介護
「少し気に入らないことがあるとすぐに『辞める』と言い出す職員がいる」
介護施設、保育園、クリニックの現場で、このような相談は非常に多く寄せられます。
周囲の士気を下げ、業務にも支障をきたすため、「いっそ本当に辞めてもらえないか」と考える経営者・管理職も少なくありません。
では実務上、「辞める」と発言した事実だけで退職扱いにすることはできるのでしょうか。
結論から言うと、一定条件を満たせば可能ですが、慎重な判断が必要です。
本記事では、トラブルを防ぎながら適切に対応するためのポイントを、判例と実務の視点から解説します。
退職の成立は「誰に伝えたか」で大きく変わる
まず重要なのは、「辞める」という発言が誰に対して行われたかです。
権限者に伝えた場合
院長、施設長、理事長、事務長など、人事権を持つ者に対して退職の意思を伝えた場合は、口頭であっても退職の申し出と評価される可能性があります。
つまり、この時点で「退職の意思表示」が成立していると判断される余地があります。
同僚や先輩に話しただけの場合
一方で、同僚や先輩職員などに対して「もう辞める」と話しただけでは、
法的な退職意思表示とは認められません。
現場ではよくあるケースですが、この段階で会社側が「辞めると言っていたから退職扱いにした」という対応をすると、後にトラブルになるリスクが高いです。
判例から見る「退職の成立」と「撤回」
退職を巡るトラブルでは、過去の裁判例が重要な判断基準となります。
① 退職が成立し、撤回できないケース
最高裁判例(昭和62年9月18日)では、
人事部長が退職願を受理したことは、会社側の承諾にあたる
とされ、退職は合意解約として成立し、その後の撤回は認められないと判断されています。
つまり、
- 労働者が退職の意思を示す
- 使用者側がそれを承認する
この2つが揃えば、退職は確定します。
② 撤回が認められるケース
一方、岡山地裁(平成3年11月10日)では、
人事権のない職員が退職届を預かっただけでは承諾とはいえない
とされ、退職の撤回が認められました。
この判例から分かるのは、
👉「誰が受け取ったか(承認権限の有無)」が極めて重要
という点です。
「辞める発言」で退職扱いにするための実務ポイント
では、問題の職員が会議や面談で「辞めます」と発言した場合、どう対応すべきでしょうか。
結論として、適切な手続きを踏めば自己都合退職として扱うことは可能です。
ただし、以下の対応を怠ると、後で「言っていない」「本気ではなかった」と争われるリスクがあります。
① 退職意思の“念押し”を必ず行う
感情的な発言なのか、本気の意思なのかを明確にする必要があります。
具体的には、以下のように確認します。
- 「今の発言は退職の意思で間違いありませんか?」
- 「正式に退職するという理解でよろしいですか?」
この確認を曖昧にすると、後で撤回を認めざるを得ない可能性が高まります。
② 退職日をその場で確定させる
退職意思が確認できたら、退職日を具体的に決めることが極めて重要です。
- 「いつ付けで退職しますか?」
- 「最終出勤日はいつにしますか?」
退職日はトラブルの火種になりやすいため、その場で明確に合意しておく必要があります。
③ 必ず書面(退職届)を提出させる
口頭でも退職は成立する可能性がありますが、実務上は非常に危険です。
必ず以下を行いましょう。
- 退職届の提出
- 日付・署名の確認
- コピー保管
これにより、「言った言わない」の争いを防ぐことができます。
よくある誤解:「口頭だから無効」は間違い
現場では、
「書面がないから無効では?」
という誤解が多く見られます。
しかし実際には、口頭でも退職の意思表示は有効です。
重要なのは、
- 明確な意思表示があったか
- 会社側が承認したか
という点です。
注意点:安易な“退職扱い”は逆にリスク
「辞めると言ったから辞めさせた」と安易に処理すると、以下のリスクがあります。
- 不当解雇と主張される
- 損害賠償請求
- 労基署・労働局対応
特に、感情的発言をそのまま退職扱いにするのは危険です。
実務対応の結論(現場で使える判断基準)
問題職員への対応としては、次のように整理できます。
- 同僚への発言 → 無効(様子見)
- 管理職への発言 → 要確認
- 明確な意思+承認 → 退職成立
そして最も重要なのは、
👉「記録を残すこと」
です。
まとめ:感情的な「辞める」に振り回されないために
