コラム

保育事業所様向け情報(労務)9月号③

2020年9月より変わる複数就業者の労災保険給付の取扱い

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

社労士:

働き方改革の一つとして兼業・副業が推進されていますが、それに関連して、9月より複数就業者の労災保険給付の取扱いが変わります。

総務部長:

実は、ある従業員から副業したいという相談があったところです。どのように変わるのでしょうか?

社労士:

労災事故が発生した場合、これまでは発生した勤務先の賃金額のみを基礎に給付額等が決定されていました。これが、9月よりすべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎として給付額等が決定されることになります。

総務部長:

当社で25万円、副業先で5万円の賃金が支払われている場合、当社で災害に遭った場合には25万円、副業先の場合には5万円が基礎となり労災給付がなされたものが、9月からはどこで被災したとしても合算した30万円が基礎となるということですね。

社労士:

その通りです。労災事故が発生した場合のセーフティネットを強化するために今回の改正が行われています。脳・心臓疾患や精神障害に関する労災認定についても、勤務先ごとに労働時間やストレス等の負荷を個別に評価して、労災認定の判断をし、それぞれの評価で労災認定されない場合は、すべての勤務先の労働時間やストレス等の負荷を総合的に評価して労災認定の判断が行われます。

総務部長:

なるほど。当社では残業がほとんどなく、労働時間やストレス等の負荷がないと判断されても、副業先での労働時間やストレス等の負荷を加味して、労災認定が判断されるということですね。今後、当社で副業を認めていく方針となった場合、どのようなことに注意が必要でしょうか?

社労士:

やはり過重労働とならないように注意が必要です。例えば副業先で働くことができる時間数を設定し、その範囲で働いてもらうといった対応が考えられます。その他、副業を始めた後には、定期的に面談を行い、本来の業務に支障が出ていないか、過重労働となっていないか、状況を確認した方がよいでしょう。

総務部長:

確かに、継続的に管理していくことは重要ですね。ただ、実際に副業先も含めた労働時間の管理や把握をすることは難しく、副業を認めることに対して慎重になりますね。

社労士:

そうですね。2020年7月に行われた未来投資会議の成長戦略実行計画案の中では、兼業・副業の普及に向けて、労働時間の管理方法が議論されていました。今後の動きに注目しましょう。

【ワンポイントアドバイス】

  1. 2020年9月より、労働災害が発生した場合、すべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎に給付額等が決定される。
  2. 労働時間やストレス等の負荷についても、勤務先ごとに評価して労災認定できない場合は、総合的に評価して労災認定の判断が行われる。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(労務)9月号③

2020年9月より変わる複数就業者の労災保険給付の取扱い

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

社労士:

働き方改革の一つとして兼業・副業が推進されていますが、それに関連して、9月より複数就業者の労災保険給付の取扱いが変わります。

総務部長:

実は、ある従業員から副業したいという相談があったところです。どのように変わるのでしょうか?

社労士:

労災事故が発生した場合、これまでは発生した勤務先の賃金額のみを基礎に給付額等が決定されていました。これが、9月よりすべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎として給付額等が決定されることになります。

総務部長:

当社で25万円、副業先で5万円の賃金が支払われている場合、当社で災害に遭った場合には25万円、副業先の場合には5万円が基礎となり労災給付がなされたものが、9月からはどこで被災したとしても合算した30万円が基礎となるということですね。

社労士:

その通りです。労災事故が発生した場合のセーフティネットを強化するために今回の改正が行われています。脳・心臓疾患や精神障害に関する労災認定についても、勤務先ごとに労働時間やストレス等の負荷を個別に評価して、労災認定の判断をし、それぞれの評価で労災認定されない場合は、すべての勤務先の労働時間やストレス等の負荷を総合的に評価して労災認定の判断が行われます。

総務部長:

なるほど。当社では残業がほとんどなく、労働時間やストレス等の負荷がないと判断されても、副業先での労働時間やストレス等の負荷を加味して、労災認定が判断されるということですね。今後、当社で副業を認めていく方針となった場合、どのようなことに注意が必要でしょうか?

