介護
「補正予算補助金」Q&A(第2版)が2026年3月13日に公表
介護職員の賃上げに向けて支給される、今年度の補正予算による補助金。1月21日に公表済みの第1版をベースとして、一部の項目を追記・更新する形で第2版のQ&Aが3月13日に公表されました。全部で22問の問いが記載されていた本Q&Aの約半分ほどの13問を抜粋し、内容について確認してまいります。
(問)
介護サービス事業所等からの計画書及び実績報告書の提出受付開始時期・提出期限はいつか。
(答)
各書類の提出受付開始時期・提出期限については、各都道府県において、事業スケジュールを踏まえ、適切に設定することとしている。
(問)
法人本部の人事、事業部等で働く者など、介護に従事していない職員について、補助額に基づく賃金改善や職場環境改善の対象に含めることは可能か。
(答)
法人本部の職員については、補助金の対象である介護サービス事業所等における業務を行っていると判断できる場合には、賃金改善や職場環境改善の対象に含めることができる。補助金の対象となっていない介護サービス事業所等の職員は、本補助金を原資とする賃金改善や職場環境改善の対象に含めることはできない。
(問)
代表取締役等の役員等が、その事業所の職員として介護サービスを提供している介護サービス事業所等(例えば、職員が一人であり、ケアプラン作成業務を代表取締役等の役員等が行っている指定居宅介護支援事業所など)について、当該役員等を補助金による賃金改善の対象に含めることができるか。
(答)
・補助金の申請対象となる介護サービス事業所等における業務を行っていると判断できる場合には、本補助金を原資とする賃金改善の対象に含めることができる。
・そのため、職員が一人であり、ケアプラン作成業務を代表取締役等の役員等が行っている居宅介護支援事業所などについても、補助金を申請し、当該役員等を補助金による賃金改善の対象に含めて差し支えない。
(問)
本事業における補助対象経費は、賃金改善経費と職場環境改善等経費の2種類があるが、国保連が交付事業所等に対し補助額を通知する際は、補助額の総額のみが示される。本事業においては、実績報告書の提出の際に、「賃金改善の所要額」が、「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」以上となっていることを確認する必要があるが、介護サービス事業所等及び都道府県において、どのように「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値を確認するのか。
(答)
介護サービス事業所等の事務負担を軽減する観点から、「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値は、介護サービス事業所等が交付を受けた補助額に、介護サービス事業所等が交付を受けた補助額の交付率を分母とし、交付率のうち賃金改善経費分の交付率を分子とした割合を乗じて算出した額(1円未満の端数は四捨五入。)をもって確認することとする。
なお、各サービスにおける交付率と、そのうち賃金改善経費分の交付率については、実施要綱別紙1表1から表3までに記載されているとおり。上記方法により算出された「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値が、別紙様式3-2の「①+②(賃金改善経費分)」の欄に表示される。
(問)
「厚生労働省がケアプランデータ連携システムと同等の機能とセキュリティを有するシステム」とは、どのシステムのことか。
(答)
「居宅介護支援費に係るシステム評価検討会」において、ケアプランデータ連携システムと同等の機能とセキュリティを有するシステムとして認められたシステムを指す。
令和8年3月13日現在では、
・カナミッククラウドサービス(株式会社カナミックネットワーク)
・ケアプランデータ連携サービス(株式会社富士通四国インフォテック)
・「でん伝虫」データ連携サービス(株式会社コンダクト)
・まめネット ケアプラン交換サービス(特定非営利活動法人 しまね医療情報ネットワーク協会)
が該当しているが最新の認定状況については、ホームページ(※)にてご確認されたい。
※ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44833.html
(問)
医療・介護サービスどちらも提供している訪問看護ステーションについて、医療分野の賃上げ支援補助金と本補助金の双方を申請することは可能ということか。
(答)
貴見のとおり。
(問)
補助対象経費として「研修費」とあるが、どの範囲までを「研修費」として取り扱って良いのか。
(答)
研修に要する費用として切り分けられるものであれば、対象経費として充当できる。この際、職場環境改善に資する研修であれば幅広に対象とすることができるが、基準上取り組むことが義務づけられているものであって、かつ、職場環境改善とは趣旨が異なる研修に要する費用について、本補助金を充てることは、補助金の趣旨とは異なると考えられる。
(問)
補助対象経費の使途として「介護助手等の募集経費」とあるが、どのような経費が対象となるのか。
(答)
主な使途として、求人広告に係る費用や、求人チラシを印刷する費用等を想定しているが、人材紹介会社の紹介手数料についても、対象経費とすることが可能。ただし、すべて介護助手等の募集に係る経費に限る。
(問)
職場環境改善経費について、介護助手等を募集するための経費や研修費以外に、どういった経費が対象経費として含まれるのか。
(答)
職場環境改善経費については、介護助手等を募集するための経費又は職場環境改善等のための様々な取組を実施するための研修費に充当することを基本とするが、補助金の要件としている「介護職員等の業務の洗い出しや棚卸しなど、現場の 課題の見える化」、「業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち 上げ又は外部の研修会の活動等)」又は「業務内容の明確化と職員間の適切な役割 分担(介護助手の活用等)の取組」に関する取組を実施するために要する費用のうち、介護テクノロジー等の機器購入費用ではないもの(専門家の派遣費用、会議費等)に充当することも可能である。その他の職場環境改善に要する費用全般に充当することは想定していない。
