コラム

「継続的な賃上げ実施」の判断基準

ベースアップ評価料は6月から、「継続的に賃上げを実施している医療機関かどうか」で評価が分かれる仕組みとなります(2026年5月号参照)。まだ届出をしていない医療機関等にも、高い点数を算定できる道が示されました。

「継続的な賃上げ実施」を満たすには?


6 月からは「継続的に賃上げを実施する保険医療機関」が高い点数を算定できます。ここに含まれるのは、まず「2026年3月31日時点でベースアップ評価料を届け出ている保険医療機関」です。この場合、同日時点でベースアップ評価料を算定している必要があります。

2026 年3月までにベースアップ評価料を届け出ていなかった場合でも、それに相当する賃上げを行った場合には、同様の高い点数を算定することができます。この場合、2026年度改定においてベースアップ評価料で求められる賃上げ水準(①)に、2024年度改定で求められていた賃上げ水準2.3%(②)を加えた水準の賃上げを行うことが条件となります。

■2026年3月までに届け出ていなかった場合の
「継続的に賃上げを実施する保険医療機関」の要件
①2026年度改定
が求める水準


2024年度改定
が求める水準

継続的な
賃上げ実施
の要件


このとき、算定対象となる職員(医師・歯科医師は含まれません)を、「看護補助者・事務職員」群と「それ以外の職員」群に分け、基本給等の総額を2024年3月時点と比較し、改善額を算出します。この改善額が、下表に示す割合以上※のとき、「相当する賃上げを行った」と判断されます。 

■2026年度 (2026年6月~2027年5月)
看護補助者・事務職員 ①5.7%+②2.3%=8.0%
それ以外の職員
①3.2%+②2.3%=5.5%

■2027年度 (2027年6月~2028年5月)
看護補助者・事務職員 ①11.4%+②2.3%=13.7%
それ以外の職員
①6.4%+②2.3%=8.7%

両群を合わせた改善額が、両群に求められる額の合計以上となっていれば、要件を満たすことになります。

なお、2026 年 3 月までにベースアップ評価料を届け出ていない場合は、改善額について、2024 年 3 月時点との比較を算出し、所定の様式に記載して届け出ることが必要となります。手続きや様式等の詳細は、厚生労働省のホームページでご確認ください。
参考:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定について

 

 

 

「見えない仕事を、見える言葉に。」保育の専門性を語る全国大会「HOIKU CREATIVE BATTLE 2026」、9月長野で開催。6月1日より出場者募集

 

保育の“見えない専門性”を言葉にする全国大会が、長野から始まります。

フォーラムをカタチづくる学生実行委員
フォーラムをカタチづくる学生実行委員

音楽にコンテストがあり、アートに表現の舞台があるように。
保育にも、自分の実践を言葉にし、互いに学び合い、磨き合う場が必要なのでは——。

そんな想いから生まれたのが、「HOIKU CREATIVE BATTLE 2026」(以下、HCB)です。

HCBは、若い保育者が、子どもと向き合う中で生まれる判断や迷い、関わりの工夫を、自分の言葉で社会に届ける全国大会です。

保育みらいフォーラム実行委員会(partnership lead 関 ひなた・ Operation Lead 前阪 美都)は、2026年9月5日(土)・6日(日)の2日間、長野県立大学 三輪キャンパスにて「保育みらいフォーラム2026」を開催します。あわせて、メインプログラムであるHCBの参加者募集を、2026年6月1日より全国規模で開始します。

■ 大会の背景:日本の保育が抱える"見えない仕事"を社会に可視化する

保育という仕事は、子どもの泣いた理由を考えること、友だちとの関わりを見守ること、言葉にならない気持ちを受け止めること——
その日々の判断と工夫の積み重ねによって成り立っています。

しかし、そうした専門的な判断は日常の中に埋もれ、社会から見えにくいままになってきました。
HCBは、若手保育者・保育学生が自らの保育を「自分の言葉」で語ることで、保育の専門性と多様な価値を社会に可視化する全国大会です。

本大会では、全国から高校生審査委員30〜50名も参加し、「この人みたいになりたい」というロールモデル視点で発表者を見つめます。次世代が保育の仕事に出会い、進路を考える機会にもつなげていきます。

またHCBは、若い技能者が日頃の技術を磨き、社会に示す「技能五輪」からも着想を得ています。保育者の判断、まなざし、子どもへの関わりといった“見えにくい専門性”を、若い保育者自身の言葉で社会に届けます。

■ 学生が立ち上げる全国大会:長野の学生実行委員会が運営の中核

本フォーラムの大きな特徴は、運営の中核を学生が担っている点です。

長野県立大学の学生を中心とした実行委員会が、企画段階から、パートナー園との連携、参加者募集、当日運営に至るまで、主体的に動かしてきました。「自分たちが大好きな長野から、日本に向けて発信していくモデルをつくりたい」——その想いが、本大会の原点になっています。

また、一般社団法人信州子育てみらいネットの現場保育士も、DAY1の運営協力者として参画。学生・現場・地域が一体となって、若い保育者の挑戦を支える体制を整えています。

■ 大会概要:「実践」と「言葉」をつなぐ2日間

HCBは、実践と言葉という2つの軸で構成された2日間のプログラムです。

【DAY1(2026年9月5日/土)】
長野県立大学のプレイルームにて、みらいくの保育士が準備する親子縁日広場を開催します。HCB出場者は、保育士の見守りのもと、0〜5歳の子どもたちと関わります。
同会場では、保育の見えにくい価値を展示と体験で伝える「むすんでひらいて保育展」も同時開催します。夜は、HCB出場者と高校生審査委員が食事をともにしながら、当日の実践を振り返る交流会を行います。

【DAY2(2026年9月6日/日)】
長野県立大学講堂にて、本大会を開催します。DAY1の実践と関わりを踏まえた4名のファイナリストが、ステージ上で自らの保育を語ります。当日提示される保育映像やエピソードも、発表のヒントとして活用します。

■ 評価の4つの視点と4つの賞:序列ではなく、複数の価値軸で発見する設計

HCBは、序列を競う大会ではありません。すべての発表に学びがあるという前提のもと、複数の価値軸ですべての発表者を見つめます。評価の視点は以下の4つです。

(1)応答の瞬間:子どもの声にどう返したか
(2)安心の設計:「ここに居ていい」と感じられる関わり
(3)判断のプロセス:見守るか介入するかの迷い
(4)環境の積み重ね:毎日の小さな配慮の連続

