コラム
SOMPOケアは22日、自社で展開する子ども食堂が地域の子どもたちに提供した食事数が、累計で5万食を突破したと発表した。
スタートは2022年11月。今では全国約470ヵ所の介護付きホーム、デイサービスなどで毎月開催されており、子どもと高齢者が同じ時間を過ごす多世代交流の機会として定着しつつある。
介護事業所を「地域に開かれた交流拠点」
SOMPOケアは、介護事業所を「地域に開かれた交流拠点」と位置付け、利用者と地域住民、子どもたちとのつながりを重視してきた。少子高齢化や地域コミュニティの希薄化が進むなか、利用者の生きがいを生み出すこと、職員の働きがいを向上させること、子どもたちの成長を後押しすることを同時に実現するモデルとして、この「SOMPO流 子ども食堂」の開催を続けてきた。
温かい食事を共に食べるほか、配膳・下膳や車いす移動の補助といった介護のお仕事体験、レクリエーションなども実施。普段あまり接点のない世代同士の触れ合いは意義が大きく、高齢者は自然と笑顔になり、子どもたちにとっては貴重な学びの機会となる。資本業務提携を結んだRIZAPとの連携による体操、損保ジャパンの防災啓発活動とのコラボイベントなども行われている。
SOMPOケアは今後も取り組みを継続していく方針。「10年後、20年後も地域の未来を支える活動として推進したい。地域が抱える複合的な社会課題の解決を目指す」としている。
厚生労働省は22日、新たな「介護情報基盤」の運用開始に向けた具体的なスケジュールを、介護保険最新情報Vol.1405で全国に通知した。
新たな「介護情報基盤」は、利用者、事業所、医療機関、市町村などがオンラインで迅速に閲覧・共有できるクラウドのインフラ。
新たな「介護情報基盤」は、介護保険証や要介護認定、主治医意見書、ケアプランといった必要な情報を、利用者、事業所、医療機関、市町村などがオンラインで迅速に閲覧・共有できるクラウドのインフラ。紙や郵送でのやり取りをデジタル化し、介護現場の事務負担の軽減を実現するとともに、より質の高い情報連携、サービスの提供につなげる狙いがある。
介護現場の負担軽減と情報連携の迅速化・高度化を目指す国の重要施策で、自治体ごとの準備状況に合わせ、来年4月から活用を順次スタートする。そこから2028年4月までに、全国すべての市町村で運用を始めるとの日程を明確にアナウンスした。
通知では、介護事業所や医療機関に必要な環境整備の支援策にも言及。国保中央会のポータルサイトを通じた申請により、カードリーダーの導入や端末の設定支援などに対する補助を行う方針を明示した。
さらに、既存の「ケアプランデータ連携システム」を「介護情報基盤」に統合する計画も改めて示し、これを業務の効率化やケアの質の向上につなげると説明した。
情報連携の一元化で業務を効率化
この「介護情報基盤」を利用するには、各事業所がそれぞれクラウドにアクセスできる環境を整える必要があり、セキュリティを確保するためのクライアント証明書の導入、カードリーダーの導入、端末ごとの初期設定なども求められる。厚労省はこうした準備への負担を考慮し、新たな補助制度を設けることにした。
既存の「ケアプランデータ連携システム」を統合すれば、事業所が1つのWebサービスから多くの情報を閲覧・共有できるようになり、利便性とコスト効率の双方の向上が見込まれる。厚労省は今後、「介護情報基盤」の円滑な運用開始に向けて、手続きや補助などの詳細を順次周知していく考えだ。
2030年度までに医療機関へのおおむね100%の普及を目指すことを明らかにした。
東京都は9日に開催した「東京都医療DX推進協議会」の初会合で、都内医療機関に対して電
子カルテに関する相談など導入前から導入後まで一貫してサポートを行い、国と同様に2030年
度までに医療機関へのおおむね100%の普及を目指すことを明らかにした。
25 年現在の都内医療機関の電子カルテ導入率は、病院が70.9%、一般診療所で58.7%。未導
入病院については200 床未満の小規模病院が 83.2%を占める。また、導入率で見ると、療養病
床と精神病床のみを有する病院は36.4%、精神科病院が46.9%、療養病床のみを有する病院が
57.0%と低くなっている。