(問)
職場環境改善経費については、通知において、「介護テクノロジー導入・協働化等支援事業の対象経費(介護テクノロジー等の機器購入費用)に充当することはできない。」とされているが、介護テクノロジー導入・協働化等支援事業の対象経費であるか否かに関わらず、介護テクノロジー等の機器購入費用に充当することはできないということか。
(答)
貴見のとおり。
(問)
法人単位での申請は可能か。
(答)
補助金の申請は介護サービス事業所等が所在する都道府県ごとに行う必要がある。同一都道府県内に所在する介護サービス事業所等について、同一の計画書を用いて、法人単位で申請することができる。都道府県ごとに振込先の指定方法等が異なる場合もあることから、補助金の計画書は各都道府県から示されたものを用いること。
(問)
計画書において、③部分の補助金の使途について、「職場環境改善経費への充当」のみ選択していた場合であっても、その後の実施状況において「賃金改善の実施」 を行った場合、実績報告においては「C 職場環境改善の所要額((ア)~(ウ) の合計)」に加えて「B 賃金改善の所要額」に③部分の補助額を記載して報告をすることは可能か。
(答)
貴見のとおり。既に計画書を都道府県に提出しており、計画書提出時点で想定していた使途をやむを得ず変更する必要がある場合であっても、事務負担を鑑み、都道府県への計画書の再提出を一律に求めないこととする。
(問)
本事業に加え、重点支援地方交付金による中小企業・小規模事業者の賃上げ環境整備事業を活用することは可能か。
(答)
同じ経費について、複数の補助金による補助を受けることは認められないが、両方の活用(※)は可能。
※ 例えば、本事業による賃上げ等の金額への上乗せや、本事業の支援対象者や対象経費を広げる横出しとして交付金を活用するといった方法が考えられる。
職員の「感情」を理解しつつ、有益な取り組みの展開を
以上、今月のニュースレターでは公表されたQ&A全22問の中から13問を抜粋し、採り上げさせていただきましたが、お時間がある際に是非、下記URLにアクセスし、必ず全体に目を通していただきたく思います。どこにウェイトを置き、どのような配分のもと、どのような活用を企画するか・・・・?この点については各法人の置かれている状況によって大きく異なるかと思います。その意味でも現状を冷静に分析しつつ、法人にとっての本質的な改善につながることは勿論、現状だけでなく未来を見据えた視座から打ち手を検討いただきたいな、と感じる次第です。
※本ニュースレターの引用元資料はこちら。
https://www.mhlw.go.jp/content/001673832.pdf
■もはや「選ばれるための必須要件」になっている
「人数が増えてきて目が届かなくなってきたから、そろそろ人事評価制度を入れよう」
以前はこのように考えられることが多かったかもしれません。ところが、いまや状況は大きく変わってきています。
学校のキャリアセンター(昔は就職課といっていました)では、就職先の企業に人事評価制度があるかどうかが重要確認項目になっています。
ハローワークなどでも「地域」「給与」などというような条件とともに人事評価制度の有無も確認事項になってきているのです。
つまり、人事評価制度は「あったらいいもの」から「選ばれるための必須要件」になってきているということなのです。
■「採用」に有利――見えるスペックとしての人事制度
募集をしても人が来ない、採用ができない―――。
未曾有の人材不足の時代、どの企業でも抱えている重要な問題ではないでしょうか。
採用時、求職者はまだ会社の中身を詳しくは知りません。
ですから、給与額、休日日数、労働時間といった「見えるスペック」で判断せざるを得ないのです。
そして、その「見えるスペック」のひとつとして「人事評価制度があるかどうか」が大きな判断材料になってきているのです。
人事制度があるということは、「この会社は自分の成長やキャリアを考えてくれている」「頑張りをちゃんと認めてくれる仕組みがある」というメッセージになります。
■「定着」に効果――動機づけ要因として機能する
実は「採用」と「定着」に影響を与える取り組みは、同じような内容と思われがちですが、実はちょっと違ったりします。
ハーズバーグの2要因理論というものをご存じでしょうか。
人のモチベーションには「衛生要因」と「動機づけ要因」の二つがある、というものです。
「衛生要因」とは、給与、労働時間、休日といった条件面のこと。これらは欠けてしまうと一気に不満足になってしまいます。採用時には非常に重要な「見えるスペック」です。
しかし、どれだけ良い条件にしても、それは大きな満足にはならず、それがまた基準となって引き下がると不満になってしまう――――そういう性質のものなのです。
一方で「定着」には「動機づけ要因」が重要になります。
頑張ったら上司、会社から承認される。ここにいたら成長できる。目標の達成感がある。責任のある役割を与えられたり、頼りにされる――――。
これらの「動機づけ要因」は足りなくても不満の声は上がってきませんが、満足度は引きあがらないのです。
どんなに左の「衛生要因」を整備して人を採用しても、右の「動機づけ要因」がないと、人は辞めていってしまうかもしれません。特に前向きで成長意欲のある人から。
そして、この右の「動機づけ要因」は、ほとんどが「人事評価制度」を適切に運用することで大きな影響を与えることができるのです。
「人事評価制度」があることが、採用にも定着にも非常に重要なのですね。
■「将来を見せる」ことができる――不安を安心に変える
人事評価制度があるということは、社員に「将来を見せる」ことができるということでもあります。
「この会社で頑張っていったら、自分はどうなれるのか」「どういうキャリアを歩めるのか」――――。
等級制度があれば、どのような役割を担っていけば次のステップに進めるのかが明確になります。
評価制度があれば、何を頑張れば認められるのか、どんなスキルを身につければ成長できるのかが見えてきます。
賃金制度があれば、頑張った結果がどのように給与や賞与に反映されるのかがわかります。
