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【社労士解説】注意指導したら「パワハラです!」と反論された…どこからがハラスメント?介護・保育・クリニックの正当な指導と注意点

 

介護施設、保育園、医科・歯科クリニックの運営において、現場の管理者(施設長・師長・主任・事務長)や院長先生から増えているのが、「部下のミスを注意・指導しただけなのに『それってパワハラです』と反論されて指導できない」というご相談です。

こんなお悩みや現場の混乱はありませんか?

  • 「誤字脱字や書類ミス、記入漏れを注意したら、部下に『パワハラだ』と拒絶された…」

  • 「相手が『パワハラと感じたらハラスメントになる』と言われ、どこまで指導していいのか分からず管理者が怯えている…」

  • 「強く言うと『パワハラで訴える』『労基署に行く』と騒がれるため、腫れ物に触るような対応しかできない…」

「厳しい指導=すべてパワハラ」ではありません。業務上必要な注意や指導を躊躇してしまうと、現場のサービス品質低下や重大な事故・トラブルに直結します。

この記事では、介護専門社労士・保育専門社労士・クリニック専門社労士の視点から、法的なパワハラの定義と正当な「業務指導」との境界線、介護・保育・医療現場での具体的事例、部下からの反論に負けない正しい指導手順と対策について分かりやすく解説します。

1. パワハラと正当な「業務指導」の法的境界線

まず明確にしておくべきなのは、「受け手がパワハラだと感じたからといって、直ちにパワハラ(違法行為)になるわけではない」という点です。

① パワハラの法律上の3要件

労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)および厚生労働省の指針において、職場におけるパワーハラスメントは以下の3つの要素をすべて満たすものと定義されています。

  1. 職場内の優位的な関係を背景とした言動であって

  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

  3. 労働者の就労環境が害されるもの(精神的・身体的苦痛を与えること)

このうち最も重要なのが「2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」かどうかです。 業務上のミス(書類の誤字脱字、作業手順の違反、接遇不良など)に対し、それを改善させるための合理的な理由に基づく指導・指示は、「業務上の適正な範囲」であり、パワハラには該当しません。

② 判断基準は「相手の感じ方」ではなく「客観的な適正性」

裁判例や実務判断において重視されるのは、「部下がどう感じたか」という主観ではなく、「その指導の目的・態様・頻度などが社会通念上、許容される範囲内であったか」という客観的な事実です。

  • 正当な指導とみなされる例:

    • ミスの事実を指摘し、再発防止策を具体的に指示する

    • 改善が見られないため、前述より明確かつ厳格なトーンで注意を与える

  • パワハラとみなされる例:

    • 「バカ」「頭が悪いのか」「給料泥棒」など、人格や存在自体を否定する暴言

    • 大勢の職員や患者・利用者・保護者の前で大声で怒鳴りつけ、晒し者にする

    • 業務とは無関係なプライベートや過去の失敗を持ち出して責め立てる

つまり、注意指導の「目的」が正当であっても、その「言い方・態様・場所」が度を超えて感情的・屈辱的なものになった場合にパワハラと認定されることになります。

2. 業界別:業務指導と「パワハラ反論」の具体的事例

介護・保育・クリニックの現場では、書類の記載ミスや手順の不徹底が、利用者様の生命・安全や公的給付金(介護報酬・診療報酬)の請求に直接影響するため、細かな注意指導が不可欠です。それゆえに指導をめぐるトラブルも頻発します。

【業界別トラブルと適切な指導アプローチ】

介護現場
  └ 主な課題: 介護記録の誤字・記入漏れ、介助手順のミスへの指導
  └ 注意点: 介護報酬請求(実地指導)や安全管理上の必要性を客観的数値で提示する

保育現場
  └ 主な課題: 連絡帳・日誌の誤字・不適切な記載、アレルギー確認ミスへの指導
  └ 注意点: 保護者対応の信頼や児童の安全維持を目的として論理的に指導する

クリニック
  └ 主な課題: カルテ・レセプト入力ミス、問診票や受付での確認漏れへの指導
  └ 注意点: 医療事故防止と診療運営の観点から、感情的にならず具体的に改善を求める

① 介護現場での事例(介護専門社労士の視点)

  • 【事例】 特別養護老人ホームの介護記録(ケース記録)において、担当スタッフの誤字脱字やバイタルデータの記入漏れが頻発。リーダー職が注意したところ、「記録くらいでいちいち細かい。パワハラだ」と反論された。

  • 【解説・リスク】 介護記録は自治体の実地指導(運営指導)や、事故発生時の法的証拠となる重要な書類です。「介護報酬の減額や利用者の安全に関わる重要な業務である」という客観的な正当性を説明した上での指導であれば、何度厳しく注意してもパワハラにはあたりません。ただし、「こんな簡単なことも書けないなら辞めろ」といった人格否定の発言は厳禁です。

② 保育現場での事例(保育専門社労士の視点)

  • 【事例】 保育園で提出する「指導計画案」や保護者に渡す「連絡帳」に誤字脱字が多く、園児の様子についての不適切な表現が目立つ保育士。主任保育士が何度も修正を命じ、強めのトーンで指導したところ、「私だけ執拗に注意されて精神的に追い詰められた。パワハラで本部に訴える」と主張された。

  • 【解説・リスク】 連絡帳等は保護者との信頼関係に直結する公的な文書です。誤りの指摘と修正指示は園の正当な権限です。「執拗に攻撃された」と主張されないよう、指導の際は「どこがどう違っていて、どう直すべきか」を個別面談の場で具体的に提示するステップが必要です。

③ クリニックでの事例(クリニック専門社労士の視点)

  • 【事例】 医療事務スタッフが、患者の電子カルテ入力や会計入力で打ち間違いを連発。事務長が「患者様へ過誤請求が発生する恐れがある。次回からダブルチェックを徹底して」と強く注意したところ、「事務長は私にだけ当たりが強い。ハラスメントだ」と反抗し、指導を受け入れない。

  • 【解説・リスク】 クリニックでのレセプト・会計ミスは経営や医療信頼に及ぼす影響が大きいため、指導の必要性は極めて高いと言えます。「あなただけを攻撃している」という主観的なすり替えを防ぐため、チェックリストやエラー履歴などの客観データを用いて淡々と指導することがポイントです。

3. 「パワハラです!」と言われた時に上司・管理者が取るべき5つの実務対策

部下から「パワハラだ」と反論された場合、恐れて指導をやめてしまったり、反対に感情的になって怒鳴り返したりするのはどちらも悪手です。冷静に以下のステップで対応してください。

① 感情的にならず、冷静さを保つ(無断録音への意識)

近年、スマートフォンやICレコーダーを使って、指導の様子を「無断録音」しているケースが急増しています。

「言った、言わない」の議論になった際、録音データは決定的な証拠となります。「常に録音されているかもしれない」という意識を持つことで、上司側も感情的な発言や大声を出すことを自戒でき、結果として冷静で毅然とした指導態度を維持できます。