都が4月に設置した電子カルテ導入相談窓口での6月までの相談142件のうち、相談内容で
最も多かったのは「補助金」で82 件。次いで「その他」37 件、「電子カルテ導入に当たっての
準備」14件など。施設種別126件では、「無床診療所」が100件で圧倒的に多かった。都では25-27 年度を医療機関の重点支援に位置付ける。導入前・導入時・導入後の一貫支援を推進。導
入支援としては25年度から200床未満の病院や医科診療所の補助率を4分の3に引き上げてい
る。導入後のサイバーセキュリティー対策として、オフラインバックアップなどにかかる費用
の半分の補助も行っている。
導入目標は、病院が27年度まで、医科診療所は30年度までにおおむね100%とした。
進捗情報を知らせるため、電子カルテを導入している医療機関をリスト化して公表する。初回は7
月中に1日付の導入状況を公表。以降も毎月1日時点での状況を集計し公表する。
山田忠輝・都保健医療局長は「安全で質の高い医療を目指すためにも、病院間連携など効率
化を進める必要がある」とし、「情報共有の一丁目一番地である電子カルテ導入に 25 年度は注
力する」と述べた。
多国籍の介護職員を貴重な“人財”として尊重し、多様な文化や価値観を原動力に質の高いサービスを提供する − 。
千葉県佐倉市の特別養護老人ホーム「ちとせ小町(社会福祉法人千歳会)」は、こうした理念のもと、外国人職員の育成と活躍の場づくりに力を注いでいる。今年5月には、法人内の優良実践を表彰する「C1グランプリ」で見事グランプリに輝いた。
「国籍の壁を越えて、共に成長する」
「私たちが目指しているのは、国籍や年齢を問わず、お互いを認め合いながら成長できる良いチームを作ることです」。現場を率いる南曲豪施設長はこう語る。
現在、「ちとせ小町」にはフィリピン、ベトナム、モンゴル、ネパール、ミャンマーの出身者ら10人の外国人職員が勤務。こうした職員構成を強みにすべく、「多国籍介護エキスパート集団」としての組織づくりを掲げている。
その実現に向けて力を入れているのが、外国人職員向けの独自研修だ。語学力や理解度に応じて2クラスに分け、月1回、日本語、介護技術、マナー、文化・慣習、緊急時対応、専門用語の理解などを丁寧に指導。研修の企画から教材の作成、講師までをすべて、主任・リーダーら施設内の中堅職員が担っている。
「日本語の専門用語は本当に難しい。最初は全然分からなくて大変でした」「でも、研修で“これはこういう意味だよ”と何度も教えてくれたことが、大きなヘルプになった」。研修を受けた外国人職員の1人は、こう振り返る。
また、日常のケアや業務を通して自然な言語習得を促す「現場型の学び」も重視。コミュニケーション力の向上により、日々のOJTも円滑に進むようになったという。
関係性の良さが定着率に表れる
定着率の高さも「ちとせ小町」の自慢だ。昨年度の介護職員の離職率は5.7%。全国平均の13.1%と比べ、顕著に低い水準を維持している。
その背景には、「1人の職員として外国人とも対等に向き合う」という姿勢の徹底がある。南曲施設長は、「外国籍の職員だからといって、仕事を限定したり特別扱いをしたりしない。研修を経て職場に慣れた後は、同じ介護職員として、日本人と変わらず責任ある役割を担ってもらっている」と語る。
施設では、例えば事故・虐待の防止委員会や各種イベントの企画・運営など、様々な会議に外国人職員もメンバーとして参加。当初は控えめだった職員も、今では「発言するのも慣れた」「ちゃんと聞いてくれている」と意見交換に加わるようになった。

「もっと日本語を上達させて、介護福祉士を取ってリーダーになりたい」「おばあちゃん、おじいちゃんが好きなので、できるだけ長く介護現場で働きたい」「いつか“みんなが入れる施設”を作って、国籍や障害に関係なく誰もが安心できる場所にしたい」。
どれも自分の利害だけでなく、周囲の人や社会に対する思い、責任に通じていた。
国境を越えて出会った人々が、高齢者や障害者へのケアを共に学び、お互いを理解し合おうと努めながら、質の高いサービスを追求していく。その姿は、今の日本の介護現場が持つ確かな可能性と希望を伝えてくれている。(介護ニュースより)

「週休3日制」は介護現場に馴染むのか?
