医療

突然来なくなったスタッフには、どのような対処すればいいでしょうか、アドバイスをお願いします。

A 本人の緊急連絡先や実家に連絡をとりましょう。

 

身元保証人の連絡先や緊急連絡先を2,3か所押さえておく。

突然出勤せず、連絡もつかない場合は、事故・事件に巻き込まれて出勤できない万が一の可能性を考える必要があるでしょう。何度か連絡しても連絡がつかない場合には、直接居場所まで出向いて無事を確かめることも必要かもしれません。本人と連絡がつかないときの連絡先を把握しておくために、契約の段階で身元保証をとるのも一つの方法です。連絡がつかないときは身元保証人に連絡し「〇〇さんと連絡がつかないのですがご存じですか」と伝えます。身元保証人そのほかの関係者から本人が無事であることが判明すれば、突然来なくなっている状況を伝え、本人から事業所に連絡してもらうようにします。賃金や退職手続きはその後に検討します。退職するにしても、届け出や返還させるものなどの手続きがあるので、いずれにしても一度は職場に来てもらうようにしましょう。もし

何らかの理由で職場に来ない場合には、給与を振り込みでなく直接職場に取りに来るようにさせる方法もあります。毎月の給料は口座に振り込むことが多いのですが、手続きが終わっていない場合には直接現金を手渡しするということです。なおこの場合には就業規則にあらかじめ記載しておくとも大切です。とにかく一度は出社させることで退社手続きや挨拶など済ませることができます。

 一方、だれにも連絡がつかないような場合には、現住所まで出向く必要もあるでしょう。自宅にもいない様子であれば、近隣に人に様子を聞き、伝言を頼んだり、直接メモを残しておくなどして、連絡するよう促します。

自動的に退職とする規定を設ける。

突然出勤しなくなって行方不明になってしまった場合は、就業規則に「職員が行方不明となり無断欠勤が続いた場合には退職とする」などと決めておくことで、自動的に退職の扱いとするが可能になります。

記載例)第〇条 職員が次の項目該当する場合には退職とする。

・職員が行方が不明となり、1か月以上連絡が取れないこと」

                                  以上

診療所の4 割が経常赤字に 日医

医療法人の24 年度の経常利益率は前年度から半減。経常収支が赤字となった割合は15 ポイント近く増加

 

日本医師会は17 日に開いた定例記者会見で、診療所を経営する医療法人の4 割が2024 年度
に経常赤字だったとする調査結果を発表した。医療法人の24 年度の経常利益率は前年度から半
減。経常収支が赤字となった割合は15 ポイント近く増加した。


調査は、全国の診療所の経営実態を把握するため、会員の診療所の院長を対象に25 年6 月2
日-7 月14 日に実施。個人立の診療所も含めて1 万3,535 件の回答があった(有効回答率
18.8%)。診療所を経営する医療法人は6,761 法人が回答。24 年度の経常利益率は4.2%と、前
年度の8.2%から半減した。経常収支は50.3%減の771 万円。赤字となった法人の割合は14.6
ポイント増え、39.2%だった。医業収益は前年度比2.3%減少し、医業費用は1.4%の増。金額
ベースでは434 万円の減収、252 万円の費用増となり、全体として大幅な減収減益だった。

減収の要因は「新型コロナ関連の診療報酬上の特例措置やコロナ補助金の廃止による影響が大きい

減収の要因として日医の城守国斗常任理事は会見で、「新型コロナ関連の診療報酬上の特例措
置やコロナ補助金の廃止による影響が大きい」と述べた。医業費用では給与費が1.7%の増。さらに医薬品費・材料費が3.1%増えており、人件費や物
価の高騰による費用負担が重くのしかかった。損益計算書で事業者所得が費用ではなく利益に
含まれる個人立の診療所4,180 カ所では、経常利益率は26.0%(前年度比5.1 ポイント減)だ
った。経常収支は2,196 万円となり、前年度から19.5%減った。

25 年度はさらに厳しい経営状況となることが予想される


経営課題に関する質問では(複数回答)、「物価高騰・人件費上昇」(76.0%)、「患者単価の減
少」(60.6%)といった回答が目立った。「施設設備の老朽化」を挙げたところも41.3%を占め、
「近い将来、廃業」という回答も13.8%あった。今回の調査結果について城守常任理事は、
「直近の診療所の経営状況は大幅に悪化している」とし、この状態が続けば、多くの診療所が
地域から撤退し、地域医療の提供体制が継続できなくなる可能性が高いと強い懸念を示した。
松本吉郎会長は、3 カ月ごとに区分けした決算期が直近に近い医療法人ほど経常利益率の悪
化が見られることから、「25 年度はさらに厳しい経営状況となることが予想される」と強調。

