医療

「クリニックの福利厚生」

“きっと喜んでくれるだろう”で大失敗…福利厚生導入時のポイント

たとえ、どれだけ素晴らしい福利厚生を導入したとしても、スタッフがその福利厚生を利用しなければ意味がありません。経費がかさむだけで、本末転倒になってしまいます。

失敗例1.バスや電車、ホテルの割引

以前、「バスや電車、ホテルが一般料金よりも安く利用できる」という民間企業の福利厚生サービスを導入したことがあります。旅行好きな筆者としては、このサービスを導入すればスタッフたちも、たくさん旅行に行くようになり、きっと喜んでくれるだろうと考えたのです。しかし実際には、全くといっていいほど活用されませんでした。

失敗例2.企業型確定拠出年金

メディアなどで「老後2,000万円問題」が騒がれ始めたころ、当院でもスタッフに正しい金融知識を身につけ将来に備えて欲しいという想いから「企業型確定拠出年金」を導入しました。個人型とは違い、事務費用負担と加入手続きを法人が担うことから、個人型よりも加入ハードルが下がると考えたのです。

「資産を預金だけで持つべきではない」と企業型確定拠出年金を行う重要性を伝え、ファイナンシャルプランナーの資格を持つスタッフにお願いして複数回、節税方法などをレクチャーしてもらいましたが、いまいち浸透しておらず、加入者の割合は少ないままです。

「よかれと思って」がうまくいかなかった原因

このように、よかれと思って導入した福利厚生サービスですが、あまりうまくいかなかった原因は「院長目線」で導入したことにあります。

新しい福利厚生を導入する際には、事前にスタッフのニーズをしっかり把握することが重要です。導入する院長や経営者目線ではなく、サービスを享受するスタッフ目線に立つことで、双方の満足度を高めることができます。

【導入してよかった! スタッフの満足度が高い福利厚生3選】
成功例1.検診費用の補助

上記の失敗から、筆者は当院のスタッフにどんな福利厚生があったら嬉しいか、ヒアリングを行いました。

すると、「子宮頸がん・乳がん検診を受診する際に補助を出して欲しい」という声が上がりました。女性特有の疾患である子宮頸がん・乳がんですが、クリニックで働くスタッフというのは現状、女性が大半です。導入すれば助かる人が多いのは間違いありません。

要望を受け、筆者は早速「検診時半額を補助する」という福利厚生を導入しました。活用するスタッフは多く、満足度も高いようです。「ニーズを聞く」ことの重要性がよくわかった経験でした。

成功例2.置き型社食

仕事が忙しくつい外食やコンビニ弁当が多い人や、少しでも帰宅してからの家事を時短で済ませたい人に向けて、「置き型社食」を導入しました。

置き型社食とは、民間企業が提供する福利厚生サービスのひとつです。社員食堂を新たに設置するのが難しい中小企業などに向けて、「コストを抑えられ、手軽に導入でき、満足度が高い」として注目されています。

導入する側は、冷蔵庫が置けるスペースを確保し、サービスに申し込むだけで利用できます。社食専用の冷蔵庫が設置され、そこに毎月栄養バランスのとれた惣菜が届くのです。

当院が導入している置き型社食は、利用時に1品につき100円を支払うシステムです。電子レンジで温めるだけで食べることができるので、手間がかかりません。惣菜は持ち帰ることもできるため、忙しく働くスタッフに高い評価を得ています。

導入にあたってはスタッフを含めて試食を行い、アンケートの結果ニーズが高いことを把握したうえで実施に踏み切りました。

また当院では、「医療従事者である我々が健康であるからこそ、病気の患者さんに元気を与えられる」という考えのもと診療を行っており、筆者としてもスタッフにはできるだけ栄養価の高いものを食べてもらいたいという想いがあります。

そのため、国産原料が優先的に使用され、不要な添加物の入っていない「置き型社食」は、導入してよかったサービスのひとつです。

成功例3.自社農園で作った無農薬野菜の配付

上記の考えから、当院では某所に畑を借り、無農薬野菜の栽培を始めました。そこで収穫した玉ねぎ・さつまいも・トマト・レタスなどの無農薬野菜は、スタッフに無料で配っています。

スーパーなどで買うと割高な無農薬野菜を無料でもらえると、スタッフに好評です。野菜の配付を通じて、健康経営に繋げたいと考えています。

行政に頼るのもひとつの手!

