コラム

医療事業所様向け情報(経営)1月号②

就業看護師の現状

看護師不足が問題となっています。ここでは、2019 年9 月に発表された厚生労働省の調査結果※から、就業看護師の現状をみていきます。

就業看護師数の推移

上記調査結果から、就業看護師数の推移をまとめると、下グラフのとおりです。

2012 年に100 万人を超えた就業看護師数は、2018 年には121.9 万人になりました。内訳は男性が9.5 万人、女性は112.3 万人です。

年齢階級別の人数

40 代が最も多く、30 万人を超えています。次いで30 代が多く、30 代と40 代で全体の50%以上を占めています。

就業場所別の人数

2018 年の就業看護師数を就業場所別にみると、表2 のようになります。

病院が約86 万人、診療所が約16 万人となり、全体の80%以上を占めています。その他では介護保険施設等が約9 万人で、全体の7.3%を占めています。

就業看護師数は増加を続けていますが、現状はもちろん将来的な看護師不足が問題となっています。看護師不足に悩む個々の医療機関にとっては、現在就業していない看護師等が復職しやすい環境を作っていくことが、看護師不足を解消するためのひとつの方法となるのではないでしょうか。

※厚生労働省「平成30 年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」
隔年調査で、就業医療関係者(免許を取得している者のうち就業している者)等について、就業地の都道府県知事に届出のあった数値等を取りまとめたものです。グラフはこの結果から作成したものです。グラフの数値は四捨五入の関係で実数と異なる表示となっている場合があります。詳細は次のURL のページからご確認ください。https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei/18/

(次号に続く)

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

医療事業所様向け情報(経営)1月号①

認定期限迫る! 検討・手続きは急務です

「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への移行に際し、今ならば認定制度を利用することで、税制優遇措置や低利融資が受けられます。2019年11月末時点で、期限は 2020 年 9 月末まで。手続きされる方は急務です。

7 割強の「持分あり医療法人」

持分あり医療法人は、改正医療法施行により、2007 年4 月1 日以降設立することはできません。それまでに設立された持分あり医療法人は、“経過措置型医療法人”として当面存続が認められ、“持分なし”への自主的な移行が求められています。しかし、移行に係る課税上の問題やその他の事情により、2019 年3 月末日現在、未だに医療法人数の7 割強を占めています。

そこで国は移行を促進するための施策として、この課税上の問題が解決できる、「認定医療法人制度」を設けました。

課税上有利な「認定医療法人制度」

「認定医療法人制度」の“認定医療法人”とは、予め「持分なし医療法人」への移行計画の認定を受けた上で、移行を行う医療法人です。認定医療法人が、当該認定後、計画に従って3年以内に移行を果たし、出資持分を放棄すると、移行期間中の相続や贈与に係る税金や移行に伴う法人贈与税が結果的にかかりません。課税上大変有利な制度となっています。

準備を考えると、残った時間は後わずか

このように、課税上の問題で移行に足踏みをしている医療法人や出資者にとっては利点がある「認定医療法人制度」ですが、期限があります。認定は、現行では2020 年9 月30 日までとなっています。ゆとりを持って数ヶ月前に移行計画を厚生労働省に申請し、この日までに認定を受けなければなりません。

また、認定医療法人は、運営の適正性要件等、申請時までに一定の認定要件を満たさなければなりません。更にそれを移行後も6 年間維持することが求められます。直前期の決算内容によっては認定が受けられないこともあるため、事前対策にはある程度の時間を要します。検討なさる場合は、急ぎで取り組まれることをお勧めします。

なお、「認定医療法人制度」について、詳しくは、厚生労働省のパンフレット等をご参照ください。

(参考)厚生労働省パンフレット
「「持分なし医療法人」への移行促進策「延長・拡充」のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000180870.pdf

(次号に続く)

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

医療事業所様向け情報(労務)1月号④

男性も利用できる厚生年金保険の養育特例

従業員に子どもが生まれ、子どもを育てながら働くときには、育児短時間勤務制度を利用したり、時間外労働を減らしたりすることで、子どもを育てる前と比較し、従業員が受け取る給与額が減少することがあります。このようなときには将来の年金額に関する厚生年金保険の特例措置が適用できる場合があります。ここではその内容や要件等を確認しておきましょう。