社労士:

やはり過重労働とならないように注意が必要です。例えば副業先で働くことができる時間数を設定し、その範囲で働いてもらうといった対応が考えられます。その他、副業を始めた後には、定期的に面談を行い、本来の業務に支障が出ていないか、過重労働となっていないか、状況を確認した方がよいでしょう。

総務部長:

確かに、継続的に管理していくことは重要ですね。ただ、実際に副業先も含めた労働時間の管理や把握をすることは難しく、副業を認めることに対して慎重になりますね。

社労士:

そうですね。2020年7月に行われた未来投資会議の成長戦略実行計画案の中では、兼業・副業の普及に向けて、労働時間の管理方法が議論されていました。今後の動きに注目しましょう。

【ワンポイントアドバイス】

  1. 2020年9月より、労働災害が発生した場合、すべての勤務先の賃金額を合算した額を基礎に給付額等が決定される。
  2. 労働時間やストレス等の負荷についても、勤務先ごとに評価して労災認定できない場合は、総合的に評価して労災認定の判断が行われる。

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)9月号②

新型コロナで休業手当が支払われなかった人に支給される新型コロナ支援金

従業員を所定労働日に休業させ、その理由が会社の責に帰すべきものであったときには、会社は従業員に休業手当を支給しなければなりません。新型コロナウイルス感染症およびそのまん延防止措置の影響により多くの企業が休業をしていますが、休業手当を支給されなかった従業員が発生したことに伴い、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、「新型コロナ支援金」という)の制度が設けられました。

1.新型コロナ支援金の概要と申請

新型コロナ支援金は、2020年4月1日から9月30日までの間に会社の指示により休業したにも関わらず、その休業に対する休業手当が支給されなかった中小企業の従業員に、休業する前の賃金の8割(1日あたりの上限11,000円)が、休業した日数に応じて国から直接支給されるものです。

初回の申請は「支給申請書」および「支給要件確認書」に、①申請者本人であることが確認できる書類として運転免許証等のコピー、②振込先口座を確認できる書類の写しとして通帳等のコピー、③休業前および休業中の賃金額が確認できる書類の写しとして給与明細等のコピーの3点を添付して、指定先へ郵送します。

申請は従業員が行う方法と、会社経由で行う方法がありますが、いずれも申請する従業員の休業に関する事項を会社が証明する必要があります。会社がこの証明を行わず従業員が申請したときは、後日、会社は労働局から報告を求められます。

2.休業手当との関係

新型コロナ支援金は、会社の指示により休業したにも関わらず、休業手当が受けられない従業員の生活の安定および保護を図ることを目的として創設されました。

一方で労働基準法では、会社の責に帰すべき事由により休業する場合に、休業手当として平均賃金の6割以上の支払いを義務付けています。新型コロナ支援金の支給対象となる休業が会社の責に帰すべき事由であったときには、従業員に新型コロナ支援金が支払われたとしても休業手当を支払う義務が免除されるものではないため、新型コロナ支援金は矛盾した制度という指摘があります。

そのため、厚生労働省では、まずは会社が休業手当を支払うこと等で受給できる雇用調整助成金の活用を検討するよう周知しています。

なお、従業員が新型コロナ支援金を受け取った後に、休業手当を受け取ったときは、新型コロナ支援金を返還する仕組みとなっており、新型コロナ支援金と休業手当を二重では受け取れません。

複数事業所の休業について申請する場合、複数事業所分の情報をまとめて申請する必要があります。1つの事業所分の申請をした期間については、その申請以外すべて無効になります。休業手当を支払っていないときには、従業員から証明を求められる可能性がありますので適切に対処するようにしましょう。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)9月号②

新型コロナで休業手当が支払われなかった人に支給される新型コロナ支援金

従業員を所定労働日に休業させ、その理由が会社の責に帰すべきものであったときには、会社は従業員に休業手当を支給しなければなりません。新型コロナウイルス感染症およびそのまん延防止措置の影響により多くの企業が休業をしていますが、休業手当を支給されなかった従業員が発生したことに伴い、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、「新型コロナ支援金」という)の制度が設けられました。

1.新型コロナ支援金の概要と申請

新型コロナ支援金は、2020年4月1日から9月30日までの間に会社の指示により休業したにも関わらず、その休業に対する休業手当が支給されなかった中小企業の従業員に、休業する前の賃金の8割(1日あたりの上限11,000円)が、休業した日数に応じて国から直接支給されるものです。

