コラム

今、注目・認識すべきと思われる介護業界のトピックスを厳選してお届けいたします。

  1. 【報酬改定周期】物価高・賃上げ対応に向け「介護報酬2年改定」案が浮上

社会保障審議会・介護給付費分科会や各種経営者団体からの要請において、現行の「3年に1度」の介護報酬改定サイクルを見直し、「2年に1度」へ短縮すべきだとする意見が相次いで提案されています。近年の急激なインフレや他産業での大幅な賃上げに対し、3年周期の改定では介護現場の価格転嫁や人材確保が追いつかないという強い危機感が背景にあるようです。

◆ 2年改定案の主な背景とねらい:
・他産業との賃金格差拡大を防止し、機動的な処遇改善を実施するため
・診療報酬や物価変動とのタイムラグを最小限に抑え、事業所経営の急激な悪化を防ぐため
一方、事業者や自治体の事務負担増を懸念する慎重論もあり、次期の第10期法改正に向けた主要論点として注目されています。

■ 参考・引用元資料(一次情報)

・介護報酬改定、2年に1度の案も 3年サイクルの見直しを求める声が相次ぐ(介護ニュースJoint)
  https://www.joint-kaigo.com/articles/48755/

 

  1. 【制度改正】社保審・介護保険部会が議論を再開

社会保障審議会・介護保険部会は9月18日、第10期介護保険事業計画に向けた制度見直し議論を本格再開しました。特に「制度の持続性確保」をテーマとした議論の大きなポイントとして、利用者の自己負担割合を原則1割から「2割」へ引き上げる対象者の範囲拡大を始めとする下記内容が挙げられます。

◆ 制度見直しの主な議論ポイント:
・2割負担対象者の判断基準の見直し(所得基準の引き下げによる対象範囲の確実な拡大)
・65歳以上の第1号保険料における所得に応じた負担設定(段階の平準化・多段階化)
・ケアマネジメント(居宅介護支援)への自己負担導入の是非
いずれも「骨太方針2026」において2026年度中に結論を得るとされており、年内の意見取りまとめに向けて激しい議論が予想されます。

■ 参考・引用元資料(一次情報)

・介護保険利用料「2割」の高齢者を拡大すべきか?社保審・介護保険部会(GemMed)
  https://gemmed.ghc-j.com/?p=76746

 

  1. 【適正化・規制強化】住宅型有料老人ホーム等への「事前登録制・人員配置基準」案の提示

住宅型有料老人ホームや高齢者向け住宅における併設事業所の「囲い込み」や過剰サービス提供を防止するため、新たな囲い込み防止策・登録要件案が提示されました。

◆ 提示された新たな規制強化案の柱:
・事前登録制の導入(一定の品質・人員基準を満たさない事業所の参入・運営制限)
・人員配置基準の新設(日中帯における職員常駐の義務化、管理者・生活相談員の必須配置)
・夜間対応体制(夜間オンコール体制または巡回体制の確保義務)
従来の緩やかな届出制から実質的な規制強化へシフトし、悪質な囲い込み事業所の淘汰と適切なケア環境の確保を目指します。

■ 参考・引用元資料(一次情報)

・住宅型ホーム、人員配置の規制を強化 日中は職員常駐 夜間はオンコール体制を義務化 厚労省案(介護ニュースJoint)
  https://www.joint-kaigo.com/articles/48928/

 

  1. 【現場課題】カスタマーハラスメントによる介護サービス拒否のルール明確化

厚生労働省は、利用者や家族からのカスタマーハラスメント(カスハラ)を理由とする「サービス提供拒否」の正当な理由について、運営基準上のルールを明確化する方針を提示しました。

◆ 運営基準・指針改正の方向性:
・理不尽な暴言・暴力、過剰な要求により職員の安全が著しく脅かされる場合を「正当な拒否理由」として明示
・事業所が個々に抱え込まず、地域包括支援センターや自治体と連携して契約解除・事業所変更等を行える体制を整備
訪問介護員等の離職防止と安全確保のため、令和9年度改定を待たず速やかな指針改正・運用通知の発出が検討されています。

■ 参考・引用元資料(一次情報)

・カスハラで介護サービス拒否、ルール明確化が俎上に 厚労省が報酬改定へ論点提示(介護ニュースJoint)
  https://www.joint-kaigo.com/articles/48478/

 

  1. 【業務効率化】ケアマネジャーのシャドウワーク解消へ〜「長崎モデル」始動

長崎県介護支援専門員協会は、ケアマネジャーの無償労働(シャドウワーク)となっている通院付き添いや薬の受け取り、日常の買い出し等を自費サービス等へ適切に切り替える「長崎モデル」を全国に先駆けて始動させました。

◆ 長崎モデルの取り組みと成果:
・ケアマネ業務の境界線をガイドライン化し、インフォーマル・自費サービスへの繋ぎ込みルールを策定
・実証事業において、ケアマネ1人あたり「月平均120分」の業務時間削減効果を確認
ケアマネ不足が深刻化する中、無償対応の悪循環を断ち切り、本質的なケアマネジメントに集中するための先進事例として全国から注目を集めています。

■ 参考・引用元資料(一次情報)

・ケアマネのシャドウワーク解消へ 長崎県協会、全国に先駆けて自費サービス活用の「長崎モデル」始動(介護ニュースJoint)
  https://www.joint-kaigo.com/articles/48709/

 

■ 今月の月間Top 5トピック概要一覧

トピック

概要・最新動向

経営・現場への影響・着眼点

1. 介護報酬2年改定案

インフレ・賃上げ対応のため3年周期から2年周期への変更提案

物価高に即応した改定が期待される一方、制度対応の頻度増への準備が必要

2. 2割負担対象の拡大

社保審・介護保険部会で2割負担の所得基準引き下げ議論が再開

利用控えリスクへの対策および高所得層の負担増に対する丁寧な説明が求められる

3. 住宅型ホーム規制強化

事前登録制、日中職員常駐、夜間オンコール義務化などの厚労省案

同一建物併設事業所の囲い込み適正化と基準遵守に向けた人員体制の再構築が必要

4. カスハラ拒否ルール

暴力・暴言等に対するサービス拒否(正当理由)の運営基準明確化

職員の安全確保と早期離職防止に向け、組織的な対応マニュアル整備を推進

5. ケアマネ長崎モデル

無償の支援業務を自費サービス等へ移行し月120分業務削減

ケアマネジャーの本質的業務への集中と、有償サービス連携の仕組みづくり

 

