱いに事業主が同意することが必要
※休業支援金・給付金は現在のところ11月末までの休業が対象ですが、今後の取扱いについては、雇用情勢等を踏まえて10月中に示される予定
まずは方針が示された段階ですので、実務としては詳細の情報を待つこととしましょう。