コラム
医療機関等における各種手当の支給状況
医療機関等で支給される手当には、どのようなものが多いのでしょうか。ここでは、2021 年1 月に発表された調査結果※から、医療機関等(以下、医療,福祉)における各種手当の支給状況などをみていきます。
勤務・通勤手当は90%程度で制度有
上記調査結果から、医療,福祉の各種手当の支給状況などをまとめると、下表のとおりです。
医療,福祉で制度有の割合が最も高いのは、勤務手当で90.3%です。次いで通勤手当などが89.4%となっています。勤務手当の中では、役付手当などが87.5%と高い状況です。
調査産業計との比較では、特殊勤務手当などが、20 ポイント以上高くなっているのが目立ちます。
支給割合は役付・通勤手当が90%超
制度有の医療,福祉における手当の支給割合では、通勤手当などと役付手当などが90%を超えました。技能手当、技術(資格)手当なども70%を超えています。
調査産業計との比較では、特殊勤務手当などが20 ポイント以上高くなりました。
1 人平均支給額は業績手当が最も高い
支給した労働者1 人平均支給額をみると、業績手当などが最も高くなりました。支給割合の高い手当では、役付手当などが4 万円を超えています。通勤手当は8,700 円で1 万円に満たない額となりました。
貴院で支給している手当の状況と、比べてみてはいかがでしょうか。
※厚生労働省「令和2 年就労条件総合調査」
日本標準産業分類に基づく16 大産業を対象に、常用労働者30 人以上を雇用する民営企業(医療法人等の会社組織以外の法人を含む)から抽出した企業に対する調査です。数値は2019 年11 月分の賃金における手当の状況です。詳細は次のURL のページから確認いただけます。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450099&tstat=000001014004&cycle=0&tclass1=000001147730&tclass2=000001149266&tclass3val=0
(次号に続く)
福祉施設等における休日や休暇の現状
ここでは、2021 年1 月に発表された調査結果※から、福祉施設等における休日や年次有給休暇に関するデータをみていきます。
年間休日は平均で114.4 日
上記調査結果から、福祉施設等(以下、医療,福祉)の2019 年または2018 会計年度(以下、2019 年)の年間休日階級別の企業割合をまとめると、表1 のとおりです。
医療,福祉では年間休日が120~129 日の割合が最も高く、全体の36.4%を占めています。調査産業計も同様に、120~129 日の割合が最も高くなりました。ただし医療,福祉は、調査産業計より10 ポイント以上低い状況です。
なお、労働者1 人平均年間休日総数は、医療,福祉が114.4 日、調査産業計が116.0 日となっています。
平均取得日数は7~8 日程度
次に医療,福祉(企業規模30~99 人)の労働者1 人平均の年次有給休暇(以下、有休)付与日数と取得日数、取得率をまとめると表2 のとおりです。
2019 年の平均付与日数は男性が16.8 日、女性が16.1 日となりました。平均取得日数は男性が7.6 日、女性が8.8 日です。平均付与日数・取得日数ともに、調査産業計より少なくなりました。平均取得率は男性が45.2%、女性が54.8%で、こちらも調査産業計より低い水準です。
男女別にみると、医療,福祉と調査産業計のどちらも、平均付与日数は男性の方が多いものの、平均取得日数は女性の方が多く、平均取得率も高くなっています。
ちなみに同調査によると、医療,福祉では、有休の計画的付与制度(労使協定によって前もって休暇取得日を割り振る制度)がある割合は、35.6%となっています。
休日や休暇は、待遇面で重視されるポイントです。自施設の現状と比べてみてはいかがでしょうか。
※厚生労働省「令和2 年就労条件総合調査」
日本標準産業分類に基づく16 大産業を対象に、常用労働者30 人以上を雇用する民営企業(医療法人、社会福祉法人等の会社組織以外の法人を含む)から抽出した企業に対する調査です。数値は2019 年又は2018 会計年度1 年間のものです。割合は四捨五入の関係で100 にならないことがあります。詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450099&tstat=000001014004&cycle=0&tclass1=000001147730&tclass2=000001147731&tclass3val=0
(次号に続く)
三菱総合研究所が公式サイトで、厚生労働省から委託を受けて実施したケアマネジャーの処遇状況を探る調査の結果を公表した。
月給・常勤で働くケアマネの平均給与は、昨年2月時点で33万660円。そう報告されている。前年同月(32万5230円)と比べて5430円上がっていた。集計対象のケアマネの勤続年数は平均8.8年。
ここでいう給与は、基本給+各種手当て+ボーナスなど。いわゆる"手取り"ではなく、税金や保険料などが引かれる前の"額面"だ。ボーナスや一時金などが出ているところでは、10月から3月までに支給された額の6分の1が足されている(*)。
* 例えば冬のボーナスが30万円だった場合、その6分の1にあたる5万円を上乗せして給与を算出。
この調査は全国1702の居宅介護支援事業所を対象として、昨年9月から10月に行われたもの。1973人のケアマネから有効回答を得ている。結果は12日に発出された介護保険最新情報Vol.977で紹介された報告書に盛り込まれた。