柔軟な働き方の実現が政策的にも求められる中、介護業界でも「週休3日制」の導入が注目されています.
国の「こども未来戦略」や第9期介護保険事業計画に基づく「総合的な介護人材確保対策」でも、週休3日制の推進が明記されており、育児・介護との両立、副業・兼業への対応などを背景に、柔軟な働き方のひとつとして全国的な機運が高まりつつあります。
すでに一部自治体ではモデル事業が展開されています。宮城県や福島県の介護事業者では、導入を契機に求人応募数が増加した、通勤回数が減って生活が安定したなど、一定の成果が報告されています。今年度から大阪府もモデル事業所を開始しました。
週休3日制は、特に、これまで介護職に関心のなかった若年層や異業種からの応募を呼び込む事例を生んでおり、新たな層へのアプローチ手段となっています。また、採用促進や離職防止に加え、職員のエンゲージメントや勤務満足度の向上、職場の一体感の醸成など、間接的な効果も指摘されています。働きやすい環境は、結果として介護の質を高めることにもつながります。
実は“全員がハッピー”とは限らない? 制度の落とし穴とヒント
ただ、週休3日制を導入すれば即効果が得られるわけではありません。たとえば、完全週休3日制を導入した法人では、採用効果が顕著であった一方、従来の勤務形態に慣れた中堅職員が新制度に適応できず、結果として退職に至ったケースもあります。
制度が新しいからこそ、こうした影響は長期的に検証していく必要があります。定着率や離職率などの実質的な効果は、時間をかけてこそ見えてくるものです。新たな制度を導入する際には、新規採用者だけでなく、今いる職員をいかに大切にするかという視点も欠かせません。
ここで注目されるのが、「選択的週休3日制」という考え方です。完全週休3日制しか選択肢がない場合、かえって働き方の自由度が狭まり、制度が逆効果になるおそれがあります。
一方で、シフト調整が複雑になることから、完全週休3日制の導入を希望する法人が多いのも事実です。解決策として、例えば、法人内に旧来通りの勤務が可能な部署を残す、短時間勤務制度と組み合わせるなど、多様な働き方の選択肢を確保することが求められます。
特に、新人職員や外国人職員にとって、入職初期はOJTやコミュニケーションが重要な時期であるため、まずは週休2日制で進め、段階的に移行するなど、柔軟な設計も考えられます。
現場の懸念や不安に丁寧に向き合い、試行期間を設けたうえで、段階的な導入を進めていくことが、制度定着の鍵になると考えられます。
「休みを増やす」だけではない、これは“働き方改革”そのもの
さらに重要なのは、週休3日制を「休日数の変更」ではなく、「働き方の再設計」として捉える視点です。業務の棚卸しや間接業務の標準化、ICTの活用、eラーニングの導入、スポット人材の活用など、複合的な取り組みを並行して行う必要があります。制度の持続的な運用には、管理職の負担軽減やマネジメント支援も不可欠です。
週休3日制は、ゴールではなくスタートです。制度の導入をきっかけに、職員一人ひとりのライフスタイルに合った働き方を実現し、より持続可能で魅力ある介護現場をつくる第一歩とすることが期待されます。
経歴詐称と解雇
職員の採否は判断する際、応募者の経歴は非常に重要な判断材料になります。履歴書の記載内容や面談時の回答から得た経歴を評価して採用した後に、そこの虚偽があったと判明した場合「それなら採用しなかった」という解雇理由は合理性があるでしょう。程度によっては懲戒解雇の適用も検討します。
とはいえ、全ての経歴詐称が解雇有効になるとは限りません。解雇が有効になるためには、経歴詐称が採否に及ぼす影響の程度によると考えられています。
詐称が問題になる経歴は、主に下記の4種です。
- 学歴詐称
学歴によって初任給が異なるなど採用時の労働条件が異なるケースにおいて、その結果高い給与を得ていたのであれば解雇が有効とされる可能性はあります。
・資格詐称
