コラム
処遇改善加算の新要件を一気に攻略!
キャリアパス要件 × 生産性向上要件 実践セミナー
2025年度末までに押さえるべきポイントと現場実装のコツ
主催:社労士法人ヒューマンスキルコンサルティング × 株式会社ビーブリッド
今年9月に実施したセミナーのアーカイブ配信を行います。
下記チラシの「問い合わせ窓口」へお申し込みください。
FAX原稿9月17日開催_処遇改善加算セミナー(アーカイブ申込FAX用)
厚生労働省は12日、来年度の介護報酬の臨時改定で6月から「処遇改善加算」を拡充する方針を固めた。
対象サービスを居宅介護支援や訪問看護などにも拡大し、幅広い介護従事者の賃上げを進める。新たに対象となるサービスについては、生産性の向上や職場環境の改善を促す取得要件を設ける。
同日に開催した審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で提案。委員から大筋で了承を得た。
今回、新たに対象となるのは居宅介護支援、介護予防支援、訪問看護、訪問リハビリテーションなど。厚労省はこれらの事業所に、「処遇改善加算」の最下位の「加算Ⅳ」に準ずる取り組みを求める意向を示した。
具体的には、既存の「キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ」と「職場環境等要件」を適用する。職位・職責に応じた任用要件や賃金体系の整備、研修機会の確保などに加え、生産性の向上や働きやすい職場づくりの取り組みを取得要件とする(*)。
* キャリアパス要件Ⅰ
職位・職責・職務内容に応じた任用要件を定め、それに応じた賃金体系を整備する。
* キャリアパス要件Ⅱ
資質向上のための目標や計画を策定し、研修機会の確保や能力評価、資格取得の支援などを行う。
* 職場環境等要件
入職促進、資質向上やキャリアアップの支援、多様な働き方の推進、心身の健康管理、生産性の向上、働きがいの醸成といった区分ごとに、それぞれ1つ以上(生産性の向上は2つ以上)取り組む。
これまで対象外だった事業所がこうした取得要件を満たすまでには時間がかかるため、厚労省は経過措置を設けると説明。来年度中の対応を誓約することで、年度当初からの取得を認めるとした。
あわせて、「ケアプランデータ連携システム」の導入などに取り組んでいれば、「キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ」と「職場環境等要件」の適用を免除する方針も打ち出した。
会合では委員から、「小規模な事業所への支援が必要」との声も上がった。厚労省は今後さらに調整を進め、来年度の臨時改定のアウトラインを年内に決定する。
クリニック専門の社会保険労務士として、多くの歯科医院から人事・労務のご相談を受けてきました。その中で感じるのは、「同じようなトラブルが、驚くほど繰り返されている」という事実です。
院長先生方は決して「ブラック」な考えを持っているわけではありません。むしろ、スタッフのことを思い、現場を大切にされている方がほとんどです。それでもトラブルが起きてしまうのは、人に頼る経営の限界と、ルールがないことによる誤解が原因であるケースが大半です。
スタッフ間の人間関係は「自然に良くなる」ことはありません
歯科医院で最も多いご相談が、スタッフ間の人間関係です。
「歯科衛生士同士の雰囲気が悪い」「ベテランスタッフが新人にきつく当たる」「注意したらパワハラだと言われた」など、内容はさまざまですが、根本は共通しています。
それは、指導の基準が曖昧なまま、個人の価値観に任せていることです。
「自分はこう教わってきた」「これくらい普通」という感覚の押し付けは、今の職場ではトラブルの火種になりやすく、特に若い世代ほど敏感に反応します。
小規模な歯科医院では、一人の不満が医院全体の空気を一気に悪化させることも珍しくありません。
残業代トラブルは「退職時」に突然表面化します
診療後の片付け、終礼、ミーティング、勉強会。
院長先生からすると「当然の業務」でも、スタッフ側から見ると「なぜ給与が出ないのか」という不満につながることがあります。
