コラム

【介護】「更なる処遇改善について」の内容速報・2018年12月②

皆様、ご承知いのとおり2019年10月から処遇改善の新加算がスタートする予定です。安倍政権の方針である「介護職の給与を他の産業と同等水準までに引き上げる」を実現すべく、「更なる処遇改善」がこのほど発表されました。

今回の加算は多くの特徴がありますが、その一つに多職種への分配は認めらるようになった、ということでしょうか。

ともあれ、重要なのは、加算取得要件ですが、先般の発表では下記の内容に

なっておりますのでご確認ください。

●2018年12月12日 介護給付費分科会資料から

○ 加算対象のサービス種類として、現在対象としていないものも評価すべきとの意見もあ一方で、今般の更なる処遇改善は、これまでの数度にわたり取り組んできた介護職員の処遇改善をより一層進めるものであることから、これまでの処遇改善加算と同様のサービス種類としてはどうか。


○ 長く働き続けられる環境を目指す観点から、一定のキャリアパスや研修体制の構築、職場環境等の改善が行われていることを担保し、これらの取組を一層推進するため、
① 現行の処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)を取得している事業所を対象とすることとし、
あわせて、新たに、
② 処遇改善加算の職場環境等要件に関し、職場環境等についての改善の取組を複数行っていること
③ 処遇改善加算に基づく取組について、HPへの掲載などを通じた見える化を行っていること
を求め、①、②、③を加算の対象(取得要件)としてはどうか

以上です。

今回の加算の詳細を解説する緊急セミナーを2月5日(月)と3月12日(火)に行う予定です。セミナーの詳細はまた改めてメルマガなどでお知らせいたします。

 

 

介護事業者様向け情報(経営)12月号③

福祉施設でみられる人事労務Q&A
『突然出勤しなくなり、連絡が取れなくなってしまった
職員への対応』

Q:

毎日きちんと出勤していた職員が、突然連絡もなく急に出勤しなくなり、こち
らから電話をしても連絡が取れなくなってしまいました。出勤しなくなってから
1 ヶ月経過するため解雇として手続きを進めたいのですが、どのようなことに気
をつければよいでしょうか。

A:

職員が出勤せず、また連絡も取れないからといって、施設が当該職員に何も伝
えずに解雇することにはリスクが伴います。このような場合、職員への解雇の通
知方法として、公示送達があります。しかし、時間と手間を要するため、実務面
では就業規則などに一定以上の欠勤をした場合に自然退職となる旨の記載をし、
黙示の退職の意思表示があったとみなして運用する方法が考えられます。

詳細解説:

職員が突然無断で出勤しなくなり、勤務を続ける意思があるのかわからない
というようなことが稀に発生します。このようなとき、まずは電話をした上で、
出勤や連絡することを要請する手紙の郵送、自宅への訪問、身元保証人への
連絡等あらゆる方法で職員に連絡をするように努めることが重要です。しかし、
連絡が取れないまま、ある程度の期間が経過したような場合には、解雇を
検討することが考えられますが、これにはリスクが伴います。解雇は、施設が当該職
員に雇用契約を終了する意思を通知し、到達することが必要とされているためです。
したがって、今回のように連絡が取れなくなってしまった場合には、その通知ができず、
解雇することが難しいと考えられます。
職員と連絡が取れず、解雇の通知を行うことができないとき、法律上の手続きとして
公示送達という方法があります。公示送達は、簡易裁判所に申し立てをし、その内容を
裁判所の掲示板に掲示することによって行われ、この掲示から2 週間を経過した時点で、
相手方に解雇の意思が到達したとみなすという制度です。
しかし公示送達は時間と手間を要します。
したがって、実務としては就業規則等に、一定期間以上の無断欠勤を行った際は(黙示で
の退職意思とみなして)退職とする、という旨の規定を設け、一定期間経過後、自動的に
契約が終了する、自然退職として取り扱う方法がよく行われます。
ただし、実際に雇用契約を終了することについて何も知らせていないと、後日、退職の
取り扱いが不当であるとして争われてしまう可能性があります。そのため、就業規則に自
然退職となる旨の記載をした上で、到達しない可能性はありますが自然退職となることや
退職日等を内容証明などの方法で通知し、連絡を取ろうとしたことの経過や証拠を残して
おき、退職の扱い自体の有効性を高めるようにしましょう。