月給・常勤の主任ケアマネの平均給与は昨年2月時点で35万1480円。前年同月(35万960円)から520円増えていた。
厚労省が昨年10月に公表した調査結果によると、「特定処遇改善加算」を取っている事業所の介護職員の平均給与は32万5550円。勤続10年以上の介護福祉士に限ると36万6900円で、主任ケアマネよりも高くなっている。
(介護ニュースJOINT)
未経験者の人材獲得・育成を積極支援
令和2 年度第3 次補正予算により、介護分野に関する就職支援が厚みを増しています。創設された新制度「雇用と福祉の連携による離職者への介護・障害福祉分野への就職支援パッケージ」に注目します。
コロナ離職者の獲得と育成をサポート
新型コロナウイルス感染拡大により離職者が増加する一方、介護業界は依然として人手不足が続いています。今回の制度は、その人手不足を補うために、他業種から人材を獲得し、戦力に育てるための支援策です。具体的には、
- ハローワーク、訓練機関及び福祉人材センターの連携強化による就職支援
- 介護・障害福祉分野向け訓練枠の拡充、訓練への職場見学・職場体験の組み込み、訓練委託費等の上乗せ
- 都道府県社会福祉協議会による介護分野、障害福祉分野に就職した訓練修了者への貸付金制度の創設
等が実施されます。その内容の一部をご紹介します。
未経験者に手厚い訓練体制の強化
未経験者の参入を促進すべく、教育に力点が置かれます。訓練機関との連携を拡大し、資格取得支援や職場見学・職場体験等、求職者と施設の双方がメリットを享受できる、人材育成推進計画です。
訓練委託費等は、1 人当たり月1 万円の増額が予定されています(令和3 年度末まで)。
貸付金の拡大と返済免除
訓練修了者には、都道府県社会福祉協議会による、介護分野・障害福祉分野就職支援金20 万円の貸付け制度が創設されます。この貸付金は、介護分野等に就職し、2 年間継続して従事した場合に、返済が免除されます。
他にも第3 次補正予算では、既存の「介護福祉士修学資金等貸付事業」の貸付原資の積み増しも計上されました。これは介護福祉士養成施設に通う学生に対する修学資金の貸付事業で、資格取得後、福祉・介護職に5 年間継続従事した場合に返済が全額免除されます。
これらの支援策は長年人材確保に悩んできた介護業界にとって、現況の労働需要の構造変化をチャンスに変える呼び水です。最新情報は、厚生労働省ホームページでご確認ください。
参考:厚生労働省「令和2 年度 厚生労働省第三次補正予算案(参考資料)」
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20hosei/dl/20201221_02.pdf
(次号に続く)
コロナ離職者のトライアル雇用に助成金
コロナ離職者に対するさまざまな救済策が講じられています。中でも令和2 年度第3 次補正予算により「トライアル雇用助成金」に新設された2 つのコースは、医療機関でも活用の幅が広がる内容です。概要をご紹介します。
未経験者の採用をサポートする助成金
次のコースが創設されました。
⚫ 新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース
⚫ 新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース
いずれも、離職者の要件※を満たす離職者を、無期雇用契約へ移行することを前提に、一定期間試行雇用(トライアル雇用)した場合が対象です。
※離職者の要件
- 新型コロナウイルスの影響により離職を余儀なくされた労働者で、
- 離職 (シフト制労働者等のシフトが減少した場合等も含む) 期間が3ヶ月を超え、
- かつ、就労経験のない職業に就くことを希望する求職者
求職者が希望する無期雇用の週の所定労働時間が30 時間以上なら「新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース」、20 時間以上30時間未満なら「新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース」となります。
支給額
雇入れの日から1 ヶ月単位(最長3 ヶ月間)を対象に、支給対象者1 人につき、次の金額が支給されます。
事前にトライアル雇用求人をハローワーク、地方運輸局、職業紹介事業者に提出し、これらの紹介により、対象者を原則3 ヶ月の有期雇用で雇い入れ、一定の要件を満たした場合に、助成金を受けることができます。その他にもさまざまな注意点があり、今後の感染拡大の影響で変更が生じることも考えられますので、ご活用の際は、最新情報をご確認ください。
参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_16286.html
(次号に続く)
新型コロナによる休業時の労働者支援の動き
新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)については、様々な支援策が設けられているものの、企業が助成金の活用を行わないことにより、本来、労働者が享受できる支援が行き渡らない状況も発生しています。そこで、給付金等を企業を経由せず、直接労働者に給付する仕組みの構築が進んでいます。以下では、大企業のシフト労働者等に対する休業の支援と、小学校等が臨時休業になった際の支援について確認します。
1.大企業にも拡大される休業支援金・給付金