市町村などが中小企業向けに提供している「福祉共済」は、個々の企業では導入しにくい充実した福利厚生サービスを提供しています。月々の会費が比較的安いわりに、サービス内容が手厚いものが多いのが特徴です。

たとえば、結婚・出産・子どもの入学時のための祝金や傷病時・災害時の見舞金、弔慰金、退職慰労金などの給付事業、舞台の観劇チケットやスポーツ観戦チケットが安く購入できる余暇支援といったサービスがあります。

当院でも、市の福祉共済に加入。筆者の経営するクリニックは球場が近いため、この余暇支援を利用して割引チケットを手に入れ、筆者とスタッフ、そのご家族を交えて野球チームの応援に行くなど、法人内のコミュニケーションの活性化に役立てていました。

残念なことに、現在は市の福祉共済事業が終了してしまったため、祝金や見舞金といった給付事業については内製化し、継続して福利厚生サービスを提供しています。

まとめ

充実した福利厚生制度を整えることで、スタッフとその家族の生活が豊かになり、モチベーションの向上につながります。また、新たなスタッフがクリニックで働く動機のひとつになるでしょう。

当院でも、これからもスタッフの満足度を高める福利厚生制度を考え、積極的に導入していきたいと考えています。(出典:梅岡 比俊(うめおか ひとし)
【医療法人梅華会 理事長】開業医コミュニティ「M.A.F」主宰)

苦手な人から「学ぶこと」を探す

世の中には、好きになろうと思ってもなかなか好きになれない、許そうと思っても

なかなか許しがたい、という人がいるものです。

その相手はあなたを傷つけようとするからです。たとえ、邪気が無かったとしても。

そんな相手を無理に好きになろうと頑張ることはありません。なんとか変わってくれるはずだと、相手を正そうとする必要もありません。合わない人は「合わないままでいい」というスタンスの方が気は楽でしょう。ただ、「あの人は、あれでも精一杯、頑張っているのだ」と思って眺めていればいいのです。

その人がそうなってしまったのは、それなりの事情があります。育ちのせいかもしれませんし、家族や大切な人とうまくいってないのかもしれません。

それぞれの事情がありますが、それは私には責任が無く、相手の責任。心の中で「お疲れ様」というほかはありません。

大切なのは、相手の「邪気」をまともに受け取らないようにすることです。相手の未熟さのために自分が傷つくことはないのです。傷つかない方法の一つは、苦手な相手の中から、たった一つでいいので「学べる事」を探すこと。

「以外に責任感はある」とか「整理整頓は素晴らしい」でもなんでもいい、まったくなかったら、「あんな風に振舞うと人に嫌われる」「ああならないようにしよう」と反面教師としてでもいいでしょう。学ぶことを探そうとすると、客観的に相手のことが見えてきて、嫌なとことはそれほど苦にならなくなってきます。

相手への感情を選んでいるのは自分自身。実は、自分を傷つけているのは、相手ではなく、自分の恐れの気持ちだったと実感するはずです。

Q 評価はするも、結果をフィードバックしていないので、職員は何がどう評価されたかわからない。

 

A 評価フィードバックを年2回実施し、さらに個別面談(毎月)にて課題解決のフォローを行っている。

人事評価でもっとも大切なキーワードは何でしょうか。それは「透明性」と「納得感」です。透明性とは、人事評価でいえば、どういう評価項目で、だれがどのようなプロセスで評価をしているのかが明確であること。また「納得感」とは、なぜその評価結果になったのか被評価者が理解し、納得することです。しかしながらこの納得感が生まれるのはそう簡単にはいきません。なぜなら多くの職員は、自分は一所懸命仕事をし、それなりに仕事で貢献していると思っているからです。しかしながら、上司の評価がそのようなものでない場合には、だれしも心穏やかでは、いられないはずです。半ばあきらめて、表面的に納得したフリをしている場合も多いのではないでしょうか。それでは納得感を醸成するにはどうすればいいのか。まず、絶対に必要なのが、フィードバック面談です。面談では、自己評価と上司評価が明らかに違っている項目に着目し、その評価にした根拠を具体的に話し合うことで、お互いの視点や期待レベルを知ることができ、初めて「納得感」が醸成されてくるものです。

