介護
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「2日後に旅行に行くので、有給休暇(年次有給休暇)をください」
もし、現場の職員からこのように急に有給申請されたら、経営者や院長先生はどう対応すべきでしょうか。特に、ただでさえ人手不足な上に、その日が1年で一番忙しい繁忙期や、シフトがカツカツの日だったとしたら、「今回は拒否したい…」と思うのが本音かもしれません。
介護施設、保育園、クリニックといった「人が人をケアする現場」では、1人の欠員がダイレクトに現場の崩壊やサービスの低下につながるため、有給休暇の取得を巡るトラブルが後を絶ちません。
今回は、医療・福祉業界専門の社会保険労務士(社労士)が、「職員からの急な有給申請は拒否できるのか?」「会社が持つ『時季変更権』の正しい使い方」、そして「急な有給申請に振り回されないためのルール作り」までを徹底解説します。
1. 結論:有給休暇の「拒否」は原則不可!ただし「時季の変更」は可能
まず法律上の結論からお伝えすると、会社が職員の有給休暇の取得を「完全に拒否(消滅)」させることは、原則としてできません。
有給休暇は、労働基準法によって労働者に認められた強い権利です。たとえその理由が「プライベートな旅行」であっても、取得理由を理由に会社が拒否することは違法となります。
◆ 会社に認められた唯一の対抗策「時季変更権」とは?
しかし、会社側にも現場を守るための権利が認められています。それが「時季変更権(じきへんこうけん)」です。
労働基準法第39条第5項(要約)
労働者が請求した日に有給休暇を与えることが、**「事業の正常な運営を妨げる場合」**においては、会社は他の日に変更させることができる。
つまり、「有給をあげるな(拒否)」とは言えませんが、「その日はどうしても困るから、別の日にずらしてほしい(変更)」と主張することは法律上可能なのです。
2. 単に「忙しいから」はNG!時季変更権が認められる「4つの判断基準」
ここで最も重要になるのが、「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、具体的にどのような状態を指すのかという点です。
裁判例などを踏まえると、単に「今日は業務が忙しいから」「いつも人手が足りないから」という慢性的な理由だけでは、時季変更権の行使は認められません。会社側が「代替要員を確保するために最善の努力を尽くしたけれど、どうしても無理だった」という客観的な事実が必要です。
特にシフト制で動く介護施設、保育園、クリニックにおいて、時季変更権が認められやすいのは以下のような4つのシチュエーションです。
① シフト変更の調整を尽くしたが、代替要員が確保できないとき
急な申請に対して、管理者が他の職員に「代わりにシフトに入ってもらえないか」と打診したり、出勤日の変更を調整したりしたものの、どうしても代わりの人が見つからなかった場合です。
② 有給の取得希望者が同じ日に重複し、現場が回らなくなるとき
同じ日、同じシフトの時間帯に、複数の職員から同時に有給申請が出てしまったケースです。全員を休ませると配置基準(人員基準)を割り込んでしまう、あるいは著しく診療や保育に支障が出る場合は、時期の変更を打診する正当な理由になります。
③ その職員にしかできない「代替不可能な重要業務」があるとき
他の職員では対応できない、その人独自の専門的な業務や、その日に完了しなければならない重大なタスクがある場合です。ただし、日頃から「属人化(その人にしかできない状態)」を放置している場合は、会社の管理不足とみなされることもあるため注意が必要です。
④ その日に外せない研修・教育訓練、または出張があるとき
以前から予定されていた重要な研修、行政による監査対応、あるいはその職員がメインで参加すべき出張などが重なっている場合です。
3. 【管理者必見】トラブルを防ぐための実務上の留意点
上記の4つの条件に当てはまる場合、法律上は「強制的に有給の日程を変更させること」が可能です。しかし、ここで感情的に「法律で認められているから、2日後の有給はダメ!変更しなさい!」と突っぱねるのは、実務上おすすめできません。
相手は感情を持つ「人間」。まずは話し合いから
特に介護・保育・医療の現場は、職員同士のチームワークとモチベーションが命です。強制的な命令を下してしまうと、職員の不満が溜まり、最悪の場合は「突然の退職」や「SNSへの悪評の書き込み」「労働基準監督署への駆け込み」といった二次トラブルに発展しかねません。
まずは、管理者(院長や施設長)から以下のようにアプローチすることをお勧めします。
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現状の共有: 「その日は〇〇さんの予約が詰まっていて、代替のスタッフも見つからないんだ」と、困っている状況を具体的に伝える。
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妥協案の提示: 「2日後からの旅行を、来週の〇〇日~〇〇日に変更してもらうことは難しいかな?」と、代替案を一緒に考える姿勢を見せる。
法律を盾に戦うのではなく、「お互いの事情を理解し合うための話し合い」を挟むことが、職場環境を維持するための実務的なテクニックです。
4. 2日前の申請は遅すぎる?就業規則で定めるべき「有給のルールとマナー」
今回の事例のように「2日前に旅行の申請をしてくる」という事態が起こる背景には、「職場内での有給取得のルールやマナーが曖昧になっている」という根本的な原因があります。
職員に気持ちよく、かつ現場に穴をあけずに有休を取得してもらうためには、就業規則で明確なルールを定め、周知徹底することが不可欠です。
◆ 「〇日前までの申請」は有効か?