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、「休業支援金」という)は、当初、新型コロナの影響により事業主が労働者を休業させたものの、休業手当が支払われない中小企業の労働者を対象に、労働者の直接申請により給付が行われるものでした。
この対象が大企業で雇用されるシフト労働者等にも拡大されており、労働契約上、労働日が明確でない人としてシフト制、日々雇用、登録型派遣の人についても支給されることになりました。
2.直接申請による小学校休業等対応助成金
小学校休業等対応助成金は、小学校等の臨時休業等に伴い、子どもの世話を行うため仕事を休まざるを得ない保護者に対して有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主が、休暇中に支払った賃金相当額を受給できる制度です。今回、この基本的な考え方は崩さずに、2020年2月27日から3月31日までの休みについては小学校休業等対応助成金を労働者が直接申請し、2020年4月1日から2021年3月31日までの休みについては、休業支援金の仕組みにより労働者が直接申請することにより給付する運用が開始されました。
支給対象は、以下を満たす必要があります。
- 助成金について労働局に労働者から相談があり、労働局から事業主に助成金活用・有給の休暇付与の働きかけを行ったものの、事業主がそれに応じなかった。
- 小学校等の臨時休業等のために仕事を休み、その休んだ日時について、通常通りの賃金等が支払われていない部分がある。
- 小学校休業等対応助成金(個人申請分)および休業支援金の申請にあたって、事業主記載欄の記載や証明書類の提供について、事業主の協力が得られる。
- 2020年4月1日から2021年3月31日までの期間の休業支援金の申請にあたり、その労働者を休業させたとする扱いに事業主が同意する。
都道府県労働局に「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」が設けられ、労働者からの相談内容に応じて、企業への特別休暇制度導入・助成金の活用の働きかけ等を行うことになっています。労働者が相談した場合には、労働局から問い合わせが入るため、制度の概要を押さえておきましょう。
(次号に続く)
新型コロナによる休業時の労働者支援の動き
新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)については、様々な支援策が設けられているものの、企業が助成金の活用を行わないことにより、本来、労働者が享受できる支援が行き渡らない状況も発生しています。そこで、給付金等を企業を経由せず、直接労働者に給付する仕組みの構築が進んでいます。以下では、大企業のシフト労働者等に対する休業の支援と、小学校等が臨時休業になった際の支援について確認します。
1.大企業にも拡大される休業支援金・給付金
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、「休業支援金」という)は、当初、新型コロナの影響により事業主が労働者を休業させたものの、休業手当が支払われない中小企業の労働者を対象に、労働者の直接申請により給付が行われるものでした。
この対象が大企業で雇用されるシフト労働者等にも拡大されており、労働契約上、労働日が明確でない人としてシフト制、日々雇用、登録型派遣の人についても支給されることになりました。
2.直接申請による小学校休業等対応助成金
小学校休業等対応助成金は、小学校等の臨時休業等に伴い、子どもの世話を行うため仕事を休まざるを得ない保護者に対して有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主が、休暇中に支払った賃金相当額を受給できる制度です。今回、この基本的な考え方は崩さずに、2020年2月27日から3月31日までの休みについては小学校休業等対応助成金を労働者が直接申請し、2020年4月1日から2021年3月31日までの休みについては、休業支援金の仕組みにより労働者が直接申請することにより給付する運用が開始されました。
支給対象は、以下を満たす必要があります。
- 助成金について労働局に労働者から相談があり、労働局から事業主に助成金活用・有給の休暇付与の働きかけを行ったものの、事業主がそれに応じなかった。
- 小学校等の臨時休業等のために仕事を休み、その休んだ日時について、通常通りの賃金等が支払われていない部分がある。
- 小学校休業等対応助成金(個人申請分)および休業支援金の申請にあたって、事業主記載欄の記載や証明書類の提供について、事業主の協力が得られる。
- 2020年4月1日から2021年3月31日までの期間の休業支援金の申請にあたり、その労働者を休業させたとする扱いに事業主が同意する。
都道府県労働局に「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」が設けられ、労働者からの相談内容に応じて、企業への特別休暇制度導入・助成金の活用の働きかけ等を行うことになっています。労働者が相談した場合には、労働局から問い合わせが入るため、制度の概要を押さえておきましょう。
(次号に続く)
新型コロナによる休業時の労働者支援の動き
