医療
「あの上司はやさしいから、評価はいつも甘いんだよね」
このような話を良き聞きますが、はたしてこのように甘い点を津得る上司は本当に優しい上司でしょうか?
私は評価者研修などでよくこのような問いかけをします。そして少し辛辣な意見になるかもしれませんが、こういいます。「それは優しいからではなく。自分がよく見られたいからです。本当に優しい上司であれば、出来ていない点に良い点数はつけないはずです。問題があることをそのままにすれば、その場では部下から「良い点をつけていただきありがとうございます」と感謝されるかもしれません。でも課題は課題のままスルーされているのです。
課題の改善はいつまでもできないまま、年月を重ね、その上司の元では気づかれないかもしれませんが、上司がかわったりしたとき新しい上司になった人から
「なんで、この人はこの年齢なのにこれができないままなの?」と言われてしまうのです。本当に優しい上司であれば、早めにそれを指摘し、指導教育し頑張るように促すのではないでしょうか。
甘い点を付けるのは、部下の為ではなく、部下からよく見られたい、気に入られたい、低い評価をして社長から説明を求められたりするなど面倒なことは先送りしたい、といった自分自身のためにしているのではないでしょうか。
A 労働基準法41条の除外規定として、労基法上の管理監督者は深夜業務を除く、労働時間に関する規定は適用されないと定めています。まずは、労基法上の管理監督者とはどのよう方を指すのかを確認しておきたいと思います。ここでいう、「管理監督者」とは下記の要件を全て満たす方を指します。
1,人事権を持ち、事業経営にも参加している(ここでいう人事権とは、いわゆる異動を含む人事権で、人事評価しているだけでは不十分)
2,自分自身の勤務時間について自由裁量が認められている
3、一般社員と比べて、十分な報酬を得ている
れらの3点を、勤務の実態として適用されている必要があります。単に役職名では判断できません。つまり休日、時間外労働の規制をうけない「管理監督者」に該当するかどうかは、具体的な権限や給与、勤務実態で判断が必要ということになります。
例えば、多くの介護事業所ではシフト勤務で勤怠管理を行っていますが、常態として勤務シフトに入っている働き方をしているような管理者がいた場合、勤務時間の自由裁量がないと判断され、管理監督者ではなく、一般社員とみなされる可能性もあります。
先ほど、管理監督者に該当するか否かを判断するときに、単に役職名での判断ではなく、勤務の実態で判断しなければならないとしましたが、多くの介護事業では職責(役職)で、それを判断している場合が多い上に、介護保険制度における「管理者」と労基法における管理監督者を混同してしまうケースもあるので注意が必要です。一般的には、理事長、社長、施設長、事業所長、事務長くらいまでの立場の方がそれに該当するケースが多いと考えられます。もし、それ以下の役職の方(例えば、主任、副主任やリーダー等)を管理監督者の扱いにして残業代などを支給していない場合は、一度、その方の業務や給与の実態を確認してみる必要があると思います。その結果、管理監督職に該当しない方に、残業手当等を支給していない場合には、労基署からは残業代未払いの扱いとして、「3年間分を遡及して」支払うといった是正勧告を受けるリスクがあります。
2,また、管理監督者には残業代は支給されませんが、勤務時間管理自体は必要となります。これは、給与計算上の必要性ではなく、管理監督者の健康管理の問題によるものです。管理監督者はその責任の重さから、過重労働になってしまうケースは相変わらず多く、それが深刻化するとメンタル疾患につながる場合も見られます。従って、経営者や人事担当者は
管理監督者の労働時間には常に注意を払い、管理監督者の健康管理に十分注意することが重要です。
3,さて、今回ご質問のあった管理監督者における遅刻・早退・欠勤に関する給与の扱い
についてですが、その方が管理監督者に該当することを前提とした場合に、先述の要件
の「勤務時間の自由裁量」の点が問題になります。
つまり、管理監督者は勤務時間に裁量が認められていることから、始業時刻から遅れて
出社(遅刻)しても給与減額扱いにはなりませんし、また終業時刻より遅くなっても残
業手当はつかないことになります。
ただ、欠勤の扱いにつきましては、管理監督者であっても「就業義務」自体はありますので、その義務が果たされない場合に該当すると判断され、給与も欠勤控除として減額することになります。
高市早苗内閣の発足に伴い就任した上野賢一郎厚生労働相は22日、初登庁して記者会見を行った。
高市首相が21日の記者会見で約束した医療・介護現場への補助金の支給について、「具体的な施策をいま検討している」と説明。「物価高などで経営が非常に厳しいということは承知している。何らかの対応を検討する必要がある」との認識を示した。
病院や介護施設の経営改善,処遇改善につながる補助金を前倒しで措置
そのうえで、「必要な施策を今年度の補正予算案に積極的に盛り込めるよう努めていく」と表明した
高市首相は21日の記者会見で、早期実施を目指す物価高対策の一環で医療・介護現場への支援策も講じると明言。「診療報酬・介護報酬の改定時期を待たずに、病院や介護施設の経営改善、働いている方々の処遇改善につながる補助金を前倒しで措置する」と述べた。
クリニック職員の手当については、経営者や人事担当者にとって非常に重要なテーマです。手当は職員の労働意欲や満足度に大きく影響します。そのため、適切な手当の設定が求められます。例えば、交通費や資格手当、時間外手当など、さまざまな種類があります。職員のニーズに応じた手当を用意することで、優秀な人材を確保することが可能です。また、手当の制度を明確にし、公平性を保つことが信頼関係を築く鍵となります。これからのクリニック経営には、職員の手当を見直し、魅力的な職場を作ることが欠かせません。
資格手当