② 「業務上の必要性」と「具体的改善案」をセットで伝える

単に「ミスが多い」「ちゃんとしろ」と抽象的に叱責すると、相手は「攻撃された」と感じやすくなります。

  • ×NGな例: 「いつも誤字脱字ばかりでいい加減にしろ!」

  • 〇OKな例: 「この書類は行政に提出する公式文書です。誤字が3箇所あります。業務の正確性が求められるため、提出前にご自身でチェックリストを使って確認してから提出してください」

「なぜこの指導が必要なのか(理由)」と「どう改善すべきか(具体策)」を論理的に伝えることが重要です。

③ 指導の経緯を「書面(指導記録)」に残す

口頭注意を聞き入れない、あるいは繰り返し同じミスをする場合は、日時・ミスの内容・指導した発言内容・本人の反応を書面(面談記録・指導書)として保存してください。

「注意・指導を行ったという事実と客観的記録」を残しておくことで、後に部下が外部機関(労基署や弁護士)に「突然パワハラを受けた」「理由なく懲戒された」と駆け込んだ際にも、事業所側の正当性を立証できます。

④ 「相手がどう感じたか」と「ハラスメントの成立」は別だと毅然と伝える

部下が「私は不快に感じたからパワハラだ」と主張した場合は、過剰に怯える必要はありません。

「不快に思わせた点については配慮しますが、今回の指導は〇〇という業務上のミスを修正するために必要な指示です。受け入れられない場合は業務に支障が出ます」と、指導の正当性を冷静かつ毅然と伝えてください。

⑤ 就業規則・パワハラ防止規程の運用

業務指示や指導に合理的な理由なく従わない態度は、就業規則における「業務指示違反」「勤務態度不良」に該当する可能性があります。

「パワハラだ」と主張して指導を拒否し続ける場合は、ハラスメントの成否を客観的に検証しつつ、改善が見られない場合は就業規則に基づいたステップ(口頭注意→文書注意→戒告・懲戒処分)を進める必要があります。

4. 就業規則・指導ツールの活用例

正当な指導であることを明確にし、トラブルを予防するために、就業規則や指導プロセスの明確化をお勧めします。

【就業規則・懲戒規定の例】 (服務規律および業務指示遵守) 職員は、職務上の適切な指導・指示に従い、誠実に業務を遂行しなければならない。正当な理由なく上司の業務上の指導・指示を拒否すること、または業務改善の求めに応じないことは服務規律違反とし、就業規則第〇条に基づく懲戒処分の対象とする。

また、日頃から「チェックシート」や「業務マニュアル」を用意し、「マニュアル通りの手順が行われているか」という客観的な視点で評価・指導する仕組みを作っておくことが、ハラスメント主張を未然に防ぐ最良の防止策となります。

5. まとめ:毅然とした正当な指導で組織の質を守るために

部下からの「パワハラ主張(パワハラハラ)」を恐れるあまり、必要な指導を行わなくなると、現場のミスが放置され、真面目に働いている他のスタッフへの負担増や離職、利用者様・患者様からの信頼失墜を招きます。

  • その指導には「業務上の必要性」と「客観的な妥当性」があるか?

  • 感情的にならず、具体的かつ冷静なアプローチができているか?

  • 万が一の主張に備えて、指導記録や就業規則の整備ができているか?

正当な指導を守り、トラブルを未然に防ぐためには、法的な根拠に基づいた体制構築が不可欠です。お困りの際は、現場の実態を熟知した専門家へお気軽にご相談ください。

弊所(社会保険労務士事務所)へのご相談・ご依頼の流れ

当事務所は、介護施設・保育園・医科歯科クリニックに特化した専門社労士として、現場の指導トラブル・ハラスメント対応・就業規則の改定・管理者研修をトータルでサポートしております。

【ご相談・サービス導入の流れ】

STEP 1: お問い合わせ・無料相談のお申し込み
  └ WEBフォームまたはお電話より、現場で起きている指導トラブルや現状のお悩みをお気軽にご連絡ください。

STEP 2: ヒアリングと現状分析(オンラインまたはご訪問)
  └ 該当の指導内容、部下の勤務状況、現行の就業規則や指導マニュアルを確認いたします。

STEP 3: 改善アプローチ・対応アドバイス
  └ 法的リスクの評価、正当な注意指導の手順、必要に応じた書面(改善指示書等)の作成アドバイスを行います。

STEP 4: 継続的サポート(顧問契約・管理者研修)
  └ 就業規則の改定、管理者向け「正当な指導とパワハラの違い」研修の実施、日常的な労務相談まで伴走いたします。

【指導トラブル・ハラスメント対策のご相談はこちら】 「部下に指導ができず困っている」「指導記録や就業規則を見直したい」といったご相談も承っております。

[ WEBお問い合わせフォームはこちら ] (24時間受付中)お問い合わせ | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング

お電話でのご相談: 03-6435-7075 (受付時間:平日 9:00〜18:00)

ケアプー、居宅介護支援と通所介護で導入率6割超に サービス間の格差も

ケアプランデータ連携システムの導入率について、居宅介護支援が7月末時点で62.0%と6割を超えたことが厚生労働省の調べで分かった

 

通所介護も61.1%に達している。


一方でサービス間の差は大きい。主なサービスの7月末時点の導入率をみると、


● 訪問介護=45.9%
● 地域密着型通所介護=45.2%
● 福祉用具貸与=48.5%
● ショートステイ=51.2%


となっている。

介護事業者の事務共同化 都、総務や経理を集約・代行 自治体で全国初 小規模企業を支援(日本経済新聞記事より)

 

東京都は2026年度、小規模介護事業者の総務や経理部門を集約・代行するバックオフィスを設ける。

自治体では全国初の取り組みとみられる。都内には小規模な事業者が多く4割が赤字だ。事業者間の業務の融通やM&A(合併・買収)も進め、介護網維持へ踏み込んだ支援をする。

 「若いヘルパーが入ってこない。ヘルパーの高齢化が進み、経営側も現場に従事している」。府中市で訪問介護などを手掛ける企業の担当者は人手不足の影響を訴える。都の介護分野の有効求人倍率は267月で9.32倍。全国平均の3.82倍と比較して深刻だ。

東京都は介護事業者の経営力強化を支援する(イメージ)

 都内では地価の高さなどから大規模な介護施設の整備が難しく、代わりに利用者の自宅でサービスを提供する訪問介護などの小規模事業者が増えてきた。都内では従業員19人以下の事業所が5割弱を占め、介護を担う中心的な存在だ。

 経営者自らが利用者宅を回るなど現場業務と経営を兼務する事業所は少なくない。都が25年度に実施したアンケートによると、19人以下の事業所では4分の1の経営者が経営業務に専念できず、ほとんど介護業務に従事している。

 そこで都は小規模事業者の間接部門を集約・代行するバックオフィスを設置する。介護報酬の請求事務や法定研修のオンライン提供、介護保険制度改定による事務作業を共同化する。事業者の負担を減らし、介護サービスの提供や人材確保に経営資源を振り向けやすくする。規模や事業者から費用をとるかは今後調整する。

 

淑徳大学の結城康博教授(社会福祉学)は「自治体では初の取り組みだろう。負担が減ってヘルパー業務に割ける時間が増えたら理想だ。東京都で成功すれば他の自治体に広がる可能性がある」と話す。

