介護・保育・医療のQ&A

Q 督促されるまで院長に報告しない、また報告のタイミングがとても遅い職員がいます。クリニック全体の仕事に支障がでて困っています。アドバイスをお願いします。

A、報告の必要性と報告を怠った時のリスクを、職員にしっかりと説明してください。また、実際の場面では、報告すべきことが事柄と報告のタイミングや期日について院長から伝え指示をすることも必要です。

 

1,報告の意義と必要性を職員と共有する。

 まずは、院長と職員で「なぜ報告が必要なのか」という、基本的な認識を共有する必要がありと思います。次に報告を怠った場合や報告のタイミングが遅れた場合にどのようなことが起こりうるのか、そのリスクについても共有する必要があります。

①報告の意義

 報告とは、指示命令された仕事の経過や結果について、タイミングよく伝える事

②報告の必要性

 ・院長が仕事の進捗や質を把握できる

 ・不具合や問題を早期に把握し、対処ができる

 ・期限や患者満足度を満たせるかどうかの判断ができる

 

2,報告は院長から求めることが必要なときもある

 仕事の報告をすることは、職員の基本的な義務です。但し、業務上の重要な判断や問題解決をしなければならない時には、院長からあらかじめ報告のタイミングや内容を職員に明確に伝えることが必要な場合もあります。特に重要な案件については、なおさらです。

従って、職員が報告を怠るとか、報告のタイミングが遅いという場合は、全て職員の責任ということではなく、院長からも適宜コミュニケーションをとりながら、報告を求めることは重要になります。

 

3,報告を怠ると大きなトラブルを抱えることになる

 具体的にどのようなリスクやトラブルを抱えることになるのか。例えば下記のようなリスクとなります。

 ①仕事の期限に間に合わなくなるリスク

 ⇒法改正時などに必要な届出が遅れ、レセプトの請求に間に合わなくなる

 ②大切な職員を離職に追い込むことになる

 ⇒院長の目の届かないところで陰湿ないじめや嫌がらせがあったことを報告できず、職員が離職してしまう。

 ③感染リスクの正しい評価が出来ないリスク

 ⇒報告がなされなかったため、その後の感染症阻止のための対策が遅れてしまった

④患者さんや取引業者の信頼を失墜させるリスク

 ⇒クレームを報告せず、対応を誤ったことで患者さんや地域住民からの信頼を失う

 

4,リスクの予防には定期的な報告が重要になる

報告に関するリスクをあらかじめ予防するには、日頃からの職員とのコミュニケーションを密にし、定期的な報告を受けるようにそのタイミングを設定することが有効です。

また定期的な報告を待たずに、例えば「お薬について相談を受けた時」クレームを受けた時」などのように報告すべき場面を約束事として決めておくと、報告の漏れがなくなり、報告に関するリスクを予防することも出来ます。

 

以上

Q、キャリアパスの説明を受けても、実際にどうすれば上位等級に昇格できるのかがよくわからない(職員からの質問で多いもの)。

A、何をどのように頑張れば、階層を上がっていくことができるのかを決めるのが、

キャリアパスの中で最も重要なルールのひとつである「任用要件・昇格条件」です。

この任用要件を決定して、職員にオープンにし丁寧に説明することが必要です。尚、任用要件では、次の4つの視点で検討をすすめれば良いと考えています

  • 前等級における最低勤務年数
    「リーダーを最低3年やらないと主任は務まらない」というような発想があると思いますが、このような考え方を昇格の条件として、1級は2年以上、2級は3年以上などのような形で採り入れます。そして各階層の滞留年数を決めます。つまり昇格を考えるときにも、この年数経過が一つの要件になります。
  • 資格
    それぞれの等級で取得してほしい資格を昇格の条件として用いるという考え方です。
  • 実務経験
    「優秀なケアスタッフだったのに、リーダーにしたらプレッシャーから力を発揮できず、結局もとの立場に戻さざるを得なくなった・・・」などというミスマッチをなくすために、指導監督職(主任等)になる前に、一般職の間に、一度でも委員会の委員長や行事のリーダー等をつとめた経験がある事などを、昇格条件にするケースもあります。少し大きな事業所では、複数の事業所を経験していないと(異動していないと)管理者になれないというルールもこの類です。
  • 人事評価
    人事評価制度を取り入れている事業所では、必ずといっていいほど、その結果を昇格の条件に用いています。「階層に求められる業務ができているか」を評価しているのであれば、その結果を次の段階に進めるか否かの判断基準に加えるというのは、極めて合理的な方法です。

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Q 当院では休日出勤をした後に、他の平日を休日として休む時には「代休」と呼んでいますが、「振替休日」との違いがよくわかりません。また振替休日として処理する場合の基準などは、事情所ごとにきめてもよいものでしょうか?