資格手当は、クリニックで働く職員が保有する専門資格に対して支給される手当のことです。この手当は、職員のスキル向上を促進し、クリニック全体の医療サービスの質を高める役割を果たします。具体的には、看護師や医療事務、臨床検査技師などの資格を持つ職員に対して、その資格の取得や維持にかかる努力を評価するための金銭的な補助となります。これにより、職員の職務に対するモチベーションが向上し、より良い医療環境が実現します。また、資格手当を導入することで、優秀な人材を引き寄せる効果も期待できます。該当資格を持つ職員に対して適切な手当を用意することは、競争が激しい医療業界において、クリニックの魅力を高める有効な手段と言えるでしょう。
夜勤手当
夜勤手当は、クリニックに勤務する職員にとって重要な手当の一つです。通常の勤務時間外に働くことで、職員は体力的にも精神的にも負担が増すため、適切な手当を設定することが求められます。この手当は、夜間の業務に従事する職員のモチベーションを維持し、労働条件を改善する効果があります。特に、夜勤が頻繁にあるクリニックでは、職員の確保や離職防止にも寄与します。手当の金額や支給条件については、クリニックの経営方針や業務内容に応じて柔軟に設定することが大切です。また、夜勤手当を明確にし、公平性を保つことで、職員の信頼感を高めることも重要です。
手当支給の考え方
手当支給の考え方は、クリニックの運営において非常に重要な要素です。まず、手当を支給する目的を明確にすることが大切です。これは、職員のモチベーションを向上させるだけでなく、業務に対する責任感を促進します。次に、市場の相場を意識することも重要です。他のクリニックと比べて適正な手当を設定することで、優秀な人材を引きつけることができます。さらに、手当に対する透明性を保つことで、職員の信頼を得ることができます。このように、戦略的な手当支給を行うことで、クリニック全体のパフォーマンスを向上させることができるのです。
個別事情による手当の調整
個別事情による手当の調整は、クリニック運営において非常に重要なポイントです。すべての職員が同じ条件で働いているわけではなく、それぞれ異なる背景やニーズがあります。たとえば、育児や介護を行っている職員には、特別な配慮が求められる場合があります。また、資格や経験によっても手当の金額を調整することが望ましいです。これにより、職員一人ひとりの貢献度を適切に評価することができます。さらに、定期的に職員とのコミュニケーションを取り、手当の見直しを行うことも重要です。このような柔軟な対応が、職員満足度の向上につながります。
クリニック職員の福利厚生と手当の関係
クリニック職員の福利厚生と手当は、密接に関連しています。福利厚生は職員が快適に働ける環境を整えるために必要な制度であり、手当はその補完的な役割を果たします。具体的には、手当が充実していることで、職員の経済的安定が図れ、働く意欲が高まります。それに対して、福利厚生が整っていることで、職場の安心感が得られ、長期的な勤務へとつながります。このように、手当と福利厚生は相互に影響し合い、クリニック全体の雇用環境を向上させる重要な要素となります。これらをバランスよく整えることで、質の高い医療サービスを提供できるクリニックとして発展できるでしょう。
実際の手当事例
実際の手当事例を見てみましょう。多くのクリニックでは基本給に加え、交通費や時間外手当を支給しています。特に、通勤にかかる費用をカバーすることで、職員は安心して業務に集中することができます。また、専門的な資格を持つ職員には資格手当を設けることが一般的です。この手当はスキル向上を促進し、職員のモチベーションを高める要素となります。さらに、研修参加費用の負担や、休日出勤に対する特別手当なども、職員にとって大きな魅力です。これらの手当の組み合わせは、職場環境を向上させ、人材の定着につながるのです。
手当設定のための注意点
手当を設定する際には、いくつかの注意点があります。まず、透明性を持たせることが重要です。職員が自分の手当について理解できるよう、具体的な基準を明示しましょう。次に、市場調査を行い、他のクリニックや医療機関との比較をすることで、競争力のある手当を設定することが必要です。また、職員の意見を反映させることで、満足度を向上させることもできます。さらに、法令を遵守することも大切です。労働基準法に照らし合わせ、適正な手当を設定することがクリニックの信頼性を高めるポイントとなります。
手当の変更時の注意事項
手当を変更する際には、いくつかの注意事項があります。まず、職員への事前通知が必要です。変更内容やその理由をしっかりと説明し、理解を得ることが重要です。次に、変更が職員に与える影響を考慮することも忘れてはいけません。不安や疑問を感じる職員が多ければ、コミュニケーションを密にし、透明性を保持する努力が求められます。また、変更後の手当の内容についても、再評価を行うことが重要です。職員の反応を観察し、必要に応じて調整する柔軟性を持つことで、職場の士気や満足度を保つ助けになります。
まとめ
クリニック職員の手当についてのまとめを行います。手当は職員のモチベーションや働きやすさに直結する重要な要素です。適切な手当を設定することで、職員の定着率を向上させ、優秀な人材を確保することが可能です。さらに、手当の種類を充実させることで、職員一人ひとりのニーズに応え、クリニック全体の雰囲気を良くすることができます。今後、クリニック経営を考える際には、手当の制度を見直し、職員が満足できる環境を構築することが求められます。
クリニックにおける職員ハラスメントの防止は、職場環境の向上にとても重要です。ハラスメントが横行すると、職員のモチベーションが低下し、サービスの質も悪化してしまいます。加えて、医療機関の評判にも悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、クリニックでの職員ハラスメント防止には、具体的な対策を講じる必要があります。定期的な研修や相談窓口の設置、アンケートを通じた職場環境の把握が効果的です。これにより、職員が安心して働ける環境が整い、クリニック全体の活性化につながります。
