コラム

医療事業者様向け情報(経営)6月号②

最新版 看護師の賃金データ

3 月に厚生労働省から、職種別の賃金に関する最新の調査結果※が発表されました。ここではその結果から、看護師の所定内給与と年間賞与その他特別給与額をみていきます。

男性の平均は 37 万円程度

上記調査結果から、年齢階級・経験年数別に看護師の賃金をまとめると、下表のとおりです。
男性の経験年数計の平均は、所定内給与額が 36.8 万円、年間賞与その他特別給与額(以下、年間賞与等)が 44.8 万円です。所定内給与額は 30 代以降になると、30 万円を超えています。年間賞与等は年齢階級によって、さまざまな金額となっています。
経験年数別の平均をみると、所定内給与額は 10~14 年の 42.9 万円が、年間賞与等は 15年以上の 69.5 万円が最も高い状況です。

女性の平均は 30 万円程度

女性の経験年数計の平均は、所定内給与額が 30.2 万円、年間賞与等が 72.8 万円となりました。所定内給与額は 40 代と 50 代が 30 万円台ですが、その他は 20 万円台になっています。年間賞与等は男性ほどではないものの、金額にばらつきがみられます。
経験年数別の平均をみると、所定内給与額は 15 年以上の 31.3 万円が、年間賞与等も 15年以上の 83.7 万円が最も高くなりました。


貴院の看護師の賃金と比較してみては、いかがでしょうか。

 

※厚生労働省「令和 2 年賃金構造基本統計調査」
2020 年 7 月に行った同年 6 月分の賃金等(賞与、期末手当等特別給与額については 2019 年1月から 12 月までの1年間)についての調査です。調査対象数は 78,181 事業所で、ここでのデータは、10~99 人規模の事業所における看護師の賃金等になります。また、データが全くない年齢階級は省略してあります。詳細は次の URL のページから確認いただけます。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450091&tstat=000001011429&cycle=0&tclass1=000001152186&tclass2=000001152187&tclass3=000001152191&tclass4val=0

「マネージャーとリーダー」との違い

なぜ、不可能といわれたJAL再生は、わずか1年で可能になったのか?
大田嘉仁・著『JALの奇跡』(致知出版)の書籍で、とても印象に残っている部分が
ありますのでご紹介させていただきます。

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リーダーとマネージャーの違い
………………………………………

企業経営をする上で最も大事なことは、
経営幹部に立派な人間性をもつ
すばらしいリーダーを据えることである。

どんな困難に直面しても逃げずに
真正面から取り組む勇気があって、
また部下や仲間を大切にする優しさをもっている。

さらに常に謙虚で努力を怠らない。
そういうリーダーでなければ
小さな部門さえまとめることはできない。

しかし、冒頭から説明している通り、
JALに着任し、会議に出席し、現場を訪問する中で、
JALには本当のリーダーと呼べる人間が
いないことを痛感していた。

それではいくら立派な再建計画を作っても、
達成できるはずはない。

また、上の立場の人間の意識が変わらないと、
部下の意識が変わるはずもない。

逆に、幹部の考え方が変われば、
自ずと部下の考え方も変わる。
だから、どうしてもリーダー教育を
早急に始めなければならないと思っていた。

そこで、当初より意識改革推進準備室のメンバーに、
「大西社長を含め役員や主要な幹部社員を
五十名ほど集めて、週五回、
一回三時間程度のリーダー教育を始めたい」
と伝えたのだが、そもそもリーダー教育という
コンセプトにも納得していなかったので、
最初は「絶対無理だ」と反対していた。

それでも私は、彼らに私の考えをまとめて
報告書を作ってほしいと頼んだ。

しかし、返ってくる報告書のタイトルは
マネジメント教育になっていた。

「そうじゃない。
 私はリーダー教育のプログラムを
 作ろうと思っているのだ」

と指摘しても、返ってきた報告書には
またマネジメント教育と書かれていた。

おそらく彼らは当初リーダーとマネージャーが
同じものだと理解していたのだろう。

これは無理もない。

普通の大企業でも管理職になったら
マネジメント教育を受ける。

そしてコンプライアンスの重要性、
人事評価の方法、目標数値の設定の仕方などを学ぶ。

それが一般的だから、リーダー教育というと
マネジメント教育のことだと考えてしまったのだ。

「部下を管理するマネジメントについては、
 あなたたちはよくわかっているし、優秀かもしれない。
 しかし、今JALに必要なのは部下をまとめて
 同じ目標に向けて引っ張っていける
 リーダーを育てることなんだ。