A 振替休日と代休とは全くの別物で、法律上の扱いが異なります。休日出勤する予定があらかじめわかる状況ならば、振替休日で処理できますが、スタッフの急な欠勤や緊急対応などで休日出勤を余儀なくされた場合は、代休として処理すべき場面が多いと思われます。

 

詳細解説

 振替休日と代休を区別して運用している医療機関や施設は、そう多くありません。振替休日は労働基準法に基づいた制度であり、代休は労働基準法の定めは無く、設けるか設けないかは事業所が自由に決められます。両者の違いを端的に言うと「振替休日は事前の振り替え、代休は事後の振り替え」です。

 

  • 振替休日とは

所定の休日と労働日を入れ替える事。例えば、日曜日と同一週の火曜日を入れ替えた場合に、もともと休日だった日曜日が労働日となるだけなので、その日に働いても休日労働扱いにはならず、休日割り増しを支払う必要はありません。但し、翌週に振り替えたことで、その週の法定労働時間を超えた時には時間外の割増賃金を支払う必要があります。

また、休日振替を行う場合には①就業規則に規定すること②振り替える日を事前に(前日までに)指定すること、等の成立要件があります。

 

  • 代休とは

 振替休日との違いは、既に休日出勤をした後の処理方法ということです。実際に休日労働をした後に、その代償として他の日を休ませるということです。あとで休日を与えたからと言っても、休日労働は既に行われていますので、休日労働した日が法定休日であれば、35%の割り増し部分の支払いは必要となります。

 また代休は、任意規定なので、代休を付与するかしないかはく事業所側が自由に決められますが、制度として運用する場合には就業規則に規定する必要があります。

 医療機関の場合、急な欠勤や業務の都合で休日出勤を余儀なくされ、後日休めるときに休むという、事後の振り替えである「代休」として運用すべき場面が多いのではないでしょうか。

Q 有給休暇を年5日取得できない職員が3人います。どうやってとらせたらいいのか・・・。一方、取得はしているのですが、手厚い職員配置をしたいときに有給休暇の取得があると 予定の保育ができないときもあります。どんな方法があるでしょうか?

A ご質問の有給を取得してくれても時期に問題があるような場合の一つの対処方法は

 労使協定を締結して「計画的付与」にて有給を取得してもらうことがあります。

 園児の登園が最も減る時期が813日から16日は子供の預かり保育は実施しておらず、

 2号子供と3号子供は5割ほどの登園になるとのことでしたので、この4日間に計画的付与を導入します。具体的には下記に次のようになります。年5日取得義務のある職員を2つのグループに分けます。グループごとに13日、14日の2日間のいずれかで取得させる割り振りを主任にお願いします。労使協定の締結後、計画通り8月に2日間の有給休暇を職員に取得させます。

 もう一つの課題である5日間の取得義務が果たせない職員への対応です。このような方には園が時期指定を行うことを定めます。例えば、年の後半となると行事や次年度行事が立て込むため、1号子供が夏休みになる7から8月の間に3日の時期指定を行います。具体的には3人に7月から8月のいつ頃取得したいかを聞き、できるだけ希望に沿うように取得を決め「A先生は731日、81日、820日の3日間は週休を取ってください」とそれぞれに伝えます。園が時期指定を有給休暇を踏まえて、勤務表の作成ができるように、主任に情報を共有します。

 導入後の状況を確認しましたが、計画的付与を導入した8月の4日間はクラスの垣根を取り払い、異年齢保育にするよう主任にお願いしました。主任中心に幼児リーダーと乳児リーダーの3人が夏ならでは遊びを取り入れた保育計画を作成しました。0歳児5歳児までが一緒に過ごす時間帯も計画されて打て、普段とは違う保育を少人数ならではのゆったりと雰囲気で園児も職員も楽しんでいました。

 以上のような方法もご参考にしていただければと思います。

Q,仕事が出来ず協調性もない問題のあった社員が、定年後の再雇用を申し出てきました。会社としては定年をもってやめてもらいたいが、どのような対応が出来ますか、尚、当社は雇用継続制度をとっており、再雇用基準を定めた労使協定があります。