そして表彰される4つの賞は、それぞれ異なる価値軸を可視化するために設けられています。

【HOIKU CREATIVE 大賞】審査委員選定
【上原りさ賞(特別審査委員賞)】上原りさ氏が「最も心に届いた発表者」に贈呈
【ロールモデル賞】高校生審査委員が「この人みたいになりたい」と感じた発表者を選定
【あなたに届いたで賞】観客投票による選定
DAY1に参加してくださった全員には「HOIKU CREATIVE チャレンジャー証」と、株式会社サクラクレパス様ご提供の「子どもと表現をつなぐクリエイティブセット」を参加記念品として、ステージ上で授与します。

■ 多様な視点で若手保育者を見つめる審査委員・司会陣

審査委員長には、保育研究の第一線で活躍する太田光洋氏(長野県立大学 健康発達学部こども学科 教授)。
審査委員には、保育・幼児教育分野において、『教材・教具の提供をはじめ、保育現場を幅広く支援する』株式会社チャイルド社代表取締役社長の柴田洋平氏。
特別審査委員には、元NHK Eテレ「おかあさんといっしょ」「パント!」のおねえさんとして子どもたちに親しまれた上原りさ氏。

そして、司会には、吉本興業所属のお笑い芸人として全国的に人気の「おばたのお兄さん」を迎えます。
さらに、全国公募により30〜50名の高校生審査委員も参加。世代を超えた多様な視点で、若手保育者の発表に向き合います。

■ 高校生審査委員も全国公募:保育の道を「迷ってもいい」と思える場へ

HCBでは、本大会で「ロールモデルを発見する」役割を担う高校生審査委員も、全国の高校1年〜3年生から30〜50名を公募します。
高校生審査委員は、点数をつける役割ではありません。「この人みたいになりたい」と感じるロールモデルを、自分自身の視点で発見していただく役割です。

「保育の仕事に興味がある」「子どもが好き」「進路をまだ迷っている」「『人を見る』のが好き」——どれかひとつでも当てはまる高校生は、ぜひエントリーをご検討ください。保育の道に進むかどうかは関係ありません。進路を迷っている高校生にとっても、保育の現場の奥深さに出会う絶好の機会となります。

■ 学生実行委員会からのメッセージ

「保育という仕事は、ただ子どもと遊んでいる仕事ではありません。
泣いた理由を考えること、友だちとの関わりを見守ること、言葉にならない気持ちを受け止めること——その日々の判断と工夫の積み重ねが、保育という専門性をかたちづくっています。

けれど、その判断のプロセスは、毎日の仕事のなかに埋もれ、社会から見えにくいままになってきました。HOIKU CREATIVE BATTLE 2026は、この『見えない仕事』を、若手保育者自身の言葉で『見える言葉』に翻訳していく場です。

うまく語れなくても大丈夫です。応募から本大会まで、私たち学生実行委員会と地元のパートナー園が、丁寧にサポートします。」(保育みらいフォーラム実行委員会 学生実行委員会)

◆ イベント概要

名称 :HOIKU CREATIVE BATTLE 2026 / 保育みらいフォーラム2026
開催日: DAY1:2026年9月5日(土)/DAY2:2026年9月6日(日)
会場: 長野県立大学 三輪キャンパス(プレイルーム/講堂) 〒380-8525 長野県長野市三輪8-49-7
入場料: 無料(飲食販売等は一部実費の予定)

主催: 保育みらいフォーラム実行委員会
事務局: 一般社団法人信州子育てみらいネット
共催: 子育てWEBメディア「子育てポケット」
メディアパートナー: NBS長野放送
後援: 長野県教育委員会/長野市/長野市教育委員会/長野県立大学
後援申請中: こども家庭庁

◆ HCB出場者 募集要項

募集期間: 2026年6月1日〜2026年8月16日(日)
参加資格: 23歳未満の保育学生・若手保育士
参加費: 無料(県外参加者:交通費・宿泊費を上限15,000円まで補助)
応募方法: 公式サイトより申込書をダウンロードし、メールにて提出

公式Instagram @hoiku_miraiforum

◆ 主催団体概要

名称 保育みらいフォーラム実行委員会(事務局:一般社団法人信州子育てみらいネット)
代表 山岸 裕始(一般社団法人信州子育てみらいネット 代表理事)
所在地 〒380-0812 長野県長野市早苗町41-3
事業内容 長野県内における複数の保育施設「みらいく」の運営、保育みらいフォーラムの企画・運営、保育専門人材の育成・支援
公式HP https://pocket.chiikihoiku.net/hmf

訪問介護、併設型など事業形態ごとの経営状況を把握へ 厚労相、報酬改定へ「適切な単価設定を検討」

国会では10日、介護保険法や社会福祉法などの改正案をめぐる審議が参議院で始まった。

この日の本会議では、ホームヘルパー不足や物価高騰などで厳しい経営環境にある訪問介護について、来年度の介護報酬改定で講じるべき施策が話題となった。

上野賢一郎厚生労働相は、事業所の立地や規模、集合住宅に併設されているか否かといった事業形態などを、今年度に実施する「経営実態調査」できめ細かく把握すると説明。「適切な単価設定を検討する」と明言し、訪問介護のビジネスモデルの違いも考慮して議論を深める意向を示した。


国民民主党の田村まみ議員の質問に対する答弁。


上野厚労相はあわせて、介護保険法などの改正案に盛り込んだ具体策をめぐり、中山間・人口減少地域を対象にサービスの運営基準を緩和する新たな仕組みにも言及。その導入にあたり「サービスの質の確保が重要」と強調し、利用者の安心・安全を損なわないよう具体的な制度設計を進める方針を示した。

介護業界に対する財務省の見立て(意見)を確認しておきましょう

財務省としての意見を発信する「財政制度分科会」が開催

年度が変わり、いよいよ2027年度法改正に向けての各論議論が展開され始めようとしている20265月。そんな折、「持続可能な社会保障制度の構築」というテーマに基づき、財政制度分科会が428日に開催されました。“国の金庫番”とも呼べる財務省が介護業界に対し、どのような改革案を突き付けているのか?今回は同省が作成した資料の中で特に介護事業者に関連するであろう論点の中から抜粋し、特に注視・認識しておいた方が良いと思われる10個の内容を採り上げ、お届けしてまいります。

 