「辞める」と繰り返す職員への対応は、現場のストレス要因になりがちです。
しかし、法的にはシンプルで、
- 誰に言ったか
- 本気かどうか
- 承認されたか
この3点で判断されます。
適切に対応すれば、不要なトラブルを防ぎながら、組織運営を安定させることができます。
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居宅介護支援事業所のテレワークの実施状況が、国の最新の調査結果で報告されている。
ケアマネジャーのテレワークを「認めている」とした事業所は30.1%だった。
一方、約7割にあたる68.0%は「認めていない」と回答。出社を基本とする働き方が主流となっている実態が改めて浮き彫りになった。
テレワークを認めていない事業所にその理由を複数回答で問うと、「テレワークの環境が整っていない」が52.0%で最も多かった。次いで、「勤怠・タスク管理が難しい(35.2%)」「事業所の方針(35.1%)」などが続いた。
テレワークを認めている事業所にその頻度を尋ねたところ、「不定期」が66.7%で最多だった。
テレワーク中の緊急時対応については、50.3%が「体制を整備しており、管理者とテレワーク実施者による対応が可能」と回答。「体制を整備していない」と答えた事業所は28.6%だった。
テレワークを認めている割合には、事業所の所在地によって明確な差が見られた。
東京23区の地域区分の「1級地」では、59.2%の事業所がテレワークを容認。一方、地域区分の「その他」では20.8%にとどまっていた。
この調査は、厚生労働省から委託を受けた三菱総合研究所が昨年10月から11月にかけて実施したもの。全国3000の居宅介護支援事業所が対象で、32.9%の977事業所から有効回答を得た。
介護・保育・クリニックの現場で増えている「叱るとパワハラと言われる問題」について、専門社労士がわかりやすく解説します。
- 「注意しただけなのに“それはパワハラです”と言われた」
- 「叱らないでほしいと言われ、指導ができない」
このようなお悩みは、現場で非常に多く発生しています。
本動画では、
- 適正な業務指導はパワハラに該当するのか
- 「本人が嫌と感じたらパワハラ」は本当か
- 実際にパワハラになるケース/ならないケース
- 現場で取るべき正しい対応方法
について、実務目線で解説しています。
特に、
- 「指導を避けた結果、処分や解雇ができなくなるリスク」
についても詳しく触れていますので、管理者の方はぜひ最後までご覧ください。
【この動画はこんな方におすすめ】
- 介護事業所の管理者、施設長
- 保育園の園長、主任保育士
- クリニックの院長、事務長
- 問題社員対応に悩んでいる方
【ポイントまとめ】
- 適正な指導はパワハラではない
- 判断基準は「主観」ではなく「客観」
- 言い方や伝え方には十分注意が必要
- 指導をしないこと自体が大きなリスクになる
労務トラブルは、初動対応で結果が大きく変わります。
少しでも不安がある場合は、早めの対策が重要です。
職員採用において「面接では良い人材だと思ったのに、すぐ辞めてしまった」「現場と合わずトラブルになった」といった悩みは、多くの企業で共通しています。特に介護・保育・クリニックなどの対人サービス業では、人材の定着が経営を大きく左右します。
こうした課題の根本原因の一つが「採用ミスマッチ」です。そして、そのミスマッチを防ぐ有効な手段として注目されているのが「適性診断」です。本記事では、社労士の視点から、適性診断の重要性と導入すべき理由を実務ベースで解説します。
採用ミスマッチが起きる本当の理由
採用ミスマッチが発生する最大の要因は、「見える情報」と「見えない情報」のギャップです。
履歴書や職務経歴書では、資格や経験といったスキルは把握できます。また、面接では人柄やコミュニケーション力をある程度確認できます。しかし、実際の現場で重要となるのは、以下のような“見えにくい要素”です。
- ストレス耐性
- 協調性・対人関係力
- 指示への反応傾向
- 感情コントロール
これらは面接だけでは正確に把握することが難しく、結果として「採用してみないと分からない」という状態に陥ります。特に介護や保育の現場では、対人ストレスが高いため、この見えない部分のズレが早期離職につながるケースが非常に多いのです。
適性診断とは何か?