労働基準法には「有給は何日前までに申請しなければならない」という具体的な期限の定めはありません。しかし、判例では「会社が代替要員を確保するために必要な、合理的な範囲内の期間」であれば、就業規則で申請期限を設けることは有効であるとされています。
あまりに長い期間(例:1ヶ月前までに申請など)は不合理とされる可能性が高いですが、「原則として7日前までに書面(またはシステム)で申請すること」というルールは、実務上も非常に合理的であり、有効です。
まずは、就業規則に以下の項目が正しく記載されているか確認しましょう。
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有給休暇の申請方法(書面なのか、LINEなどの連絡は不可なのか)
-
申請の締め切り(例:前月〇日までのシフト提出時、または取得日の7日前まで)
-
緊急時の対応(突発的な体調不良などの場合の事後振替ルール)
5. 職員への「マナー指導」が、強い組織を作る
ルール(就業規則)を作るだけでなく、朝礼やミーティングを通じて、職員へ「有給取得におけるマナーと配慮」について定期的に指導することも、社労士として強くお勧めしています。
有給は権利ですが、介護、保育、クリニックは「チームプレイ」で動いています。同僚に極端な負担をかけないよう、以下の4つの意識を職員に持ってもらうようアプローチしましょう。
| 指導すべき4つのマナー | 具体的な内容 |
| ① 余裕を持った事前申請 | 旅行などの予定は、シフトが確定する前、あるいは少なくとも1〜2週間前には相談・申請する。 |
| ② 業務の引き継ぎ | 自分が休んでいる間に発生する可能性のある業務や、担当している患者様・利用者様・園児の特記事項を事前に周囲へ共有しておく。 |
| ③ 代替要員への配慮 | 「お互い様」の精神を持ち、自分が休む代わりに、他の人が休むときには快くシフトを代わる姿勢を持つ。 |
| ④ 周囲への感謝の言葉 | 休み前や休み明けに「お休みをいただきありがとうございました」「ご協力ありがとうございました」の一言を添える。 |
こうした「お互い様の文化」が根付いている職場では、急な有給取得による不満やギスギスしたトラブルは自然と減少していきます。
6. まとめ:介護・保育・クリニックの有給トラブルは専門の社労士へ
職員からの急な有給休暇の申請に対し、単に「忙しいから」という理由で拒否することはできません。しかし、事前の調整を尽くしても代替要員が確保できないなど、「事業の正常な運営を妨げる事由」があれば、時季変更権を使って日程をずらしてもらうことは法的に正当な対応です。
大切なのは、以下の3ステップです。
-
就業規則で「7日前までの申請」などの合理的ルールを定める
-
万が一のときは、感情的に拒否せず「話し合い」で時期の変更を打診する
-
普段から「周囲への配慮と引き継ぎ」についてのマナー教育を行う
介護施設、保育園、クリニックは、一般的なオフィスワークとは異なり、現場の配置基準や独自のシフト体制があるため、労務管理が非常に複雑です。
「うちの現場の状況で、時季変更権は認められる?」
「トラブルにならない就業規則の書き方を知りたい」
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Q)当院には、まもなく産前産後休業(以下、産休)に入る職員がいます。年次有給休暇(以下、年休)が、数日残っているのですが、この年休を産休中に取れ
るのでしょうか?