 訪問介護事業者間ではヘルパー業務を融通するネットワークの形成を始める。人手不足で1つの事業所だけでは利用者の希望する訪問回数に対応しきれず、複数の事業所でサービスを受ける利用者は少なくない。

 負担を軽減するため、地域の中核事業所がメインで利用者を訪問しつつ、不足する訪問を小規模事業所に委託する。現行制度では事業者間の委託によるサービス提供には介護報酬を適用できないため、都は実証を通じて課題や効果を検証し、将来の制度改正に向けた議論につなげたい考えだ。

 都内の介護事業者全体では4割が赤字で、規模が小さいほど赤字や収支均衡の事業者が多い傾向にある。国が定める介護報酬の改定は3年に1度で、26年の臨時改定や都独自の上乗せ加算を加えても、物価高や他職種の賃金上昇に追いついていないという。

 都は経営が不安定な事業者を把握し、中小企業診断士らを通じた経営改善やM&Aに向けた手続きの支援も始める。26年度は5法人を支援予定だ。利用を予定する立川市の訪問介護事業者は「手が回っていなかった業務の効率化や採用活動の強化につなげたい」と期待する。

 都内では要介護度が急激に高まる85歳以上の高齢者数は60年まで増加が続く。都の寺田靖子高齢者施策調整専門課長は「これまでも経営支援を続けてきたが、必要としている小規模事業者ほど届きにくかった。事業者からの申請を待つだけでなく、プッシュ型で支援したい」と話した。(9月11日日経新聞記事より)

【社労士解説】意外に多い「部下から上司へのパワハラ(逆パワハラ)」とは?介護・保育・クリニックにおける実例と対策

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)と聞くと、「上司から部下に対して行われるもの」というイメージを抱く方が多いのではないでしょうか。

しかし、実際の現場では「ベテラン部下から新任上司へのパワハラ(いわゆる『逆パワハラ』)」や、「自分が加害者であるにもかかわらず、被害者を装って上司や施設を攻撃するトラブル」が頻発しています。

こんなお悩みや異変はありませんか?

  • 「新しく着任した施設長や園長、師長が、特定のベテランスタッフから日常的に責め立てられ、次々とメンタル不調で休職・離職してしまう…」

  • 「『こんなことも知らないんですか』『前の管理者の方がマシだった』と、他の職員の前で執拗に嘲笑される…」

  • 「部下が『上司からパワハラを受けた』と本部に駆け込んできたが、周りのスタッフに聞くと実はその部下こそが周囲を威圧していた…」

特に、介護施設、保育園、医科・歯科クリニックといった専門職が集まる現場では、「人間関係の閉鎖性」「現場業務に熟練したベテラン職員の優位性」から、こうした逆パワハラが暗黙のうちに進行し、職場崩壊を引き起こすケースが後を絶ちません。

この記事では、介護専門社労士・保育専門社労士・クリニック専門社労士の視点から、部下から上司へのパワハラの構造や業界別の具体事例、被害者を装う加害者の心理、そして未然防止と発生時の正しい対応手順について分かりやすく解説します。

1. 「部下から上司へのパワハラ(逆パワハラ)」はなぜ起きるのか?

厚労省の指針におけるパワハラの定義には、「優越的な関係を背景とした言動」が含まれます。この「優越的な関係」とは、単に職位(役職)の上限だけを指すものではありません。

  • 業務上の知識や経験の格差(ベテラン部下 ✕ 新任管理者)

  • 集団による影響力(同調するグループ ✕ 孤立した上司)

  • 専門資格や専門スキルの有無

このように、「その人の協力が得られなければ業務が円滑に回らない関係性」が存在する場合、部下から上司に対する言動であっても、要件を満たせば立派なパワハラ(ハラスメント)に該当します。

代表的なパターン:先輩部下と新任上司

最も多いのが、長年その事業所に勤務しているベテラン職員と、他部署や外部から着任した新任管理者との間で起こる構造です。

業務手順や現場の「ローカルルール」に精通していることを盾に、

  • 「そんなことも分からないで管理職がつまるんですか?」

  • 「現場を知らない癖に口を出さないでください」

  • 「何度も同じことを聞かないでいただけますか?」

といった言葉で執拗に上司を責め立てます。

発覚しにくく「無法地帯」化しやすい理由

逆パワハラは、経営層や理事長、院長の目が行き届かない場所で行われることが大半です。 また、周囲のスタッフも加害者であるベテラン職員からの報復(いじめや無視、シフトでの冷遇など)を恐れるため、見て見ぬ振りを決め込みます。

その結果、小規模な拠点やデイサービス、保育施設、クリニックの診察室・受付などはあっという間に無法地帯と化し、精神的に追い詰められた優秀な上司が短期で退職してしまう事態に陥ります。

2. 逆パワハラ加害者の特徴:「被害者ストーリー」の捏造

部下から上司へパワハラを行う加害者のうち、特に対応が厄介なのが「自分がパワハラ被害者であるかのように装うケース」です。

自分を正当化するためのストーリーづくり

このタイプの加害者は、自分自身の言動を省みるどころか、「上司からパワハラを受けて追い詰められている健気な被害者」というストーリーを作り上げます。

経営層や労務担当者、時には外部の労働基準監督署や弁護士に対し、

  • 「上司の指導のせいで精神的苦痛を受けた」

  • 「私を排除しようと嫌がらせをされている」

  • 「この上司を処分してくれないと私が潰れてしまう」

と情に訴えかけます。自己保身と他責思考が極めて強いため、必要以上に自分に都合の良い情報を過多に主張してくるのが大きな特徴です。

地雷を踏むのを恐れる上司の苦悩

一方、ターゲットにされた上司は、「またヒステリックに怒り出すのではないか」「次に何を言い出されるかわからない」という恐怖から、常に緊張状態を強いられます。

新しい管理業務を覚える負荷に加え、日常的に恐怖と不安に晒されることで、誰にも相談できずメンタル不調に追い込まれていく……まさに地獄のような日々を過ごすことになります。

3. 業界別:逆パワハラが発生しやすい具体的事例

介護・保育・クリニックの現場では、資格保有者やベテランの権力が強くなりやすく、逆パワハラの種が芽生えやすい環境があります。

【業界別・部下から上司へのパワハラ(逆パワハラ)の特徴】

介護現場
  └ 主な構造: 勤続年数の長いベテラン介護士 ✕ 異動してきた施設長・管理者
  └ 発生事象: 業務指示の集団拒否、ケア方針への反論と嘲笑、利用者の前での暴言

保育現場
  └ 主な構造: 園に長くいる主任・ベテラン保育士 ✕ 新任の園長
  └ 発生事象: 園運営方針の無視、保護者巻き込み型の不満流布、行事準備のボイコット

クリニック
  └ 主な構造: 開業時からいるベテラン看護師・医療事務 ✕ 勤務医・事務長
  └ 発生事象: 院長以外指示を聞かない、事務長へのあからさまな無視、患者前での批判

① 介護現場での事例(介護専門社労士の視点)

  • 【事例】 特別養護老人ホームにて、他施設から引き抜かれて着任した施設長。介護現場の改善を図ろうとしたところ、10年勤めるベテラン介護リーダーが猛反発。「現場を知らない人が口を挟むな」と朝礼で言い放ち、後輩スタッフにも「施設長の指示は聞かなくていい」と吹き込んでボイコットを主導。施設長は不眠となり休職に追い込まれた。

