保育
職員採用において「面接では良い人材だと思ったのに、すぐ辞めてしまった」「現場と合わずトラブルになった」といった悩みは、多くの企業で共通しています。特に介護・保育・クリニックなどの対人サービス業では、人材の定着が経営を大きく左右します。
こうした課題の根本原因の一つが「採用ミスマッチ」です。そして、そのミスマッチを防ぐ有効な手段として注目されているのが「適性診断」です。本記事では、社労士の視点から、適性診断の重要性と導入すべき理由を実務ベースで解説します。
採用ミスマッチが起きる本当の理由
採用ミスマッチが発生する最大の要因は、「見える情報」と「見えない情報」のギャップです。
履歴書や職務経歴書では、資格や経験といったスキルは把握できます。また、面接では人柄やコミュニケーション力をある程度確認できます。しかし、実際の現場で重要となるのは、以下のような“見えにくい要素”です。
- ストレス耐性
- 協調性・対人関係力
- 指示への反応傾向
- 感情コントロール
これらは面接だけでは正確に把握することが難しく、結果として「採用してみないと分からない」という状態に陥ります。特に介護や保育の現場では、対人ストレスが高いため、この見えない部分のズレが早期離職につながるケースが非常に多いのです。
適性診断とは何か?
適性診断とは、応募者の性格特性や行動傾向、職種適性などを客観的に測定するツールです。
例えば、以下のような項目を数値化・可視化します。
- 協調性の高さ
- ストレス耐性
- 主体性・積極性
- ルール遵守傾向
- 対人コミュニケーションタイプ
つまり、適性診断は「面接では見抜けない部分を補完するツール」であり、採用の精度を高めるための重要な判断材料となります。
適性診断を導入すべき5つの理由
① 採用ミスマッチを防止できる
最大のメリットは、やはりミスマッチの防止です。性格や価値観が組織と合っているかを事前に把握することで、「入社後に合わない」というリスクを大幅に低減できます。
② 定着率の向上につながる
適性が合った人材は、職場への適応がスムーズです。その結果、早期離職が減り、定着率の改善につながります。特に人材不足が深刻な業界では、この効果は非常に大きいといえます。
③ 面接の質が向上する
適性診断の結果をもとに面接を行うことで、より深い質問が可能になります。
例えば、「ストレス耐性が低め」という結果が出た場合、その対応方法や過去の経験を具体的に確認できます。これにより、面接の精度が格段に向上します。
④ 配属ミスを防ぐことができる
同じ職種でも、現場によって求められる適性は異なります。例えば、
- 忙しい現場 → スピード・柔軟性重視
- 落ち着いた現場 → 丁寧さ・安定性重視
適性診断を活用すれば、配属先との相性を見極めることができ、配置ミスによる離職を防ぐことが可能です。
⑤ 管理職との相性も把握できる
見落とされがちですが、「上司との相性」は離職理由の大きな要因です。適性診断により、指示の受け方やコミュニケーションスタイルを把握することで、組織内の人間関係リスクを軽減できます。
適性診断を導入しないリスク
適性診断を導入していない場合、企業は大きなリスクを抱えることになります。
例えば、1人の採用にかかるコストは、広告費や教育コストを含めると50万円〜100万円程度になることも珍しくありません。にもかかわらず、ミスマッチによって短期間で離職してしまえば、その投資は無駄になります。
さらに、現場の職員に負担がかかり、既存スタッフの離職を招くという“負の連鎖”も発生します。これは経営にとって非常に大きな損失です。
適性診断の効果的な活用方法
適性診断は導入するだけでは意味がありません。重要なのは「使い方」です。
実務上は以下の流れがおすすめです。
- 書類選考後に適性診断を実施
- 結果をもとに面接質問を設計
- 配属や教育方針の参考にする
- 入社後のフォローにも活用
このように、採用から定着まで一貫して活用することで、初めて最大の効果を発揮します。
よくある誤解「適性診断は当てにならない?」
「適性診断は当てにならない」という声もありますが、これは半分正解で半分誤解です。
確かに、適性診断だけで採否を決めるのは危険です。しかし、面接と組み合わせることで、判断の精度は大きく向上します。
