保育の現場Q&A

Q キャリアパスの説明を受けても、実際にどうすれば上位等級に昇格できるのかがよくわからない(職員からの質問で多いもの)。

A、何をどのように頑張れば、階層を上がっていくことができるのかを決めるのが、キャリアパスの中で最も重要なルールのひとつである「任用要件・昇格条件」です。

この任用要件を決定して、職員にオープンにし丁寧に説明することが必要です。尚、任用要件では、次の4つの視点で検討をすすめれば良いと考えています

  • 前等級における最低勤務年数
    「リーダーを最低3年やらないと主任は務まらない」というような発想があると思いますが、このような考え方を昇格の条件として、1級は2年以上、2級は3年以上などのような形で採り入れます。そして各階層の滞留年数を決めます。つまり昇格を考えるときにも、この年数経過が一つの要件になります。
  • 資格
  • それぞれの等級で取得してほしい資格を昇格の条件として用いるという考え方です。
  • 実務経験
    「優秀なケアスタッフだったのに、リーダーにしたらプレッシャーから力を発揮できず、結局もとの立場に戻さざるを得なくなった・・・」などというミスマッチをなくすために、指導監督職(主任等)になる前に、一般職の間に、一度でも委員会の委員長や行事のリーダー等をつとめた経験がある事などを、昇格条件にするケースもあります。少し大きな事業所では、複数の事業所を経験していないと(異動していないと)管理者になれないというルールもこの類です。
  • 人事評価
    人事評価制度を取り入れている事業所では、必ずといっていいほど、その結果を昇格の条件に用いています。「階層に求められる業務ができているか」を評価しているのであれば、その結果を次の段階に進めるか否かの判断基準に加えるというのは、極めて合理的な方法です。

Q&A せっかく採用しても  なかなか定着せず、早いと3か月未満で退職する人もいます。採用面接ではどのような点に気をつけたら良いでしょうか。

Q 当法人では新卒採用・中途採用ともの計画的に行っていますが、せっかく採用してもなかなか定着せず、早いと3か月未満で退職する人もいます。何とか定着をしていただくように取り組みを行っていますが、採用面接ではどのような点に気をつけたら良いでしょうか。

A, 

「採用での失敗は、育成でカバーすることは難しい」とも言われます。

どのような人を採用するか、これは言うまでもなく、事業運営の中で最も重要な事項といっても過言ではないでしょう。社員の定着のためには「定着するような人材を採用する」といった方が現実的かもしれません。しかし、実際には人手不足の際には、「応募してくれた方は、多少気になる点があってもほとんど採用する」という状況は、決してめずらしいことではありません。このようなことを繰り替えしていると「すぐに辞めるような人」を採用していることになりかねません。

「辞めない人材」とはいったいどんな人材なのでしょうか。それは法人理念に共感できる職員ではないでしょうか

それでは「辞めない人材」とはいったいどんな人材なのでしょうか。それは法人理念に共感できる職員を選ぶことです。理念に共感できるとは、法人として「大切にしたい価値観」の共有ができる方と言ってもいいかもしれません。

 現場が人手不足の状況なので、ついつい早く人を「補充」したいという考えから、候補者の過去の経験、職務のスキル、資格などを重視した基準で採用を決定する場合も多いと思います。ただ、結果として、このような情報は、意外とあてにならないという経験をされた経営者も多いのではないかと思います。そこで、重要なのは「その方の価値感が法人の価値観や考え方に合うかどうか」ということになるのですが、問題はそれをどのように見極めるか、ということになります。もちろん、価値観が垣間見れるような質問内容を、事前にしっかり準備しておく必要がありますし、その結果を面接官複数の目で見て、客観的な指標にまで落とし込んでいくことをお勧めしています。