クリニックで見られるハラスメントの種類
クリニックで見られるハラスメントの種類は多岐にわたります。まず、パワーハラスメントが挙げられます。上司からの言動や態度により、部下が精神的に追い込まれるケースが見受けられます。次に、セクシャルハラスメントがあり、言葉や身体的接触によって不快な思いをさせられることが該当します。これにより職場の雰囲気が悪化し、職員が仕事に集中できなくなる可能性があります。また、モラルハラスメントも無視や侮辱的な言葉によって、心理的な苦痛を引き起こします。これらのハラスメントが発生することで、クリニックの運営全体に影響を及ぼすため、注意が必要です。
ペイシェントハラスメントとは
ペイシェントハラスメントとは、医療現場において患者やその家族が医療従事者に対して行う不適切な言動を指します。具体的には、感情的な暴力や身体的な攻撃、過剰な要求をする行為が該当します。このようなハラスメントは、医療従事者に心的ストレスを与え、仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼすことがあります。特に、医療現場は迅速で適切な対応が求められるため、ペイシェントハラスメントがあると、その負担は一層重くなります。この問題に対処するためには、クリニック全体での意識向上や、適切な対応策を講じることが重要です。
パワハラとその影響
パワーハラスメント、通称パワハラは、上司や先輩からの不適切な言動を指します。このような行為は、職場の雰囲気を悪化させるだけでなく、受けた側の精神的健康にも深刻な影響を及ぼします。パワハラを受けた職員は、ストレスを抱え、仕事に対する意欲を失うことがあります。最終的には、業務の効率も低下し、クリニックのパフォーマンスに悪影響を与える結果になります。このため、クリニック内でのパワハラ防止対策を講じることが必要です。職員が安心して働ける環境を整えることは、クリニック全体の成功にもつながるでしょう。
他のハラスメントの事例
他のハラスメントの事例としては、サイバーセクハラも増えてきています。SNSや業務用のチャットツールを介して、不適切なメッセージや画像を送る行為がこれに該当します。これにより、相手のプライバシーが侵害され、精神的なストレスが増加します。さらに、業務上の困難やプレッシャーを利用したハラスメントもあります。これにより、職員が働きにくくなるだけでなく、医療サービスの質にも影響を及ぼすため、適切な対策が求められます。
クリニック職員ハラスメント防止対策の基本
クリニック職員ハラスメント防止対策の基本は、まずハラスメントの内容や種類についての理解を深めることです。職員が何をもってハラスメントと感じるかを知ることで、適切な対策が講じられるようになります。次に、職場のルールやポリシーを明確にし、全職員に周知徹底することが重要です。ルールが共有されることで、ハラスメントの発生を未然に防ぐことができます。さらに、定期的な研修を実施し、職員がハラスメントを認識し、対処方法を学ぶ機会を設けることも大切です。このように、基本的な対策をしっかりと実行することで、より健全な職場環境が実現します。
ハラスメント防止研修の重要性
ハラスメント防止研修は、クリニック職員が安心して働ける職場環境をつくるために欠かせないものです。研修を通じて、職員はハラスメントの定義や種類、具体的な事例を学ぶことができます。これにより、自分自身や他の職員が行う行動に対する意識が高まり、ハラスメント発生のリスクを低減させることが可能です。また、職員同士が互いを理解し合うことで、コミュニケーションも円滑になり、チームワークの向上にも繋がります。定期的に研修を実施することで、常に意識を持って職場環境を整えることができるのです。
相談窓口の設置と利用促進
相談窓口の設置は、クリニック職員のハラスメント防止において非常に重要な役割を果たします。職員が安心して相談できる場所を設けることで、問題の早期発見や解決が促進されます。相談窓口が機能するには、利用促進が欠かせません。そのためには、職員への周知や具体的な利用方法の説明を行うことが必要です。また、匿名での相談を受け付けることで、心理的な負担を軽減し、より多くの職員が利用しやすくなります。<br><br>このような取り組みを通じて、職員が豊かな職場環境で働けるようサポートすることができます。
ハラスメント対策方針の明文化
クリニックにおけるハラスメント対策方針の明文化は、職員全体に対して明確なメッセージを伝えるためにも重要です。方針を文章にすることで、ハラスメント防止に対するクリニックの姿勢を示すことができます。この方針には、ハラスメントの定義、予防策、また発生時の対応方法などを具体的に記載することが求められます。職員が方針を理解し、遵守することで、安心して働ける環境が築かれ、自らが守られていると感じる職場を実現できます。さらに、方針を定期的に見直し、時代の変化や職場環境に応じて更新することも大切です。これにより、常に最新の情報を反映し、職員全員がハラスメント防止に向けた意識を持つことができるのです。
ストレスチェックとメンタルヘルスケア
ストレスチェックは、クリニック職員のメンタルヘルスを守るための重要なツールです。定期的に実施することで、職員が抱えるストレスの度合いやその原因を把握することができます。これにより、適切なケアを提供できる体制を整えることが重要です。また、メンタルヘルスケアの一環として、相談窓口を設けることも有効です。職員が気軽に相談できる環境を整えることで、早期の問題発見と解決が可能になります。このように、ストレスチェックとメンタルヘルスケアを組み合わせることで、職場のハラスメント防止につながり、より良いクリニック環境を創出することができます。ケーススタディ: 成功例と失敗例