A)産休中は、労務の提供義務が消滅しているため、年休を取得することはできません。ただし、産休前に年休の請求があった場合には、原則として産前休業
期間に限り、請求があった日に年休を取得することができます。
詳細解説:
1.産休と年休の関係
産休は、妊娠中・出産後の母体保護を目的とした労働基準法に基づく休業制度です。産前休業は出産予定日前6週間(多胎妊娠の場合には14週間)であり、
産後休業は出産日以後8週間です。産前休業は職員の請求に基づいて与える義務があり、産後休業は請求の有無にかかわらず与える義務があります。ただし、出産後6週間を経過
した職員については、一定の条件のもと、就業が認められています。
年休は、労働日について労務の提供義務を免除するものであることから、労務の提供義務が消滅している産休中に取得することはできません。そのため、産休中の職員から年休
の請求があった場合、医院は年休の取得を認める必要はありません。
一方で、産前休業を請求できる期間に、職員が産前休業を請求せずに年休を請求した場合には、労務の提供義務は消滅していないため、医院は年休の取得を認めることになりま
す。なお、産後休業は請求の有無にかかわらず、原則として就業が禁止されているため、職員から年休の請求があったとしても年休の取得を認める必要はありません。
2.年休付与日到来による消滅と付与
労働基準法では、年休の付与日から2年を経過したときに、時効により年休は消滅すると規定されています。よって、産休中に時効を迎えた年休は消滅します。
次に付与については、産休中に付与日が到来し、年休付与要件を満たしている場合、医院は年休を付与しなければなりません。なお、付与された年休は、産休から復帰した後に取
得することが可能です。
産休中には、一定の要件を満たすことで健康保険から出産手当金が支給されます。出産手当金は、出産のために働くことができず、給与が支払われない場合に支給されるもので
す。産前休業中に年休を取得すると、出産手当金が支給されないことがあるため、対象者には誤解のないように事前の説明が求められます。
スポットワークのカイテクと介護福祉士会が連携協定 人材の確保や質の向上で協力

介護職などのスポットワークを仲介するカイテクと日本介護福祉士会は18日、介護人材の確保やサービスの質の向上などを目指す包括連携協定を締結したと発表した。
15日付で包括連携協定を結んだ。介護福祉士らの活躍促進やキャリア形成、学習機会の拡大などを図る構えだ。
深刻化する人手不足や多様な働き方の浸透などが背景にある。介護現場でスポットワークの活用が広がるなか、専門職が長く安心して働ける環境の整備、継続的な自己研鑽の機会の提供などが急務となっている。
今回の協定では、カイテクが強みとする潜在有資格者の復職の後押し、多様な働き方の創出などと、職能団体である日本介護福祉士会の資質向上・倫理醸成に関するノウハウをかけ合わせる。双方の知見を融合し、介護人材の確保やサービスの質の向上につなげる狙いがある。
今後の取り組みには、カイテクの登録者に対する情報提供や周知・啓発活動なども含まれる。両者は定期的に協議の場を設け、より具体的な連携策を検討していくと説明している。
医療・福祉の現場(クリニック、介護施設、保育園)は、人命や安全を預かる特性上、一歩間違えれば重大な事故に繋がりかねない緊張感があります 。そのため、経営者や管理職がスタッフに対して「時に厳しく指導せざるを得ない場面」があるのは当然のことです 。
しかし、現場のリーダーから「問題行動のある職員を厳しく指導したいが、パワハラと言われるのが怖くて強く言えない」という悩みの声を耳にすることが増えています 。また、職員から「これってハラスメントです」と訴えがあった際、法人としてどこまで対応すべきか苦慮しているケースも少なくありません 。
本記事では、厚労省の指針に基づき、「業務上の適正な指導」と「パワハラ」の境界線を、クリニック・介護・保育園の具体例を交えて解説します 。また、ハラスメントの訴えがあった際の法人の対応義務についても実務的な視点から紐解きます 。
1. そもそも「職場のパワーハラスメント(パワハラ)」の定義とは?
客観的な指導を行うための前提として、まずは法律および厚生労働省が定める「パワーハラスメント」の3つの定義を確認しておきましょう 。職場におけるパワハラとは、同じ職場で働く者に対して、以下の3つの要素をすべて満たす行為を指します 。
| パワハラの3要素 | 概要 |
|
① 優越的な関係を背景とした言動 |
職務上の地位(上司から部下)だけでなく、専門知識や経験の差、人間関係のグループなど、抵抗や拒絶が難しい関係性を背景にしていること 。※部下から上司、同僚間も含みます 。 |
|
② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの |
社会通念に照らし、明らかに業務上の必要性がない、または指導の手段・態度が不適当であること 。 |
|
③ 労働者の就業環境が害されること |
身体的・精神的な苦痛を与えられ、労働者が能力を十分に発揮できないなど、看過できない程度の悪影響が生じること 。 |
【重要】「適正な業務指示・指導」はパワハラではない
逆を言えば、「客観的に見て、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導」については、職場のパワハラには該当しません 。指導される側が主観的に「厳しくて不快だった」「傷ついた」と感じたとしても、それが業務上必要な内容であり、かつ社会通念上相当な方法であれば、法律上のパワハラとは認められないのです 。
2. 明らかな「問題職員」への厳しい指導もパワハラになるのか?
