コラム
深刻化する「看護師不足」…離職率も高止まりで「定着」が課題に
厚生労働省の将来推計(「医療従事者の需給に関する検討会 看護職員需給分科会 中間とりまとめ案」)によると、2025年に必要とされる看護師の数は188万~202万人であるのに対し、供給推計は175万~182万人程度にとどまる見込みです。その結果、最大で約27万人の看護師が不足する恐れがあるとされています。
また、日本看護協会の「2024年病院看護実態調査」によると、看護職員の離職率は11.3%で、離職率は依然として2ケタ台で横ばいを続けています。
高い医療需要の一方、慢性的な看護師不足にある昨今、看護師不足は採用の問題だけでなく、いかに長く働き続けてもらうかが大きな課題となっています。
特に、小規模な体制のクリニックでは、1人ひとりの看護師への業務依存度が高く、欠員が出るとすぐに診療体制に支障をきたす恐れがあります。
離職につながりやすい「人間関係」の悩み
看護師の離職理由はさまざまです。労働環境や待遇面への不満、結婚や妊娠・親の介護といったライフステージの変化、職場の人間関係……。
こう語るのは、キャリア30年以上のベテラン看護師、ケイコさん(仮名・50代)です。看護専門学校を卒業後、西日本の総合病院に約20年勤務。主にオペ室(手術室)や外科病棟でキャリアを積んだ後、「肉親の介護のため」退職を決意。その後、病院併設の介護施設などを経て、7年ほど前から現在のクリニックで看護師として働いています。
こう話すケイコさんですが、入職当初は人間関係に悩まされたといいます。
具体的にはどんなことに苦労されたのでしょうか。
しかし、そこはベテラン看護師のケイコさん。うまく下手に出ながら、できる限り自力で仕事を覚える努力を続け、半年ほどでひとり立ちすることができたそうです。
「良好な人間関係」が「良好な医療」を支える
現場の看護師同士の関係性が悪いと、医療の質の低下を招きかねません。それは、クリニック経営にも大きなダメージを与えます。だからこそ、クリニック経営者にはスタッフの人間関係を円満にし、良好なコミュニケーションが取れる職場環境を整える努力が求められるのです。
では、看護師の視点から考えたとき、どのような取り組みが望ましいのでしょうか。
「看護師同士の人間関係が悪いといっても、表面化していない場合も多いと思います。みな大人ですし、医療職として誇りを持っていますから、そこはぐっと我慢して表面的には取り繕います。だけど、我慢できない人は辞めてしまうかもしれません。
院長にお願いしたいのは、1人の看護師の意見だけを鵜呑みにせず、平等に話を聞いてほしいということです。立ち回りや口がうまい人もいますし、情報操作というか、うまく上にとり入って、気に入らない人を悪者に仕立てるようなケースもみてきました。
また、揉めている当事者もそれぞれが自分の正義を持っています。その言い分を公平に聞いて、客観的に判断していただきたいです。そして『常に全員を見守っている』という姿勢を示してもらえれば、看護師も安心して働けると思います」
クリニック経営を強化するうえで、優秀な看護師の確保は大きな課題です。そのための施策として、給与待遇や福利厚生の充実、ライフステージにあわせた育児休業・介護休業制度、キャリアアップ支援など、さまざまな切り口があります。
しかし、こうしたハード面の整備とともに、あるいはそれ以上に、ケイコさんが指摘する「職場の人間関係をいかに良好なものにしていくか」が、クリニック経営者には求められているのかもしれません。
「医療現場はどこも忙しいですし、大変なことや辛いことも少なくありません。でも、医師や看護師、事務スタッフなど、みんなのチームワークがよければ、お互いに協力し合って、困難なことも乗り越えていけると思います。これは、これまでの経験から実感していることです。
看護師は基本的に医療従事者として、患者さんに質の高い医療・看護を提供したいと思っています。しかし、ギスギスとした職場環境ではそれは難しく、結果的に忙しいばかりでやりがいを失い、精神的にすり減っていき、離職することになりかねません」
良好な人間関係を含めて、スタッフが働きやすい環境をつくることで、医療や看護の質が高まり、患者満足度も向上します。それが患者数の増加につながり、その利益はまた、スタッフの待遇や福利厚生などに還元する……。
このような「好循環」を続けることが、優秀なスタッフを定着させる秘訣なのでしょう。そしてそれが、クリニックの安定経営にもつながっていくのではないでしょうか。
- © Medical LIVES / シャープファイナンス
日本生命保険が主導して設立した共同事業体(コンソーシアム)が、2026年度から保育士の業務効率化の支援事業を本格化させる。