財政制度分科会で採り上げられた、財務省から見た介護業界に対する見立て(意見)とは

では、早速、中身に移ってまいりましょう。ここでは本分科会で示された資料から抜粋・紹介する形で進めてまいります。先ずは、利用者負担の2割負担の範囲拡大についてです。(財務省の意見として認識しておいた方が宜しい箇所を太字・下線で強調しておりますのでご確認下さい)。

○介護保険制度が2000年に創設されてから四半世紀が経過した。高齢者を社会全体で支え合うという役割を果たしてきた一方で、高齢化の進展により介護費用・保険料は大幅に増加しており、制度の持続可能性が危ぶまれる状況にある。

○今後、現役世代の保険料負担の増加を抑制しつつ、制度の持続可能性を確保するため、令和9年度介護報酬改定に当たり、高齢化・人口減少下での負担の公平化や、給付の効率化・適正化を実施すべき。特に、保険料が増加する一方で、利用者負担がほぼ横ばいで推移していることを踏まえると、負担能力に応じた負担の在り方について検討するべき

○介護保険の利用者負担については、2割・3割負担の導入を進めてきたが、今後も、高齢化による介護費用の増加が見込まれる中で、給付と負担のバランスを確保し、保険料の伸びの抑制を図る観点から、利用者負担の更なる見直しを進めていくことが必要。

○具体的には、負担能力に応じて、増加する介護費用をより公平に支え合う観点から、2割負担の対象者の拡大を図るべき

○利用者負担の2割負担の範囲拡大については、年収基準を引き下げ、配慮措置について、案1:負担増を当分の間、最大月0.7万円に抑える、案2:預貯金が一定額以下の者は、申請により1割負担に戻す、という案で検討を進めてきた。令和8年度予算の大臣折衝において「令和9年度の前までに結論を得る」とされたことに基づき、早急に結論を得て実施すべき。

○今回の範囲拡大の目安とされた年金収入230260万円という層は、介護サービスの利用者に占める割合としては限定的であり、現役時代の給与収入が730870万円だった、大企業の課長~部長級まで昇進した層に相当し、こうした層は相応の金融資産を保有していることが多く、(2号保険料を負担する現役世代と比べても)一定の負担能力があると考えられる

○新たに2割負担になる際の負担増に関して、介護保険には、高額介護サービス費という、利用者負担額が上限(4.4万円/月)を超えた場合、超えた分を払い戻しする制度があるため、相対的に利用者負担が大きい施設介護の利用者(利用者負担は平均3.2万円/月)については、負担額が上限に達し、負担増額が抑えられる(負担増額は平均1.2万円/月)ことに留意が必要。

○医療保険と合わせた負担に関しては、高額医療介護合算サービス費という、医療・介護の利用者負担額が上限(56万円/年。月換算で4.7万円)を超えた場合、超えた分を払い戻しする制度があるため、負担額が高額介護サービス費の上限(4.4万円/月)に達しているような利用者については、追加で負担する医療保険の負担額は限定的であり、外来特例の見直し等の医療保険の給付と負担の見直しと合わせても、過度な負担増にはならないと考えられる。

利用控えに対する懸念に関しては、過去、2割負担・3割負担導入による介護サービス利用への影響は限定的であり、一定以上の所得・資産のある利用者に対して、2割負担の範囲を一定程度拡大したとしても、介護サービスの利用控えに与える影響は限定的と考えられる

続いて、ケアマネジメントの利用者負担と給付の在り方についてです。

○ケアマネジメントについては、利用者負担を求めてこなかったが、登録制の対象となる住宅型有料老人ホームの入居者に係る新たな相談支援の類型を設けた上で、利用者負担を導入することとしている(今国会に提出している「社会福祉法等の一部を改正する法律案」に規定)。住宅型有料老人ホームについては、ケアマネジメントの利用者負担の導入に関する、施設介護と在宅介護との不均衡や、ケアマネジメントの役割軽視が、特に問題となっており、確実に利用者負担を導入すべき

○介護報酬は、利用者の要介護度が進むにつれて報酬が高くなる構造(注)だが、利用者のwell-beingや給付費抑制の観点からは、本来、要介護状態からの自立や、要介護度の改善を促進する構造にすべき。ケアマネジメントの報酬における自立・要介護度改善へのインセンティブ付けを検討すべき

(注)例えば、ケアマネジメントの労働投入時間は、要支援1に対して要介護5は1.4倍だが、基本報酬は3.0倍となっている。

続いて、補足給付の見直しについてです。

○介護施設に入居する低所得者の食費・居住費を軽減する仕組みである「補足給付」については、2005年にそれまで介護給付とされてきた食費・居住費が給付の対象外となったところ、介護施設に低所得者が多くいることを踏まえ、経過的に設けられたもの。その後、預貯金要件の追加や、所得区分の設定の精緻化など、累次の見直しが実施されてきた。令和8・9年度においても、所得区分の設定の精緻化と負担限度額のバランスをとる措置を実施する。

在宅で暮らす介護サービス利用者は、食費・居住費を全額自己負担していることを踏まえると、補足給付は公平性を欠く制度といえる。また、介護給付の対象外となった食費・居住費を軽減するという、低所得者対策としての側面が強い施策を、介護保険財源で実施し続けることは合理性を欠いており、引き続き見直しを実施するべき

続いて、老健施設等の多床室の室料負担の見直しについてです。

○介護施設の費用については、2005年度に、食費と個室の居住費(室料+光熱水費)を介護保険給付の対象外とする見直しを実施(多床室は食費と光熱水費のみ給付対象外)。2015年度に、介護老人福祉施設(特養老人ホーム)の多床室の室料負担を基本サービス費から除く見直しを実施。

○しかし、介護老人保健施設・介護医療院の多床室については、室料相当分が介護保険給付の基本サービス費に含まれたままだった。2024年度介護報酬改定において見直しが行われたが、新たに室料負担が導入された対象施設は一部に限定

 

○介護医療院は、介護老人福祉施設(特養老人ホーム)と同様、家庭への復帰は限定的であり、利用者の「生活の場」となっている。

○介護老人保健施設は、施設の目的が「居宅における生活への復帰を目指すもの」とされ、少なくとも3か月毎に退所の可否を判断することとされているが、一般的な医療機関でも長期入院の基準が180日となっている中、介護老人保健施設の平均在所日数は400日を超えている状況。