結論から申し上げると、「業務の性質や内容に照らして重大な問題行為を行った従業員に対して、一定程度注意をすること」はパワハラには該当しません 。
クリニック、介護施設、保育園など、患者様、利用者様、園児の命や安全に直結する職場では、業務の必要性や緊急性が高い場面が多く存在します 。そのため、重大なミスや問題行動に対して「厳しく注意・指導すること」は一定程度許容されます 。
厚生労働省のいわゆる「パワハラ指針」でも、精神的な攻撃(脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言など)には該当しない例として、具体的に以下の2つを挙げています 。
### 【厚労省指針】パワハラに該当しないと考えられる例 1. 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること。 2. その業務の内容や性質に照らして重大な問題行為を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。
医療・福祉・保育の現場における「パワハラにならない」具体例
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クリニック:
処方箋の確認ミスや医療機器の誤操作など、患者の健康に直結する重大なミスを繰り返す看護師や医療事務に対し、「命に関わる現場なのだから、二度とこのような不注意を起こさないでください」と、強い口調でその場で注意を促す行為。
-
介護施設:
移乗介助時の手順を無視し、利用者様を転倒させるリスクのある危険な行動を取ったヘルパーに対し、事故を未然に防ぐためにその場で語気を強めて制止・注意する行為。
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保育園: 園児のアレルギー確認を怠って給食を提供しようとした保育士、あるいは遅刻や無断欠勤を繰り返し、シフトに多大な支障を出しているにもかかわらず改善の兆しがない職員に対し、面談室で一定程度強く叱責・指導する行為 。
これらはすべて「業務上必要かつ相当な範囲」であり、適正な労務指導といえます 。
3. 「指導」が「パワハラ(精神的な攻撃)」へ変わる境界線
いくら職員側に問題(遅刻、ミス、規律違反)があったとしても、指導の「やり方」が社会通念を逸脱してしまえば、それはパワハラ(精神的な攻撃)と判断されるリスクがあります 。経営者や管理職が特に注意すべき「境界線」は以下の3点です。
① 人格否定や業務に関係のない暴言(アウト)
「だからお前はダメなんだ」「育ちが悪い」「給料泥棒」「辞めてしまえ」など、問題行為の指摘を超えて、職員個人の人格や存在自体を否定する言動は、いかなる理由があってもパワハラになります 。指導すべきは「行為(ミスや遅刻)」であり、「人格」ではありません 。
② 他の職員の前で見せしめのように叱責する(原則アウト)
他のスタッフや、クリニックの患者様、保育園の保護者などの前で、大声で長時間にわたり怒鳴り散らす行為は、必要性の範囲を超え、相手に過度な精神的苦痛を与える(名誉毀損や侮辱にあたる)ためパワハラとみなされやすくなります 。強い注意を行う際は、個室(面談室など)に呼んで1対1で行うのが原則です。
③ 過去の終わったミスを執拗に責め立てる(アウト)
今回の問題行為とは直接関係のない、数ヶ月前・数年前のミスまで引っ張り出してきて、「あんたはあの時もそうだった」と長時間ネチネチと責め立てる行為は、業務上の必要性を欠くため不適切です。
4. スタッフからの「ハラスメントの訴え」に法人はすべて対応すべきか?
スタッフから「上司からパワハラを受けました」「同僚からセクハラ(セクシャルハラスメント)をされています」といった訴えがあった際、法人側は「原則としてすべてに対応しなければならない」というのが結論です 。
「あの職員は被害妄想が激しいから」「ただの好き嫌いの感情論だろう」と経営陣が主観的に判断し、放置することは絶対に避けてください。
厚労省指針における「広く相談に対応する義務」
この点については、厚生労働省の指針にも明確に記載されています 。 各種ハラスメントに該当するかどうか客観的に見て微妙なケースであっても、雇用側は広く相談に対応する義務があると指摘されています 。
すべての訴えに対応すべき2つの実務的理由
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相談者本人が気づいていない「別の重大な論点」が浮上するため 当初は「上司から厳しく当たられた(パワハラ)」という相談であっても、丁寧にヒアリングや事実調査を進める過程で、「実はその管理職がシフトを不正に操作していた」「業務上横領の疑惑がある」「他の職員にも隠れてセクハラを行っていた」といった、経営上の重大な不正・リスクが発覚することが実務上よくあります 。
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放置することでハラスメントが深刻化・泥沼化するため 「大したことではない」と初期対応を怠ると、被害を訴えた職員のメンタルヘルス不調(うつ病など)を招いたり、職場全体の士気が低下して連鎖退職に繋がったりします。さらに、労働基準監督署への駆け込みや、法人を相手取った損害賠償請求訴訟など、法的トラブルへと発展するリスクが跳ね上がります 。
5. 【経営者向け】ハラスメント訴えがあった初期対応の4ステップ
もし職員からハラスメントの相談があった場合、法人は以下のステップに沿って誠実かつ迅速に対応を進める必要があります。
【ステップ 1】相談窓口でのヒアリング(プライバシーの保護)