現場では、
「数分だから残業ではない」
「みんなやっているから問題ない」
という認識が根強く残っていますが、法律上は労働時間として扱われる可能性が高いケースが多くあります。
特に注意が必要なのは、在職中は何も言わなかったスタッフが、退職後に未払い残業代を請求してくるケースです。感情の問題ではなく、金銭トラブルとして一気に深刻化します。
評価や昇給の不満は、優秀な人ほど黙って辞めていきます
「なぜあの人は評価されているのか」
「頑張っても給料が上がらない」
このような不満が蓄積すると、スタッフは院長に相談するのではなく、転職を選びます。特に歯科衛生士は売り手市場であり、不満を抱えながら働き続ける理由がありません。
評価制度がない、あるいは院長の主観だけで決まっている医院では、不満を口にしない優秀な人材から先に辞めていく傾向があります。
「辞めてもらう」は、最もリスクの高い場面です
問題のあるスタッフへの対応も、歯科医院では大きな課題です。
「もう来なくていい」
「合わないから辞めてほしい」
この一言が、後に「不当解雇」として大きなトラブルになることがあります。就業規則がない、または懲戒や解雇のルールが曖昧なまま感情的に対応してしまうと、院長側が不利になるケースが少なくありません。
辞めさせたいと感じた時こそ、最も冷静で、手順を踏んだ対応が求められます。
妊娠・育児を巡る問題は「知らなかった」では済みません
女性スタッフの多い歯科医院では、産休・育休・時短勤務を巡るトラブルも頻発します。
「人手が足りないから無理」
「正直、困る」
院長先生の本音として理解できる部分もありますが、対応を誤ると法令違反となり、医院の信用にも大きく影響します。
重要なのは、感情論ではなく、制度としてどう対応するかを事前に決めておくことです。
人事トラブルの多くは「仕組み」で防げます
歯科医院の人事トラブルは、誰かが悪いから起きているのではありません。
ほとんどの場合、ルールがない、基準がない、相談先がないことが原因です。
就業規則の整備、評価制度の明確化、指導方法のルール化。
これらは「スタッフを縛るため」ではなく、院長とスタッフ双方を守るための仕組みです。
「うちはまだ大丈夫」と思っている医院ほど、トラブルが起きたときのダメージは大きくなります。何も起きていない今こそ、専門家の視点で足元を見直すことが、安定したクリニック経営につながります。
ChatGPTをはじめとする生成AIをめぐる動きが加速しています。
ニュース等でも最新の状況が連日のように報じられています。仕事柄、日常的にパソコンやインターネットに触れ、文書作成やメール送受信、ネット検索などのアプリケーションを使っていると、MicrosoftのCopilotやGoogleのGemini、Adobeの Fireflyなど、数多くの生成AIを利用するよう促されます。
保育分野も例外ではありません。三菱UFJリサーチ&コンサルティングがまとめた「保育施設等におけるICT導入状況等に関する調査研究事業」報告書によると、8割を超える教育・保育施設で何らかのICTを導入しています。
ただ、実際に日々の保育業務で活用しているICT機能を見ると、「園児の登園及び降園の管理に関する機能」68%、「保護者との連絡に関する機能」68%、「保育に係る計画 記録に関する機能」48%、「指導要録 児童票の作成に関する機能」37%、「職員間の連絡に関する機能」37%、「職員の出退勤管理に関する機能」36%といった具合で、必ずしも十分に使いこなせているわけではありません。
しかし、経営情報の見える化(「ここdeサーチ」を使って収益・費?、職員給与状況等の経営情報を報告・届出)や、こども誰でも通園制度に関する総合的な支援システムの運用が既に始まっているほか、ここ数年以内に保育現場・自治体業務のワンスオンリー化、保活ワンストップシステムなどが実装されていく予定です。これらに関するニュースも、しばしば目にし、耳にすることでしょう。
こうしたICTやDX、生成AIの世界とどう向き合って、教育・保育に関する業務の効率化・高度化をどう図っていくかが問われています。
