クリニック・病院の現場Q&A

Q:Aさんは「コミュニケーション力」という評価項目で、そのすべての着眼点(具体的行動)をみると、確かにできていない部分もあるが、一つの内容は図抜けて素晴らしい。この場合は「コミュニケーション力」をA以上にしてよいのか。

さて、人事評価制度を運用する立場だとして、明確に回答することができそうでしょうか。ちょっと考えてみましょう。

その会社、組織や何を目的に人事評価を行っているかで考え方、価値は変わりますので、この回答が絶対というわけではありません。

ただ、弊社の考え方として、

私の回答を書かせていただきますので、ご参考になれば幸いです。

Q:Aさんは「コミュニケーション力」という評価項目で、そのすべての着眼点(具体的行動)をみると、確かにできていない部分もあるが、一つの内容は図抜けて素晴らしい。この場合は「コミュニケーション力」をA以上にしてよいのか。

一つの「コミュニケーション力」という評価をする際に、例えば「積極的に自分から話しかける」ということは、他の人よりも図抜けてできており、他の誰に聞いても「あの人はコミュニケーション力が高い」という評判があるが、

一方で「TPOを見極め、適切にコミュニケーションを図る」という着眼点には課題がある場合など。このように、着眼点の一つは図抜けていいのだけれど、

細かく見ると少し課題がある場合にどう評価したらよいか、という問題です。この場合に、クリアとなる「A」評価をしていいのでしょうか?

 

運用が始まり、評価する段階になると、結構よくあるご質問です。

A:この回答は「NG」、

A」以上をつけてはダメとします。

なぜか。

大きく理由は2つあります。

一つは、「A」がつくということは、「コミュニケーション力」は水準以上でクリアしているとなるため、「TPOが適切でない」という課題がそのままになってしまうことになるからです。

Aさんはいつまでも「TPOが適切でないコミュニケーション」のままになります。

 

もう一つは、これをOKにすると評価者による評価のバラつきが大きく出てくるということ。できていないことがあっても、他で図抜けていれば「A」をつけてもよい、とすると、この捉え方が評価者により変わり、Aにする人もいれば、しない人もいるというバラつきにつながりやすくなります。それよりは、書かれている着眼点をクリアしたら「A」以上、していなければ「B+」以下、と明確にした方が、評価者による違いが少なくなってくるのです。評価者によるバラつきは大きな不満要素になりますので、それをできるだけなくす方向の「評価の仕方」が求められます。

「でも、この人の積極的なコミュニケーションは誰もが認めるところ。これを良い評価にしないと本人もやる気をなくすのでは?」というご意見をいただくこともあります。この場合は、このように回答してはいかがでしょうか。

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Aさんは今後「TPOを見極め、適切にコミュニケーションを図る」ということができるようになれば、他のところは図抜けてよいので、「コミュニケーション力」は「A+」「S」などの評価になっていきます。ぜひ、課題である「TPOを見極め、適切にコミュニケーションを図る」ということに取組み、素晴らしい評価になるよう今期も頑張りましょう。

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Q 働きぶりがわるいので試用期間後に給料を下げたいが可能ですか?

A 通常は出来ませんが、あらかじめ労働条件の変更を視野に入れた労働契約を締結していれば可能です。

 

労働契約の途中で事業主側が一方的に条件を変更することは原則としてできません。労働条件を変更するときは労働者との合意が必要になります。

 一方、雇用期間を定めた契約であれば、契約の更新時に契約が変更になることを説明し、「新たな契約を締結しなおす」ということになります。いわゆる契約職員としての雇用形態です。

 クリニックで多いのは、試用期間相当期間を「機関の定め有り」で契約し、その後に「契約期間の定めなし」の契約に転換する流れになります。つまり試用期間を3カ月に設定しているクリニックでは、採用時に通常であれば期間の定めなしで契約するところを、あえて3カ月の有期契約を結ぶということになります。そうして3カ月後に想定していた働きぶりが悪かった場合には、それに見合った新たな契約条件を提示し、本人が合意した場合には契約を更新するということになります。

 但し、期間を定めた契約は、採用したものの、入職辞退につながる可能性もあることを認識しておかなければなりません。なぜなら、この3カ月の雇用期間は不安定と感じる職員もいます。優秀な人材は他のクリニックでも内定が出ている可能性があるので、別のクリニックに流れる可能性は否定できません。そのため通常であれば、「期間の定めなし」の契約として、面接などで人柄やスキルに不安が残る場合のみ「期間の定め有り」の契約にするといった運用にされるところが多いように思います。

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Q スタッフがマイカー通勤を希望してきたが、ガソリン代や駐車場代は負担すべきか?