適性診断とは、応募者の性格特性や行動傾向、職種適性などを客観的に測定するツールです。
例えば、以下のような項目を数値化・可視化します。
- 協調性の高さ
- ストレス耐性
- 主体性・積極性
- ルール遵守傾向
- 対人コミュニケーションタイプ
つまり、適性診断は「面接では見抜けない部分を補完するツール」であり、採用の精度を高めるための重要な判断材料となります。
適性診断を導入すべき5つの理由
① 採用ミスマッチを防止できる
最大のメリットは、やはりミスマッチの防止です。性格や価値観が組織と合っているかを事前に把握することで、「入社後に合わない」というリスクを大幅に低減できます。
② 定着率の向上につながる
適性が合った人材は、職場への適応がスムーズです。その結果、早期離職が減り、定着率の改善につながります。特に人材不足が深刻な業界では、この効果は非常に大きいといえます。
③ 面接の質が向上する
適性診断の結果をもとに面接を行うことで、より深い質問が可能になります。
例えば、「ストレス耐性が低め」という結果が出た場合、その対応方法や過去の経験を具体的に確認できます。これにより、面接の精度が格段に向上します。
④ 配属ミスを防ぐことができる
同じ職種でも、現場によって求められる適性は異なります。例えば、
- 忙しい現場 → スピード・柔軟性重視
- 落ち着いた現場 → 丁寧さ・安定性重視
適性診断を活用すれば、配属先との相性を見極めることができ、配置ミスによる離職を防ぐことが可能です。
⑤ 管理職との相性も把握できる
見落とされがちですが、「上司との相性」は離職理由の大きな要因です。適性診断により、指示の受け方やコミュニケーションスタイルを把握することで、組織内の人間関係リスクを軽減できます。
適性診断を導入しないリスク
適性診断を導入していない場合、企業は大きなリスクを抱えることになります。
例えば、1人の採用にかかるコストは、広告費や教育コストを含めると50万円〜100万円程度になることも珍しくありません。にもかかわらず、ミスマッチによって短期間で離職してしまえば、その投資は無駄になります。
さらに、現場の職員に負担がかかり、既存スタッフの離職を招くという“負の連鎖”も発生します。これは経営にとって非常に大きな損失です。
適性診断の効果的な活用方法
適性診断は導入するだけでは意味がありません。重要なのは「使い方」です。
実務上は以下の流れがおすすめです。
- 書類選考後に適性診断を実施
- 結果をもとに面接質問を設計
- 配属や教育方針の参考にする
- 入社後のフォローにも活用
このように、採用から定着まで一貫して活用することで、初めて最大の効果を発揮します。
よくある誤解「適性診断は当てにならない?」
「適性診断は当てにならない」という声もありますが、これは半分正解で半分誤解です。
確かに、適性診断だけで採否を決めるのは危険です。しかし、面接と組み合わせることで、判断の精度は大きく向上します。
つまり、適性診断は「万能ツール」ではなく、「意思決定を支える材料」として活用することが重要です。
まとめ|採用は“確率”ではなく“精度”の時代へ
これからの採用においては、「なんとなく良さそう」という感覚的な判断ではなく、データに基づいた意思決定が求められます。
適性診断は、採用ミスマッチを防ぎ、定着率を高めるための有効な手段です。特に介護・保育・クリニックといった対人サービス業では、その重要性はますます高まっています。
採用に課題を感じている企業こそ、適性診断の導入を検討すべきタイミングです。
採用の質を高めたい、離職を減らしたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。適性診断の導入から運用まで、実務に即したサポートを行っています。
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政府は3日、2027年度の制度改正に向けて介護保険法や老人福祉法、社会福祉法などの改正案を閣議決定した。今国会での早期の成立を目指す。
住宅型有料老人ホームの入居者に特化したケアマネジメントの新たなサービス類型の創設を打ち出した。名称は「登録施設介護(予防)支援」とした。
介護付きホーム(特定施設)と同様に、原則1割の定率の利用者負担を徴収する。
政府は今回の制度改正で、中重度の要介護者らを受け入れる住宅型ホームを対象に事前規制の登録制を導入する方針で、これも改正案に盛り込んでいる。既存の住宅型ホームの多くにこの登録制が適用される見通しだ。