つまり、適性診断は「万能ツール」ではなく、「意思決定を支える材料」として活用することが重要です。
まとめ|採用は“確率”ではなく“精度”の時代へ
これからの採用においては、「なんとなく良さそう」という感覚的な判断ではなく、データに基づいた意思決定が求められます。
適性診断は、採用ミスマッチを防ぎ、定着率を高めるための有効な手段です。特に介護・保育・クリニックといった対人サービス業では、その重要性はますます高まっています。
採用に課題を感じている企業こそ、適性診断の導入を検討すべきタイミングです。
採用の質を高めたい、離職を減らしたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。適性診断の導入から運用まで、実務に即したサポートを行っています。
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保育業界に特化した人材サービスを全国で展開する株式会社アスカ(本社:群馬県高崎市、代表取締役会長:加藤秀明)は、保育士を対象に「職場のコミュニケーション」に関するアンケート調査を実施いたしました。
4月の新年度は、新入職員の受け入れや職員配置の変更などにより、職場環境が大きく変化するタイミングです。本調査では、こうした変化の中で重要となる「コミュニケーション」に関して、保育現場の実態を明らかにしました。
その結果、保育士の約8割がコミュニケーションに関する悩みを抱えた経験があることが分かりました。さらに97.5%が「業務に影響する」と回答しており、保育現場における重要な課題が明らかになりました。
約8割の保育士がコミュニケーションに悩みを経験
本調査では、「職場内のコミュニケーションで悩んだことはありますか?」という質問に対し、79.7%が「ある」と回答しました。
保育現場ではチームでの連携が不可欠である一方、日々の業務の忙しさや人間関係の難しさから、円滑なコミュニケーションが取れないと感じる保育士が多い実態が明らかになりました。
約3割が現在も「コミュニケーションが取りにくい」と回答
「現在の職場(または直近の職場)は、コミュニケーションが取りやすいですか?」という質問では、「とても取りにくい」「やや取りにくい」と回答した人が合計で26.4%にのぼりました。
一定数の保育士が、現在もコミュニケーションに課題を感じていることが分かります。
新年度に向けて新しい職員が加わる中、既存職員との関係構築や情報共有の在り方が、より一層重要になると考えられます。
97.5%が「コミュニケーションは業務に影響する」と実感
「コミュニケーションの充実が業務に影響すると思いますか?」という問いに対しては、「非常にそう思う」が76.4%、「ややそう思う」が21.1%となり、合計97.5%が業務への影響を実感している結果となりました。
保育現場におけるコミュニケーションは、単なる人間関係にとどまらず、保育の質や安全性、業務効率にも大きく関わる重要な要素であることがうかがえます。
コミュニケーションが取りやすい職場の特徴
「コミュニケーションが取りやすい理由」としては、以下のような回答が多く見られました。
・気軽に声をかけやすい雰囲気がある
・職員同士の関係性が良好で相談しやすい
・情報共有がしっかり行われている
心理的に安心して発言できる環境と、日常的な情報共有の仕組みが、円滑なコミュニケーションにつながっていると考えられます。
コミュニケーションが取りにくい要因
一方で、「取りにくい理由」としては以下が挙げられました。
・情報共有や引き継ぎが不十分
・忙しく、話しかけるタイミングが難しい
・意見を言いづらい雰囲気がある
これらの結果から、コミュニケーションの課題は個人の問題ではなく、「職場環境」や「仕組み」に大きく左右されることが分かります。
保育士のリアルな声「質問しづらい」「引き継ぎ不足」などの悩み
【職場でのコミュニケーションで困ったり悩んだりした「保育士あるあるエピソード」を教えてください】という質問(自由回答)では、現場のリアルな声が多く寄せられました。
・「忙しそうで質問するタイミングが分からない」
・「引き継ぎが不十分で情報共有がうまくいかない」
・「人によって言うことが違い、混乱することがある」
・「意見を言いづらい雰囲気がある」