○さらに、入所当初の利用目的が「他施設への入所待機」等という利用者が3割となっており、長期入所者の退所困難理由でも「特養の入所待ちをしている」が38%、「家族の希望」が25%となっている。

○こうした利用実態等を踏まえ、居宅と施設の公平性を確保する観点から、介護老人保健施設・介護医療院のうち、2024年度介護報酬改定において室料負担の導入が見送られた類型についても、多床室の室料相当額を基本サービス費等から除外する見直しを実施することが考えられる

続いて、令和9年度介護報酬改定に向けてについてです。

令和9年度介護報酬改定において、賃金・物価動向の変化に的確に対応する必要がある。

○賃金に関しては、令和9年度の定例改定を待たず、令和8年度に期中改定を行い、介護現場の生産性向上を促進しつつ、介護分野の職員の処遇改善を実施する措置を講じた。介護人材の確保と、保険料負担の抑制の両立に向けて、介護報酬による賃上げのみならず、介護現場が生産性向上に取り組み、対応可能な利用者が増え、収益が増加することで、職員の賃上げと、さらなる生産性向上投資につながる、という好循環を実現することが重要

介護サービスの利益率については、足元で、物価上昇の影響がある中でも、過去や他産業と比較して高い水準にあり、かつ、サービス類型ごとに大きな差がある状況。令和9年度改定においては、サービス類型や、サービス提供の実態に応じて、介護報酬を適正化する必要

続いて、介護現場の生産性向上(経営の協働化・大規模化)についてです。

○介護現場の生産性向上に向けては、事業所ごとの介護テクノロジーの導入(前回の財審で詳述)に加えて、事業所間のデータ連携により、ケアプランのやりとりをオンラインで完結する仕組みである「ケアプランデータ連携システム」の導入や、複数の社会福祉法人が参画し、各法人の自主性を保ちながら経営を協働化する「社会福祉連携推進法人」の設立等による経営の協働化・大規模化を推進していくべき。

○こうした観点から、R7補正・R8改定における介護職員の賃上げの上乗せ措置について、訪問・通所系サービスでは、「ケアプランデータ連携システム」の導入か、「社会福祉連携推進法人」への所属が要件とされたところ。(注) このことを受けて、「ケアプランデータ連携システム」の導入割合が足元で顕著に上昇しており、職員の賃金の部分で生産性向上の取組をインセンティブ付けすることが効果的であることが示唆される。R9改定では、こうした取組の効果を踏まえて、さらなる生産性向上につながるよう、例えば、訪問・通所系サービスについて、介護記録ソフトなどの介護テクノロジーの導入も要件に追加するなど、要件の在り方を検討すべき

(注)施設系サービスについては、介護テクノロジーの導入等が要件となっている「生産性向上推進体制加算」の取得か、「社会福祉連携推進法人」への所属が要件とされた。

続いて、住宅型有料老人ホームにおける介護報酬の適正化についてです。

○住宅型有料老人ホームにおいては、併設しているケアマネジメントや訪問介護の事業所によるサービス提供が行われるケースが多く、点在する利用者宅に個別に訪問する場合と比べて、一カ所で集中的にサービス提供ができるため、移動時間をはじめ、利用者1人当たりの労働投入時間が少ない。

○事業所と同一敷地内に居住する利用者にサービス提供する場合、「同一建物減算」が適用されるが、減算率は限定的(注)であり、住宅型有料老人ホームでサービスを提供する事業者は、利用者宅に訪問する事業者に比して、対労働投入時間で多く介護報酬を得ており、収支差率も良い傾向にある。(注)同一建物減算の減算率は、ケアマネジメントは▲5%、訪問介護は▲10~15%。

令和9年度介護報酬改定において、住宅型有料老人ホームにおいて提供されるケアマネジメント(新たな相談類型)・訪問介護について、点在する利用者宅に個別に訪問する場合との、サービス提供の実態の違い等を踏まえて、介護報酬を適正化すべき

続いて、インセンティブ交付金の在り方の見直しについてです。

○インセンティブ交付金(保険者機能強化推進交付金・介護保険保険者努力支援交付金)は、市町村・都道府県の、平均要介護度の変化等のアウトカム指標等に応じて交付する、介護予防等の事業に活用できる交付金である。

○平均要介護度の変化等は、地域ごとの人口構造等の変化による部分も大きく、自治体の取組により改善するかは不透明であり、改善するとしても一定の期間を要すると考えられる。したがって、自治体が、交付額を増やすために介護予防に取り組むというインセンティブ構造が機能していないのではないか

○また、インセンティブ交付金は、毎年交付額が異なるため、自治体にとって安定的な財源と見なすことができず、事業の拡充や新規事業にはほとんど活用されずに、その8割以上が第1号保険料の削減のために活用されており、交付金により介護予防に取り組むという好循環が生まれていない。

○したがって、インセンティブ交付金は縮小の上、自治体独自の取組を促進する役割を果たしている保険者機能強化推進交付金の「成果指向型配分枠」に重点化するなど、効果的な介護予防の推進と、保険者機能の発揮に資する見直しを実施すべき

続いて、軽度者に対する生活援助サービス等の地域支援事業への移行についてです。

○要支援者に対する訪問介護・通所介護については、地域の実情に応じた多様な主体による効果的・効率的なサービス提供を行う観点から、地域支援事業へ移行(2018年3月末に移行完了)。

○今後も介護サービスの需要の大幅な増加が見込まれる中、生活援助型サービスをはじめ、全国一律の基準ではなく、人員配置や運営基準の緩和等を通じて、地域の実情に合わせた多様な人材や資源の活用を図り、必要なサービスを効率的に提供するための枠組みを構築する必要。

介護の人材や財源に限りがある中で、要介護者の中でも専門的なサービスをより必要とする重度の方へ給付を重点化していくとともに、生活援助等は地域の実情に応じて効率的に提供していく必要。このため、軽度者(要介護1・2)に対する訪問介護・通所介護についても地域支援事業への移行を目指し、段階的に、生活援助型サービスをはじめ、地域の実情に合わせた多様な主体による効果的・効率的なサービス提供を可能にすることが考えられる

最後は、保険外サービスの活用についてです。

○今後も増大し続ける多様な介護需要に対して、介護保険事業と介護保険外の民間企業による関連サービスで対応していくことが有益と考えられる。

○介護保険事業者が保険内と保険外のサービスを柔軟に組み合わせてサービス提供することは、高齢者の多様なニーズに応え、国民の利便性向上に資するだけでなく、事業者にとっても効率的なサービス提供や、収益の多様化、経営基盤の強化に資すると考えられ、職員の賃上げにも還元可能。

