福祉
来月から導入する新しいケアプラン検証の制度について、厚生労働省は22日、詳しい運用の方法や留意点などを明らかにする通知を発出した。介護保険最新情報のVol.1009で広く周知している。
対象となる事業所に対し、市町村が要介護度別に1件ずつ以上のケアプランを指定し、第1表、第2表、第3表などの届け出を依頼することと記載。依頼を受けた事業所は、指定されたケアプランに訪問介護が必要な理由などを書き込んだうえで、市町村へ届け出ることとしている。
介護保険最新情報Vol.1009
新しいケアプラン検証の制度は、
“区分支給限度基準額の利用割合が高く、サービスの大部分を訪問介護が占めるケアプランを策定している居宅介護支援を、事業所単位で抽出していく”
というもの。具体的には、以下の要件を満たす事業所がターゲットになる決まりとされた。適用は10月1日から。全体のおよそ3%の事業所がこれに該当するとみられている。
要件:事業所単位でみて、サービス費の総額が限度額に占める割合が7割以上で、その6割以上が訪問介護。
注)計画単位数を基に計算。市町村が地域の実情に応じて検証範囲を広げることも可能。
厚労省は今回の通知で、こうした新しいケアプラン検証の制度の趣旨を改めて明記。以下のように理解を求めた。
◯ サービスの利用制限を目的とするものではない。
◯ より利用者の意向や状態に合った訪問介護の提供につなげられるケアプランの作成に資することを目的とし、ケアマネジャーの視点だけでなく、多職種協働による検討を行い、必要に応じてケアプランの内容の再検討を促すためのもの。
厚労省はそのうえで、事業所の抽出、ケアプランの届け出、その検証といったステップごとに留意点などを提示した。ポイントは以下の通りだ。
1. 対象事業所の抽出
◯ 要件に該当している事業所、ケアプランの抽出が、国保連のシステムにより自動で行われる。この一覧表はサービス提供月ごとにまとめられ、少なくとも3ヵ月に1度の頻度で市町村へ送付される。
◯ 最初の送付は来年2月頃となる見通し。今年10月から12月のデータに基づく一覧表が作成される。
2. 届け出の依頼
◯ 市町村は抽出された事業所のケアプランのうち、上記の要件を満たしているものを個別に指定し、第1表、第2表、第3表、アセスメントシートなどの届け出を依頼する。
◯ ケアプランの個別指定は、最も訪問介護の利用割合が高いものなどを対象とし、要介護度別に1件以上ずつ行う。特定の要介護度の利用者がいない場合、その要介護度の届け出は不要。既に頻回生活援助の検証対象となっているものも除外される。
3. ケアプランの届け出
◯ 依頼を受けた事業所は、指定されたケアプランの妥当性を改めて検討し、そのケアプランに訪問介護が必要な理由などを記載したうえで、市町村へ届け出る。
◯ 訪問介護が必要な理由は、第2表の「サービス内容」に記載しても差し支えない。
4. ケアプランの検証
◯ 届け出を受けた市町村は、地域ケア会議などを活用し、多職種の視点でケアプランの内容を議論する。
◯ 検証方法は地域ケア会議だけでなく、市町村の職員やリハビリテーション専門職を派遣して開催する会議(サービス担当者会議の前後に行うものを含む)でも可。
5. ケアプランの再検討
◯ ケアプランの見直しが必要と指摘された事業所は、検証結果を踏まえて内容の再検討を行う。事業所内の同様・類似のケアプランについても再検討する。
◯ 適切な再検討、見直しが行われない場合、その事業所は再検証の対象となり得る。
◯ ケアプランの変更には利用者の同意が不可欠で、変更を強制することはできない。ケアマネや市町村は本人へ十分に説明しなければいけない。
※ 通知ではこのほか、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームに併設する事業所などのケアプラン検証の詳細についても記されているが、そちらは
別記事でお伝え致します。(介護ニュースより)
政府内で検討が進められている新型コロナウイルスワクチンの3回目の接種について、河野太郎行政改革担当相は21日の会見で、「高齢者は年明けになる。各自治体には3回目に向けた準備をお願いすることになる」と述べた。