日々の業務の中で感じる“ちょっとした言いづらさ”や“伝わらなさ”が、現場で働く保育士のストレスにつながっている様子がうかがえます。
新年度の“受け入れ体制”が定着の鍵に
今回の調査結果から、保育士の職場定着には、給与や待遇だけでなく「コミュニケーションの取りやすさ」が重要な要素であることが改めて明らかになりました。
また、アスカが実施した過去のアンケート調査(保育観に関する調査)においても、職場を長く続けられる条件として、約83%の保育士が「人間関係が良い」と回答しており、保育士にとって人間関係やコミュニケーション環境が就業継続に大きく影響していることがうかがえます。
「仕事観の本音」定着のカギは”人間関係”―前回調査の詳細はこちら
特に新年度は、新入職員の受け入れや配置変更により、コミュニケーションの質が職場全体に影響を与えやすい時期です。受け入れ体制や情報共有の仕組みづくりが、早期離職の防止や職場定着に大きく関わると考えられます。
―性加害リスクに対し、経営者が取るべき判断と備えとは―
本セミナーは全2回構成とし、第1回では、「もし性加害(虐待)の通報を受けたら?~事例から見る初動対応の留意点~」をテーマに、問題発生時の初動対応から再発防止につなげるための考え方を解説します。
第2回では、「職員の前科が判明したら?~日本版DBS実践編~」をテーマに、日本版DBSを踏まえた職員の前科判明時の実務対応や、園として求められる体制整備について、実務の視点から整理します。
開催背景
2026年12月25日から日本版DBS(日本版犯罪経歴照会制度)が施行されるなど、児童への性加害への対策は、保育・幼児教育の現場において「待ったなし」の状況となっています。
一方で、
・児童への性加害は後を絶たず
・被害にあった子ども自身が被害を適切に言語化できないケースも多い
・人間関係や心理的なハードルから疑念や違和感があっても園内で共有・報告されにくいケースがある
といった現実があり、園の現場や経営者にとっては、判断の難しさと責任の重さが年々増しています。
また、日本版DBSにより職員の前科が判明した場合、園としてどのような体制を整えるべきかについて、不安や疑問を抱える経営者の方も少なくありません。
もし、ある日突然「不適切な行為があったかもしれない」と一報を受けたら、
その瞬間から、経営者には極めて難しい判断が連続します。
・何を最優先すべきか
・誰に、どのタイミングで説明するのか
・警察や行政にはいつ、どのように相談すべきか
対応を誤れば、子どもの二次被害や園の信頼失墜につながりかねません。
本セミナーでは、子どもの安全を最優先にしつつ、経営者として押さえるべき実務上のポイントとして、「問題発生時の初動対応」と「日本版DBSなど制度対応を含む平時の備え・安全体制の整備」を事例を交えて整理します。
開催概要 ~全2回共通~
開催日時:【第1回】2026年3月25日(水) 12時00分~12時45分
【第2回】2026年4月28日(火) 12時00分~12時45分
開催形式:ZOOMによるウェビナー
参加費:無料
対象:保育園・幼稚園・こども園の経営者/園長/法人本部担当者など
申込方法:以下、セミナー詳細ページよりお申込みください
【お問い合わせ】
セミナーや法律に関する相談などお待ちしております。
〒100-0004
東京都千代田区大手町二丁目1番1号 大成大手町ビル10階
TEL:03-3272-0101
FAX:03-3272-0102
メール:seminar3@jmatsuda-law.com
■もはや「選ばれるための必須要件」になっている
「人数が増えてきて目が届かなくなってきたから、そろそろ人事評価制度を入れよう」
以前はこのように考えられることが多かったかもしれません。ところが、いまや状況は大きく変わってきています。
学校のキャリアセンター(昔は就職課といっていました)では、就職先の企業に人事評価制度があるかどうかが重要確認項目になっています。
ハローワークなどでも「地域」「給与」などというような条件とともに人事評価制度の有無も確認事項になってきているのです。
つまり、人事評価制度は「あったらいいもの」から「選ばれるための必須要件」になってきているということなのです。
■「採用」に有利――見えるスペックとしての人事制度
募集をしても人が来ない、採用ができない―――。