Q 当法人では新卒採用・中途採用ともの計画的に行っていますが、せっかく採用しても  なかなか定着せず、早いと3か月未満で退職する人もいます。何とか定着をしていただくように取り組みを行っていますが、採用面接ではどのような点に気をつけたら良いでしょうか。

A 「採用での失敗は、育成でカバーすることは難しい」とも言われます。

どのような人を採用するか、これは言うまでもなく、事業運営の中で最も重要な事項といっても過言ではないでしょう。社員の定着のためには「定着するような人材を採用する」といった方が現実的かもしれません。しかし、実際には人手不足の際には、「応募してくれた方は、多少気になる点があってもほとんど採用する」という状況は、決してめずらしいことではありません。このようなことを繰り替えしていると「すぐに辞めるような人」を採用していることになりかねません。

それでは「辞めない人材」とはいったいどんな人材なのでしょうか。それは法人理念に共感できる職員を選ぶことです。理念に共感できるとは、法人として「大切にしたい価値観」の共有ができる方と言ってもいいかもしれません。

 現場が人手不足の状況なので、ついつい早く人を「補充」したいという考えから、候補者の過去の経験、職務のスキル、資格などを重視した基準で採用を決定する場合も多いと思います。ただ、結果として、このような情報は、意外とあてにならないという経験をされた経営者も多いのではないかと思います。そこで、重要なのは「その方の価値感が法人の価値観や考え方に合うかどうか」ということになるのですが、問題はそれをどのように見極めるか、ということになります。もちろん、価値観が垣間見れるような質問内容を、事前にしっかり準備しておく必要がありますし、その結果を面接官複数の目で見て、客観的な指標にまで落とし込んでいくことをお勧めしています。

 

一方、候補者もそれなりに準備をして面接に臨みますので、なかなかホンネの部分までは見極めるのは難しいものです。ある法人の理事長は、法人創設の経緯や経営理念をできる限りわかりやすく、そして何度も何度もしつこいぐらいに伝え(これが重要ということです)、それを聞いている表情や反応で、十分判断できるということをおっしゃいます。また、ある施設長は、事前に施設見学(かなり細部にわたる現場見学)を行っていただき、そこで感じた内容を、どれだけ自分の言葉で伝えられるかをみている、と言います。このような方法ですと、事前の準備ではなく、過去の経験が本人の言葉で出てくることが多く、その方の現在の感じ方や価値観が、よりリアルに伝わってくるといいます。

下記に面接のときの質問の留意点をお伝えいたしますのでご参考にしてください。

 

  • 具体的な内容を質問する

 漠然とした回答ではなく、具体的な回答を聞くことで本音を見出します。

 ・「なぜこの仕事を選んだのか、人の役に立つとはということは、どういうことなのか

  具体的に言ってください」

 ・「採用された場合、あなたの能力をどういった仕事に活かしたいですか。具体的にこたえてください」

  • 人間関係についてどう考えているか確認する。

 人間関係の関する質問は、入職後のトラブル回避にためにも非常に重要です。

 ・「入職後、法人とあなたの方向性や想いが異なる時、あなたはどのようにしますか?」

 ・「同僚との意見が食い違う場合、あなたは意見を通しますか、黙りますか、また通すとしたらどんな方法で?」

  • 求職者からの質問を引き出す

 面接試験で一通り質問が終わったら、必ず求職者に対して質問がないか確認します。面接が終わったという安心感から本音が見え隠れすることがあり、人間性を確認できることもあるようです。求職者が質問する内容は、採用された場合のことを想定していることが多いため、「どの部分に興味を示しているか=本当の志望動機」がわかることも多いように思います。

新型コロナ患者報告数が6週連続増える、厚労省

インフルエンザの感染者数が減っている中、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が増え続けています。

1月10日に発表した第52週の集計によると、新規感染者数は全国で2万7,987人。44都道府県で前週より増加しています。

新型コロナウイルス感染症の新規患者報告数が6週連続で増加している。厚生労働省が10日に公表した第52週(12月25-31日)の発生状況によると、全国の定点医療機関当たりの患者報告数は、前週比26.7%増の5.79人。新規感染者数は全国で2万7,987人だった。