日生と傘下のシステム会社ニッセイ情報テクノロジー、ニチイ学館、保育事業者の学研ホールディングス、グローバルキッズ、ライクの計6社が25年3月、「保育イノベーションコンソーシアム」を設立し、10月には社会福祉法人すくすくどろんこの会が加わった。事業者単独では実現が難しい人材確保やDX推進、コスト削減など業界に共通する課題解決を目的とする。
日生と傘下のシステム会社ニッセイ情報テクノロジー、ニチイ学館、保育事業者の学研ホールディングス、グローバルキッズ、ライクの計6社が25年3月、「保育イノベーションコンソーシアム」を設立し、10月には社会福祉法人すくすくどろんこの会が加わった。事業者単独では実現が難しい人材確保やDX推進、コスト削減など業界に共通する課題解決を目的とする。
コンソーシアムはこの1年、保育士の働き方を調査し、労働環境の課題を整理したほか、子どもの情報管理や事務作業をデジタル化するシステムの実証実験を完了した。現在、26年度からの開始を目指す外販に向けて改修している。
また、全国に約110万人とされる潜在的な保育士の復職を後押しするため、短時間勤務でも可能な受け入れ先と人材を結ぶマッチングの仕組み作りを進めており、26年度中の実用化を目指している。将来の人材確保につなげるために保育士養成施設と連携し、中高生に保育の魅力を発信する取り組みも進めている。
このほか、消耗品にかかるコスト削減を目的にした共同調達の可能性も検討中だ。
「持続的な運営支える基盤作り目指す」
共働き世帯の増加や26年度から就労に関係なく保育施設を利用できる「こども誰でも通園制度」が全国で始まることなどから、保育ニーズは高まっている。一方で、現場では保育士不足が慢性化しており、保育の質を維持しながら業務負担を軽減することが急務となっている。日本生命ライフサポート事業部長の笠原有子氏に、保育業界のこうした現状やコンソーシアムの取り組みについて聞いた。
――保育領域に力を入れるのはなぜか。
「少子高齢化が進む中、保険だけではカバーできないニーズやリスクが広がっている。24年度から3年間の中期経営計画では、保育・介護を、生命保険と並び安心を提供する領域として位置づけ、取り組みを強化することにした」
「保育は地域単位の小規模事業者が多く、横のつながりが生まれにくい。単独では、業務効率化やデジタル投資も進まない。持続的な運営を支える基盤作りを目指し、設立したのが保育イノベーションコンソーシアムだ」
「日本生命は24年、ニチイホールディングスを買収して保育事業に参入した。コンソーシアムで得られた知見を生かし、地域の保育事業者向けに保育士の採用育成や資金支援などの経営支援サービスを提供することを目指している。将来的には、保育事業者を通して地域住民と接点を作り、保険事業に結びつけたいコンソーシアム発足から1年の手応えは。
「準備、体制作りの1年だった。活動の軸となるステートメントを策定し、キープレーヤーであるこども家庭庁へも活動状況を定期的に伝えて、コンソーシアムの存在感を示せた。復職支援や共同調達スキームの検討など、来年度の実装に向けた足がかりは築けた」
今後の課題は。
「社会福祉法人の参加を増やすことだ。00年の規制緩和で株式会社の保育市場への参入が認められたが、依然として運営主体は社会法人が多数を占める。ともに課題に取り組まなければ、根本的な解決にはつながらない。1法人の参加で終わらせるのではなく、賛同の輪を広げていく必要がある」
「そのためにも、潜在保育士のマッチングやITインフラの構築などを早期に実現し、取り組みへの理解を広げたい。日本生命は保育運営を本業としない立場だからこそ、運営目的の異なる事業者をつなぐハブとして機能し、保育業界全体の発展に貢献していきたい(読売新聞オンライン)
全国の事業所で「ケアプランデータ連携システム」の普及が一気に加速している。
新たな補助金や新年度の介護報酬の臨時改定がトリガーになった。訪問介護や通所介護、居宅介護支援などの「処遇改善加算」の取得要件に、その利用が明確に位置付けられたことで先行きも決まった。今後、在宅領域ではケアプー対応がマストになる。
ただ、実際に導入したものの「従来の業務慣習から脱却できない」「現場の負担が減らない」と戸惑う事業所は少なくない。持てる機能を有効に使い、真の生産性向上につなげるためには何が必要か。
ケアプー活用で内閣総理大臣表彰も受けた株式会社トライドマネジメントの長谷川徹代表に聞いた。
顕在化する生産性の二極化
「幅広い介護従事者を対象とする形で、新年度から処遇改善加算が拡充されるインパクトは非常に大きい」
長谷川代表は新年度の臨時改定をこう評価した。処遇改善加算の取得要件を満たす最適解は、もはや「ケアプー一択」と言っても過言ではない。
しかし、その「導入」は単なる通過点に過ぎない。何より大切なのは、これから全国で本格稼働されていく「介護情報基盤(*)」への対応を含め、ケアプーをうまく「利用」していくことにほかならない。