候補者もそれなりに準備をして面接に臨みますので、なかなかホンネの部分までは見極めるのは難しいものです。

一方、候補者もそれなりに準備をして面接に臨みますので、なかなかホンネの部分までは見極めるのは難しいものです。ある法人の理事長は、法人創設の経緯や経営理念をできる限りわかりやすく、そして何度も何度もしつこいぐらいに伝え(これが重要ということです)、それを聞いている表情や反応で、十分判断できるということをおっしゃいます。また、ある施設長は、事前に施設見学(かなり細部にわたる現場見学)を行っていただき、そこで感じた内容を、どれだけ自分の言葉で伝えられるかをみている、と言います。このような方法ですと、事前の準備ではなく、過去の経験が本人の言葉で出てくることが多く、その方の現在の感じ方や価値観が、よりリアルに伝わってくるといいます。

下記に面接のときの質問の留意点をお伝えいたしますのでご参考にしてください。

 

  • 具体的な内容を質問する

 漠然とした回答ではなく、具体的な回答を聞くことで本音を見出します。

 ・「なぜこの仕事を選んだのか、人の役に立つとはということは、どういうことなのか

  具体的に言ってください」

 ・「採用された場合、あなたの能力をどういった仕事に活かしたいですか。具体的にこたえてください」

  • 人間関係についてどう考えているか確認する

 人間関係の関する質問は、入職後のトラブル回避にためにも非常に重要です。

 ・「入職後、法人とあなたの方向性や想いが異なる時、あなたはどのようにしますか?」

 ・「同僚との意見が食い違う場合、あなたは意見を通しますか、黙りますか、また通すとしたらどんな方法で?」

  • 求職者からの質問を引き出す

 面接試験で一通り質問が終わったら、必ず求職者に対して質問がないか確認します。面接が終わったという安心感から本音が見え隠れすることがあり、人間性を確認できることもあるようです。求職者が質問する内容は、採用された場合のことを想定していることが多いため、「どの部分に興味を示しているか=本当の志望動機」がわかることも多いように思います。

半日単位の年次有給休暇を導入する際のポイント

Q  当施設の職員から、子どもの学校行事への参加や通院など、プライベートの事情に合わせて年次有給休暇を取得したいという希望が出ています。そこで、半日単位で年次有給休暇を取れるようにしたいと考えています。どのようなことに気をつけるとよいでしょうか?

A,労働基準法では、年次有給休暇(以下、年休)は1日単位で付与することが原則とされています。その上で、就業規則などで施設がルールを定めることで、年休を半日単位(以下、半休)で付与することができるとしています。その際、半休の区切りをどうするかなどの検討が必要です。

詳細解説:

年休の付与単位の原則年休とは、心身の疲労を回復させ、リフレッシュするための休暇です。
そのため、1日(午前0時からの24時間)単での付与が原則ですが、就業規則などで
施設がルールを定めることで、半休の制度を導入することが認められています。なお、半休を
導入することは施設の任意であり、義務ではありません。

1.半休導入時の区切り


半休を導入する上で、半日の単位(区切り方)を検討する必要があります。1日単位の年休が午前0時からの24時間であることを踏まえ、その半分である正午を区切りにすることが基
本的な考え方ですが、以下のような合理的な区切り方も考えられます。


① 1日の所定労働時間を2等分した時刻を区切りとする
② 昼休憩の時刻を区切りとする


午前の利用時間が9時から12時までの3時\間、午後の利用時間が13時から18時までの5 時間というように午前・午後と分かれている施設が多いことを考えると、選択肢②は職員にとって分かりやすく、運用や管理もしやすいかもしれません。ただし、午前休を取得するか、午後休を取得するかによって働く時間数が異なるため、職員の間での不公平感が出やすくなります。

2.所定労働時間が短い日の取扱い


施設の利用時間が午前のみの日に年休を取\得する場合、1日単位とすることが原則です。この場合、「せっかく休むのであれば、所定労働時間が長い日に取得しよう」という思いを持つ職員がいることから、利用時間が短いことを踏まえて、その日に年休を取得する場合は半休として取り扱うことも考えられます。半休を導入することで、職員が個々の事情に応じて柔軟かつ有効に年休を活用することができ、働きやすさにつながります。管理のしやすさや不公平感が出づらい制度の導入が重要となります