未曾有の人材不足の時代、どの企業でも抱えている重要な問題ではないでしょうか。
採用時、求職者はまだ会社の中身を詳しくは知りません。
ですから、給与額、休日日数、労働時間といった「見えるスペック」で判断せざるを得ないのです。
そして、その「見えるスペック」のひとつとして「人事評価制度があるかどうか」が大きな判断材料になってきているのです。
人事制度があるということは、「この会社は自分の成長やキャリアを考えてくれている」「頑張りをちゃんと認めてくれる仕組みがある」というメッセージになります。
■「定着」に効果――動機づけ要因として機能する
実は「採用」と「定着」に影響を与える取り組みは、同じような内容と思われがちですが、実はちょっと違ったりします。
ハーズバーグの2要因理論というものをご存じでしょうか。
人のモチベーションには「衛生要因」と「動機づけ要因」の二つがある、というものです。
「衛生要因」とは、給与、労働時間、休日といった条件面のこと。これらは欠けてしまうと一気に不満足になってしまいます。採用時には非常に重要な「見えるスペック」です。
しかし、どれだけ良い条件にしても、それは大きな満足にはならず、それがまた基準となって引き下がると不満になってしまう――――そういう性質のものなのです。
一方で「定着」には「動機づけ要因」が重要になります。
頑張ったら上司、会社から承認される。ここにいたら成長できる。目標の達成感がある。責任のある役割を与えられたり、頼りにされる――――。
これらの「動機づけ要因」は足りなくても不満の声は上がってきませんが、満足度は引きあがらないのです。
どんなに左の「衛生要因」を整備して人を採用しても、右の「動機づけ要因」がないと、人は辞めていってしまうかもしれません。特に前向きで成長意欲のある人から。
そして、この右の「動機づけ要因」は、ほとんどが「人事評価制度」を適切に運用することで大きな影響を与えることができるのです。
「人事評価制度」があることが、採用にも定着にも非常に重要なのですね。
■「将来を見せる」ことができる――不安を安心に変える
人事評価制度があるということは、社員に「将来を見せる」ことができるということでもあります。
「この会社で頑張っていったら、自分はどうなれるのか」「どういうキャリアを歩めるのか」――――。
等級制度があれば、どのような役割を担っていけば次のステップに進めるのかが明確になります。
評価制度があれば、何を頑張れば認められるのか、どんなスキルを身につければ成長できるのかが見えてきます。
賃金制度があれば、頑張った結果がどのように給与や賞与に反映されるのかがわかります。
この「見える化」が、社員の不安を安心に変えるのです。
逆に、人事制度がないとどうなるでしょうか。
「頑張っても認められるかどうかわからない」「この会社にいても将来が見えない」――――。
そう思われてしまったら、優秀な人ほど他の会社に目を向けてしまうかもしれません。
■データが証明する人事制度の効果
実は中小企業庁が興味深いデータを出してくれています。
2015年と2020年を比較した売上増加率を、人事評価制度の有無別に見たもの。
やはり人事評価制度のあるところの方が業績は上がっているという結果が出ているのです
考えてみれば当然でしょうか。
会社目標に向かって個人が目標を立て進んでいく、求める人材像を明確にして、それを伸ばして人材育成を行なっている――――。
当然差が出てくることでしょう。
■いまこそ、人事制度という武器を
人事評価制度は、もはや「あったらいい」ものではなく、企業規模にかかわらず必須のものになってきています。
採用においても、定着においても、人材育成においても。
そして業績向上においても。
人事制度があることは、大きな武器になるのです。
いま、この武器を手にしていますでしょうか。
それとも、これから手にしていくところでしょうか。
はじめに
「管理監督者だから残業代は不要」
このような理解で運用している事業所は、介護・保育・クリニック業界において非常に多く見受けられます。しかし、これは大きなリスクを孕んでいます。
労働基準法における管理監督者は、単なる役職者ではなく、極めて限定的に認められる存在です。誤った運用は未払い残業代請求や労働基準監督署の是正勧告につながるため、正しい理解と実務対応が不可欠です。