* 介護情報基盤=介護保険証や要介護認定、主治医意見書、ケアプランといった現場で必要な情報を、利用者、事業所、医療機関、市町村などがオンラインで迅速に閲覧・共有できる新たなインフラ。厚労省は今年4月から活用を順次スタートし、2028年4月までに全国すべての市町村で運用を始める準備を進めている。
注)この記事では配信当初、上記の補足説明中の記載が「来年4月から活用を順次スタート」となっておりましたが、正しくは「今年4月から活用を順次スタート」でした。お詫びして訂正いたします。この記事はすでに訂正を反映済みです(2026年3月23日14時04分)。
「今ここで、ケアプーを導入するにあたって四苦八苦している事業所は、少し取り組みのスピードを上げた方がいいかもしれない」
長谷川代表は警鐘を鳴らす。地域では事業所間のデジタル格差が広がり、生産性の二極化が進行している。この地平の先で、時代の変化を前に立ち止まったままの事業所が淘汰されていく未来を予見し、「あまり猶予はない」という焦燥感を強めているようだった。
「土台がなければ進まない」
ケアプーの有効活用に向けて、長谷川代表は真っ先に必要なことに「対話」をあげた。
「なぜ導入しなければならないのか」「これからどうなりたいのか」
現場と徹底的に話し合う場を持つべきだという。
経営層が現場にタスクを与え、「これやっといて」と指示するだけの手法は通用しない。自ら現場に入り、旗振り役として積極的にコミュニケーションの機会を設けることが不可欠だ。
長谷川代表は「業務フローの転換はデジタル化と捉えられがち。もちろん間違いではないが、実はローカルの準備、環境整備といった土台がなければ進まない」と語る。
業務フローの転換は、とりわけその初期に必ず一定の負担を伴う。新たなシステムの導入などでやり方を変えれば、どうしても一時的に生産性が低下してしまう。
必然的に、職員はこれを「忙しいのに仕事が増えた」と捉える。取り組みを敬遠したり先送りしたりするほか、「無駄だ」「意味がない」などと強調することもある。
生産性を向上させたその先に、自分にどんな見返りがあるのか。もっと仕事をさせられるだけではないか。ここが不明確だと真剣に取り組まない職員もいる。
つまり、現場への丸投げで業務フローをうまく転換させることは難しい。経営層が明確な意思と方向性を示し、事業所内の共通理解を醸成していかなければならない。
ケアプーの場合、相手の事業所の対応状況も大きく影響する。こちらがデータで送っても、先方が紙で返してくることも「あるある」だ。長谷川代表は、「環境が十分に整うまではどうしても一定の時間がかかる。ここを無駄にせず、自社の業務フローをしっかり再構築する備えをしておくといい」と呼びかけた。
新たな仕組みがうまく回り始めれば効果は絶大だ。トライドマネジメントでは、利用者数が増えているにもかかわらず、FAX送信にかかる時間が月5時間弱から2時間弱へと大幅に短縮された。
長谷川代表は、「自社の課題解決にも合っているツールだと思ったし、厚生労働省や国保中央会というキーワードが出てくる以上、このツールが時代を変えることは間違いないと確信した。ケアプーのメリット・デメリットを分析しながらもこのツールを軸に、数ヵ月をかけて、どうすれば効率の良い業務フローが作れるかを、スタッフみんなで考えて実践した結果、次々と成果につながっていった」と笑顔を見せた。
ケアプーでは様々な書類を.pdfや.jpgなどで送受信するため、これを適切に保存することが不可欠となる。全て紙に印刷し、それぞれファイルに綴じるといった方法を抜本的に変えなければならない。
このため、多くの事業所がクラウドストレージを使うようになる。トライドマネジメントでは、事業所番号の記載やタグ付けなどのルールで必要な書類をすぐに引き出せる環境を作っており、これも業務負担の軽減につながっているという。長谷川代表は、ファイル管理の工夫も中長期的には重要な運用ポイントになると指摘した。
あるべき姿のために
まださほど多くはないが、一部の市町村では新年度から介護情報基盤の運用がスタートする。これが全国で始まると、また新たな業務フローへの転換がすべての事業所に求められるようになる。
新年度の処遇改善加算には「誓約」などの経過措置があるが、今なお猶予期間がたっぷりあるかと言うとそうでもない。ケアプーの有効活用を早めに実現しないと、その先の対応がすべて後手後手に回ってしまうリスクが高い。
長谷川代表は、「介護情報基盤の本格運用(2028年度から)を見据えると、さすがにもう時間が少なくなってきた。今のうちから対話を重ね、しっかりとした土台を作っていくことが欠かせない」との認識を示した。その上で「そうした取り組みはやがて事業所の成長につながり、地域の高齢者を支えることに結びつく」と呼びかけた。
新・処遇改善加算に対応
評価制度・給与制度の作り方
~キャリアパス整備のポイントを
保育園専門社労士が解説~
以下のようなお悩みをお持ちの方は1度ご相談ください /
①新しい処遇改善加算への対応方法を知りたい
②新処遇改善ではキャリアパス整備が重要になる!