この「見える化」が、社員の不安を安心に変えるのです。
逆に、人事制度がないとどうなるでしょうか。
「頑張っても認められるかどうかわからない」「この会社にいても将来が見えない」――――。
そう思われてしまったら、優秀な人ほど他の会社に目を向けてしまうかもしれません。
■データが証明する人事制度の効果
実は中小企業庁が興味深いデータを出してくれています。
2015年と2020年を比較した売上増加率を、人事評価制度の有無別に見たもの。
やはり人事評価制度のあるところの方が業績は上がっているという結果が出ているのです
考えてみれば当然でしょうか。
会社目標に向かって個人が目標を立て進んでいく、求める人材像を明確にして、それを伸ばして人材育成を行なっている――――。
当然差が出てくることでしょう。
■いまこそ、人事制度という武器を
人事評価制度は、もはや「あったらいい」ものではなく、企業規模にかかわらず必須のものになってきています。
採用においても、定着においても、人材育成においても。
そして業績向上においても。
人事制度があることは、大きな武器になるのです。
いま、この武器を手にしていますでしょうか。
それとも、これから手にしていくところでしょうか。
はじめに
「管理監督者だから残業代は不要」
このような理解で運用している事業所は、介護・保育・クリニック業界において非常に多く見受けられます。しかし、これは大きなリスクを孕んでいます。
労働基準法における管理監督者は、単なる役職者ではなく、極めて限定的に認められる存在です。誤った運用は未払い残業代請求や労働基準監督署の是正勧告につながるため、正しい理解と実務対応が不可欠です。
本コラムでは、現場で頻発する問題点と、その具体的な対応策を解説します。
管理監督者とは何か(基本整理)
労働基準法第41条における管理監督者は、以下のような特徴を持つ者を指します。
- 経営者と一体的な立場にある
- 労働時間の裁量がある
- 重要な人事・経営判断に関与する
- 賃金面で優遇されている
重要なのは、「肩書きではなく実態」で判断される点です。
現場で多い3つの誤解
①「管理職=管理監督者」という誤解
例えば、以下のようなケースです。
- 介護施設のフロアリーダー
- 保育園の主任保育士
- クリニックの看護師長
これらは一般的に「管理監督者」とは認められないケースが多いです。理由は、経営判断権限が限定的であるためです。
②タイムカード管理をしている
管理監督者であれば、本来「厳密な労働時間管理」は不要です。
しかし実務では
- 出退勤時刻が厳格に管理されている
- 遅刻・早退で給与控除がある
このような状態であれば、労働者性が強く、管理監督者とは認められにくくなります。
③賃金が一般職と大差ない
管理監督者には、以下が求められます。
- 役職手当が十分に高い
- 年収ベースで一般職より明確に上位
例えば、
「月2万円の役職手当のみ」
では、管理監督者性は否定される可能性が高いです。
実務上の典型的トラブル事例
事例①:訪問介護事業所のサービス提供責任者
サービス提供責任者を「管理監督者」として残業代未払いとしていたが、以下の理由で否認。
- シフトに完全拘束
- 採用権限なし
- 利用者対応中心
結果:過去2年分の残業代支払い
事例②:保育園の主任保育士
主任であることを理由に残業代不支給としていたが、
- 園長の指示に従うのみ
- 労働時間の自由なし
結果:労基署是正+職員の不信感増大
事例③:クリニックの事務長
名ばかり事務長で実態はプレイヤー業務中心
- レセプト業務に従事
- 医師の指示に従属
結果:未払い残業代+退職後請求
管理監督者が否認されるリスク
管理監督者として認められなかった場合、以下のリスクがあります。
- 未払い残業代(最大3年分)
- 付加金(同額)
- 労基署の是正勧告
- 採用・定着への悪影響
特に介護・保育業界では「人材不足」が深刻であり、信頼低下は致命的です。
実務対応策(重要ポイント)
①「管理監督者にするか」を再検討する
結論として、以下の職種は原則対象外と考えるべきです。
- サ責(サービス提供責任者)
- 主任保育士
- 看護師長(小規模クリニック)
無理に管理監督者扱いをするよりも、「適切に残業代を支払う」方がリスクは低いです。
②要件を満たす場合の制度設計
本当に管理監督者とする場合は、以下を整備します。
・権限の付与
- 採用・評価への関与
- シフト決定権
- 業務指示権
・労働時間の自由度
- 出退勤の裁量
- 遅刻早退の不問
・待遇の引き上げ
- 年収で明確な差をつける
- 役職手当の増額
③代替制度の活用
現実的には以下の方が有効です。
・固定残業代制度
一定時間分の残業代をあらかじめ支給
・役職手当+残業代支給
管理職としての処遇をしつつ法令順守
・変形労働時間制
介護・保育では特に有効
④就業規則の見直し
重要なチェックポイント
- 管理監督者の定義が曖昧
- 実態と規定が不一致
- 手当の根拠が不明確
これらはトラブルの原因となります。
介護・保育・クリニック特有の注意点
人手不足による「名ばかり管理職」
現場ではプレイヤー業務が中心になりがちです。
これにより、管理監督者性が否定されやすくなります。
感情トラブルへの発展
未払い残業は単なる金銭問題ではなく、
- パワハラ認定
- 退職トラブル
に発展するケースもあります。
まとめ
管理監督者制度は「便利な残業代回避手段」ではありません。
むしろ、誤った運用は大きな経営リスクとなります。
特に重要なポイントは以下の3点です。
- 肩書きではなく実態で判断される
- 権限・裁量・待遇の3要素が必須
- 無理に適用せず代替制度を検討する
最後に(専門社労士からの提言)
介護・保育・クリニック業界では、「現場優先」の文化から制度設計が後回しになりがちです。
しかし、これからの時代は
「労務管理=採用力」
です。
管理監督者の適正運用は、単なるコンプライアンスではなく、
人材定着と経営安定の基盤となります。
一度、自社の管理職の実態を見直してみることを強くお勧めします。
全国の事業所で「ケアプランデータ連携システム」の普及が一気に加速している。
