カスハラ対策、介護事業者も今月から義務化 いま現場がすべきこと
改正労働施策総合推進法が10月1日に施行され、介護事業者にもカスタマーハラスメントへの対策が義務付けられた。
職員を守る方針の明確化や相談体制の整備、事案発生後の迅速な対応などが求められる。
改正法はカスハラを、顧客らの言動が業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超え、職員の就業環境を害するものと定義している。
厚労省は例えば、暴行や脅迫、土下座の強要、威圧的な言動などを例示。契約で想定しているサービスを著しく超える要求、不当な損害賠償の要求なども例にあげている。電話やSNSでの行為も対象に含まれる。
大切な職員を守るために
改正法とそれに基づく指針で、事業者に求められる主な措置は以下の通り。
● カスハラに毅然として対応し、職員を守る方針と対処方法を明確にして周知する
● 相談窓口を設けて職員に周知し、担当者が適切に対応できる体制を整える
● 事実関係を迅速・正確に確認し、被害者への配慮や再発防止を行う
● 特に悪質な行為への対処方針を定め、実行できる体制を確保する
● 相談者などのプライバシーを保護し、相談を理由とする不利益な取り扱いをしない旨を定めて周知する
具体的な対処方法としては、例えば可能な限り職員に1人で対応させないことや、犯罪に該当し得る言動を警察に通報することなどがあげられる。
一方、対策を講じる際は顧客らの権利への留意も欠かせない。障害を理由とする不当な差別的取り扱いの禁止、合理的配慮の提供義務を踏まえた対応が求められる。
介護事業者向けマニュアルや研修動画も
厚労省は既に、介護現場のハラスメント対策マニュアル、管理者向け・職員向け研修の手引き、研修動画、事例集などをホームページで公開している。対策マニュアルでは、例えば次のようなポイントが示されている。
● 組織で取り組み、初期対応と正確な事実確認・要因分析を重視する
● 適切なケアの提供に努め、サービスの特性に応じたリスク対策を進める
● 例えば訪問系サービスでは、利用者・家族の住まいで1対1や1対多の状況を避ける工夫など、安全確保と精神的負担の軽減に向けた対策をあらかじめ講じる
● 職員や管理者が1人で抱え込まず、施設・事業所内で共有する
● 行政、地域包括支援センター、医師、法律の専門家、警察などと連携する
現在、厚労省は来年度の介護報酬改定に向けて、各サービスの運営基準でもカスハラ対策をすべての事業者に義務付ける方向で検討を進めている。審議会では、サービスの提供を拒否できる「正当な理由」の取り扱いも論点となっており、認知症などの特性に十分配慮した制度設計を求める声もあがっている。