A 法的な規制はないため、支給基準や額などはどのように決めても問題はありません

 

通勤手当の支給について留意すべき点

 

通勤手当は、片道の通勤距離と手当の額によって所得税法上の非課税限度額が定められています。この限度額を超えて支給される通勤手当は課税の対象になります。また「通勤距離にかかわらず一律に支給される通勤手当」(例えば、マイカー通勤者全員に一律2万円支給など)も課税対象になるケースもありますので、ご注意ください。

 

マイカー通勤中、交通事故の加害者になった場合のクリニックの責任

マイカーを通勤だけでなく業務にも利用していた場合、事故の相手に対して運行供用者責任、または使用者責任(民法715条)が認められる可能性があります。

 現実に事故を起こした本人が保険加入を行っている場合や、経済的に補償能力がない場合には、被害者がクリニックの責任を問題にする可能性も考えられます。

 

一定以上の任意保険加入を義務づけ、従わない場合には手当を支給しない

 

このような事態に備えて、マイカー通勤をするスタッフに一定補償額以上の保険に加入することを義務づけ、毎年許可申請をさせて確認するようにしましょう。万が一、事故を起こした場合には、クリニックに迷惑をかけないと誓約書を取っておくことも考えられます。

 

マイカー通勤のルールを整備し、事故を起こせば自分たちの責任では済まされないことを説明し、何らかの安全を確保するための措置を講じる必要もあります。

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Q 看護職をはじめ職員の定着と確保のために、夜勤免除や短時間勤務等多様な勤務形態  の導入を検討しています。ただ、個別の要望がおおくなるほど職員間の不公平感が生じると思いますが、そのあたりのコンセンサスをどうとるか。アドバイスをお願いします。

A, 正職員の雇用形態をそのまま短時間で働く「短時間正社員」は、厚労省でも推奨している働き方ですが、なかなか普及していません。「短時間=パート」の概念を打破るには、それなりの経営戦略が必要になります。

 そもそも短時間勤務を希望する職員は、旧来型の働き方であれば就業の継続を断念していた層です。家庭を重視しながらも正社員として働くことに踏みとどまろうとすることを前向きに捉えて、短時間勤務者がモチベーションをたもち、活躍しやすいものにすることが、制度導入の大前提です。育児、介護休業法に定める育児短時間勤務を選択した場合、業務内容などがパートの看護師と同じ扱いでは、将来的に常勤に戻ろうとするモチベーションは上がらないでしょう。

 一方、短時間勤務制度を導入し、多様な勤務形態がふえるほどフルタイム勤務者の負担が大きくなる場合があります。短時間勤務制度の導入は、就業継続の切り札にもなり得る半面、

職員間の不公平感が生まれやすいのも事実です。

従って、導入を検討するには、①ルール化して不公平感を緩和する②金銭的なインセンティブを与える(処遇で差をつける)という視点が欠かせません。

 また、ある病院では、短時間正社員二つのパターンに分け①勤務時間短縮型⇒1日6時間以上×5日 ②休日拡充型⇒所定労働時間×4日(週休3日)で運用されています。個人の事情によってどちらのニーズもあるということで選択できるようにしていますが、どちらも給与は勤務時間に応じて減らすようにされています(賞与はあり)。

更には正職員でも①夜勤免除A(平日日勤のみ)②夜勤免除B(土日祝の日勤もあり)③夜勤回数制限(月4回以内)④夜勤曜日制限(夜勤の曜日制限あり)⑤勤務制限なし、というようにきめ細かく職員ニーズに対応されています。処遇(給与・賞与)については⑤の制限なしの働き方を100%として、一定の比率で減額していくような仕組みにしています。