1.特例措置である「養育特例」とは

子どもを養育することにより給与額が減少すると、将来の年金額の計算の基となる標準報酬月額が、子どもを養育する前より下がることがあります。このように標準報酬月額が下がることで、最終的に従業員が将来受け取る年金額が減少することにつながります。そこで、3歳未満の子どもを養育することに伴い標準報酬月額が下がった場合、より高い養育前の標準報酬月額を、養育期間における標準報酬月額とみなして年金額を計算する措置が設けられています。一般的には、これを「養育特例」と呼びます。

2.養育特例の手続き

養育特例は、従業員が会社を通じて申し出るものであり、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」に「戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書」(以下、「戸籍謄本等」という)および「住民票の写し」(以下、「住民票」という)を添付して提出します。
「養育」とは同居し監護することを指し、戸籍謄本等により、従業員と子どもの身分関係および子どもの生年月日(3歳未満の期間)の確認、住民票により従業員と子どもが同居していることの確認が行われます。

3.養育特例が適用される事例

養育特例に該当する代表的な事例は、産前産後休業および育児休業を取得していた従業員が、育児休業の復帰に際し、育児短時間勤務制度を利用し、給与額が減少するというものです。
この事例では、育児休業等終了後の月額変更に該当し、標準報酬月額の改定にかかる届け出を提出する際に、養育特例にかかる届け出もあわせて提出することが一般的になっています。
ただし、養育特例の適用はこのような育児休業等終了後の月額変更に該当する場合のみでなく、また、従業員の性別に関係なく適用されます。
そのため、例えば男性の従業員が育児休業の取得や育児短時間勤務の利用はしないものの、3歳未満の子どもの養育のために時間外労働を減らした結果、定時決定において、養育前の標準報酬月額よりも低いものに決定された場合にも適用されます。

養育特例は、従業員からの申出を受けた会社が日本年金機構へ提出するものではありますが、制度の周知が十分ではないこともあり、申出を行っていないケースもあると思われます。従業員に子どもが生まれた際には、会社から制度の説明を行うことで、申出の漏れを防ぎたいものです。

(来月に続く)

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

保育事業所様向け情報(労務)1月号④

男性も利用できる厚生年金保険の養育特例

従業員に子どもが生まれ、子どもを育てながら働くときには、育児短時間勤務制度を利用したり、時間外労働を減らしたりすることで、子どもを育てる前と比較し、従業員が受け取る給与額が減少することがあります。このようなときには将来の年金額に関する厚生年金保険の特例措置が適用できる場合があります。ここではその内容や要件等を確認しておきましょう。

1.特例措置である「養育特例」とは

子どもを養育することにより給与額が減少すると、将来の年金額の計算の基となる標準報酬月額が、子どもを養育する前より下がることがあります。このように標準報酬月額が下がることで、最終的に従業員が将来受け取る年金額が減少することにつながります。そこで、3歳未満の子どもを養育することに伴い標準報酬月額が下がった場合、より高い養育前の標準報酬月額を、養育期間における標準報酬月額とみなして年金額を計算する措置が設けられています。一般的には、これを「養育特例」と呼びます。

2.養育特例の手続き

養育特例は、従業員が会社を通じて申し出るものであり、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」に「戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書」(以下、「戸籍謄本等」という)および「住民票の写し」(以下、「住民票」という)を添付して提出します。
「養育」とは同居し監護することを指し、戸籍謄本等により、従業員と子どもの身分関係および子どもの生年月日(3歳未満の期間)の確認、住民票により従業員と子どもが同居していることの確認が行われます。

3.養育特例が適用される事例

養育特例に該当する代表的な事例は、産前産後休業および育児休業を取得していた従業員が、育児休業の復帰に際し、育児短時間勤務制度を利用し、給与額が減少するというものです。
この事例では、育児休業等終了後の月額変更に該当し、標準報酬月額の改定にかかる届け出を提出する際に、養育特例にかかる届け出もあわせて提出することが一般的になっています。
ただし、養育特例の適用はこのような育児休業等終了後の月額変更に該当する場合のみでなく、また、従業員の性別に関係なく適用されます。
そのため、例えば男性の従業員が育児休業の取得や育児短時間勤務の利用はしないものの、3歳未満の子どもの養育のために時間外労働を減らした結果、定時決定において、養育前の標準報酬月額よりも低いものに決定された場合にも適用されます。