新たな「登録施設介護支援」は、この登録制の対象となる住宅型ホームの入居者に特化したサービス類型。
既存の居宅介護支援とは別のスキームで、ケアプランの作成や生活相談を包括的に提供する形態が想定されている。創設時期については、改正案に公布後2年以内に政令で定める日と記載された。
いわゆる「囲い込み」の是正や利用者負担の導入などが狙い。
介護付きホームとの制度的な均衡を確保しつつ、給付費の適正化につなげる狙いがある。報酬単価や運営基準といった制度のディテールは、2027年度の介護報酬改定に向けた議論のプロセスで決められていく。
今年に入り、AIの進化が止まらない、という話をよく耳にします。確かに毎週のように新しいツールが登場し、旅行の下調べや計画立案をAIに任せる人が目に見えて増えてきました。私たちの周りでも、すでに使い始めている人がいるのではないでしょうか。
「介護旅行は準備が8割」。
体の不自由なお客様の移動手段、バリアフリーの宿、食事の配慮、緊急時の医療機関ーーその下調べと段取りに、トラベルヘルパーは誰よりも多くの時間と手間を費やしてきたはずです。その「準備8割」の中身が今、AIによって大きく変わろうとしています。
旅には「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」の三段階があります。
AIが得意とするのは「旅マエ」の情報収集、日程の立案、バリアフリー情報の整理です。「旅アト」の記録や引き継ぎにも力を貸してくれるでしょう。この分野においてAIは、私たちの実務の大きな助けになると思います。
では「旅ナカ」はどうか。
車いすを押す手、段差を越える瞬間の声かけ、お客様が窓の外の景色に目を細める瞬間、久しぶりの潮の香りに表情がほぐれていく様子ーーそうした感情の揺れを感じ取り、ともに喜ぶことは、AIには任せられません。人と人の信頼関係と、その場にいる人間だからこそ生まれる感動が、「旅ナカ」の時間をつくっています。むしろ旅マエの準備にかかる手間が減った分だけ、出発前のお客様やご家族との対話に、より多くの時間とエネルギーを使えるようになるのではないでしょうか。
ただ、AIが示す情報をどこまで信頼し、何を自分の目と足で確かめるかを判断する力は、これまで以上に問われます。情報が増えるほど、それを見極める経験と判断力が必要になります。これはトラベルヘルパーが長年の現場で積み上げてきたものであり、AIには簡単に代えられないものです。
AIはあくまでも道具のひとつです。
それを使いこなしながら、旅の現場でしか感じられないものに全力を注ぐーーそういうトラベルヘルパーが、これからの介護旅行を切り拓いていくのだと思います。( 出典:週刊トラベルヘルパー 篠塚登紀雄より転載)
厚生労働省は3月31日、介護職員初任者研修の運用ルールを改正してオンラインでの受講を正式に認める方針を示した。
介護保険最新情報Vol.1490で現場の関係者に広く周知している。
新たな恒久ルールを2027年4月から施行する。これに伴い、コロナ禍を受けて認めてきた通信学習ですべて実施できるようにする特例を、2027年3月末をもって廃止するとした。
受講者の負担を軽減し、ホームヘルパーなどで働く資格を取得しやすい環境を整えることが狙い。従来の対面を基本とする運用ルールを改め、受講形態の大幅な弾力化に踏み切る。
今後は対面のほか、オンラインを活用する形態、あらかじめ録画された動画を視聴する形態、あるいは従来の通信学習(郵送など)とオンラインを組み合わせた形態などで実施することが可能となる。
※ 通信学習には時間数の上限あり。
厚労省はオンラインなどの導入にあたり、初任者研修の質を担保するための要件を設けた。
講師へ質問できる機会を確保するほか、研修途中での試験や課題、レポートなどで理解度を確認することを求めた。リアルタイムのオンラインの場合について、受講者の画面が常に表示されていることをチェックすべきと要請。あらかじめ録画された動画を利用する場合は、添削や面談などで十分な指導を併せて行うよう念を押した。
一方で、実技を学ぶ演習・実習については引き続き対面での実施を必須とした。
ただし、別会場に講師を配置するサテライト型など同様の効果が認められる形態は、対面に含めるとしている。
自治体から国に対し、初任者研修の運用ルールの弾力化を求める声が上がっていた経緯がある。厚労省はこのほか、生活援助従事者研修についても同様にオンラインなどの受講を認める方針を示した。
「補正予算補助金」Q&A(第2版)が2026年3月13日に公表