 この病院では「働く人を大切にしてくれる病院」という印象が広まり、応募者が増え、また離職者も大幅に低下したとのことです。

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Q、人事評価の項目は「一般的」「抽象的」な評価項目が多いため、評価が難しく、どうしても評価者の主観で評価してしまい、職員の納得が得られない。

A、評価項目を具体的な「行動表現」にすることで、評価がより客観的になり、また職員の課題を具体的に指導できる。

評価することは非常に難しく、評価者訓練を受けないと評価は出来ないと言われています。しかしそれは、評価項目が抽象的で何を評価すればいいのかわからないという原因が考えられます。

評価を行う難しさには、①人によって評価が変わる ②評価項目が不明確なので評価する人も、される人もわかりにくい、さらに③誤評価の原因(ハロー効果、偏り傾向、寛大化など)評価するということに困難さが付きまとっています。例えば「協調性」という表現で終わってしまう評価項目の場合、何が協調性なのか評価者が判断しなければなりません。抽象的な表現は職員をいろいろな視点から評価できることになり有用ですが、評価の公平性や客観性からみるとかなり深い問題が含まれています。具体的な行動表現にすることで、だれでも同じ理解とすることが大切です。

 

【具体的行動表現の実例】

評価項目:「感謝の気持ちをもってご利用者、職員に接する」

を具体的な評価項目にした場合に、例えば下記のような例となります。

例1:ご利用者や職場の仲間に感謝の気持ちで接することが出来、「○○さんのおかげです」や「ありがとう」が素直に笑顔で言える。

例2:ご家族様や見学、来訪者の目を見て、笑顔でお名前を添えて「ありがとうございます」と伝えている。

例3:他部署等の協力や理解があって自分が仕事ができる事に感謝して、相手の状態を配慮し、「お手伝いしましょうか」「何か私にできる事はないですか」と声掛けしている。

 

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Q 退職金は必ず支給しなければならないのでしょうか?

A いいえ、支給しなくても問題ありません。

 

退職金とは

退職金は法律で支払いが義務付けられているものではなく、これまで慣例的に行われてきたものです。もともとは終身雇用制において定年後の生活を保障するという目的がありました。

 また、賃金の後払い的性格を有し、これに功労報償的要素が加わり、長く務めるほど退職金も積みあがる仕組みで運用されるという特徴があります。

 

ほとんどのスタッフは退職金を意識していない

退職金請求権を直接義務付ける法律はありませんので、クリニックに制度が無ければ支給する必要はなく、退職金制度を設けるか否かは使用者の判断に委ねられています。

クリニックに定年まで働く事を想定して勤務している人はあまりいないのが実態かと思います。辞めるときになって退職金の有無や金額を知る場合がほとんどで、普段の業務の中で意識することはほとんど無いと思われます。もちろん退職金にこだわるスタッフもいますが、多くのスタッフはそもそも同じクリニックで何十年も働こうという感覚は無く、退職金に対する意識も希薄のように思われます。

 そのため、院長が都度、働きぶりを考慮して額を決定しているクリニックが多くある一方で、スタッフ退職のたびに退職金をどうするかで悩まされたくないことから、一定基準を作る場合もあります。基準を作る場合に二つのパターンがあります。一つは退職金規定をスタッフに公開する場合と、あくまで院長の目安として使うだけでスタッフには伝えない場合があります。

 但し、注意して頂きたいのは、退職金規定でスタッフに約束はしていなくても、基本給に勤続年数を乗じて支給することが慣例的に長年実施されているような場合、既得権となり約束したものとみなされる場合がある点です。つまり、5年務めたスタッフのほとんどが●万円をもらっている、などとスタッフが当たり前のように認識している場合には、事実上、制度を運用しているものとみなされるということになる場合もあるということです。

 その場合の退職金は、労基法上の賃金として保護を受け、使用者には支払い義務が生じます。同時にスタッフは使用者に対して退職金の請求権を有することになります。従って、内規などに基づいて退職金制度を運用しているクリニックでは、どこかのタイミングで正式に制度を導入するかどうかの判断が必要と思われます。正式導入までは行わないということであるならば、スタッフが当たり前のように退職金の金額を認識している状態には

ならないように、普段から注しておく必要があるでしょう。

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Q、現場での仕事が好きで、管理者にはなりたくない(なれない)職員には、 キャリアアップの仕組みを適用できない?