本コラムでは、現場で頻発する問題点と、その具体的な対応策を解説します。
管理監督者とは何か(基本整理)
労働基準法第41条における管理監督者は、以下のような特徴を持つ者を指します。
- 経営者と一体的な立場にある
- 労働時間の裁量がある
- 重要な人事・経営判断に関与する
- 賃金面で優遇されている
重要なのは、「肩書きではなく実態」で判断される点です。
現場で多い3つの誤解
①「管理職=管理監督者」という誤解
例えば、以下のようなケースです。
- 介護施設のフロアリーダー
- 保育園の主任保育士
- クリニックの看護師長
これらは一般的に「管理監督者」とは認められないケースが多いです。理由は、経営判断権限が限定的であるためです。
②タイムカード管理をしている
管理監督者であれば、本来「厳密な労働時間管理」は不要です。
しかし実務では
- 出退勤時刻が厳格に管理されている
- 遅刻・早退で給与控除がある
このような状態であれば、労働者性が強く、管理監督者とは認められにくくなります。
③賃金が一般職と大差ない
管理監督者には、以下が求められます。
- 役職手当が十分に高い
- 年収ベースで一般職より明確に上位
例えば、
「月2万円の役職手当のみ」
では、管理監督者性は否定される可能性が高いです。
実務上の典型的トラブル事例
事例①:訪問介護事業所のサービス提供責任者
サービス提供責任者を「管理監督者」として残業代未払いとしていたが、以下の理由で否認。
- シフトに完全拘束
- 採用権限なし
- 利用者対応中心
結果:過去2年分の残業代支払い
事例②:保育園の主任保育士
主任であることを理由に残業代不支給としていたが、
- 園長の指示に従うのみ
- 労働時間の自由なし
結果:労基署是正+職員の不信感増大
事例③:クリニックの事務長
名ばかり事務長で実態はプレイヤー業務中心
- レセプト業務に従事
- 医師の指示に従属
結果:未払い残業代+退職後請求
管理監督者が否認されるリスク
管理監督者として認められなかった場合、以下のリスクがあります。
- 未払い残業代(最大3年分)
- 付加金(同額)
- 労基署の是正勧告
- 採用・定着への悪影響
特に介護・保育業界では「人材不足」が深刻であり、信頼低下は致命的です。
実務対応策(重要ポイント)
①「管理監督者にするか」を再検討する
結論として、以下の職種は原則対象外と考えるべきです。
- サ責(サービス提供責任者)
- 主任保育士
- 看護師長(小規模クリニック)
無理に管理監督者扱いをするよりも、「適切に残業代を支払う」方がリスクは低いです。
②要件を満たす場合の制度設計
本当に管理監督者とする場合は、以下を整備します。
・権限の付与
- 採用・評価への関与
- シフト決定権
- 業務指示権
・労働時間の自由度
- 出退勤の裁量
- 遅刻早退の不問
・待遇の引き上げ
- 年収で明確な差をつける
- 役職手当の増額
③代替制度の活用
現実的には以下の方が有効です。
・固定残業代制度
一定時間分の残業代をあらかじめ支給
・役職手当+残業代支給
管理職としての処遇をしつつ法令順守
・変形労働時間制
介護・保育では特に有効
④就業規則の見直し
重要なチェックポイント
- 管理監督者の定義が曖昧
- 実態と規定が不一致
- 手当の根拠が不明確
これらはトラブルの原因となります。
介護・保育・クリニック特有の注意点
人手不足による「名ばかり管理職」
現場ではプレイヤー業務が中心になりがちです。
これにより、管理監督者性が否定されやすくなります。
感情トラブルへの発展
未払い残業は単なる金銭問題ではなく、
- パワハラ認定
- 退職トラブル
に発展するケースもあります。
まとめ
管理監督者制度は「便利な残業代回避手段」ではありません。
むしろ、誤った運用は大きな経営リスクとなります。
特に重要なポイントは以下の3点です。
- 肩書きではなく実態で判断される
- 権限・裁量・待遇の3要素が必須
- 無理に適用せず代替制度を検討する
最後に(専門社労士からの提言)
介護・保育・クリニック業界では、「現場優先」の文化から制度設計が後回しになりがちです。
しかし、これからの時代は
「労務管理=採用力」
です。
管理監督者の適正運用は、単なるコンプライアンスではなく、