介護職員の賃上げに向けて支給される、今年度の補正予算による補助金。1月21日に公表済みの第1版をベースとして、一部の項目を追記・更新する形で第2版のQ&Aが3月13日に公表されました。全部で22問の問いが記載されていた本Q&Aの約半分ほどの13問を抜粋し、内容について確認してまいります。
(問)
介護サービス事業所等からの計画書及び実績報告書の提出受付開始時期・提出期限はいつか。
(答)
各書類の提出受付開始時期・提出期限については、各都道府県において、事業スケジュールを踏まえ、適切に設定することとしている。
(問)
法人本部の人事、事業部等で働く者など、介護に従事していない職員について、補助額に基づく賃金改善や職場環境改善の対象に含めることは可能か。
(答)
法人本部の職員については、補助金の対象である介護サービス事業所等における業務を行っていると判断できる場合には、賃金改善や職場環境改善の対象に含めることができる。補助金の対象となっていない介護サービス事業所等の職員は、本補助金を原資とする賃金改善や職場環境改善の対象に含めることはできない。
(問)
代表取締役等の役員等が、その事業所の職員として介護サービスを提供している介護サービス事業所等(例えば、職員が一人であり、ケアプラン作成業務を代表取締役等の役員等が行っている指定居宅介護支援事業所など)について、当該役員等を補助金による賃金改善の対象に含めることができるか。
(答)
・補助金の申請対象となる介護サービス事業所等における業務を行っていると判断できる場合には、本補助金を原資とする賃金改善の対象に含めることができる。
・そのため、職員が一人であり、ケアプラン作成業務を代表取締役等の役員等が行っている居宅介護支援事業所などについても、補助金を申請し、当該役員等を補助金による賃金改善の対象に含めて差し支えない。
(問)
本事業における補助対象経費は、賃金改善経費と職場環境改善等経費の2種類があるが、国保連が交付事業所等に対し補助額を通知する際は、補助額の総額のみが示される。本事業においては、実績報告書の提出の際に、「賃金改善の所要額」が、「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」以上となっていることを確認する必要があるが、介護サービス事業所等及び都道府県において、どのように「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値を確認するのか。
(答)
介護サービス事業所等の事務負担を軽減する観点から、「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値は、介護サービス事業所等が交付を受けた補助額に、介護サービス事業所等が交付を受けた補助額の交付率を分母とし、交付率のうち賃金改善経費分の交付率を分子とした割合を乗じて算出した額(1円未満の端数は四捨五入。)をもって確認することとする。
なお、各サービスにおける交付率と、そのうち賃金改善経費分の交付率については、実施要綱別紙1表1から表3までに記載されているとおり。上記方法により算出された「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値が、別紙様式3-2の「①+②(賃金改善経費分)」の欄に表示される。
(問)
「厚生労働省がケアプランデータ連携システムと同等の機能とセキュリティを有するシステム」とは、どのシステムのことか。
(答)
「居宅介護支援費に係るシステム評価検討会」において、ケアプランデータ連携システムと同等の機能とセキュリティを有するシステムとして認められたシステムを指す。
令和8年3月13日現在では、
・カナミッククラウドサービス(株式会社カナミックネットワーク)
・ケアプランデータ連携サービス(株式会社富士通四国インフォテック)
・「でん伝虫」データ連携サービス(株式会社コンダクト)
・まめネット ケアプラン交換サービス(特定非営利活動法人 しまね医療情報ネットワーク協会)
が該当しているが最新の認定状況については、ホームページ(※)にてご確認されたい。
※ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44833.html
(問)
医療・介護サービスどちらも提供している訪問看護ステーションについて、医療分野の賃上げ支援補助金と本補助金の双方を申請することは可能ということか。
(答)
貴見のとおり。
(問)