初回の申請は「支給申請書」および「支給要件確認書」に、①申請者本人であることが確認できる書類として運転免許証等のコピー、②振込先口座を確認できる書類の写しとして通帳等のコピー、③休業前および休業中の賃金額が確認できる書類の写しとして給与明細等のコピーの3点を添付して、指定先へ郵送します。

申請は従業員が行う方法と、会社経由で行う方法がありますが、いずれも申請する従業員の休業に関する事項を会社が証明する必要があります。会社がこの証明を行わず従業員が申請したときは、後日、会社は労働局から報告を求められます。

2.休業手当との関係

新型コロナ支援金は、会社の指示により休業したにも関わらず、休業手当が受けられない従業員の生活の安定および保護を図ることを目的として創設されました。

一方で労働基準法では、会社の責に帰すべき事由により休業する場合に、休業手当として平均賃金の6割以上の支払いを義務付けています。新型コロナ支援金の支給対象となる休業が会社の責に帰すべき事由であったときには、従業員に新型コロナ支援金が支払われたとしても休業手当を支払う義務が免除されるものではないため、新型コロナ支援金は矛盾した制度という指摘があります。

そのため、厚生労働省では、まずは会社が休業手当を支払うこと等で受給できる雇用調整助成金の活用を検討するよう周知しています。

なお、従業員が新型コロナ支援金を受け取った後に、休業手当を受け取ったときは、新型コロナ支援金を返還する仕組みとなっており、新型コロナ支援金と休業手当を二重では受け取れません。

複数事業所の休業について申請する場合、複数事業所分の情報をまとめて申請する必要があります。1つの事業所分の申請をした期間については、その申請以外すべて無効になります。休業手当を支払っていないときには、従業員から証明を求められる可能性がありますので適切に対処するようにしましょう。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(労務)9月号②

新型コロナで休業手当が支払われなかった人に支給される新型コロナ支援金

従業員を所定労働日に休業させ、その理由が会社の責に帰すべきものであったときには、会社は従業員に休業手当を支給しなければなりません。新型コロナウイルス感染症およびそのまん延防止措置の影響により多くの企業が休業をしていますが、休業手当を支給されなかった従業員が発生したことに伴い、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下、「新型コロナ支援金」という)の制度が設けられました。

1.新型コロナ支援金の概要と申請

新型コロナ支援金は、2020年4月1日から9月30日までの間に会社の指示により休業したにも関わらず、その休業に対する休業手当が支給されなかった中小企業の従業員に、休業する前の賃金の8割(1日あたりの上限11,000円)が、休業した日数に応じて国から直接支給されるものです。

初回の申請は「支給申請書」および「支給要件確認書」に、①申請者本人であることが確認できる書類として運転免許証等のコピー、②振込先口座を確認できる書類の写しとして通帳等のコピー、③休業前および休業中の賃金額が確認できる書類の写しとして給与明細等のコピーの3点を添付して、指定先へ郵送します。

申請は従業員が行う方法と、会社経由で行う方法がありますが、いずれも申請する従業員の休業に関する事項を会社が証明する必要があります。会社がこの証明を行わず従業員が申請したときは、後日、会社は労働局から報告を求められます。

2.休業手当との関係

新型コロナ支援金は、会社の指示により休業したにも関わらず、休業手当が受けられない従業員の生活の安定および保護を図ることを目的として創設されました。

一方で労働基準法では、会社の責に帰すべき事由により休業する場合に、休業手当として平均賃金の6割以上の支払いを義務付けています。新型コロナ支援金の支給対象となる休業が会社の責に帰すべき事由であったときには、従業員に新型コロナ支援金が支払われたとしても休業手当を支払う義務が免除されるものではないため、新型コロナ支援金は矛盾した制度という指摘があります。

そのため、厚生労働省では、まずは会社が休業手当を支払うこと等で受給できる雇用調整助成金の活用を検討するよう周知しています。

なお、従業員が新型コロナ支援金を受け取った後に、休業手当を受け取ったときは、新型コロナ支援金を返還する仕組みとなっており、新型コロナ支援金と休業手当を二重では受け取れません。

 

