役職と等級は分ける?分けない?

人事評価制度の構築サポートをしていると、必ずといってよいほど出てくるご質問があります。

「役職と等級って、分けた方がいいんですか?」

これ、本当によくいただきます。ちょっとモヤモヤしている経営者さまや人事担当の方も多いのではないでしょうか。

まず「役職」と「等級」って何が違うの?

「役職」というのは、課長・部長・マネージャーなど、組織上の「ポスト(席)」のことです。
一方「等級」とは、その人の習熟度や役割の大きさを段階的に表したものです。

「部長」「課長」という役職と、「M1」「L2」といった等級が混在している会社はとても多いのですが、これが混在したままだと、どちらかが形骸化しやすくなってしまいます。

なぜ分けた方がよいのか

例えば、役職(ポスト)に等級が連動してしまっていると、こんなことが起きやすくなります。

・ポストが空かないと昇進できない(=優秀な人が昇格できない)
・役職がないと評価や給与が上がりにくい(=専門職の人が報われない)
・役職を外すと給与も一気に下がって本人が傷つく(=必要な人事異動ができない)

これは、役職と等級が「くっついてしまっている」状態から起きることです。

役職はあくまでも「今その会社でどのポストに就いているか」であって、「その人のスキルや役割の大きさ」とは必ずしも一致しないのです。

役割等級制度では「等級」が主役

A4一枚評価制度でおすすめしている役割等級制度では、まず「等級」を中心に設計します。
管理職(M)・指導監督職(L)・一般職(S)といった大きなくくりと、その中の段階(M1・M2・M3など)が「等級」です。

そして「役職」(課長・部長・チームリーダーなど)は、あくまでも「今の組織上のポスト名」として分けて考えていきます。

こうすることで、

・ポストがなくても等級は上がれる
・役職を外れても等級が下がるわけではないので本人のプライドも守れる
・専門職コースなど、管理職にならなくても処遇を上げていける

という柔軟な運用ができるようになります。

ただし「分けない方がよいケース」もある

一方で、社員が5~10名程度の小さな会社では、等級と役職を分けることで「なんだか複雑になりすぎてわかりにくい」という声も出てきます。

そういった場合は、等級と役職をほぼ同義で運用してしまうシンプルな設計の方が現実的に機能することも多いです。

大事なのは「正解の形」を求めることではなく、
「今の自社の規模・組織・課題に合った形にする」こと。

役職と等級を分けることで、複雑さと引き換えに柔軟さが手に入ります。どちらをより重視するか、自社の状況で判断していきましょう。

人事評価制度は、精緻に作ることが目的ではありません。
社員が「自分はどこに向かって成長すればよいか」を理解でき、会社が「誰をどう育て、どう処遇するか」を整理できる。
そのための「道具」として機能してこそ、はじめて意味を持ちます。

役職と等級の設計も、そんな視点で一度ご自身の会社の現状を確認してみてはいかがでしょうか。

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