「接種記録のデータを活用し、対象者を抽出して接種券を送ることになるだろう」との見通しも示した。介護現場の関係者らも支援に追われることになりそうだ。河野担当相は、「円滑に進むような仕組みを自治体と検討していく。なるべく接種する人の負担にならないような方法を考えて3回目に臨んでいきたい」と語った。
3回目の接種は、2回目の完了から概ね8ヵ月以上経過した人が対象となる。国内では今年2月下旬から医療従事者の先行接種が始まり、高齢者の接種が本格化したのはGW明けだった。年明けから多くの高齢者が8ヵ月以上の要件を満たしていくことになる。
厚生労働省は現在、具体的な対象者の範囲やワクチンの種類などを検討中だ。田村憲久厚労相は21日の会見で、「どういう方を対象とするか。全員とするのか。引き続き専門家とともに議論していく」と説明した。(介護ニュース)
介護記録や連絡は話すだけでOK! エクサウィザーズ「CareWiz」にインカム機能
ケアマネ介護経営人手不足介護福祉士住まい介護施設訪問介護現場革新テクノロジ通所介護処遇改善
介護現場の負担軽減に向けてエクサウィザーズが展開するAIアプリ「CareWiz 話すと記録」− 。新たなインカム機能が15日に追加され、音声だけでスタッフ間の連絡が取れるようになった。スマートフォンの操作も不要となり、利便性が一段と向上する。
「CareWiz 話すと記録」は、介護の記録や申し送りといった業務を発話だけで済ませられるアプリ。例えば、利用者の名前や介助の内容などを音声メモのように声に出して言えば、残りの仕事は丸投げでいい。AIが関連する重要な言葉を読み取って記録化する。それを他のスタッフが素早く、分かりやすく把握できるよう、カラフルなカード形式で保存・共有してくれる。
介護記録AIアプリ「CareWiz 話すと記録」に「インカム機能」を追加
新たなインカム機能では、スタッフ間のリアルタイムの連絡、情報共有にも対応。スマホを介することなく、メッセージを口にするだけで音声データを自動送信できる。ケアコネクトジャパンの「CAREKARTE(ケアカルテ)」とも連携しており、介護記録、情報連携、保険請求までを一気通貫で行える点もポイントだ。
静岡県静岡市のグループホーム「スマイル住まいる大岩」では、このインカム機能を試験的に利用している。取材に応じた担当者は、「職員が利用者から目を離す時間が減った。以前はケアの合間にスマホ画面に目を落とす場面もあった」と説明。「手がふさがっている状況でも連絡ができるようになり、無駄な作業が減った。業務がスピーディーに進むようになった」と変化を語ってくれた。
今回のインカム機能の追加により、「CareWiz 話すと記録」は介護現場の負担軽減を進めるための補助金の対象にもなった。エクサウィザーズの担当者は今後に向けて、「介護職がいかに手を空けられるか、いかに業務に集中できるようになるかを意識して、現場でより一層使いやすい仕組みとなるようアップデートを重ねていく」と意欲をみせた。
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コロナ禍を踏まえ各サービスの介護報酬を0.1%上乗せしている現行の特例措置について、15日の衆院・厚生労働委員会の閉会中審査では、与党の議員から政府に延長を求める声が相次いだ。田村憲久厚労相はこれを受け、「財務大臣としっかり話をしたい。現場の実態を踏まえて対応を検討していきたい」と前向な姿勢。
コロナ禍を踏まえ各サービスの介護報酬を0.1%上乗せしている現行の特例措置について、15日の衆院・厚生労働委員会の閉会中審査では、与党の議員から政府に延長を求める声が相次いだ。田村憲久厚労相はこれを受け、「財務大臣としっかり話をしたい。現場の実態を踏まえて対応を検討していきたい」と前向きな姿勢をみせた。
一方、財務省の船橋利実大臣政務官は、「財務省としては、コロナ患者の診療・治療への支援を更に充実していくことが重要と考えている。引き続き厚労省と対応を協議していく」と述べるにとどめた。
この特例措置は、コロナ禍で"かかり増し経費"が生じている介護現場などを支えるためのもの。今年4月、介護報酬改定の際に9月末までの時限措置として導入された。介護現場の関係者らは現在、「徹底した感染防止策が必要な状況は全く変わっていない」などと訴え、来月以降も継続するよう国に働きかけている。