  • 【リスク】 経営陣がベテラン介護士の「現場の労働力」に頼り切っていると、施設長を切り捨てて問題をうやむやにしがちです。しかし、これにより職場環境の悪化が加速し、中堅・若手の離職ラッシュを引き起こすリスクがあります。

② 保育現場での事例(保育専門社労士の視点)

  • 【事例】 保育園の経営改善のため就任した新園長。園の慣習を見直そうとしたところ、長年勤務するベテラン保育士が「前の園長の方が良かった」「園長失格だ」と周囲や保護者に対して不満を流布。園長が個別に注意すると「園長からパワーハラスメントを受けた」と本部の運営法人へ駆け込んだ。

  • 【リスク】 加害者側が保護者や外部を巻き込んで「被害者」を演じるケースです。法人が事実確認を怠り、声の大きいベテラン保育士の言い分だけを鵜呑みにすると、正しい園運営を行う管理者が追いつめられてしまいます。

③ クリニックでの事例(クリニック専門社労士の視点)

  • 【事例】 オープン時から勤務するベテラン医療事務。新しく採用された医療事務長(管理職)に対し、「受付のやり方も知らないのに指示しないで」「院長先生はそんなこと言っていない」と患者の前で高圧的に言い返す。他のスタッフにも圧力をかけて事務長を無視させ、職場を孤立させた。

  • 【リスク】 少人数のクリニックでは、院長先生が診療に追われて事務方の人事トラブルを見抜けず放置してしまいがちです。院長先生が介入した時には、優秀な事務長や他のスタッフが辞めてしまい、クリニックの運営自体が立ち行かなくなる恐れがあります。

4. 逆パワハラ・虚偽のハラスメント訴えを防ぐ4つの実践対策

被害者を装う加害者や、部下からのハラスメントによる組織崩壊を防ぐために、事業所が取り組むべき実務対応は以下の4点です。

① パワハラ防止規程の整備と「全社的周知」

パワハラ防止規程を作成・改定する際は、「上司から部下への行為」だけでなく、「部下から上司への行為」「同僚間での行為」も明確にハラスメントに該当する旨を明記します。

規程の中に懲戒処分の対象となることを具体的に盛り込み、ポスターの掲示や研修を通じて「会社(法人)として逆パワハラも絶対に許さない」という強い姿勢を周知することが、強力な抑止力となります。

② 当事者双方+「第三者(周囲の職員)」からのヒアリング

トラブルが表面化した際、最も危険なのは一方の言い分(特に先に声をあげた被害者主張者)だけを鵜呑みにすることです。

必ず以下の3者から個別にヒアリングを行ってください。

  1. 被害を訴えている者(ヒアリング内容を詳細に記録)

  2. 相手方(加害者と疑われている者)

  3. 周辺で勤務している第三者(他のスタッフ複数名)

被害者を装う加害者は過剰に自己を正当化して喋る傾向がありますが、第三者から話を聞くことで「言動の矛盾」や「実際の職場のパワーバランス」が客観的に浮き彫りになります。

③ 客観的な「証拠」を収集・記録する

ハラスメントの事実認定において、最も強力なのは客観的な証拠です。

  • 録音データ: 被害を受けている上司に対し、不当な威圧や暴言が行われている現場の録音(ICレコーダーやスマホアプリ等)を促す。

  • 業務日誌・メモ: 「いつ、どこで、誰から、どのような言葉を言われたか」の日時と発言内容を詳細に記録させる。

  • メールやチャットの履歴: 指示に対する過剰な反論や無視の記録を保存する。

捏造されたストーリーは、客観的な音声記録や第三者の証言によって崩すことができます。証拠が確認できた場合は、就業規則・パワハラ防止規程に基づき、加害者に対して毅然とした処分(戒告、減給、出勤停止など)を下す必要があります。

④ 相談窓口の適切な機能化

上司であっても孤立せず、安心してハラスメントの相談ができる「中立な相談窓口」を設置・運用することが重要です。法人の内部で対応が難しい場合は、社労士などの外部専門家を相談窓口として指定することも非常に効果的です。

5. まとめ:トラブルを未然に防ぐ組織づくりを目指して

部下から上司へのパワハラや、「被害者を装う加害者」の存在は、職場のモラルを低下させ、事業所の継続そのものを脅かす重大な労務リスクです。

  • 現場の管理者が孤立し、メンタル不調に追い込まれていないか?

  • ハラスメント防止規程は「逆パワハラ」に対応した内容になっているか?

  • 一方の言い分だけに惑わされず、客観的・公正な事実調査ができているか?

「現場のベテランだから」「資格者だから」と見て見ぬ振りを続けると、結果として事業所全体の信頼を損なうことになります。少しでも違和感を覚えたら、早期に法的根拠に基づいた対応を進めることが大切です。

弊所(社会保険労務士事務所)へのご相談・ご依頼の流れ

当事務所は、介護施設・保育園・医科歯科クリニックに特化した専門社労士として、複雑化するハラスメント問題(逆パワハラ・虚偽申告等)の解決や、パワハラ防止規程の作成、公平な事実調査のサポートを行っております。

【ご相談・導入の流れ】

STEP 1: お問い合わせ・無料相談のお申し込み
  └ WEBフォームまたはお電話より、貴所で起きているお悩みや現状をお気軽にご連絡ください。

STEP 2: 現状のヒアリング・事実確認(オンラインまたは対面)
  └ 当事者の関係性、これまでの経緯、現行の就業規則やハラスメント規程を確認します。

STEP 3: 調査・対応方針のご提案
  └ 客観的なヒアリング方法、証拠収集のアドバイス、必要な処置や規則改定案をご提示します。

STEP 4: 継続サポート(顧問契約・研修実施)
  └ ハラスメント防止研修の実施、相談窓口の受託、就業規則の整備までトータルで伴走いたします。

【ハラスメント・労務トラブルのご相談はこちら】 「部下からのハラスメントで管理者が参っている」「ハラスメントの訴えがあったがどう対応すべきかわからない」といったお悩みも、お気軽にご相談ください。

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最低賃金1177円 過去2番目の引き上げ 介護経営の圧迫懸念 業界は報酬増を要請

 

全国47都道府県で今年度の最低賃金の改定額が出揃った。

厚生労働省は3日、都道府県ごとの答申状況を取りまとめて公表。最低賃金の全国平均は、昨年度から56円引き上げられて1177円となった。


この引き上げ幅は、1978年度に目安制度が始まってから過去2番目の高水準となる。


都道府県別の最高額は東京都の1280円、最低額は宮崎県の1085円。改定額の引き上げ幅は、最も大きい県で65円となっている。

『骨太方針2026』と2027年度(令和9年度)改定への生産性向上要件化の流れ

 

 

2026年7月21日に閣議決定された『経済財政運営と改革の基本方針2026』(通称:骨太方針2026)では、「成長型経済に合わせた持続可能な社会保障制度」の設計が強く掲げられました。2027年度の社会保障負担率を2025年度と同水準に抑制することが目標とされています。この方針を背景に、財務省の財政制度分科会は、令和9年度の介護報酬改定に向けて非常に厳しい「見立て」と提言を示しています(下記抜粋)。