赤字の診療所が5 割近くに上りかねないとし、早急に25 年度補正予算による補助金や期中改定
を行った上で、次期診療報酬改定での大幅な手当てを実施するよう、国に強く求めていく考え
を示した。

採用内定者にメンタル不調が発覚した時の対応

 

採用内定者にメンタル不調が発覚した時の対応

このような場合、一度出した内定を取り消すことができるものでしょうか。というご質問です。

内定取り消しのハードルは高い

1,採用内定とは、やむを得ない事情があった場合には内定を取り消すことがという条件付きの労働契約と解されます。内定を取り消すことが可能な事由とは「採用内定当時は知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として取り消すことが趣旨、目的に照らして、客観的に合理的で社会通念上相当として是認できるものに限られる」とされています(最高裁判例)。つまり採用内定時に知っていたら採用することはなかった、という客観的に合理的で社会通念上相当とみとめられるような重大な事実が存在しなければ、採用内定の取り消しは認められません。ご相談のメンタル疾患の場合、症状が重く通常の勤務ができないと予測される場合には、採用内定の取り消しが認められる可能性は高いと思われます、一方で、採用面接の際に、メンタル疾患が疑われるような言動があったにも関わらず内容を出した場合には取り消しが難しくなる場合もあります。

ではどうしたらいいのか(対応策)

まず、業務遂行能力や適性を判断する材料として、内定者に「病歴の申告」を求めることは有効でしょう。メンタル疾患を理由としての採用拒否は必ずしも違法ではありませんが、採用前の健康診断にメンタルヘルス疾患の検査を行うことは応募者の同意が必要になります。またプライバシー保護や人権侵害にならないように細心の注意が必要です。

また採用内定時に書面を取り交わしておくことも有効です。たとえば、入社時の労働条件を記載した「採用意向確認書」をわたし、同時に「入職承諾書」に署名・捺印をしてもらいます。この入職承諾書に「入職時期、疾病などで就業困難と認められるとき」という一文をいれることで、不測の事態が生じた場合の抑制効果あるものと思います。

電子処方箋の導入率、医療機関14.5% 厚労省

電子処方箋の導入率は病院や診療所の医療機関が14.5%、薬局が84.6%

 

厚生労働省によると、電子処方箋の8 月末現在の導入率は病院や診療所の医療機関が14.5%、
薬局が84.6%だった。7 月末に比べ、医療機関への導入率は0.6 ポイント、薬局は0.9 ポイン
ト上昇した。医療機関と薬局を合わせた全体での導入率は34.5%で0.7 ポイント上昇した。ま
た、医療機関の導入率の内訳は病院14.5%(前月比0.6 ポイント上昇)、医科診療所21.2%
(0.8 ポイント上昇)、歯科診療所5.4%(0.4 ポイント上昇)だった。


電子処方箋の導入率は、マイナ保険証への対応に必要なオンライン資格確認のシステムを導
入している医療機関や薬局のうち、電子処方箋の発行や電子処方箋に基づく調剤が可能になる
「運用開始日」を「医療機関等向けポータルサイト」で入力した割合。厚労省によると、8 月
末現在、「運用開始日」の入力を完了させた医療機関は病院1,159 カ所、医科診療所1 万7,650
カ所、歯科診療所3,313 カ所、薬局は5 万1,300 カ所。それらを含め、電子処方箋システムの
利用を申請した病院が2,903 カ所、医科診療所は4 万84 カ所、歯科診療所は1 万7,939 カ所、
薬局は5 万6,023 カ所ある。
政府は当初、マイナ保険証に対応済みの医療機関と薬局のおおむね全てに25 年3 月までに