「従来の2%の加算」から新区分では「不支給」に改定
③園の理念を浸透させる手段として評価を活用したい
④職員のモチベーションを高め、定着につながる
評価制度・賃金制度を作りたい
詳細は下記をご覧ください。
保育業界における処遇改善は、これまで複雑な加算制度によって運用されてきましたが、2026年前後を境に制度の一本化・再設計が進んでいます。
1.制度の大きな方向性:一本化と透明化
2026年の保育分野の処遇改善のキーワードは以下の3点です。
・処遇改善等加算の一本化
・人件費の底上げ
・経営情報の見える化
従来は
・処遇改善Ⅰ
・処遇改善Ⅱ
・処遇改善Ⅲ
など複雑な体系でしたが、今後はよりシンプルで「説明責任が果たせる制度」へ移行していきます。
2.処遇改善の水準と実態
現在の処遇改善水準は、
・月額12,000円〜38,000円(区分1)
・役職者で5,000円〜40,000円
とされており、園ごとの配分に委ねられています。
ここで問題となるのが、
「同じ制度でも園ごとに待遇差が大きい」点です。
今後はこの格差を是正する方向に進む可能性が高いと考えられます。
3.“見える化”が園経営に与える影響
近年の制度改正では、
・財務情報公開
・人件費比率の明確化
などが求められています。
これにより、
✔ 職員
✔ 保護者
✔ 行政
すべてに対して、説明責任が強化されます。
つまり、
「処遇改善をしているか」ではなく
「どう配分しているか」まで問われる時代です。
4.人材確保競争の激化と処遇改善
保育業界は引き続き人材不足が続いており、処遇改善は採用競争の核心となっています。
しかし重要なのは、
単なる給与アップでは定着しない点です。
現場では以下の声が多く見られます。
・評価が不透明
・昇給基準が曖昧
・役職の意味が不明確
つまり、
制度の“設計”が弱い園ほど離職率が高い傾向があります。
5.社労士視点:園が取るべき対応策
① 配分ルールの明文化
・誰に
・いくら
・なぜ
→ 説明できる状態が必須
② 等級制度の導入
・一般保育士
・リーダー
・主任
→ 処遇改善Ⅱ・Ⅲとの連動
③ 評価制度の整備
・行動評価
・スキル評価
→ 「納得感」のある処遇へ
④ 採用ブランディングへの活用
・求人票に処遇改善の具体額を明記
・キャリアパスを提示
→ 応募率向上に直結
⑤ 園長・法人本部の意思統一
処遇改善は「園単位」ではなく
法人戦略として設計すべきです。
6.今後の展望:保育は“人事制度の時代”へ
今後の保育業界は、
単なる補助金依存ではなく
✔ 人事制度
✔ 組織設計
✔ 経営透明性
が競争力の源泉になります。
処遇改善加算はその中心にあり、
「制度を活用できる園」と「使いこなせない園」で
決定的な差が生まれる時代に入っています。
2026年6月施行予定の介護報酬改定は、「処遇改善加算の抜本的強化」を中心とした異例の期中改定として位置付けられています。人材不足が深刻化する中で、単なる賃上げではなく「人材確保と定着を両立させる制度」へと大きく進化しています。
1.最大月額1.9万円の賃上げインパクト
今回の改定では、介護従事者全体に対して月額1万円のベースアップを基本とし、生産性向上等の取り組みに応じて最大1.9万円まで引き上げる設計となっています。
これは従来の「一部職種・一部配分」から脱却し、業界全体の底上げを狙ったものです。特に重要なのは、「加算額=賃上げ原資として確実に充当」が原則化された点であり、経営判断の自由度はむしろ制限されています。
2.対象の拡大:介護職員から“介護従事者”へ
最大の制度変更は、対象範囲の拡大です。
従来の「介護職員中心」から、事務職や補助職も含む介護従事者全体へと広がりました。
さらに、これまで対象外だった
・居宅介護支援
・訪問看護
・訪問リハビリ
などにも加算が新設され、サービス横断型の処遇改善制度へと進化しています。
これは、現場のチームケアの実態に即した制度設計と言えます。
3.生産性向上との連動が鍵
今回の改定で最も重要なキーワードが「生産性向上」です。
ICT導入や業務効率化を進めた事業所には、
・訪問介護:最大28.7%
・通所介護:最大12%
といった高い加算率が適用されます。
つまり今後は、
「人件費を上げるために生産性を上げる」構造が制度として明確化されました。
これは裏を返せば、
・ICT未導入
・アナログ運営
・非効率なシフト
のままでは、加算の取りこぼしが発生することを意味します。
4.2027年改定への“布石”としての位置付け
今回の改定は単発ではなく、2027年度の本格改定への準備段階とされています。
したがって、短期的な対応ではなく、
・人事制度
・評価制度
・賃金体系
を含めた「構造改革」が求められます。
5.社労士視点:今後の実務対応のポイント