新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)については、様々な支援策が設けられているものの、企業が助成金の活用を行わないことにより、本来、労働者が享受できる支援が行き渡らない状況も発生しています。そこで、給付金等を企業を経由せず、直接労働者に給付する仕組みの構築が進んでいます。以下では、大企業のシフト労働者等に対する休業の支援と、小学校等が臨時休業になった際の支援について確認します。
1.大企業にも拡大される休業支援金・給付金
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、「休業支援金」という)は、当初、新型コロナの影響により事業主が労働者を休業させたものの、休業手当が支払われない中小企業の労働者を対象に、労働者の直接申請により給付が行われるものでした。
この対象が大企業で雇用されるシフト労働者等にも拡大されており、労働契約上、労働日が明確でない人としてシフト制、日々雇用、登録型派遣の人についても支給されることになりました。
2.直接申請による小学校休業等対応助成金
小学校休業等対応助成金は、小学校等の臨時休業等に伴い、子どもの世話を行うため仕事を休まざるを得ない保護者に対して有給(賃金全額支給)の休暇を取得させた事業主が、休暇中に支払った賃金相当額を受給できる制度です。今回、この基本的な考え方は崩さずに、2020年2月27日から3月31日までの休みについては小学校休業等対応助成金を労働者が直接申請し、2020年4月1日から2021年3月31日までの休みについては、休業支援金の仕組みにより労働者が直接申請することにより給付する運用が開始されました。
支給対象は、以下を満たす必要があります。
- 助成金について労働局に労働者から相談があり、労働局から事業主に助成金活用・有給の休暇付与の働きかけを行ったものの、事業主がそれに応じなかった。
- 小学校等の臨時休業等のために仕事を休み、その休んだ日時について、通常通りの賃金等が支払われていない部分がある。
- 小学校休業等対応助成金(個人申請分)および休業支援金の申請にあたって、事業主記載欄の記載や証明書類の提供について、事業主の協力が得られる。
- 2020年4月1日から2021年3月31日までの期間の休業支援金の申請にあたり、その労働者を休業させたとする扱いに事業主が同意する。
都道府県労働局に「小学校休業等対応助成金に関する特別相談窓口」が設けられ、労働者からの相談内容に応じて、企業への特別休暇制度導入・助成金の活用の働きかけ等を行うことになっています。労働者が相談した場合には、労働局から問い合わせが入るため、制度の概要を押さえておきましょう。
(次号に続く)
5月7日に発出された、厚労省からの通知概要です。
高齢者施設における過去の誤対応も示されている本通知、
関心をお持ちの皆様は、下記をご確認下さい。
https://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2021/05/koureisyashisetu_ryuijiko.pdf
出向者の社会保険の取扱い
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。
総務部長:
今後、当社の従業員の能力開発を進めるために、取引先の企業に在籍出向をさせたいと考えています。詳細はこれから検討することになりますが、社会保険の取扱いについて教えてください。
社労士:
わかりました。まず雇用保険については、出向者は出向元企業と出向先企業の双方と雇用関係がありますが、両方で適用されるわけではありません。生計を維持するのに必要な主たる賃金を受けている企業の方で適用します。
総務部長:
いまのところ、本人には当社から賃金を支給し、出向先企業から当社へ賃金の負担金を支払ってもらう予定です。この場合には、雇用保険は当社のまま加入し続けることになりますね。
社労士:
そうですね。次に労災保険ですが、実際に出向者が労務提供を行う先で適用となるため、出向先企業で適用します。出向先で被保険者となる手続きは不要ですが、労災保険料は出向先の被保険者として算入することになるため、出向元で出向者の賃金を支払っている場合には、出向先企業に支払った賃金額を連絡し、出向先で出向者の賃金を含めて労災保険料を算出します。
総務部長:
労災事故は実際に働いている現場で起きるため、労務提供を行う出向先で加入するのですね。
社労士:
その通りです。最後に、健康保険・厚生年金保険は、出向元企業と出向先企業のうち、使用関係があり報酬を支払う企業(一方または双方)で適用を受けます。今回は、自社で賃金を支払う予定ですので、現行のままの適用になります。なお、出向元企業と出向先企業の両者で適用となる場合には、二以上事業所勤務届を提出することになりますので、ご注意ください。
総務部長:
ややこしい手続きになるのですね。
社労士:
賃金の支払い方等で取扱いが異なってくるため、出向規程で社会保険の取扱いを定め、具体的な出向の内容を出向先企業との出向契約書など書面で取り交わすべきでしょう。
総務部長:
なるほど。以前に、出向規程を作成していたと思いますので、中身を確認してみます。また不明点が出てきたら、相談します。
【ワンポイントアドバイス】
- 雇用保険、健康保険・厚生年金保険は、出向元企業・出向先企業の賃金の支払い状況によって適用が異なる。労災保険については、賃金の支払い状況に関わらず、出向者が労務提供を行う企業で適用となる。
- 出向における社会保険の取扱いを出向規程に定め、実際に出向を行う場合には、出向元企業と出向先企業との出向契約書の中で社会保険の取扱いを明確にする。
(次号に続く)