、キャリアパスは個人の能力・適正に応じて、「指導・監督層」になるコースとは別に「専門職」コースを準備し、専門職のキャリアステップと昇給制度で運用しています。

現場では、「優秀な職員ほど役職にはつきたがらない」とか、「知識・技術面でわからないことについて、皆が教えてもらえる職員は決まっており、しかもその職員は役職者ではない」、といった話がよく聞かれます。そこで考えるべきなのが、キャリアパスにおける「複線化」です。つまり、キャリアパスに描かれた昇格ラインによらずに、役職にはつかずに専ら専門性を高め、組織に貢献するキャリアパスを作ることです。この階層を「専門職」として、上級介護職の水準を超える水準をもって処遇します。この場合、当該職員はマネジメント業務を行わず、専ら好きな介護の道を追い続けても、相応の処遇が保障されることになります。専門性の高さを認められてこその処遇なので、職員のプライドも充足することができます。

また、優秀な人材を滞留させては離職につながりかねません。中小企業の中には職員が自らポストの数を読んで、諦めムードが漂っているようなケースも散見されますが、「専任職」を設けて、「当法人は、管理上の役職だけがポストではない。専任職というスキル面のリーダーもあり、相応に処遇する」と周知すれば閉塞感が一気に変わるはずです。

 

①医療分野キャリアパス

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③保育園のキャリアパス

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Q 自主的に始業時間前に出勤してくるスタッフに、その時間給の給料を支払う必要はありますか?

 

A、命令がなく、業務とは無関係な早めの出勤については、給料を支払う必要はありません。

 

労働時間とは

 労働時間とは原則として「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを言います。つまり、院長の指示命令がないのもかかわらず勝手に出勤している時間というのは労働時間ではありません。

業務命令はなくとも業務上必要な時間は労働時間

しかし、始業時間830分からでも「815分に出勤して、これとこれをやっておかなければ、診察の受付時間である830分には開始できない」という場合があります。このことを院長がわかっていながらスタッフの善意に頼ったままで積極的な対策を講じない場合、

この15分は黙示の業務命令の下行った業務として業務時間として扱われます。命令がなくとも15分前出勤が常態化しているのであれば、業務上必要な時間であり、それは労働時間になる可能性が高いといえます。

 そもそもクリニックの始業時案は、診療受付までの準備を要する時間を見積もったうえで設定されますから830分の受付開始時間と同時に労働時間がスタートするといったところは聞いたことがありません。つまり、準備時間を15分と見積もるなら、815分が始業時間になるわけです。

掃除などをしてくれる場合には

質問のポイントは 例えば830分からの勤務時間開始でよいにも関わらず、8時からきて作業をしている場合にはどうするか」という点にあります。指示していないけれど、何かやっている、そしてタイムカードをおしている、するとこの時間に対価を支払うべきであるか、という疑問が出てくるであろうと思います。

 しかし冒頭に述べたように、あくまで労働時間は指揮命令下にある時間です。自主的に作業をしていることに対して原則、給与の支払いは必要ありません。

職場の人間関係にも配慮する

また「830分始業なのに、一番の先輩社員が8時に出勤しているため他のスタッフが全員8時に出勤している」といったケースもあります。そうすると新しく入ったスタッフから「事実上強制的に出社させられているのになぜ給料がでないの」といった文句が出てきます。そのような場合に、早く出勤するスタッフに「ほかのスタッフが影響を受けるので、あまり早く出勤しないように配慮してほしいこと」もしくは「早く出勤するのは構わないが、他のスタッフに同時の時間に出勤することを強制しないように」と伝える必要があります。

 

 

自主的に早く出勤するスタッフにも、それぞれの理由があるのでしょう。準備をしっかりとしてから仕事を始めたいというプロ意識から早く出勤するスタッフもいるでしょう。仕事の喜び、積極性、職場への貢献やチームワークといった仕事観を否定することのないよう、伝え方には十分配慮する必要があると思います。