特に専門職を採用する場合、資格や免許の保有が無いことが判明した時には解雇が有効に認められる可能性が極めて高いといえるでしょう。
- 職歴詐称
転職歴の多さを隠すために過去の勤務先の在籍歴を偽ったり、前職を能力不足や素行不良で解雇された履歴を隠していたという事案もあります。ごく軽微な事案で解雇が認められることはないでしょうから程度の問題ではありますが、場合によっては解雇が求められる可能性はあります。
- 犯罪歴
犯罪歴は、一見解雇が認められそうな事案ではありますが、実は解雇を無効にした判例も多くあります。それらは前科があってもすでに10年以上経過している、暴行による罰金の前科があっても軽微である、といった事案になります。
このようなトラブルの対応策
入職前に虚偽申告等の詐称を見抜く対策としては、免許、資格の証明書は必ず持参させましょう。選考後には必要に応じて原本を提出させ、登録番号の照会を行うことも念頭におきましょう。また選考時に簡易な実技試験を行っておくと本人のスキルレベルもわかり安心です。
万が一、虚偽が判明した時のトラブルに備え、入職時に虚偽がないことを記載した誓約書の提出を求めるのもいいでしょう。就業規則を整備して経歴詐称が懲戒解雇事由にあたることも定めておくこともお勧めします。
電子カルテや電子カルテ情報共有サービスの2030年に向けた普及スケジュールを公表
厚生労働省は1日、電子カルテや電子カルテ情報共有サービスの2030年に向けた普及スケジ
ュールを公表した。電子カルテを未導入や導入予定の一般病院には、院内にサーバーを設置せ
ず低コストな「クラウド・ネイティブ型」のシステムの導入を促す。また、「オンプレミス型」
の電子カルテを導入済みの一般病院に対してもクラウド・ネイティブ型への移行を促す方針
国は25 年度中をめどに、システムの標準仕様(基本要件)を作る。電子カルテや電子カルテ情
報共有サービスの具体的な普及計画を26年夏までに取りまとめる。
厚労省の調べでは、23年10月現在、電子カルテを導入している一般病院は4,638施設、未導
入は2,427 施設で普及率65.6%。一方、医科の一般診療所は10万4,894施設の55.0%が導入
していた。
電子カルテを遅くても 30 年にはおおむね全ての医療機関に導入することを目指す
医療 DX の工程表では、患者の医療情報を共有できる電子カルテを遅くても 30 年にはおおむ
ね全ての医療機関に導入することを目指すとされていて、電子カルテの導入状況を踏まえて医
療機関に働き掛ける。
電子カルテを未導入や導入予定の病院には、クラウド・ネイティブ型システムの導入を促す。
一方、厚労省によると、電子カルテを導入済みの病院の多くは、サーバーや通信回線を院内に
整備してコストがかさむとされるオンプレ型のシステムを使用し、特に400床以上(650病院)
はこれから30年まで毎年100病院前後が更改の時期を迎えるという。
そのため、電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋への対応に必要な改修をシステム更改
のタイミングで医療情報化支援基金を活用して後押しする。クラウド型システムを既に導入している
一部の病院では当面、それらのサービスに対応するためのアップデートを進める。
国の標準仕様に準拠したクラウド・ネイティブ型の病院向けシステムは28年度以降に登場す
る見通しで、それ以降に順次、移行を進めるとしている。
医科診療所向けクラウド型システムの標準仕様(基本要件)を25年度中に作る
一方、オンプレ型電子カルテを導入済みの医科診療所は23年10月現在、約4.7万施設ある
とみられ、国が開発する標準型電子カルテに準拠したクラウド型への移行を27年度以降、シス
テム更改のタイミングで促す。また、電子カルテを未導入の医科診療所(4万7,232施設)では
標準型電子カルテの普及を進める。標準型電子カルテはクラウド型のシステムで、医科診療所
向けにデジタル庁が現在、開発を進めている。26年度中の完成を目指すとしている。