 

カスハラ対策、介護事業者も今月から義務化 いま現場がすべきこと

改正労働施策総合推進法が10月1日に施行され、介護事業者にもカスタマーハラスメントへの対策が義務付けられた。

職員を守る方針の明確化や相談体制の整備、事案発生後の迅速な対応などが求められる。

改正法はカスハラを、顧客らの言動が業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超え、職員の就業環境を害するものと定義している。


厚労省は例えば、暴行や脅迫、土下座の強要、威圧的な言動などを例示。契約で想定しているサービスを著しく超える要求、不当な損害賠償の要求なども例にあげている。電話やSNSでの行為も対象に含まれる。

大切な職員を守るために


改正法とそれに基づく指針で、事業者に求められる主な措置は以下の通り。

● カスハラに毅然として対応し、職員を守る方針と対処方法を明確にして周知する
● 相談窓口を設けて職員に周知し、担当者が適切に対応できる体制を整える
● 事実関係を迅速・正確に確認し、被害者への配慮や再発防止を行う
● 特に悪質な行為への対処方針を定め、実行できる体制を確保する
● 相談者などのプライバシーを保護し、相談を理由とする不利益な取り扱いをしない旨を定めて周知する

具体的な対処方法としては、例えば可能な限り職員に1人で対応させないことや、犯罪に該当し得る言動を警察に通報することなどがあげられる。


一方、対策を講じる際は顧客らの権利への留意も欠かせない。障害を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止、合理的配慮の提供義務を踏まえた対応が求められる。

介護事業者向けマニュアルや研修動画も


厚労省は既に、介護現場のハラスメント対策マニュアル、管理者向け・職員向け研修の手引き、研修動画、事例集などをホームページで公開している。対策マニュアルでは、例えば次のようなポイントが示されている。

● 組織で取り組み、初期対応と正確な事実確認・要因分析を重視する
● 適切なケアの提供に努め、サービスの特性に応じたリスク対策を進める
● 例えば訪問系サービスでは、利用者・家族の住まいで1対1や1対多の状況を避ける工夫など、安全確保と精神的負担の軽減に向けた対策をあらかじめ講じる
● 職員や管理者が1人で抱え込まず、施設・事業所内で共有する
● 行政、地域包括支援センター、医師、法律の専門家、警察などと連携する

現在、厚労省は来年度の介護報酬改定に向けて、各サービスの運営基準でもカスハラ対策をすべての事業者に義務付ける方向で検討を進めている。審議会では、サービスの提供を拒否できる「正当な理由」の取り扱いも論点となっており、認知症などの特性に十分配慮した制度設計を求める声もあがっている。

65歳の新人保育士に密着 元会社員が独学で保育の世界へ 生活激変も「体が追い付く限り続けたい」名古屋

 

2026年9月18日 06:04
人材不足の業界に飛び込んだのは、65歳の新人でした。名古屋市内の保育園で8月から保育士経験ゼロ、65歳の男性が働き始めました。
 名古屋市中川区の「たかなし保育園」。0歳から6歳まで60人の園児が通っています。

 こちらは5歳児クラスのお昼ごはんの時間。園児と一緒にご飯を食べているのは、岩瀬進一郎さん(65)。

「目の届く範囲にいつも子どもを置いておくようにと言われているので、今までとは違う緊張感をいただいている」(岩瀬さん)
 
 約1カ月半前に保育園で働き始めたばかりの、新人保育士です。

 岩瀬さんはもともと、名古屋市内のプリンターなどを扱う会社に勤務。営業やデスクワークを行っていました。

 定年を迎えたあとに新たな働き方として選んだのが、保育士でした。

「学校出てから42年。ひとつの会社でずっと全うすることができて、子どもに挟まれてみるのはいいかなと思ったのと、会社生活とはちょっと違うことっていうのをやれればいいなと思ってた」(岩瀬さん)
 

岩瀬さんを迎え入れた保育園の事情とは…

保育士業界は深刻な人材不足
 保育園は畑違いの岩瀬さんを温かく迎え入れました。

 そこには、保育士業界ならではの事情もありました。

「(保育士は)なかなかきつい仕事で、どうしたら子どもたちが豊かに過ごせるようになるのかなど環境の部分も考えなくてはいけない大変な仕事。それをいろんな視点で臨機応変にやるとなると給料との相違がある」(たかなし保育園 水谷悦子園長)

 今年7月時点での保育士の有効求人倍率は全国で2.80倍。全職種の倍率1.15倍と比べると、保育士業界が、いかに深刻な人材不足であるのかが分かります。

 65歳にして保育士経験ゼロの岩瀬さん。子どもたちが大好きな遊びの時間になると…。

 子どもたちに翻弄されてしまう場面も…

「子ども同士がおもちゃの取り合いをしている時など、まだ「さばく」の「さ」の字も及ばない。他の先生のやることを見習ってやるしかないかなって。本当まだ1カ月なのでそんな段階です」(岩瀬さん)
 

バンドの経験を活かしてギターを弾く岩瀬さん

4回目の試験で保育士に 体が追い付く限りこの仕事を続けたい理由は…
 0歳児クラスのおやつの時間には…顔をまだ覚えられていないのか、泣かれてしまいました。

 別の子のとなりに座っても泣かれてしまいますが、どんなに泣いていても、おやつを口に運ぶなど笑顔で接します。

 子どもの面倒を見る合間に、掃除なども行います。

「終わりました。」(岩瀬さん)
「玄関周りの掃除お願いしてもいいですか」(園長先生)
「はい。わかりました。」(岩瀬さん)

 どんな仕事でも笑顔を絶やさない岩瀬さん。59歳で保育士を目指し、国家資格の勉強法はなんと独学。

 仕事をしながら、参考書を読み込む日々だったといいます。

 そして、4回目の試験で全科目を合格しました。
 
♪かえるのうたがきこえてくるよ♪

 保育士の実技試験で課題曲を出された際は、学生時代にバンドでギターを弾いていた経験が生きたといいます。

 慣れない仕事に四苦八苦の岩瀬さんについて、園長は…

「私たちには座らない子たちが岩瀬先生のひざの上に座って。顔を見て笑いながら子どもたちと話している。たしかに保育歴では私たちが先輩ですけど、私たちのもっていない視点がいろいろあって、こう言えばうまくいくのかなと模索するときにはいいきっかけやアドバイスをもらっている」(水谷園長)