電子処方箋を普及させるとしていた。しかし、医療機関への普及が伸び悩み、電子カルテシステ
ムと併せて30 年までに導入するという新しい目標を7 月に決めた。

医療・介護の高齢者就業、10年で2.3倍に 産業別2位に=総務省統計

65歳以上の就業者数は介護現場を含む「医療・福祉」の伸びが際立っている

総務省が「敬老の日」にあわせて14日に公表した統計によると、65歳以上の就業者数は介護現場を含む「医療・福祉」の伸びが際立っている。

「医療・福祉」の65歳以上の就業者数は2024年で115万人。10年前の約2.3倍に増え、産業別で「卸売業・小売業(133万人)」に次ぐ2番目の多さとなった。


他の産業と比べても増加幅が大きく、「サービス業」や「卸売業・小売業」、「建設業」などの増加幅を上回っている。

「医療・福祉」の就業者に占める65歳以上の割合は、2024年で12.5%。10年前(6.7%)より高齢者の比重が大きく増加


「医療・福祉」の就業者に占める65歳以上の割合は、2024年で12.5%。10年前(6.7%)より高齢者の比重が大きく増していることが分かった。

Q 自主的に始業時間前に出勤してくるスタッフに、その時間給の給料を支払う必要はありますか?

A、命令がなく、業務とは無関係な早めの出勤については、給料を支払う必要はありません。

 

労働時間とは

 労働時間とは原則として「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことを言います。つまり、院長の指示命令がないのもかかわらず勝手に出勤している時間というのは労働時間ではありません。

業務命令はなくとも業務上必要な時間は労働時間

しかし、始業時間830分からでも「815分に出勤して、これとこれをやっておかなければ、診察の受付時間である830分には開始できない」という場合があります。このことを院長がわかっていながらスタッフの善意に頼ったままで積極的な対策を講じない場合、

この15分は黙示の業務命令の下行った業務として業務時間として扱われます。命令がなくとも15分前出勤が常態化しているのであれば、業務上必要な時間であり、それは労働時間になる可能性が高いといえます。

 そもそもクリニックの始業時案は、診療受付までの準備を要する時間を見積もったうえで設定されますから830分の受付開始時間と同時に労働時間がスタートするといったところは聞いたことがありません。つまり、準備時間を15分と見積もるなら、815分が始業時間になるわけです。

掃除などをしてくれる場合には

質問のポイントは 例えば830分からの勤務時間開始でよいにも関わらず、8時からきて作業をしている場合にはどうするか」という点にあります。指示していないけれど、何かやっている、そしてタイムカードをおしている、するとこの時間に対価を支払うべきであるか、という疑問が出てくるであろうと思います。

 しかし冒頭に述べたように、あくまで労働時間は指揮命令下にある時間です。自主的に作業をしていることに対して原則、給与の支払いは必要ありません。

職場の人間関係にも配慮する

また「830分始業なのに、一番の先輩社員が8時に出勤しているため他のスタッフが全員8時に出勤している」といったケースもあります。そうすると新しく入ったスタッフから「事実上強制的に出社させられているのになぜ給料がでないの」といった文句が出てきます。そのような場合に、早く出勤するスタッフに「ほかのスタッフが影響を受けるので、あまり早く出勤しないように配慮してほしいこと」もしくは「早く出勤するのは構わないが、他のスタッフに同時の時間に出勤することを強制しないように」と伝える必要があります。

自主的に早く出勤するスタッフにも、それぞれの理由があるのでしょう。準備をしっかりとしてから仕事を始めたいというプロ意識から早く出勤するスタッフもいるでしょう。仕事の喜び、積極性、職場への貢献やチームワークといった仕事観を否定することのないよう、伝え方には十分配慮する必要があると思います。

 

タイムカードの管理

タイムカードの打刻時間は原則としてクリニックに入った時間と出た時間を示しており、必ずしもそのすべてが労働時間になるわけではありません。業務がおわりスタッフ間でおしゃべりをして帰る場合などその時間まで給料を支払う必要はないのです。

 ただし注意しなければならないのは、おしゃべりの時間わからないと、タイムカードの出勤時間から退勤時間までの時間がそのまま労働時間とみなされてしまう可能性があるということです。そのため「時間外労働は、院長の指示で行うものでおこなうものである」と周知しておくとともに、院長が承認しなかった時間がある場合にはその都度記載しておくなど、適切に把握しておくことが必要です。よくあるのは、タイムカードと時間外労働申請を並行して取り入れているケースです。例えば、17時間までの勤務の人が17時半にタイムカードが押されているような場合、時間外申請が「患者対応のため15分残業」となっていれば15分の残業代を支払えばよいということになります。このように時間外労働の管理があれば、タイムカードを押していたとしても、その分の給料をすべて支払う必要はないということになります。