◆ 「2割負担」の判断基準見直し:

負担能力に応じた公平な負担を推進するため、2026年度(令和8年度)中に結論を得て、2割負担の対象者を確実に拡大する方針。 ◆ 住宅型有料老人ホーム等の「囲い込み」適正化:

同一建物におけるケアマネジメントや訪問介護サービス等の基本報酬を引き下げ、出来高払いから包括報酬等へ移行することで、過剰サービスや不適切な誘導を抑制。 ◆ テノロジー導入の賃上げ連動化(義務化の動き):

令和8年度の期中処遇改善における上乗せ要件(ケアプランデータ連携システム導入等)の実績を踏まえ、令和9年度改定では「介護記録ソフト」等のテクノロジー導入も更なる加算・基本報酬の要件に追加し、生産性向上を強力に義務付ける動き。

■ 参考・引用元資料(一次情報)

・内閣府『経済財政運営と改革の基本方針2026』(2026年7月21日閣議決定) https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2026/decision0721.html

2. 『介護労働実態調査(令和7年度)』にみる離職防止と新たな採用トレンド

2026年7月29日に公益財団法人介護労働安定センターから公表された最新の『令和7年度介護労働実態調査』結果。人手不足が依然として深刻な一方、定着率および新たな採用アプローチに関して興味深いデータが明らかになりました。直近の主要指標を以下に整理します。

主要指標テーマ 令和7年度 最新調査結果(2026年7月公表) 経営上の示唆・ポイント

介護職員の離職率 12.4% (前年比横ばいで低水準維持) 早期定着は進むが、29歳以下の若年層の離職率は17.3%と突出して高く、若手の定着支援が急務。

人員の不足感 全体:65.8% / 訪問介護員:82.9% 訪問介護における不足感は8割を超え、採用困難が経営上の最大のボトルネックとなっている。

【新設】スポットワーク

(単発雇用)の活用状況 活用率:8.9% (不足感が強い事業所は15.3%) 直接雇用移行率:28.0% ギグワーカーを即戦力として活用し、利用事業所の約7割が働きぶりを肯定的に評価。そのまま自社雇用に繋げる新チャネルへ。

また、直前職を辞めた理由として毎年首位を占める「職場の人間関係(上司・先輩との関係)」について分析したところ、退職の直接の引き金となる具体的な要因として、上司による言動や指導力不足が約半分近くを占めることが分かりました(下図参照)。

▲ 図1:直前の職場(介護関係)を辞めた人間関係の具体理由(複数回答)

「良好な人間関係の職場づくり(47.2%)」や「休みやすさ・勤務日時変更の柔軟性(43.2%)」は、職員が働き続けるための最重要要因。現場リーダー・管理者に対する指導法やコミュニケーションの研修を組織的に支援することが、最大の離職防止策となります。

■ 参考・引用元資料(一次情報)

・公益財団法人介護労働安定センター『令和7年度 介護労働実態調査結果』(2026年7月29日公表) https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/

3. 介護給付費分科会審議と8月1日食費基準引き上げの施行対応

今月は、法改正および臨時改定の実務対応に関して、対応および注視が必要な重要な動きが2点重なっています。

① 2026年8月1日施行:食費の基準費用額(補足給付)の引き上げ 令和8年度臨時改定(+2.03%)における「食費基準費用額の引き上げ(+0.09%)」が、本年8月1日より施行されました。6月に実施された処遇改善(+1.95%)に続く最終ステップとなります。施設等におかれましては、請求システムへの反映や、対象者・ご家族に対する確実な料金改定の説明実務を完了させ、トラブル防止に努める必要があります。

② 8月5日・第262回介護給付費分科会:「夜間対応型訪問介護」の廃止と定期巡回への統合 社会福祉法改正により、2026年度末(2027年3月末)をもって「夜間対応型訪問介護」を廃止し、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」へ正式に統合することが決定され、その円滑な移行措置(2029年度末まで)について議論されました。夜間の人員確保やICT活用を前提とした、他職種・多事業所連携による24時間ケアサイクルへの組み換え準備が急務となっています。

■ 参考・引用元資料(一次情報)

・厚生労働省『第262回 社会保障審議会介護給付費分科会資料』(2026年8月5日開催) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75011.html

・厚生労働省『令和8年度介護報酬改定(臨時改定)関係資料』(2026年8月1日施行分) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00073.html

【専門社労士解説】既存職員より高い給与で求人を出すのはアリ?介護・保育・クリニックの「逆転現象」が招く悲劇と3つの処方箋

 

「数ヶ月前から看護師(保育士・介護福祉士)の求人を出しているが、全く応募が来ない…」 「近隣の競合事業所が月給を大幅に引き上げたため、うちも募集給与を数万円アップしたい」 「でも、いま頑張ってくれている既存職員(ベテラン)より新人の求人給与が高くなってしまうのだが、これって問題ないだろうか?」

慢性的な人手不足と激しい人材獲得競争が続く介護施設、保育園、医療機関(クリニック)の経営者様や院長先生から、このような悲鳴にも似たご相談が非常に増えています。

結論から申し上げますと、既存職員の基本給を超えるような高水準で求人を出し、そのまま採用することは極めて危険です。

法的には(公序良俗や差別にあたらない限り)契約自由の原則により求人設定自体は可能ですが、「給与の逆転現象」が発覚した瞬間、現場のベテラン職員が怒りと絶望で一斉退職し、事業所が崩壊するという最悪のシナリオが現実として起こっています。

本記事では、介護・保育園・クリニック専門の社会保険労務士の視点から、給与逆転が引き起こす現場のリアルな恐怖と、採用力を高めつつ組織を守るための具体的な対応策を詳しく解説します。

1. なぜ介護・保育・クリニックで「求人給与の引き上げ」が加速しているのか?

昨今の物価高騰や政府による賃上げ推進政策、そして何より深刻な「生産年齢人口の減少」により、有資格者(看護師・歯科衛生士・保育士・介護福祉士など)の採用現場は超売り手市場が続いています。

特に、近隣に大手の介護グループや大型病院、新しい保育園が開設された場合、競合は破格の給与提示で人材を囲い込みに来ます。

「月給25万円では1人も集まらないから、思い切って月給30万円で求人を出そう」

そう決断したくなる気持ちは痛いほど分かります。しかし、「いま働いている既存職員の給与テーブル(水準)を置いたまま、新規採用者の給与だけを引き上げる」という施策は、言わば「組織に自爆スイッチを設置するようなもの」なのです。

2. リアルな現場事例:給与の逆転現象が招いた「3つの地獄」

「新人の給与なんて他の職員には言わなければバレないだろう」 そう高を括っていると、取り返しのつかない事態に発展します。現場で実際に起きたドロドロとした具体例をご紹介します。

【具体例①:クリニック】転職サイトの求人を見つけたベテラン看護師の一斉退職

  • 現場の状況: 看護師不足に悩む整形外科クリニックの院長は、月給28万円で募集しても応募がないため、求人給与を「月給35万円」に大幅アップして募集。無事に30代の看護師を採用できた。