○現在、利用者保護や保険給付の適正な担保の観点から、サービスの明確な区分や説明責任の徹底といったルールを順守することで、介護事業者は保険内外のサービスを組み合わせて提供可能。しかし、介護事業者による保険外サービスの活用に当たっては、自治体によってルールの解釈が異なり、保険外サービスが認められないところもある(いわゆるローカルルール)、といった声も聞こえる。

○ 自治体のローカルルールの実態把握を行った上で、国民の利便性向上に資するよう、介護保険外サービスの柔軟な運用を認めるべき。

 

国策の“風”を読み取り、早め早めの準備を

以上、財政制度分科会内の資料「持続可能な社会保障制度の構築(財政各論Ⅱ)」より、介護事業者に直接関係のある部分から抜粋してお伝えさせていただきました。本内容は国全体の方針ではなく、あくまで「財務省」という一省庁の意見である、ということはしっかり認識しておく必要はあろうかと思いますが、それでも財務省の挙げる声には一定の重みがあることも否めない事実だと思われます。

事業者としては上記内容を踏まえつつ、「もしこれらの施策が実行された場合にどう対応するか?」について事前に頭を働かせておくことが重要だと言えるでしょう。私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

 

※上記内容の参照先URLはこちら

https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/20260428zaiseia.html

 

メンタル疾患スタッフへの対応実務~トラブルを防ぐ「休職制度」運用ポイント~

介護施設、保育園、クリニックの経営者・管理者様に向けて、メンタル疾患を抱えるスタッフの休職・復職における正しい実務対応を専門社労士が分かりやすく解説します。

「休職期間が終わっても復職できそうにないスタッフがいるけれど、解雇してもいいの?」

このようなお悩みを抱えていませんか?

実は、安易な「解雇」は不当解雇として深刻な法的リスクを伴います。

トラブルを防ぎ、円満に解決するための鍵は「就業規則」を活用した「自然退職(自動退職)」の仕組みです。

本動画では、対人サービスを担う現場ならではの特殊性を踏まえ、復職可否を判断する4つのステップや、就業規則で見直すべき重要チェックポイントを徹底解説します!

📌 タイムスタンプ(目次)

0:00 オープニング

0:45 メンタル疾患スタッフへの対応で「解雇」がハイリスクな理由

2:10 トラブルを未然に防ぐ「自然退職(自動退職)」の仕組み

3:40 そもそも「休職制度」とは何か?(経営者の人事命令としての発令)

5:15 復職可能かどうかの判断基準:4つのステップ

7:30 介護・保育・医療現場における「安全配慮義務」の特殊性

9:15 今すぐ確認!就業規則の健全性チェックリスト

10:45 まとめ:スタッフと組織を守る「強い就業規則」の作り方

社労士法人ヒューマンスキルコンサルティング

当事務所は、介護事業所・保育園・クリニックに特化した人事労務コンサルティングを提供しています。現場の負担や特有の課題に寄り添い、トラブルを未然に防ぐ就業規則の作成から、労務問題の具体的な解決までトータルでサポートいたします。 現場の労務管理でお困りの経営者様、院長・園長先生は、どうぞお気軽にご相談ください。

無料相談・お問い合わせはこちら

【院長先生必読】メンタル不調で休職・復職を繰り返すスタッフへの正しい対応と就業規則の防衛策

 

クリニックを経営する中で、院長先生を最も悩ませる問題の一つが「スタッフの健康問題」、特にメンタルヘルス不調による休職です。

「うつ病で休職していた看護師が復職したものの、数週間でまた体調を崩して欠勤し始めた」 「休職と復職を何度も繰り返していて、現場のシフトが回らない」 「本人は『働ける』と言い張るが、明らかに業務ができる状態ではない……」

少人数で運営しているクリニックにとって、1人のスタッフが断続的に休むことのダメージは非常に大きいものです。他のスタッフへの負担が増え、院内の雰囲気も悪化し、最悪の場合は連鎖退職を招くリスクすらあります。

今回は、クリニックの労務管理に精通した「医療社労士」の視点から、休職・復職を繰り返す職員への正しい法的な対応論と、トラブルを未然に防ぐための就業規則のカスタマイズ術を徹底解説します。

1. 意外と知らない「休職」の法的性質と「休職命令」の正しい使い方

そもそも「休職制度」とは何のためにあるのでしょうか? まずは、クリニックの経営者として知っておくべき基本的な法的性質を整理しておきましょう。

休職制度は「法律で義務付けられたもの」ではない

実は、休職制度は年次有給休暇や産前産後休業などとは異なり、労働基準法などの法令で義務付けられた制度ではありません。この事実は、医療業界でも意外と知られていないポイントです。

つまり、「そもそも休職制度を設けるか否か」「休職期間を何ヶ月にするか」「どういった要件で適用するか」は、クリニックが独自に(就業規則で)自由に定めることができるのです。

【休職制度の本来の趣旨】 病気やケガの療養のために一定期間、労働が不可能となった職員に対し、雇用関係は維持しながらも、労務への従事を免除(猶予)する制度です。すぐに退職や解雇とするのではなく、回復までの「猶予期間」を設けることで、職員の雇用の安定を図ることを目的としています。

休職は「本人からの申請」を待つ必要はない

多くの院長先生が「本人が休職届を出してこないから、対応ができない」と誤解されています。しかし、休職扱いにするか否かは、産業医や主治医の診断書を根拠に、雇用主(クリニック側)が客観的に判断して決めるべきことです。

スタッフ本人からの申請がなくても、客観的に見て「これ以上、継続して働くことは難しい」と院長先生が判断すれば、業務命令(人事命令)として「休職命令」を通知することができます。

「休職命令書」の書式できちんと通知する

休職は重大な人事命令です。口頭や曖昧なメールだけで済ませるのではなく、必ず「休職命令書」という書面を用意し、以下の必要事項を記載して本人に交付してください。

  • 休職を命じる理由(病気療養のため等)

  • 休職の期間(◯年◯月◯日 〜 ◯年◯月◯日)

  • 休職中の猶予期間が満了した際、治癒していなければ退職・解雇となる旨

このステップを正しく踏んでおくことが、のちのちの労務トラブルを防ぐ強固な防衛策となります。どういった書式を用意すべきか迷った場合は、医療現場の労務管理に強い「クリニック社労士」に相談し、ひな形を作成してもらうのが安全です。

2. なぜクリニックで「休職と復職の無限ループ」が起きるのか?