 

診療科名に「睡眠障害」追加、来年3 月ごろ取りまとめ 医道審部会

厚生労働省は4 日、「睡眠障害」を追加することを検討

 

医療機関が看板などで標榜できる診療科名について、厚生労働省は4 日、「睡眠障害」を追加
することを検討し、2026 年3 月ごろ取りまとめを行う方針を医道審議会の部会に示した。睡眠
障害単独ではなく、内科や精神科などと組み合わせた新たな診療科名を想定。基本的な考え方
として、▽独立した診療分野を形成▽国民からの要望が強い診療分野▽診療科名が分かりやす
く国民が適切に受診可能▽診療分野に関する知識・技術が医師に普及・定着-という4 つの基
準に従い、学術団体の意見などを踏まえて決める。

睡眠障害を標榜可能な診療科名に追加する方向で検討を始めた。26 年3 月ごろ取りまとめを行う。

医療機関が標榜(広告)を行うことができる診療科名は、08 年4 月に見直しが行われた。内
科や外科、精神科、アレルギー科などは単独での標榜が可能で、それら単独で標榜可能な診療
科名と組み合わせた診療科名も標榜できるようになった。そうした中、日本睡眠学会が25 年4
月、単独で標榜可能な診療科名と組み合わせて標榜できるものとして睡眠障害を追加するよう
厚労省に要望書を提出。その際、「睡眠障害内科」「睡眠障害精神科」「内科(睡眠障害)」「精神
科(睡眠障害)」などを提案していた。
この要望を踏まえ、医道審議会(厚労相の諮問機関)の診療科名標榜部会が4 日に会合を開
き、睡眠障害を標榜可能な診療科名に追加する方向で検討を始めた。今後、同学会から説明を
受け、26 年3 月ごろ取りまとめを行う。

職員に問題行動を起こさせない採用とマネジメントのポイント

理念や方針に従わない。他の職員に悪影響を及ぼす。院内の雰囲気を悪くする    。問題職員に頭を悩ませる医療機関は多いのではないでしょうか。職員の問題行動を防ぐにはどんな取り組みを行うべきなのか。医療法人社団SEC新宿駅前クリニックの蓮池林太郎院長に問題職員対策について解説してもらいました。

問題職員の入職を防ぐ4つの基本的対策

問題職員対策としてはまず「問題職員を採用しない」ことです。「人事の8割は採用」と言われるほど採用は重要で、どれだけ優秀な経営者や管理職でも、問題職員を教育で変えることは非常に困難です。

とはいえ、優秀な採用担当者でも書類選考や面接だけで本質を見抜くことは難しいというのが実情。ただ、問題職員を採用する確率を下げる方法はあります。最低限、次の4つは行うべきです。

■トライアル勤務

トライアル勤務で能力や人柄がある程度わかります。主な職種の確認すべきチェックポイントは次の通りです。

医師=能力(判断力、説明力、患者さんからのフィードバック、診療スピード)、人柄(患者対応、看護師や医療事務への対応)

看護師=能力(点滴、注射などの手技、臨床知識など)、人柄(患者対応、同僚との相性、医師や医療事務への対応、業者への対応)

医療事務能力(受付対応、入力速度と正確性、レセプト、電話対応など)、人柄(患者対応、同僚との相性、医師や看護師への対応、業者への対応など)

トライアル勤務には応募者にもメリットがあります。どのような人がいるのか、どんな仕事内容なのかなどを体験しながら確認することができるからです。トライアル勤務を挟むと本人から辞退の申し出があるなど入職率は下がりますが、ミスマッチを防ぐという意味では互いにメリットがあります。

もちろん、トライアル勤務ですべてはわかりませんが、予防策としては優れています。

■同職種を含めた複数人面接

1人での面接の場合、どうしても見落としがでてしまう可能性が高くなります。人柄や能力、性格や相性などは複数人で確認すべきです。看護師や医療事務職は面接については素人ですが、業務スキルや経験、相性の確認などは現場職員のほうが長けていると言えます。また、「自分も一緒に選んだ」という責任感から、入職後の面倒をみたり問題行動を指摘したりしてくれるようにもなります。

■相場より高い給与での募集

当たり前のことですが、給与が高いと優秀な人材の応募確率は上がりますが、注意が必要なのが事務職です。医師や看護師などの専門職は地域の医療機関の求人情報などを確認すれば相場は把握できますが、事務職の場合、一般企業の相場も確認したうえで設定すべきです。たとえば事務長などの場合、500万円以上にしないと優秀な人は応募してこないと思います。また、新しく募集する職員の給与を上げた場合、既存職員の給与も上げる必要があります。