誤解しないでいただきたいのは、保育という営みそのものは極めて人間くさい営みで、良い意味でアナログな世界だということです。その特性を大切にしつつ、一方で保育に係る園務や業務は効率化・高度化する必要があります。そのためには保育DXに積極的に取り組むことが不可欠な時代を迎えた、と受け止めなければなりません。
明治の大昔、電線を通じて声が届くなら荷物も届くだろうと、電線に風呂敷包みをぶら下げた人がいたという笑い話がありました(真偽のほどは別として)。FAXが普及し始めた時、書類をFAXした後、ちゃんと届いたかどうか相手に電話をかけたという話は、実話として聞き及んでいます。
人の温もりやアナログ的な良さを大切にしてきた保育の世界にあっては、ともすればデジタル化に対する誤解や先入観、思い込みが先行して、必要以上にDX不要論に固執する向きも見られます。
けれども、保育DXの大きな波は、否応なしに押し寄せてきます。大切なことは、保育人材の確保・定着を図ること、保育者の専門性を高めること、保育の質を上げること、ひいては保育の魅力を向上させることです。そのための有力な手段として保育DXをどう活かすかが問われています。
DXやデジタル化に無関心であったり、遠ざけたりする間に、保育や保育を取り巻く世界は一変していきます。
例えば、「キーボードで文字を打つより手書きのほうが簡単で早い」かもしれませんが、「手書きより音声で入力するほうがもっと楽で早い」し、さらには「音声で入力したものを自動でポイントを要約したほうが効果的でわかりやすい」という時代が来ています。
もちろんDXを過信してはいけませんが、この動きを無視していれば、やがて取り残されていくことになります。「見る前に飛べ」ではありませんが、まずはチャレンジして、試行錯誤しながら、少しずつ成果を実感していったらいかがでしょうか。
◆思い返すと、加算項目に「LIFE」が加えられた時にも同じような議論がありました。
「LIFE」とは、介護サービス利用者の心身状態やケア内容を全国規模でデータ収集(事業が登録)し、統計・標準化されたフィードバックを事業所に返す仕組みのこと。これにより、これまでの職員の経験・勘に頼りがちだったケア内容に対し、「実証に基づくケア(Evidence-based Care)」が可能となります。
また全国の類似サービスとの比較が可能になり、ケアの質の底上げにつながる期待についても強調されました。
今回の「ケアプラン連携システム」も同様であり、加えてデータ入力の簡素化やケアプランの共有・転記作業の削減など、事務負担軽減・業務効率化・生産性向上にも寄与する目的も言われています。例えば従来の紙ベースのやり取りがオンラインで完結するようになり、「作業にかかる時間」「心理的負担」の削減が見込まれる、という感じでしょうか。
◆国も将来的な全国的プラットフォーム(いわゆる介護情報基盤)の構築を視野に、現段階での「ケアプラン連携システム」「LIFE」の導入を強く促しています。
先述した加算項目への追加や、その他にも助成金やキャンペーン等で導入コストを抑えるよう呼びかけされるなど制度のバックアップも進んでいます。
こうした背景には、急速な高齢化と、それに伴う要介護者・要支援者の増加、それに伴い人手不足とコスト抑制を両立させなければならない介護保険制度の持続性という国全体の課題があります。
◆ただその一方で、制度の土台となるICTやデータシステム自体には、現場での実用性や導入/運用の負担感への懸念も根強くあります。
今回の、ケアプラン連携システムを処遇改善の条件にする案には反対意見も多く、実際に活用実績や利用率が低く認知もされていないじゃないかという指摘があります。
紙ベースや従来のやり方に慣れた事業所にとっては、移行に対する抵抗感もありますよね。またLIFEも含め現時点で「どこまで日常業務に組み込めるか」「費用対効果がどれほどか」「入力の手間や人的リソースがどの程度かかるか」という実務面での課題や疑問もあります。もっと言えば、制度として「LIFE利用=良質なケア」という図式が「本当にそうなの??」と思われているのではとも感じます。