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【ステップ 2】事実関係の調査(加害者側・第三者への確認)
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【ステップ 3】ハラスメントの有無の判定(客観的・多角的な判断)
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【ステップ 4】適切な措置と再発防止(処分、配置転換、環境改善)
ステップ 1:相談者からのヒアリング(傾聴と秘密厳守)
まずは相談者の話を丁寧に聞きます。この際、「プライバシーの厳守」と「相談したことによって不利益な扱いを受けないこと」を明確に伝え、安心感を与えます。最初から「それはパワハラじゃないよ」と否定せず、事実関係(いつ、どこで、誰に、何を言われたか)をメモに記録します。
ステップ 2:行為者(加害者とされる側)や第三者への事実調査
相談者の同意を得た上で、相手方(上司や同僚)からも話を聴取します。また、言動の目撃者がいる場合は、周囲の職員からも客観的な状況を確認します。双方の意見が食い違うことが多いため、感情論に流されず事実関係を整理することが重要です。
ステップ 3:ハラスメントの有無の客観的判断
集まった証拠や双方の主張を元に、法人の就業規則や厚労省の指針(前述の3要素)に照らし合わせ、ハラスメントに該当するかを判断します。判断が難しい場合は、顧問弁護士や社会保険労務士などの専門家に意見を求めるのが賢明です。
ステップ 4:事後措置と再発防止策の実施
ハラスメントが認められた場合は、行為者に対して就業規則に基づく処分(譴責、減給、出勤停止など)や配置転換を行います。また、ハラスメントとまでは言えない「適正な指導」であった場合でも、相談者の誤解を解き、今後のコミュニケーションの改善を促すなどのフォローが必要です。
6. まとめ:健全な職場環境と適切な指導を守るために
クリニック、介護施設、保育園を安定して経営していくためには、「問題行為への毅然とした指導」と「ハラスメントのない安心安全な職場環境」のどちらも欠かすことはできません 。
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問題社員への一定の強い注意は、業務上必要であればパワハラにはなりません。 ただし、感情的な暴言や人格否定に走らないよう、指導する側のスキルアップ(管理職研修など)が必要です 。
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職員からのハラスメントの訴えは、いかなる場合も放置せず、広く相談に対応する義務があります。
当労務管理事務所では、クリニック・介護・保育園に特化した就業規則の整備や、管理職向けのハラスメント防止研修、ハラスメント外部相談窓口の受託を行っております。「これはパワハラになる?」「問題職員への対応に困っている」という経営者・人事担当者様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
介護保険外サービスの情報を利用者や家族らへ提供する際の「手引き・ポイント集(保険外サービスを含む多様な地域資源について利用者や家族等に情報提供する際の手引き・ポイント集)」が新たに公表された。
国の昨年度の調査・研究事業(老健事業)で作成されたもの。厚生労働省は今月11日、介護保険最新情報Vol.1503で現場の関係者へ広く周知した。
手引きでは、ケアマネジャーや地域包括支援センターの専門職らに期待される役割を解説している。利用者や家族らがそのニーズに合ったサービスを適切に選択できるよう、主に以下の3点が大切だと促している。
◯ 情報収集・整理:多様な情報源からサービスの内容や料金を比較しやすい形で管理する。
◯ 情報提供と選択支援:保険内外の違いを分かりやすく説明し、複数の選択肢・解決策を示して主体的な判断を支える。
◯ 利用開始後のフォロー:定期的な聞き取りやモニタリングを通じて利用状況や満足度、生活状況の変化を確認し、継続的にフォローするよう努める。
このほか、本人の自立支援や介護予防の観点からサービスの必要性を判断する後押しも重要だと指摘した。
背景にあるのは1人暮らしの高齢者やビジネスケアラーの増加だ。ホームヘルパーなどの深刻な人材不足もあって、地域では保険外サービスのニーズが高まり続けている。一方で、利用者や家族らは保険適用の有無や事業者の違い、サービスの内容・質を判断することが難しいなど、その有効活用に向けてはまだまだ課題が多い。
厚労省は手引きで、多様なサービスの活用が利用者のQOLの向上につながると説明。ケアマネジャーを追い込む無理なシャドウワークを減らし、専門性の高い本来業務に集中できる環境の整備にも結びつくと意義を解説した。
具体的なコンテンツとしては、情報の収集・整理・提供や選択支援の流れ、留意点などを時系列でまとめた。需要の大きい「生活支援」「配食」「移動支援」「訪問理美容」の4分野については、具体的なユースケースや代表的な事業者例、現場で使えるチェックポイントなどを紹介している。
1. はじめに:人手不足の裏に潜む「採用リスク」
医療、介護、保育の現場において、人手不足は深刻な経営課題です。「一人でも多くの職員を確保したい」という切実な思いから、採用基準が緩やかになってしまったり、選考時の確認が不十分になったりするケースは少なくありません。
しかし、こうした状況を背景に、近年増えているのが「経歴詐称」を巡るトラブルです。 「以前の職場をトラブルで辞めたことを隠していた」「持っていると言っていた資格が実は嘘だった」……。発覚した時、経営者や事務局長が抱く憤りは計り知れません。