 異業種から保育士への転身した岩瀬さんについて、保護者は…

「尊敬します。父も同じぐらいの年代なのでそこから新しいこと始めるのがすごい」
「若い先生もいらっしゃるけど年齢が上の方に見ていただける安心感がある。私たちの知らないことをどんどん子どもたちに教えていってくれたらいいな」(保護者)

 会社員時代と比べて今の生活は…。

「全然違う。抱きついて飛び込んで『先生』と言われることはなかなかない。(ここでは)みんな『しんいちろう先生、しんいちろう先生』と呼んでくれる」(岩瀬さん)

 岩瀬さんは体が追い付く限りこの仕事を続けたいといいます。目標は70歳です。
 
「元気な子たちが健やかに育っていくところをなんとかうまく見守っていけるポジションで、担任の先生たちが一生懸命やってるところを少し力になれるような位置づけでやりきれたらという感じです。」(岩瀬さん)

同行援護の従業者要件、経過措置の廃止を提案 厚労省 来年度の障害福祉報酬改定へ検討

 

厚生労働省は24日、来年度の障害福祉サービス報酬改定に向けた議論を進めている有識者会議(障害福祉報酬改定検討チーム)で、同行援護の従業者要件について既存の経過措置の廃止を提案した。

盲ろう者向け通訳・介助員を、同行援護従業者養成研修の修了者とみなす取り扱いが対象となる。


この経過措置は、盲ろう者が同行援護を利用しやすくなるように2018年度の報酬改定で導入された。同行援護従業者養成研修を修了していなくても、盲ろう者向け通訳・介助員が同行援護に従事することを認めるもの。現在の期限は2027年3月末となっている。


厚労省は昨年4月から、盲ろう者向け通訳・介助員養成研修の修了者に対し、同行援護従業者養成研修の一部を免除していると説明。受講機会の確保が図られているとして、経過措置を廃止する方向で検討を進めてはどうかとした。

こうした提案に対し、有識者会議の委員から反対意見は出なかった。今後、厚労省は方針を固める年末に向けて検討をさらに進める考えだ。

【社労士解説】自主的な「早出出勤」に給料は必要?介護・保育・クリニックにおける労働時間判断とトラブル防止策

 

介護施設、保育園、医科・歯科クリニックの運営において、経営者や施設長、院長先生からよくご相談いただくのが、「始業時間よりもかなり前に自主的に出勤してくるスタッフへの給与(残業代)支払い」についてです。

こんなお悩みや現場のモヤモヤはありませんか?

  • 「指示もしていないのに毎朝30分前に入って掃除や準備をしているスタッフがいる。給料(早出手当)を払う必要がある?」

  • 「ベテラン職員が自主的に早出しているため、後輩スタッフが『出勤せざるを得ない空気』になり、不満が出ている…」

  • 「タイムカードが出勤の30分前、退勤の1時間後に打刻されているが、そのまま残業代を請求されないか不安…」

「命令していないから給与は不要」と考えて放置していると、後に「黙示の業務命令(業務上不可欠な準備時間だった)」とみなされ、過去に遡って未払い残業代を請求される重大なリスクをはらんでいます。

この記事では、介護専門社労士・保育専門社労士・クリニック専門社労士の視点から、自主的早出における労働時間判断の法的基準、介護・保育・医療現場での具体的事例、タイムカードと残業申請制を組み合わせた正しい実務対策について分かりやすく解説します。

1. 「自主的な早出出勤」は労働時間になるのか?法的判断基準

結論から申し上げますと、「業務指示(明示・黙示)がなく、業務とは無関係に自主的に早く出勤している時間」については、原則として給与を支払う必要はありません。

しかし、実務上は「本当に指示がなかったと言えるのかどうか」が厳しく問われます。

① 労働時間の定義と「指揮命令下」

労働基準法上の「労働時間」とは、裁判例(三菱重工長崎造船所事件等)において「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定義されています。

使用者の指示に従って業務を行っている時間はもちろんのこと、使用者の命により不可避的に業務の準備や後片付けを行っている時間も労働時間に含まれます。

② 警戒すべき「黙示(もくし)の業務命令」とは?

たとえ院長や施設長が「早く来なさい」と口頭で命じていなくても、以下のような状況がある場合、法的には「黙示の業務命令」があったと認定され、労働時間(早出残業)とみなされる可能性が高くなります。

  • 始業時間からでは準備が物理的に間に合わない業務構造になっている(例:受付開始と同時に診療が始まるが、開錠やPC起動に15分かかるなど)

  • スタッフが早く来て業務を行っていることを経営側が認識していながら、注意・制止せず放置(黙認)していた

  • 早出をして準備・掃除をすることが職場の「暗黙のルール・慣習」になっている

経営側が「善意でやってくれている」と感謝して放置していた時間が、法的には「業務上必要な時間=給与支払い義務がある時間」へ化けてしまうのが、労務管理における落とし穴です。

2. 業界別:早出出勤・準備時間をめぐるトラブルと具体的事例

介護・保育・クリニックの現場では、朝の準備作業や申し送り、衛生管理などの工程が多く、早出出勤が常態化しやすい背景があります。

【業界別トラブルと現場での注意点】

介護現場
  └ 主な課題: 送迎車の暖機運転・点検、朝礼前の申し送り・記録確認
  └ 注意点: 業務に必要な準備時間を見越し、シフト上の所定始業時刻を見直す

保育現場
  └ 主な課題: 開園前の掃除・消毒、当日の保育資材準備、視診の準備
  └ 注意点: 早番担当の業務範囲を明確化し、自主的な「持ち込み準備」を制止する

クリニック
  └ 主な課題: 診察前の掃除・朝礼準備、電子カルテ立ち上げ、器具の滅菌・準備
  └ 注意点: 「診療開始時刻=始業時刻」ではなく「準備時間も含めた始業時刻」を設定する

① 介護現場での事例(介護専門社労士の視点)

  • 【事例】 デイサービスの介護スタッフ。始業時間は8時30分だが、毎朝8時に入勤し、送迎車の日常点検や暖機運転、当日の利用者情報の確認を行っていた。退職後、「8:00〜8:30の30分間は業務に必要な準備時間だった」として2年分の未払い残業代(早出残業分)を請求された。

  • 【リスク】 送迎車の点検や申し送り事項の確認は「業務そのもの」です。事業所側が「勝手に早く来ているだけ」と主張しても、実際の業務内容から見て不可欠な作業であれば、黙示の指示があったとみなされ未払い賃金の支払いを命じられるリスクが極めて高い事例です。