特にメンタルヘルス不調(うつ病や適応障害など)の場合、以下のような悪循環に陥るケースが多々あります。

  1. メンタル不調で休職(期間:6ヶ月)

  2. 4ヶ月ほど療養し、本人が「治ったので復職したい」と主張(医師の診断書を持参)

  3. 復職させるが、1ヶ月後に再発して再び欠勤

  4. 「新しい傷病(または別理由)」として、再びゼロから6ヶ月の休職期間がスタートする

このように、復職直後に再発して休職を繰り返されると、クリニック側はいつまで経っても「退職(雇用契約の終了)」の判断ができず、幽霊部員のような形で籍だけが残り続けることになります。この「無限ループ」の原因は、就業規則の不備にあります。

3. 【就業規則での対応策】トラブルを防ぐ「休職期間の通算規定」とは?

休職と復職を繰り返すスタッフに苦慮する事態を避けるためには、就業規則に「休職期間の通算(さん)規定」をあらかじめ設けておくことが絶対に欠かせません。

具体的には、就業規則に以下のような一文(条文)を追加します。

【就業規則の規定例】 「職員が復職後一定期間内に、同一傷病及び類似の傷病により再び欠勤または休職する場合は、新たに取得する休職期間と、従前に取得済みの休職期間を通算する。」

💡 通算規定を作る際の2つの重要ポイント

一般企業向けの就業規則テンプレートをそのまま使っているクリニックでは、この通算規定が抜けているか、あるいは内容が不十分なケースが多いです。「クリニックに詳しい社労士」がアドバイスする、実戦的なポイントは以下の2点です。

①「類似の傷病・症状」も対象に含めること

特にメンタル不調の場合、同じ原因や状態であっても、病院や医師が変わることで「うつ状態」「自律神経失調症」「適応障害」など、しばしば別の疾患名や症状名が付くことがあります。 就業規則に「同一の傷病名の場合のみ通算する」と書いてしまうと、「今回は違う病名だから別カウントです」と主張された際に対抗できません。必ず「類似の傷病・症状」という文言を入れて網羅性を高めましょう。

② 通算対象とする期間は「6ヶ月〜1年」に設定する

一般的には、復職してから「6ヶ月以内」または「1年以内」に再発した場合は、前回の休職期間の「続き(残り時間)」としてカウントする、という設計が多くなっています。

通算規定があると、どう変わるのか?(具体例)

例えば、クリニックの就業規則で「休職期間は最大6ヶ月」と定めており、通算規定(復職後6ヶ月以内)がある場合を考えてみましょう。

  1. 最初の休職: スタッフが5ヶ月間休職し、その後復職した。

  2. 復職後: わずか1ヶ月後に、再び類似のメンタル不調で働けなくなった。

  3. 再休職の扱い: 通算規定があるため、休職期間はゼロからスタートしません。残りの期間である「1ヶ月だけ」が再休職として認められます。

  4. 猶予期間の満了: この1ヶ月を経過しても病気が治癒しておらず、復職の見込みが立たない状況であれば、職員には厳しいようですが、就業規則の定めに従って「自然退職(または解雇)」という扱いになります。

もちろん、その後完全に病気が治癒し、その時点でクリニック側に人員の受け入れ余裕があれば、改めて「再雇用」を検討することは可能です。

こうした厳格かつ合理的な仕組みを整えておくことで、「いつ終わるかわからない休職対応」に院長先生や現場スタッフが疲弊していくのを防ぐことができます。

4. 人事評価制度や日頃のマネジメントとの連動も重要

休職・復職の問題は、就業規則という「守りのルール」だけでなく、日頃の「クリニック人事評価」という「攻めの仕組み」とも連動しています。

例えば、メンタル不調の引き金が「特定のスタッフによるハラスメント」や「過度な業務負担の偏り」である場合、いくらルールを厳しくしても根本的な解決にはなりません。

  • 各スタッフの業務量や役割が適切に評価されているか

  • 職種間のコミュニケーションが円滑に行われているか

  • 「体調に不安がある」段階で相談しやすい1on1(面談)の機会があるか

これらを日頃から「クリニック人事評価」やマネジメントの仕組みに組み込んでおくことで、スタッフが休職に至る手前で変化に気づき、ケアすることが可能になります。

5. まとめ:医療現場の労務トラブルは「医療社労士」へ相談を

スタッフの休職・復職を巡る問題は、一歩間違えると「不当解雇だ」「安全配慮義務違反だ」として、労働基準監督署への駆け込みや民事トラブル(裁判)に発展しやすい極めてデリケートな問題です。

世の中には多くの社会保険労務士がいますが、医療業界は夜勤やシフト制の複雑さ、専門職種のこだわりなど、一般企業とは異なる特殊な環境です。そのため、一般的な社労士ではクリニックの実情に即したアドバイスが難しいケースも少なくありません。

だからこそ、医療現場ならではの空気感やリスクを熟知した「クリニックに詳しい社労士」「医療社労士」のサポートを受けることが、結果として最も迅速かつ安全に問題を解決する近道となります。

就業規則の休職規定を見直したい、現在休職中のスタッフへの対応に困っているという院長先生は、トラブルが大きくなる前に、ぜひ一度専門家へご相談ください。

医療法人の労務管理・就業規則の改定は当事務所にお任せください

当事務所は、クリニック経営に特化した「クリニック社労士」として、数多くの院長先生の悩みを解決してきました。休職トラブルを防ぐ就業規則の整備から、スタッフが定着する人事評価制度の構築まで、トータルでサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。

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【園長先生向け】法人理念を置き去りにしない!「求める職員像」からつくる保育園人事評価の仕組み

 

はじめに:あなたの園の「法人理念」、職員にどこまで浸透していますか?

