こども家庭庁、保育士給与の地域差是正 東京23区>千葉・埼玉 人材偏り防止狙う~9月1日 日本経済新聞記事より~
こども家庭庁は保育施設の運営原資となる公定価格の地域差を縮小する方針だ。この価格の違いによって保育士の賃金水準に開きがあり、人材の偏りを招いていた。生活圏がつながる地域の間で差をならす新たなルールを検討する。
年末までに詳細を固めて公表する。2027年4月からの適用を目指す。27年度予算の概算要求に具体的な金額を示さない事項要求として盛り込んだ。
政府は子ども1人あたりの保育費の公定価格を定めている。保護者が払う保育料と国や自治体が負担する公費の合計にあたる。実質的に保育施設の運営費のベースとなっており、給与もここから捻出する。
公定価格のうち人件費に相当する分は国家公務員の地域手当に準じた加算がある。人事院は原則として都道府県単位で簡素化するよう提言している。
新たな区分を適用した場合、東京23区は20%の上乗せになる。東京からみて荒川を挟んで隣の埼玉県の川口市や戸田市などは4%にとどまる。江戸川を挟んで接する千葉県の市川市や浦安市などは8%で、やはり差が大きい。
全国私立保育連盟の高谷俊英常務理事は「公定価格という仕組みがある以上、園側が保育士の給与を自由に決める余地はない。数%でも経営に大きなダメージとなりかねない」と話す。
現状でも差はある。25年の賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均月収は東京都が31.0万円、埼玉県が27.2万円、千葉県が30.4万円だった。
市川市など独自に上乗せする例もある。こうした対応は財政力の乏しい自治体には難しく、自助努力にも限界がある。
周囲の加算割合が高い場合、低水準の自治体の上乗せも厚くする仕組みは既にある。地域によってはそれでもバランスがとれず、保育士が流出しているのが現状だ。
格差は東京圏や大阪圏で目立つ。人材のつなぎとめに悩む埼玉県や和歌山県などが新たな補正策の導入を求めていた。
こども家庭庁は生活・経済圏が一体であるような地域で新たなルールをつくる。大都市への通勤率が高い周辺自治体の加算率の引き上げを検討する。埼玉県南部などが念頭にある。
住宅価格や家賃の高騰で子育て世代が都市部から周辺地域に流入する動きもある。人手の制約で保育サービスの供給が追いつかなければ、待機児童の増大にもつながりかねない。