A, 当該社員は定年迎えるということで、定年後再雇用をしないということが考えられますが、それが出来るかどうかが問題になるところです。

平成25年4月1日より改正高年齢者等の雇用の安定等の関する法律が施行されています。この改正では、定年に達した人を引き続き雇用する「雇用継続制度」の対象者を労使協定で限定できる仕組みが廃止されました。ただ、従来このような仕組みを設けていた場合には、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢(令和4年3月31日までであれば63歳)を超える年齢の者について、なお雇用継続制度の対象者を限定する基準を定めることは可能となります。

 逆にいうと、60歳定年で雇用継続制度をとっている場合、本人が希望するときは、解雇事由や退職事由にあたる事由がないかぎり、少なくとも上記支給開始までは再雇用する必要があります。再雇用基準を適用できるのは上記支給開始年齢を超えて再雇用するかどうかを判断するときになります。

従って、御質問にある問題社員が再雇用を希望した場合、その時に再雇用基準を満たしていなかったとしても、少なくとも上記支給開始年齢までは再雇用をする必要があります。

 

2,解雇することはできるのか

仮に再雇用拒否が出来ない場合でも客観的合理性と社会的相当性の要件を満たしていれば解雇することはできます。ご質問のケースでは、当該社員は仕事も出来ず協調性もないとのことですので、解雇できるかどうかのポイントとしては、その問題事由を裏付ける客観的事実、問題性の程度、そして何度も注意指導しても改善しなかったという「改善可能性」が無いことや、他の部署に配転して解雇を回避する余地がないか、などが焦点になります。

 実際のケースでは、十分な注意指導が出来ておらず、直ちに解雇するのは難しいというケースが見受けられます。そのような場合には、一端、再雇用したうえで、当該社員の問題状況や注意指導の履歴を記録化するようにして、契約更新の段階で雇止めを検討するという方法も考えられます。ただ、社内で長年キャリアを積んだ年長社員に対して、どれだけの指導教育ができるかについては、現実的にかなり難しい部分もあるのではないでしょうか。

 

3,労働条件を変更することはできるか

定年後再雇用とする場合、雇用契約を締結しなおすことになりますので、その際に労働条件(給与、職種、業務内容)を改定し提示することは可能です。ただ、どのような変更をしてもいいかというと、厚労省QAによれば、継続雇用高齢者の安定した雇用を確保するという趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金など雇用に関するルールの範囲内で事業主と労働者の間で決めることが出来るとされています。そして最終的に合意できなかった場合でも、事業主が合理的な裁量の範囲の条件を提示していれば結果的に継続雇用に至らなかったとしても、法律違反になることはないとしています。

 

4,事業主側として現実的な対処方法としては。

 ご質問のケースのような場合、当該社員との雇用継続が難しいということであれば、実務対応としては、当該社員にこれまでの勤務をねぎらいつつも、会社の評価を伝えて、まずは退職勧奨を試みるのが現実的な対応であると考えます。また、場合によっては割り増し退職金を支払う等の方法も考えられるところです。

 

 以上

Q、何をどうすれば、良い評価が得られるのかが、わからないので、評価自体が評価のための評価になり、マンネリになっている。どのような対応が必要でしょうか?

A5、「何をどうすれば、いい評価が得られるのか」。被評価者からすれば当然知りたい内容ですし、それが法人の求めている職員像につながることになるわけです。ところが、評価者側の都合で、もしくは評価者側の裁量の幅をできるだけ大きくできることを目的に、評価項目を抽象的な表現にしたり、評価点のつけ方などがブラックボックスにしているケースがあります。この場合、「求められる職員像」が明確にはならないので、目標自体に具体性が欠けることになります。

弊社が推奨する職能評価や行動評価は、事前に評価される内容が具体的に分かっているだけではなく、点数のつけ方もオープンにしているので、透明性が担保されるだけでなく、各職員においては自己成長の実感が可能になります。評価制度が本当の意味で職員を育てるための制度にするには、次に述べる視点がとても大切になります。

  • 組織全体のレベルアップを図ることを目的とする。

評価によって優秀な職員を発見することも大切ですが、それよりも先に行わなければならないことは、普通の職員の能力を高めることによって組織全体のサービスの質を上げることなのです。一人の優秀な職員のヤル気を高めるよりも、多くを占める普通の職員のヤル気を高めることの方が大切であることを理解してください。