「ホームページやパンフレットには立派な理念を掲げているけれど、現場の保育士にどこまで伝わっているだろう……」 「職員に『うちの法人の理念は何ですか?』と聞いても、パッと答えられる人がほとんどいない」

このような悩みを抱えている園長先生や経営者様は、決して少なくありません。

法人が園を経営していく上で、最も大切な価値観を表しているもの、それこそが「法人理念」です。しかし、多くの園では「入園のしおり」や「採用パンフレット」などの印刷物に掲載して“周知”はしているものの、それが職員の「日々の実践」にまで“浸透”しているかというと、なかなか難しいのが現実です。

「理念が浸透している状態」とは、職員が単に理念の言葉を暗記している状態ではありません。職員一人ひとりがその意味を深く理解し、日々の保育や保護者対応の中で、自ら体現できている状態を指します。

園の経営陣やリーダー層は、単に理念を連呼するだけでなく、「理念を行動に移せる職員をどのように育てるか」を日々の活動の中で考えていかなければなりません。

この記事では、保育業界に特化した「保育専門社労士」の視点から、形骸化しがちな法人理念を「求める職員像」として可視化し、それを「保育園人事評価」へと落とし込んで園の組織力を高める具体的なアプローチを解説します。

1. なぜ今、保育現場に「拠り所となる言葉」が必要なのか?

現在の保育業界は、深刻な保育士不足に直面しています。その結果、新卒一括採用を中心としていたかつての状況とは異なり、他園での経験を持つ中途採用の職員や、多様な働き方をするパート職員の割合が増加しています。

人材の多様化が進むことは決して悪いことではありません。しかし、その一方で以下のような課題に直面する園が増えています。

  • 法人理念の背景や、創立者の熱い思いが次世代へ継承されていない

  • 「言わなくても分かるはず」という、これまでの暗黙の前提(共通認識)が通用しなくなっている

  • 職員それぞれの「前職での常識」や「個人の価値観」で保育が行われ、園としての統一感が失われている

保育の現場では、子どもたちの予測不能な動きに対して、職員一人ひとりの「自律的な判断と行動」が毎分毎秒求められます。園長先生がすべての現場に張り付いて指示を出すことは不可能です。

だからこそ、職員が迷ったときに立ち返るための「拠り所(判断基準)」が絶対に必要になります。その拠り所こそが、法人理念を具体化したものなのです。

2. 法人理念を「求める職員像」として可視化するテクニック

では、抽象的になりがちな法人理念を、どのようにして現場の保育士が実践できるレベルまで落とし込めばよいのでしょうか。

そこでプロの保育園社労士がご提案しているのが、法人理念を具体的に実現できる「人財」を「求める職員像」として言葉で可視化する手法です。

理念に基づき、職員に「どのように行動してほしいのか」「どのような人となりであってほしいのか」を整理し、的確な言葉で表現して職員に示します。当事務所では、法人理念をいくつかの「キーワード」に凝縮し、それぞれのキーワードの意味と、それを実現するための「具体的な行動」を、あえて職員自身の発想で言語化していくワークショップなどを推奨しています。

上から押し付けられた言葉ではなく、自分たちの頭で考えた言葉だからこそ、職員の腑に落ちやすくなります。

【具体例】キーワードから行動への落とし込み

抽象的な言葉を、以下のように「保育現場の日常行動」に翻訳します。

例① キーワード:「思いやり」

  • ダメな例(抽象的):「常に思いやりの心を持って子どもに接する」

  • 可視化した行動(具体的):「子どもができることに先回りして手を出すのではなく、まずはじっくり見守る。そして、本当に助けが必要な瞬間を見極め、思いやりの気持ちを持って笑顔で声をかけ、手伝っている」

例② キーワード:「報告・連絡・相談(ホウレンソウ)」

  • ダメな例(抽象的):「報連相を徹底し、チームワークを大切にする」

  • 可視化した行動(具体的):「先輩や同僚に相談する際、自分が何を相談したいのかをあらかじめ整理し、自分なりの考え(仮説)を持った上で積極的に声をかけている。また、受けたアドバイスは素直に受け入れ、実践している」

このように、日常のワンシーンが目に浮かぶレベルまで言葉を噛み砕くことで、中途採用の職員やパート職員であっても、「明日から何をすればいいのか」が明確になります。

3. 「求める職員像」を保育園人事評価に組み込むメリット

せっかく作った「求める職員像」も、ポスターにして壁に貼っておくだけでは、いずれ誰も見なくなってしまいます。これを園の文化として定着させるための強力な仕組みが、「保育園人事評価」との連動です。

年2回などの定期的な人事評価の中に、この「求める職員像」の実践度合いを測る評価項目を組み込むのです。これには、園の経営において以下のような劇的なメリットをもたらします。

メリット①:現場の「声掛けや関わり方」の基準が統一される

ある園で、「求める職員像」を明確にし、評価制度と連動させたところ、職員会議で素晴らしい変化が起きました。

園児への具体的な声掛けや関わり方について議論になった際、中途採用の新人職員の一人から、「園が掲げている『求める職員像』のこの項目を根拠に考えると、今回はこのような関わり方をするのがベストではないでしょうか」という提案が出たのです。

これには、周囲のベテラン職員や主任も大賛成。園の理念をベースに議論ができるため、感情的な対立が生まれず、参加していた他の職員にとっても「理念を行動にするとはこういうことか!」と、大きな刺激と納得感を生むきっかけとなりました。

メリット②:定期的に「自己を振り返る機会」が生まれ、モチベーションが上がる

日々の保育業務に追われていると、保育士は自分の成長を実感しにくくなります。 しかし、評価制度を通じて「求める職員像」に対する実践度を定期的にセルフチェックすることで、「今期はこれができるようになった」「次はここを意識しよう」と、客観的に自分を見つめ直す機会が生まれます。

園長先生や主任から「理念に沿った良い行動」を正当に評価(承認)されれば、それは保育士にとって大きな自信となり、給与面だけでなく「この園で働き続けたい」という強いモチベーション(定着)につながります。

メリット③:上司・部下間の「育成コミュニケーション」が円滑になる

人事評価のすり合わせ面談は、単に「査定」を決める場ではありません。「求める職員像」という共通の物差しがあることで、園長(または主任)と一般職員の間で、「現状の課題と、今後目指すべき方向性」について具体的かつ前向きに話し合う、最高のコミュニケーションの機会になります。

「あなたなら、もっとこの『思いやり』の項目を後輩に背中で見せていけるはず。期待しているよ」といった、育成に直結する言葉がけが可能になります。

4. 保育専門の社労士が教える、失敗しない評価制度づくりのポイント

「理念ベースの人事評価を作りたいけれど、自園だけで作ろうとすると、どうしても細かくなりすぎたり、逆に抽象的になりすぎたりして上手くいかない……」

そう悩まれる園長先生は非常に多いです。一般の労務管理だけでなく、保育現場の特殊な環境や心理を理解していなければ、実効性のある評価シートは作れません。だからこそ、保育業界のトレンドや法改正、そして何より「現場の空気感」を熟知した保育専門社労士のサポートが大きな力になります。