 

 

Q 時間外の計算は1分単位なのか、15分や30分単位でもいいのか

 

A 1分単位が原則です。ただし、端数を切り上げる場合には15分単位、30分単位でも構いません。

 

切り上げにしないと給料未払いに

給与計算上、よくある質問ですが、基本は1分単位です。例えば、17時までの就業時間で1742分まで働いた場合、12分カットして30分の残業代を支払った場合、12分の就業に関する支払いは未払いになってしまいます。

 

休養計算上は楽だということで15分単位の取り入れている事業所はよくあります。もし15分単位とするなら切り上げでなければいけません。つまり17時までの就業時間で1742分まで働いた場合には45分間の残業代を支払うことになります。管理の手間と数分プラスになる賃金のどちらをとるかの判断になります。

 

例外として、1か月の時間外労働、休日労働、深夜労働の合計に1時間未満の端数が

ある場合には30分未満の端数の切り捨て、それ以上を1時間に切り上げるといった端数処理は認められます。つまり月のトータル残業時間が3時間20分であった場合には3時間として、3時間40分であった場合を4時間とすることは可能です。

未払い残業は行政指導の対象に

残業代を未払いのまま労基署の監査が行われると「是正勧告書」「指導票」により行政指導が行われます。例えば3か月分の未払い残業の「遡及支払い」を命じられた場合、未払いとなっている時間数及び給料の額を3か月間さかのぼって計算し、当該スタッフへの不足額を支払うなど、まずは行政書道に従い原則対応することになります。

 

適切な時間管理とは

厚労省から平成13年に出された「労働時間の適正な把握のため講ずべき措置」では以下のように定められています。

 

  • 労働日ごとに、何時から仕事を開始して、何時まで仕事をしたか、確認し記録すること。
  • 使用者が自ら確認し記録するか、タイムカード、ICカードなどの客観的な記録を、適性に申告するように十分に説明すること。必要に応じて実態調査をすること。
  • 労働時間の記録に関する書類は3年間保存すること。

 

労働時間の上限を設定して、上限を超える時間を切り捨てたり、そもそも労働時間の記録がないため「時間外労働がない」としたりしている場合には法律違反になります。

固定残業代として定額を支給する際には慎重に

 

固定残業代を設定すると仮に残業代が発生しない月があっても残業代を支払わなければなりません。しかも実際に行われた残業が想定された10時間を超えると、別途残業代の支払い義務が発生します。そのため実態を確認した上で「何時間分を固定で支払うか」を決めなければなりません。固定残業手当を適切に運用するためには次の三つが要件とされています。

  • 基本給と割り増し賃金部分が明確に区分されていること
  • 割増賃金部分には何時間分の残業が含まれているかが明確であること
  • 上記②を超過した場合には、別途割増残業が支給されること

 

この方法は、残業が大体同じ時間発生している場合には適している方法ですが、月によって残業時間が大きく変動したり、人によってばらばらであったりする場合には、かえって管理が煩雑になる場合があります。導入によりメリットとデメリットをよく検討して慎重に判断する必要があります。

Q 評価はするも、結果をうまくフィードバック出来ていないので、職員の成長やモチベーションにつながらない。

 

A 解決に向けた取り組みとして、「評価フィードバックを年2回実施し、さらに個別面談(毎月)にて課題解決のフォローを行う」ことも有効。

 