現場の「人」が担うケアの質や温かみといった面が重視される業界です。
それでも、業界として(内容の精査や意見の反映は行いながら)従うべきと考えます。
◆まずは大きな話として、介護報酬や処遇改善を含めた制度維持・向上には、国民負担・限られた財源の中で「効率・公平・質の担保」がますます求められる実情にあること。ICTやビッグデータによる標準化・可視化は、その要請に応える現実的な手段です。
介護現場にとって、短期的には導入に伴う負担増が発生するかも知れませんが、長い目で見て情報連携による事務負担の軽減、またケアマネや介護職員の負荷軽減につながるとなれば、人材の離職防止や働きやすさ改善にも貢献します。
慢性的な人手不足の中では避けて通れない、重要な側面です。
またデータに基づいたケア設計は、事業所間、職員間の質のバラつきを是正する可能性があります。業界全体の質の底上げ、またしっかり取り組んでいる事業者が正当に評価されるためにもデータは必要です。
繰り返しになりますが、使い慣れるまでは入力や運用は大きな手間かも知れません。でも制度が整い、今よりもっとICTが普及して業界全体のリテラシーが上がることにより、将来的には「当たり前」のインフラになる可能性もあります。
『ケアプラン連携システムやLIFEを導入して何が変わんねん』との考えもあるでしょう。業界が抱える課題は多数・多岐にわたっており、個別の解決だけでなく全体としての最適解も議論する必要があります。
生産性向上が声高に叫ばれる今、分岐点なのだと思います。
A 1分単位が原則です。ただし、端数を切り上げる場合には15分単位、30分単位でも構いません。
切り上げにしないと給料未払いに
給与計算上、よくある質問ですが、基本は1分単位です。例えば、17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合、12分カットして30分の残業代を支払った場合、12分の就業に関する支払いは未払いになってしまいます。
休養計算上は楽だということで15分単位の取り入れている事業所はよくあります。もし15分単位とするなら切り上げでなければいけません。つまり17時までの就業時間で17時42分まで働いた場合には45分間の残業代を支払うことになります。管理の手間と数分プラスになる賃金のどちらをとるかの判断になります。
例外として、1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働の合計に1時間未満の端数が
ある場合には30分未満の端数の切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるといった端数処理は認められます。つまり月のトータル残業時間が3時間20分であった場合には3時間として、3時間40分であった場合を4時間とすることは可能です。
未払い残業は行政指導の対象に
残業代を未払いのまま労基署の監査が行われると「是正勧告書」「指導票」により行政指導が行われます。例えば3か月分の未払い残業の「遡及支払い」を命じられた場合、未払いとなっている時間数及び給料の額を3か月間さかのぼって計算し、当該スタッフへの不足額を支払うなど、まずは行政書道に従い原則対応することになります。
適切な時間管理とは
厚労省から平成13年に出された「労働時間の適正な把握のため講ずべき措置」では以下のように定められています。
- 労働日ごとに、何時から仕事を開始して、何時まで仕事をしたか、確認し記録すること。
- 使用者が自ら確認し記録するか、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を、適性に申告するように十分に説明すること。必要に応じて実態調査をすること。
- 労働時間の記録に関する書類は3年間保存すること。
労働時間の上限を設定して、上限を超える時間を切り捨てたり、そもそも労働時間の記録がないため「時間外労働がない」としたりしている場合には法律違反になります。
固定残業代として定額を支給する際には慎重に
