「LIFEはこれから」 有識者ら擁護 厚労省も理解求める=介護給付費分科会

介護報酬を議論する社会保障審議会・介護給付費分科会が27日にオンラインで会合を開いた。話題となったのはやはり、今年度から本格的な運用が始まった「LIFE(科学的介護情報システム)」だ。

 

事務作業の煩雑さ、フィードバックの不十分さを指摘する意見が噴出した。これに対し厚生労働省は、介護現場の課題の改善に力を注ぐ姿勢を改めて強調。有識者からは、「LIFEはこれから」「まだ走り始めたばかり」などと擁護する声があがった。

第203回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

「職員に大きな負担をかけずにデータを収集するということが大前提だったはずだが、現実は当初目指したものとはかけ離れている」

全国老人保健施設協会の東憲太郎会長はそう問題を提起。全国老人福祉施設協議会の小泉立志副会長も、「介護現場には負担感と今後への不安感がある。これらを解消できるようにして欲しい」と要請した。

また、日本医師会の江澤和彦常任理事は、「現時点のフィードバックは提出データの集計結果。本来のフィードバックはなされていない」との認識を示した。

これに対し、分科会の田中滋会長(埼玉県立大学理事長)は、「LIFEはこれから。数年かかって進化していくと期待している」と説明。産業医科大学の松田晋哉教授は、「LIFEはまだ走り始めたばかりの制度。まずは走らせてみて、その結果に基づいて順次改善していくというのが現実的な進め方。おそらく5年くらいかけて取り組まないといけない仕組みなんだろうと思う」と述べた。

厚労省の担当者は、「まだまだ検討の過程。十分なフィードバックもできていない状況」と認めた。そのうえで、以下のように理解を求めた。

「LIFEは煩雑な面もあるが、今後、データの蓄積や科学的介護の推進は必要不可欠。まだ濃淡はあるが、介護ソフトの対応も徐々に進んできていることも考えあわせて、取り組みの検討をして頂ければ。我々からのフィードバックについても、できる限り分かりやすいように、負担にならないようにしていくために、引き続き検討を進めたい」

厚労省は今年度、LIFEの取り組み状況や介護現場の課題、今後の可能性などを詳しく把握するための実態調査を行う方針。この日の会合では、その内容が大筋で了承された。

(介護ニュースより)

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