新たな補助金や新年度の介護報酬の臨時改定がトリガーになった。訪問介護や通所介護、居宅介護支援などの「処遇改善加算」の取得要件に、その利用が明確に位置付けられたことで先行きも決まった。今後、在宅領域ではケアプー対応がマストになる。
ただ、実際に導入したものの「従来の業務慣習から脱却できない」「現場の負担が減らない」と戸惑う事業所は少なくない。持てる機能を有効に使い、真の生産性向上につなげるためには何が必要か。
ケアプー活用で内閣総理大臣表彰も受けた株式会社トライドマネジメントの長谷川徹代表に聞いた。
顕在化する生産性の二極化
「幅広い介護従事者を対象とする形で、新年度から処遇改善加算が拡充されるインパクトは非常に大きい」
長谷川代表は新年度の臨時改定をこう評価した。処遇改善加算の取得要件を満たす最適解は、もはや「ケアプー一択」と言っても過言ではない。
しかし、その「導入」は単なる通過点に過ぎない。何より大切なのは、これから全国で本格稼働されていく「介護情報基盤(*)」への対応を含め、ケアプーをうまく「利用」していくことにほかならない。
* 介護情報基盤=介護保険証や要介護認定、主治医意見書、ケアプランといった現場で必要な情報を、利用者、事業所、医療機関、市町村などがオンラインで迅速に閲覧・共有できる新たなインフラ。厚労省は今年4月から活用を順次スタートし、2028年4月までに全国すべての市町村で運用を始める準備を進めている。
注)この記事では配信当初、上記の補足説明中の記載が「来年4月から活用を順次スタート」となっておりましたが、正しくは「今年4月から活用を順次スタート」でした。お詫びして訂正いたします。この記事はすでに訂正を反映済みです(2026年3月23日14時04分)。
「今ここで、ケアプーを導入するにあたって四苦八苦している事業所は、少し取り組みのスピードを上げた方がいいかもしれない」
長谷川代表は警鐘を鳴らす。地域では事業所間のデジタル格差が広がり、生産性の二極化が進行している。この地平の先で、時代の変化を前に立ち止まったままの事業所が淘汰されていく未来を予見し、「あまり猶予はない」という焦燥感を強めているようだった。
「土台がなければ進まない」
ケアプーの有効活用に向けて、長谷川代表は真っ先に必要なことに「対話」をあげた。
「なぜ導入しなければならないのか」「これからどうなりたいのか」
現場と徹底的に話し合う場を持つべきだという。
経営層が現場にタスクを与え、「これやっといて」と指示するだけの手法は通用しない。自ら現場に入り、旗振り役として積極的にコミュニケーションの機会を設けることが不可欠だ。
長谷川代表は「業務フローの転換はデジタル化と捉えられがち。もちろん間違いではないが、実はローカルの準備、環境整備といった土台がなければ進まない」と語る。
業務フローの転換は、とりわけその初期に必ず一定の負担を伴う。新たなシステムの導入などでやり方を変えれば、どうしても一時的に生産性が低下してしまう。
必然的に、職員はこれを「忙しいのに仕事が増えた」と捉える。取り組みを敬遠したり先送りしたりするほか、「無駄だ」「意味がない」などと強調することもある。
生産性を向上させたその先に、自分にどんな見返りがあるのか。もっと仕事をさせられるだけではないか。ここが不明確だと真剣に取り組まない職員もいる。
つまり、現場への丸投げで業務フローをうまく転換させることは難しい。経営層が明確な意思と方向性を示し、事業所内の共通理解を醸成していかなければならない。
ケアプーの場合、相手の事業所の対応状況も大きく影響する。こちらがデータで送っても、先方が紙で返してくることも「あるある」だ。長谷川代表は、「環境が十分に整うまではどうしても一定の時間がかかる。ここを無駄にせず、自社の業務フローをしっかり再構築する備えをしておくといい」と呼びかけた。
新たな仕組みがうまく回り始めれば効果は絶大だ。トライドマネジメントでは、利用者数が増えているにもかかわらず、FAX送信にかかる時間が月5時間弱から2時間弱へと大幅に短縮された。
長谷川代表は、「自社の課題解決にも合っているツールだと思ったし、厚生労働省や国保中央会というキーワードが出てくる以上、このツールが時代を変えることは間違いないと確信した。ケアプーのメリット・デメリットを分析しながらもこのツールを軸に、数ヵ月をかけて、どうすれば効率の良い業務フローが作れるかを、スタッフみんなで考えて実践した結果、次々と成果につながっていった」と笑顔を見せた。
ケアプーでは様々な書類を.pdfや.jpgなどで送受信するため、これを適切に保存することが不可欠となる。全て紙に印刷し、それぞれファイルに綴じるといった方法を抜本的に変えなければならない。
このため、多くの事業所がクラウドストレージを使うようになる。トライドマネジメントでは、事業所番号の記載やタグ付けなどのルールで必要な書類をすぐに引き出せる環境を作っており、これも業務負担の軽減につながっているという。長谷川代表は、ファイル管理の工夫も中長期的には重要な運用ポイントになると指摘した。
あるべき姿のために
まださほど多くはないが、一部の市町村では新年度から介護情報基盤の運用がスタートする。これが全国で始まると、また新たな業務フローへの転換がすべての事業所に求められるようになる。
新年度の処遇改善加算には「誓約」などの経過措置があるが、今なお猶予期間がたっぷりあるかと言うとそうでもない。ケアプーの有効活用を早めに実現しないと、その先の対応がすべて後手後手に回ってしまうリスクが高い。
長谷川代表は、「介護情報基盤の本格運用(2028年度から)を見据えると、さすがにもう時間が少なくなってきた。今のうちから対話を重ね、しっかりとした土台を作っていくことが欠かせない」との認識を示した。その上で「そうした取り組みはやがて事業所の成長につながり、地域の高齢者を支えることに結びつく」と呼びかけた。
2026年6月施行予定の介護報酬改定は、「処遇改善加算の抜本的強化」を中心とした異例の期中改定として位置付けられています。人材不足が深刻化する中で、単なる賃上げではなく「人材確保と定着を両立させる制度」へと大きく進化しています。
1.最大月額1.9万円の賃上げインパクト
今回の改定では、介護従事者全体に対して月額1万円のベースアップを基本とし、生産性向上等の取り組みに応じて最大1.9万円まで引き上げる設計となっています。
