介護事業者の事務共同化 都、総務や経理を集約・代行 自治体で全国初 小規模企業を支援(日本経済新聞記事より)
東京都は2026年度、小規模介護事業者の総務や経理部門を集約・代行するバックオフィスを設ける。
自治体では全国初の取り組みとみられる。都内には小規模な事業者が多く4割が赤字だ。事業者間の業務の融通やM&A(合併・買収)も進め、介護網維持へ踏み込んだ支援をする。
「若いヘルパーが入ってこない。ヘルパーの高齢化が進み、経営側も現場に従事している」。府中市で訪問介護などを手掛ける企業の担当者は人手不足の影響を訴える。都の介護分野の有効求人倍率は26年7月で9.32倍。全国平均の3.82倍と比較して深刻だ。
東京都は介護事業者の経営力強化を支援する(イメージ)
都内では地価の高さなどから大規模な介護施設の整備が難しく、代わりに利用者の自宅でサービスを提供する訪問介護などの小規模事業者が増えてきた。都内では従業員19人以下の事業所が5割弱を占め、介護を担う中心的な存在だ。
経営者自らが利用者宅を回るなど現場業務と経営を兼務する事業所は少なくない。都が25年度に実施したアンケートによると、19人以下の事業所では4分の1の経営者が経営業務に専念できず、ほとんど介護業務に従事している。
そこで都は小規模事業者の間接部門を集約・代行するバックオフィスを設置する。介護報酬の請求事務や法定研修のオンライン提供、介護保険制度改定による事務作業を共同化する。事業者の負担を減らし、介護サービスの提供や人材確保に経営資源を振り向けやすくする。規模や事業者から費用をとるかは今後調整する。
淑徳大学の結城康博教授(社会福祉学)は「自治体では初の取り組みだろう。負担が減ってヘルパー業務に割ける時間が増えたら理想だ。東京都で成功すれば他の自治体に広がる可能性がある」と話す。
訪問介護事業者間ではヘルパー業務を融通するネットワークの形成を始める。人手不足で1つの事業所だけでは利用者の希望する訪問回数に対応しきれず、複数の事業所でサービスを受ける利用者は少なくない。
負担を軽減するため、地域の中核事業所がメインで利用者を訪問しつつ、不足する訪問を小規模事業所に委託する。現行制度では事業者間の委託によるサービス提供には介護報酬を適用できないため、都は実証を通じて課題や効果を検証し、将来の制度改正に向けた議論につなげたい考えだ。
都内の介護事業者全体では4割が赤字で、規模が小さいほど赤字や収支均衡の事業者が多い傾向にある。国が定める介護報酬の改定は3年に1度で、26年の臨時改定や都独自の上乗せ加算を加えても、物価高や他職種の賃金上昇に追いついていないという。
都は経営が不安定な事業者を把握し、中小企業診断士らを通じた経営改善やM&Aに向けた手続きの支援も始める。26年度は5法人を支援予定だ。利用を予定する立川市の訪問介護事業者は「手が回っていなかった業務の効率化や採用活動の強化につなげたい」と期待する。
都内では要介護度が急激に高まる85歳以上の高齢者数は60年まで増加が続く。都の寺田靖子高齢者施策調整専門課長は「これまでも経営支援を続けてきたが、必要としている小規模事業者ほど届きにくかった。事業者からの申請を待つだけでなく、プッシュ型で支援したい」と話した。(9月11日日経新聞記事より)