 

 44都道府県で前週より増えた。最も多かったのは北海道で12.28人、次いで長野(10.65人)、愛知(9.19人)。少なかったのは沖縄(3.02人)、神奈川(3.11人)、大阪(3.38人)など。(CBニュース)

運は自分がこしらえるもの

大正・昭和・平成にかけて活躍した作家の宇野千代さん。

 

雑誌『致知』に掲載された「運」をよくする秘訣をご紹介します。

 

……………………………………

運は自分がこしらえるもの

 

宇野千代(作家)

……………………………………

 

あのね、失恋しやしないか、

失恋しやしないかと思っていると、

失恋するんです。

 

だから、面白いですよ。

 

思う通りになるんですからね。

 

だから、人生、いいように

考えることが大事ですね。

それがもうコツですね、人生の。

人生を渡るコツです。

 

私の弟が船乗りでしたが、

一回でも舵をとるのをあやまって

船を衝突させたことのある人には

その船会社では二度と船の舵を

とらせなかったそうです。

 

また衝突しやしないか、

しやしないかと思ってると、

また衝突するんですって。

これは、ほんとに真理ですね。

 

 

運が悪いとこぼす人は、私、嫌いです。

 

自分が運をこしらえるんだものねぇ。

自分が悪いから運が悪いの。

 

前向きでいつも、自分は運がいい、

運がいいと思うんですよ。思うことですね。

 

結局、失恋も運が悪いのも自分がもと。

 

どんなにね、人から見て運が悪そうだとしても、

ああ、私は運がいいなあ、

なんて運がいいんだろうと思っているとね、

運がよくなる。

 

私は六十歳の時にね、ニューヨークで

ものすごく感動したんです。

 

ニューヨークの大通りを

観光バスに乗って見物していたら、

私のすぐ近くに腰をおろしていた

一人の若い女がきれいに化粧してね、

花飾りのいっぱいついた帽子をかぶって、

満面に笑みをたたえ、

見るからに幸福でたまらないという

顔をしている。

 

よく見ると、両手とも

肩からすっぽり切り落とされたように

なっているんです。

 

それなのに嬉しそうな、

世にも幸福そうな顔をして、

 

「私は両手とも肩からすっぽりと落ちています。

でも、こんなによいお天気で気持ちがよいのに、

両手がないくらいのことで、

この私が、幸福になってはいけない、

とでもいうことがあるでしょうか。

 

人間は誰にでも幸福になる権利が

あるんではないでしょうか」

 

とでも言ってるようにほほえんでいる。

あれだと、思いましたね。

 

私は、この時の感動を

いまも忘れないですね。

(1987年8月号の『致知』より)

福祉・医療人材の人間力向上研修 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

 

 

 

 

試用期間終了後、本採用をしない場合の留意点

Q 当施設では、中途採用にも使用期間を設けています。過去の経験を見込んで採用した職員でも結果として適正に欠いていたという経験がある為ですが、能力に問題のある職員の本採用を拒否する際にどんな点に注意すべきでしょうか。

A 経験のある職員を中途採用したはいいが、予想外に能力が低くて困ったという話はよく聞きます。複数の施設を渡り歩く問題児でも転職したばかりのころはおとなしく、職場の水に慣れてきたところに少しづつ牙をむき出してくるようなケースもよくあります。

 中途採用に関しては、新卒学卒者に比べれば期待値が高いため、そのものの能力や勤務態度等の評価をめぐるトラブルは多いものです。したがって中途採用者であっても、使用期間を設けることは大切です。ただし、トラブル防止のためにも就業規則の規定に基づいて規定を設けること、本採用を拒否する場合があることなどを雇用契約締結の際にきちんと説明しておくべきでしょう。

 

使用期間満了での本採用拒否は解雇に相当する

 

試用期間途中の解雇については、採用後14日間を超えて就労した職員には解雇予告が必要です。この場合、少なくとも30日前に解雇を予告するか、即日解雇の場合には30日以上の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。