 優秀なマネージャーであれば、
 困難に遭遇すればその迂回策を考えるだろう。

 うまくいかなかったら、その言い訳を探して、
 責任逃れをするだろう。

 そんなマネージャーばかりだから倒産したんだ。

 再建を成功させるには、
 どんな困難にぶち当たってもあきらめずに
 やり遂げようとする、一つの目標に向かって
 部下を鼓舞してなんとかまとめていこうと考える、
 そんなリーダーが必要なんだ。
 これからはそのようなリーダーを
 育てなくてはいけない」

そのような話をしてリーダー教育の必要性を
どうにか理解してもらった。

以上が、大田嘉仁・著『JALの奇跡』(致知出版)から引用

させて頂きました。

 

以上 お読みいただいて、皆様はどのように感じられたでしょうか?

 「リーダーとマネージャーの違い」。

結構、混同しがちかもしれません。

しかし、その違いをよく理解したうえで、社員教育を行っていくことは

とても重要なことと思います。

 

 

 

 

 

 

 

在宅高齢者のワクチン接種、経過観察は訪問介護も担えます! 厚労省通知

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う介護サービスの運営基準や報酬などの特例をめぐり、厚生労働省は8日に新たなQ&A(第23報)を公表した。

介護保険最新情報のVol.990で周知している。

今回は要介護の高齢者が在宅でワクチンを接種する際の経過観察の話。厚労省は本人の希望に応じ、訪問介護、訪問看護の職員がサービス提供の中でこれを担うことについて、「差し支えない」と改めてアナウンスした。市町村が事業者へ正式に委託する場合は、ワクチン接種の加速化に充てる補助金の活用が可能とも呼びかけている。

厚労省は通知で、訪問介護、訪問看護の職員が利用者の希望に応じて経過観察を担う想定ケースとして、

○ 予めケアプランに位置付けられた訪問介護、訪問看護について、そのサービス提供時間内、またはそのサービス提供時間が含まれる所要時間の区分内で経過観察も行う。

○ 予めケアプランに位置付けられたサービスの日時を接種日時に合わせるなどの変更を行い、経過観察も行う。

○ ワクチン接種をめぐる様々な事情を勘案し、臨時的に追加で介護サービスを位置付ける必要性が生じ、その際に経過観察も行う。

などが考えられると説明。「それぞれ所定の手続きをとること」と要請した。

ケアプラン(第2表、第3表、第5表など)のサービス内容の見直しが必要な場合については、「サービス提供後に行っても差し支えない」と説明。「同意は最終的に文書による必要があるが、サービス提供前に説明を行って同意を得ていれば、文書はサービス提供後に得ることでよい」とも記載している。(介護ニュース)

家族の会、アルツハイマー病の新薬承認は「新たな扉を開く希望の光」

認知症の人と家族の会の鈴木森夫代表理事は8日、アルツハイマー病の新薬「アデュカヌマブ」がアメリカのFDA=食品医薬品局に条件付きで承認されたことを受けて、公式サイトで声明を発表した。今回の動きを高く評価する一方で、当面の課題も説明している。

 

「私たちにとって大きな喜びであり、新たな扉を開く希望の光」。鈴木代表理事は声明でFDAの承認をそう歓迎した。

アルツハイマー病の治療薬「アデュカヌマブ」のFDA承認について

アデュカヌマブは日本のエーザイとアメリカの製薬企業「バイオジェン」が共同で開発したもの。今後も追加の臨床試験などで検証が続けられるが、アルツハイマー病の原因となる脳内の異常なタンパク質(アミロイドβ)を減らす効果が示されているという。日本でも昨年12月に承認申請が出されており、現在は審査が進められているところだ。

鈴木代表理事は声明に、「認知症が"進行を抑えることはできても治せない疾患"という認識から、"治療可能性のある疾患"と理解されるようになり、そのイメージが大きく変わるきっかけになって欲しい」と記載。「日本も欧米に遅れることなく承認されることを願っています」と書いた。

一方で、「この薬の効果は早期アルツハイマー病で確認されており、治療対象が限定されている」「研究開発に莫大なコストがかかっており、非常に高価なものになると予測される」などと指摘。「希望すれば誰もが安心して治療を受けられるようになるまでには、多くの課題がある。今後の動きを注視していきたい」とまとめた。

家族の会は声明の発表と併せて、「アデュカヌマブ」がどんな薬かを解説する動画をYouTubeへ投稿。「対象になる人は?」「今までの薬とどこが違う?」などの質問に専門家が答える様子を広く発信している。(介護ニュース)