複数事業所の休業について申請する場合、複数事業所分の情報をまとめて申請する必要があります。1つの事業所分の申請をした期間については、その申請以外すべて無効になります。休業手当を支払っていないときには、従業員から証明を求められる可能性がありますので適切に対処するようにしましょう。

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)9月①

新型コロナウイルス感染症に伴う月額変更の特例

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の影響で休業し賃金が著しく下がったときには、会社から日本年金機構等へ届け出ることで健康保険料・厚生年金保険料の標準報酬月額を、翌月から改定できる特例(以下、「特例改定」という)が設けられました。

1.月額変更の原則

社会保険では標準報酬月額を用いて保険料額等を決定しています。この標準報酬月額は、1年に1度、定時決定(算定基礎)で見直される他、昇給や降給等の固定的賃金の変動に伴い、賃金の額が大幅に変わったときに行う月額変更により見直しが行われます。

月額変更では固定的賃金が変動した月から3ヶ月間に支払われた賃金の平均額が大きく変動している場合に、4ヶ月目より標準報酬月額を改定しますが、今回の特例改定では、休業により賃金の額が大幅に変わった月1ヶ月で判定し、翌月より標準報酬月額を改定することができます。

2.特例改定の条件

特例改定は、以下の3つの条件をすべて満たす場合に行うことができ、また通常の月額変更と異なり任意の届出とされています。

  1. 新型コロナの影響による休業(時間単位を含む)により、急減月(2020年4月から7月までの間の1ヶ月であって、休業により賃金が著しく下がった月として会社が届け出た月)が生じている
  2. 急減月に支払われた賃金の総額(1ヶ月分)に該当する標準報酬月額が、既に設定されている標準報酬月額に比べて、2等級以上下がっている※固定的賃金の変動がない場合も対象
  3. 特例により標準報酬月額を改定することについて、従業員が書面により同意している

特例改定を行うことで、社会保険料の負担は減りますが、同時に将来受給できる年金や傷病手当金、出産手当金が減少する可能性があるため、c.のように従業員の十分な理解に基づく事前の同意を前提としています。

3.特例改定を利用する際の手続き

特例改定を利用するときには、日本年金機構等のホームページで公開されている専用の様式と申立書により届け出ます。

従業員の同意は書面で行う必要がありますが、届出の必要はなく、届出日から2年間保管する必要があります。なお、同意書は任意の様式となっていますが、日本年金機構のホームページで参考様式が公開されています。

特例改定には細かな留意点があり、また、休業が複数の月に亘っている場合には、どの月を急減月として届け出るかにより社会保険料の負担額が異なってきます。特例改定は、同一の従業員について複数回申請を行うことはできませんので、急減月の候補が複数あるときには慎重に判断しましょう。なお、届出期限は2021年1月末(※)となっています。
※2021年1月31日は休日のため、厳密には2021年2月1日までに受け付けられたものが対象。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)9月号①

新型コロナウイルス感染症に伴う月額変更の特例

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の影響で休業し賃金が著しく下がったときには、会社から日本年金機構等へ届け出ることで健康保険料・厚生年金保険料の標準報酬月額を、翌月から改定できる特例(以下、「特例改定」という)が設けられました。

1.月額変更の原則

社会保険では標準報酬月額を用いて保険料額等を決定しています。この標準報酬月額は、1年に1度、定時決定(算定基礎)で見直される他、昇給や降給等の固定的賃金の変動に伴い、賃金の額が大幅に変わったときに行う月額変更により見直しが行われます。

月額変更では固定的賃金が変動した月から3ヶ月間に支払われた賃金の平均額が大きく変動している場合に、4ヶ月目より標準報酬月額を改定しますが、今回の特例改定では、休業により賃金の額が大幅に変わった月1ヶ月で判定し、翌月より標準報酬月額を改定することができます。

2.特例改定の条件

特例改定は、以下の3つの条件をすべて満たす場合に行うことができ、また通常の月額変更と異なり任意の届出とされています。

  1. 新型コロナの影響による休業(時間単位を含む)により、急減月(2020年4月から7月までの間の1ヶ月であって、休業により賃金が著しく下がった月として会社が届け出た月)が生じている
  2. 急減月に支払われた賃金の総額(1ヶ月分)に該当する標準報酬月額が、既に設定されている標準報酬月額に比べて、2等級以上下がっている※固定的賃金の変動がない場合も対象
  3. 特例により標準報酬月額を改定することについて、従業員が書面により同意している