■「長く働いてほしい」を強調

求人広告やホームページ、面接時やトライアル勤務時にも「長く働いてほしいので合わないと思うなら辞退してほしい」と強調するのも大切。人手不足の現在、他にも職場はあるため「合わない」という人は応募してこなくなる可能性が上がります。大切なのは応募者を増やすことではなく、自院に合う人材に応募してもらうことです。

面接時に注意したい問題化しやすい人の傾向

経験則になりますが、問題化しやすい人の特徴も挙げておきます。

■攻撃性が強い

面接の質問に対してはっきりとものを言う「攻撃性が強い」人は、積極的な言動もあり頼りになりそうな印象を受けます。仕事ができる人も多いのですが、同僚にも攻撃的な姿勢をとる傾向があります。攻撃性が強い人が入ってきたことで離職者が増え、ひどい場合は組織が崩壊してしまうこともあります。攻撃性が強い人は、チームワークが重要な医療機関には向いていないと思います。

■転職を繰り返す

転職を繰り返している人は採用後、すぐに辞めてしまう傾向があります。また、仕事を辞めることに抵抗がなく、職場の輪を乱すなど問題化の確率も上がります。仕事をしていない期間が長い人も要注意です。子育てなどきちんとした理由がある場合は問題ありませんが、試用期間途中に退職を繰り返していたことなどを隠している可能性もあるからです。履歴書を見て、きちんとチェックすべきです。

■副業をしている

副業自体は非難されることではありませんが、採用する際には確認する必要があります。なかには副業が主業で、医療機関での勤務を「副業」とみなしている人もいます。こうした場合は副業優先となり、嫌なことがあると辞めてしまいやすい傾向があります。医師や看護師などは資格があり給与が良いのでやっているだけで、本当はやりたくないという場合もあります。

■持病がある(精神疾患)

当たり前かもしれませんが、精神疾患に罹患している人は、仕事を休んだり、辞めたりしやすい傾向にあります。

問題行動の予防には緊張案とルール順守が必要

問題職員を入職させないことが最も重要ですが、職員に問題行動を起こさせないための仕組みづくりも必要です。これに関しては次のような方法があります。

■誓約書の提出

誓約書にルールや禁止事項を記載しサインしてもらいます。そうすれば「きちんとルールで運営されている」「変なことはできない」という印象を与えることができます。

■身元保証書の提出

誓約書と同時に身元保証書も提出してもらいます。身元保証人は親が良いでしょう。連絡先として電話番号も記載してもらうと抑止力にもなります。なお、身元保証人の損害額の上限記載がない身元保証書は無効ですので注意が必要です。

■マニュアル化する

業務内容や患者対応などをマニュアル化しておきます。ルールを決めるといちいち指摘する回数が減り、無駄な軋轢が減らせます。また、マニュアルからずれた対応をした場合も指導しやすくなります。

■定期的なコミュニケーション

定期面談や食事などのコミュニケーションも有効です。悩みごとやトラブルをいち早く察知でき、モチベーションを上げるために感謝の気持ちを伝えられます。「勤務時間外は・・・」という人もいるので、勤務時間中に場を設けるなど本人の希望を優先させます。

■人事評価を行う

いくら仕事ができて価値観が合致していても、信頼して任せっきりにするとさぼったりやる気をなくしたりすることもあります。常に緊張感が必要で、定期昇給以外に働きを評価し、賞与や特別手当等を支給する人事評価も効果があります。緊張感により「常に評価されている」という意識が芽生えます。

 

問題職員が発生した場合は速やかに辞めてもらうことが重要ですが、職員に落ち度があっても正職員を解雇するのは難しいのが現状です。仕事を突然何日か欠勤しても、勤務時間中にスマホゲームをしても、院長の悪口を言っていても、すぐに解雇することはできません。退職勧奨も間違えると労働争議につながる恐れがあるので、必ず、弁護士や社会保険労務士の指導の下で行ってください。