ハラスメント防止策は、実施例を通じてその効果や課題が明らかになります。成功例としては、あるクリニックが定期的な研修を導入し、職員全員がハラスメントに対する理解を深めたケースです。これにより、職員が安心して相談できる環境が整い、トラブルが大幅に減少しました。一方で、失敗例もあります。あるクリニックでは、ハラスメントに関する研修を一度だけ実施し、その後のフォローが決定的に不足していました。その結果、職員が問題を抱えていても声を上げられず、職場環境が悪化しました。これらのケースから学ぶことは多く、継続的な取り組みが求められます。
成功例: 効果的な対策実施
あるクリニックで行われた効果的なハラスメント防止対策の成功例をご紹介します。このクリニックでは、まず職員全員を対象にハラスメントに関する研修を実施しました。研修では、具体的な事例の検討やロールプレイを通じて、職員が互いの立場や感情を理解できるようにしました。さらに、クリニック内に匿名で相談できる窓口を設置しました。これにより、職員は気軽に問題を話しやすくなり、ストレスの軽減にもつながりました。結果として、職員の満足度が向上し、クリニック全体の雰囲気が良くなりました。このような具体的な取り組みが成功につながったのです。
失敗例: 対策が不足した場合
ハラスメント防止の対策が不足していた場合、クリニック内でのコミュニケーションに深刻な影響を及ぼすことがあります。具体的には、職員が権利を守るための教育が不十分なため、嫌がらせの実態を見過ごしてしまうことがあります。また、サポート体制の欠如も問題です。相談窓口が設置されていても、職員が相談しづらい雰囲気が漂っていると、実際には多くの問題が放置されることになります。これらの失敗から学ぶことは、対策を単発で行うのではなく、継続的に取り組むことの重要性です。職員全員が安心して働ける環境を確保するためには、日々の努力が欠かせません。オンライン相談窓口の利便性
オンライン相談窓口は、クリニック職員にとって非常に利便性が高いツールです。職員が匿名で相談できるため、気軽に問題を報告できる環境が整います。また、対面での相談が難しい場合でも、気軽にアクセスできるため、心の負担を軽減させることができます。電話や対面での相談に比べ、時間や場所を選ばず利用できる点も大きな特徴です。さらに、相談窓口では専門のカウンセラーが対応しており、職員は適切なアドバイスを受けることができます。これにより、問題解決に向けた第一歩を踏み出しやすくなるため、クリニック全体の職場環境向上にも寄与します。
技術を活用したメンタルヘルスケア
技術を活用したメンタルヘルスケアは、職員のストレス管理に非常に重要です。特に医療機関では、長時間働くことが多く、精神的な負担を抱える職員が少なくありません。最近では、オンラインカウンセリングサービスやメンタルヘルス用のアプリが普及しています。これらのツールを利用することで、職員は悩みを相談したり、自己評価を行ったりすることができます。これにより、早期に問題を認識し、適切なサポートを受けやすくなります。また、メンタルヘルスに関する情報共有のプラットフォームを整備することも効果的です。専門家からの情報や体験談を共有することで、職員同士の理解が深まり、支え合う文化を醸成することが可能です。
まとめ
クリニック職員ハラスメント防止は、職場での信頼関係を築くために欠かせない要素です。職員が安心して働ける環境を整えることで、サービスの質も向上します。具体的には、定期的な研修やハラスメント相談窓口の設置が有効です。さらに、職場環境に関するアンケートを活用することで、潜在的な問題を早期に発見し、適切な対策を講じることが可能になります。このような取り組みを通じて、クリニックの雰囲気が改善され、職員の満足度が向上することが期待されます。ハラスメント防止への意識を高めていきましょう。
A,
有給休暇の基準日を一律に定めて付与することを「斉一的取り扱い」と言いますが、前提条件となるのが、「前倒しで付与する」ことです。例えば、4月1日を基準日と定める場合、9月1日入職した職員は、6か月継続勤務すれば翌年の3月1日に10日の有給取得の権利が発生します。この場合、基準日を統一し4月1日に繰り下げての付与(入職から7か月目の付与)は認められません。有給休暇の斉一的取り扱いについては、下記の要件を満たす必要があります(平成6.1.4基発1号、平成27.3.31基発0331第14)
- 斉一的取り扱いや分割付与により、法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
- 次年度以降の有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。
しかし、基準日を前倒しで繰り上げるため、入職時期によりどうしても不公平が生じてしまいます。ここをどのように考えるかがポイントになります。それでは、その代表的な対応とその留意点を下記致します。
①基準日を月初などに統一する
入社が月の途中であっても、基準日を月初などに統一します。例えば、同じ月に採用した方の基準日を月初に統一することにより、統一的な管理が可能となります。この場合、
5日取得させる期間も月ごとに統一できることになります。
② 基準日を「年2回」とする緩和策をとるケース
例えば、4月1日と10月1日の2回に統一する方法もあります。全職員同一の基準日に統一するよりは、入職時期による不公平感が軽減できます。4月1日から9月30日までに入職した職員の基準日は10月1日に10日付与し、10月1日から3月31日までに入職した職員は4月1日に10日付与します。以後、それぞれ4月1日と10月1日を基準日としていきます。この場合、7月1日入職者の8割出勤の考え方は以下のようになります。
6か月継続勤務後の本来の基準日である1月1日から短縮された3か月(10月~12月)
は全期間出勤したものとみなし、この期間を含めて7月1日から12月31日までの6か月間で、8割以上出勤したかどうかを計算します。
基準日の統一は前倒し付与が原則の為、4月1日入職者は6か月後に10日付与され、9月1日入職者は1か月後に付与される不公平感は残りますが、年1回と比較すれば、不公平感は緩和されているのではないでしょうか。