介護事業所が取るべき実務対応は以下の5点です。
① 配分ルールの明確化
・基本給への反映か
・手当配分か
・賞与対応か
→「見える賃上げ」にしなければ離職防止効果は薄い
② キャリアパス要件の再設計
処遇改善加算は引き続き
・キャリアパス
・研修制度
・昇給ルール
が必須です。
→ 名ばかり制度では監査リスクあり
③ ICT・DX投資の意思決定
・見守り機器
・記録システム
・ケアプラン連携
→ 加算取得の前提条件化
④ 全職種型人事制度への移行
対象拡大により、
「介護職中心の制度」は限界
→ 事務・リハ・看護を含めた統合設計が必要
⑤ 採用戦略との連動
「処遇改善=採用ツール」として活用
→ 求人票・LPでの訴求が重要
6.まとめ:処遇改善は“経営改革ツール”
2026年改定の本質は、単なる賃上げではありません。
✔ 人材確保
✔ 生産性向上
✔ 組織改革
これらを同時に進めるための政策です。
したがって今後は、
「加算を取るかどうか」ではなく
「どう活かして経営を変えるか」
が問われる時代になります。
株式会社コドモン(本社:東京都品川区、代表取締役:小池義則)は、こども施設向け業務連絡ツール「せんせいトーク」において、施設の枠を越えた連携を支援する新機能「コミュニティ機能」を2026年3月5日にリリースいたしました。
本機能は、保育施設においてこれまでメールや個人用メッセージアプリに頼らざるを得なかった施設外との業務連絡を、仕事専用のコミュニティ環境で行えるようにするものです。リリースにあたり、本機能を評価いただいた株式会社ポピンズ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:轟 麻衣子)での導入が決定いたしました。個人用メッセージアプリ利用による心理的負担を軽減し、保育・教育・療育業界における円滑な情報連携を支援します。
【本リリースのポイント】
●【新機能】 自治体や系列園、他施設などの施設外でつながれる「コミュニティ機能」をリリース。個人用メッセージアプリを介さないこども施設間の外部連携が可能に。
●【課題解決】 施設や組織の枠を越えた複数の知見で子どもを見守る環境づくりが可能に。加えて職員の「つながらない権利」にも配慮。
●【実績】 本機能を評価いただき、株式会社ポピンズが全325施設(2025年12月時点)への一斉導入を決定。
■拡大する「施設間連携」と、守るべき「職員の境界線」
こども施設を取り巻く環境は、子どもを社会全体で多角的に見守る制度設計への移行に伴い、職員の連携先が大幅に拡大しています。例えば、複数施設を運営する法人内の情報共有や、自治体と公営保育所の連絡、保育施設と児童発達支援センター、学童保育と放課後等デイサービスとの連絡などが挙げられます。
一方で、施設の枠を越えた職務上の連絡は、連絡手段がメールに限られるために、より利便性の高い個人用メッセージアプリを利用して連絡を取る実態があります(※1)。結果、「業務と私生活の境界が曖昧になりやすい」「情報管理が属人化し、組織で把握できない」といった課題が見受けられます。
現在、こども施設職員の労働環境の見直しや、労働者の「つながらない権利」への関心が高まっています。保育・教育・療育業界全体においても、「組織を越えた連携をしつつも、常時つながる状態を前提としない」、仕事専用の連絡手段が求められています。
※1 施設内コミュニケーションのアンケート調査
https://www.codmon.com/column/report_4/
■こども施設向けの業務連絡ツール「せんせいトーク」を「組織の外」へ拡張
新機能のベースとなる「せんせいトーク」(※2)は、こども施設で働く職員同士の円滑なコミュニケーションのための、業務連絡ツールです。個人のアカウントや電話番号を教え合うことなく、メッセージの送受信、写真や動画の共有、アンケートといった機能が利用できます。
※2 こども施設向け業務連絡ツール「せんせいトーク」
https://www.codmon.com/service/senseitalk/
これまで「施設内連絡」で運用してきたツールを、今回、自治体や系列園といった「施設外」へ拡張。施設の外部との連携ができる「コミュニティ機能」として実装いたしました。
■組織の枠を越えた連携ができる「コミュニティ機能」
今回追加された「コミュニティ機能」は、各施設の枠を越えて、“仕事専用のコミュニティ環境”を目的に応じて作成できる機能です。コミュニティの作成は各組織の管理者権限のもとで行われ、ガバナンスの効いた運用が可能です。また、職員の「つながらない権利」を尊重し、あえて「既読機能」を設けないことで、過度な即時性を前提としない設計としています。本機能は、コドモンの有料契約施設に所属し、コドモンのアカウントをお持ちの職員であれば利用できます(2026年3月時点)。