この日の委員会では、自民党の橋本岳議員が「感染拡大が少し収まる方向へ向かっているとはいえ、まだ次の波も考えなければいけない状況。9月末での打ち切りはあり得ない」と主張。公明党の伊佐進一議員も、「まだまだ油断できない状況下で、現場には引き続き感染防止策に取り組んで頂かなければいけない。(特例措置を)続けるべきだ」と要請した。(介護ニュースより)
特養の経営者らで組織する全国老人福祉施設協議会は15日、介護報酬の加算の算定状況に関する独自の調査結果を公表した。
今年度に創設された「科学的介護推進体制加算」について、7月サービス提供分で特養の49.5%、通所介護の41.1%が算定したと報告している。全国老施協の担当者は、「新たな取り組みに積極的な施設が回答している可能性もある」と話した。
この調査は先月、老施協の会員を対象としてWebで実施されたもの。特養の2252施設、通所介護の1564事業所から有効な回答を得ている。
令和3年7月加算算定状況調査を実施
科学的介護推進体制加算は、今年度から本格的な運用が始まった「LIFE(科学的介護情報システム)」の活用を促すインセンティブとして、4月の介護報酬改定で各サービスに導入されたもの。調査ではLIFEの登録状況も尋ねており、特養の81.2%、通所介護の68.8%が「登録した」と答えている。
全国老施協の小泉立志副会長はこうした調査結果を踏まえ、「LIFEを導入しなければ収入増は見込めないのが現実。多くの事業者がそうした点を十分心得て、導入へ積極的な姿勢を示している」との認識を示した。
そのうえで、LIFEの有効性への疑問や職員の負担の増大など様々な相談が寄せられていると説明。「スタートからしばらくは有用なフィードバックも見込めないので、当面は現場の負担感に比してメリットは得られにくい。そのことに対する不満、不安は当然あると思う」と指摘した。あわせて以下のように語っている。
「一朝一夕に成果が得られるものではない。最初のうちはデータ集積に重点が置かれるが、有効なビッグデータを構築することで、科学的根拠に基づいた最適な介護を効率よく提供できるようになると期待されている。真の科学的介護を実現するためにも、介護業界が一丸となって取り組まなければならない」(介護ニュースより)
今年度の介護報酬改定の効果を検証しつつ、次の2024年度改定をめぐる議論で使うデータも集める − 。こうした目的で実施する今年度の調査の内容を、厚生労働省は10日の専門家会議で固めた。
新たなデータベース「LIFE(科学的介護情報システム)」の調査が柱の1つ。関連加算を算定している事業所の現状、課題などを把握し、より有効に機能させるために講じる施策の立案につなげる。また、LIFEへの登録がない事業所にもアンケートで考え方を聞く。
介護報酬改定検証・研究委員会資料
厚労省はあわせて、関連加算をまだ設けていない訪問介護、訪問看護、居宅介護支援などにも焦点を当てる。データ提出やフィードバックを試行するモデル事業を行い、具体的なユースケースなどを検討。この領域でもLIFEを活用できないか、関連加算を導入できないか可能性を探っていく。
モデル事業のスケールは、サービスごとに10事業所ほどを想定。例えば居宅介護支援では、LIFEに対応している通所介護のフィードバックをケアプランの見直しに活かす取り組みなどをテストし、課題の洗い出しを図る。
厚労省はこうした内容を今月末の審議会で正式に決める予定。来月にも調査を始め、今年度末に結果を報告する計画だ。
「かなりチャレンジングな調査になる」。専門家会議の松田晋哉委員長(産業医科大学教授)はそう指摘。訪問介護や居宅介護支援などのモデル事業について、
「LIFE活用の経験者はまだ少ない。伴走型で進めていく方法が合理的」と説明した。
このほか、「本当の意味で利用者のためになるのか、という視点が重要」「ICTをうまく使いこなせない事業所の実態把握、対応策も不可欠」などの声もあがった。
(介護ニュースより)
厚生労働省は15日、全国の高齢者施設でこれまでに発生した新型コロナウイルスのクラスターの発生件数が、9月13日0時の時点で計1953件にのぼったと明らかにした。
前週から34件増えた。デルタ株の影響などで一時は増加傾向が鮮明となったが、この2週はほぼ横ばいで推移。介護現場はリソースも乏しいなか必死の感染防止策を長く続けており、速やかな支援策の拡充が求められている。