  • 起きた惨劇: 勤続8年のベテラン看護師(月給31万円)が、たまたま求人サイトに掲載されていた自院の「月給35万円〜」という募集要項を発見。「私たちが夜遅くまで残業して院長を支えてきたのに、後から入ってくる新人の方が給与が高いなんてバカバカしい」と激怒。ベテラン看護師2名が結託し、月末に突然退職届を提出。クリニックの診療体制が崩壊し、一時休診に追い込まれた。

【具体例②:保育園】給与明細の見せ合いから発覚した園長への集団直談判

  • 現場の状況: 新園開設で保育士がどうしても集まらなかった保育施設。他園からの引き抜きのため、特定の新規採用保育士だけに「特別役職手当」を上乗せして基本給を高く設定して採用した。

  • 起きた惨劇: 休憩室で仲良くなった新人と既存保育士が、世間話の延長でお互いの給与や手取りの話題になり、新人の給与明細をチラッと目撃。「私より仕事ができない新人が、なぜ私より5万円も高いの?」と噂が全園に一瞬で拡散。保育士たちが園長室に押し寄せ、「全員の給与を今すぐ新人と同じ水準まで上げるか、それができないなら全員で辞めます」と直談判される事態となった。

【具体例③:介護施設】「教えてやる筋合いはない」ベテランによる新人イジメ

  • 現場の状況: 特別養護老人ホームにて、夜勤ができる介護福祉士を急募するため、在職者よりも高い基本給+入社祝い金付きで採用。

  • 起きた惨劇: 給与が高いことを知った現場のベテラン介護職員たちが「自分より高い給与をもらっているんだから、これくらい一人でできて当たり前でしょ」「高い給与の人に教えてあげる筋合いはない」と新人を孤立させ、必要な申し送りすら拒否。メンタルを病んだ新人はわずか1ヶ月でスピード退職し、高い採用手数料(紹介会社への支払い)だけが掛け捨てとなった。

3. 「給与情報は隠せない」という前提に立つべし

「給与は個人情報だから他人に話してはいけない」と就業規則に書いてあっても、職員同士で給与情報が漏洩・共有されるのを防ぐことは不可能です。

  • 求人媒体(Webサイトや折り込みチラシ)を既存職員やその家族が目にする

  • 給与明細のうっかり見落としや、休憩室での会話

  • 人材紹介会社経由での入社時の「年収提示書」の放置

上記のように、情報は必ず漏れます。在職者が自分より新人の給与が高いと知った場合、モチベーションの著しい低下、院長・経営者への不信感、昇給の過度な要望、そして最終的には「一番辞められては困る優秀なベテランから順番に辞めていく」という最悪の結末を迎えます。

4. 解決のための「3つの処方箋(対応策)」

では、採用力を高めるために給料を上げたい場合、経営者はどのように対応すべきなのでしょうか。介護・保育・クリニック専門社労士が推奨する対応策は以下の3つです。

対応策①:全社的な波及(既存職員の昇給)を見込んだ人件費シミュレーションを行う

採用力を高めるための待遇引き上げは、新人の給与だけでなく、「既存職員全体の給与水準底上げ」とセットで計画するのが原則です。

求人給与を引き上げる際は、以下のコスト増加を事前に試算してください。

  • 既存職員の給与を逆転しない水準まで引き上げるコスト(基本給のベースアップ)

  • 基本給アップに伴う「時間外手当(残業代)の単価上昇」

  • 「社会保険料(事業主負担分)」の増加

  • 「賞与(基本給×◯ヶ月分の場合)」の連動増加

「新人1人のために月5万円増やす」のではなく、「既存職員含めて全体で年間〇〇万円の人件費増になるが、事業収益(診療報酬・介護報酬・委託費)でカバーできるか」を経営的観点から判断しなければなりません。

対応策②:賃金制度・評価制度(職能資格・役割等級)を整備する

「なぜあの新人の給与が高いのか」を既存職員にロジカルに説明し、納得させるための唯一の方法が「公平・透明な賃金制度(人事制度)」の導入です。

例えば、以下のようなルール(等級制度)をあらかじめ作っておきます。

  • 等級1(新人クラス): 業務指示を受けて実行できるレベル(月給〇〇万円)

  • 等級2(中堅クラス): 独り立ちし、後輩指導ができるレベル(月給〇〇万円)

  • 等級3(リーダー・管理者クラス): シフト作成や部門管理ができるレベル(月給〇〇万円)

もし今回採用する新人が「他施設での管理職経験が10年あり、入社直後から等級3の役割を担ってもらう」ということであれば、既存の一般職員より給与が高くても「求めている役割と責任(等級)が違うため」と合理的な理由を説明できます。

感性や「前職でこれくらいもらっていたから」という行き当たりばったりの査定をやめ、明確な給与テーブル(基準)を作ることが、既存職員の納得感につながります。

対応策③:基本給ではなく「変動手当」や「入社祝い金・準備金」で調整する

どうしても既存職員の基本給テーブルをすぐに改定できない場合は、固定給(基本給)を高く設定するのではなく、以下のような「一時金」や「限定的な手当」で調整する方法もあります。

  • 入社準備金・引っ越し手当(一時金): 基本給は既存ルール通りとし、入社時にまとまった一時金を支給して採用条件を魅力的にする。

  • 特定のスキル・資格手当: 「夜勤専従手当」「特定機器操作手当」「認定看護師手当」など、明確なスキルの対価として手当を支給する。

ただし、これらも既存職員が同じ条件を満たした場合には支給できるルールにしておくことが、不公平感を生まないポイントです。

5. 介護・保育・クリニックの賃金制度・求人対策は専門社労士にお任せください!

人手不足が深刻な医療・介護・保育業界において、「採用力を高めること」と「既存職員の離職を防ぐこと(定着)」は、車の両輪です。

場当たり的な求人給与の引き上げは、長年事業所を支えてくれた大切な職員を裏切り、組織を内部崩壊させる危険性を秘めています。

「自社の給与体系が業界水準と比べてどうなのか知りたい」 「既存職員に不満を出させない形で、求人条件を魅力的にしたい」 「医療・介護・保育の現場に合った、シンプルで分かりやすい賃金制度・評価制度を作りたい」

このようにお考えの理事長様、院長先生、園長様は、ぜひ一度「社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング」にご相談ください。

弊所は、介護事業所・保育園・医療機関(クリニック)に特化した専門社労士事務所として、数多くの現場の賃金制度改定や労務トラブル防止をサポートしてきた豊富な実績がございます。

貴院・貴施設の現場の実情を丁寧にヒアリングし、人件費のシミュレーションから賃金規定の作成、求人票の打ち出し方まで、失敗しないための伴走型支援をお約束いたします。

まずは下記のお問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせ・ご相談(初回無料相談実施中)をお待ちしております。

■ お問い合わせ・ご相談はこちらから

当法人のサービス詳細や、介護・保育・クリニックにおける賃金制度の構築事例につきましては、当社ホームページをご覧ください。

介護のシャドウワーク、多職種で常態化 「ほっとけない…」 割り切れぬ現場=組合調査

 