補助対象経費として「研修費」とあるが、どの範囲までを「研修費」として取り扱って良いのか。
(答)
研修に要する費用として切り分けられるものであれば、対象経費として充当できる。この際、職場環境改善に資する研修であれば幅広に対象とすることができるが、基準上取り組むことが義務づけられているものであって、かつ、職場環境改善とは趣旨が異なる研修に要する費用について、本補助金を充てることは、補助金の趣旨とは異なると考えられる。
(問)
補助対象経費の使途として「介護助手等の募集経費」とあるが、どのような経費が対象となるのか。
(答)
主な使途として、求人広告に係る費用や、求人チラシを印刷する費用等を想定しているが、人材紹介会社の紹介手数料についても、対象経費とすることが可能。ただし、すべて介護助手等の募集に係る経費に限る。
(問)
職場環境改善経費について、介護助手等を募集するための経費や研修費以外に、どういった経費が対象経費として含まれるのか。
(答)
職場環境改善経費については、介護助手等を募集するための経費又は職場環境改善等のための様々な取組を実施するための研修費に充当することを基本とするが、補助金の要件としている「介護職員等の業務の洗い出しや棚卸しなど、現場の 課題の見える化」、「業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち 上げ又は外部の研修会の活動等)」又は「業務内容の明確化と職員間の適切な役割 分担(介護助手の活用等)の取組」に関する取組を実施するために要する費用のうち、介護テクノロジー等の機器購入費用ではないもの(専門家の派遣費用、会議費等)に充当することも可能である。その他の職場環境改善に要する費用全般に充当することは想定していない。
(問)
職場環境改善経費については、通知において、「介護テクノロジー導入・協働化等支援事業の対象経費(介護テクノロジー等の機器購入費用)に充当することはできない。」とされているが、介護テクノロジー導入・協働化等支援事業の対象経費であるか否かに関わらず、介護テクノロジー等の機器購入費用に充当することはできないということか。
(答)
貴見のとおり。
(問)
法人単位での申請は可能か。
(答)
補助金の申請は介護サービス事業所等が所在する都道府県ごとに行う必要がある。同一都道府県内に所在する介護サービス事業所等について、同一の計画書を用いて、法人単位で申請することができる。都道府県ごとに振込先の指定方法等が異なる場合もあることから、補助金の計画書は各都道府県から示されたものを用いること。
(問)
計画書において、③部分の補助金の使途について、「職場環境改善経費への充当」のみ選択していた場合であっても、その後の実施状況において「賃金改善の実施」 を行った場合、実績報告においては「C 職場環境改善の所要額((ア)~(ウ) の合計)」に加えて「B 賃金改善の所要額」に③部分の補助額を記載して報告をすることは可能か。
(答)
貴見のとおり。既に計画書を都道府県に提出しており、計画書提出時点で想定していた使途をやむを得ず変更する必要がある場合であっても、事務負担を鑑み、都道府県への計画書の再提出を一律に求めないこととする。
(問)
本事業に加え、重点支援地方交付金による中小企業・小規模事業者の賃上げ環境整備事業を活用することは可能か。
(答)
同じ経費について、複数の補助金による補助を受けることは認められないが、両方の活用(※)は可能。
※ 例えば、本事業による賃上げ等の金額への上乗せや、本事業の支援対象者や対象経費を広げる横出しとして交付金を活用するといった方法が考えられる。
職員の「感情」を理解しつつ、有益な取り組みの展開を
以上、今月のニュースレターでは公表されたQ&A全22問の中から13問を抜粋し、採り上げさせていただきましたが、お時間がある際に是非、下記URLにアクセスし、必ず全体に目を通していただきたく思います。どこにウェイトを置き、どのような配分のもと、どのような活用を企画するか・・・・?この点については各法人の置かれている状況によって大きく異なるかと思います。その意味でも現状を冷静に分析しつつ、法人にとっての本質的な改善につながることは勿論、現状だけでなく未来を見据えた視座から打ち手を検討いただきたいな、と感じる次第です。
※本ニュースレターの引用元資料はこちら。
https://www.mhlw.go.jp/content/001673832.pdf
■もはや「選ばれるための必須要件」になっている
「人数が増えてきて目が届かなくなってきたから、そろそろ人事評価制度を入れよう」