養育特例は、従業員からの申出を受けた会社が日本年金機構へ提出するものではありますが、制度の周知が十分ではないこともあり、申出を行っていないケースもあると思われます。従業員に子どもが生まれた際には、会社から制度の説明を行うことで、申出の漏れを防ぎたいものです。

(来月に続く)

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

介護事業所様向け情報(労務)1月号④

男性も利用できる厚生年金保険の養育特例

従業員に子どもが生まれ、子どもを育てながら働くときには、育児短時間勤務制度を利用したり、時間外労働を減らしたりすることで、子どもを育てる前と比較し、従業員が受け取る給与額が減少することがあります。このようなときには将来の年金額に関する厚生年金保険の特例措置が適用できる場合があります。ここではその内容や要件等を確認しておきましょう。

1.特例措置である「養育特例」とは

子どもを養育することにより給与額が減少すると、将来の年金額の計算の基となる標準報酬月額が、子どもを養育する前より下がることがあります。このように標準報酬月額が下がることで、最終的に従業員が将来受け取る年金額が減少することにつながります。そこで、3歳未満の子どもを養育することに伴い標準報酬月額が下がった場合、より高い養育前の標準報酬月額を、養育期間における標準報酬月額とみなして年金額を計算する措置が設けられています。一般的には、これを「養育特例」と呼びます。

2.養育特例の手続き

養育特例は、従業員が会社を通じて申し出るものであり、「厚生年金保険養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」に「戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書」(以下、「戸籍謄本等」という)および「住民票の写し」(以下、「住民票」という)を添付して提出します。
「養育」とは同居し監護することを指し、戸籍謄本等により、従業員と子どもの身分関係および子どもの生年月日(3歳未満の期間)の確認、住民票により従業員と子どもが同居していることの確認が行われます。

3.養育特例が適用される事例

養育特例に該当する代表的な事例は、産前産後休業および育児休業を取得していた従業員が、育児休業の復帰に際し、育児短時間勤務制度を利用し、給与額が減少するというものです。
この事例では、育児休業等終了後の月額変更に該当し、標準報酬月額の改定にかかる届け出を提出する際に、養育特例にかかる届け出もあわせて提出することが一般的になっています。
ただし、養育特例の適用はこのような育児休業等終了後の月額変更に該当する場合のみでなく、また、従業員の性別に関係なく適用されます。
そのため、例えば男性の従業員が育児休業の取得や育児短時間勤務の利用はしないものの、3歳未満の子どもの養育のために時間外労働を減らした結果、定時決定において、養育前の標準報酬月額よりも低いものに決定された場合にも適用されます。

養育特例は、従業員からの申出を受けた会社が日本年金機構へ提出するものではありますが、制度の周知が十分ではないこともあり、申出を行っていないケースもあると思われます。従業員に子どもが生まれた際には、会社から制度の説明を行うことで、申出の漏れを防ぎたいものです。

(来月に続く)

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

医療事業所様向け情報(労務)1月号③

2020年4月から限度額の記載が必要となる身元保証書

従業員が会社に何らかの損害を与えたときには、従業員は会社にその損害を賠償する責任を負う旨の規定を就業規則に設けていることは多いでしょう。さらに、この規定とあわせ従業員が入社するとき等に、従業員の家族等を保証人とする身元保証書の提出を求めることがあります。
今回、民法が改正されたことに伴い、この身元保証に関し限度額を定める必要がありますので、その内容を確認しておきましょう。

1.労働基準法における損害賠償の規定

労働基準法では、賠償の予定を禁止する規定がありますが、この規定は、雇用契約期間の途中で退職したときに違約金を払わせる定めをしたり、会社に損害を与えたときに○○円を払わせるといった定めをしたりすることを禁じたものです。
これらの定めをすることで、従業員の退職の自由を不当に奪うことを禁止したものであり、あらかじめ違約金や賠償額の金額を決めず、現実に従業員の責任により発生した損害について、賠償を請求すること自体を定めることは問題ありません。

