【社労士解説】終業時刻を過ぎても退勤しない職員への適切な指導法|ダラダラ残業を防ぎ未払い残業代リスクを回避する具体策
はじめに:その「なんとなくの残業」、放置していませんか?
医療機関、介護事業所、保育園の経営者・管理者のみなさま、日々の運営お疲れ様です。
スタッフの労務管理を行うなかで、以下のようなお悩みを抱えてはいませんか?
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「終業時刻を過ぎているのに、なぜか帰らずに職場に残っている職員がいる」
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「注意したいけれど、どこからを残業(労働時間)と判断すべきか迷う」
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「タイムカードの打刻時間と実際の業務時間がズレていて不安だ」
医療・介護・保育の現場は、突発的な対応や業務の多層化、シフト制などにより残業が発生しやすい環境にあります。しかし、理由のない滞在や事前申請のない残業を放置していると、未払い残業代の過去遡及請求(過去3年分)や労務トラブル、さらには人件費や光熱費などのコスト増大という、事業所の存続に関わる大きな経営リスクへ直結しかねません。
本記事では、クリニック専門社労士、介護専門社労士、保育園専門社労士の視点から、実際のトラブル事例(訪問介護含む)を踏まえつつ、終業時刻を過ぎても退勤しない職員への適切な指導法とリスク防止策を徹底解説します。
1. 残っている職員の「理由」と「業務の緊急度」を確認する
職員が終業時刻を過ぎても職場に残っている場合、まずは「なぜ残っているのか」「その業務は今すぐ行うべきものか」という業務の緊急度・必要性を確認する必要があります。
(1)緊急度・必要性が高い場合
医療・介護・保育の現場では、突発的な対応が避けられない場面が多く存在します。
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クリニック: 診療終了間際の駆け込み患者への対応、患者様の急変対応、検査結果の即時整理など
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介護事業所(通所・入所・訪問): 利用者の急変・転倒対応、送迎トラブル、訪問先での緊急対応、サービス提供記録の緊急作成など
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保育園: 園児の突発的なケガ・発熱、保護者からの相談・対応、延長保育の予期せぬ延長など
このように緊急性が高い場合は、時間外労働(残業)として認めざるを得ません。ただし、残業の運用方法には以下の2通りがあります。
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管理者が残業命令を出す場合(指示型)
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職員から事前申請を受け、管理者が承認する場合(申請型)
多くの施設で「②事前申請型」を採用していますが、ルールが形骸化し「申請なしで勝手に残業している」ケースが後を絶ちません。適切な指導とルールの再徹底が必要です。
(2)緊急度・必要性が低い場合
「業務時間内だと集中できないから」「明日の準備を余裕を持ってやっておきたいから」といった個人的な理由で残っているケースも少なくありません。
こうした自己判断による残業を曖昧に許容してしまうと、「ダラダラ残業」が日常化・固定化してしまいます。必要性の低い業務についてはその場で残業を認めず、「決められた時間内で効率よく業務を終わらせる」意識を持たせる指導を行い、速やかな退勤を促しましょう。
2. 業務以外の理由で残っている場合は「すみやかに退勤」させる
業務を行っていないにもかかわらず職場にとどまっているケースもあります。
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退勤後のプライベートな予定(飲み会や習い事など)まで時間をつぶしている
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先輩や同僚が残っていて「お先に失礼します」と言いづらい雰囲気がある
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雑談や着替えをしたまま事務所やスタッフルームでダラダラと過ごしている
仕事をしていない様子であれば、「用事が終わっているなら速やかに退勤してください」とハッキリ指導することが重要です。
また、一見仕事をしているように見えても、事前に指示・承認を出していない残業であれば、「本日の業務はここまでにして、続きは明日に回して退勤してください」と業務を打ち切らせる指示を出しましょう。
管理者側が何も言わずに放置(不作為)していると、法的には「残業を黙認していた=残業を許可していた(黙示の指示)」とみなされ、後から残業代の支払いを求められる原因になります。
3. 「ダラダラ残業」が引き起こす経営リスクとトラブル事例
残業のルールがあいまいなまま放置されると、経営面・組織面で大きなリスクが発生します。ここで、実際の現場で起きたトラブル事例をご紹介します。
【事例1】クリニックにおける「慣習化したダラダラ残業」
事象: ある内科クリニックで、受付スタッフAさんが診療終了後も1時間以上スタッフルームで残業していました。院長は「今日の締め作業をやっているのだろう」と放置していましたが、実際は日中に終わる作業をゆっくり行ったり、雑談を交えたりしていただけでした。
リスク: Aさんの退職後、タイムカードの記録をもとに「未払い残業代」が請求されました。院長は「残業を命じていない」と主張しましたが、タイムカードの記録と放置していた事実から「黙示の指示があった」とみなされ、数十万円の残業代を追加支給することになりました。