③分割して前倒し付与したら次年度基準日も繰り上げる
施設によっては、入職と同時に10日付与するケースや、「入職3か月後(使用期間終了後)に3日付与、6か月後に7日付与」と分割して付与するケースがあります。分割して付与する場合も先の行政解釈(上述(2))にあるように、前倒し付与したら次年度の基準日も繰り上げます。
例えば4月1日入職者に、使用期間終了後の7月1日に3日付与し、10月1日に7日付与した場合、次年度に11日付与する基準日は本来の付与日(10月1日)から1年経過後ですが、初年度の3日分を3か月繰り上げて付与したため、次年度の基準日も同様に3か月繰り上げ、「7月1日から1年経過後」に11日付与することになるわけです。この点も注意をしながら前倒しのルールを検討していく必要があります。
以上
サイバーセキュリティに取り組むうえで意識すること
サイバーセキュリティといっても、今以上できることはあるのか? 正直なところ予算をかける意味はあるの? と、今まで被害に遭った(という認識)がないと考えてしまうかもしれません。前回挙げた岡山県精神科医療センターでの事案レポートを読んでみても、具体的に打つ手も不安も浮かばないかもしれません。
第一に、バイアスや偏見は医療者の自分にもあり、完全に打ち消すことはできない、ということを認識し受け入れることが大切です。そして判断をするときに
「思い込みで決めつけていないか?」と、自問する癖を一度付けます。
第二に、何事にも完璧はあり得ないという事実をしっかり受け入れることです。頭ではわかっていても、実際に受け入れ行動することはなかなかできません。
例として、あるテクノロジーや新技術の導入を「自分が期待した完璧」ではないと、見送ろうとするとき。その代替案があれば良いのですが、多くの場合は「何もしない」という結果になり、踏み出すべきであった改革や対応への動きをただ止めてしまうことを繰り返してはいませんか?
80点であっても、たとえ65点であっても「するべきの対応の実行」に踏み出すことが大切な場合があり、100点満点を待ち続けるより良いのです。
そして第三に、変化に追従していく心構えを持つことです。セキュリティ体制を定期的に見直すことも大切ですし、事案や事故が見直しのきっかけになることもあります。新しい検査機器を取り入れる等、内部の変化も見直しするのに良い機会と言えます。
しかし、バイアスを打ち消しながら物事を進めるのは、個々の判断に時間がかかりすぎるのも事実です。日々の活動の中で毎回ゼロからセキュリティ対策を考えるのは現実的ではありません。
そこで最重要ポイント。セキュリティ対策を構築、運用するうえで十分に時間をかけ考える手間を許すのを「事前準備」段階に絞りましょう。セキュリティポリシーや手順まで、しっかりとマニュアル化して準備を整えれば、事案や事故が発生しても、個々に手間取ることなく素早く対応できるでしょう。
事前準備の成果物:セキュリティ対策計画
ではその「事前準備」段階です。
「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という古代中国のことわざがありますが、サイバー空間では攻撃者のことを深く知ることは非常に難しいです。そこで事前準備としては自らの組織と事業について把握することが肝要です。
・業務形態
・扱っている情報
・活用している機器、設備、インフラ等
・外部委託している業務やサービス
・出入りする従業員、顧客、業者
・他、思いつくもなんでも
次に「守るべきもの」と優先順位を明確にします。現金、個人情報・取引先情報、事業継続性、知的財産など、事業によって様々となりますが、医療機関においてはまず患者の病歴などセンシティブな個人情報が特異的な項目と思われます。そして各項目において、それが侵害された場合の復旧するまでの工数や時間を含めたコストを算出できれば、優先順位をつけるのに役立ちます。
守るべきものがわかったら、それらに対する「脅威」は何でしょう?ここはサイバー攻撃に限定せず、あらゆるリスク要因を上げていきます。フィッシングやランサムウェア攻撃、パソコンの故障、従業員による機密情報の持ち出し・紛失など。ここで「思いつくけど、そんなことはあり得ない」というバイアスで、リスク要因を無いものとせぬように注意が必要です。
リスク要因が判明したら、どのように守りを固めるかが見えてきます。必要とされるテクノロジーや運用上のポリシーが明確になり、製品の選定や導入コストの算出ができるようになります。さらに対策として、できることとできないことの線引きができ、今後の課題をはっきりさせておくこともできます。
さらにわかったことをマニュアル等の文章にしておくことで従業員への説明やセキュリティの運用に活用できます。
このように自組織としっかりと向き合うことで後々の工程で無駄を減らすことにつながります。さらにこの事前準備は、自分で行えば少ない費用で済ませられます。技術的な支援が必要な場合はコンサルタントやシステムベンダーを雇うこともできますが、くれぐれも頼り切りにならないよう注意が必要です。彼らはシステムのプロでも顧客(あなた)の業務や人(スタッフ)、ネットワーク等についてまったく知らないため、様々なことを聞いてきます。ここで面倒くさがって丸投げすると良い結果になりません。
小規模医療機関における保護対象とリスク要因の例
例としてサイバーセキュリティ上の保護対象とリスク要因をいくつか示します。
・カルテ、患者情報
医療履歴を含む個人情報は日々の業務に必要で触れ慣れているものですが、取り扱いには最も気を付けなくてはなりません。漏洩によるリスクもありますし、内部者による悪用も考えられます。
事故が起きた場合に信用を最も揺るがす項目でしょう。
・オンラインバンキング情報
スタッフの給与振り込みや各種支払いを自ら行っている場合、オンラインバンキングを活用するのが一般的です。しかし非常に狙われやすく、犯罪の手法も数多く生み出されており、部外者による盗取の他、内部者による不正やミスもリスクとして考えておく必要があります。