労務トラブルをネットで検索すると、多くの情報が出てきます。無料でメール相談を行っている弁護士事務所もあるので、医療機関側としては注意する必要があります。

労務トラブル回避の一番の予防策はきちんと法令順守すること。当たり前のことですが、きちんとできていないところは少なくないと思いますので気をつけてください。

令和6年度介護労働実態調査結果 離職率に関するデータを確認しましょう

「介護労働実態調査」の調査結果が発表

2025年7月28日、2005年度から続く「介護労働実態調査」が公益財団法人介護労働安定センターより発表されました。本実態調査は「事業所における介護労働実態調査」と「介護労働者の就業実態と就業意識調査」の2種類に分かれておりますが、今回のニュースレターでは「介護労働者の就業実態と就業意識調査」の中から、「離職(⇔定着)」というテーマに沿って、事業者として特に認識・確認しておいた方が宜しいかもしれない情報・データを大きくピックアップし、皆様にお届けいたします。「この視点において、自社の実情はどうなっているのだろうか?」是非、そのような視点を持ちつつ、目を通していただければ幸いです。

 

【厚生労働省「雇用動向調査」における離職率】

介護職員の離職率は12.8%、訪問介護職員の離職率は11.4%、と、今回の調査結果では過去の実績と比較して最も低い数値を更新しています。また、「厚生労働省「雇用動向調査」における離職率」に目を移してみると、令和6年度の数値はまだ出ていないものの、傾向から推測する限り、恐らく全産業平均よりも低い数値で収まっている可能性が高く、その意味でも注目すべきデータではないかと思われます。

では、次のデータを確認してまいりましょう。「2職種計の採用率と離職率の分布」についてです。

【2職種計の採用率と離職率の分布】

離職率に関しては「10%未満」と回答している事業所が53.6%に上っています。その他の数値も含めて見る限り、また、筆者の現場感覚を踏まえても、「低い離職率で収まっている事業所」と「そうでない事業所」の2極化が現実として進んでいるのではないか、と推測できるところです(この傾向は以前からありましたが、離職率10%未満が53.6%にまで上昇しているのも注目すべきところかと思います)。

次のデータは「訪問介護員、介護職員の年齢階層別採用率と離職率」についてです。

【訪問介護員、介護職員の年齢階層別採用率と離職率】

2職種各々で見ても29歳以下、即ち若手世代の離職が多いことがわかります。転職先が業界内であれば、「流出していない」という意味でまだ安心(?)できるところではありますが、他業界へ流出している可能性もあるかもしれないことを考えると、やはりこの「若手」の離職についてはより一層、様々分析を行うことが必要ではないかな、と感じる次第です。

次のデータは「現在の職場を辞めずに働き続けることに役立っている職場の取り組み(複数回答)」についてです。

【現在の職場を辞めずに働き続けることに役立っている職場の取り組み(複数回答)】

「人間関係が良好な職場づくり(47.2)」「有給休暇等の各種休暇の取得や勤務日時の変更をしやすい職場づくり(43.2)」が突出して高いことはあらためて注目かもしれません。一方、これらを実現するとなると、「ギリギリの人員で現場を維持する」という考えではなかなか難しいかもしれず、逆に申し上げるなら、「多少の人員余裕を許容できる程度の経営基盤をどうつくっていくか」が大きなポイントになるかもしれない、と感じる次第です。

それでは最後に「直前の介護の仕事を辞めた理由」についてのデータを2つ続けて見てまいりましょう。こちらは毎年、「職場の人間関係」及び「事業理念や運営のあり方への不満」が最上位に上がってくるわけですが、それらをもう一段階掘り下げたデータを確認してまいりたいと思います。下記のデータは「辞めた理由が職場の人間関係の問題の場合の具体的な内容(複数回答)(直前の仕事が介護関係)」についてです。

【辞めた理由が職場の人間関係の問題の場合の具体的な内容(複数回答)
(直前の仕事が介護関係)】

大きな要因の多くに「上司」「先輩」という言葉がみられるところは要注目かもしれません。「リーダー陣の言動や振る舞いが人間関係に大きな影響を及ぼす傾向が高い」とするならば、リーダーの選抜は勿論のこと、スキル面やメンタル面においても、法人としてリーダーへのサポートをより充実させる必要があるかもしれないな、と感じた次第です。
最後のデータは「辞めた理由が事業理念や運営のあり方への不満の場合の具体的な内容(複数回答)(直前の仕事が介護関係)」についてです。