人材定着と経営安定の基盤となります。
一度、自社の管理職の実態を見直してみることを強くお勧めします。
日本生命保険が主導して設立した共同事業体(コンソーシアム)が、2026年度から保育士の業務効率化の支援事業を本格化させる。
日生と傘下のシステム会社ニッセイ情報テクノロジー、ニチイ学館、保育事業者の学研ホールディングス、グローバルキッズ、ライクの計6社が25年3月、「保育イノベーションコンソーシアム」を設立し、10月には社会福祉法人すくすくどろんこの会が加わった。事業者単独では実現が難しい人材確保やDX推進、コスト削減など業界に共通する課題解決を目的とする。
日生と傘下のシステム会社ニッセイ情報テクノロジー、ニチイ学館、保育事業者の学研ホールディングス、グローバルキッズ、ライクの計6社が25年3月、「保育イノベーションコンソーシアム」を設立し、10月には社会福祉法人すくすくどろんこの会が加わった。事業者単独では実現が難しい人材確保やDX推進、コスト削減など業界に共通する課題解決を目的とする。
コンソーシアムはこの1年、保育士の働き方を調査し、労働環境の課題を整理したほか、子どもの情報管理や事務作業をデジタル化するシステムの実証実験を完了した。現在、26年度からの開始を目指す外販に向けて改修している。
また、全国に約110万人とされる潜在的な保育士の復職を後押しするため、短時間勤務でも可能な受け入れ先と人材を結ぶマッチングの仕組み作りを進めており、26年度中の実用化を目指している。将来の人材確保につなげるために保育士養成施設と連携し、中高生に保育の魅力を発信する取り組みも進めている。
このほか、消耗品にかかるコスト削減を目的にした共同調達の可能性も検討中だ。
「持続的な運営支える基盤作り目指す」
共働き世帯の増加や26年度から就労に関係なく保育施設を利用できる「こども誰でも通園制度」が全国で始まることなどから、保育ニーズは高まっている。一方で、現場では保育士不足が慢性化しており、保育の質を維持しながら業務負担を軽減することが急務となっている。日本生命ライフサポート事業部長の笠原有子氏に、保育業界のこうした現状やコンソーシアムの取り組みについて聞いた。
――保育領域に力を入れるのはなぜか。
「少子高齢化が進む中、保険だけではカバーできないニーズやリスクが広がっている。24年度から3年間の中期経営計画では、保育・介護を、生命保険と並び安心を提供する領域として位置づけ、取り組みを強化することにした」
「保育は地域単位の小規模事業者が多く、横のつながりが生まれにくい。単独では、業務効率化やデジタル投資も進まない。持続的な運営を支える基盤作りを目指し、設立したのが保育イノベーションコンソーシアムだ」
「日本生命は24年、ニチイホールディングスを買収して保育事業に参入した。コンソーシアムで得られた知見を生かし、地域の保育事業者向けに保育士の採用育成や資金支援などの経営支援サービスを提供することを目指している。将来的には、保育事業者を通して地域住民と接点を作り、保険事業に結びつけたいコンソーシアム発足から1年の手応えは。
「準備、体制作りの1年だった。活動の軸となるステートメントを策定し、キープレーヤーであるこども家庭庁へも活動状況を定期的に伝えて、コンソーシアムの存在感を示せた。復職支援や共同調達スキームの検討など、来年度の実装に向けた足がかりは築けた」
今後の課題は。
「社会福祉法人の参加を増やすことだ。00年の規制緩和で株式会社の保育市場への参入が認められたが、依然として運営主体は社会法人が多数を占める。ともに課題に取り組まなければ、根本的な解決にはつながらない。1法人の参加で終わらせるのではなく、賛同の輪を広げていく必要がある」
「そのためにも、潜在保育士のマッチングやITインフラの構築などを早期に実現し、取り組みへの理解を広げたい。日本生命は保育運営を本業としない立場だからこそ、運営目的の異なる事業者をつなぐハブとして機能し、保育業界全体の発展に貢献していきたい(読売新聞オンライン)
新・処遇改善加算に対応
評価制度・給与制度の作り方
~キャリアパス整備のポイントを
保育園専門社労士が解説~
以下のようなお悩みをお持ちの方は1度ご相談ください /
①新しい処遇改善加算への対応方法を知りたい
②新処遇改善ではキャリアパス整備が重要になる!