「嘘をついて入職したのだから、即刻解雇だ!」 そう考えるのは自然な反応ですが、労働法という枠組みの中では、たとえ嘘があったとしても「直ちに解雇」が認められるとは限りません。一歩間違えれば、法人側が「不当解雇」として訴えられるリスクすら孕んでいます。
本記事では、医療・介護・保育専門の社労士の視点から、経歴詐称があった場合の解雇の妥当性と、組織を守るための具体的な実務対応について詳しく解説します。
2. 経歴詐称と解雇の法的判断基準
職員の採否を判断する際、応募者の経歴は極めて重要な判断材料です。法人は「誰を雇うか」を決める「採用の自由」を持っており、その判断のために真実を申告させる権利があります。
履歴書の記載や面談での回答に虚偽があり、「もし真実を知っていたら採用しなかった」と言えるほど重大なものであれば、解雇の理由は「客観的に合理的な理由」があるとみなされやすくなります。
しかし、裁判例では「全ての詐称が解雇有効になるわけではない」という厳しい現実があります。解雇が有効になるためには、その詐称が「採用の判断にどれほど決定的な影響を与えたか」という重要性と、それによって「職場秩序がどれほど乱されたか」という程度が厳格に問われます。
主に対象となる4つのパターンから、具体的なリスクを見ていきましょう。
3. 経歴詐称の4つの類型と解雇の有効性
① 資格・免許の詐称(重要度:高)
医療・福祉業界において最も深刻なのがこれです。 医師、看護師、薬剤師、介護福祉士、保育士などの国家資格が必要な職種において、無資格であるにもかかわらず資格を偽った場合、これは単なる「嘘」に留まりません。
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リスク: 無資格者による業務提供は法律違反であり、診療報酬や介護報酬の不正受請求、さらには行政処分や実地指導での全額返還へと直結します。
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判断: この場合の解雇は、有効とされる可能性が極めて高いといえます。業務遂行の前提条件を欠いているため、雇用の継続は不可能と判断されるからです。
② 職歴の詐称(重要度:中〜高)
「転職回数が多いと不利になるから隠す」「前職を能力不足や素行不良(ハラスメント等)で懲戒解雇されたことを隠す」といったケースです。
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リスク: 医療・介護現場はチームケアが基本です。前職でのトラブル隠しは、現場の人間関係を崩壊させる火種となります。
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判断: 単なる数ヶ月の期間のズレなどは「軽微」とみなされがちですが、懲戒解雇歴の隠匿や、重要な役職経験の捏造(例:施設長経験があると偽る)などは、重大な詐称として解雇が認められる可能性があります。
③ 学歴の詐称(重要度:低〜中)
かつては「高卒を大卒と偽る」ことが重い詐称とされましたが、実務能力重視の昨今では、学歴だけで解雇を有効にするのは難しくなっています。
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リスク: 学歴によって初任給や手当が細かく規定されている法人の場合、不当に高い賃金を支払わされることになります。
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判断: 給与計算の根拠が学歴に依存しており、それによって大きな賃金格差が生じていた場合、秩序を乱したとして懲戒対象になる可能性はありますが、解雇まで認められるかは慎重な判断が必要です。
④ 犯罪歴の隠匿(重要度:ケースバイケース)
意外かもしれませんが、犯罪歴があることだけをもって直ちに解雇できるわけではありません。
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判断: 裁判例では、刑の執行から10年以上経過している場合や、業務と無関係な軽微な罰金刑などは、告知義務がない、あるいは解雇理由として不十分とされる傾向があります。
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特例: ただし、保育現場での児童性犯罪歴や、高齢者施設での虐待・窃盗歴など、「対象となる利用者への安全確保に直結する職歴・犯罪歴」については、より厳しく判断される傾向にあります。
4. 医療・介護・保育現場だからこそ問われる「管理責任」
一般企業と異なり、私たちの業界には「公費」が投入されています。 もし経歴詐称(特に資格や職歴)を見逃したまま雇用を続け、現場で事故が起きた場合、法人が受けるダメージは「解雇の有効性」というレベルでは済みません。
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利用者・家族からの訴訟: 「資格のない人間にケアをさせていたのか」という追及。
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行政処分: 指定取り消しや加算の返還。
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社会的信用の失墜: 地域での評判が悪化し、採用難に拍車がかかる。