固定残業代を設定すると仮に残業代が発生しない月があっても残業代を支払わなければなりません。しかも実際に行われた残業が想定された10時間を超えると、別途残業代の支払い義務が発生します。そのため実態を確認した上で「何時間分を固定で支払うか」を決めなければなりません。固定残業手当を適切に運用するためには次の三つが要件とされています。
- 基本給と割り増し賃金部分が明確に区分されていること
- 割増賃金部分には何時間分の残業が含まれているかが明確であること
- 上記②を超過した場合には、別途割増残業が支給されること
この方法は、残業が大体同じ時間発生している場合には適している方法ですが、月によって残業時間が大きく変動したり、人によってばらばらであったりする場合には、かえって管理が煩雑になる場合があります。導入によりメリットとデメリットをよく検討して慎重に判断する必要があります。
こども家庭庁はこのほど、子ども・子育て支援等分科会を開き、その中で「令和8年度予算編成過程で検討する保育所等の公定価格の見直しについて」の考え方が示されました。
それによると、子ども・子育て支援新制度が創設されて10年が経ち、この間、保育者の処遇改善等を行った結果、公定価格に係る予算額は約3倍にまで増えています。
ただ、今後は少子化がさらに進むことから、同庁が2024年12月に示した「保育政策の新たな方向性」を踏まえて、 待機児童対策を中心とした保育の量の拡大から地域のニーズに対応した質の高い保育の確保・充実、 全てのこどもの育ちと子育て家庭を支援する取組の推進に政策の軸を転換、保育人材の確保・テクノロジーの活用等による業務改善を進めることとしています。
こうした観点から、公定価格についても見直しを行うとして、次のような検討事項を挙げています(一部省略)。
○保育士・幼稚園教諭等の処遇改善について
○地域区分について
○配置改善について
○その他
・人口減少地域の保育所等における保育機能の確保・強化。
・保育現場におけるテクノロジー活用の推進。
・他の社会保障分野を踏まえた法令等に求められる取組(例:経営情報の公表、安全計画の策定)が行われていない場合の対応。
このうち、処遇改善については、今夏の人事院勧告を踏まえた人件費の単価の見直しが検討される予定で、昨年の人勧より改定率が高くなっているため、普通に考えれば昨年度の10.7%より高くなりそうですが、財政措置の大幅な増額が必要になることから、今の内閣においてどのような補正予算が組まれるのかわかりません。
配置改善に関しては、1歳児や4・5歳児の配置改善が実施されていますが、次なる改善を検討するため現在、保育士等の配置状況の調査が行われているところです。その結果も踏まえ今後の対応を検討するとしています。ただ、配置改善を行っても、そのための保育人材が確保できない施設が少なくないことから、人材確保の問題とセットで考える必要がありそうです。
今年度の見直しを見送った地域区分については、「隣接地域とこれまで以上に区分差が拡大し、保育人材の確保に影響が出るほか、事業運営や保育の質の維持・向上に支障が生じる恐れがあるなど多くの自治体から懸念の声があがっている」ため、人事院勧告による見直し(市町村ごとから都道府県を基本とし、7区分を5区分に見直す)を踏まえつつ、障害や介護など他の社会保障分野の制度との整合性も勘案しながら、引き続き検討していくことになりそうです。
その他の人口減少地域の保育所等における保育機能の確保・強化については、保育所等のダウンサイジングに対応した公定価格のあり方や小規模保育施設等の定員区分の見直し、あるいは保育機能の確保・強化に係るなんらかの加算などが課題になりそうです。
保育現場におけるテクノロジー活用の推進については、ICTや保育DXに対応したなんらかの加算が検討されるかもしれません。
このほか、他の社会保障分野を踏まえた法令等に求められる取り組みのうち、今年度から実施されている経営情報の公表については、報告・届出の義務が課されていることから、その義務を果たさない施設・事業者に対してなんらかの減算調整が行われるかもしれません。