【事例2】訪問介護事業所における「記録作成・移動時間の曖昧化による残業トラブル」
事象: 訪問介護事業所のヘルパーBさんは、すべての訪問サービスが終わった後、夕方に事業所に戻ってきてから「支援記録の作成」や「サ責への報告」をまとめて行っていました。事業所に残って他のヘルパーと話し込み、退勤打刻が毎晩1〜2時間遅れていましたが、サ責は「記録作成に時間がかかっているのだろう」と特に注意していませんでした。
リスク: Bさんが退職する際、事業所に戻ってからのすべての滞在時間について未払い残業代を請求されました。事業所側は「記録作成は15分程度で終わる内容であり、残りは雑談だった」と反論しましたが、事業所内にいた客観的な記録(タイムカード)があり、管理者も退出を促していなかったため、労働時間として認定されてしまいました。
【事例3】保育園における「持ち帰り・サービス残業の曖昧化」
事象: 保育園のC先生は、閉園後に園に残って日誌の記入や壁面装飾の作成を行っていました。園長は「残業申請を出していないから自主的な残業」と思っていましたが、業務量が多すぎて勤務時間内に終わらない構造になっていました。
リスク: C先生が体調不良で退職する際、労働基準監督署へ駆け込み。「残業を申請できる雰囲気ではなく、指示された業務量が勤務時間内に終わらない状況だった」として指導が入り、過去に遡って残業代の支払いを命じられました。
4. 最大の恐怖!過去に遡って残業代を請求されるリスク
「うちはアットホームだから」「今まで誰も残業代を請求してこなかったから大丈夫」と考えてはいませんか?
良好な人間関係が保たれている間や、給与に大きな不満がない時期は問題が表面化しないかもしれません。しかし、以下のような「きっかけ」ひとつで状況は一変します。
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人間関係の不調や、上司・園長・院長・サ責とのトラブル
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退職時のトラブルや感情的なこじれ
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人事評価や昇給・賞与に対する不満
労働基準法の改正に伴い、未払い残業代の請求時効は「3年」となっています。もし過去3年分にわたる時間外労働の請求を受けた場合、未払い額は1人あたり数百万円、組織全体では千万円単位の膨大な金額に膨れ上がるケースも珍しくありません。
タイムカードの記載時間=労働時間とみなされる?
労務トラブルにおいて最も焦点となるのが、「タイムカードの打刻時間と、実際の労働時間に相違がないか」です。
打刻時間と実際の勤務状態にズレがある場合、以下のような具体的実務対応を日常的に行うことが求められます。
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「残業事前申請・許可制」の書面・システム運用を徹底する
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実際の勤務開始・終了時刻と実労働時間を定期的に本人と確認・照合する
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照合した記録に対し、本人の確認印や承認記録を残す
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「労働時間とは何か」「承認のない残業は認めない」ことを院長・園長・施設長自身が正しく理解し、職員へ周知する
日頃から職員の健康管理に留意し、「不必要な残業はさせない」「事前承認のない残業は禁止する」という姿勢を厳格に指導・徹底することが、最大の防衛策となります。
5. 専門家とともに「残業トラブルに強い職場環境」を作りませんか?
クリニック、介護事業所(訪問介護含む)、保育園における労務管理は、一般的な企業とは異なる特有の難しさがあります。
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医療・看護・受付など多職種が入り交じるクリニック
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移動時間・記録作成・直行直帰やシフトが複雑な訪問介護・介護現場
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行事準備や持ち帰り仕事が発生しやすい保育園
これらの現場で「残業のルール」を浸透させ、未払い残業代リスクをゼロにするためには、業界の事情に精通した専門家による就業規則の見直しや残業許可制の導入・運用サポートが不可欠です。
当社にお任せください!
当社には、各業界の課題に特化した「クリニック専門社労士」「介護専門社労士」「保育園専門社労士」が多数在籍しております。
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「ダラダラ残業をなくすための『残業事前許可制』を導入・運用したい」
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「訪問介護ヘルパーの移動時間や事業所滞在時間の労務ルールを整理したい」
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「現在のタイムカード運用や就業規則にリスクがないか診断してほしい」
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「終業後になかなか帰らない職員への指導方法や面談について具体的に相談したい」
このようなお悩みをお持ちの管理者・経営者様は、ぜひ一度当社へご相談ください。現場の実情に合わせた最適な労務ソリューションをご提案いたします。
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