田村憲久厚労相は15日の衆院・厚労委員会の閉会中審査で、「新規感染者数は全国的にかなりのスピードで減ってきているが、今後の動向を注視しなければいけない。冬場になるとより換気しずらいとなったが、この2週はほぼ横ばいで推移。介護現場はリソースも乏しいなか必死の感染防止策を長く続けており、速やかな支援策の拡充が求められている。(介護ニュース)
《 厚労省 》
厚生労働省は8日、全国の福祉施設でこれまでに発生した新型コロナウイルスのクラスターの件数が3000件を超えたと発表した。
8日0時の時点で3107件。2955件だった前週から152件増えた。この4週間で約500件(497件)増加している。
福祉施設の中で最も多いのは高齢者福祉施設の1919件。全体の62%を占めている。このほか、障害者福祉施設が330件(11%)、児童福祉施設が858件(28%)となっている。
福祉施設のクラスターは、現場を支える職員の懸命の努力もあって一時は低水準に抑えられていた。ただ、感染力の強いデルタ株が猛威を振るう今回の第5波で再び状況が悪化。高齢者福祉施設で増加に転じたほか、児童福祉施設での発生が目立つことも最近の特徴と言える。前週からの増加幅をみると、高齢者福祉施設が35件、障害者福祉施設が20件、児童福祉施設が97件となっている。
専門家で構成する厚生労働省のアドバイザリーボードは8日の会合で、「ほぼ全ての地域で感染者の減少が続いているが、引き続き災害レベルの状況にあるとの認識での対応が必要」と指摘。「冬に向けて更に厳しい感染状況が生じる可能性もある」と改めて警戒を呼びかけた。(介護ニュースより)
政府は9日の新型コロナウイルス対策本部で、今後の日常生活の回復に向けた考え方を決定した。ワクチンの接種と検査での陰性を組み合わせて行動制限を緩和していく内容だが、介護現場の取り扱いはどうなっているのか。
今回の政府の決定には、介護施設の入所や面会などをどう考えるかという記載がない。9日夜に取材対応にあたった内閣官房の担当者は、「これからの議論だということ」と説明。その特性を考慮して更に検討を深めていく構えをみせた。
専門家らが今月3日にまとめた提言には、介護施設の入所や面会などに「ワクチン・検査パッケージ」を活用する案が盛り込まれていた。
西村康稔経済再生担当相は9日夜の会見で、「どんな場面で『ワクチン・検査パッケージ』を使えばいいのか。幅広い理解と協力を得なければいけない。国民的な議論を経て具体化していきたい」と説明。「介護施設でワクチンを2回接種した高齢者が感染する例も少し出始めている」とも述べた。
会見に同席した政府分科会の尾身茂会長は、「色々な選択肢があるが、まずは国民の共感や納得を得られなければうまく機能しない。政府が一方的に進めるようなことは避けるべき」と注文した。
政府は全ての希望者が2回のワクチン接種を終える11月頃から、「ワクチン・検査パッケージ」の運用を始めたい考え。今回の決定には、「ワクチンを接種していない人が不利益を被ることの無いよう十分に配慮する必要がある」と明記した。(介護ニュースより)
平時には無い負担がのしかかる状況は今も変わっておらず、トンネルの出口も一向に見えてこない − 。そう訴えている。
老健施設の経営者らで組織する全国老人保健施設協会は7日、日本認知症グループホーム協会とともに田村憲久厚生労働相へ要望書を提出した。公式サイトで明らかにしている。
新型コロナウイルス感染症に対応する特例的な評価の延長について
今年4月の介護報酬改定で導入された特例措置の話だ。国は現在、全サービスの基本報酬を9月までという期限付きで0.1%上乗せしている。コロナ禍で介護現場に"かかり増し経費"が生じていることを踏まえたもの。全老健などはこれを来月以降も存続させるよう求めた。
要望書では、変異ウイルス「デルタ株」の猛威などで全国的に感染が急拡大している現状に触れ、「施設・事業所では日々、様々な感染症対策を継続せざるを得ない」と説明。「医療機関の病床のひっ迫により、介護現場も陽性者の対応に追われ大変疲弊している」とも指摘し、特例措置の継続を強く主張した。
このほか、全国介護事業者連盟や全国老人福祉施設協議会なども同様の要望書を国へ提出している。全国老施協は慰労金の再支給も注文。政府・与党が追加の経済対策を策定するのを前に、介護関係団体の働きかけもより活発になっている。(介護ニュースより)