  • 部署別、職種別、そして等級別に「期待される職員の努力」を具体的に明記する。
  • はじめから「どんな努力をすれば良い評価(SまたはA評価)になるか」を明示しておく。この内容が「期待される職員像」となり、全ての職員に、期の初めから「こんな努力をしてほしい」と明示する。

評価は学校で行われるような試験や通信簿ではありません。学校の教育では、教科書に基づいて教えていき、期末または年度末に試験をして結果だけを測定し、評価すればいいのですが、職場ではそうではなく、どんな問題を出すのか(つまりどんな行動を期待しているのか)を初めに明確にしておいて、出来るだけ多くの職員が優秀な成績、つまり5段階評価ならS評価やA評価を取ってもらうようにすることが必要なのです。

その場合、必ず意見として聞こえてくるのが、「良い評価が増えれば、人件費が増加してしまうのでは?」という懸念です。もちろん、評価結果を反映させる処遇の財源(例えば、処遇改善加算)は確保しておきながら、その財源の限度内で分配を行う管理手法は必要になってきます。

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Q 育児介護をしている職員を複数名抱える病棟では他の看護師の負担が大きくなります。また3交代制でICUが特定入院料の2対1を実施しようとすると、月平均8日以内の夜勤勤務回数の上限が守られない状況ですが、どのような改善と留意点が必湯でしょうか?

A 夜勤回数が減らせなければ、最低限仮眠時間の確保と十分な休日をの確保を行うことです。外来から夜勤への異動、非常勤職員への協力要請、小さな子供がいても夜勤が出来る勤務環境の整備、夜勤専従制度の導入など、「夜勤が出来る人」のすそ野を広げていきましょう。

診療報酬上、「夜勤を行う看護職員の一人当たりの月平均夜勤時間数が72時間以下である事」という要件があります。日本看護協会のガイドラインでも夜勤回数は「月8回以内」という指針があります。看護師の労働時間管理を考える上で、「夜勤72時間ルール」の考え方を外すことはできません。

 一方で、看護師の夜勤勤務の上限について、労基法の規制は特にありません。規制しているのは「一日8時間、一周40時間」と変形労性を使った場合の月間労働時間の総枠です。

 3交代における過剰な夜勤回数や2交代制おける長時間夜勤の問題は、中長期的に見た健康障害と安全医療の面から改善すべき課題です。

 ICUなど超急性期に対する病床では、夜勤の人員配置を手厚くしておく必要があるので、どうしても夜勤回数が多くなります。但し、夜勤回数の考え方はどの看護単位も同じなので配置基準の関係で夜勤回数を減らせない場合には、仮眠時間を確保したり、十分な休日を確保する必要があります。

  ある病院では、夜勤時間の偏りを避けるため、出来るだけ多くの職員が夜勤に入れる体制に整備しました。常勤職員だけでなく、非常勤職員にも夜勤の協力要請をしたり、24時間預けられる院内保育園を整備し、子供のいる職員にも夜勤に入ってもらうようにしました。また夜勤を多く希望する職員には、夜勤回数の上限を10回とした常勤の夜勤専従制度を導入。合わせて看護補助者の増員も図ることで、夜勤が出来る職員のすそ野を徹底して広げることに尽力をされていました。また夜勤手当の増額も可能な限り実施することも重要なことなので実施されていました。

Q、先生は、家庭の事情で帰らなくてはならず、残業はできません。通常の業務時間内は御遊具会まえの練習が立て込んでいたり、衣装づくりに時間は取れず、みんなに申し訳ない気持ちだったようです。そんなときにA先生がわたしは家で作ってくると申し出たそうです。  園内で時間外労働をしている職員には、もちろん残業手当を払っています。でもA先生のような場合には、どうしたらよいのでしょうか?