《 NCCUが記者会見を開催|26日 》

全国の介護職らで組織する「日本介護クラフトユニオン(NCCU)」は26日、最新の「就業意識実態調査」の結果を公表した。

月給制で働く介護従事者の3割超が、制度や契約の範囲を超えたシャドウワークを抱えていると報告されている。ケアマネジャーだけにとどまらず、幅広い職種で常態化している実態が改めて浮き彫りになった。


調査結果によると、シャドウワークが「ある」と答えた介護従事者は31.2%。職種別ではケアマネジャーが67.9%と突出して高い。ただ、訪問系管理者(41.1%)、入所系管理者(33.3%)、看護職(30.6%)、生活相談員(29.5%)なども少なくなかった。


シャドウワークの具体的な内容は多岐にわたる。


目立つのは、居室の掃除やごみ捨て、買い物、雪かき、ペット・植物の世話といった日常生活のサポート。それだけでなく、行政手続きの支援、金銭支払いの代行、徘徊時の捜索、通院同行、救急車への同乗、送迎時の居室内介助、元利用者の家族からの相談など多彩だ。

シャドウワークに対応した理由では、「利用者や家族からの強い要望」「利用者のために必要だった」「仕方がなかった」「信頼関係の維持」などが多かった。

NCCUの村上久美子副会長は会見で、「シャドウワークは職員がルールを理解していないから生じるわけではない。利用者を放置できない、身寄りがいない、断ると信頼関係が崩れるといった事情で対応せざるを得ない」と現場の葛藤を代弁。「利用者のために必要と思って対応しつつも、介護従事者には負担感や割り切れない思いが残る。これが職種を問わず大きな問題だ」と警鐘を鳴らした。


その上で、個々人の判断に委ねない事業所・施設の仕組みづくりの重要性を指摘。「契約時の丁寧な説明、制度の周知、対応のルール化、標準的な説明文の整備、管理者が判断を担う仕組みづくりなど、組織的な対応が必要」との見解を示した。


あわせて、「介護報酬、人員配置基準の見直し、民間サービスや地域資源との連携など、制度面からの対応も検討する必要がある」と強調した。


この調査は、NCCUの組合員を対象に今年3月から5月にかけて実施されたもの。月給制で働く介護従事者3609人から回答を得た。

【専門社労士解説】問題職員への厳しい指導はパワハラ?ハラスメントの訴えにはすべて対応すべき?介護・保育・クリニック現場のリアルと対処法

「看護師の医療ミスや指示無視を厳しく叱責したら、翌日『パワハラで訴えます』と労働組合から連絡が来た」 「遅刻を繰り返す保育士を注意したら、『院長先生の言い方が怖い。ハラスメントだ』とメンタル不調で休職してしまった」 「職員から『◯◯さんからハラスメントを受けている』と毎日のように相談が来るが、正直言って不平不満レベルのものまで全件対応しなければいけないのだろうか?」

介護施設、保育園、クリニックの経営者や施設長、院長先生から、このような悲鳴にも似たご相談が弊所に数多く寄せられます。

現場の安全を守るための「業務上の指導」と「パワハラ」の境界線はどこにあるのでしょうか?また、職員からのハラスメントの訴えには、どこまで付き合う義務があるのでしょうか?

本記事では、介護・保育園・クリニック専門の社会保険労務士の視点から、実際の現場で多発する「問題行動への指導」と「パワハラ」の判断基準、そしてハラスメント相談への正しい実務対応について、リアルな具体例を交えて詳しく解説します。

1. 現場で混乱する「パワハラ」の正しい定義とは?

まず前提として、法律上のパワーハラスメント(パワハラ)の定義を正しく理解しておく必要があります。

労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)において、職場のパワーハラスメントとは、以下の3つの要素をすべてを満たすものと定められています。

  1. 職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって

  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより

  3. その雇用する労働者の就業環境が害される(過度の精神的・身体的苦痛を与える)もの

ここで非常に重要なのが、要素の2つ目にある「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」という点です。

客観的に見て、医療の安全確保やケアの質維持、保育現場の事故防止のために行われる適正な業務指示や指導は、たとえ相手が嫌な気持ちになったとしてもパワハラには該当しません。

介護・保育・クリニックの現場では、職員の「指導されたことへの不満」や「感情的な反発」をすべて「パワハラ」と混同しているケースが非常に多く見受けられます。

2. リアルな現場事例:明らかな問題職員への厳しい指導はパワハラになるのか?

結論から申し上げますと、業務の内容や性質に照らして重大な問題行為を行った職員に対して、一定程度強く注意・指導することはパワハラに該当しません。

厚生労働省の「パワハラ指針(事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針)」においても、パワハラに該当しない例として以下の2点が明記されています。

【厚労省指針:パワハラに該当しない例】 ① 遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善されない労働者に対して一定程度強く注意をすること。 ② その業務の内容や性質に照らして重大な問題行為を行った労働者に対して、一定程度強く注意をすること。

介護・保育・クリニックの現場における「リアルな具体例」で考えてみましょう。

【具体例①:クリニック】誤薬・注射ミスを繰り返す看護師への指導

  • 現場の状況: ある有床クリニックで、注射のダブルチェック手順を無視し、あやうく患者に誤投与しそうになった看護師A。以前にも同様の不注意があり、院長が「人の命がかかっているんだ!手順を抜かすなんてあり得ない!今すぐ手順書を読み直してやり直しなさい!」と別室で強い口調で厳しく叱責した。

  • パワハラになるか? ➔ 「パワハラに該当しない」 医療現場における誤薬や指示無視は、患者の生命に直結する「重大な問題行為」です。業務の必要性・緊急性がきわめて高いため、語気や態度は強くとも、別室で業務手順の遵守を強く求めた指導は「業務上必要かつ相当な範囲内」と判断されます。

【具体例②:保育園】無断遅刻とスマホ操作を繰り返す保育士への指導

  • 現場の状況: 園児の登園ラッシュの時間帯に無断遅刻を繰り返し、保育中に陰でスマホをいじっていた保育士B。園長が「他の保育士にどれだけ負担がかかっているか分かっているの?目を離した隙に園児にケガがあったらどうするの!社会人として失格です。明日から態度を改めなさい」と注意した。

  • パワハラになるか? ➔ 「基本的にはパワハラに該当しない(一部表現に注意)」 社会的ルール違反や園児の安全確認を怠る行為に対する強い注意は当然の権利です。ただし、「社会人として失格」などの人格否定に捉えられかねない言葉は避け、「行動(無断遅刻やスマホ操作)」そのものを絞って注意することがトラブル防止のポイントです。

【具体例③:介護施設】他の職員へ威圧的な態度をとるベテラン介護士への指導

  • 現場の状況: デイサービスのベテラン介護士C。気に入らない新人職員が入ると無視し、指示を出さずに「使えない」と周囲に言いふらして退職に追い込んでいた。施設長が面談で「あなたのその態度は職場の秩序を乱している。これ以上改善されないなら、役職の解任や配置転換、懲戒処分も検討する」と強く警告した。

  • パワハラになるか? ➔ 「パワハラに該当しない」 職場のハラスメント環境を作り出している原因(加害者側)に対する厳しい警告であり、組織管理・就業環境整備のために正当な指導範囲内となります。

3. 「指導」が「パワハラ」に一線を超えてしまうNGラインとは?