いずれにしても、「量から質」「多機能化」「保育機能の確保・強化」「ICTや保育DX」といったキーワードが、今後の公定価格見直しにおいても大切なポイントになりそうです。
(出典:保育研究所コラムより)
2025年11月25日「総合経済対策」が閣議決定
2025年11月21日、高市内閣が閣議決定した、物価高対策などを柱とする新たな「総合経済対策」。この中には、医療・介護業界を対象とした「医療・介護等支援パッケージ」と銘打たれた内容も盛り込まれています。具体策はまだこれからかと思いますが、国はどのような考えのもと、どのような方向性で医療・介護業界を支援しようと考えているのか?今回は本経済対策についての全容が記された資料「「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~」の中から、医療・介護等支援パッケージの内容を抜粋し、お届けしてまいります。
「医療・介護等支援パッケージ」項目に記された内容とは
では、早速、中身に移ってまいりましょう。
下記が同資料のp10~p11に記された「医療・介護等支援パッケージ」に関する内容です(段落ごとに四角囲いをしており、特に福祉事業者としておさえておくべきと思われる箇所については太字&下線を引いています)。
国民のいのちと暮らしを守り、安心して医療・介護・福祉サービスを受けられる体制を整備することが必要である。政府としては、これまで累次の支援策を講じたものの、依然として物価・賃金上昇の影響を受けている状況であることを踏まえ、令和8年度報酬改定については、他産業の状況も踏まえた賃上げや物価上昇を踏まえた適切な対応が求められており、医療機関や薬局、介護施設等における経営の改善及び従業員の処遇改善につなげるため、その報酬改定の効果を前倒しすることが必要であるという認識に立ち、「医療・介護等支援パッケージ」を緊急措置する。
医療分野においては、経済状況の変化等に対応するため、救急医療を担うといった医療機能の特性も踏まえつつ、診療に必要な経費に係る物価上昇への的確な対応や、物価を上回る賃上げの実現に向けた支援を行う。また、物価上昇の影響を受けた医療機関や福祉施設等の資金繰りを的確に支援するため、独立行政法人福祉医療機構による優遇融資を着実に実施する。また、事業継続に困難が生じている地域の基幹的な民間病院に対し、資本性劣後ローンを提供し、民間金融機関と連携しつつ、経営改善を図る。
さらに、賃上げを下支えし、人手不足にも対応するため、ICT機器等の導入・活用、看護師の特定行為研修修了者の加速的養成などの生産性向上や職場環境改善に率先して取り組む医療機関を支援する。病床数の適正化を進める医療機関に対しては、医療機関の連携・再編・集約化に向けた取組を加速する観点から、地域の医療ニーズを踏まえ必要な支援を実施する。現下の物価上昇を含む経済状況の変化により、地域医療構想の推進のための施設整備等が困難な医療機関に対する支援を実施する。
地域でこどもを安心して生み育てることのできる周産期医療及び小児医療体制を確保するため、出生数減少等の影響を受けている産科施設や小児医療の拠点となる施設への支援も実施する。
介護分野の職員の処遇改善については、累次の取組を講じてきた結果、介護職員の賃金は改善してきたものの、他産業とはまだ差があり、人材不足が厳しい状況にあるため、他職種と遜色のない処遇改善に向けて、令和8年度介護報酬改定において、必要な対応を行うこととし、報酬改定の時期を待たず、人材流出を防ぐための緊急的対応として、賃上げ・職場環境改善の支援を行う。また、介護事業所・施設が、物価上昇の影響がある中でも、必要な介護サービスを円滑に継続するための支援を行う。さらに、ICT等のテクノロジーの導入や経営の協働化、訪問介護・ケアマネジメントの提供体制の確保に向けた取組を支援する。
同様に人材不足が厳しい状況にある障害福祉分野についても、介護分野における対応も踏まえつつ、その経営状況等を踏まえた賃上げ措置等の支援を行う。
国策動向を理解し、迅速な行動を