利用者の介護職へのハラスメント、どう対応? 厚労省が事例集を公表

介護サービスを担う職員に対する利用者・家族によるハラスメントについて、厚生労働省は8日に新たな事例集を公表した。

実際にどんなハラスメントが生じたのか、それが起きるまでの経緯はどうだったのか、具体的にどういう対応がとられたのか − 。

そうしたことを詳しくまとめた内容だ。

厚労省は現場の関係者に対し、ハラスメントの未然防止や対策の実施に役立てて欲しいと要請。介護保険最新情報のVol.988で広く周知した。

介護保険最新情報Vol.988

介護現場にとってハラスメントは古くて新しい課題だ。職員に我慢を求めるケースも依然として少なくない一方で、認知症などでやむを得ない

ケースを除き、悪質な利用者・家族には然るべき対応を取ろうという空気が前より強まった。

厚労省もハラスメントを放置しない姿勢を明確に打ち出している。今年度の介護報酬改定では運営基準を厳格化。全サービスの事業者に対策の強化を促した経緯がある。

今回の事例集には全14ケースを掲載。ケースごとに「学びのポイント」を整理するなど、実用的で分かりやすい構成に仕上げている。

介護保険最新情報Vol.988では、既に公表済みの対策マニュアルや研修の手引きを改めて紹介。事例集と併せて参考にするよう呼びかけた。また、事業所の研修費などを補助する事業の活用も改めて要請した。

LIFEの加算を追加で解説! 厚労省、介護報酬改定のQ&A第10弾を公表

4月30日に発出された前回からおよそ40日ぶり。介護保険の新たなデータベース「LIFE」に関連する加算について、追加的に解説する内容となっている。

厚生労働省は9日、今年度の介護報酬改定の疑問に答えるQ&Aの第10弾を公表した。介護保険最新情報のVol.991で周知している。

介護保険最新情報Vol.991

今回の問答は全部で10件。新たな「科学的介護推進体制加算」のほか、通所系サービスの「栄養アセスメント加算」、施設系サービスの「自立支援促進加算」「褥瘡マネジメント加算」などが取りあげられている。

厚労省は科学的介護推進体制加算をめぐり、以下の問答を掲載した。

■ Q&A第10弾:問2

Question

入院などで一定期間サービス利用がなかった場合、加算の算定要件である情報提出の取り扱いはどうなるのか?

※ 科学的介護推進体制加算、自立支援促進加算、褥瘡マネジメント加算、排せつ支援加算共通。これらの加算は算定要件で、サービス利用を開始した月やサービス利用を終了する月などの翌月10日までに、LIFEへの情報提出を行うことが求められる。

Answer

サービスの再開、再入所を前提とした短期間の入院などによる"30日未満"のサービス利用の中断については、その後サービス利用を予定通り再開することになった場合、加算の算定要件であるサービス利用終了時、サービス利用開始時の情報提出は必要ないものとして差し支えない。

一方、長期間の入院などで"30日以上"サービス利用がない場合は、サービス利用終了時の情報提出が必要。その後、サービス利用を再開することになった場合は、サービス利用開始時の情報提出も必要。

厚労省はあわせて、科学的介護推進体制加算をめぐり利用者が死亡した際の考え方を以下のように記している。

■ Q&A第10弾:問3

Question

利用者の死亡によってサービス利用が終了した場合について、加算の算定要件である情報提出の取り扱いはどうなるのか?

Answer

利用者が死亡した月の情報を、サービス利用終了時の情報として提出する必要はあるが、死亡により把握できない項目があった場合は、把握できた項目のみの提出でも差し支えない。

厚労省はこのほか、栄養アセスメント加算や自立支援促進加算について詳しく説明する問答も掲載している。(介護ニュースより)

介護事業所様向け情報(経営)6月号①

新登場 LIFE と科学的介護推進体制加算

今回の介護報酬改定では、科学的に裏付けられた質の高いサービスの提供を目指し、介護事業所にデータ提出と活用を求める「科学的介護推進体制加算」等が新設されました。これに伴い、新システム「LIFE」もスタートしています。

LIFE の活用が評価される新しい加算

4 月より、「科学的介護情報システム(LIFE)」の運用が始まりました。旧来の VISIT と CAHSEの 2 システムを統合したもので、以下の「科学的介護推進体制加算」等の算定条件となります。

◆ 科学的介護推進体制加算

【通所系・多機能系・居住系サービス】  

 科学的介護推進体制加算 40 単位/月

 対象:通所介護、通所リハビリテーション*、認知症対応型通所介護*、地域密着型通所介護、特定施設入居者生活介護*、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護*、小規模多機能型居宅介護*、看護小規模多機能型居宅介護(*予防サービスを含む)