A, まずは、自宅で行った業務内容、具体的な完成品、かかった時間数を確認して、園長が必要な時間数を確認し、残業手当を支払ってはどうでしょうか。問題は今後の対応をどうするかです。安易に自宅での業務を認めてしまうと、自宅での業務が多くなるでしょうし、

そもそも労働時間の把握ができません。

 やはり原則通り、①業務は命じられた場所で行う②業務時間内で終了できるように、業務のやり方を変える。という2点の対応が必要です。

 まずは就業規則に就業の場所は「○○園、および命じられた場所」と規定します。命じられた場所には、園児と一緒に行くお散歩や公園、外部の研修会場を想定しています。自宅を就業場所として命じなければ、業務を持ち帰ることはできません。

 就業規則に、「就業場所」を定め、職員毎の労働条件通知書にも同様の記載をします。

次に、業務のやり方を変えることについて、どんなことから始めたらいいか、園長と話をしました。「行事前に残業が増えるのは、これまでのやり方を踏襲していること、各クラスが

同じレベルの仕上がりを目指していることなどが原因かもしれません・・・・」と仰っていました。見方を変えると課題が見えてきます。行事のやり方などを変えることは、職員たちにとって自身にもなったようです。日常業務いついても、業務の完成イメージから必要な時間を逆算して取り組むなど業務時間内でやる方法を考え、チャレンジしてみると、手ごたえを感じるようなのです。これが、当園の「働き方改革」なのかもしれません。

 

Q最近、医療従事者もワークライフバランスを重視する人が増えてきたように感じます。休日数が多い病院、有給休暇が取りやすい病院は求人効果も高いと聞きます。当院でも年間休日数増やすことを検討中ですが、他の病院ではどのような対応をとっているのでしょうか?

A 年間の総労働時間を維持しつつ、日勤の所定労働時間を延長して休日数を増やすやり方が一般的。但し、「休日を増やす」こととのどちらに職員ニーズがあるのか、十分に検討した上で変更していく必要があります。

 

看護職の確保と人材定着のために、年間休日数を増やしている医療機関は最近増えているように思います。ある病院では、日勤の所定労働時間を7時間30分から7時間45分に延長して、年間の総労働時間を維持しつつ、休日数を五日間増やして年間最大124日に変更しました。この病院は、平均年齢37歳の看護師の6割が育児世代ですが「給与を上げるより休日を増やす方が育児世代の看護師ニーズに適する」と考えたからです。

 また別の病院では、病院全体で、所定労働時間を7時間から7時間15分に延長し、年間休日を4週6休から4週8休に変更して9日間、年間112日に拡充することで、サービス残業も大幅に削減することが出来たといいます。

 たしかに、年間休日数100日の病院と120日の病院では求人効果に差があるかもしれません。しかし例えばこんなケースもあります。日勤の所定労働時間7時間、4週6休年間休日100日の介護型療養病院において、休日増を検討した際、看護職は否定的な意見が多かったと言います。なぜなら、看護職の多くは、日勤7時間(17時終業)の勤務時間の短さや17時に帰れることに惹かれて中途入職した職員が多かったからです。

 やみくもに休日を増やせばいいというものではなく、休日増なのか勤務時間短縮なのか、年齢層や家族の事情などによってもニーズが違うことを考慮したうえで、十分に検討する

必要があると思います。 

 

Q有給休暇の取得における、「原則付与」と「4月1日一斉付与」では、どのようなメリットデメリットがありますか?検討すべき留意点を教えてください。

A、有給休暇の付与の仕方には、主に2つのパターンがあります。一つは採用後6か月したら付与するという、法律通りの「原則付与」。もう一つは、採用時に付与し、その後毎年4月1日にすべての職員に付与するという「4月1日一斉付与」です。

 多くの園では、幽遊付与の仕方を、どちらかのパターンにしているケースが多いです園長先生からは「どちらのパターンが良か」と相談を頂くことがあります。どちらのパターンを選択するのかは、園長先生が有給休暇について「どうしたいか」によって異なるものと思います。例えば、「夏休みに有給休暇を取らせたい」「職員数が多いので管理はシンプルにしたい」という場合には「4月1日一斉付与」のメリットが大きいですが、採用後、直ぐにやめることになっても有休があるため、それを消化してから辞めるといったデメリットもあります。

 一方で、「法律通りに有休を管理したい」「採用後すぐにやめる人にまで有給を与えることは避けたい」という場合には、「原則付与」を採用すべきですが、職員毎に付与日が異なるので多少手間がかかります。

 また原則付与は、採用後6か月有休が付与されませんので、病気などの欠勤では減給となります。このような場合への対処として、例えば「正当な理由があり欠勤するときには、採用後6か月間に限って2日」と設定すれば、減給にはなりません。しかし、結果として有給休暇が2日増えたのと同じになります。また6か月限定なので、取得する職員としない職員の間で公平性を欠くという面もあります。

 それぞれの有休休暇の付与パターンの特徴を踏まえて、最適な選択をしていただければと思います。

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