(次号に続く)

医療事業者様向け情報(経営)12月号③

医療機関でみられる人事労務Q&A
『突然出勤しなくなり、連絡が取れなくなってしまった
職員への対応』

Q:

毎日きちんと出勤していた職員が、突然連絡もなく急に出勤しなくなり、こちらから
電話をしても連絡が取れなくなってしまいました。出勤しなくなってから1 ヶ月経過する
ため解雇として手続きを進めたいのですが、どのようなことに気をつければよいでしょうか。

A:

職員が出勤せず、また連絡も取れないからといって、医院が当該職員に何も伝えずに
解雇することにはリスクが伴います。このような場合、職員への解雇の通知方法として、
公示送達があります。しかし、時間と手間を要するため、実務面では就業規則などに
一定以上の欠勤をした場合に自然退職となる旨の記載をし、黙示の退職の意思表示があったと
みなして運用する方法が考えられます。

詳細解説:

職員が突然無断で出勤しなくなり、勤務を続ける意思があるのかわからないというようなことが
稀に発生します。このようなとき、まずは電話をした上で、出勤や連絡することを要請する手
紙の郵送、自宅への訪問、身元保証人への連絡等あらゆる方法で職員に連絡をするように
努めることが重要です。しかし、連絡が取れないまま、ある程度の期間が経過したような
場合には、解雇を検討することが考えられますが、これにはリスクが伴います。解雇は、
医院が当該職員に雇用契約を終了する意思を通知し、到達することが必要とされているた
めです。したがって、今回のように連絡が取れなくなってしまった場合には、その通知が
できず、解雇することが難しいと考えられます。
職員と連絡が取れず、解雇の通知を行うことができないとき、法律上の手続きとして公
示送達という方法があります。公示送達は、簡易裁判所に申し立てをし、その内容を裁判
所の掲示板に掲示することによって行われ、この掲示から2 週間を経過した時点で、相手
方に解雇の意思が到達したとみなすという制度です。
しかし公示送達は時間と手間を要します。
したがって、実務としては就業規則等に、一定期間以上の無断欠勤を行った際は(黙示で
の退職意思とみなして)退職とする、という旨の規定を設け、一定期間経過後、自動的に
契約が終了する、自然退職として取り扱う方法がよく行われます。
ただし、実際に雇用契約を終了することについて何も知らせていないと、後日、退職の
取り扱いが不当であるとして争われてしまう可能性があります。そのため、就業規則に自
然退職となる旨の記載をした上で、到達しない可能性はありますが自然退職となることや
退職日等を内容証明などの方法で通知し、連絡を取ろうとしたことの経過や証拠を残して
おき、退職の扱い自体の有効性を高めるようにしましょう。

(1月号に続く)

介護事業者様向け情報(経営)12月号②

福祉施設における年末賞与1 人平均支給額の推移

今年も年末賞与の季節を迎えます。ここでは厚生労働省の統計資料※から、福祉関連業種につい
て、直近5 年間(平成25 年~29 年)の年末賞与支給労働者1 人平均支給額(以下、1 人平均支
給額)などをご紹介します。

老人福祉・介護事業が2 年連続の増加に

児童福祉事業、老人福祉・介護事業、障害者福祉事業について、事業所規模別の年末賞与支給
状況は以下のリンク先の通りです。28 年に比べて1 人平均支給額が増加したのは、児童福祉
事業の5~29 人規模、老人福祉・介護事業の5~29 人規模と30~99 人規模、障害者福祉事業の
30~99 人規模となりました。特に老人福祉・介護事業は、両規模とも2 年連続で1 人平均支給
額が増加しました。
きまって支給する給与に対する支給割合では、老人福祉・介護事業の5~29 人規模が1 ヶ月分に
満たない状態が続いています。
支給事業所数割合では、児童福祉事業の30~99 人規模と障害者福祉事業の30~99 人規模が
100%となりました。

今年の支給額は、どのように変化するでしょうか。

※厚生労働省「毎月勤労統計調査」
詳細は次のURL のページからご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html