だからこそ、経歴詐称への対応は単なる「不誠実な職員の排除」ではなく、「法人のガバナンス(統治)と利用者の安全を守るための必須業務」なのです。
5. トラブルを未然に防ぐ「3つの防衛策」
発覚してから解雇を争うのは、多大な時間と労力、そして弁護士費用を要します。最初から「嘘をつかせない」「嘘を見抜く」体制を作ることが最善の策です。
防衛策1:エビデンス(証拠)確認の徹底
「原本」の確認を徹底してください。
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資格証の確認: コピーではなく原本を持参させ、裏書き(更新履歴)まで確認します。必要に応じて、厚労省のデータベース等で登録番号を照合します。
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離職票・年金手帳の確認: 入社手続き時に提出される書類の履歴と、履歴書の職歴が合致しているか、事務担当者が必ずクロスチェックを行います。
防衛策2:採用選考の精度向上
面接だけでは嘘を見抜くのは困難です。
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リファレンスチェックの検討: 本人の同意を得た上で、前職に勤務状況を確認する。
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実技試験の導入: 介護現場なら移動介助、保育現場ならピアノや読み聞かせなど、短時間の「実技」を取り入れるだけで、職歴詐称(未経験なのに経験者と偽る等)は一目で見抜けます。
防衛策3:入職時のリーガル・セットアップ
万が一の時に「解雇の正当性」を主張できるよう、仕組みを整えます。
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誓約書の提出: 「提出書類の内容に相違ないこと」「虚偽があった場合は解雇を含む懲戒処分に異議を唱えないこと」を明記した誓約書を入職時に取ります。
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就業規則の整備: 懲戒規定の中に「重要な経歴を詐称して採用されたとき」を明確に盛り込み、具体的な懲戒の種類を定めておきます。
6. まとめ:専門家の視点をバックオフィスに
経歴詐称が発覚した際、感情的に「明日から来なくていい」と伝えてしまうのが、最も危険な初動です。たとえ相手に非があっても、手続きを誤れば「解雇権の濫用」となり、多額の解決金を支払う羽目になりかねません。
まずは、その詐称が業務にどのような影響を及ぼすのかを冷静に分析し、就業規則に基づいた正しいステップ(事情聴取、弁明の機会の付与など)を踏むことが重要です。
私たち「社労士法人ヒューマンスキルコンサルティング」は、医療・介護・保育業界に特化した人事労務のプロフェッショナルとして、数多くの現場トラブルを解決してきました。
私たちのBPOサービスでは、給与計算などの事務代行だけでなく、こうした「入職時のリスク管理」や「就業規則の運用サポート」をセットで提供しています。事務局の負担を減らしつつ、法人のガバナンスを強化したい経営者の皆様、ぜひ一度ご相談ください。
「正しい採用」が「質の高いケア」を生み、それが「健全な経営」へと繋がります。あなたの法人のバックオフィスを、リスクに強い、創造的な組織へと変えていきましょう。
執筆者:社労士法人ヒューマンスキルコンサルティング 代表 林 正人 (医療・介護・保育専門社会保険労務士)
厚生労働省は28日、「介護情報基盤(*)」を導入する事業所を後押しする助成金の今年度の支給について、5月7日(木)から申請の受け付けを開始するとアナウンスした。
* 介護情報基盤=介護保険証や要介護認定、主治医意見書、ケアプラン、LIFEデータといった現場で必要な情報を、利用者、事業所、医療機関、市町村などがオンラインで迅速に閲覧・共有できる新たなインフラ。厚労省は今年度から活用を順次スタートし、2028年4月までに全国すべての市町村で運用を始める準備を進めている。
介護保険最新情報のVol.1497で現場の関係者へ広く周知している。
昨年度に続いて実施される支援策で、申請期間は5月7日から来年3月12日(金)まで。厚労省は「介護情報基盤ポータル」経由で申請を受け付ける。「予算には限りがあるのでぜひ早めの申請を」と呼びかけている。
対象経費は、カードリーダーの購入費や介護情報基盤との接続サポートに要する費用など。「ケアプランデータ連携システム」の接続サポートを一体的に受ける場合も対象となる。
助成金の上限額(消費税分を含む)はサービス種別ごとに設定されている。以下の通りだ。
▽ 訪問・通所・短期滞在系=最大6.4万円(カードリーダー3台まで)
▽ 居住・入所系=最大5.5万円(同2台まで)
▽ その他=最大4.2万円(同1台まで)
同一の事業所で複数のサービスを提供している場合は、それぞれの限度額を合算することが可能。申請の詳細は「介護情報基盤ポータル」で確認できる。
2027年度介護保険法改正・報酬改定に向け、いよいよ議論が開始
2025年12月25日に介護件部会から報告書「介護保険制度の見直しに関する意見」が公表され、いよいよ具体的な各論についての深い議論が行われる「介護給費費分科会」が開始となった2026年4月27日。2027年度の法改正・報酬改定の動向が気になる皆様にとっては今後、要注目の会となる訳ですが、初回の会議では「令和8年度介護従事者処遇状況等調査の実施について(案)」「令和8年度介護従事者処遇状況等調査調査票(案)」「介護分野の最近の動向」そして「令和9年度介護報酬改定に向けた検討の進め方について」計4種類の資料をもとに議論が進みました。今回のニュースレターにおいてはその中から、大枠ながらも今後の議論の全体像がイメージしやすい「令和9年度介護報酬改定に向けた検討の進め方について(以下、「本資料」と表記)」の資料の内容について皆様にお届けしてまいります。