人事評価でもっとも大切なキーワードは何でしょうか。それは「透明性」と「納得感」です。透明性とは、人事評価でいえば、どういう評価項目で、だれがどのようなプロセスで評価をしているのかが明確であること。また「納得感」とは、なぜその評価結果になったのか被評価者が理解し、納得することです。しかしながらこの納得感が生まれるのはそう簡単にはいきません。なぜなら多くの職員は、自分は一所懸命仕事をし、それなりに仕事で貢献していると思っているからです。しかしながら、上司の評価がそのようなものでない場合には、だれしも心穏やかでは、いられないはずです。半ばあきらめて、表面的に納得したフリをしている場合も多いのではないでしょうか。それでは納得感を醸成するにはどうすればいいのか。まず、絶対に必要なのが、フィードバック面談です。面談では、自己評価と上司評価が明らかに違っている項目に着目し、その評価にした根拠を具体的に話し合うことで、お互いの視点や期待レベルを知ることができ、初めて「納得感」が醸成されてくるものです。

Q:職員から「勤務後に他事業所で副業したい」と相談がありました。副業を認める際の留意点を教えてください。

A,

厚労省の「副業、兼業に関するガイドライン」によると副業は、新技術開発や第2の人生の準備として有効であると書かれています。人口減少期を迎え 労働力の減少が叫ばれている我が国において、副業の推進により国は労働力の確保や生産性の向上を期待しているものと思われます。

では事業所としては副業を認めなければいけないのでしょうか。法律上、副業禁止の可否に定めはありませんが、過去の判例でみると「労働時間以上の時間をどのように利用するかは、労働者の自由」との考え方に立っていて、副業を認めることが基本的な対応と考えられます。

しかし、副業を解禁していく場合の注意点もあります。

まず、職員から副業を始めたいという申し出があった場合、事業所として、まずは本業に影響がないことを確認する必要があります。たとえば、深夜業に従事して、寝不足になり本来の業務がおろそかになってはいけません。他には他の事業所で勤務するとなると、当事業所の情報が漏れるリスクもあります。従って、事業所として申し出があった場合に許可することを前提にしつつも、いつ、どのような業務に従事するのかをきちんと確認し、内容を精査する必要があるでしょう。また、就業規則にもその点を下記の内容にて表現することがあります。

 

○○条 法人は職員が副業兼業に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止または制限することが出来る。

①労務提供上の支障がある場合

②企業秘密が漏洩する場合

③会社の名誉や信頼を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

④競業により事業の利益を害する場合

 

残業代の計算にあたっても注意が必要です。

 

複数の事業所で勤務する場合、労働時間を合算して1日8時間、1週で40時間を超えることも想定されます。労基法ではその場合、合算した労働時間として超過時間があれば残業代を支払う必要があります。この場合、支払う側は、後から雇用契約を締結した方、もしくは法定労働時間を超えて働く原因を作った方に支払の義務が生じます。

 

社会保険関係の留意点

 

次に社会保険関係ですが、雇用保険については、たとえ複数の勤務先でそれぞれ週20時間以上勤務していたとしても、主たる勤務先(原則、収入が多い方)でしか加入できません。

 

健康保険と厚生年金金保険については、複数の勤務先それぞれ加入条件を満たした場合、どちらで加入するかは本人が選ぶことになります。そのうえで、例えば、加入する先での勤務先給与が月20万円、加入しない方が月10万円だとすると合計額30万円に基づいて社会保険が計算されます。つまり、それぞれの勤務先の給与額に応じて按分計算され、両方の勤務先から毎月の社会保険料が控除されることになります。因みに健康保険証は、加入する勤務先の保険者のみから発行されます。

 

最後に、副業兼業を認めていく流れにはあるものと思いますが、一方で、副業は長時間労働につながりやすい等懸念点も指摘されています。本業副業を問わず、他でも働いている職員がいる場合には、もう一方の勤務先の労働時間を意識して、法令順守と健康管理に配慮していくことが必要になります。

部下のミスを繰り返し注意したところ「パワハラだ」と言われました。注意指導はどのような場合にパワハラになりますか?