以上、「「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~」の中から、医療・介護等支援パッケージの内容を抜粋し、お届け致しました。前述の通り、具体策はこれからになりますが、国としては施策例として下記内容を列挙しています(他にも追加される可能性もあり)。
【施策例】
- 医療・介護・障害福祉分野における物価上昇・賃上げ等に対する支援(こども家庭庁、厚生労働省)
- 独立行政法人福祉医療機構による優遇融資への支援(厚生労働省)
- 独立行政法人福祉医療機構による資本性劣後ローンの創設(厚生労働省)
- 医療・介護・障害福祉分野における生産性向上・職場環境改善に対する支援(厚生労働省)
- 病床数の適正化に対する支援(厚生労働省)
- 産科・小児科医療機関等に対する支援(厚生労働省)
- 訪問介護等サービス提供体制確保支援事業(厚生労働省)
- 地域のケアマネジメント提供体制確保支援事業(厚生労働省)
- 医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージに基づく医師・医療機関への支援(厚生労働省)
- ドクターヘリ運航体制緊急支援事業(厚生労働省)
- 医療、介護等の人材不足分野におけるハローワークでのマッチング支援の強化(厚生労働省)
- 中央ナースセンター事業(多様で柔軟な働き方に対応したマッチングの推進経費・NCCS改修による無料職業紹介事業の充実経費部分)(厚生労働省)
事業者としては上記内容を踏まえつつ、「どの支援・どの事業が自社に活用出来そうか?」について事前に頭を働かせておくことを通じ、具体策が公表されたタイミングで迅速に行動に移すことが出来る体制を整備しておくことが重要だと思われます。是非、その観点からも本情報を有効に活用していただければ幸いです。私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
※本情報の引用元資料はこちら
↓
「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~」
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/keizaitaisaku.html
今年度の補正予算案に盛り込まれた介護職員の賃上げ策が論戦
10日の衆議院・予算委員会で、今年度の補正予算案に盛り込まれた介護職員の賃上げ策が論戦の的になった。
高市早苗首相はこの中で、ベースの月額1万円に5000円を上乗せする措置の要件とした「ケアプランデータ連携システム」の導入について、「将来にわたって持続的な賃上げを実現するためにも不可欠」との認識を示した。
「ケアプランデータ連携システム」の導入について、「将来にわたって持続的な賃上げを実現するためにも不可欠」との認識
野党から要件の撤廃を求められたのに対し、「生産性の向上や職場環境の改善に取り組むという大きな意義がある」と理解を求めた。
政府は今回の補正予算案で、介護従事者の賃上げについて最大で月額1万9000円の「3階建て」で設計。1階部分として幅広い従事者に1万円を支給するほか、2階部分として、生産性向上などに取り組む事業所の介護職員に5000円を上乗せする方針だ。この際、訪問介護や通所介護などのサービスでは「ケアプランデータ連携システム」の導入を要件とした。
立憲民主党の山井和則議員はこの要件について、ケアプランデータ連携システムの導入率が9.8%(今年8月末時点)にとどまっている現状を指摘。「たった1割しか加入していないシステムを要件にするのはやめていただきたい」と主張した。続けて「介護現場は必死に踏ん張っている」と強調し、賃上げに様々な要件をつけるのをやめるよう訴えた。
これに対し高市首相は、ケアプランデータ連携システムの導入には「意義がある」と説明。「導入支援も含めて政府もしっかり取り組み、より多くの方々に利用していただける環境を整えたい」と述べた。