② 保育現場での事例(保育専門社労士の視点)

  • 【事例】 私立保育園の保育士。開園前の掃除や玩具の消毒、当日の行事準備のため、毎朝始業の40分前に自主出勤していた。園長は「熱心な先生だ」と褒めていたが、後から入った後輩保育士から「先輩が早く来るので出勤せざるを得ず、事実上の強制労働だ」と労働基準監督署へ相談された。

  • 【リスク】 ベテラン職員の「プロ意識」や「善意」による早出が、職場内に「早く来ないと居づらい」という調圧を生み出すケースです。放置しておくと、後輩職員からの労基署通報や離職原因へと発展します。

③ クリニックでの事例(クリニック専門社労士の視点)

  • 【事例】 歯科クリニックの衛生士・受付スタッフ。受付開始(診察開始)が9:00のため、就業規則上の始業時間も9:00と設定されていた。しかし、8:40には出勤して清掃や滅菌機器の準備、カルテ出しを行っていた。退職時に「9時開院なら8:40からの準備は必須業務だった」として残業代を請求された。

  • 【リスク】 クリニックで非常に多い失敗例です。「診察開始時刻=始業時刻」と規定してしまうと、開校前の準備時間が丸々「未払い労働時間」になってしまいます。診療開始の15〜30分前を本来の始業時刻として設定し、その時間も含めた給与設計をしておく必要があります。

3. 「勝手な早出」と「労働時間」を切り分ける4つの実務対策

自主的な早出出勤によるトラブルを防ぎ、スタッフの意欲を削ぐことなく適正な労務管理を行うための実務ポイントは以下の4点です。

① 準備時間を含めた「始業時刻」の適切な設定

まず行うべきは、「実際の準備作業にかかる時間を織り込んだ始業時刻になっているか」の確認です。

例えば、開院・開園が9時で準備に15分かかるのであれば、就業規則上の始業時刻を「8時45分」と設定しなければなりません。「8時45分〜9時00分=準備時間(労働時間)」として正々堂々と給与を支払う仕組みにすることが根本的な解決策です。

② 職場の「人間関係・同調圧力」への配慮と指導

ベテランスタッフが意欲やプロ意識から早く出勤して準備すること自体は尊重すべき側面もあります。しかし、それが周りへの圧力になってはいけません。

対象のスタッフに対しては、感謝の気持ちを伝えつつも、

  • 「他のスタッフに同じ時間への出勤を強制・要求しないこと」

  • 「業務指示にあたる作業(清掃や申し送り等)は始業時刻になってから行うこと」

  • 「個人的な準備や雑談にとどめること」

を個別に優しく伝え、職場のルールを線引きすることが大切です。

③ タイムカード打刻と「残業申請制」の組み合わせ運用

タイムカードの打刻時刻は、あくまで「施設・クリニック建物内にいた時間」を示しているに過ぎず、打刻時間のすべてが労働時間になるわけではありません。退勤後にスタッフ同士でおしゃべりをしている時間なども同様です。

しかし、何も対策をしていないと「タイムカードの始業打刻から終業打刻までの全時間=労働時間」と推定されてしまいます。

これを防ぐために、「時間外労働(早出・残業)の事前申請・承認制度」を導入します。

  • 運用の仕組み:

    1. 原則として、事前(または直後)に「理由」と「時間」を添えて院長・管理者に申請し、承認を得たものだけを「残業代(早出手当)の対象」とする。

    2. 申請のない早出時間・居残り時間については、業務指示に基づかない私的自己啓発や雑談の時間として管理する。

④ 就業規則および三六協定の整備

「時間外労働は指揮命令・承認に基づき行うものとする」という規定を就業規則に明記しておきます。

4. 就業規則の規定例(実務で使える条文モデル)

早出・残業のトラブルを防ぐための就業規則(出退勤および時間外労働規定)の作成例をご紹介します。

(出退勤および時間外労働の運用ルール) 第〇条(時間外労働および早出勤務) 職員が所定労働時間を超えて勤務(早出出勤を含む)を行う場合は、原則として事前に承認申請書を提出し、管理者の許可を得なければならない。 2. 管理者の指示または承認を得ないで行った自主的な早出出勤、始業前の準備行為、および終業後の居残り時間については、指揮命令下の労働時間とはみなさず、時間外手当の対象としない。 3. **タイムカードの打刻時刻と実際の労働時間に差が生じる場合(早出による私的な準備、終業後の私的な雑談等)**は、実際の労働時間に基づき給与計算を行うものとする。

※ただし、形式的に「承認申請がないから無給」と突っぱねるだけでは、実態として業務を行っていた場合に裁判等で敗訴するリスクがあります。実態の業務見直しとセットで運用することが不可欠です。

5. まとめ:適切な時間管理で安心できる職場環境へ

自主的な早出出勤は、一見すると「熱心なスタッフの善意」に見えますが、適切な管理を怠ると「未払い残業代リスク」や「職場の人間関係の悪化」を引き起こす大きな種となります。

  • 準備時間を見込んだ始業時刻の設定になっているか?

  • 「黙示の業務命令」とみなされる放置状態になっていないか?

  • タイムカードと連動した「残業申請制」が機能しているか?

これらを正しく整理し、スタッフが安心して働ける環境を整えるためには、業界の労務管理に精通した専門家のサポートが効果的です。

弊所(社会保険労務士事務所)へのご相談・ご依頼の流れ

当事務所は、介護施設・保育園・医科歯科クリニックに特化した専門社労士として、早出・残業代トラブルの防止、タイムカード運用の適正化、就業規則の見直しを数多くサポートしております。

【ご相談・サービス導入の流れ】

STEP 1: お問い合わせ・無料相談のお申し込み
  └ WEBフォームまたはお電話より、貴所の勤務状況や勤怠管理のお悩みをお気軽にご連絡ください。

STEP 2: ヒアリングと現状分析(オンラインまたはご訪問)
  └ 実際の出勤状況、タイムカードの打刻実態、現行の就業規則やシフト表を確認・分析します。

STEP 3: 改善アプローチ・運用ルールの整理
  └ 始業時刻の見直し、早出・残業申請制の導入案、法的リスクを抑える就業規則改定案をご提示します。

STEP 4: 継続サポート(顧問契約・制度設計)
  └ 新ルールのスタッフへの周知・説明、勤怠システムの運用サポート、日常的な労務相談まで伴走いたします。

【早出出勤・残業代リスクのご相談はこちら】 「早出の扱いをどう改めるべきか分からない」「タイムカード管理を見直したい」といったご相談も承っております。

[ WEBお問い合わせフォームはこちら ] (24時間受付中)お問い合わせ | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング

お電話でのご相談: 03-6435-7075 (受付時間:平日 9:00〜18:00)

【社労士解説】注意指導したら「パワハラです!」と反論された…どこからがハラスメント?介護・保育・クリニックの正当な指導と注意点

 

介護施設、保育園、医科・歯科クリニックの運営において、現場の管理者(施設長・師長・主任・事務長)や院長先生から増えているのが、「部下のミスを注意・指導しただけなのに『それってパワハラです』と反論されて指導できない」というご相談です。

こんなお悩みや現場の混乱はありませんか?