■株式会社ポピンズをはじめ、多施設運営法人にて続々導入決定
本機能は多施設運営法人への導入が広がる中、このたび株式会社ポピンズの全325施設(2025年12月時点)において、「せんせいトーク」および「コミュニティ機能」の導入が決定いたしました。
【導入の背景】
全国で多様な保育・学童施設などを展開する同社では、施設の枠を越えて知見や経験を共有し、保育の質を高めていくことを大切にしています。
本機能の「仕事専用の安全な環境で、安心して施設外とつなぐことができる」という特長が、同社の目指す「質の高い保育」と「働きやすい職場環境」の両立に合致し、全社導入に至りました。
【株式会社ポピンズ 取締役COO 田村 篤司さまコメント】
「弊社では、社員を大切にすることが最高水準の顧客サービスにつながるという『社員ファースト』プロジェクトを推進し、働きやすい環境の整備を進めてまいりました。本機能の導入により、施設を越えた円滑なコミュニケーションと知見の共有が促進され、社員にとってより働きやすい環境の実現につながると考えています。
今後も社員の働きやすさを実現し、弊社施設をご利用いただくお子さま・保護者さまに安全・安心、かつ質の高い保育サービスの提供を目指してまいります。」
株式会社ポピンズ
概要:https://www.poppins.co.jp/hldgs/
■地域がワンチームで子どもを見守る地域連携の基盤へ
コドモンは本機能の普及を通じて、子どもを見守る地域の関係機関がひとつのチームのように円滑に連携できる環境整備を目指しています。こうした組織の壁を越えた連携は、子どもたちが地域全体の知見に見守られる環境づくりにつながります。
コドモンは今後も、子どもを取り巻く環境をよりよくするため、テクノロジーを用いて向き合い、現場に生まれた「ゆとり」を通じて、子どもたちが質の高い教育・保育を享受できる未来を創造してまいります。
■株式会社コドモンについて
株式会社コドモンは、「子どもを取り巻く環境をテクノロジーの力でよりよいものに」というミッションを掲げ、業界シェアNo.1(※3)の保育・教育施設向けICTサービス「CoDMON(コドモン)」 を提供しています。園児/児童情報と連動した成長記録や指導案のスマートな記録、登降園管理、保護者とのコミュニケーション支援機能などを通して、先生方の業務負担を省力化します。これにより、子ども施設で働く職員と保護者の方々が、子どもたちと向き合うゆとりをもち、より質の高い保育ができる環境づくりを支援しています。
また、ICTによる支援だけでなく、保育施設向けECサービス「コドモンストア」、全てのこども施設職員が利用可能な優待プログラム「せんせいプライム」、保育施設向けオンライン研修プラットフォーム「コドモンカレッジ」も展開しています。これらの多角的な取り組みを通じて、「子どもの育ちや学びを社会全体で支えられる世の中へ」というビジョンの実現を目指します。
新年度の介護報酬の臨時改定で拡充する「処遇改善加算」について、厚生労働省は19日、申請に欠かせない計画書の記入方法を解説する動画をYouTubeの公式チャンネルに投稿した。
動画は約9分。全4シートからなるエクセル様式の具体的な入力手順を解説している。まずは「基本情報入力シート」から、4・5月分の個表、6月以降分の個表と続き、最後に総括表をまとめるプロセスが提示されている。
フォーマットは、必須の入力項目が自動で色付けされる仕組み。記載漏れや要件の未達があれば、濃いオレンジ色のセルに「×」が表示される仕様となっている。
今回留意すべきことの1つは、対象月によるシートの使い分けだ。6月から臨時改定で処遇改善加算が拡充されるため、4・5月分(別紙様式2-2)と6月以降分(別紙様式2-3)で記入先が分かれている
人工知能(AI)を活用し、介護に関する人手不足問題を打破する中小企業がある。これまで膨大な人手が必要だった介護支援計画の作成や事務処理にかかる作業をAIに代替させることで、新しい施設の開業や現場サービスの向上につなげる考えだ。
関西中心に100以上の介護付き有料老人ホームを運営するチャーム・ケア・コーポレーションは1月から、半年ごとに更新する入所者の介護スケジュールの原案を生成AIが作成するシステムを試験導入した。
新規開業に人材
従来はケアマネジャー(介護支援専門員)が介護記録や睡眠データ、本人・家族・かかりつけ医師へのヒアリングをもとにケアプランを手作業で策定していた。新システムでは、人は原案の確認や修正を担う。1人あたり最大4時間ほど要していたプラン作成は2時間程度まで短縮した。
1人のケアマネジャーがプラン作成を担当する入所者数は、現在の約60人から100人程度まで増やせるとみる。6月末には全施設で本格導入を予定する。遠藤圭太・経営企画室長は「ケアマネジャーは業界全体で不足感が強い。省人化できれば質の高い人材を吟味して採用できる」と語る。