これは従来の「一部職種・一部配分」から脱却し、業界全体の底上げを狙ったものです。特に重要なのは、「加算額=賃上げ原資として確実に充当」が原則化された点であり、経営判断の自由度はむしろ制限されています。
2.対象の拡大:介護職員から“介護従事者”へ
最大の制度変更は、対象範囲の拡大です。
従来の「介護職員中心」から、事務職や補助職も含む介護従事者全体へと広がりました。
さらに、これまで対象外だった
・居宅介護支援
・訪問看護
・訪問リハビリ
などにも加算が新設され、サービス横断型の処遇改善制度へと進化しています。
これは、現場のチームケアの実態に即した制度設計と言えます。
3.生産性向上との連動が鍵
今回の改定で最も重要なキーワードが「生産性向上」です。
ICT導入や業務効率化を進めた事業所には、
・訪問介護:最大28.7%
・通所介護:最大12%
といった高い加算率が適用されます。
つまり今後は、
「人件費を上げるために生産性を上げる」構造が制度として明確化されました。
これは裏を返せば、
・ICT未導入
・アナログ運営
・非効率なシフト
のままでは、加算の取りこぼしが発生することを意味します。
4.2027年改定への“布石”としての位置付け
今回の改定は単発ではなく、2027年度の本格改定への準備段階とされています。
したがって、短期的な対応ではなく、
・人事制度
・評価制度
・賃金体系
を含めた「構造改革」が求められます。
5.社労士視点:今後の実務対応のポイント
介護事業所が取るべき実務対応は以下の5点です。
① 配分ルールの明確化
・基本給への反映か
・手当配分か
・賞与対応か
→「見える賃上げ」にしなければ離職防止効果は薄い
② キャリアパス要件の再設計
処遇改善加算は引き続き
・キャリアパス
・研修制度
・昇給ルール
が必須です。
→ 名ばかり制度では監査リスクあり
③ ICT・DX投資の意思決定
・見守り機器
・記録システム
・ケアプラン連携
→ 加算取得の前提条件化
④ 全職種型人事制度への移行
対象拡大により、
「介護職中心の制度」は限界
→ 事務・リハ・看護を含めた統合設計が必要
⑤ 採用戦略との連動
「処遇改善=採用ツール」として活用
→ 求人票・LPでの訴求が重要
6.まとめ:処遇改善は“経営改革ツール”
2026年改定の本質は、単なる賃上げではありません。
✔ 人材確保
✔ 生産性向上
✔ 組織改革
これらを同時に進めるための政策です。
したがって今後は、
「加算を取るかどうか」ではなく
「どう活かして経営を変えるか」
が問われる時代になります。
新年度の介護報酬の臨時改定で拡充する「処遇改善加算」について、厚生労働省は19日、申請に欠かせない計画書の記入方法を解説する動画をYouTubeの公式チャンネルに投稿した。
動画は約9分。全4シートからなるエクセル様式の具体的な入力手順を解説している。まずは「基本情報入力シート」から、4・5月分の個表、6月以降分の個表と続き、最後に総括表をまとめるプロセスが提示されている。
フォーマットは、必須の入力項目が自動で色付けされる仕組み。記載漏れや要件の未達があれば、濃いオレンジ色のセルに「×」が表示される仕様となっている。
今回留意すべきことの1つは、対象月によるシートの使い分けだ。6月から臨時改定で処遇改善加算が拡充されるため、4・5月分(別紙様式2-2)と6月以降分(別紙様式2-3)で記入先が分かれている
人工知能(AI)を活用し、介護に関する人手不足問題を打破する中小企業がある。これまで膨大な人手が必要だった介護支援計画の作成や事務処理にかかる作業をAIに代替させることで、新しい施設の開業や現場サービスの向上につなげる考えだ。
関西中心に100以上の介護付き有料老人ホームを運営するチャーム・ケア・コーポレーションは1月から、半年ごとに更新する入所者の介護スケジュールの原案を生成AIが作成するシステムを試験導入した。
新規開業に人材
従来はケアマネジャー(介護支援専門員)が介護記録や睡眠データ、本人・家族・かかりつけ医師へのヒアリングをもとにケアプランを手作業で策定していた。新システムでは、人は原案の確認や修正を担う。1人あたり最大4時間ほど要していたプラン作成は2時間程度まで短縮した。
1人のケアマネジャーがプラン作成を担当する入所者数は、現在の約60人から100人程度まで増やせるとみる。6月末には全施設で本格導入を予定する。遠藤圭太・経営企画室長は「ケアマネジャーは業界全体で不足感が強い。省人化できれば質の高い人材を吟味して採用できる」と語る。
2026年6月期の売上高は前期比4%増の485億円、営業利益は16%増の44億円を見込む。既存施設の省人化は利益率を高め、新規開業の施設に人を回すなど成長も追い求めやすくなる。
現在はケアマネジャーごとにプランの作成手法にばらつきがあるものの、大野世光・介護DX推進室長は「AIを使えば質を標準化できる」とみる。将来はAIが過去の記録を分析し、入所者の行動変化を介護職員に伝えるような機能を導入する構想を持つ。
高齢化が進む日本では介護の需要が急増している。厚生労働省によると、要介護(要支援)認定者数は24年3月末時点で初めて700万人を突破した。過去20年の間に約300万人も増え、介護給付によって国の財政負担が増している。
同時に介護関連の人手不足は一段と進む恐れがある。厚労省は26年度に必要な介護職員は約240万人とみる。40年度には約272万人に跳ね上がる見通しだ。待遇面や働きやすさなどの問題から、人手の確保は年々厳しくなっている。
介護関係職種の有効求人倍率は24年度に4.08倍。この指標は1倍を超えると求人の数が多いことを示し、全職業の倍率は同年度に1.14倍だった。介護の求人数が突出して高い現状を映す。人手が極端に足りない業界だからこそ、AIを賢く導入し現場サービスを高める知恵が欠かせない。
九州で介護付き有料老人ホームや訪問介護事業などを手掛ける、あおぞらケアグループ(鹿児島市)は25年11月、介護業界をAIで支援するケアチャット(大阪市)と資本・業務提携した。
介護施設で負担が重い作業の一つは、ファクスで届く利用者ごとの書類の整理だ。利用者ごとに介護器具や服薬指導など、最大60種類に及ぶ異なる書類を受け取らなければならない。