以前はこのように考えられることが多かったかもしれません。ところが、いまや状況は大きく変わってきています。
学校のキャリアセンター(昔は就職課といっていました)では、就職先の企業に人事評価制度があるかどうかが重要確認項目になっています。
ハローワークなどでも「地域」「給与」などというような条件とともに人事評価制度の有無も確認事項になってきているのです。
つまり、人事評価制度は「あったらいいもの」から「選ばれるための必須要件」になってきているということなのです。
■「採用」に有利――見えるスペックとしての人事制度
募集をしても人が来ない、採用ができない―――。
未曾有の人材不足の時代、どの企業でも抱えている重要な問題ではないでしょうか。
採用時、求職者はまだ会社の中身を詳しくは知りません。
ですから、給与額、休日日数、労働時間といった「見えるスペック」で判断せざるを得ないのです。
そして、その「見えるスペック」のひとつとして「人事評価制度があるかどうか」が大きな判断材料になってきているのです。
人事制度があるということは、「この会社は自分の成長やキャリアを考えてくれている」「頑張りをちゃんと認めてくれる仕組みがある」というメッセージになります。
■「定着」に効果――動機づけ要因として機能する
実は「採用」と「定着」に影響を与える取り組みは、同じような内容と思われがちですが、実はちょっと違ったりします。
ハーズバーグの2要因理論というものをご存じでしょうか。
人のモチベーションには「衛生要因」と「動機づけ要因」の二つがある、というものです。
「衛生要因」とは、給与、労働時間、休日といった条件面のこと。これらは欠けてしまうと一気に不満足になってしまいます。採用時には非常に重要な「見えるスペック」です。
しかし、どれだけ良い条件にしても、それは大きな満足にはならず、それがまた基準となって引き下がると不満になってしまう――――そういう性質のものなのです。
一方で「定着」には「動機づけ要因」が重要になります。
頑張ったら上司、会社から承認される。ここにいたら成長できる。目標の達成感がある。責任のある役割を与えられたり、頼りにされる――――。
これらの「動機づけ要因」は足りなくても不満の声は上がってきませんが、満足度は引きあがらないのです。
どんなに左の「衛生要因」を整備して人を採用しても、右の「動機づけ要因」がないと、人は辞めていってしまうかもしれません。特に前向きで成長意欲のある人から。
そして、この右の「動機づけ要因」は、ほとんどが「人事評価制度」を適切に運用することで大きな影響を与えることができるのです。
「人事評価制度」があることが、採用にも定着にも非常に重要なのですね。
■「将来を見せる」ことができる――不安を安心に変える
人事評価制度があるということは、社員に「将来を見せる」ことができるということでもあります。
「この会社で頑張っていったら、自分はどうなれるのか」「どういうキャリアを歩めるのか」――――。
等級制度があれば、どのような役割を担っていけば次のステップに進めるのかが明確になります。
評価制度があれば、何を頑張れば認められるのか、どんなスキルを身につければ成長できるのかが見えてきます。
賃金制度があれば、頑張った結果がどのように給与や賞与に反映されるのかがわかります。
この「見える化」が、社員の不安を安心に変えるのです。
逆に、人事制度がないとどうなるでしょうか。
「頑張っても認められるかどうかわからない」「この会社にいても将来が見えない」――――。
そう思われてしまったら、優秀な人ほど他の会社に目を向けてしまうかもしれません。
■データが証明する人事制度の効果
実は中小企業庁が興味深いデータを出してくれています。
2015年と2020年を比較した売上増加率を、人事評価制度の有無別に見たもの。
やはり人事評価制度のあるところの方が業績は上がっているという結果が出ているのです
考えてみれば当然でしょうか。
会社目標に向かって個人が目標を立て進んでいく、求める人材像を明確にして、それを伸ばして人材育成を行なっている――――。
当然差が出てくることでしょう。
■いまこそ、人事制度という武器を
人事評価制度は、もはや「あったらいい」ものではなく、企業規模にかかわらず必須のものになってきています。
採用においても、定着においても、人材育成においても。
そして業績向上においても。
人事制度があることは、大きな武器になるのです。
いま、この武器を手にしていますでしょうか。
それとも、これから手にしていくところでしょうか。