一般的な社労士は、就業規則の作成や雇用保険の手続きといった「守りの労務」が中心になりがちですが、保育園社労士は違います。

  • 園長先生が大切にしたい「想い(理念)」をしっかりヒアリング

  • 現場の保育士が「これなら納得できる」と思える具体的な行動基準(キャリアパス)の作成

  • 処遇改善等加算の配分要件とも合致させた、合理的で透明性の高い評価・賃金制度の設計

これらをワンストップで構築し、園長先生が孤独にならずに、安心して園の育成に集中できる環境を整えます。

まとめ:「求める職員像」は、園の未来をつくる育成指針

園長先生、「求める職員像」を可視化し、それを人事評価に組み込むことは、職員を縛るためのものでは決してありません。むしろ、「うちの園は、こういう働きぶりを全力で承認し、あなたを大切に育てていきます」という、職員に対する強いコミットメントの証です。

理念という確かな軸に基づいた保育が行われる園には、職員同士の信頼関係が生まれ、結果として離職率が劇的に下がります。そして、職員の生き生きとした姿は、保護者への安心感へと繋がり、「地域から選ばれる保育園」へと成長していくのです。

「理念をどう言葉に落とし込めばいいか分からない」 「現場が納得する人事評価制度をつくりたい」

そうお考えの経営者様・園長先生は、ぜひ一度、保育現場の仕組みづくりに強い保育専門社労士保育園社労士にご相談ください。先生方の想いを形にし、職員が自律的に輝く温かい園づくりを、全力でサポートいたします。

埼玉ケアマネ殺害、厚労省が安全確保の徹底を呼びかけ 全国の自治体へ通知

 

埼玉県川口市でケアマネジャーの女性が刃物で殺害される事件が発生したことを受けて、厚生労働省は3日、全国の自治体へ安全確保に向けた取り組みを徹底するよう呼びかける通知を発出した。

介護保険最新情報Vol.1508で現場の関係者に広く周知している。


厚労省は通知で今回の事件を踏まえ、「介護支援専門員など在宅介護従事者の安全確保を図ることが重要」と強調。都道府県や市町村の担当部局に対し、関係機関と連携して必要な対策を積極的に講じるよう要請した。


あわせて、国としても日本介護支援専門員協会など関係者と連携をとりつつ、安全確保に向けた取り組みを推進していくとした。

厚労省は通知で、ハラスメントから介護従事者を守る「対応マニュアル」などを改めて周知した。

 

とりわけ、

◯ 介護事業者のハラスメント対応は個々の職員に委ねず、組織として必要な体制を構築し、事前にリスク要因を把握して予防・対策の基本方針や具体的な対応を検討すること

◯ 事業所単独での対応が困難なケースに備え、地域ケア会議での情報共有に加えて、他職種、保険者、包括、保健所、事業者団体、法律の専門家、警察といった関係者と日頃から連携し、地域全体で相談・対応できる体制を築いておくこと

などが重要だと説明した。また、利用者宅への複数名での訪問や相談窓口の設置にかかる経費への助成など、国の支援メニューを自治体が活用できることも周知した。

【6月23日開催】介護業界経営改善セミナー 介護業界特化BPO活用術~人手不足時代の業務効率化と現場負担減~

 

 1,セミナー日時  

    6月23日(火)13:30~14:00

 2,セミナーテーマ

 (1)福祉現場の労務ガバナンスと勤怠管理

  事例で解説!現場の労務管理と法令違反リスク回避ポイント

 (2) 処遇改善加算管理の業務効率化

  複雑な計画書・実績報告書作成・届出をプロが完全バックアップ
  適用範囲の拡大が見込まれる加算要件と職員配分の不安を解消

 (3)助成金活用!BPOだから出来る戦略的活用法


  給与データを預かっているからこそ、受給漏れを防げる。受給できる
  助成金の診断や年々複雑になる申請の手続き代行

3,講師

  講師:林正人/三浦裕子
 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング
 介護業界専門社会保険労務士厚生労働省の最新動向を
 熟知し、全国の介護事業所の人事・労務を支える第一人

4.こんな方におすすめ

 ●処遇改善加算の要件確認や書類作成に追われ、残業が常態化している

 ●事務担当者が1〜2名しかおらず自分が休んだら業務が止まるプレッシャーがある

 ●助成金を活用したいが、情報が乏しく、そこまで手が回らない方

 ●毎月の給与計算時期には、他の重要業務(採用や面談)が全てストップしてしまう

5,お申し込みはお電話またはスマホQRコードから

 ⇒   QR

  TEL 03-6435-7075

  https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd1dHq0wV_H4luYeAaKbtyUK1TArCtJ094tKZJEoMVDwe0tCQ/viewform

 

VISH、幼児教育・保育現場でのAI・ICT活用をテーマにした登壇レポートを公開

VISHは15日、幼稚園・保育園・認定こども園向けICTシステム「園支援システム+バスキャッチ」公式サイトで、登壇レポート「なぜ、幼稚園にAIが必要なのか ~AI時代に見つめたい、先生にしかできない『感情の学び』~」を公開した。

レポートは、4月22日に開催された杉並区私立幼稚園連合会の教諭研修会に、VISHの執行役員・西尾真吾氏とエンジニア/AI委員会委員長の前田悟志氏が登壇した内容をまとめたもの。当日は、東京都杉並区の私立幼稚園の園長・教諭ら44名が参加した。

研修では幼児教育・保育現場におけるAIとの向き合い方をテーマに、AIとICTの違い、生成AIを活用した指導要録作成支援、劇の台本づくりのワークショップ、AI活用時に注意したい個人情報保護や最終判断の考え方などを紹介した。

レポートでは、AIやICTを「先生の仕事を奪うもの」ではなく、出欠管理などの定型業務や文章作成のたたき台づくりを支援し、先生が子どもと向き合う本質的な時間を生み出すための道具として位置づけている。

幼児教育・保育現場で生成AIやICTの活用を検討する園関係者に向け、先生にしかできない「感情の学び」を見つめ直す内容となっている。

登壇レポート全文

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