約800人の利用者がいる、あおぞらケアのある施設では、これまで月1万枚程度の書類をファクスで受信。介護職員が書類を手作業で仕分けするのに月約190時間かかっていた。
ファクスで受信した書類をAIが自動で解析・整理するシステムを導入し、事務処理時間を約9割削減した。ケアチャットの城戸勇人社長は「AIで生まれた時間を利用者のサービス改善につなげなければいけない」と力を込める。
あおぞらケアの大牟禮康佑代表は「現場の残業はほとんどなくなった。介護人材の不足を防ぐためにも、やりがいと経済的豊かさの両立が欠かせない」と話す。実業家の堀江貴文氏らと組み、介護業界で生成AIをどう使うか教えるオンラインスクールも25年から運営している。
意識改革に時間
ロボットを活用し、介護現場で専門人材不足に対応する中小もある。
精密部品メーカーのサンコール(京都市)は歩行学習支援ロボットを開発した。足に装着するロボットが人の歩行を感知し、タブレットで事前に設定した最適な足の動かし方に導くよう設計した。歩行に障害を抱える人がリハビリテーションなどで使っており、介護施設や病院への納入を進めている。
介護施設でリハビリにつきそう理学療法士らの専門人材は地方に少ない傾向がある。こうした現状を踏まえ、遠隔操作型のロボットを試験している。理学療法士が離れたところからロボットを設定し、標準的な介護職員が歩行を支援できる環境整備を目指す。個人により適合するようAIの活用を視野に入れる。
もっとも、介護の事務と異なり現場にAIが浸透するにはなお時間がかかるとの見方もある。
チャームケアは24年に携帯型エコーを全施設で導入。AIがエコー画像を深層学習し、ぼうこうの大きさを計測して尿のたまり具合を判定したり、直腸での便の位置を知らせて予期せぬ排せつを防いだりする。しかし「エコーは医療従事者が使う」との意識が現場での普及を阻み、導入から1年半がたっても使用率は6割弱にとどまる。
介護業界に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティングの丹羽麻一子氏は「AIを積極的に導入することは業務の効率化に加え、採用面でも若年層へのアピールにつながる」と話す。そのうえで「現場の抵抗感を軽減するため、業務フローを踏まえて導入を進める必要がある」とみる。(3月18日 日本経済新聞)
介護事業所、保育園、クリニックの経営者から、近年特に増えている労務相談があります。それが「問題社員への対応」です。
例えば次のようなケースです。
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何度注意しても遅刻や欠勤を繰り返す
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職場の人間関係を悪化させる
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利用者や患者への対応が不適切
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指導しても態度が改善しない
人手不足の業界では「辞められると困る」という理由で、問題社員を放置してしまうケースも少なくありません。しかし実務経験上、問題社員を放置すると職場環境が悪化し、優秀な職員から先に辞めていくという現象が起こります。
労働政策を所管する厚生労働省も、職場環境改善やハラスメント対策を重要な政策課題として掲げています。つまり、問題社員への適切な対応は、これからの組織運営において避けて通れないテーマなのです。
本稿では、介護・保育・クリニックなど医療福祉分野の現場を支援してきた社労士の視点から、問題社員への適切な対応方法を解説します。
問題社員とはどのような職員か
まず整理しておきたいのは、「問題社員」とは必ずしも能力が低い職員だけではないということです。実務上、問題社員と呼ばれるケースにはいくつかのタイプがあります。
第一に、勤務態度に問題があるケースです。遅刻や欠勤を繰り返す、指示に従わないなど、基本的な勤務姿勢に問題がある職員です。
第二に、職場の人間関係を悪化させるケースです。陰口や対立を生み、チームワークを乱すタイプです。介護・保育・医療の現場はチームワークが重要なため、この問題は非常に深刻です。
第三に、業務遂行能力に課題があるケースです。ミスが多い、指導しても改善しないなどのケースです。
このような職員がいる場合、経営者や管理職は早期に対応を検討する必要があります。
問題社員を放置するリスク
問題社員を放置すると、次のようなリスクが発生します。
まず職場のモラルが低下します。「あの人は注意されないのに、なぜ自分だけ」という不公平感が生まれるためです。
次に、優秀な職員の離職につながります。真面目に働いている職員ほど、職場環境の悪化に敏感です。
さらに、利用者・患者・保護者へのサービス品質が低下する可能性があります。介護・保育・医療の分野では、サービス品質の低下はそのまま経営リスクにつながります。
つまり、問題社員への対応は単なる人事問題ではなく、経営問題なのです。
問題社員への対応で重要な3つの原則
問題社員への対応には、感情的な判断ではなく、法的リスクを踏まえた手順が必要です。
① 事実を記録する
最も重要なのは、問題行動を客観的に記録することです。
例えば
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遅刻の回数
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業務ミスの内容
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指導内容
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面談の記録
などを文書として残しておく必要があります。
記録がない場合、後にトラブルになった際に会社側が不利になる可能性があります。
② 指導と改善機会を与える
いきなり解雇などの厳しい処分を行うことは、労務リスクが高くなります。