 

【施設系サービス(介護療養型医療施設を除く)】  

 科学的介護推進体制加算(Ⅰ) 40 単位/月、科学的介護推進体制加算(Ⅱ) 60 単位/月

 対象:介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、介護老人保健施設、介護医療院

 

LIFE 関連加算は他に、個別機能訓練加算(Ⅱ)、ADL 維持等加算、褥瘡マネジメント加算、排せつ支援加算、自立支援促進加算等があります。
新制度のため、スタート時点での不確定事項も多く、期日や留意点等の詳細が厚生労働省の事務連絡等により随時発信されています。ここでは Q&A より 2 問、概要をご紹介します。

 

問:利用者の個人情報を LIFE に登録する際、利用者の同意は必要?
答:加算の算定に係る同意は必要ですが、情報の提出については利用者の同意は必要ありません。

問:加算の算定に同意が取れない利用者が 1 人でもいたら、算定できない?
答:原則、その方を含む全利用者の情報を提出すれば、同意された利用者について算定が可能です。

参考:厚生労働省事務連絡「令和 3 年度介護報酬改定 Q&A(Vol.3)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000760502.pdf

 

LIFE の導入には、データ入力等の手間を要します。この負担に見合う報酬体制でないとして、導入に慎重な事業所は少なくないでしょう。一方で、国が方針を強く打ち出し、今改定で大き
く舵を切った流れも無視できません。今後の展開にもご注目ください。

(次号に続く)

 

医療事業者様向け情報(経営)6月号①

電話・オンライン診療、特例措置から 1 年

新型コロナウイルス感染症の拡大防止に関する特例措置として、初診からの電話による診療やオンライン診療が時限的に認められています。開始から 1 年。厚生労働省が 3 ヶ月毎に実施している調査※1より、実施状況を探ります。

初診から実施可能 15%、実施報告数 1%

初診から電話やオンラインによる診療を実施できる、として登録した医療機関数は、今年1 月末時点で 7,089 でした。これは、全医療機関数 110,898※2(以下、全体)に対して、6%程
度の数です。
また、実施報告をした医療機関数は、昨年 4月~12 月のうち、5 月の 1,313 と 7 月の 962 を除き、600~700 前後で推移しています。これは全体の 0.6%前後に相当します。
なお、実施報告件数の大半が電話診療です。

利用者は 10 歳以下とサラリーマン世代

受診者の年齢階層別の割合をみると、10 月~12 月の受診者のうち最も割合が高いのは、電話診療、オンライン診療ともに 0~10 歳で、電話診療が 38.6%、オンライン診療が 42.0%です。
電話診療は11~20歳の14.7%が次いで高く、20 歳以下で過半数を占める結果となりました。
他方、オンライン診療は 31~40 歳の 16.8%が次いで高く、21~30 歳の 13.2%や、41~50歳の 11.1%を加えると 41.1%と、労働者中心の年齢層(21~50 歳)での利用も多い、という結果となりました。この労働者中心の年齢層は、電話診療でも利用が多く、33.4%ありました。
なお、61 歳以上は、電話診療 7.8%、オンライン診療 4.9%でした。高齢者の利用がほとんど見られない結果となっています。

対応は「薬剤の処方+自宅待機」が大半

この特例措置は、対面による診療が必要と判断される場合は、速やかに対面診療に移行することを要件としています。他方で、報告された医師の対応方針の大半が、薬剤を処方して自宅
待機させるものでした。この傾向について、疾患による対応の差はほぼ見られません。
特例措置は「感染が収束するまでの間」とされていますが、継続も検討されています。今後の展開にもご注目ください。

(※1)厚生労働省 オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会資料「令和 2 年 10 月~12 月の電話診療・オンライン診療の実績の検証の結果」https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000759845.pdf
(※2)医療施設動態調査(2020 年 4 月末概数)における病院及び一般診療所の合計数

 

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)6月号④

改定されたテレワークガイドライン

新型コロナウイルス感染症対策のため、テレワークを導入する企業が急増し、更なる感染拡大により、今後も導入を予定する企業は多いのではないかと思います。厚生労働省では、新たな日常・生活様式に対応する一層良質なテレワークの導入・運用を推進することを目的としてテレワークに関するガイドラインを改定し、2021年3月に公開しました。このテレワークガイドラインでとり上げられている労務管理上の留意点の中から、テレワークにおける人事評価制度とテレワークに要する費用負担の取扱いについて紹介します。