2026年6月期の売上高は前期比4%増の485億円、営業利益は16%増の44億円を見込む。既存施設の省人化は利益率を高め、新規開業の施設に人を回すなど成長も追い求めやすくなる。
現在はケアマネジャーごとにプランの作成手法にばらつきがあるものの、大野世光・介護DX推進室長は「AIを使えば質を標準化できる」とみる。将来はAIが過去の記録を分析し、入所者の行動変化を介護職員に伝えるような機能を導入する構想を持つ。
高齢化が進む日本では介護の需要が急増している。厚生労働省によると、要介護(要支援)認定者数は24年3月末時点で初めて700万人を突破した。過去20年の間に約300万人も増え、介護給付によって国の財政負担が増している。
同時に介護関連の人手不足は一段と進む恐れがある。厚労省は26年度に必要な介護職員は約240万人とみる。40年度には約272万人に跳ね上がる見通しだ。待遇面や働きやすさなどの問題から、人手の確保は年々厳しくなっている。
介護関係職種の有効求人倍率は24年度に4.08倍。この指標は1倍を超えると求人の数が多いことを示し、全職業の倍率は同年度に1.14倍だった。介護の求人数が突出して高い現状を映す。人手が極端に足りない業界だからこそ、AIを賢く導入し現場サービスを高める知恵が欠かせない。
九州で介護付き有料老人ホームや訪問介護事業などを手掛ける、あおぞらケアグループ(鹿児島市)は25年11月、介護業界をAIで支援するケアチャット(大阪市)と資本・業務提携した。
介護施設で負担が重い作業の一つは、ファクスで届く利用者ごとの書類の整理だ。利用者ごとに介護器具や服薬指導など、最大60種類に及ぶ異なる書類を受け取らなければならない。
約800人の利用者がいる、あおぞらケアのある施設では、これまで月1万枚程度の書類をファクスで受信。介護職員が書類を手作業で仕分けするのに月約190時間かかっていた。
ファクスで受信した書類をAIが自動で解析・整理するシステムを導入し、事務処理時間を約9割削減した。ケアチャットの城戸勇人社長は「AIで生まれた時間を利用者のサービス改善につなげなければいけない」と力を込める。
あおぞらケアの大牟禮康佑代表は「現場の残業はほとんどなくなった。介護人材の不足を防ぐためにも、やりがいと経済的豊かさの両立が欠かせない」と話す。実業家の堀江貴文氏らと組み、介護業界で生成AIをどう使うか教えるオンラインスクールも25年から運営している。
意識改革に時間
ロボットを活用し、介護現場で専門人材不足に対応する中小もある。
精密部品メーカーのサンコール(京都市)は歩行学習支援ロボットを開発した。足に装着するロボットが人の歩行を感知し、タブレットで事前に設定した最適な足の動かし方に導くよう設計した。歩行に障害を抱える人がリハビリテーションなどで使っており、介護施設や病院への納入を進めている。
介護施設でリハビリにつきそう理学療法士らの専門人材は地方に少ない傾向がある。こうした現状を踏まえ、遠隔操作型のロボットを試験している。理学療法士が離れたところからロボットを設定し、標準的な介護職員が歩行を支援できる環境整備を目指す。個人により適合するようAIの活用を視野に入れる。
もっとも、介護の事務と異なり現場にAIが浸透するにはなお時間がかかるとの見方もある。
チャームケアは24年に携帯型エコーを全施設で導入。AIがエコー画像を深層学習し、ぼうこうの大きさを計測して尿のたまり具合を判定したり、直腸での便の位置を知らせて予期せぬ排せつを防いだりする。しかし「エコーは医療従事者が使う」との意識が現場での普及を阻み、導入から1年半がたっても使用率は6割弱にとどまる。
介護業界に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの丹羽麻一子氏は「AIを積極的に導入することは業務の効率化に加え、採用面でも若年層へのアピールにつながる」と話す。そのうえで「現場の抵抗感を軽減するため、業務フローを踏まえて導入を進める必要がある」とみる。(3月18日 日本経済新聞)
介護事業所、保育園、クリニックの経営者から、近年特に増えている労務相談があります。それが「問題社員への対応」です。
例えば次のようなケースです。
-
何度注意しても遅刻や欠勤を繰り返す
-
職場の人間関係を悪化させる
-
利用者や患者への対応が不適切
-
指導しても態度が改善しない
人手不足の業界では「辞められると困る」という理由で、問題社員を放置してしまうケースも少なくありません。しかし実務経験上、問題社員を放置すると職場環境が悪化し、優秀な職員から先に辞めていくという現象が起こります。