また、試用期間中はいつでも「解雇」が許されると思い込んでいる経営者の方もいらっしゃいます。これは誤りで、試用期間であろうと解雇については一般の職員と同様、入職後14日を超えれば予告手当が必要ですし、安易に解雇が認められないのは一般職員と同様です。ただ、本採用に拒否(事実上の解雇)事由が就業規則に明記されていて、採用時の「面接などでは予見できなかった事実」として該当すれば、それは認められるケースもあります。こで大切な事は、「本採用拒否」の事由を就業規則に記載しておくことです。本採用拒否が認められる具体的な基準については、裁判例などから、「勤務態度不良」「勤務成績不良」「業務遂行能力の不足」「協調性にかける」「経歴詐称」などは具体的な理由として挙げられます。問題は、能力が不足しているということをどのように説明するかということです。

 

・「本採用拒否」に関する就業規則の記載例

一 遅刻、早退、欠勤が複数回あり、出勤状況が不良の場合

 二 上司の指示に従わない、同僚との協調性が乏しい、誠実に勤務する姿勢が乏しい等の勤務態度が不良の場合

三 必要な教育を施したものの法人が求める能力に足りず、改善の見込みが薄い場合

 四 経歴を偽り、その他不正な方法を用いて採用された場合

五 反社会的勢力若しくはそれに準ずる団体や個人と関係があることが判明した場合

六 督促しても必要書類を提出しない場合

 七 健康状態が思わしくなく、今後の業務に耐えられないと認められる場合

 八 法人の事業に職員として採用することがふさわしくないと認められる場合

 九 懲戒解雇などの解雇事由に該当する場合

 

問われるのは注意指導したプロセスと記録

 

  試用期間の解約権にもとづく解雇であっても、本採用拒否が有効と求められるための重要なポイントは、能力と適性が欠如している職員に対して「繰り返し注意・指導をしたけども改善の見込みがなかった」という事実とプロセスです。これは、通常の解雇の有効性が問われるプロセスと同様です。また、このような注意・指導を行ったという記録を残しておく必要もあります。

 

実務上は「退職勧奨」が一般的

 

本採用を拒否する場合、実務上は就業規則に基づいて退職勧奨をおこなうのが一般的です。試用期間中の評価をきちんと説明すれば、本人も「試用期間だからしかたない」と退職勧奨に応じるケースが多いように思います。そのためにも、就業規則には具体的な本採用基準を規定しておくことで、退職勧奨の説得材料にもなるわけです。

社会保険労務士顧問業務 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

 

報酬基準 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

 

現場の士気を左右する!?「クリニックの福利厚生」スタッフから“好評な制度・不評な制度”

“きっと喜んでくれるだろう”で大失敗…福利厚生導入時のポイント

たとえ、どれだけ素晴らしい福利厚生を導入したとしても、スタッフがその福利厚生を利用しなければ意味がありません。経費がかさむだけで、本末転倒になってしまいます。

失敗例1.バスや電車、ホテルの割引

以前、「バスや電車、ホテルが一般料金よりも安く利用できる」という民間企業の福利厚生サービスを導入したことがあります。旅行好きな筆者としては、このサービスを導入すればスタッフたちも、たくさん旅行に行くようになり、きっと喜んでくれるだろうと考えたのです。しかし実際には、全くといっていいほど活用されませんでした。

失敗例2.企業型確定拠出年金

メディアなどで「老後2,000万円問題」が騒がれ始めたころ、当院でもスタッフに正しい金融知識を身につけ将来に備えて欲しいという想いから「企業型確定拠出年金」を導入しました。個人型とは違い、事務費用負担と加入手続きを法人が担うことから、個人型よりも加入ハードルが下がると考えたのです。

「資産を預金だけで持つべきではない」と企業型確定拠出年金を行う重要性を伝え、ファイナンシャルプランナーの資格を持つスタッフにお願いして複数回、節税方法などをレクチャーしてもらいましたが、いまいち浸透しておらず、加入者の割合は少ないままです。

「よかれと思って」がうまくいかなかった原因

このように、よかれと思って導入した福利厚生サービスですが、あまりうまくいかなかった原因は「院長目線」で導入したことにあります。

新しい福利厚生を導入する際には、事前にスタッフのニーズをしっかり把握することが重要です。導入する院長や経営者目線ではなく、サービスを享受するスタッフ目線に立つことで、双方の満足度を高めることができます。