医療事業者様向け情報(経営)12月号②

医療機関の年末賞与 1 人平均支給額の推移

今年も年末賞与支給の季節を迎えます。ここでは病院と一般診療所の別に、直近5 年間
(平成25 年~29 年)の年末賞与支給労働者1 人平均支給額(以下、1 人平均支給額)などを、
事業所規模別にご紹介します。

1 人平均支給額は減少傾向に

厚生労働省の調査結果※から、1 人平均支給額などの推移をまとめると、
以下のとおりです。

・病院
5〜29 ⼈規模は、26 年、27 年と30 万円台だった1 ⼈平均⽀給額が、29 年は約22 万円と
減少しました。データのなかった28 年を除いて、2 年連続の減少です。30〜99 ⼈規模の
1 ⼈平均⽀給額は増減を繰り返しています。29 年は約29 万円で、28 年から5.2%の減少、
30 万円台を割り込みました。

・ ⼀般診療所
29 年の1 ⼈平均⽀給額は、どちらの規模も28年より減少し、20 万円台を割り込みました。
30〜99 ⼈規模は特に減少幅が⼤きく、28 年に⽐べて24.8%の減少です。きまって⽀給する
給与に対する⽀給割合は、5〜29 ⼈規模が0.94 ヶ⽉分、30〜99 ⼈規模が0.82 ヶ⽉分と、
どちらも1 ヶ⽉分を下回る割合になりました。

今年の支給額は、どのような変化をみせるでしょうか。

※厚生労働省「毎月勤労統計調査」
詳細は次のURL のページからご確認ください。
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/30-1.html

(次号に続く)

介護事業者様向け情報(経営)12月号①

介護が必要になったら誰に依頼したい?

将来身体が虚弱になり、日常生活の中で排せつ等の介護が必要な状態になった時、
誰に介護を頼みますか。今回は、内閣府が実施した調査※から、「介護を依頼したい
相手」の結果をご紹介します。

「配偶者」「子」「介護サービス」で9 割

「介護が必要となった時に依頼したい相手」について、「配偶者」「子」「ヘルパーなど介護
サービスの人」の3 回答で9 割近くを占めました。その構成割合は、男性は「配偶者」、
女性は「ヘルパーなど介護サービスの人」が1 位となりました。

男女別に見る「配偶者」と「子」の割合

男女・年代別の、「配偶者」「子」と回答した方の割合は、右グラフの通りです。
男性は、年代によって差があるものの、基本的には「配偶者」への期待が大きい傾向にあり
ます。一方、女性は男性に比べ、年齢とともに「子」への期待が大きくなっています。

※内閣府「平成29 年 高齢者の健康に関する調査結果(全体版)」
全国55 歳以上の男女3,000 人を対象に、29 年末~30 年1 月実施。
http://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h29/zentai/index.html

(次号に続く)

医療事業者様向け情報(経営)12月号①

医療機関における「経営力向上計画」

「経営力向上計画」は、「中小企業等経営強化法」(平成28 年7 月施行)に基づいて
策定する計画で、認定されると税制の優遇や金融支援を受けることができます。
医療機関での活用イメージをご紹介します。

医療,福祉業の認定数、業種別で第4 位

「経営力向上計画」の認定を受けた中小企業・小規模事業者は、固定資産税の軽減措置等
の税制面の支援や、低利融資、信用保証等の資金繰り等の支援を受けることができます。
中小企業庁の発表によると、平成30 年8 月31 日現在、68,532 件が認定されています。
「医療機関が取得する医療機器や建物附属設備については即時償却や税額控除は適用されない」
等の制約もあり、医療,福祉業の認定数は3,681件で全体の5.4%程度ですが、4 番目に多い業
種となっています。

医療分野での活用法

医療分野における「経営力向上」として、中小企業庁の事例集では、歯科用CAD/CAM の導入で
治療期間を大幅短縮して患者満足度の向上を図る事例、医療器材自動洗浄機の導入で省力化・
効率化する事例が紹介されています。
医療は「人」が支えるサービス業。厚生労働省の指針も、人材確保と定着、医療等従事者の
勤務環境への配慮を重視しています。診療所等については、以下の実施方法が例示されていま
す。ぜひ参考になさってください。