国は、標準型電子カルテの要件を参考に医科診療所向けクラウド型システムの標準仕様(基
本要件)を25年度中に作る。電子カルテ情報共有サービスや電子処方箋への対応のほか、デー
タの引き継ぎを可能にするための互換性確保などを盛り込む見通し。
保育の現場に広がるスポットワーク(スキマバイト)の全国調査に国が乗り出す。「スキマバイト保育士」は人手不足に悩む現場で重宝されているが、短時間や単発で働くため子どもの特性に合わせた保育が難しく、保護者や働く側からは不安や戸惑いの声が上がる。専門家は、保育所任せの現状を改めるため、国によるルール作りの必要性を指摘する。
詳しい説明なし
出勤してみると人手不足なのは明らかだった。職員は十分な休憩時間をとれず、園児を寝かしつけながら昼食をかき込んでいた。女性も寝かしつけを任され、その中に障害のある子どもがいた。「ちょっと障害がある」と言われただけで具体的な説明はなく、どのようにあやしても泣き叫ばれて途方に暮れたという。
女性は介護を機に昨年3月、それまで働いていた保育所を退職。以後は時々、スキマバイトをしている。「時間の融通が利くし、人間関係に悩まなくていいのも気楽だ」。ただ、事前に子どもに関する詳しい説明はなく、周りを見ながら手探りで働いているといい、「保育の質は担保されていないと感じる」と明かす。
大阪府の女性(31)は今春、長男が通う保育所で、他の保護者からスキマ保育士が働いていると聞かされた。保護者から説明を求められた保育所は、「常勤の保育士が休みの際など一時的な利用に限っている」とするお知らせを配布したが、不安になって保育所を退園した家庭もあるという。女性は「(スキマ保育士を)ゼロにしろとまでは思わない」としつつ、「経歴を含めて問題ないと判断した保育士のみにしてほしい」と求めた。
トラブル防止策
保育所がスキマバイトに頼る背景には、深刻な人手不足がある。
都内の別の認可保育所では毎日2人のスキマバイトを募集している。園長(40)は「給食や夕方のお迎えなど、人手が手薄になりがちな時間帯に入ってもらえて助かっている」と説明する。
スキマバイトの仲介アプリ最大手「タイミー」(東京)では、保育所に対し、採用した保育士が子どもと1対1にならないようにするなど、トラブル防止の取り組みを推奨している。広報担当者は「一度は保育の現場を離れたが、よい職場に出会えたらまた働きたいという人は少なくない。スポットワークだからこそ人が集まるというメリットもある」と強調した。
ただ、面接を行わず、履歴書の提出も求めないで採用を決める保育所も多く、「無資格者歓迎」とうたって求人を出すところもある。スキマバイトを定期的に活用している千葉県の保育所に勤める保育士の女性(49)は「どんな人が来るかは当日にならないとわからず、問題のある人が紛れていても排除しようがない」と懸念を口にした。
議会でも疑問
こうした現状を疑問視する声は、自治体の議会でじわじわと広がってきた。
千葉県の柏市議会では昨年9月、一般質問で市議が「履歴書も出させず、面接もせず、当日すぐに採用する。子どもの安全上、問題はないのか」と述べ、スキマバイト保育士の雇用をやめさせるよう市に求めた。
東京都の文京区議会でも昨年11月、「頻繁な人員の入れ替えは子どもたちのストレスにもなり、健やかな成長を妨げる」と指摘が出た。
区によると、区内では昨年度末時点で6か所の保育所がスキマバイトを活用していた。区の担当者は「常態化は望ましくない。目的や運用の実態を確認しておく必要がある」と話した。
多様な働き方に詳しい立教大の首藤若菜教授は、「スキマバイトの運用を現場任せにしていては、安全な保育ができないだけでなく、雇用の不安定化と人材の使い捨てにもつながり、保育業界全体が不健全になりかねない。採用や運用について、国が具体的なルールを整えるよう検討するべきだ」と話した。(読売新聞 オンライン)
「福祉用具サービス提供における適切なPDCAの実現に向けた手引き」