問題行為を行った職員への指導であっても、以下のような要素が入ってしまうと一転して「パワハラ」と認定され、法人が損害賠償責任を負うリスクが生じます。

  • 人格否定・侮辱: 「親の顔が見たい」「バカ」「精神科に行ったらどうだ」など、業務から離れた個人攻撃。

  • 見せしめ・大声での罵倒: 他の職員や患者・園児・利用者が見ている前で、見せしめるように大声で怒鳴り散らす。(※緊急回避の場合を除く)

  • 不必要な長時間の拘束: 狭い部屋に閉じ込め、何時間も正座させたり同じ説教を延々と繰り返したりする行為。

  • 過度な反省文の強制: 「自分がどれだけダメな人間かをA4用紙5枚に書いて提出しろ」といった威圧。

指導する側(経営者・院長・施設長・園長)も興奮して感情的になりやすいため、「別室で」「具体的事実(行動)のみを」「改善策とともに伝える」というルールを徹底することが重要です。

4. セクハラ・パワハラの訴えがあった場合、すべてに対応しなければならないのか?

現場の経営者から最も多くいただくもう1つの質問がこれです。

「職員同士の個人的な感情のもつれや、明らかに言いがかりのようなハラスメントの訴えまで、法人はイチイチ対応しなければいけないのでしょうか?」

結論から言いますと、厚生労働省の指針上、原則として『すべてのハラスメントの訴え・相談に対応しなければならない』というのが法律上のルールです。

厚労省のハラスメント防止指針では、相談窓口の設置義務に関連して「ハラスメントに該当するかどうか微妙な場合であっても、広く相談に対応する義務がある」と明記されています。

「そんな不満まで対応していたら現場が回らない」と思われるかもしれませんが、すべての訴えに対応すべき実務上の理由は3つあります。

① 当事者の主観と「客観的リスク」はズレていることが多い

最初は職員の「言いがかり」や「愚痴」に見えても、実際に第三者として事実確認のヒアリングを行うと、隠れていた深刻な問題(例:管理職によるサービス残業の強制、暴言、処遇改善加算の不正配分、無資格者への医療行為指示など)が浮き彫りになるケースが非常に多いためです。

② 放置すると「安全配慮義務違反」で訴えられる

「そんなのハラスメントじゃないから」と相談を端から門前払いにして放置した場合、後にその職員がメンタル不調で休職・退職したり、労働基準監督署や弁護士に駆け込んだりした際に、法人は「ハラスメント相談を放置した(安全配慮義務違反)」として裁判で圧倒的に不利になります。

③ クッションの役割を果たし、紛争化を防ぐ

相談窓口が早期に親身になって話を聞くだけで、職員の感情が落ち着き、「話を聞いてもらえたからいいです」と大事(裁判や労基署への駆け込み)にならずに収束することも少なくありません。

5. 介護・保育・クリニックでハラスメントの訴えがあった時の「正解の実務ステップ」

もし職員から「ハラスメントを受けました」と相談・訴えがあった場合、法人は以下の4ステップで淡々と客観的に対応を進める必要があります。

【ステップ1:一次ヒアリング(相談者)】
 感情を挟まず「いつ、どこで、誰に、何をされたか(言われたか)」の事実関係だけを記録する。
  ▼
【ステップ2:二次ヒアリング(行為者・第三者)】
 相談者の了解を得て、相手方(加害者とされる側)や周囲の目撃者から客観的な事実を聞き取る。
  ▼
【ステップ3:ハラスメント該当性の判定】
 聞き取った事実をもとに、法人のハラスメント委員会や専門社労士が「業務上必要かつ相当な範囲か」を客観的に判定する。
  ▼
【ステップ4:事後対応・フィードバック】
 ・ハラスメント認定の場合 ➔ 行為者への注意・処分、配置転換、被害者のケア
 ・業務指導(非ハラスメント)と認定の場合 ➔ 相談者に対して「業務上の指導でありハラスメントではない」旨を理由とともに丁寧に説明する。

ここで重要なのは、「相談を聞く=ハラスメントだと認める」ではないという点です。 「相談はしっかり受け止めて調べるが、調査の結果、業務上の正当な指導であればハラスメントではないと毅然と判断する」というスタンスこそが、法人のガバナンスを守る鍵となります。

6. 介護・保育・クリニック専門社労士によるサポート

医療・介護・保育の現場は、専門職としてのプライド、感情労働によるストレス、女性比率の高さや独特の人間関係など、一般企業とは異なる特有の労務リスクを抱えています。

  • 「問題職員への指導方法について、事前に社労士に相談してリーガルチェックを受けたい」

  • 「ハラスメントの相談窓口を社内に置くと感情的になるため、外部窓口(社労士事務所)として委託したい」

  • 「ハラスメント防止研修を実施して、職員側の過度な『それハラスメントです』発言を牽制したい」

弊所は、介護事業所・保育園・クリニックに特化した労務管理のスペシャリストとして、現場の実態に即した就業規則の作成、ハラスメント外部相談窓口の引き受け、問題職員対応のコンサルティングを行っております。

ハラスメント対応や問題職員への指導でお悩みの経営者様・院長先生・園長様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

本記事のまとめ

  1. 医療・保育・介護の安全や秩序を守るための正当な指導は、たとえ厳しくともパワハラにはならない。

  2. 人格否定、見せしめ、大声での罵倒、不必要な長時間拘束はNGライン。「行動」に対して具体的に指導する。

  3. 職員からのハラスメントの訴えは、一見不当に見えても「まずは広く相談を受ける(ヒアリングする)」ことが法律上の義務であり、法人を守る防壁になる。

  4. ヒアリングした結果、正当な指導であれば「ハラスメントではない」と毅然と説明・対処すればよい。

進むリファラル採用 介護職員の就職経路、トップは「友人・知人」 カギは良好な人間関係

 

介護現場でリファラル採用が広がっている。


介護労働安定センターが公表した最新の「介護労働実態調査」で、事業所・施設の採用活動、介護従事者の就職経路ともに「友人・知人からの紹介」がトップとなったことが分かった。

調査結果によると、事業所・施設が実施する採用活動で最も多いのは「職員に友人・知人などの紹介を依頼」で66.0%にのぼる。


このうち、47.3%の事業所が「効果があった」と回答。これは「有料職業紹介所を活用(53.4%)」に次ぐ高い割合だ。


一方、介護従事者が現在の法人に就職した主な経路をみても、「友人・知人からの紹介」が33.8%でトップとなっている。

リファラル採用を機能させるためには、職員が自ら友人・知人を誘いたくなるような職場環境づくりが欠かせない。

介護従事者が現在の法人に就職した主な理由では、「職場の人間関係が良さそうだったから(35.1%)」が、「通勤が便利だから(51.8%)」に次ぐ2位に入った。他に引けを取らない給与水準や各種休暇の確保、柔軟な働き方の推進といった施策の前提として、良好な人間関係をどう築くかがカギを握ることが改めて浮き彫りになった形だ。


この調査は昨年10月に実施されたもの。全国の事業所8955件、労働者2万675人から有効回答を得ている。

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当社代表林正人の著書『社労士が書いた 介護「人材」の採用・育成・定着のための職場作り』が出版されました。

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