  • 「誤字脱字や書類ミス、記入漏れを注意したら、部下に『パワハラだ』と拒絶された…」

  • 「相手が『パワハラと感じたらハラスメントになる』と言われ、どこまで指導していいのか分からず管理者が怯えている…」

  • 「強く言うと『パワハラで訴える』『労基署に行く』と騒がれるため、腫れ物に触るような対応しかできない…」

「厳しい指導=すべてパワハラ」ではありません。業務上必要な注意や指導を躊躇してしまうと、現場のサービス品質低下や重大な事故・トラブルに直結します。

この記事では、介護専門社労士・保育専門社労士・クリニック専門社労士の視点から、法的なパワハラの定義と正当な「業務指導」との境界線、介護・保育・医療現場での具体的事例、部下からの反論に負けない正しい指導手順と対策について分かりやすく解説します。

1. パワハラと正当な「業務指導」の法的境界線

まず明確にしておくべきなのは、「受け手がパワハラだと感じたからといって、直ちにパワハラ(違法行為)になるわけではない」という点です。

① パワハラの法律上の3要件

労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)および厚生労働省の指針において、職場におけるパワーハラスメントは以下の3つの要素をすべて満たすものと定義されています。

  1. 職場内の優位的な関係を背景とした言動であって

  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

  3. 労働者の就労環境が害されるもの(精神的・身体的苦痛を与えること)

このうち最も重要なのが「2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」かどうかです。 業務上のミス(書類の誤字脱字、作業手順の違反、接遇不良など)に対し、それを改善させるための合理的な理由に基づく指導・指示は、「業務上の適正な範囲」であり、パワハラには該当しません。

② 判断基準は「相手の感じ方」ではなく「客観的な適正性」

裁判例や実務判断において重視されるのは、「部下がどう感じたか」という主観ではなく、「その指導の目的・態様・頻度などが社会通念上、許容される範囲内であったか」という客観的な事実です。

  • 正当な指導とみなされる例:

    • ミスの事実を指摘し、再発防止策を具体的に指示する

    • 改善が見られないため、前述より明確かつ厳格なトーンで注意を与える

  • パワハラとみなされる例:

    • 「バカ」「頭が悪いのか」「給料泥棒」など、人格や存在自体を否定する暴言

    • 大勢の職員や患者・利用者・保護者の前で大声で怒鳴りつけ、晒し者にする

    • 業務とは無関係なプライベートや過去の失敗を持ち出して責め立てる

つまり、注意指導の「目的」が正当であっても、その「言い方・態様・場所」が度を超えて感情的・屈辱的なものになった場合にパワハラと認定されることになります。

2. 業界別:業務指導と「パワハラ反論」の具体的事例

介護・保育・クリニックの現場では、書類の記載ミスや手順の不徹底が、利用者様の生命・安全や公的給付金(介護報酬・診療報酬)の請求に直接影響するため、細かな注意指導が不可欠です。それゆえに指導をめぐるトラブルも頻発します。

【業界別トラブルと適切な指導アプローチ】

介護現場
  └ 主な課題: 介護記録の誤字・記入漏れ、介助手順のミスへの指導
  └ 注意点: 介護報酬請求(実地指導)や安全管理上の必要性を客観的数値で提示する

保育現場
  └ 主な課題: 連絡帳・日誌の誤字・不適切な記載、アレルギー確認ミスへの指導
  └ 注意点: 保護者対応の信頼や児童の安全維持を目的として論理的に指導する

クリニック
  └ 主な課題: カルテ・レセプト入力ミス、問診票や受付での確認漏れへの指導
  └ 注意点: 医療事故防止と診療運営の観点から、感情的にならず具体的に改善を求める

① 介護現場での事例(介護専門社労士の視点)

  • 【事例】 特別養護老人ホームの介護記録(ケース記録)において、担当スタッフの誤字脱字やバイタルデータの記入漏れが頻発。リーダー職が注意したところ、「記録くらいでいちいち細かい。パワハラだ」と反論された。

  • 【解説・リスク】 介護記録は自治体の実地指導(運営指導)や、事故発生時の法的証拠となる重要な書類です。「介護報酬の減額や利用者の安全に関わる重要な業務である」という客観的な正当性を説明した上での指導であれば、何度厳しく注意してもパワハラにはあたりません。ただし、「こんな簡単なことも書けないなら辞めろ」といった人格否定の発言は厳禁です。

② 保育現場での事例(保育専門社労士の視点)

  • 【事例】 保育園で提出する「指導計画案」や保護者に渡す「連絡帳」に誤字脱字が多く、園児の様子についての不適切な表現が目立つ保育士。主任保育士が何度も修正を命じ、強めのトーンで指導したところ、「私だけ執拗に注意されて精神的に追い詰められた。パワハラで本部に訴える」と主張された。

  • 【解説・リスク】 連絡帳等は保護者との信頼関係に直結する公的な文書です。誤りの指摘と修正指示は園の正当な権限です。「執拗に攻撃された」と主張されないよう、指導の際は「どこがどう違っていて、どう直すべきか」を個別面談の場で具体的に提示するステップが必要です。

③ クリニックでの事例(クリニック専門社労士の視点)

  • 【事例】 医療事務スタッフが、患者の電子カルテ入力や会計入力で打ち間違いを連発。事務長が「患者様へ過誤請求が発生する恐れがある。次回からダブルチェックを徹底して」と強く注意したところ、「事務長は私にだけ当たりが強い。ハラスメントだ」と反抗し、指導を受け入れない。