特例改定を行うことで、社会保険料の負担は減りますが、同時に将来受給できる年金や傷病手当金、出産手当金が減少する可能性があるため、c.のように従業員の十分な理解に基づく事前の同意を前提としています。

3.特例改定を利用する際の手続き

特例改定を利用するときには、日本年金機構等のホームページで公開されている専用の様式と申立書により届け出ます。

従業員の同意は書面で行う必要がありますが、届出の必要はなく、届出日から2年間保管する必要があります。なお、同意書は任意の様式となっていますが、日本年金機構のホームページで参考様式が公開されています。

特例改定には細かな留意点があり、また、休業が複数の月に亘っている場合には、どの月を急減月として届け出るかにより社会保険料の負担額が異なってきます。特例改定は、同一の従業員について複数回申請を行うことはできませんので、急減月の候補が複数あるときには慎重に判断しましょう。なお、届出期限は2021年1月末(※)となっています。
※2021年1月31日は休日のため、厳密には2021年2月1日までに受け付けられたものが対象。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(労務)9月号①

新型コロナウイルス感染症に伴う月額変更の特例

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の影響で休業し賃金が著しく下がったときには、会社から日本年金機構等へ届け出ることで健康保険料・厚生年金保険料の標準報酬月額を、翌月から改定できる特例(以下、「特例改定」という)が設けられました。

1.月額変更の原則

社会保険では標準報酬月額を用いて保険料額等を決定しています。この標準報酬月額は、1年に1度、定時決定(算定基礎)で見直される他、昇給や降給等の固定的賃金の変動に伴い、賃金の額が大幅に変わったときに行う月額変更により見直しが行われます。

月額変更では固定的賃金が変動した月から3ヶ月間に支払われた賃金の平均額が大きく変動している場合に、4ヶ月目より標準報酬月額を改定しますが、今回の特例改定では、休業により賃金の額が大幅に変わった月1ヶ月で判定し、翌月より標準報酬月額を改定することができます。

2.特例改定の条件

特例改定は、以下の3つの条件をすべて満たす場合に行うことができ、また通常の月額変更と異なり任意の届出とされています。

  1. 新型コロナの影響による休業(時間単位を含む)により、急減月(2020年4月から7月までの間の1ヶ月であって、休業により賃金が著しく下がった月として会社が届け出た月)が生じている
  2. 急減月に支払われた賃金の総額(1ヶ月分)に該当する標準報酬月額が、既に設定されている標準報酬月額に比べて、2等級以上下がっている※固定的賃金の変動がない場合も対象
  3. 特例により標準報酬月額を改定することについて、従業員が書面により同意している

特例改定を行うことで、社会保険料の負担は減りますが、同時に将来受給できる年金や傷病手当金、出産手当金が減少する可能性があるため、c.のように従業員の十分な理解に基づく事前の同意を前提としています。

3.特例改定を利用する際の手続き

特例改定を利用するときには、日本年金機構等のホームページで公開されている専用の様式と申立書により届け出ます。

従業員の同意は書面で行う必要がありますが、届出の必要はなく、届出日から2年間保管する必要があります。なお、同意書は任意の様式となっていますが、日本年金機構のホームページで参考様式が公開されています。

特例改定には細かな留意点があり、また、休業が複数の月に亘っている場合には、どの月を急減月として届け出るかにより社会保険料の負担額が異なってきます。特例改定は、同一の従業員について複数回申請を行うことはできませんので、急減月の候補が複数あるときには慎重に判断しましょう。なお、届出期限は2021年1月末(※)となっています。
※2021年1月31日は休日のため、厳密には2021年2月1日までに受け付けられたものが対象。

(次号に続く)

令和元年度 介護労働実態調査結果 のポイントを把握しておきましょう

「介護労働実態調査」の調査結果が発表

2020年 8 月 7 日 、平成 15 年度から続く「介護労働実態調査」が 公益財団法人介護労働安定センター より発表されました。今月のニュースレターでは、特に認識・確認しておいた方が宜しいかかもしれない情報・データを大きく 4 点、ピックアップして皆様にお届けさせていただきたく思います。「さて、この視点において、自社の実情はどうなっているのだろうか?」是非、そのような視点を持ちつつ、目を通していただければ幸いです。