労働政策を所管する厚生労働省も、職場環境改善やハラスメント対策を重要な政策課題として掲げています。つまり、問題社員への適切な対応は、これからの組織運営において避けて通れないテーマなのです。
本稿では、介護・保育・クリニックなど医療福祉分野の現場を支援してきた社労士の視点から、問題社員への適切な対応方法を解説します。
問題社員とはどのような職員か
まず整理しておきたいのは、「問題社員」とは必ずしも能力が低い職員だけではないということです。実務上、問題社員と呼ばれるケースにはいくつかのタイプがあります。
第一に、勤務態度に問題があるケースです。遅刻や欠勤を繰り返す、指示に従わないなど、基本的な勤務姿勢に問題がある職員です。
第二に、職場の人間関係を悪化させるケースです。陰口や対立を生み、チームワークを乱すタイプです。介護・保育・医療の現場はチームワークが重要なため、この問題は非常に深刻です。
第三に、業務遂行能力に課題があるケースです。ミスが多い、指導しても改善しないなどのケースです。
このような職員がいる場合、経営者や管理職は早期に対応を検討する必要があります。
問題社員を放置するリスク
問題社員を放置すると、次のようなリスクが発生します。
まず職場のモラルが低下します。「あの人は注意されないのに、なぜ自分だけ」という不公平感が生まれるためです。
次に、優秀な職員の離職につながります。真面目に働いている職員ほど、職場環境の悪化に敏感です。
さらに、利用者・患者・保護者へのサービス品質が低下する可能性があります。介護・保育・医療の分野では、サービス品質の低下はそのまま経営リスクにつながります。
つまり、問題社員への対応は単なる人事問題ではなく、経営問題なのです。
問題社員への対応で重要な3つの原則
問題社員への対応には、感情的な判断ではなく、法的リスクを踏まえた手順が必要です。
① 事実を記録する
最も重要なのは、問題行動を客観的に記録することです。
例えば
-
遅刻の回数
-
業務ミスの内容
-
指導内容
-
面談の記録
などを文書として残しておく必要があります。
記録がない場合、後にトラブルになった際に会社側が不利になる可能性があります。
② 指導と改善機会を与える
いきなり解雇などの厳しい処分を行うことは、労務リスクが高くなります。
まずは
-
口頭指導
-
文書指導
-
改善計画
という段階的対応が重要です。
このプロセスを踏むことで、職員本人にも改善の機会を与えることができます。
③ 就業規則に基づく対応
懲戒処分や退職勧奨などを行う場合は、就業規則の規定に基づく必要があります。
例えば
-
懲戒規定
-
指導規定
-
ハラスメント規定
などです。
就業規則が整備されていない場合、適切な対応が難しくなるため注意が必要です。
【事例】問題社員対応で職場環境が改善したケース
ある介護事業所では、遅刻や勤務態度に問題がある職員がいました。
当初は人手不足のため、注意のみで対応していました。しかし、次第に職場の雰囲気が悪化し、複数の職員が退職を検討する状況になりました。
そこで管理者と社労士が連携し、
-
指導記録の作成
-
改善面談
-
文書による指導
を行いました。
結果として、その職員は改善が見られなかったため退職となりましたが、その後職場環境は大きく改善しました。
小規模事業所ほどルールが重要
介護事業所やクリニック、保育園は比較的小規模な組織であることが多く、経営者と職員の距離が近いという特徴があります。
そのため、感情的な判断や個別対応が増えやすい傾向があります。
しかし、小規模組織ほど
-
ルール
-
記録
-
手続き
が重要になります。
これらが整備されていれば、トラブルを未然に防ぐことができます。
社労士としての実務的アドバイス
問題社員への対応で最も多い失敗は、次の2つです。
一つは「我慢しすぎる」ことです。問題を先送りすると、状況は悪化します。
もう一つは「感情的に対応する」ことです。怒りに任せて発言してしまうと、後で労務トラブルになる可能性があります。
重要なのは、
冷静に、段階的に、記録を残しながら対応すること
です。
まとめ
介護、保育、クリニックなどの医療福祉分野では、人材不足の影響もあり、問題社員への対応に悩む経営者が増えています。
しかし、問題社員を放置すると
-
職場環境の悪化
-
優秀な職員の離職
-
サービス品質の低下
につながる可能性があります。
そのため、
-
問題行動の記録
-
段階的指導
-
就業規則に基づく対応
という基本的な対応を行うことが重要です。
もし問題社員への対応で悩んでいる場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。適切な対応を行うことで、職場環境を守り、組織の安定につなげることができます。