  • 【解説・リスク】 クリニックでのレセプト・会計ミスは経営や医療信頼に及ぼす影響が大きいため、指導の必要性は極めて高いと言えます。「あなただけを攻撃している」という主観的なすり替えを防ぐため、チェックリストやエラー履歴などの客観データを用いて淡々と指導することがポイントです。

3. 「パワハラです!」と言われた時に上司・管理者が取るべき5つの実務対策

部下から「パワハラだ」と反論された場合、恐れて指導をやめてしまったり、反対に感情的になって怒鳴り返したりするのはどちらも悪手です。冷静に以下のステップで対応してください。

① 感情的にならず、冷静さを保つ(無断録音への意識)

近年、スマートフォンやICレコーダーを使って、指導の様子を「無断録音」しているケースが急増しています。

「言った、言わない」の議論になった際、録音データは決定的な証拠となります。「常に録音されているかもしれない」という意識を持つことで、上司側も感情的な発言や大声を出すことを自戒でき、結果として冷静で毅然とした指導態度を維持できます。

② 「業務上の必要性」と「具体的改善案」をセットで伝える

単に「ミスが多い」「ちゃんとしろ」と抽象的に叱責すると、相手は「攻撃された」と感じやすくなります。

  • ×NGな例: 「いつも誤字脱字ばかりでいい加減にしろ!」

  • 〇OKな例: 「この書類は行政に提出する公式文書です。誤字が3箇所あります。業務の正確性が求められるため、提出前にご自身でチェックリストを使って確認してから提出してください」

「なぜこの指導が必要なのか(理由)」と「どう改善すべきか(具体策)」を論理的に伝えることが重要です。

③ 指導の経緯を「書面(指導記録)」に残す

口頭注意を聞き入れない、あるいは繰り返し同じミスをする場合は、日時・ミスの内容・指導した発言内容・本人の反応を書面(面談記録・指導書)として保存してください。

「注意・指導を行ったという事実と客観的記録」を残しておくことで、後に部下が外部機関(労基署や弁護士)に「突然パワハラを受けた」「理由なく懲戒された」と駆け込んだ際にも、事業所側の正当性を立証できます。

④ 「相手がどう感じたか」と「ハラスメントの成立」は別だと毅然と伝える

部下が「私は不快に感じたからパワハラだ」と主張した場合は、過剰に怯える必要はありません。

「不快に思わせた点については配慮しますが、今回の指導は〇〇という業務上のミスを修正するために必要な指示です。受け入れられない場合は業務に支障が出ます」と、指導の正当性を冷静かつ毅然と伝えてください。

⑤ 就業規則・パワハラ防止規程の運用

業務指示や指導に合理的な理由なく従わない態度は、就業規則における「業務指示違反」「勤務態度不良」に該当する可能性があります。

「パワハラだ」と主張して指導を拒否し続ける場合は、ハラスメントの成否を客観的に検証しつつ、改善が見られない場合は就業規則に基づいたステップ(口頭注意→文書注意→戒告・懲戒処分)を進める必要があります。

4. 就業規則・指導ツールの活用例

正当な指導であることを明確にし、トラブルを予防するために、就業規則や指導プロセスの明確化をお勧めします。

【就業規則・懲戒規定の例】 (服務規律および業務指示遵守) 職員は、職務上の適切な指導・指示に従い、誠実に業務を遂行しなければならない。正当な理由なく上司の業務上の指導・指示を拒否すること、または業務改善の求めに応じないことは服務規律違反とし、就業規則第〇条に基づく懲戒処分の対象とする。

また、日頃から「チェックシート」や「業務マニュアル」を用意し、「マニュアル通りの手順が行われているか」という客観的な視点で評価・指導する仕組みを作っておくことが、ハラスメント主張を未然に防ぐ最良の防止策となります。

5. まとめ:毅然とした正当な指導で組織の質を守るために

部下からの「パワハラ主張(パワハラハラ)」を恐れるあまり、必要な指導を行わなくなると、現場のミスが放置され、真面目に働いている他のスタッフへの負担増や離職、利用者様・患者様からの信頼失墜を招きます。

  • その指導には「業務上の必要性」と「客観的な妥当性」があるか?

  • 感情的にならず、具体的かつ冷静なアプローチができているか?

  • 万が一の主張に備えて、指導記録や就業規則の整備ができているか?

正当な指導を守り、トラブルを未然に防ぐためには、法的な根拠に基づいた体制構築が不可欠です。お困りの際は、現場の実態を熟知した専門家へお気軽にご相談ください。

弊所(社会保険労務士事務所)へのご相談・ご依頼の流れ

当事務所は、介護施設・保育園・医科歯科クリニックに特化した専門社労士として、現場の指導トラブル・ハラスメント対応・就業規則の改定・管理者研修をトータルでサポートしております。

【ご相談・サービス導入の流れ】

STEP 1: お問い合わせ・無料相談のお申し込み
  └ WEBフォームまたはお電話より、現場で起きている指導トラブルや現状のお悩みをお気軽にご連絡ください。

STEP 2: ヒアリングと現状分析(オンラインまたはご訪問)
  └ 該当の指導内容、部下の勤務状況、現行の就業規則や指導マニュアルを確認いたします。

STEP 3: 改善アプローチ・対応アドバイス
  └ 法的リスクの評価、正当な注意指導の手順、必要に応じた書面(改善指示書等)の作成アドバイスを行います。

STEP 4: 継続的サポート(顧問契約・管理者研修)
  └ 就業規則の改定、管理者向け「正当な指導とパワハラの違い」研修の実施、日常的な労務相談まで伴走いたします。

【指導トラブル・ハラスメント対策のご相談はこちら】 「部下に指導ができず困っている」「指導記録や就業規則を見直したい」といったご相談も承っております。

[ WEBお問い合わせフォームはこちら ] (24時間受付中)お問い合わせ | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング

お電話でのご相談: 03-6435-7075 (受付時間:平日 9:00〜18:00)

保育士等スタッフのAI利用実態を調査。AI利用経験は6割超、全国調査の約1.9倍に。~くうねあ(広島市)~

 