【実施方法例】

サービス品質向上 ・地域のニーズや他の医療機関等の存在をふまえた質の向上の実施(治療の選択肢の複数定時)
コストの把握・効率化 ・医療材料や医薬品について、近隣の医療機関等と連携した共同購入
・内部効率化のための、バックオフィス業務のICTツール活用

マネジメント

・曜日ごとの医師等の柔軟な配置
・地域にある他の病院又は診療所、介護事業者等と連携
ICT投資・設備投資 ・電子カルテ等のICTの利活用
・地域の他の病院等とのデータ共有
・ICT利活用の為の人材確保
・エネルギー使用量の見える化、省エネ設備導入、エネルギー管理体制の構築等を通じた省エネ推進
その他 ・介助・介護に資するロボットの導入による業務の負担の軽減

 

(次号に続く)

保育事業者様向け情報(労務)12月号④

年次有給休暇取得義務化への対応に活用できる計画的付与制度

働き方改革関連法の成立により2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」
という)が付与される従業員について年5日の取得義務化が始まります。
これにあわせて年休の計画的付与制度を導入することを検討している企業もあるかと
思いますので、その手続きについて確認しておきましょう。

1.年休を取得する時季

年休の取得については、従業員が希望する時季に年休を与えることが原則となっています。
ただし、従業員が請求した時季に与えることが、事業の正常な運営を妨げる場合には、
他の時季に変更することができることになっています(年休の時季変更権)。
また、労使協定を結ぶことで、5日を超える分については計画的に会社が与える時季を
決めることができます(年休の計画的付与)。

2.計画的付与の方法

年休の計画的付与の方法としては、以下の3つの方法が挙げられます。

①企業全体等の休業による一斉付与

企業全体で年休を取得する日を決める方法で、製造業など一斉に休みにした方が効率的な
業態に向いている方法です。

②班・グループ別の交替制付与

企業全体で一斉に休みを取ることが難しい業態で、班・グループ別に交替で年休を与える
方法です。流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業で用いられることが
多くなっています。

③個人別付与

年次有給休暇付与計画表を作成することにより、与える日を従業員ごとに個人別で定め
る方法です。夏季、年末年始、ゴールデンウィークのほか、誕生日や結婚記念日など、
従業員の個人的な記念日を優先的に与えるケースも多くあるようです。

3.計画的付与を導入する際の手続き

計画的付与を実施するためには、就業規則に計画的付与により年休を与える旨を
記載した上で、労使協定を締結する必要があります。
労使協定で定める項目は以下のとおりです。

①計画的付与の対象となる従業員(あるいは対象から除く従業員)
②対象となる年次有給休暇の日数
③計画的付与の具体的な内容
④年次有給休暇を持たない従業員の取扱い
⑤計画的付与日の変更

なお、労使協定の労働基準監督署への提出は不要ですが、制度を導入するために
就業規則を修正した場合、届出が必要です。

年休の取得義務化により、年10日以上の年休が付与される従業員に対して、企業は何らか
の対応が必要になります。特にこれまで年休の取得率が低い企業や、1日も取得していない
従業員が多い企業では、計画的付与の導入も含め早急な検討が必要になります。就業規則の
見直しや労使協定の締結においてご不明点があれば、当事務所までご連絡ください。

(1月号に続く)

医療事業者様向け情報(労務)12月号④

年次有給休暇取得義務化への対応に活用できる計画的付与制度

働き方改革関連法の成立により2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」
という)が付与される従業員について年5日の取得義務化が始まります。
これにあわせて年休の計画的付与制度を導入することを検討している企業もあるかと
思いますので、その手続きについて確認しておきましょう。

1.年休を取得する時季

年休の取得については、従業員が希望する時季に年休を与えることが原則となっています。
ただし、従業員が請求した時季に与えることが、事業の正常な運営を妨げる場合には、
他の時季に変更することができることになっています(年休の時季変更権)。
また、労使協定を結ぶことで、5日を超える分については計画的に会社が与える時季を
決めることができます(年休の計画的付与)。