厚生労働省は10日、福祉用具専門相談員が一段と質の高いサービスを提供できるよう、「福祉用具サービス提供における適切なPDCAの実現に向けた手引き」を公表した。
福祉用具貸与・販売の現場で、PDCAサイクルを実際に回すポイントや記録作成の意義、他職種との連携のあり方などを解説する実践的な内容。介護保険最新情報のVol.1402で関係者に広く周知している。
この手引きは、2023年11月にまとめられた国の検討会の報告書を踏まえ、昨年度の調査・研究事業の一環として作成されたもの。厚労省は福祉用具貸与・販売事業所に対し、手引きの積極的な活用を呼びかけている。
手引きは9本の柱(章)で構成。例えば「PDCAの各プロセスで専門相談員に求められる役割」「疾患別・利用者の状況別の留意点」「他職種の役割」「実践用チェックシート」などが収録されている。
厚労省は現場での活用
(1)新人や若手職員の教育・指導ツール
(2)ベテラン職員の自己研鑽・振り返り
(3)他職種・保険者の専門性や役割の理解
などを想定。「利用者ごとに介護の見通しを予測し、予測に基づいて適時適切なタイミングでモニタリングを実施しながら、その結果を踏まえて福祉用具サービス計画の継続・見直しを検討するといった、PDCAサイクルを実施していくことが強く求められている」と促した。
このほか、厚労省は今回の通知で、「福祉用具の事故防止に向けた体制強化に関する報告書」「専門相談員指定講習の指導要領」なども周知している。
現場の記録とその確認を効率化する新たな音声アシスタント
介護ソフト大手のNDソフトウェアが、現場の記録とその確認を効率化する新たな音声アシスタント「ほのぼのVoice」を正式にリリースした。
介護事業所・施設向けの「ほのぼのNEXT」と連携し、スマートフォンとワイヤレス軟骨伝導ヘッドホンなどを通じた音声入力だけで、いつでも、どこでも、誰でも簡単に、記録の入力や内容の確認を行えるのが最大の特長だ。「ほのぼのNEXT」があれば無料で利用できる。
記録業務の負担軽減は、多忙を極める現場の喫緊の課題。NDソフトウェアは今回、音声操作に特化した「ほのぼのVoice」の無料提供でその解消を後押しする。
設計のコンセプトは「記録をケアに限りなく近づける」。
入力は利用者の名前や記録内容などを話しかけるだけ。利用者の過去の状態やバイタル、食事量、排泄状況などの情報も、声かけのみで瞬時に引き出すことができる。
設計のコンセプトは「記録をケアに限りなく近づける」。歩きながら、手を洗いながら、片付けながらといった場面で、スムーズに記録の入力・確認が可能。介護職の手を止めることなく、ケアの質を損なうことなく、様々なシーンで記録・確認を済ませることができる。
実際に記録する際は、音声アシスタントが内容を復唱してくれるため、入力ミスの不安はない。間違いに気付いた際は、送信前にアプリで修正できる仕様。当然、入力データは「ほのぼのNEXT」と即時に連携・共有されていく。
単に正確に残すだけでなく、リアルタイムで簡単に入力でき、誰もがすぐに活用できるもの。NDソフトウェアは「いい記録」をこう定義する。「ほのぼのVoice」で日々の記録を効率的に蓄積し、「ほのぼのNEXT」で利用者の傾向などを正確に把握することで、次の予測・改善につなげるというデータ活用の好循環を目指す。
NDソフトウェアの開発担当者は、「AI技術を活用した介護システムの開発をさらに推進し、製品力の強化を図ることで、介護分野におけるリーディングカンパニーとして発展し続けたい。今後も現場の声に耳を傾け、笑顔あふれる介護の未来を皆さまと共に築きたい」と述べた。
また、松山庸哉代表取締役社長は、「記録が、未来を変える。NDソフトは、AIの力で“記録”を“価値”へと昇華させます。過去の記録を振り返り、今に活かすことで、介護・障害福祉の現場に新たな可能性を。記録 × データで、ケアの質と経営力の両立を支援し、事業所の未来をともに築いていきたい」と語った。