【導入してよかった! スタッフの満足度が高い福利厚生3選】
成功例1.検診費用の補助

上記の失敗から、筆者は当院のスタッフにどんな福利厚生があったら嬉しいか、ヒアリングを行いました。

すると、「子宮頸がん・乳がん検診を受診する際に補助を出して欲しい」という声が上がりました。女性特有の疾患である子宮頸がん・乳がんですが、クリニックで働くスタッフというのは現状、女性が大半です。導入すれば助かる人が多いのは間違いありません。

要望を受け、筆者は早速「検診時半額を補助する」という福利厚生を導入しました。活用するスタッフは多く、満足度も高いようです。「ニーズを聞く」ことの重要性がよくわかった経験でした。

成功例2.置き型社食

仕事が忙しくつい外食やコンビニ弁当が多い人や、少しでも帰宅してからの家事を時短で済ませたい人に向けて、「置き型社食」を導入しました。

置き型社食とは、民間企業が提供する福利厚生サービスのひとつです。社員食堂を新たに設置するのが難しい中小企業などに向けて、「コストを抑えられ、手軽に導入でき、満足度が高い」として注目されています。

導入する側は、冷蔵庫が置けるスペースを確保し、サービスに申し込むだけで利用できます。社食専用の冷蔵庫が設置され、そこに毎月栄養バランスのとれた惣菜が届くのです。

当院が導入している置き型社食は、利用時に1品につき100円を支払うシステムです。電子レンジで温めるだけで食べることができるので、手間がかかりません。惣菜は持ち帰ることもできるため、忙しく働くスタッフに高い評価を得ています。

導入にあたってはスタッフを含めて試食を行い、アンケートの結果ニーズが高いことを把握したうえで実施に踏み切りました。

また当院では、「医療従事者である我々が健康であるからこそ、病気の患者さんに元気を与えられる」という考えのもと診療を行っており、筆者としてもスタッフにはできるだけ栄養価の高いものを食べてもらいたいという想いがあります。

そのため、国産原料が優先的に使用され、不要な添加物の入っていない「置き型社食」は、導入してよかったサービスのひとつです。

成功例3.自社農園で作った無農薬野菜の配付

上記の考えから、当院では某所に畑を借り、無農薬野菜の栽培を始めました。そこで収穫した玉ねぎ・さつまいも・トマト・レタスなどの無農薬野菜は、スタッフに無料で配っています。

スーパーなどで買うと割高な無農薬野菜を無料でもらえると、スタッフに好評です。野菜の配付を通じて、健康経営に繋げたいと考えています。

行政に頼るのもひとつの手!

市町村などが中小企業向けに提供している「福祉共済」は、個々の企業では導入しにくい充実した福利厚生サービスを提供しています。月々の会費が比較的安いわりに、サービス内容が手厚いものが多いのが特徴です。

たとえば、結婚・出産・子どもの入学時のための祝金や傷病時・災害時の見舞金、弔慰金、退職慰労金などの給付事業、舞台の観劇チケットやスポーツ観戦チケットが安く購入できる余暇支援といったサービスがあります。

当院でも、市の福祉共済に加入。筆者の経営するクリニックは球場が近いため、この余暇支援を利用して割引チケットを手に入れ、筆者とスタッフ、そのご家族を交えて野球チームの応援に行くなど、法人内のコミュニケーションの活性化に役立てていました。

残念なことに、現在は市の福祉共済事業が終了してしまったため、祝金や見舞金といった給付事業については内製化し、継続して福利厚生サービスを提供しています。

まとめ

充実した福利厚生制度を整えることで、スタッフとその家族の生活が豊かになり、モチベーションの向上につながります。また、新たなスタッフがクリニックで働く動機のひとつになるでしょう。

当院でも、これからもスタッフの満足度を高める福利厚生制度を考え、積極的に導入していきたいと考えています。

著者:
梅岡 比俊(うめおか ひとし)
【医療法人梅華会 理事長】開業医コミュニティ「M.A.F」主宰(出典:株式会社幻冬舎ゴールドオンライン)

クリニック・医療業界の経営 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

 

Q、現場での仕事が好きで、管理者にはなりたくない(なれない)職員には、 キャリアアップの仕組みを適用できない?