2.計画的付与の方法

年休の計画的付与の方法としては、以下の3つの方法が挙げられます。

①企業全体等の休業による一斉付与

企業全体で年休を取得する日を決める方法で、製造業など一斉に休みにした方が効率的な
業態に向いている方法です。

②班・グループ別の交替制付与

企業全体で一斉に休みを取ることが難しい業態で、班・グループ別に交替で年休を与える
方法です。流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業で用いられることが
多くなっています。

③個人別付与

年次有給休暇付与計画表を作成することにより、与える日を従業員ごとに個人別で定め
る方法です。夏季、年末年始、ゴールデンウィークのほか、誕生日や結婚記念日など、
従業員の個人的な記念日を優先的に与えるケースも多くあるようです。

3.計画的付与を導入する際の手続き

計画的付与を実施するためには、就業規則に計画的付与により年休を与える旨を
記載した上で、労使協定を締結する必要があります。
労使協定で定める項目は以下のとおりです。

①計画的付与の対象となる従業員(あるいは対象から除く従業員)
②対象となる年次有給休暇の日数
③計画的付与の具体的な内容
④年次有給休暇を持たない従業員の取扱い
⑤計画的付与日の変更

なお、労使協定の労働基準監督署への提出は不要ですが、制度を導入するために
就業規則を修正した場合、届出が必要です。

年休の取得義務化により、年10日以上の年休が付与される従業員に対して、企業は何らか
の対応が必要になります。特にこれまで年休の取得率が低い企業や、1日も取得していない
従業員が多い企業では、計画的付与の導入も含め早急な検討が必要になります。就業規則の
見直しや労使協定の締結においてご不明点があれば、当事務所までご連絡ください。

(1月号に続く)

介護事業者様向け情報(労務)12月号④

年次有給休暇取得義務化への対応に活用できる計画的付与制度

働き方改革関連法の成立により2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」
という)が付与される従業員について年5日の取得義務化が始まります。
これにあわせて年休の計画的付与制度を導入することを検討している企業もあるかと
思いますので、その手続きについて確認しておきましょう。

1.年休を取得する時季

年休の取得については、従業員が希望する時季に年休を与えることが原則となっています。
ただし、従業員が請求した時季に与えることが、事業の正常な運営を妨げる場合には、
他の時季に変更することができることになっています(年休の時季変更権)。
また、労使協定を結ぶことで、5日を超える分については計画的に会社が与える時季を
決めることができます(年休の計画的付与)。

2.計画的付与の方法

年休の計画的付与の方法としては、以下の3つの方法が挙げられます。

①企業全体等の休業による一斉付与

企業全体で年休を取得する日を決める方法で、製造業など一斉に休みにした方が効率的な
業態に向いている方法です。

②班・グループ別の交替制付与

企業全体で一斉に休みを取ることが難しい業態で、班・グループ別に交替で年休を与える
方法です。流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい企業で用いられることが
多くなっています。

③個人別付与

年次有給休暇付与計画表を作成することにより、与える日を従業員ごとに個人別で定め
る方法です。夏季、年末年始、ゴールデンウィークのほか、誕生日や結婚記念日など、
従業員の個人的な記念日を優先的に与えるケースも多くあるようです。

3.計画的付与を導入する際の手続き

計画的付与を実施するためには、就業規則に計画的付与により年休を与える旨を
記載した上で、労使協定を締結する必要があります。
労使協定で定める項目は以下のとおりです。

①計画的付与の対象となる従業員(あるいは対象から除く従業員)
②対象となる年次有給休暇の日数
③計画的付与の具体的な内容
④年次有給休暇を持たない従業員の取扱い
⑤計画的付与日の変更

なお、労使協定の労働基準監督署への提出は不要ですが、制度を導入するために
就業規則を修正した場合、届出が必要です。

年休の取得義務化により、年10日以上の年休が付与される従業員に対して、企業は何らか
の対応が必要になります。特にこれまで年休の取得率が低い企業や、1日も取得していない
従業員が多い企業では、計画的付与の導入も含め早急な検討が必要になります。就業規則の
見直しや労使協定の締結においてご不明点があれば、当事務所までご連絡ください。

(1月号に続く)

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