「従来の2%の加算」から新区分では「不支給」に改定
③園の理念を浸透させる手段として評価を活用したい
④職員のモチベーションを高め、定着につながる
評価制度・賃金制度を作りたい
詳細は下記をご覧ください。
保育業界における処遇改善は、これまで複雑な加算制度によって運用されてきましたが、2026年前後を境に制度の一本化・再設計が進んでいます。
1.制度の大きな方向性:一本化と透明化
2026年の保育分野の処遇改善のキーワードは以下の3点です。
・処遇改善等加算の一本化
・人件費の底上げ
・経営情報の見える化
従来は
・処遇改善Ⅰ
・処遇改善Ⅱ
・処遇改善Ⅲ
など複雑な体系でしたが、今後はよりシンプルで「説明責任が果たせる制度」へ移行していきます。
2.処遇改善の水準と実態
現在の処遇改善水準は、
・月額12,000円〜38,000円(区分1)
・役職者で5,000円〜40,000円
とされており、園ごとの配分に委ねられています。
ここで問題となるのが、
「同じ制度でも園ごとに待遇差が大きい」点です。
今後はこの格差を是正する方向に進む可能性が高いと考えられます。
3.“見える化”が園経営に与える影響
近年の制度改正では、
・財務情報公開
・人件費比率の明確化
などが求められています。
これにより、
✔ 職員
✔ 保護者
✔ 行政
すべてに対して、説明責任が強化されます。
つまり、
「処遇改善をしているか」ではなく
「どう配分しているか」まで問われる時代です。
4.人材確保競争の激化と処遇改善
保育業界は引き続き人材不足が続いており、処遇改善は採用競争の核心となっています。
しかし重要なのは、
単なる給与アップでは定着しない点です。
現場では以下の声が多く見られます。
・評価が不透明
・昇給基準が曖昧
・役職の意味が不明確
つまり、
制度の“設計”が弱い園ほど離職率が高い傾向があります。
5.社労士視点:園が取るべき対応策
① 配分ルールの明文化
・誰に
・いくら
・なぜ
→ 説明できる状態が必須
② 等級制度の導入
・一般保育士
・リーダー
・主任
→ 処遇改善Ⅱ・Ⅲとの連動
③ 評価制度の整備
・行動評価
・スキル評価
→ 「納得感」のある処遇へ
④ 採用ブランディングへの活用
・求人票に処遇改善の具体額を明記
・キャリアパスを提示
→ 応募率向上に直結
⑤ 園長・法人本部の意思統一
処遇改善は「園単位」ではなく
法人戦略として設計すべきです。
6.今後の展望:保育は“人事制度の時代”へ
今後の保育業界は、
単なる補助金依存ではなく
✔ 人事制度
✔ 組織設計
✔ 経営透明性
が競争力の源泉になります。
処遇改善加算はその中心にあり、
「制度を活用できる園」と「使いこなせない園」で
決定的な差が生まれる時代に入っています。
株式会社コドモン(本社:東京都品川区、代表取締役:小池義則)は、こども施設向け業務連絡ツール「せんせいトーク」において、施設の枠を越えた連携を支援する新機能「コミュニティ機能」を2026年3月5日にリリースいたしました。
本機能は、保育施設においてこれまでメールや個人用メッセージアプリに頼らざるを得なかった施設外との業務連絡を、仕事専用のコミュニティ環境で行えるようにするものです。リリースにあたり、本機能を評価いただいた株式会社ポピンズ(本社:東京都渋谷区、代表取締役:轟 麻衣子)での導入が決定いたしました。個人用メッセージアプリ利用による心理的負担を軽減し、保育・教育・療育業界における円滑な情報連携を支援します。
【本リリースのポイント】
●【新機能】 自治体や系列園、他施設などの施設外でつながれる「コミュニティ機能」をリリース。個人用メッセージアプリを介さないこども施設間の外部連携が可能に。
●【課題解決】 施設や組織の枠を越えた複数の知見で子どもを見守る環境づくりが可能に。加えて職員の「つながらない権利」にも配慮。
●【実績】 本機能を評価いただき、株式会社ポピンズが全325施設(2025年12月時点)への一斉導入を決定。
■拡大する「施設間連携」と、守るべき「職員の境界線」
こども施設を取り巻く環境は、子どもを社会全体で多角的に見守る制度設計への移行に伴い、職員の連携先が大幅に拡大しています。例えば、複数施設を運営する法人内の情報共有や、自治体と公営保育所の連絡、保育施設と児童発達支援センター、学童保育と放課後等デイサービスとの連絡などが挙げられます。
一方で、施設の枠を越えた職務上の連絡は、連絡手段がメールに限られるために、より利便性の高い個人用メッセージアプリを利用して連絡を取る実態があります(※1)。結果、「業務と私生活の境界が曖昧になりやすい」「情報管理が属人化し、組織で把握できない」といった課題が見受けられます。