A、キャリアパスは個人の能力・適正に応じて、「指導・監督層」になるコースとは別に「専門職」コースを準備し、専門職のキャリアステップと昇給制度で運用しています。

現場では、「優秀な職員ほど役職にはつきたがらない」とか、「知識・技術面でわからないことについて、皆が教えてもらえる職員は決まっており、しかもその職員は役職者ではない」、といった話がよく聞かれます。そこで考えるべきなのが、キャリアパスにおける「複線化」です。つまり、キャリアパスに描かれた昇格ラインによらずに、役職にはつかずに専ら専門性を高め、組織に貢献するキャリアパスを作ることです。この階層を「専門職」として、上級介護職の水準を超える水準をもって処遇します。この場合、当該職員はマネジメント業務を行わず、専ら好きな介護の道を追い続けても、相応の処遇が保障されることになります。専門性の高さを認められてこその処遇なので、職員のプライドも充足することができます。

また、優秀な人材を滞留させては離職につながりかねません。中小企業の中には職員が自らポストの数を読んで、諦めムードが漂っているようなケースも散見されますが、「専任職」を設けて、「当法人は、管理上の役職だけがポストではない。専任職というスキル面のリーダーもあり、相応に処遇する」と周知すれば閉塞感が一気に変わるはずです。

 

24年度診療報酬改定の基本方針を決定、働き方改革が重点課題に―社保審部会

社会保障審議会の医療部会と医療保険部会で、来年度の診療報酬改定の基本方針がまとまりました。中心となる重点課題は医療従事者の人材確保・働き方改革です。

他に地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DX、安心・安全で質の高い医療の推進、効率化・適正化を通じた医療保険制度の安全性・持続可能性の向上などを挙げています。

社会保障審議会の医療部会と医療保険部会は12月8日、2024年度診療報酬改定の基本方針をまとめた。医療従事者の確保と働き方改革の推進を重点課題に位置付けるとともに、物価高騰や賃金上げへの対応、かかりつけ医機能を担う医療機関と介護支援専門員との連携強化などに取り組む方針を明示した。

  

改定の基本的視点には、(1)現下の雇用情勢も踏まえた人材確保・働き方改革等の推進、(2)ポスト2025を見据えた地域包括ケアシステムの深化・推進や医療DXを含めた医療機能の分化・強化、連携の推進、(3)安心・安全で質の高い医療の推進、(4)効率化・適正化を通じた医療保険制度の安全性・持続可能性の向上―の4項目を掲げ、このうち(1)を重点課題とした。

 

1)を実現するための具体的方向性の例では、22年度に実施した看護職員の処遇改善の取り組みや、政府の総合経済対策(2311月閣議決定)を踏まえつつ、医療従事者の人材確保や賃上げに向けた取り組みを推進する。タスク・シェアリング/タスク・シフティングや業務の効率化に資するICTの利活用の推進、医療人材・資源の偏在対策なども進めるとした。

 

■生活習慣病患者等への説明に関する評価見直しなど盛り込む

 

(2)の医療DXの関係では、①マイナ保険証を活用した、質が高く効率的な医療の提供、②電子処方箋の普及、③電子カルテ情報の3文書・6情報の活用を通じた医療連携の取り組み―を推進。医療機能の分化・強化・連携では、④23年4月の医療法改定を踏まえた生活習慣病等の継続的な医療を要する者に対する説明に関する評価の見直し、⑤かかりつけ医機能を担う医療機関が地域の介護支援専門員や介護サービス事業者と「顔と顔の見える関係性」を構築し、有機的な連携を行うことを推進―などに取り組む。

  

(3)の「質の高い医療の推進」には、①食材料費、光熱費をはじめとする物価高騰を踏まえた対応、②生活習慣病の増加等に対応する効果的・効率的な疾病管理と重症化予防の取り組みの推進―などを盛り込んだ。

 

(4)の「効率化・適正化」では、後発医薬品やバイオ後続品の使用、長期収載品の保険給付のあり方の見直しのほか、医師と薬剤師の協働による医薬品適正使用の取り組みとして、重複投薬、ポリファーマシー、残薬や適正使用のための長期処方のあり方への対応、リフィル処方箋の活用―などを実施するとした。(出典:医療新報)

 

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