「介護労働実態調査」で特に認識・確認しておいたほうが良いデータ

では、早速、中身に移ってまいりましょう。 まずは「 家族の介護の状況(年齢階級別) 」についてです。

1)家族の介護の状況(年齢階級別)

「現在、介護している」は「55 歳以上 60 歳未満」が 26.2 %と最も高く、次いで「 60 歳以上 65 歳未満」が23.9 %、「 50 歳以上 55 歳未満」が 21.8 %となっています。介護経営者としては 突然の離職発生等のリスクを事前防止することを含め 、自社のスタッフにおいての現状の情報収集を行 って おいた方が宜しいかもしれません。特に 50 歳以上のスタッフが多い職場では、具体的にどのような対応が可能かを考えていくことが必要 ・重要だと言えるでしょう 。 では、 2 番目の項目に移ってまいります。 介護や妊娠・出産・育児に係る両立支援のための取組み についてです。

2)介護や妊娠・出産・育児に係る両立支援のための取組み

「介護休業や介護休暇を就業規則に定めている」と「育児休業や育児休暇を就業規則に定めている」が 7 割前後の事業所で行 われている一方、 「育児休業や育児休暇の内容や利用手続に関して、従業員全員に周知している」「介護休業や介護休暇の内容や利用手続に関して、従業員全員に周知している」は 5 割前後に留まっています。周知すること無しには、規則を定めていても活用していくことができ ず、「知らなかった」ことが理由となって離職につながってしまうことも大いに考えられることです 。 その意味でも 自社 内で しっかり 情報が浸透しているか、念のために確認をしてお いた方が宜しい法人も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。では 、 3番目の項目に移ってまいりましょう。 現在の仕事の満足度調査 について です。

3)現在の仕事の満足度

満足度D.I. 「満足」 「や や満足」から 「やや不満足」 「不満足」を引いたもの)をみると、 「 仕事の内容・やりがい 」「 職場の人間関係、コミュニケ-ション 」「 雇用の安定性 」「 職場の環境 」 については高い項目となっており、一方、 低い項目は 「 賃金 」「 教育訓練・能力開発のあり方 」「 人事評価・処遇のあり方 」等になっています。 自社の現状を振り返り、職場改善のヒントとしていきましょう。 それでは最後、 4 番目の項目に移ってまいります。早期離職防止や定着促進のための方策についてです。

4)早期離職防止や定着促進のための方策

こちらは、早期離職防止や定着促進のための方策についての調査となります。スタッフの定着率にお悩みの 経営者の皆様は、 自社でできることが無いか、確認しておくことをおすすめ する次第です。

自社の現状を把握し調査結果と比較することで対応を検討

以上、4 点ほどデータをピックアップして概要・ポイントをお届けいたしました。まだ まだ様々な視点のデータが公表されておりますので、詳細は下記 URL を参照いただければと思います。

介護経営に携わる方や人事・組織づくりに携わる皆様 は、自社の現状を把握し、調査結果と比較することにより、様々な気付きや学び、或いは改善のヒント等を得ることが出来るものと思われます。そのような視点で 是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。 私たちも今後、 引き続き、本テーマを含め、 より有益な情報 や事例 を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

※本ニュースレターの引用元資料はこちら

令和元年度 介護労働実態調査結果について

http://www.kaigo-center.or.jp/report/2020r02_chousa_01.html

厚労省Q&A コロナ禍影響による救済措置

 

厚労省からコロナ禍影響による救済措置がQ&Aで

公開されました。ご承知のことと思いますが、

念のため共有させて頂きます。

「コロナ禍の影響でやむを得ず、一時的に特定の事業所に
サービスが集中せざるを得ない状況が生じた場合には、

特定集中減算を適用しない扱いも可能」

・・・・

新たなQ&A(第15報)の内容です。

関心をお持ちの皆様は、下記をご確認下さいませ。

https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2020/0827180648837/ksvol.870.pdf

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03-6435-7075(平日9:00~18:00)

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