 

A,パワハラに関し実際に何をすればパワハラになるのか、十分に理解できている方は以外と少ないのではないでしょうか。そのため本来、部下を指導監督する上司が、これはパワハラにあたるのか、などと判断に迷ってしまうこともあると思います。さらに本設問のようにちょっと厳しく注意すると部下から「パワハラだ」などと言われてしまうようでは、上司としては、注意すること自体出来なくなってしまいます。そこで、まずはパワハラに関する基本的な考え方について検討したいと思います。

 

パワハラにつては、法律上の定義があるわけではありませんが、裁判例によると、「合理的理由のない、単なる厳しい指導の範疇を超えた、いわゆるパワーハラスメント」(名古屋高裁H191031)「人格、存在自体を否定するもの」(東京地裁H191015)といった要素が挙げられています。

また厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」(H24130日)は「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいう」と定義しています。

注意指導そのものがパワハラにあたるものではありません

つまり注意指導そのものがパワハラにあたるものではなく、注意指導の程度や態様が度を越している場合にはパワハラにあたる可能性があるということになります。裁判上も、注意指導の目的は正当なものであったとしても、感情的になって大きな声を出したり、部下の人間性を否定するかのような表現を用いて叱責した点などは「社会通念上、許容される範囲を超える」としています。

 また、ご質問のように、パワハラのとらえ方としてよくあるものが「相手がパワハラと感じたらパワハラ行為になる」などと、あたかも相手の感じ方でパワハラ行為か否かが決まってしまうといったような誤った認識があります。このような認識が原因で、必要に応じて部下を強く指導・教育する必要があっても、それを躊躇してしまうようなこともあるのではないかと思います。重要なことは、「相手がその行為をどう感じたかではなく」、その行為自体に「社会通念上、許容される範囲を超える」ところがあったか否か、ということになります。

御質問のケース

さて、御質問のケースでは、上司は部下の誤字脱字が多いことを、業務を対象にして注意指導を行っていると言えます。しかしながら部下は注意されたにも関わらず改善されないだけでなく、反抗的な態度をとってきたとのことですから、その分厳しく注意するのは当然と言えます。もちろん、先に述べた人格否定を行う、大声で怒鳴るといった注意指導は行き過ぎですが、そうでない限り、上司の注意指導はパワハラとはいえないでしょう。注意指導を行うときには、くれぐれも冷静に行うことが大切です。

 また、最近はスマホなどを使用し、指導教育の内容を「無断録音」されているようなケースも多いのではないかと思います。この場合、当然ながら「言った、言わない」という話にはならないわけで録音された発言が、それに該当するか否かが判断されるわけです。このことを踏まえると、いつも録音されているという認識をもつことで、自身の言動の抑止力にもなり、冷静な態度で指導教育が行われるのではないでしょうか。

Q:協調性を欠く職員を懲戒処分や解雇することはできますか?

A, 職場には多数の職員が就労しているわけですから、一人が勝手な行動をしていたのでは職場は成り立ちません。すなわち、職場秩序は多数の職員を擁する法人の存立、維持のために必要不可欠なものです。

法人がとりうる措置としては、まず、懲戒処分が考えられます

さて、職員が職場で他の職員との協調性を欠く場合において、法人がとりうる措置としては、まず、懲戒処分が考えられます。裁判例においても、本人の執務態度、上司、同僚に関する無礼並びに協調性の欠如について、職場の規律を乱し、円滑な職務遂行を阻害しているということが懲戒事由解雇にあたると認めているものがあります(大阪地裁平成4年3・31)

ここでポイントになるのは、本人の協調性の欠如によりいかに企業秩序が阻害されているかです。仮に本人に協調性の欠如は認められるものの、企業秩序への影響が軽微な場合には懲戒処分を行うことは難しくなると思われます。その点、医療・福祉の現場をチームワークが業務遂行の上でとても重要な要素となりますので、協調性の欠如が懲戒処分の対象になることは十分に考えられます。

懲戒解雇という措置も考えられます。

次には懲戒解雇という措置も考えられます。裁判例には、就業規則に記載された解雇事由

「執務能力が著しく不良」(単なる勤務成績不良ではない)とは職場に適用する能力に欠ける場合に包含するもの解し、社会生活をして人間として常識に欠ける部分が多く、協調性に乏しく、職場に適用する能力に著しく欠いており、かつ将来の将来の改善に見込がないことから解雇を有効と認めたものがあります(東京高裁S421・24)。

