【介護・保育】人材定着ブログ4月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑩」

【介護・保育】人材定着ブログ3月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑨」

の続きです。

2、能力評価(職能評価)について

 

 介護施設の人事評価を構築していく上で大切なことは、「サービスの質向上」の基となる能力とは何かを、まず具体的に明示することです。

その能力がわからないままでは、能力を基準とした評価、育成、処遇のしくみづくりは完結しません。それを形にして、「見える化」したものが「職務基準・職能要件書」ということになります。

 尚、能力評価(職能評価)の方法については、多くの考え方や手法があります。どの方法が正しいという事より、それぞれに長所・短所がありますので、各事業所に適した方法をご検討いただければと思います。下記の内容は弊社が介護事業所に特化し展開している能力評価の方法ということでご理解ください。

(1)職務基準・職能要件書(職種別)

従事する職種及び等級ごとに、法人が求める職能(業務スキル)を職能要件書において定めています。職能評価では、その達成度を定期的に評価し、その結果を昇給時の処遇及び等級の決定・見直しに使用するものとします。

職員が業務を遂行する時の「業務スキル」が、法人が期待する内容となるように、その内容を明確にし、かつ定期的に行動・努力を評価します。この評価によって、職員自らが課題を具体的に把握するとともに、上司とともに課題解決の目標設定を行うことができます。

事例Ⅰに示したものは、施設系介護事業所における介護職の職種別能力要件書の

事例です。

 

事例1

①能力要件としての表現
業務を職種別に「大項目」「中項目」「小項目」「チェック項目」に分類し、必要な業務を具体的にかつ分かりやすく表現します。これには事前に業務洗い出し作業が必要になります。また介護職については厚生労働省が作成している「キャリア段位制度」のチェック項目を参考にして作成することをお勧め致します。

②求められる業務の「質」・期待レベルの表現
 「資格等級フレーム」で定義した資格等級に対応させ、「この仕事は何等級の人にして欲

しいのか」「どの程度の出来映えを期待し、要求するのか」、その仕事内容と期待レベルを

明らかにする作業です。 例えば事例1では

 △:指導を受ければできる

  ○:自分ひとりでできる

  ◎:指導をすることができる 

等の表示で簡易的に明示しています。

③職務基準・職能要件書(職種別)の作成方法

 この基準書は当然、人事部門だけで作成してもなかなか賛同が得られないので、現場を巻き込む必要があります。作成に当たっては、次のような点に留意する必要があります。

  (ア)責任者を決めてと取り組む

   作成全体の進捗管理と、統一的な見方ができる管理職クラスの責任者を決める(専門家、コンサルに委託した場合には、その専門家が責任者になる)

  (イ)現場の中堅クラスに具体的な仕事の洗い出し作業をしてもらう。

    現場の中堅クラス(その仕事を一番知っていると思われる監督者クラス)を選びその人に作業をしてもらう。

  (ウ)作業メンバーは一つの職種に2名選定する。

    一人だと考えこんでなかなか進まないが、二人で話し合いながら行うと早く進む。

    5から6人になると決めるのに時間がかかってしまう。

  (エ)作業が完成するごとに責任者がチェックする。

    具体的な仕事に洗い出しが終了して評価基準の作成が終了した時点、上記アの責任者が「具体的仕事の数」「仕事の種類の数」「評価基準の表現方法」を職種間である程度統一する(あまりに差がある場合には修正する)特に具体的な仕事の数や仕事の種類の数は完成してから修正すると時間がかかってしまうので、その時点でしっかりとチェックしておく。

  (オ)作成手順

    職務基準・職能要件書(職種別)の概略の流れは下記の通りとなります」。

    職務基準を作成する職種を決定する⇒「業務洗い出し表」を作成する⇒洗い出した具体的仕事を種類ごとにまとめる⇒まとめた「具体的仕事」ごと「仕事の種類」名を決める⇒職場で社員に当てはめて(現実的かどうか)チェックする。⇒具体的仕事ごとに「評価基準」を書き出す⇒具体的仕事ごとに「求められる能力水準」を評価して「記号」で入れる、となります。

  ③ 職務基準・職能要件書(職種別)の運用

各等級に求められる仕事の内容(チェック項目)について、自己評価を行います。評価頻度は半年もしくは1年に1回。昇給、昇格に反映させるケースが多いようです。
また、法人が決める等級任用要件としても職能評価を活用します。例えば、「2等級の要求項目を90%以上クリアできれば、昇格することができる」という規定にしている事業所もあります。上司評価終了後は、必ず部下にフィードバック面談を行い、上司の見方を伝えるとともに、今後の改善課題を明確にして、部下と共有化をします。また評価結果が劣る職員については確実にフォローを実施し、また職員自身にも、

ある意味の「危機感」を持たせながら、改善を図っていただく指導が必要になります。 

 

以上が能力評価になります。次回は「行動評価」についてお伝えいたします。

 

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