株式会社とりんく(本社:東京都品川区、 代表取締役:山中健太郎)は、当社が展開する保育・教育施設向けAI写真サービス「とりんく」の導入施設数が、2025年11月24日に全国で2,500施設を超えたことをお知らせいたします。パートナーシップ戦略の強化に伴い、2025年7月以降は導入施設数が1,600施設以上と急拡大し、2025年9月22日には全国で2,000施設に到達。その後も伸びが続き、約2カ月後には2,500施設へと拡大しました。
※施設数は「とりんく」とOEM提供を合算した数字

AI写真サービス「とりんく」について
AI写真サービス「とりんく」は当社独自のAI技術を用いて、保育・教育施設に勤める先生たちの「写真の面倒、すべておまかせ」を実現するサービスです。
具体的には、(1)保育中の先生による写真撮影の負荷を軽減する自動撮影、(2)保護者への写真共有前のチェック等の負荷を軽減する自動整理、(3)園から保護者への写真共有の負荷を軽減する自動配信──の3つの機能があることが特徴です。
特に、(2)の自動整理は当社独自のAI技術により、▽写真の写りの良さ、活動のわかりやすさなど保護者・保育者が求める視点での写真のスコアリング、▽子ども一人ひとりの顔認識、▽レタッチ──の3点を、高精度・低コストで実現しています。これにより導入施設では、写真アップロード作業の自動化や、園児ごとの写り込み回数の偏り防止、NGチェック作業の効率化、写真編集作業の自動化(写真NG園児対応、明るさ調整)等が可能となり、先生たちの写真撮影の負荷軽減が期待できます。
AI写真サービス「とりんく」の導入事例
(1)「保育を妨げない写真撮影・管理」で保育士の時間と心の負担が軽減できました。 株式会社ストーブカンパニー 湘南台よつば保育園plus
https://tlnk.jp/case/004/
・短い時間とはいえ、撮影時は子どもから目が離れてしまう。この少しの時間に事故が起こってしまわないかという不安があった。
・iPhoneを斜め掛けにしたまま、画面を確認せずに自動撮影。手動で撮影する時も、カメラアプリを立ち上げ直す必要がない。
・保育士の負荷が軽減されたことが一番の価値。保護者に共有する写真の選別・仕分け、撮影の負荷を考慮すると、園全体・1ヶ月に換算すると60時間分の業務削減につながる。
・保護者への写真共有には細心の注意を払っており、時間以上に体力・精神力を使っていました。この10分程度の日々の作業がなくなっただけで「めちゃくちゃ楽になった」という感覚。
(2)AI技術に着目し、たどり着いた解決策。補助金も活用し保育現場の課題解決を実現。 社会福祉法人仁岳会 梅の実こども園
https://tlnk.jp/case/007/
・様々な端末で撮影した写真の管理が煩雑で、保存や整理に手間がかかっていた
・写真販売時のアップロード作業に負担があった。特に撮影枚数が多いため時間がかかっていた
・常にアンテナを張っていた。見つけたときは「やっと出てきた!」という思いでした。
・写真の管理が大幅に改善。撮影した後はほとんど手間がかからず配信までできる。
(3)自然な表情の写真で、保護者や地域に「選ばれる園」に。 ホンダロジコム株式会社 ロジキッズ朝宮
https://tlnk.jp/case/005/
・保護者の方々に、園でのお子さんの様子を、言葉だけでは伝え切れない部分も含めて知ってもらいたい。
・カメラを取りに行く、起動する間、構えて被写体にフォーカスする間などに、子どもたちの興味関心が次に写ってしまい、シャッターチャンスでの撮り逃しが頻発。
・子どもごとに写真枚数がなるべく揃うよう調整したり、顔の見切れや影がかかっている写真、泣いている子が写り込んでいる写真を取り除くなど、アップロードに手間がかかっていた。
・保護者への写真共有を、とりんくフォトで実施。適切な写真の選別・加工(サイズや色味の調整)子どもごとの仕分けを全て自動で行える。
・自動撮影のおかげで、職員の労力を抑えながら、保護者に共有できる写真の枚数が大幅に増加。ポーズや表情をばっちり決めた写真でなく、自然で綺麗な写真で、保護者の方も喜んでいます。
・とりんくマネージャに自動アップロードされる写真で、園の様子がわかり、インスタグラム用の写真集めにわざわざ現場の手を煩わせなくてよくなった。