本人の改善が認められない限り、もはや懲戒の問題ではなく、解雇措置も検討すべきと思います。 

ご質問の前段ですが、退職者がでるほど職場環境が悪化し、職場秩序が相当に乱れていると思われますので、早急に関係者から事実確認(まずは被害を受けている同僚から)をし、職員において、設問のような言動が実際にあったならば、相当な事情が認められない限り厳重注意、懲戒処分、場合によっては解雇を検討すべきと考えます。また、これまで注意指導歴などから、本人の改善が認められない限り、もはや懲戒の問題ではなく、解雇措置も検討すべきと思います。また設問後段においてもBとCが一日中口を利かないことに対して、周りの職員も気遣い、あるいは不快に感じ、職場環境全体が悪化している考えられ、早急に手だてを講じるべきです。その際に、なぜBCの中が悪いのか、その原因を探る必要があります。率直に上司がそれぞれから事実確認をすべきです。そしてその原因から事態を収拾する方法を模索すべきと思います。たとえそれが個人的なことであっても職場にそのような関係を持ち込むことは、職場環境を乱し職場に支障のある行為であるということは重大のことです。それゆえ法人は、そのような職員に対し、してはいけない事項であることを諭し、両者に気づかせるべきです。

そのような注意指導をしたうえで、なお改善しないということであれば、就業規則に従い懲戒などを検討すべきでしょう。又場合によっては、両名を同じ職場ではなく、別の職場に配置することも検討すべきでしょう。

Q:有給休暇の付与日を全職員で統一する場合、どのような点に注意すべきですか?

 

A,

有給休暇の基準日を一律に定めて付与することを「斉一的取り扱い」と言いますが、前提条件となるのが、「前倒しで付与する」ことです。例えば、41日を基準日と定める場合、91日入職した職員は、6か月継続勤務すれば翌年の31日に10日の有給取得の権利が発生します。この場合、基準日を統一し41日に繰り下げての付与(入職から7か月目の付与)は認められません。有給休暇の斉一的取り扱いについては、下記の要件を満たす必要があります(平成6.1.4基発1号、平成273.31基発033114

  • 斉一的取り扱いや分割付与により、法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
  • 次年度以降の有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰り上げた期間と同じまたはそれ以上の期間、法定の基準日より繰り上げること。

しかし、基準日を前倒しで繰り上げるため、入職時期によりどうしても不公平が生じてしまいます。ここをどのように考えるかがポイントになります。それでは、その代表的な対応とその留意点を下記致します。

①基準日を月初などに統一する

入社が月の途中であっても、基準日を月初などに統一します。例えば、同じ月に採用した方の基準日を月初に統一することにより、統一的な管理が可能となります。この場合、

5日取得させる期間も月ごとに統一できることになります。

② 基準日を「年2回」とする緩和策をとるケース

例えば、41日と101日の2回に統一する方法もあります。全職員同一の基準日に統一するよりは、入職時期による不公平感が軽減できます。41日から930日までに入職した職員の基準日は101日に10日付与し、101日から331日までに入職した職員は41日に10日付与します。以後、それぞれ41日と10月1日を基準日としていきます。この場合、71日入職者の8割出勤の考え方は以下のようになります。

6か月継続勤務後の本来の基準日である11日から短縮された3か月(10月~12月)

は全期間出勤したものとみなし、この期間を含めて71日から1231日までの6か月間で、8割以上出勤したかどうかを計算します。

基準日の統一は前倒し付与が原則の為、41日入職者は6か月後に10日付与され、91日入職者は1か月後に付与される不公平感は残りますが、年1回と比較すれば、不公平感は緩和されているのではないでしょうか。

 