「令和9年度介護報酬改定に向けた検討の進め方について」に記載された内容とは
では、早速、中身を確認してまいりましょう。以下は本資料に記載されたすべての内容をそのまま反映しています。先ずは、前回の法改正に関する総括・論点整理についてです(重要と思われる部分については下線を引いています。以下、同じ)。
○ 令和6年度介護報酬改定においては、いわゆる団塊の世代がすべて 75 歳以上となる 2025 年を見据え、診療報酬との同時改定であること等を踏まえ、以下の4つの項目を柱とし、改定を行った。
1.地域包括ケアシステムの深化・推進
2.自立支援・重度化防止に向けた対応
3.良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
4.制度の安定性・持続可能性の確保
次に、昨年度、2027年度報酬改定を待たずに今年度(2026年度)から先行して開始された処遇改善、及び食材料費の緊急対応に関するあらためての確認についてです。
〇 また、「「強い経済」を実現する総合経済対策」(令和7年 11 月 21 日閣議決定)において、「介護分野の職員の処遇改善については、累次の取組を講じてきた結果、介護職員の賃金は改善してきたものの、他産業とはまだ差があり、人材不足が厳しい状況にあるため、他職種と遜色のない処遇改善に向けて、令和8年度介護報酬改定において、必要な対応を行う」とされたことを踏まえ、令和9年度介護報酬改定を待たずに期中改定を実施し、介護分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善に向けた措置に加え、近年の食材料費の上昇を踏まえた緊急的な対応として、食費の基準費用額の引上げを行うこととした。
上記を踏まえ、令和9年度報酬改定に向けた大枠の概念が下記の通り示されています。
○ こうした状況を踏まえれば、令和9年度介護報酬改定においては、介護分野の賃上げ、経営の安定、離職防止、人材確保を図る必要があるとの認識のもと、介護サービス事業者の経営状況等について把握した上で、物価や賃金の上昇等を適切に反映するための対応を実施する必要がある。
一方、報酬改定面だけでなく、法改正全体に関する基本的な考え方や方向性、及び議論すべき論点についての記載も為されています。
○ その上で、令和9年度介護報酬改定に向けては、65 歳以上の高齢者数がピークを迎え介護と医療の複合ニーズを抱える 85 歳以上人口も増加する 2040 年を見据えつつ、自治体・地域の規模によって、高齢化や人口減少のスピードには大きな差が生じることが見込まれ、サービス需要の変化が様々となり、地域の実情に応じたサービス提供体制を構築していくことが重要であることや、介護保険制度の持続可能性を確保するために介護給付の効率化・適正化に取り組む必要があることなどを踏まえ、令和6年度及び令和8年度の介護報酬改定に関する審議報告並びに令和7年の社会保障審議会介護保険部会意見書における指摘などに基づき、各サービスの論点とあわせ、例えば以下のような分野横断的なテーマを念頭に置き、議論してはどうか。
・人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築
・地域包括ケアシステムの深化
・介護人材確保に向けた処遇改善等と職場環境改善やケアの質の向上に向けた生産性向上等
・制度の安定性・持続可能性を確保する報酬の在り方
※今後議論を進める中で変更することは想定される。
最後に、上記議論を進行していく上での今後のスケジュール感についてです。
【スケジュール案】
令和8年
4月~夏頃 : 主な論点について議論
事業者団体等からのヒアリング
10~12 月頃 : 具体的な方向性について議論
12 月中 : 報酬・基準に関する基本的な考え方の整理・とりまとめ
※地方自治体における条例の制定・改正に要する期間を踏まえて、基準に関しては先行してとりまとめを行う。
令和9年度政府予算編成
令和9年
1月頃 介護報酬改定案 諮問・答申
議論のプロセスから関心を持って情報を追いかけておくことが大切
以上、今回は4月27日の給付費分科会の内容から、1つの資料に絞って内容をお届けしてまいりました。上記の通り、今後は2026年末~2027年初めに向けて様々な議論が展開される訳ですが、介護経営者としてはそれら全体に目を通す中、「こうなるかもしれない」という最終的な結論だけでなく、「何故このような改正が行われる可能性が高いのか?」という、文字の裏に潜む意図や背景、メッセージを温度感も含めて理解する姿勢がますます求められることと思います。その意味においても早め早めに情報をキャッチアップし、頭の中で“PDCA”を回しつつ、「もし上記が実行された場合、自社にはどのような影響が出てくるか?」「それら想定される影響に対し、どのような対応を行う事が最適なのか?」等々、幹部育成の視点も含め、そのような議論を社内で始めていかれる事を是非、おススメする次第です。
私たちも今後、有益な情報を入手出来次第、どんどん情報を発信してまいります。
※本ニュースレターの引用元資料はこちら
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第256回社会保障審議会介護給付費分科会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_72489.html