「子育て応援企業」として広島で5つの保育園・認定こども園を運営する株式会社くうねあ(本社:広島県広島市、代表:堀江宗巨)は、くうねあで働く保育士をはじめとするスタッフ46名に、保育園でのAIの利用状況についてアンケート調査を実施しました。調査の結果、AIを利用したことのあるスタッフは6割を超えました(63%)。また保育現場では「文章の整理」や「アイディア検討」などで利用が進む一方、「連絡帳」や「保護者対応」などについては、AIに任せることへの慎重な姿勢も明らかになりました。▪️調査背景近年のAIの普及に伴い、保育現場においても「AIをどのように利用すべきか」が新たなテーマとなっています。広島市で5つの保育園・認定こども園を運営するくうねあは、園で働くすべてのスタッフに会社用の携帯電話を貸与しており、日々の業務の中でAIを利用しやすい環境を整えています。そこでくうねあで働くスタッフが実際にどのような場面でAIを利用し、どのような効果を感じているのか、またどのような業務でのAI利用に抵抗を感じているのかなどを知り、スタッフがより安心してAIを使える環境を整えるために、2026年6月〜7月に園内アンケートを実施しました。本調査の結果が、保育現場におけるAIとの向き合い方を考えるきっかけとなり、全国の保育園関係者の皆さまがAI活用を検討する際の一助となれば幸いです。

▪️調査結果サマリー

今回の調査では、保育士等スタッフによるAI利用について、以下の傾向が見られました。▪️AIの利用経験があるスタッフは、全国調査の約1.9倍に。
AIを利用したことのあるスタッフは全体の63%となり、全国調査(33.4%)を大きく超える結果となりました。▪️最もよく使われているAIサービスは、「ChatGPT」
最も利用されているAIサービスは「ChatGPT」(87%)でした。他のAIサービスと比べて利用率が突出していることが分かりました。▪️AIの主な利用用途は、「文章作成」と「アイディア検討」
AIを使ったことのある業務で最も多いのは、「行事や遊びのアイディア検討」(23.9%)で、次いで「連絡帳やクラスだより」(21.7%)となりました。▪️最もAIに任せることに抵抗がある業務は「連絡帳」
「AIに任せることに抵抗がある業務」に関しては、第1位「連絡帳」(43.5%)。第2位が「保護者対応」(32.6%)、第3位が「写真の選別」(30.4%)となりました。子どもや保護者との関係、個人情報、安全等に関わる業務では慎重な姿勢が見られました。

▪️アンケート結果

① 6割以上のスタッフが保育業務にAI利用経験あり。全国調査を上回る結果に。

「保育業務に関して、AIを使っているか」という質問に対しては、6割以上(計63%)のスタッフが「AIを使っている」と回答しました。2026年のユニファ株式会社の調査によると(*1)、「保育業務における生成AIの利用経験者は33.4%」と報告されています。調査対象や設問などが異なるため単純な比較はできませんが、今回の結果からくうねあのAI利用経験者の割合は約1.9倍となり、比較的高い水準にあることがうかがえます。
(*1)「【AI活用実態調査】3人に1人の保育者や保育関係者がAIを活用」・ユニファ株式会社(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000152.000031858.html )

② 最もよく使われているAIサービス・機能は「ChatGPT」

最も利用経験のあるAIサービス・機能は、「ChatGPT」(87%)でした。また日常的に使用している携帯やアプリに搭載されたAI機能を利用しているケースも見られます。

③ 約半数のスタッフが「AIにより業務時間は減った」と実感。

AI利用による業務時間の短縮を実感しているスタッフは、約半数(47.8%)でした。

④ AIを使ったことのある業務で最も多いのは、「行事や遊びのアイディア検討」

AIを利用したことのある業務として、最も多かったのは「行事や遊びのアイディア検討」(23.9%)でした。次いで「連絡帳やクラスだより」(21.7%)、「会議メモ・議事録」(15.2%)となりました。「その他」(32.7%)には個別指導計画の作成や外国語の翻訳などがあり、スタッフがさまざまな工夫をしながらAIを利用していることがわかりました。

⑤ AIを使うことで最もよくなったことは「アイディアが出しやすくなった」こと。

「AIを使ってよかったこと」として最も多かった回答は、「アイディアが出しやすくなった」こと(39.1%)でした。AIは単なる時短のための道具ではなく、考えを整理することや、表現の選択肢を広げるためにも利用されています。具体的な事例として、「ドキュメント作成の際に文章が長くなってしまう時」や「保護者向けのお手紙の文章の作成や添削」「流行っている感染症についてまとめる時」などのコメントもありました。

⑥ AI利用に抵抗がある業務第1位は「連絡帳」

AI利用に抵抗がある業務の第1位は、「連絡帳(43.5%)」でした。次いで、「保護者対応(32.6%)」、「写真の選別(30.4%)」などとなりました。文章を整える補助としてAIの利用は進んでいますが、「連絡帳」や「保護者対応」、「写真の選別」など個人情報や安全、専門的な判断を伴う業務については慎重な姿勢が見られました。実際に、回答者からは「AIを全て鵜呑みにして使ってしまうと、自分が保育士として大切にしたいことや考えたことが反映されなくなってしまうことに、少し怖さを感じた。」などのコメントもありました。

▪️代表コメント

株式会社くうねあ 代表取締役社長・大園長   / 堀江 宗巨

今回の結果を見て、スタッフの皆さんが業務の中でAIを積極的に活用しているのだと感じました。私自身、AIは日々の仕事を助けてくれる「便利なツール」のひとつだと捉えています。そのため、このような新しいツールが出てきた際には、まずは使ってみて、自分たちの仕事に合うのか、今後も使い続けていくのかを早い段階で判断することが大切だと思っています。そうした意味でも、今後くうねあにおいて8割、9割のスタッフがAIを日常的に活用している状態が理想的だと感じています。一方で、保育業界全体を見ると、新しい技術やツールの導入には慎重になりやすく、業務の効率化がなかなか進まないという課題もあると感じています。今回のリリースが、全国の保育士の皆さんにとって、好奇心を持ってAIを活用してみるきっかけになれば嬉しいです。

▪️調査概要

調査名称: くうねあ 保育業務におけるAI利用に関する園内アンケート調査対象: くうねあに勤務するスタッフ46名(保育士、栄養士・調理担当、看護師等)調査方法: Googleフォーム調査時期: 2026年6月〜8月(6〜7月:アンケート、8月:集計・分析)