・検査機器など
レントゲンやCTなどの検査機器の多くはコンピューターによって制御されており、ネットワークに繋がっています。制御ソフトがWindows上で動作していることもありますが、これらは機器メーカーの管理下にあり、一般的なパソコンのように扱うことはできません。セキュリティ製品やWindowsの最新修正を任意に入れることができないので、個別に保護施策を検討する必要があります。
- 著者:イーセットジャパン株式会社・シニアモニタリングアナリスト 佐島隆博
介護勤怠管理システムは、介護業界において従業員の勤怠を効果的に管理するためのツールです。介護施設の運営担当者や経営者は、効率的な人材管理を行うことで、サービスの質を向上させることが求められます。
特に、介護スタッフのシフト管理や業務の進捗状況をリアルタイムで把握することが可能なため、働き方改革にも寄与します。これにより、スタッフの働きやすい環境を整え、離職率の低下や利用者満足度の向上を図ることができます。
多くの介護勤怠管理システムが存在する中で、選ぶ際には機能性だけでなく、導入コストやサポート体制も重要な要素です。最新のシステムを取り入れることで、円滑な運営と業務効率化を実現しましょう。
介護業界での勤怠管理システムの必要性
介護業界において、勤怠管理システムは欠かせない存在となっています。介護サービスは24時間体制で行われるため、シフト管理が特に重要です。従業員の出勤・退勤時間を正確に記録し、シフトの調整をスムーズに行うことで、スタッフの働きやすさを向上させることができます。
また、法令遵守の観点からも、適切な勤怠管理が必要です。働き方改革が進む中、労働時間の適正化や休暇取得の促進が求められています。こういった要件に対応するには、効率的な勤怠管理システムが役立ちます。
さらに、データ分析機能を利用することで、スタッフの働き方の傾向を把握し、業務改善や人材育成に活かすことができます。このように、勤怠管理システムは介護業界において、業務の効率化やスタッフの満足度向上に欠かせないツールと言えるでしょう。
シフト管理の問題点
シフト管理には多くの問題点が存在します。まず、介護業界の特性上、急な欠勤や人員不足が発生しやすいことが挙げられます。これにより、シフトの調整が困難になり、業務に支障をきたす可能性があります。
また、手動でのシフト管理では、入力ミスや誤情報が発生しやすく、正確な勤怠データの把握が難しくなります。特に、人為的エラーはスタッフの休暇取得や時間外勤務の管理を困難にし、法令遵守の面でも問題が生じることがあります。
さらに、従業員の喪失感や不満が蓄積し、職場の雰囲気にも悪影響を及ぼすことがあります。シフトが不公平に感じられる場合、士気の低下や離職率の上昇にもつながるため、効果的なシフト管理が求められます。これらの問題を解決するためには、デジタル化による勤怠管理システムの導入が有効です。
給与計算の煩雑さ
介護業界において、給与計算は非常に煩雑な業務の一つです。スタッフの勤務時間やシフトが多様であるため、出勤日や残業、休日出勤の管理が複雑になります。また、法定労働時間や各種手当の適用に関するルールも多岐にわたり、ミスが起こりやすいポイントでもあります。
こうした煩雑さを解消するためには、勤怠管理システムの導入が効果的です。システムが自動的に勤務時間を集計し、給与計算や各種手当の適用を行ってくれるため、管理者や経営者の負担が軽減されるでしょう。
さらに、リアルタイムでデータを参照できるため、給与の不正確さや遅延を防ぐことができ、スタッフの信頼も得られます。結果として、業務の円滑化やスタッフのモチベーション向上につながるのです。このように、給与計算の煩雑さを軽減することは、介護施設の運営において重要なポイントとなります。
労働時間の正確な把握
労働時間の正確な把握は、勤怠管理システム導入の大きなメリットの一つです。介護業界では、スタッフのシフトや勤務時間が多様であるため、手作業での記録にはミスが生じやすくなります。ここで勤怠管理システムを利用することで、自動的にデータを収集・管理できるため、正確な労働時間の把握が可能になります。
また、労働時間を正確に把握することで、過剰労働を防ぐことができます。適切なシフト管理が行われれば、スタッフの負担を軽減でき、健康管理にもつながります。これは、高い介護サービスを提供するために必要不可欠な要素です。
さらに、正確な労働時間のデータは、スタッフの給与計算や労働条件の見直しにも役立ちます。透明性が生まれ、スタッフからの信頼も向上するため、結果的に職場環境の改善に寄与します。このように、勤怠管理システムを通じて労働時間を正確に把握することは、介護施設の運営においてメリットが多いのです。
業務効率の向上
業務効率の向上は、介護勤怠管理システム導入における重要なメリットの一つです。手動で行っていた勤怠管理作業を自動化することで、従業員の労働時間や休暇取得状況を瞬時に把握できます。これにより、シフト作成がスムーズになるため、スタッフの負担が軽減されます。
また、リアルタイムで進捗状況を管理できるため、業務の偏りや労働力の不足を早期に発見し、適切な対応が可能です。例えば、特定の時間帯に人手が足りていない場合、迅速にシフトを調整することで、サービスの質を落とさずに運営することができます。
さらに、データの蓄積により、過去の傾向を分析し、今後の人材配置や業務の改善に役立てることができます。これにより、将来的な戦略を立てる際の貴重な情報源となり、業務全体の効率を飛躍的に向上させることが可能となります。
他言語対応
介護施設では、さまざまな国籍のスタッフが働いていることも珍しくありません。そのため、介護勤怠管理システムには他言語対応が求められることが増えています。
他言語対応のシステムを選ぶことで、多様な背景を持つスタッフが自分の言語で操作できるようになります。これにより、システムへの理解度が向上し、操作ミスのリスクを減少させることができます。また、コミュニケーションの障壁を下げることができるため、よりスムーズな勤怠管理が可能です。