まずは
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口頭指導
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文書指導
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改善計画
という段階的対応が重要です。
このプロセスを踏むことで、職員本人にも改善の機会を与えることができます。
③ 就業規則に基づく対応
懲戒処分や退職勧奨などを行う場合は、就業規則の規定に基づく必要があります。
例えば
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懲戒規定
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指導規定
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ハラスメント規定
などです。
就業規則が整備されていない場合、適切な対応が難しくなるため注意が必要です。
【事例】問題社員対応で職場環境が改善したケース
ある介護事業所では、遅刻や勤務態度に問題がある職員がいました。
当初は人手不足のため、注意のみで対応していました。しかし、次第に職場の雰囲気が悪化し、複数の職員が退職を検討する状況になりました。
そこで管理者と社労士が連携し、
-
指導記録の作成
-
改善面談
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文書による指導
を行いました。
結果として、その職員は改善が見られなかったため退職となりましたが、その後職場環境は大きく改善しました。
小規模事業所ほどルールが重要
介護事業所やクリニック、保育園は比較的小規模な組織であることが多く、経営者と職員の距離が近いという特徴があります。
そのため、感情的な判断や個別対応が増えやすい傾向があります。
しかし、小規模組織ほど
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ルール
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記録
-
手続き
が重要になります。
これらが整備されていれば、トラブルを未然に防ぐことができます。
社労士としての実務的アドバイス
問題社員への対応で最も多い失敗は、次の2つです。
一つは「我慢しすぎる」ことです。問題を先送りすると、状況は悪化します。
もう一つは「感情的に対応する」ことです。怒りに任せて発言してしまうと、後で労務トラブルになる可能性があります。
重要なのは、
冷静に、段階的に、記録を残しながら対応すること
です。
まとめ
介護、保育、クリニックなどの医療福祉分野では、人材不足の影響もあり、問題社員への対応に悩む経営者が増えています。
しかし、問題社員を放置すると
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職場環境の悪化
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優秀な職員の離職
-
サービス品質の低下
につながる可能性があります。
そのため、
-
問題行動の記録
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段階的指導
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就業規則に基づく対応
という基本的な対応を行うことが重要です。
もし問題社員への対応で悩んでいる場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。適切な対応を行うことで、職場環境を守り、組織の安定につなげることができます。
スポットワークの仲介を手掛けるタイミーは6日、介護分野の事業の最新動向や今後の展望をメディア向けに開示した。
介護に関する資格を持つ登録ワーカー数は、昨年10月時点で約51.3万人と50万人を超えた。
タイミーに掲載された介護分野のスポットワークの募集人数は、同じく昨年10月時点で前年同月比2.3倍。切実な需要の拡大を背景に、求人側と求職側の双方でユーザーが増えている状況が改めて浮き彫りになった。
タイミー全体の募集人数に占める介護分野の割合はまだ5%。それでも物流、飲食、小売、ホテルに次ぐ5番目で、同社は主力分野の1つに成長したと位置付けた。現状、募集人数の伸び幅は介護分野が最も大きいという。
タイミー執行役員の山岡和人氏は今後について、介護分野での活用は「必ず増えていく」との認識を示した。
そのうえで、「業界の関係者や有識者などの意見を参考にしながら、安心・安全の面でより充実した環境づくりを推進したい」と述べた。
タイミーの調査結果によると、介護に関する資格を持ちながら別の分野で働いている「潜在有資格者」のうち、4割以上がスポットワークを機に「介護分野に就業するハードルが下がった」と答えた。また、6割以上が「よい職場に巡り合ったら長期就業したい」と回答している。この日の記者説明会に登壇した淑徳大学総合福祉学部の結城康博教授は、
「介護に関心を持ってくれる人を増やしたり、長期採用につなげるきっかけにできたりと、スポットワークは人材確保のチャネルの1つとして期待できる」
と指摘。「同時にサービスの質や安全性の確保が欠かせない。スポットワークを受け入れる事業所・施設の姿勢、体制づくりも問われる」と呼びかけた。
介護事業所の経営者・管理者の方から、次のようなご相談をよくいただきます。
「職員が自主的に始業時間より30分早く出勤しています。本人は“自主的です”と言っていますが、その時間分の時給は支払う必要がありますか?」
結論から申し上げます。
事業所がその勤務を黙認・容認している場合は、原則として賃金支払い義務が生じます。
本コラムでは、介護専門社労士の立場から、介護現場に特有の実務リスクと具体的な対応策を解説します。
1.「自主的出勤」でも労働時間になるケースとは?