■株式会社くうねあについて

株式会社くうねあは、子どもにとって最も基本的で大事なこと「食う・寝る・遊ぶ」を軸に、子育てのインフラづくりと子育てしやすい社会の実現を目指しています。現在、広島市で5つの保育園や認定こども園を運営しており、約250名の園児が在籍しています。他にも、気軽に立ち寄って自由に過ごすことができる広島市公募型常設オープンスペースの運営や家事代行サービス、約100名の登録児童がいるベビーシッター事業も行っています。<会社概要>・会社名 :株式会社くうねあ・所在地 :広島県広島市安佐南区祇園4-7-3・代表取締役:堀江宗巨・HP :https://qoonea.com/ ・設立 :2011年7月・事業内容 :- 保育園(認可保育所・事業所内保育所等)の運営、相談、アドバイス-ベビーシッター事業(訪問保育、病児保育等)-イベント保育、スポット保育のご相談と実施-子育てに関する研修、講演活動

ケアプー、居宅介護支援と通所介護で導入率6割超に サービス間の格差も

ケアプランデータ連携システムの導入率について、居宅介護支援が7月末時点で62.0%と6割を超えたことが厚生労働省の調べで分かった。

 

通所介護も61.1%に達している。


一方でサービス間の差は大きい。主なサービスの7月末時点の導入率をみると、


● 訪問介護=45.9%
● 地域密着型通所介護=45.2%
● 福祉用具貸与=48.5%
● ショートステイ=51.2%


となっている。

介護事業者の事務共同化 都、総務や経理を集約・代行 自治体で全国初 小規模企業を支援(日本経済新聞記事より)

 

東京都は2026年度、小規模介護事業者の総務や経理部門を集約・代行するバックオフィスを設ける。

自治体では全国初の取り組みとみられる。都内には小規模な事業者が多く4割が赤字だ。事業者間の業務の融通やM&A(合併・買収)も進め、介護網維持へ踏み込んだ支援をする。

 「若いヘルパーが入ってこない。ヘルパーの高齢化が進み、経営側も現場に従事している」。府中市で訪問介護などを手掛ける企業の担当者は人手不足の影響を訴える。都の介護分野の有効求人倍率は26年7月で9.32倍。全国平均の3.82倍と比較して深刻だ。

東京都は介護事業者の経営力強化を支援する(イメージ)

 都内では地価の高さなどから大規模な介護施設の整備が難しく、代わりに利用者の自宅でサービスを提供する訪問介護などの小規模事業者が増えてきた。都内では従業員19人以下の事業所が5割弱を占め、介護を担う中心的な存在だ。

 経営者自らが利用者宅を回るなど現場業務と経営を兼務する事業所は少なくない。都が25年度に実施したアンケートによると、19人以下の事業所では4分の1の経営者が経営業務に専念できず、ほとんど介護業務に従事している。

 そこで都は小規模事業者の間接部門を集約・代行するバックオフィスを設置する。介護報酬の請求事務や法定研修のオンライン提供、介護保険制度改定による事務作業を共同化する。事業者の負担を減らし、介護サービスの提供や人材確保に経営資源を振り向けやすくする。規模や事業者から費用をとるかは今後調整する。

 

淑徳大学の結城康博教授(社会福祉学)は「自治体では初の取り組みだろう。負担が減ってヘルパー業務に割ける時間が増えたら理想だ。東京都で成功すれば他の自治体に広がる可能性がある」と話す。

 訪問介護事業者間ではヘルパー業務を融通するネットワークの形成を始める。人手不足で1つの事業所だけでは利用者の希望する訪問回数に対応しきれず、複数の事業所でサービスを受ける利用者は少なくない。

 負担を軽減するため、地域の中核事業所がメインで利用者を訪問しつつ、不足する訪問を小規模事業所に委託する。現行制度では事業者間の委託によるサービス提供には介護報酬を適用できないため、都は実証を通じて課題や効果を検証し、将来の制度改正に向けた議論につなげたい考えだ。

 都内の介護事業者全体では4割が赤字で、規模が小さいほど赤字や収支均衡の事業者が多い傾向にある。国が定める介護報酬の改定は3年に1度で、26年の臨時改定や都独自の上乗せ加算を加えても、物価高や他職種の賃金上昇に追いついていないという。

 都は経営が不安定な事業者を把握し、中小企業診断士らを通じた経営改善やM&Aに向けた手続きの支援も始める。26年度は5法人を支援予定だ。利用を予定する立川市の訪問介護事業者は「手が回っていなかった業務の効率化や採用活動の強化につなげたい」と期待する。

 都内では要介護度が急激に高まる85歳以上の高齢者数は60年まで増加が続く。都の寺田靖子高齢者施策調整専門課長は「これまでも経営支援を続けてきたが、必要としている小規模事業者ほど届きにくかった。事業者からの申請を待つだけでなく、プッシュ型で支援したい」と話した。(9月11日日経新聞記事より)

保育・教育ビジネス&サービスフェア

「保育博」は、保育・教育分野の製品・サービスが集まるビジネス見本市です。

園経営者、園長、保育者、購買担当者が、製品・サービスを比較・検討し、出展者と直接商談できます。また、園運営や保育現場に役立つセミナーや企画も開催します。
新しい製品・サービスとの出会いから、情報収集、商談、学び、業界交流まで。保育・教育の「今」と「これから」を一度に知ることができる2日間です。

【会期】2026年11月19日(木)-20日(金)【時間】10:00 – 17:00(最終日は16:30まで)
【会場】東京都立産業貿易センター 浜松町館
【主催】保育博事務局 メッセフランクフルト ジャパン(株)
【後援】東京都/(一社)全国児童発達支援協議会
【メディアパートナー】パステルIT新聞[(株)サンロフト]/ほいくis[(株)e-CHANNEL]
【来場対象】保育園/幼稚園/こども園/私立小学校/インターナショナルスクール/学童保育/発達支援施設などの関係者

お電話でのお問い合わせ

03-6435-7075(平日9:00~18:00)

営業時間外のお問い合わせはこちらから

相談・ご依頼の流れはこちら

YouTube チャンネル

メールマガジン無料登録

当社代表林正人の著書『社労士が書いた 介護「人材」の採用・育成・定着のための職場作り』が出版されました。

社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティングの情報セキュリティマネジメントシステムは、GCERTIにてISO/IEC 27001:2022の認証を受けています。【認証番号GIJP-2209-IC】
SRPⅡ認証は、社会保険労務士事務所の「信用・信頼」の証です。
社労士法人ヒューマンスキルコンサルティングは、全国社会保険労務士会連合会より社会保険労務士個人情報保護事務所として認証を受けています。【認証番号第1602793号】
→SRPⅡ認証(全国社会保険労務士連合会)
▲
menu