「いけないのは分かっていたが…」リスクあるうつぶせ寝が原因か 世田谷区の認可外託児所で乳児死亡

東京都世田谷区の認可外保育施設「託児ルーム バンビーノ」で昨年12月、生後4カ月の男の子が死亡した。園長は7日取材に、乳児に死亡事故のリスクのあるうつぶせ寝をさせていたことを認めた。警視庁北沢署が、業務上過失致死容疑を視野に捜査している。 

◆仕事復帰のため認可園を探したが…「悔やみきれない」

 亡くなった男の子は真渚己(まさき)ちゃん(名字は非公表)。区などによると、昨年12月13日午後3時15分ごろ、施設内の布団で寝かされていた際に様子がおかしいことに職員が気付き、野崎悦生園長(58)が119番通報した。真渚己ちゃんは搬送先の病院で死亡が確認された。この日午後は園長と職員2人の計3人で、真渚己ちゃんら0〜2歳児計9人を預かっていた。保育士資格があるのは園長だけだったという。
記者会見に臨む亡くなった真渚己ちゃんの父親(左)と母親

記者会見に臨む亡くなった真渚己ちゃんの父親(左)と母親

  都内で7日記者会見した両親によると、真渚己ちゃんは顔を真下に向けた状態で発見されたと職員から説明を受けた。また、口や鼻の周りの布団が多量の唾液でぬれていたといい、両親はこれが原因で呼吸ができなくなったとみている。
 父親は「かけがえのない命が失われる悲劇は二度と起きてほしくない」と、区に調査を求めた。母親によると、昨年11月に仕事に復帰するため、区内の複数の認可保育所に申し込んだが、入れなかったという。母親は「悔やんでも悔やみきれない。誰もが、安全な保育を受けられることを行政に強く望む」と訴えた。

◆過去に注意も…区長「緊急抜き打ち検査する」

 区は昨年7月に施設に定例の立ち入り調査をし、指導事項はなかった。だが、過去にうつぶせ寝をさせていたことから注意したことがあったという。
 保坂展人区長は7日、「原因を究明し、検証委員会を立ち上げて再発防止を促す。また、0歳児を預ける認可外保育施設に実施している緊急抜き打ち検査を2月中旬までに完了させる」とコメントを出した。(奥野斐)

◆母親から注意もされていたのに…「職員足らず」

 「バンビーノ」の野崎悦生園長が7日、取材に応じ「職員が足らず、安全への配慮が足りなかった」と釈明した。2000年の開園当初から、うつぶせで寝かせることがあったという。「基本的にはあおむけにするようスタッフに伝えていたが、うつぶせにすると寝付きがいい子もいるので、いけないのは分かっていたが時々していた」と話す。
 野崎園長によると、真渚己ちゃんの母親が昨年10月下旬、利用前に見学に訪れた。うつぶせで寝ている子どもを目にした母親から、「(真渚己ちゃんを)うつぶせで寝かせないでと言われていた」と振り返る。
真渚己ちゃんが亡くなった「託児ルーム バンビーノ」

真渚己ちゃんが亡くなった「託児ルーム バンビーノ」

 しかし、事故のあった日はそれが守られていなかったとみられる。真渚己ちゃんを寝かしつけた20代の男性スタッフは、聞き取りに「他の子が泣き始め、あおむけにしなかったと思う」と話したという。
 また、0歳であれば、5分置きに寝ている向きや呼吸の有無を確認する運用をしていたが、この日の「睡眠チェック表」によると、午後0時55分まで昼寝していた記録はあるが、以降は空白に。野崎園長は「忙しいときは確認できていないときがあった」。1時20分ごろに授乳したというが、「記録がないので、その後いつ寝たかわからない」と打ち明けた。(浜崎陽介)

◆保育施設で亡くなった乳幼児の6割超が睡眠中

 こども家庭庁によると、2015〜22年の8年間で乳幼児が保育施設で睡眠中に亡くなったケースは計41件。水遊びや食事中などを含めた死亡事故全体(計65件)の63%で、大きな割合を占める。
記者会見で「悲劇は二度と起きてほしくない」と調査を要望した真渚己ちゃんの父親

記者会見で「悲劇は二度と起きてほしくない」と調査を要望した真渚己ちゃんの父親

 乳幼児の睡眠について、こども家庭庁の担当者は「うつぶせ寝には窒息や乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクがある」と指摘。このため庁の前身の内閣府子ども・子育て本部は16年3月にまとめた事故防止のガイドラインの1ページ目で「医学的な理由で医師からうつぶせ寝をすすめられている場合以外は、乳児の顔が見えるあおむけに寝かせることが重要」と明記している。
 寝返りがうまくできない乳児でも、
・布団が柔らかい
・つかまりやすい柵がある
などの状況だと、あおむけに寝かせても、うつぶせになることがある。このため目配りは欠かせない。
 こども家庭庁の担当者は「自治体による研修や施設ごとのマニュアル作りでリスクを周知するほか、うつぶせ寝防止の取り組みができているか、自治体の指導監査で確認する必要がある」とした。(梅野光春)
(2月8日東京新聞より)

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