1.テレワークにおける人事評価制度

テレワークは非対面の働き方であるため、個々の従業員の業務遂行状況や、成果を生み出す過程で発揮される能力を把握しづらい側面があるとの指摘があります。そのため、企業が従業員に対してどのような働きを求め、どう処遇に反映するかといった観点から人事評価を実施することが基本となります。

具体的には、上司が部下に期待する役割やその達成水準等をあらかじめ具体的に示し、必要に応じてその達成状況について上司と部下が共通の認識を持つための機会を設けるなど、非対面の働き方において適正な評価を実施できるように、人事評価者訓練を実施する等の工夫が考えられます。

2.テレワークに要する費用負担の取扱い

テレワークを行うことによって、通信費や電気料金などの面で、従業員に過度の負担が生じることは望ましくありません。企業ごとの業務内容、物品の貸与状況等によって費用負担の取扱いは様々であり、労使のどちらがどのように負担するか等についてはあらかじめ労使で十分に話し合い、企業ごとの状況に応じたルールを定め、就業規則等で規定しておくことが望まれます。

また、従業員自身が契約した電話回線等を用いて業務を行わせ、通話料、インターネット利用料などの通信費が増加する場合や、従業員の自宅の電気料金等が増加する場合、実際の費用のうち業務に要した実費の金額を在宅勤務の実態を踏まえて合理的・客観的に計算し、支給することも考えられます。これに関連して、費用負担等に関する源泉所得税の課税関係については、国税庁から「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」が出ています。

日本年金機構の「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」が変更され、在宅勤務・テレワーク時の交通費や在宅勤務手当の社会保険の取扱いが示されました。この事例集によると、テレワークを実施するために必要となる費用を従業員に支払う場合には、社会保険の対象となる報酬等には含まないものの、在宅勤務手当として、例えば毎月5,000円を渡し切りで支給する場合には報酬等に含むとしています。支給方法によって取扱いが変わるなど複雑な内容となっていますので、不明点等は、弊所までお問い合わせください。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)6月号④

改定されたテレワークガイドライン

新型コロナウイルス感染症対策のため、テレワークを導入する企業が急増し、更なる感染拡大により、今後も導入を予定する企業は多いのではないかと思います。厚生労働省では、新たな日常・生活様式に対応する一層良質なテレワークの導入・運用を推進することを目的としてテレワークに関するガイドラインを改定し、2021年3月に公開しました。このテレワークガイドラインでとり上げられている労務管理上の留意点の中から、テレワークにおける人事評価制度とテレワークに要する費用負担の取扱いについて紹介します。

1.テレワークにおける人事評価制度

テレワークは非対面の働き方であるため、個々の従業員の業務遂行状況や、成果を生み出す過程で発揮される能力を把握しづらい側面があるとの指摘があります。そのため、企業が従業員に対してどのような働きを求め、どう処遇に反映するかといった観点から人事評価を実施することが基本となります。

具体的には、上司が部下に期待する役割やその達成水準等をあらかじめ具体的に示し、必要に応じてその達成状況について上司と部下が共通の認識を持つための機会を設けるなど、非対面の働き方において適正な評価を実施できるように、人事評価者訓練を実施する等の工夫が考えられます。

2.テレワークに要する費用負担の取扱い

テレワークを行うことによって、通信費や電気料金などの面で、従業員に過度の負担が生じることは望ましくありません。企業ごとの業務内容、物品の貸与状況等によって費用負担の取扱いは様々であり、労使のどちらがどのように負担するか等についてはあらかじめ労使で十分に話し合い、企業ごとの状況に応じたルールを定め、就業規則等で規定しておくことが望まれます。

また、従業員自身が契約した電話回線等を用いて業務を行わせ、通話料、インターネット利用料などの通信費が増加する場合や、従業員の自宅の電気料金等が増加する場合、実際の費用のうち業務に要した実費の金額を在宅勤務の実態を踏まえて合理的・客観的に計算し、支給することも考えられます。これに関連して、費用負担等に関する源泉所得税の課税関係については、国税庁から「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」が出ています。

日本年金機構の「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」が変更され、在宅勤務・テレワーク時の交通費や在宅勤務手当の社会保険の取扱いが示されました。この事例集によると、テレワークを実施するために必要となる費用を従業員に支払う場合には、社会保険の対象となる報酬等には含まないものの、在宅勤務手当として、例えば毎月5,000円を渡し切りで支給する場合には報酬等に含むとしています。支給方法によって取扱いが変わるなど複雑な内容となっていますので、不明点等は、弊所までお問い合わせください。

(次号に続く)

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