現在、こども施設職員の労働環境の見直しや、労働者の「つながらない権利」への関心が高まっています。保育・教育・療育業界全体においても、「組織を越えた連携をしつつも、常時つながる状態を前提としない」、仕事専用の連絡手段が求められています。
※1 施設内コミュニケーションのアンケート調査
https://www.codmon.com/column/report_4/
■こども施設向けの業務連絡ツール「せんせいトーク」を「組織の外」へ拡張
新機能のベースとなる「せんせいトーク」(※2)は、こども施設で働く職員同士の円滑なコミュニケーションのための、業務連絡ツールです。個人のアカウントや電話番号を教え合うことなく、メッセージの送受信、写真や動画の共有、アンケートといった機能が利用できます。
※2 こども施設向け業務連絡ツール「せんせいトーク」
https://www.codmon.com/service/senseitalk/
これまで「施設内連絡」で運用してきたツールを、今回、自治体や系列園といった「施設外」へ拡張。施設の外部との連携ができる「コミュニティ機能」として実装いたしました。
■組織の枠を越えた連携ができる「コミュニティ機能」
今回追加された「コミュニティ機能」は、各施設の枠を越えて、“仕事専用のコミュニティ環境”を目的に応じて作成できる機能です。コミュニティの作成は各組織の管理者権限のもとで行われ、ガバナンスの効いた運用が可能です。また、職員の「つながらない権利」を尊重し、あえて「既読機能」を設けないことで、過度な即時性を前提としない設計としています。本機能は、コドモンの有料契約施設に所属し、コドモンのアカウントをお持ちの職員であれば利用できます(2026年3月時点)。

■株式会社ポピンズをはじめ、多施設運営法人にて続々導入決定
本機能は多施設運営法人への導入が広がる中、このたび株式会社ポピンズの全325施設(2025年12月時点)において、「せんせいトーク」および「コミュニティ機能」の導入が決定いたしました。
【導入の背景】
全国で多様な保育・学童施設などを展開する同社では、施設の枠を越えて知見や経験を共有し、保育の質を高めていくことを大切にしています。
本機能の「仕事専用の安全な環境で、安心して施設外とつなぐことができる」という特長が、同社の目指す「質の高い保育」と「働きやすい職場環境」の両立に合致し、全社導入に至りました。
【株式会社ポピンズ 取締役COO 田村 篤司さまコメント】
「弊社では、社員を大切にすることが最高水準の顧客サービスにつながるという『社員ファースト』プロジェクトを推進し、働きやすい環境の整備を進めてまいりました。本機能の導入により、施設を越えた円滑なコミュニケーションと知見の共有が促進され、社員にとってより働きやすい環境の実現につながると考えています。
今後も社員の働きやすさを実現し、弊社施設をご利用いただくお子さま・保護者さまに安全・安心、かつ質の高い保育サービスの提供を目指してまいります。」
株式会社ポピンズ
概要:https://www.poppins.co.jp/hldgs/
■地域がワンチームで子どもを見守る地域連携の基盤へ
コドモンは本機能の普及を通じて、子どもを見守る地域の関係機関がひとつのチームのように円滑に連携できる環境整備を目指しています。こうした組織の壁を越えた連携は、子どもたちが地域全体の知見に見守られる環境づくりにつながります。
コドモンは今後も、子どもを取り巻く環境をよりよくするため、テクノロジーを用いて向き合い、現場に生まれた「ゆとり」を通じて、子どもたちが質の高い教育・保育を享受できる未来を創造してまいります。
■株式会社コドモンについて
株式会社コドモンは、「子どもを取り巻く環境をテクノロジーの力でよりよいものに」というミッションを掲げ、業界シェアNo.1(※3)の保育・教育施設向けICTサービス「CoDMON(コドモン)」 を提供しています。園児/児童情報と連動した成長記録や指導案のスマートな記録、登降園管理、保護者とのコミュニケーション支援機能などを通して、先生方の業務負担を省力化します。これにより、子ども施設で働く職員と保護者の方々が、子どもたちと向き合うゆとりをもち、より質の高い保育ができる環境づくりを支援しています。
また、ICTによる支援だけでなく、保育施設向けECサービス「コドモンストア」、全てのこども施設職員が利用可能な優待プログラム「せんせいプライム」、保育施設向けオンライン研修プラットフォーム「コドモンカレッジ」も展開しています。これらの多角的な取り組みを通じて、「子どもの育ちや学びを社会全体で支えられる世の中へ」というビジョンの実現を目指します。