2.民法の「保証」に関する改正

労働基準法では、従業員に対し賠償の予定を禁止していますが、保証人に対し賠償を求めることや、その賠償額について定めることを禁止する規定はありません。ただし、民法等に保証人に関する規定があり、これに従う必要があります。
今回、その民法が改正され、個人の根保証(一定の範囲に属する不特定の債務について保証すること)に関する規定が変更となり、限度額(極度額)の定めが必要となりました。

3.民法改正に伴い必要な対応

入社するとき等に提出を求める身元保証書を考えてみると、一般的に「従業員が会社に損害を与えたときで、従業員が賠償できないときは、保証人が連帯して賠償する責任を負う。」というような文言になっており、多くは具体的な賠償額を定めていないと想像されます。

このような規定では、保証人が、保証人となる時点でどれだけの債務(賠償額)が発生するかが明確になっていないため、実際に保証すべき損害が生じたときに、想定外の債務を負うことになります。
そこで、2020年4月1日以降に締結する身元保証書には、保証人が想定外の債務を負うことを避けるために、「○○円」等と明瞭にその限度額を定めることが求められます。

今回の身元保証に関する改正は、2020年4月1日の施行であり、2020年3月31日までに締結された身元保証書は、改正前の民法が適用となるため、既に提出されている書面をすぐに取り直す必要まではありません。この改正のタイミングで、そもそも身元保証書の提出を求めるのかということから、検討してもよいかもしれません。

(次号に続く)

社会保険労使法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

保育事業所様向け情報(労務)1月号③

2020年4月から限度額の記載が必要となる身元保証書

従業員が会社に何らかの損害を与えたときには、従業員は会社にその損害を賠償する責任を負う旨の規定を就業規則に設けていることは多いでしょう。さらに、この規定とあわせ従業員が入社するとき等に、従業員の家族等を保証人とする身元保証書の提出を求めることがあります。
今回、民法が改正されたことに伴い、この身元保証に関し限度額を定める必要がありますので、その内容を確認しておきましょう。

1.労働基準法における損害賠償の規定

労働基準法では、賠償の予定を禁止する規定がありますが、この規定は、雇用契約期間の途中で退職したときに違約金を払わせる定めをしたり、会社に損害を与えたときに○○円を払わせるといった定めをしたりすることを禁じたものです。
これらの定めをすることで、従業員の退職の自由を不当に奪うことを禁止したものであり、あらかじめ違約金や賠償額の金額を決めず、現実に従業員の責任により発生した損害について、賠償を請求すること自体を定めることは問題ありません。

2.民法の「保証」に関する改正

労働基準法では、従業員に対し賠償の予定を禁止していますが、保証人に対し賠償を求めることや、その賠償額について定めることを禁止する規定はありません。ただし、民法等に保証人に関する規定があり、これに従う必要があります。
今回、その民法が改正され、個人の根保証(一定の範囲に属する不特定の債務について保証すること)に関する規定が変更となり、限度額(極度額)の定めが必要となりました。

3.民法改正に伴い必要な対応

入社するとき等に提出を求める身元保証書を考えてみると、一般的に「従業員が会社に損害を与えたときで、従業員が賠償できないときは、保証人が連帯して賠償する責任を負う。」というような文言になっており、多くは具体的な賠償額を定めていないと想像されます。

このような規定では、保証人が、保証人となる時点でどれだけの債務(賠償額)が発生するかが明確になっていないため、実際に保証すべき損害が生じたときに、想定外の債務を負うことになります。
そこで、2020年4月1日以降に締結する身元保証書には、保証人が想定外の債務を負うことを避けるために、「○○円」等と明瞭にその限度額を定めることが求められます。

今回の身元保証に関する改正は、2020年4月1日の施行であり、2020年3月31日までに締結された身元保証書は、改正前の民法が適用となるため、既に提出されている書面をすぐに取り直す必要まではありません。この改正のタイミングで、そもそも身元保証書の提出を求めるのかということから、検討してもよいかもしれません。