【辞めた理由が事業理念や運営のあり方への不満の場合の具体的な内容(複数回答)
(直前の仕事が介護関係)】


人間関係に関するデータと異なり、突出した要因がない(とはいえ多くの要因が30%以上)ところが大きな特徴のように見えますが、総じて経営陣が考える「理想」と現場の「現実」のギャップに依るところが大きいかもしれず、その意味においてはこの点におけるコミュニケーションの充実がより一層求められるのかもしれないな、と感じた次第です。

自社の現状を把握し調査結果と比較することで対応を検討


以上、概要・ポイントをお届けいたしました。まだまだ様々な視点のデータが公表されておりますので、詳細は下記URLを参照いただければと思います。
介護経営に携わる方や人事・組織づくりに携わる皆様は、自社の現状を把握し、調査結果と比較することにより、様々な気付きや学び、或いは改善のヒント等を得ることが出来るものと思われます。そのような視点で是非、本情報を有効に活用していただければ幸いです。私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

※引用元資料はこちら
事業所における介護労働実態調査結果報告書(令和6年度)
https://www.kaigo-center.or.jp/report/jittai/

Q、弊社では各事業所の責任者(所長)である管理者は、労基法上の管理監督者としての扱いで、残業代や休日労働の手当を支給していません。ただ、遅刻、早退、欠勤があった場合には、一般社員と同様に給与を減額しています。管理監督者の扱いに関してこの方法で問題ないでしょうか?

A 労働基準法41条の除外規定として、労基法上の管理監督者は深夜業務を除く、労働時間に関する規定は適用されないと定めています。

まずは、労基法上の管理監督者とはどのよう方を指すのかを確認しておきたいと思います。ここでいう、「管理監督者」とは下記の要件を全て満たす方を指します。

1,人事権を持ち、事業経営にも参加している(ここでいう人事権とは、いわゆる異動を含む人事権で、人事評価しているだけでは不十分)

2,自分自身の勤務時間について自由裁量が認められている

3、一般社員と比べて、十分な報酬を得ている

これらの3点を、勤務の実態として適用されている必要があります。単に役職名では判断できません。つまり休日、時間外労働の規制をうけない「管理監督者」に該当するかどうかは、具体的な権限や給与、勤務実態で判断が必要ということになります。

例えば、多くの介護事業所ではシフト勤務で勤怠管理を行っていますが、常態として勤務シフトに入っている働き方をしているような管理者がいた場合、勤務時間の自由裁量がないと判断され、管理監督者ではなく、一般社員とみなされる可能性もあります。

先ほど、管理監督者に該当するか否かを判断するときに、単に役職名での判断ではなく、勤務の実態で判断しなければならないとしましたが、多くの介護事業では職責(役職)で、それを判断している場合が多い上に、介護保険制度における「管理者」と労基法における管理監督者を混同してしまうケースもあるので注意が必要です。一般的には、理事長、社長、施設長、事業所長、事務長くらいまでの立場の方がそれに該当するケースが多いと考えられます。もし、それ以下の役職の方(例えば、主任、副主任やリーダー等)を管理監督者の扱いにして残業代などを支給していない場合は、一度、その方の業務や給与の実態を確認してみる必要があると思います。その結果、管理監督職に該当しない方に、残業手当等を支給していない場合には、労基署からは残業代未払いの扱いとして、「3年間分を遡及して」支払うといった是正勧告を受けるリスクがあります。

 

 2,また、管理監督者には残業代は支給されませんが、勤務時間管理自体は必要となります。

これは、給与計算上の必要性ではなく、管理監督者の健康管理の問題によるものです。管理監督者はその責任の重さから、過重労働になってしまうケースは相変わらず多く、それが深刻化するとメンタル疾患につながる場合も見られます。従って、経営者や人事担当者は管理監督者の労働時間には常に注意を払い、管理監督者の健康管理に十分注意することが重要です。

 

 3,今回ご質問のあった管理監督者における遅刻・早退・欠勤に関する給与の扱いについて

その方が管理監督者に該当することを前提とした場合に、先述の要件の「勤務時間の自由裁量」の点が問題になります。つまり、管理監督者は勤務時間に裁量が認められていることから、始業時刻から遅れて出社(遅刻)しても給与減額扱いにはなりませんし、また終業時刻より遅くなっても残業手当はつかないことになります。

ただ、欠勤の扱いにつきましては、管理監督者であっても「就業義務」自体はありますので、その義務が果たされない場合に該当すると判断され、給与も欠勤控除として減額することになります。

 

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