タイムカードの管理

タイムカードの打刻時間は原則としてクリニックに入った時間と出た時間を示しており、必ずしもそのすべてが労働時間になるわけではありません。業務がおわりスタッフ間でおしゃべりをして帰る場合などその時間まで給料を支払う必要はないのです。

 ただし注意しなければならないのは、おしゃべりの時間わからないと、タイムカードの出勤時間から退勤時間までの時間がそのまま労働時間とみなされてしまう可能性があるということです。そのため「時間外労働は、院長の指示で行うものでおこなうものである」と周知しておくとともに、院長が承認しなかった時間がある場合にはその都度記載しておくなど、適切に把握しておくことが必要です。よくあるのは、タイムカードと時間外労働申請を並行して取り入れているケースです。例えば、17時間までの勤務の人が17時半にタイムカードが押されているような場合、時間外申請が「患者対応のため15分残業」となっていれば15分の残業代を支払えばよいということになります。このように時間外労働の管理があれば、タイムカードを押していたとしても、その分の給料をすべて支払う必要はないということになります。

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Q 新人看護師が退職を申し出てきました。プリセプターの先輩との関係が原因らしいのですが、業務指導が時間外に及ぶことも多いとのこと。看護部任せにしていたので人事として どの様に対応すべきか困っています。

A、もし、時間外の扱いで、教える先輩は残業で、教わる新人は自己研鑽として時間外扱いはしない、ということになっていたら、それは解消すべきです。

 新人看護師(プリセプティー)が仕事になれるまでの一定期間、先輩看護師(プリセプター)が看護実践能力を指導するのがプリセプター制度です。通常、入職3~4年程度の看護師がマンツーマンで指導に当たりますが、相性がわるいと新人看護師の離職の原因になるといったデメリットがありますが、他にも問題はあります。

 例えば、先述の「残業時間」に関する扱いの問題です。教える側は残業代を申請するのに教わる側は申請しないといった「徒弟制度」のような実態が残念ながら、いまだに看護現場には散見されます。これらの実態にも人事担当者は留意すべきです。

プリセプター業務は、新人が自主的に教えを乞うわけではなく、先輩の指示によるものである限り、労働時間であることは明白です。現場の対応としては所定労働時間内で行うよう指導を徹底すべきです。業務の都合上、どうしても時間になるときは、新人の同意を得たうえで、師長など看護管理者の許可を得るものとします。時間外申請書にその理由を記載して残業として記載します。

人事担当者は、看護管理者と実態を確認しながら、業務と自己研鑽の線引きをしたうえで、取り扱いルールを決めます。そうすることがサービス残業の解消につながるだけでなく、現場を任されている看護師長の負担の軽減にもつながります。

 

人材が定着する具体的プリセプター運用事例

ケース1

A病院では業務指導を行う「プリセプター」と、業務外のことを含めて相談相手になる「メンター」をそれぞれ別の職員を充てて使い分けています。プリセプターは仕事能力で人選し

メンターは指導者としての経験豊富なベテランから選任します。育成にあたってプリセプターと新人育成委員会が連動しながら指導にあたることで、プリセプターの精神的負担の軽減にもつながっています。

ケース2

新規学卒者が毎年30名前後入職するF病院では、プリセプター制度を採用せず、新人の業務指導は「チーム制」で行っています。指導者を固定しないため。指導する先輩によって指導方法や内容にばらつきが出ないようにマニュアル化も徹底しています。複数の先輩でフォローできるため、人間関係のトラブルも起きにくく、新人に定着率も高いと言います。

 

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Q 評価者であるリーダーや管理者が、評価や面談に不安感を感じ、職場での実践ができない。アドバイスをお願いします。

A 評価者研修やフィードバック面談研修を受講し、方法論を学び実践で活用している。

 

人事評価を行うことは、上司にとってかなりの負担で、ましてやその結果を部下に説明するフィードバック面談等は大変重荷、などと言うご意見は、評価者の方々からよく伺います。ただ、それは、「評価」という言葉の印象にとらわれている結果であって、実際には評価の仕方を具体的に理解していないがゆえに誤解されているケースがとても多いのです。

評価者として「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を理解し、それを実践すれば、だれでも評価を行うことができます。

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