さらに、法令や労働基準に関する情報を多言語で提供することは、異なる文化背景を持つスタッフにとっても安心感を与える要素となります。介護施設の運営においては、多国籍スタッフが活躍する環境を整備することが、サービスの質向上にも繋がります。
成功事例と失敗事例
介護勤怠管理システムの導入には、成功事例と失敗事例の両方があります。成功事例としては、あるデイサービスセンターが挙げられます。この施設では、システムを導入したことで勤怠情報の一元管理が実現しました。シフト調整が迅速になり、スタッフの負担が軽減され、結果的に利用者満足度も向上しました。
一方、失敗事例も存在します。例えば、導入前のニーズ分析が不十分だったため、マッチしない機能ばかりが多く、スタッフからの不満が出ました。このような場合、運用に対する抵抗感が強まり、結局システムが定着せずに終わりました。
成功するためには、事前の準備と具体的なニーズの把握が不可欠です。適切な選定を行うことで、介護施設の運営は大きく改善されることでしょう。
まとめ
本記事では、介護勤怠管理システムの重要性と選び方、さらにおすすめの10選を詳しく解説いたしました。介護業界においては、スタッフの勤怠管理が業務の効率化やサービスの質向上に直結します。そのため、適切なシステムを選ぶことが必須です。
選ぶ際には、操作性やサポート体制、コスト面をしっかりと比較することが大切です。また、介護施設の特性に応じた機能が備わっているかどうかも考慮する必要があります。実際に導入した際の声や口コミも参考にすることで、より良い選択ができるでしょう。
最後に、導入が決まった後は、スタッフの教育や運用の見直しを行い、システムを最大限に活用することがポイントです。これにより、よりスムーズな勤怠管理を実現し、職場環境の改善にもつながるでしょう。
→「勤怠の電子化」コンサルティング | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング
「医療DX令和ビジョン2030」が示されるなど、医療分野におけるDX推進は国策レベルでの取り組みとなっていますが、その柱の一つとなっているのが「標準型電子カルテ」の導入です。これによって現在普及が5割程度にとどまる診療所での電子カルテ導入を一気に進め、情報共有による医療の質向上や業務効率化などを進める方針です。
「情報共有」を前提にクラウド型電子カルテを導入
標準型電子カルテについて、厚生労働省は「小規模な医療機関が安価に導入できるよう、国の主導により開発してクラウド上に整備する、標準化対応済みの電子カルテシステム一式である」と定義しています(「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム資料「医療DXの進捗状況について」2025年7月1日)。
標準型電子カルテの構築に当たり、厚生労働省は大きく以下の2つの構築を目指しています。
①「切れ目なくより質の高い医療等の効率的な提供」を実現するため、電子カルテ情報共有サービスをはじめとした医療DXのシステム群(全国医療情報プラットフォーム)につながり、情報の共有が可能な電子カルテ
②「医療機関等の業務効率化」を実現するため、民間サービス(システム)との組み合わせが可能な電子カルテ
背景には医療DX自体の目標があります。「国民のさらなる健康増進、切れ目なく質の高い医療等の効率的な提供等の実現」等を目指しており、その施策の一つとして全国医療情報プラットフォームの構築を進めているのです。医療機関の電子カルテ情報もその一環と位置付けられます。
医療DXの推進に関する工程表では、標準型電子カルテについて、
①2023年度に厚生労働省で必要な要件・定義などに関する調査・研究を行い、②2024年度にデジタル庁で試作タイプとなる「α版」のシステム開発を実施、③遅くとも2030年にはおおむね全ての医療機関において必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指す-としています。
α版の対象は医科の無床診療所とし、その中でも診療科によらない共通の診療行為を想定しています。今年3月から山形県の診療所でモデル事業を開始しており、2026年度以降に本格的に実施する予定です。なお、α版では診療録の記載は紙カルテで実施し、電子処方箋の発行や医療情報の共有などは電子的に行うことになりました。
既に導入済みの診療所も含め移行を推進、情報共有可能な体制へ
標準型電子カルテの大きな特徴として「クラウドネイティブ型システム」を志向していることが挙げられます。厚労省によると現在、医科無床診療所のうち5.7万施設ほどが電子カルテを導入し、そのうち4.7万施設ほどがサーバーなどのハードウェアやIT機器、ファイルソフトなどのソフトウェアを自社で保有し、構築・管理する「オンプレミス型」を導入していますが、次回システム更改時に、標準型に準拠したクラウド型電子カルテへの移行を促す方針です。またクラウド型電子カルテを導入している1万強の施設についても標準型電子カルテに移行を図りつつ、速やかな移行が難しい場合は共有サービスや電子処方箋に対応したアップデートを推進する考えです。
つまり、最初からクラウドでアプリケーションを実行したり、ソフトウェアを開発したりすることを前提とした考え方に基づいているのです。
現在、医療施設で導入されている電子カルテの多くは、オンブレ型で、かつそれぞれの医療機関の独自の使い方に沿ってカスタマイズしています。これを、クラウドネイティブを基本とし、かつ廉価なものへと移行させるわけです。
小規模な医療機関でも過度な負担なく導入できるよう、標準型電子カルテの要件に沿って、システム費用の抑制を目指して基本要件を策定する方針です。
また標準仕様に準拠した電子カルテの開発を民間事業者に促し、当該電子カルテを厚生労働省や社会保険診療報酬支払基金などが認証する形をとる方針も示されています。認証された電子カルテと国の医療DXのサービスとは、クラウド間で連携できるようになると説明しています。