(次号に続く)

社会保険労使法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

介護事業所様向け情報(労務)1月号③

2020年4月から限度額の記載が必要となる身元保証書

従業員が会社に何らかの損害を与えたときには、従業員は会社にその損害を賠償する責任を負う旨の規定を就業規則に設けていることは多いでしょう。さらに、この規定とあわせ従業員が入社するとき等に、従業員の家族等を保証人とする身元保証書の提出を求めることがあります。
今回、民法が改正されたことに伴い、この身元保証に関し限度額を定める必要がありますので、その内容を確認しておきましょう。

1.労働基準法における損害賠償の規定

労働基準法では、賠償の予定を禁止する規定がありますが、この規定は、雇用契約期間の途中で退職したときに違約金を払わせる定めをしたり、会社に損害を与えたときに○○円を払わせるといった定めをしたりすることを禁じたものです。
これらの定めをすることで、従業員の退職の自由を不当に奪うことを禁止したものであり、あらかじめ違約金や賠償額の金額を決めず、現実に従業員の責任により発生した損害について、賠償を請求すること自体を定めることは問題ありません。

2.民法の「保証」に関する改正

労働基準法では、従業員に対し賠償の予定を禁止していますが、保証人に対し賠償を求めることや、その賠償額について定めることを禁止する規定はありません。ただし、民法等に保証人に関する規定があり、これに従う必要があります。
今回、その民法が改正され、個人の根保証(一定の範囲に属する不特定の債務について保証すること)に関する規定が変更となり、限度額(極度額)の定めが必要となりました。

3.民法改正に伴い必要な対応

入社するとき等に提出を求める身元保証書を考えてみると、一般的に「従業員が会社に損害を与えたときで、従業員が賠償できないときは、保証人が連帯して賠償する責任を負う。」というような文言になっており、多くは具体的な賠償額を定めていないと想像されます。

このような規定では、保証人が、保証人となる時点でどれだけの債務(賠償額)が発生するかが明確になっていないため、実際に保証すべき損害が生じたときに、想定外の債務を負うことになります。
そこで、2020年4月1日以降に締結する身元保証書には、保証人が想定外の債務を負うことを避けるために、「○○円」等と明瞭にその限度額を定めることが求められます。

今回の身元保証に関する改正は、2020年4月1日の施行であり、2020年3月31日までに締結された身元保証書は、改正前の民法が適用となるため、既に提出されている書面をすぐに取り直す必要まではありません。この改正のタイミングで、そもそも身元保証書の提出を求めるのかということから、検討してもよいかもしれません。

(次号に続く)

社会保険労使法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

医療事業所様向け情報(労務)1月号②

育児休業終了日の繰上げ変更

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長
5月に復帰予定の育児休業中の従業員から、4月から保育園に子どもを預けることができる予定となり、4月に復帰したいという相談がありました。この場合、4月に復帰させる必要があるのでしょうか。

社労士
育児休業を終了する日を繰上げできないかというお話ですね。結論を先に述べると、総務部長復帰させる義務まではありません。育児休業は、開始する日の繰上げと終了する日の繰下げができるようになっています。

総務部長
開始する日の繰上げと終了する日の繰下げに限られているということですね。これらの変更は、事由を問わずできるのでしょうか?

社労士
まず、開始する日の繰上げは、出産予定日よりも早く子が出生した場合や、配偶者の死亡、病気、負傷等の特別な事情がある場合となっています。終了する日の繰下げは、事由を問わず、1回に限りできます。

総務部長
なるほど。今回のような終了する日の繰上げは認めていないということですね。

社労士
そのとおりです。例えば、代替要員を受け入れているケースを想定すると理解しやすいかと思います。育児休業期間において代替要員を受け入れている場合、急に、終了する日を繰上げるとなると、その繰上げる期間について代替要員と復帰した従業員の2名を会社は抱えることになります。

総務部長
確かに、従業員の都合に合わせて、終了する日を繰上げると、どのような業務に就かせるのか、調整する必要も出てきますね。そのために制度として、開始する日の繰上げと終了する日の繰下げのみが認められているのですね。