労働時間の考え方は、労働基準法に基づき判断されます。
ポイントは、
「使用者の指揮命令下にある時間」かどうか
です。
■ よくある介護現場のケース
例えば次のような行為は要注意です。
-
申し送りノートの確認
-
利用者情報のチェック
-
夜勤者からの引継ぎ対応
-
早朝の排泄・離床介助
-
ナースコール対応
これらは「業務そのもの」です。
たとえ本人が「自主的」と言っていても、
事業所がそれを知っていて止めていない場合、
👉 実質的に労働時間と判断される可能性が高い
のです。
2.介護事業所で未払い賃金が発生しやすい理由
介護業界は特に未払い残業リスクが高い業界です。
理由は以下の通りです。
① シフト制の曖昧運用
-
早番が実質「7:30開始」になっている
-
夜勤明けの申し送りが長引く
-
管理者が暗黙に早出を期待している
② 「善意文化」の存在
介護職員は責任感が強く、
「利用者様のために」
「申し送りをしっかりしたい」
という気持ちで早く来るケースが多いです。
しかし、善意は法的リスクを消してくれません。
3.支払い義務が発生する具体的な判断基準
以下に該当すると、賃金支払い義務が発生する可能性が高いです。
| 状況 | 支払い義務 |
|---|---|
| 業務をしている | ほぼ必要 |
| 管理者が知っている | 必要になる可能性高い |
| 業務指示が暗黙にある | 必要 |
| 完全に私的行為(休憩室で読書) | 不要 |
重要なのは、
「事業所としてコントロールできる状態にあったか」
です。
4.未払い賃金になった場合のリスク
未払い賃金は2年(※将来的には3年)遡って請求される可能性があります。
例えば、
-
毎日30分
-
月20日勤務
-
時給1,200円
の場合、
月12,000円 × 24か月 = 288,000円
これが職員10名なら約288万円。
さらに、
-
遅延損害金
-
付加金(裁判の場合)
-
労基署是正勧告
-
介護事業所の評判低下
という経営リスクも生じます。
5.介護事業所が取るべき実務対応策
① 始業前業務を明確に禁止する
就業規則に
「会社の許可なく始業前に業務を行ってはならない」
と明文化することが重要です。
② タイムカード打刻ルールの徹底
-
打刻=労働開始とする
-
始業5分前まで打刻不可設定
-
ICカード・勤怠システムの活用
③ 業務設計の見直し
そもそも早く来なければ回らない体制なら、
-
早番時間を前倒し
-
申し送り時間を正式労働時間に組み込む
-
人員配置を再設計
といった対応が必要です。
6.「支払わない」選択をする場合の条件
どうしても支払わない運用をしたい場合は、
✔ 明確な業務禁止命令
✔ 周知徹底(書面通知)
✔ 違反時の指導記録
が必要です。
それでも、実態として業務が行われていれば否認は難しいのが実務です。
7.介護専門社労士からの実務アドバイス
私が関与した特別養護老人ホームでは、
「自主的早出」が常態化していました。
調査すると、
-
申し送りが勤務時間内に終わらない
-
日勤者が早く来ないと不安
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管理者が暗黙に期待
という構造問題がありました。
そこで、
-
申し送り時間をシフト内に組み込み
-
早出手当を制度化
-
勤怠ルールを再設計
した結果、未払いリスクを解消し、職員満足度も向上しました。
8.まとめ|自主的出勤=無料ではない
結論
業務をしている限り、原則として賃金は発生します。
介護事業所経営において重要なのは、
「払う・払わない」の議論ではなく、
👉 そもそも発生させない仕組みづくり
です。
介護事業所の労務リスクは“構造問題”
自主的早出問題は、
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人員不足
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シフト設計不備
-
申し送り文化
-
管理職の曖昧指示
という構造課題の表れです。
もし、
-
早出が常態化している
-
勤怠が形骸化している
-
残業申請が機能していない
という場合は、放置しないことを強くお勧めします。
介護事業所の未払い残業対策は専門家へ
介護業界特有の
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処遇改善加算
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人員配置基準
-
シフト設計
-
夜勤体制
まで踏まえた労務設計が必要です。
介護専門社労士として、
✔ 未払い残業診断
✔ 勤怠制度再設計
✔ 就業規則整備
✔ 管理者研修
を通じ、経営リスクの見える化を支援しています。
「自主的だから大丈夫」
この思い込みが、数百万円のリスクになる前に。
早めの見直しが、事業所と職員双方を守ります。
ぜひ一度、自事業所の勤怠実態を点検してみてください。