「紙カルテのまま」の声が多数、維持費用に対する懸念も散見
標準型電子カルテの導入に対して懸念する声も少なくありません。日本医師会は8月6日の記者会見で、「紙カルテ利用の診療所の電子化対応可能性に関する調査」の結果を発表しました。それによると、電子カルテの導入可能性について、「紙カルテが必要」という回答が77.0%を占めていました。内訳をみると「不可能(紙カルテのまま)」が54.2%、「紙カルテのまま+情報共有機能併用(国開発の標準型電子カルテ)」が 22.8%となっています。他方「カルテ本体として導入可能」は23.0%で民間製品電子カルテ使用が13.0%、国開発の標準型電子カルテは10.0%という内訳になっています。
電子カルテ導入が「不可能」とした回答の属性をみると、FAXで回答した診療所が多く、ITに不慣れであることがうかがえるとの見方を示したほか、医師の年代が高いほど「不可能」と回答する割合が高くなる傾向がありました。
導入できない理由としては、「電子カルテの操作に時間がかかり、診察が十分できなくなる」「導入の費用が高額であり、負担できない」「導入しても数年しか電子カルテを使用する見込みがない」などが多く上がりました。
調査結果を報告した長島公之・日本医師会常任理事は、「導入・維持などの費用が高額であり、リスクやトラブルに対処できない理由も多く、希望する診療所が無理なく導入・維持が可能な環境を整える必要があり、そのための十分な財政支援や安全で利用しやすい標準型電子カルテの提供が必要」と述べています。
電子カルテを導入している医療機関、とりわけ病院の間では維持費用が重荷になっているとの指摘もあります。それを踏まえ、「今回をきっかけに、すでに電子カルテを導入している医療機関にも維持費諸々の面でメリットがあるような形を考えていただければと思っています」(菅間博・日本医療法人協会副会長、第3回標準型電子カルテ検討ワーキンググループ、1月31日)といった、国主導の電子カルテ導入には経営面でのメリットを期待する声が出ています。
医療機関における電子カルテ導入率は200床未満の一般病院と一般診療所で、それぞれ2023年時点で59.0%、55.0%となっています(第6回「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム資料、2025年1月22日)。厚労省は「電子カルテそのものの普及率を向上させる取り組みが必要な状況である」との見解を示していますが、医療機関が抱える課題や要望への対応も標準型電子カルテ展開の課題になりそうです。
出典:MMPG医業経営ジャーナル 2025 9 Vol.315
評価制度の運用の改善やサポート業務で、ご相談を頂きますが、何にお悩みかというと
いわゆる形骸化です。
形骸化とは「実質的な意味を失い、中身のない形式だけ残ること」です。
まさしく、「ただ やっているだけ」という状態と言っていいかもしれません。評価制度を導入して3年ぐらい経過するとこのような状況に陥るケースはとても多いように感じています。
なぜ、このようなことになってしまうのか。管理者やTOPの方にやる気が無いからでしょうか?それもあるかもしれませんが、それを考えてもなかなか改善にはつながらないので
もう少し構造的に考えてみたいと思います。
その視点で「重要度、緊急度のマトリックス」で考えてみると、人事評価のポジションは
「重要度は高い」が「緊急度は低い」ということになります。つまり、今やらなくても問題はない仕事となり、この結果「先延ばし」となり「緊急度の高い仕事」が終わったら取り組もうと思っているうちに、気が付いたら期末になってしまう。このようなことを繰り返しているうちに、評価制度は「形骸化」へまっしぐらとなります。誰が悪いわけではなく、そのような構造になっているのが評価制度の運用というわけです。
評価制度の形骸化にどうすれば歯止めがかけられるか
評価制度の評価内容を毎年見直す
評価項目のブラッシュアップ、とりわけ評価項目が今の時代に即しているか、人の成長に合わせてよりレベルアップしていく項目に変わってきているかを毎年実施する重要なイベントごととして、必ず行っていただきたいと思います。
もちろん、見直した結果として、前年と同じでいこう、という結論であればそれもOK
です。
本人評価と上司評価(一次評価)を別々に行う
良き聞く声で、「どうしても本人評価に引っ張られてしまう」という相談があります。
その場合のアドバイスは、本人評価とは別シートで一次評価を行うことです。そのメリットとして、今まで以上に評価への真剣度が変わります。そもそも本人評価は評価エラーも多く、スキルを持っている人は少ないので、あまりアテにしない方がいいと思いおます。いずれにしてもこの変更は評価者にとっては大きな変更なので、異論はありますが、実際におこなった事業所に例を見ると、評価に対する真剣度は変わり、形骸化にはなりません
運用委員会などを作り機能させる
人事制度は構造上、「緊急度は低い」業務であることは、事業所のTOPや管理者でも同じです。そこでTOPも含めて、評価制度全体をマネジメントする「担当者」や委員会をつくることをお勧めしています。年間のスケジュールを決めたり、いつまでに●●を実施してくださいというように指示手配する役割と責任をもった委員会などがあることで全体が機能するようになります。
期初に、一年間のスケジュールに日付を入れて決めておく
事業計画の発表日や、社内的なイベントの日付を決めるのと同じように、評価制度の運用を重要なイベントとして、評価実施期間、評価者ミーティング、フィードバック面談等をあらかじめ1年間の日付を確定させておきます。そして、これは会社の最重要イベントということで、他の予定が入っても、この予定を最優先すると決めて通知をするぐらい徹底したいものです。
以上、過去の事例に基づき、代表的な方法を挙げましたが、
対策の必要があれば、出来ることから始めて行くことをお勧めします。