③分割して前倒し付与したら次年度基準日も繰り上げる

施設によっては、入職と同時に10日付与するケースや、「入職3か月後(使用期間終了後)に3日付与、6か月後に7日付与」と分割して付与するケースがあります。分割して付与する場合も先の行政解釈(上述(2))にあるように、前倒し付与したら次年度の基準日も繰り上げます。

例えば41日入職者に、使用期間終了後の71日に3日付与し、101日に7日付与した場合、次年度に11日付与する基準日は本来の付与日(101日)から1年経過後ですが、初年度の3日分を3か月繰り上げて付与したため、次年度の基準日も同様に3か月繰り上げ、「7月1日から1年経過後」に11日付与することになるわけです。この点も注意をしながら前倒しのルールを検討していく必要があります。

Q:管理監督者に残業代などを支給せず、遅刻や欠勤時のみ給与を減額する運用に問題はありますか?

A 労働基準法41条の除外規定として、労基法上の管理監督者は深夜業務を除く、労働時間に関する規定は適用されないと定めています。まずは、労基法上の管理監督者とはどのよう方を指すのかを確認しておきたいと思います。ここでいう、「管理監督者」とは下記の要件を全て満たす方を指します。

1,人事権を持ち、事業経営にも参加している(ここでいう人事権とは、いわゆる異動を含む人事権で、人事評価しているだけでは不十分)

2,自分自身の勤務時間について自由裁量が認められている

3、一般社員と比べて、十分な報酬を得ている

 れらの3点を、勤務の実態として適用されている必要があります。単に役職名では判断できません。つまり休日、時間外労働の規制をうけない「管理監督者」に該当するかどうかは、具体的な権限や給与、勤務実態で判断が必要ということになります。

例えば、多くの介護事業所ではシフト勤務で勤怠管理を行っていますが、常態として勤務シフトに入っている働き方をしているような管理者がいた場合、勤務時間の自由裁量がないと判断され、管理監督者ではなく、一般社員とみなされる可能性もあります。

先ほど、管理監督者に該当するか否かを判断するときに、単に役職名での判断ではなく、勤務の実態で判断しなければならないとしましたが、多くの介護事業では職責(役職)で、それを判断している場合が多い上に、介護保険制度における「管理者」と労基法における管理監督者を混同してしまうケースもあるので注意が必要です。一般的には、理事長、社長、施設長、事業所長、事務長くらいまでの立場の方がそれに該当するケースが多いと考えられます。もし、それ以下の役職の方(例えば、主任、副主任やリーダー等)を管理監督者の扱いにして残業代などを支給していない場合は、一度、その方の業務や給与の実態を確認してみる必要があると思います。その結果、管理監督職に該当しない方に、残業手当等を支給していない場合には、労基署からは残業代未払いの扱いとして、「3年間分を遡及して」支払うといった是正勧告を受けるリスクがあります。

 

 2,また、管理監督者には残業代は支給されませんが、勤務時間管理自体は必要となります。これは、給与計算上の必要性ではなく、管理監督者の健康管理の問題によるものです。管理監督者はその責任の重さから、過重労働になってしまうケースは相変わらず多く、それが深刻化するとメンタル疾患につながる場合も見られます。従って、経営者や人事担当者は

  管理監督者の労働時間には常に注意を払い、管理監督者の健康管理に十分注意することが重要です。

 

 3,さて、今回ご質問のあった管理監督者における遅刻・早退・欠勤に関する給与の扱い

についてですが、その方が管理監督者に該当することを前提とした場合に、先述の要件

の「勤務時間の自由裁量」の点が問題になります。

  つまり、管理監督者は勤務時間に裁量が認められていることから、始業時刻から遅れて

出社(遅刻)しても給与減額扱いにはなりませんし、また終業時刻より遅くなっても残

業手当はつかないことになります。

ただ、欠勤の扱いにつきましては、管理監督者であっても「就業義務」自体はありますので、その義務が果たされない場合に該当すると判断され、給与も欠勤控除として減額することになります。

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