社労士
そのとおりです。もちろん、このような難しい状況はなく、会社としても早く復帰してもらいたいということもあるでしょう。終了する日の繰上げを認めてもよいという考えがある場合は、それを制度化し、育児・介護休業規程に、どのようなときに、いつまでに申出をすることで、終了する日の繰上げを認めるのかといったルールを決めておくとよいでしょう。

総務部長
なるほど。規程にルールを定めることで、運用時に困ることも減りそうですね。一度、今後のことも検討し、従業員に返答することにします。

【ワンポイントアドバイス】

  1. 育児休業は、開始する日の繰上げと終了する日の繰下げのみが法令で規定されている。
  2.  開始する日の繰上げは、特別な事情がある場合に限られているが、終了する日の繰下げは、事由を問わない。
  3.  終了する日の繰上げを認める場合は、育児・介護休業規程にいつまでに申出をするのかなどルールを決めておくとよい。

(次号に続く)

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

保育事業所向け情報(労務)1月号②

育児休業終了日の繰上げ変更

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長
5月に復帰予定の育児休業中の従業員から、4月から保育園に子どもを預けることができる予定となり、4月に復帰したいという相談がありました。この場合、4月に復帰させる必要があるのでしょうか。

社労士
育児休業を終了する日を繰上げできないかというお話ですね。結論を先に述べると、総務部長復帰させる義務まではありません。育児休業は、開始する日の繰上げと終了する日の繰下げができるようになっています。

総務部長
開始する日の繰上げと終了する日の繰下げに限られているということですね。これらの変更は、事由を問わずできるのでしょうか?

社労士
まず、開始する日の繰上げは、出産予定日よりも早く子が出生した場合や、配偶者の死亡、病気、負傷等の特別な事情がある場合となっています。終了する日の繰下げは、事由を問わず、1回に限りできます。

総務部長
なるほど。今回のような終了する日の繰上げは認めていないということですね。

社労士
そのとおりです。例えば、代替要員を受け入れているケースを想定すると理解しやすいかと思います。育児休業期間において代替要員を受け入れている場合、急に、終了する日を繰上げるとなると、その繰上げる期間について代替要員と復帰した従業員の2名を会社は抱えることになります。

総務部長
確かに、従業員の都合に合わせて、終了する日を繰上げると、どのような業務に就かせるのか、調整する必要も出てきますね。そのために制度として、開始する日の繰上げと終了する日の繰下げのみが認められているのですね。

社労士
そのとおりです。もちろん、このような難しい状況はなく、会社としても早く復帰してもらいたいということもあるでしょう。終了する日の繰上げを認めてもよいという考えがある場合は、それを制度化し、育児・介護休業規程に、どのようなときに、いつまでに申出をすることで、終了する日の繰上げを認めるのかといったルールを決めておくとよいでしょう。

総務部長
なるほど。規程にルールを定めることで、運用時に困ることも減りそうですね。一度、今後のことも検討し、従業員に返答することにします。

【ワンポイントアドバイス】

  1. 育児休業は、開始する日の繰上げと終了する日の繰下げのみが法令で規定されている。
  2.  開始する日の繰上げは、特別な事情がある場合に限られているが、終了する日の繰下げは、事由を問わない。
  3.  終了する日の繰上げを認める場合は、育児・介護休業規程にいつまでに申出をするのかなどルールを決めておくとよい。

(次号に続く)

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

お電話でのお問い合わせ

03-6435-7075(平日9:00~18:00)

営業時間外のお問い合わせはこちらから

相談・ご依頼の流れはこちら

YouTube チャンネル

メールマガジン無料登録

当社代表林正人の著書『社労士が書いた 介護「人材」の採用・育成・定着のための職場作り』が出版されました。

SRPⅡ認証は、社会保険労務士事務所の「信用・信頼」の証です。
社労士法人ヒューマンスキルコンサルティングは、全国社会保険労務士会連合会より社会保険労務士個人情報保護事務所として認証を受けています。【認証番号第1602793号】
→SRPⅡ認証(全国社会保険労務士連合会)
menu